説明

演習ノートおよび問題練習教材

【課題】問題ドリルを用いてその問題を解き、ノートの適切な書き方、使用法を学習させることができる演習ノートと、問題練習教材を提供すること。
【解決手段】問題に対する解答を記入するための演習ノート30であって、問題ドリル10の特定の問題ページ11を、ノートページ31に示すための問題ページガイド部32−1と、前記問題ドリルの問題ページに記載された複数の問題に対応して問題記号が表示された問題記号ガイド部32−2と、該問題記号ガイド部の個々の問題記号に対応して、式や筆算の一部が薄墨で記載された薄墨ガイド部35とを有して、前記薄墨ガイド部35が、学習者がノートに記載すべき文字などの大きさと、記載すべき位置や書式とに適合させて示されており、かつ、学習者が記載すべき解答を導くための前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として小学校の各学年において、単元ごとの学習に使用される問題練習のためのドリル教材とその解答を記入するための演習ノートでなる問題練習教材に係り、特に演習ノートの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、問題が掲載されたワークブックと、このワークブックの問題を解答するためのノートとを用いて問題練習することは学校や塾などの教育現場で広く行われている。
特許文献1に示すものは、このようなワークブックとノートとを一体構成しようとするものであり、特許文献2に示すものは、学習書本誌とは別に設けた学習ノートの内容を学力レベル別に構成しようとするものである。
【0003】
特許文献1のものは、ワークブックとノートとが別体である状態における管理のしにくさや、多人数の学習者を指導する教師による学習内容の指示のし易さなどを考慮してワークブックとノートとを一体に構成したことを特徴とするものである。
特許文献2のものは、学習書の内容を理解させるために、学習書に対応する学習ノートが使用されるような教材において、全学習内容に対応した学習ノートを、さまざまな学力レベルの学習者が使用する不利・不便を考慮したもので、学習レベルに応じた学習ノートを用意しようとするものである。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3089352号
【特許文献2】実開平5−31978号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、これらの技術では、以下のような学習場面において、有効な学習教材(問題練習教材)および演習ノートを提供できるものではない。
特に、小学校低学年の学習者は、ノートの書き方をこれから学習する段階にある。このため、問題が掲載された問題ドリルを見ながら、その解答をノートに記入するという作業もノートの書き方を学習する上で重要な練習の一つである。
小学校低学年の学習者は、ノートに問題の全部または一部を書き写して、解答を記入するといった記入の仕方や、解答を記入する際の文字の大きさ、記載順序、記載位置などについて、全く知らない状態からノートの書き方の練習をスタートすることになる。
【0006】
したがって、このような演習ノートでは、問題に対して正しい解答を記入するという点だけでなく、ノートの書き方の初歩から学ぶことができる工夫が望まれていた。
特許文献1や特許文献2のものは、このようなノートの書き方の初歩を学ぶといった点においてなんら有用な手段を提供するものではない。
図15は、小学校高学年の学習者が、これまで使用されていたノートに、「くりかえし計算ドリル」に従って、筆算問題を解いた実際の例を示している。
図中、矢印で示すように、個々の筆算の式を記入する領域が縦横の関係において、かなりずれている。しかも、この例は、小学校高学年の学習者のノート使用例を示している。なお、この例は比較的きれいな方である。
上記特許文献は、このような問題に対応して、ノートの記入の仕方を学習させる方法については、全く示されていない。
ところが、特に小学校の低学年の学習者のように、ノート記入の経験が全くないか、不慣れな学習者に対して、ノートに式や解答を記入する記入の仕方を身に付けることは、図15の例からも理解されるように、相当困難なことである。
【0007】
そこで、本発明は、問題ドリルを用いてその問題を解き、式や解答をノートに記入する上で、ノートの適切な書き方、使用法を学習させることができる演習ノートと、このような演習ノートと問題ドリルとを備える問題練習教材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、第1の発明にあっては、問題に対する解答を記入するための演習ノートであって、前記問題を収載した問題ドリルの特定の問題ページを、当該問題の解答を記入するための予め決められたノートページに示すための問題ページガイド部と、前記問題ドリルの問題ページに記載された複数の問題に対応して問題記号が表示された問題記号ガイド部と、該問題記号ガイド部の個々の問題記号に対応して、式や筆算の一部が薄墨で記載された薄墨ガイド部とを有しており、前記薄墨ガイド部が、前記ノートページに印刷された方眼に対応して、学習者がノートに記載すべき文字などの大きさと、記載すべき位置とに適合させて示されており、かつ、学習者が記載すべき解答内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように構成されている演習ノートにより、達成される。
【0009】
第1の発明の構成によれば、問題ドリルを開いて、特定の問題ページの問題に対して、演習ノートに解答しようとする場合には、前記問題ページガイド部を参照しながら、演習ノートのページを繰ることにより、対応したノートページを開くことができる。
この開かれたノートページには、問題記号ガイド部により、前記問題ドリルの問題ページに記載された複数の問題に対応する問題記号が記されているから、それに沿って記入することにより、ノートページに解答を書く上で、解答記入の順番や、記入位置についての決まりを学習することができる。
また、開かれたノートページには、式や筆算の一部を薄墨で示した薄墨ガイド部が設けられている。この薄墨ガイド部は、ノートページに印刷された方眼上に記入されているから、該ノートページにおいて、ノートに記載すべき文字などの大きさと、記載すべき位置や書式などに関する基準を学習者に容易に教示できる。
さらに、この薄墨ガイド部は、学習者が記載すべき内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように構成されているから、次第に自分の力で完全な解答を導ける力を身に付けることができる。
このように、本発明の演習ノートを使用すると、ノートをほとんど使用したことがない、あるいはノートの使用に習熟していない学習者に対しても、問題ドリルを用いてその問題を解き、解答をノートに記入する上で、ノートの適切な書き方、使用法を学習させることができる。
薄墨ガイド部において、「学習者が記載すべき内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少する」とは、当該薄墨記載部分の割合が、演習ノートの1ページの範囲内で段階的に減少する形態と、学習の進行にしたがって、異なるノートページにわたって段階的に減少する形態とを含んでいる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記薄墨ガイド部は、学習段階に応じて問題が変更されると、その変更に対応して、記載すべき内容として文字、数字、記号の記載位置や形式が変化する場合には、前記ノートページの途中においても、前記薄墨記載部分を設定することで、学習すべき内容をガイドするとともに、その後薄墨記載部分の割合を減少もしくは消失させる構成としたことを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、「前記薄墨ガイド部は、学習段階に応じて問題が変更されると、その変更に対応して、記載すべき解答として文字、数字、記号の記載位置や形式が変化する場合には、前記ノートページの途中においても、前記薄墨記載部分を設定」する場合とは、例えば、算数の問題で、二桁数字から二桁数字を引き算する筆算の練習から、二桁数字から一桁数字を引き算する筆算に問題が変更された場合には、引く数字の位取りに注意して正しい位置に一桁数字を記入する例などが薄墨ガイド部により示される。このような例を完全な状態で薄墨により示した後で、その一部を省略する、つまり、減少もしくは消失させることで、段階的に自力で完全な解答が導けるようにするものである。
【0011】
第3の発明は第1または2のいずれかの発明の構成において、前記問題ドリルにページ単位で問題が掲載されており、該問題ドリル1ページに対し、解答を記載すべき前記ノートページの1ページが対応する構成を含んでいることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、問題ドリルと、その問題に対する解答を記入すべき演習ノートがページ単位で対応する構成とされている部分を含むことができ、このような構成部分では、ノート使用に未習熟な学習者にとっても、演習ノートのページ単位で適切な使用をガイドすることができ、理解が容易で使用しやすい。
【0012】
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明の構成において、前記ノートページの問題記号ガイド部は、前記問題ドリルの出題の並びと一致するように解答欄をガイドする構成としたことを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、ノートページに解答する順序が問題ドリルの問題の並び順と一致することになり、ノート使用に未習熟な学習者にとって順序を間違えたりすることなく、容易に解答でき、問題を飛ばしたりする誤りを防止することもできる。
【0013】
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明の構成において、前記ノートページの前記問題記号ガイド部により示された算数文章問題の解答スペースが、答を記入する箇所と、当該答を導く式を記載すべきスペースとを視覚的に把握できる構成としたことを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、問題ドリルが「算数のドリル」である場合において、解答を書く上で、答だけを書いて終わることなく、式を記入することを促すことができる。
【0014】
第6の発明は、第5の発明の構成において、前記解答スペースが、答を記入する箇所と、当該答を導く式を記載すべきスペースとに加えて、さらに前記式から前記答にいたる計算を行う計算スペースを視覚的に把握できる構成としたことを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、問題ドリルが「算数のドリル」である場合において、解答を書く上で、答と式を記入するだけでなく、立式から答えに至る過程の計算を記入させることでより、文章題に対するより完全な解答を記入することを促すことができる。
【0015】
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明の構成において、前記ノートページには、問題ドリルで出題されている問題に対応して、解答を記入するために各問題に適合した表やグラフ、図形でなる解答テンプレートを設けたことを特徴とする。
第7の発明の構成によれば、式や数字、その単位を記入する解答を求める問題に限らず、例えば、時計の針の位置などを問う問題が、問題ドリルにて出題されている場合には、演習ノートに解答テンプレートとして、当該時計の図などが予め記入されていれば、学習者は短時間で解答でき、本来の学習の狙いとは無関係な作業を強いられることがなくなる。
【0016】
第8の発明は、第7の発明の構成において、前記解答テンプレートが、前記問題ドリルの問題ページに印刷された前記解答を記入するために各問題に適合した表やグラフ、図形よりも大きな縮尺で示されていることを特徴とする。
第8の発明の構成によれば、問題ドリルに記載された表やグラフ、図形などのイラストが、スペースの制約などにより小さくて見にくくても、同じものが解答テンプレートとして、より大きな縮尺で示されていれば、学習者は見間違えたりすることなく、正しく解答することができる。
【0017】
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明の構成において、前記問題ドリルは学習単元ごとに問題が収載されており、これに対応して前記ノートページには、解答欄の単元終了箇所に、それより前のノート記入内容をチェックするチェック欄を設けたことを特徴とする。
第9の発明の構成によれば、チェック欄を使って自己チェックすることで、これまでの学習を振り返り、ノートをきれいに書くようになる。
【0018】
上記目的は、第10の発明にあっては、多数の練習問題を収載した問題ドリルと、該問題ドリルと別体で、かつ、該問題ドリルに合わせて使用され、問題練習するとともに、ノートの書き方を演習できる演習ノートとを含む問題練習教材であって、前記演習ノートが、解答すべき前記問題ドリルの特定の問題ページを、当該問題の解答を記入するための予め決められたノートページに示すための問題ページガイド部と、前記問題ドリルの問題ページに記載された複数の問題に対応して問題記号が表示された問題記号ガイド部と、該問題記号ガイド部の個々の問題記号に対応して、式や筆算の一部が薄墨で記載された薄墨ガイド部とを有しており、前記薄墨ガイド部が、前記ノートページに印刷された方眼に対応して、学習者がノートに記載すべき文字などの大きさと、記載すべき位置や書式とに適合させて示されていて、かつ、学習者が記載すべき解答内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように構成されている問題練習教材により達成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上述のような構成を有することから、問題ドリルを用いてその問題を解き、解答をノートに記入する上で、ノートの適切な書き方、使用法を学習させること及び、ていねいに書く習慣づくりができる演習ノートと、このような演習ノートと問題ドリルとを備える問題練習教材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の一部を示す説明図である。
符号10は、問題ドリルを示しており、符号30は、この問題ドリル10とともに使用され、問題の解答を記入するための演習ノートを示している。問題ドリル10と演習ノート30により本発明の問題練習教材の実施形態が構成される。
問題ドリル10は、ひとつの問題ページ11が例えば図示のように構成されている。
【0022】
先ず、問題ドリル10について説明する。
ここで、小学校の例えば算数の学習においては、現在、6社程度の教科書会社からそれぞれ学年ごとの算数の教科書が発行されており、各学校では、その中から一つの教科書を選定して授業に使用している。
そして、教科書による学習とあわせて、授業中の指導に、あるいは宿題として、算数の場合、「くりかえし計算ドリル」と呼ばれる「問題ドリル」を利用して問題演習することが行われている。
このような問題ドリルは、各学年について、1年間を3つに区切った三学期制用として年間3冊にまとめられたものと、1年間を上巻・下巻の2つに区切った二期制用として年間2冊にまとめられたものがある。
いずれの形式のものでも、このような問題ドリルは、教科書の単元配列に合わせた構成で、各単元において教科書の類題を掲載している。
【0023】
したがって、問題ドリル、特に「くりかえし計算ドリル」は、教科書の単元毎に、当該単元の学習内容について、関連する問題(類題)を収載して解かせる「練習するページ」が複数設けられ、単元の最後に単元の(学習内容の)理解度を確かめるためのページが設けられるという基本構成になっている。
また、「練習するページ」では単元学習の進度に合わせて問題演習ができるように、単元の中を細かく学習段階に応じて区分した構成となっている。
【0024】
このような問題ドリルのうち、例えば「くりかえし計算ドリル」と呼ばれるものは、当該問題ドリルの冊子中に直接解答を書きこむスペースが殆どないため、問題ドリルとは別に、解答を記入するためのノート(演習ノート)と併用する必要がある。通常、このノートはノート用罫線または方眼を印刷したものが用いられている。
このため、問題ドリルはその冊子中に解答を直接書き込まないために、繰り返し同じ問題を練習することができ、このため、上記したように「(くりかえし)計算ドリル」といった名称で呼ばれている。
【0025】
本実施形態の問題ドリル10として、この算数の「(くりかえし)計算ドリル」を例にして説明する。
図1の問題ドリル10は小学校2年生のくりかえし計算ドリルであり、ページ単位で特定の学習単元もしくはその中の学習段階のひとつがまとめられている。
そして、問題ドリル10の問題ひとつに対して、演習ノート30のひとつの問題解答スペースが対応するようにしている。
これにより、問題ドリル10と、その問題に対する解答を記入すべき演習ノート30が問題単位で1対1に対応することで、ノート使用に未習熟な学習者にとっても、演習ノートの問題単位で適切な使用をガイドすることができ、理解が容易となり使用しやすい。
さらに、少なくとも問題ドリル10と演習ノート30の一部において、問題ドリル10の問題ページのひとつのページに対して、演習ノート30のひとつのノートページ31が対応するようにされている。
こうすることによって、問題ドリル10と、その問題に対する解答を記入すべき演習ノート30がページ単位で1対1に対応させることができ、ノート使用に未習熟な学習者にとっても、演習ノートのページ単位で適切な使用をガイドすることができ、より一層理解が容易となる。
【0026】
演習ノート30は、基本構成として各ページに方眼が印刷されている。方眼は、ノートページに文字や式などを記入する上で、邪魔にならないように、例えば薄い青色で印刷されているとともに、方眼のマス目の大きさも学習レベルに応じて適宜選択されている。
例えば、演習ノートをはじめて使用する小学校2年生用であれば、比較的大きく、12mm方眼または10mm方眼、3年生では10mm方眼、4年生用では10mm方眼または8mm方眼を基本とする。
【0027】
図1の問題ドリル10は小学校2年生のくりかえし計算ドリルであり、左上に問題ページ表示12−1として、「6」という数字が大きく示されている。この問題ページ表示「6」は、この例では、「2.たし算とひき算」1年生のおさらい たし算」という単元及び学習段階であることを意味している。
問題ドリル10の問題ページ11では、問題ページ表示12−1に含まれる個々の問題に対して問題記号(問題番号)12−2として、連続番号を付している。連続番号を付した問題は、一桁の足し算が並列に縦に2列構成とされ、上から下へ矢印13に示すように並べられている。左の列が終わると右の列に移る。
ここで、問題記号は、本実施形態のように、連続番号を使用することができるが、それ以外でも、「ア、イ、ウ…」のような文字による場合、「○△×」のような幾何図形などを使用して、学習単元や学習段階、個別の問題を区別するために使用される。
この明細書では、記載を理解しやすくするために、このような場合を含む「問題記号」について以下では、「問題番号」と呼ぶ。
【0028】
演習ノート30の符合32−1は、問題ページガイド部の例であり、符号32−2は、問題記号ガイド部である。問題記号ガイド部は、この実施形態では、問題「番号」ガイド部を構成している。
問題ページガイド部32−1は、問題ドリル10の学習単元もしくは学習段階の表示である問題ページ表示12−1に対応して、ノートページ31の左上に大きく印刷されるものである。
問題番号ガイド部32−2は、個々の問題について、その問題番号を、問題ドリル10の問題記号12−2と全く同じ並びになるようにして、ノートページ31に表示したものである。これにより、学習者は、問題番号ガイド部32−2に沿って学習を進めることにより、ノートに式や解答を書く上で、解答記入の順番や、記入位置についての決まりを学習することができる。
なお、ノートページ31の上辺には、符号33で示す日付表示部があり、予めスペースをおいて「月」と「日」が印刷されており、自分で実際に問題練習した日を記入することができるようになっており、日付をつけるというノート整理の基本を学習することができる。
【0029】
符号35は演習ノート30の薄墨ガイド部である。
薄墨ガイド部35は、問題番号ガイド部32−2の各番号に対応して記載されるものであり、ノートページ31に印刷された方眼に対応して、学習者がノートに記載すべき式と解答に適合する文字などの大きさと、それらを記載すべき位置などが示されている。
さらに、薄墨ガイド部35は、基本的には、学習者が記載すべき式やその一部と同じものを薄墨、すなわち、薄黒のインクで印刷した個所であり、その上を学習者がなぞることにより、正しい式の書き方や答の記入について教示を受けることができるものである。
そして、薄墨ガイド部35において、式やその一部を薄墨で記載したその問題の記載に関して、該薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように示されている。
つまり、問題番号ガイド部32−2において、「1」(まる1)で示す最初の問題では、演算結果としての答以外に「17+1=」までを全て表示し、次の問題である「2」(まる2)では、数字を薄墨では示さないで「 + = 」という部分を薄墨で示している。このように薄墨部分を段階的に減らして、学習者がなぞる部分を少なくし、自力で書かなければならない部分の割合を徐々に増やすように構成している。
【0030】
図2では、問題ドリル10の別の問題ページ14を開いた状態であり、その右側に示すのは、演習ノート30の問題ページ14に対応するページである。
問題ページ14の1(まる1)の問題以降は、二桁の数字の足し算(筆算)である。この問題に対しては、演習ノート30のノートページ36における、問題番号ガイド部の「まる1」の箇所において、薄墨ガイド部が、符号35−1で示すように、二桁数字の位を揃えて筆算形式を薄墨で記載しガイドしており、また、「まる2」の箇所では横線分と「+」記号を薄墨で示し、ガイドしている。
ところで、この問題ドリル10の問題ページ14では、「まる15」の問題以降は一桁数字に二桁数字を足す足し算(筆算)である。そこで、対応する演習ノート30のノートページ37においては、符号35−2で示す薄墨ガイド部で、あらためて当該問題の筆算形式を全体として薄墨で示している。この点は符合35−3においても同じである。「まる18」の問題以降は二桁数字に一桁数字を足す足し算(筆算)である。
【0031】
このように、薄墨ガイド部は、学習段階に応じて問題が変更されると、その変更に対応して、記載すべき解答として文字、数字、記号の記載位置や形式が変化する場合には、ノートページ37の途中においても、前記薄墨記載部分の割合が多くなることで、学習すべき内容をガイドするとともに、その後薄墨記載部分の割合を減少もしくは消失させる構成となっている。
これにより、ノートの記入方法についてより詳細なガイドをすることができる。
【0032】
図3においては、問題ドリル10の問題ページ15に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ38,39が示されている。ここでは、薄墨ガイド部35−4と符合41を対比すると容易に理解されるように、該薄墨ガイド部35−4は筆算形式を記入して計算する上で、符号41に示すように、十分計算過程において数字を書き込める余地を考慮して、方眼上に広い範囲を確保できるようにして、問題番号ガイド部32−2の問題番号の間隔を決めている。
また、問題ドリル10の問題ページ15に対応する演習ノート30のノートページが複数ページにわたる時には、ノートページ39の符合33−1で示すように、当該ノートページに対応する問題番号の範囲を記入する第2の問題番号ガイド部を設ける。
さらに符合42に示すように、好ましくは適切なキャラクターなどが学習のポイントをアドバイスするヒント教示部を設けてもよい。
なお、問題ドリル10の問題ページ15に対応する演習ノート30のノートページが複数ページにわたる場合には、できる限り見開き2ページに収まるようにまとめてある。
【0033】
図4においては、問題ドリル10の問題ページ16に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ43が示されている。ここでは、薄墨ガイド部のガイド手法の一例を示しており、二桁の足し算や引き算から、足したり引いたりする数字の一方が二桁になった場合には、薄墨ガイド部35−5に示すように、1マス(マス単位)に二桁数字「12」を記入するお手本を示し、符号35−6の箇所では同様に1マスに2つの数字を書くことを促すことができる。つまり、言葉で説明するのではなく、薄墨ガイド部で実際の表記を示すことで、容易にこのような決まりを伝えることができる。
【0034】
図5においては、問題ドリル10の問題ページ17に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ45が示されている。
問題ページ17のE1の領域には、数字や黒丸を記入して解答する表が記載されており、このような演習ノート30の問題に対応して、ノートページ45には領域E2で示すように、解答を記入するために各問題に適合した表やグラフ、図形でなる解答テンプレートを設けている。
【0035】
図6においては、問題ドリル10の問題ページ18に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ46が示されている。
ここでは、問題ページ18のC1の領域には、時計が示されており、その上に記載された時間と対応する長針の位置を記入させる問題である。このような演習ノート30の問題に対応して、ノートページ46には領域C2で示すように、解答を記入するための時計の図が解答テンプレートとして示されている。この場合、解答テンプレートが、問題ドリルの問題ページに印刷された時計よりも大きな縮尺で示されている。
これにより、問題ドリル10側に記載された表やグラフ、図形などが、スペースの制約などにより小さくて見にくくても、演習ノートにおいて同じものが解答テンプレートとして、より大きな縮尺で示されていれば、学習者は見間違えたりすることなく、正しく解答することができる。
これにより、これまで説明した式や数字などを記入する解答を求める問題に限らず、例えば、図示するように、時計の針の位置などを問う問題が、問題ドリルにて出題されている場合には、解答テンプレートとして当該時計の図などが予め記入されていれば、学習者は短時間で解答でき、本来の学習の狙いとは無関係な作業を強いられることがなくなる。
同様に、図7においては、問題ドリル10の問題ページ19に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページが示されている。問題ページ19のD1の領域には、解答を記入させるグラフが示されており、このような演習ノート30の問題に対応して、ノートページには領域D2で示すように大きな縮尺で示したグラフが印刷されている。
【0036】
図8においては、問題ドリル10の問題ページ21に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ47が示されている。
問題ページ21には算数問題を文章表現により問う形式である文章問題が記載されている。このような問題に解答するためには、問題を解くための式を記載して、この式の計算結果の数字を答えとして書く必要があり、さらに解答には助数詞や単位を書かなければならない。文章問題の解答に習熟していない学習者は、正しく式を立てて、これを正しく演算して答えを得た場合でも、その助数詞や単位の記載を忘れることがある。
したがって、薄墨ガイド部35−7では、解答に付すべき助数詞を「そう」として薄墨で予め記載し、解答の際に数字とともに、この助数詞を示す薄墨部分をなぞらせることとして、文章題では解答に助数詞を書くことを忘れないように教示することができる。
【0037】
符号49に示すように、ノートページ47の問題番号ガイド部(「まる3」として示す記載)により示された算数文章問題の解答スペースが、答を記入する箇所と、当該答を導く式を記載すべきスペースの両方を十分にとることができる大きなスペースとされている。
【0038】
図9においては、問題ドリル10の問題ページ22に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ51が示されている。
問題ページ22には算数問題を文章表現により問う形式である文章問題が記載されている。このような問題に解答するためには、問題を解くための式を記載して、この式の計算結果の数字を答えとして書く必要があるが、解答には助数詞や単位が必要である。文章問題の解答に習熟していない学習者は、正しく式を立てて、これを正しく演算して答えを得た場合でも、その単位の記載を忘れることがある。
したがって、ガイド部(薄墨ガイド部ではない)35−8では、小さな字で、例えば吹き出し中に助数詞や単位を記載することを忘れないようにするためのアドバイスを記入している。これにより、文章問題では解答に助数詞を書くことを忘れないように教示することができる。
【0039】
図10においては、問題ドリル10の問題ページ23に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ52が示されている。ただし、この場合、ノートページは1ページを超えている。
また、演習ノート30の符合55で示す箇所では、図8の符号35−7,図9の符合35−8のガイド部で教示した成果を発揮できるように、ガイドなしに助数詞の記載を含めた完全な解答を書かせる解答欄となっている。
すなわち、文章題の「答え」を書くための工夫は、「助数詞を薄墨で表示」、「助数詞を書くようにメッセージを表示」、「なにもガイドなく助数詞がかける」と段階的に教示ないしガイドを行うようにされている。
このように、「薄墨ガイド部」にあっては、演習ノートを用いた学習の進行にしたがって、異なるノートページにわたって、学習者が記載すべき内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少する形態となっている。
【0040】
図11においては、問題ドリル10の問題ページ24に対して、その右側に演習ノート30に対応するノートページ53−1,53−2が示されている。
演習ノート30において、問題番号ガイド部(「まる1」)の領域の解答スペースが、答を記入する箇所57と、当該答を導く式を記載すべきスペース56−1と、さらに式から答にいたる計算を行う筆算スペース56−2を設けていて、これらが図示されているように、視覚的に把握できる構成として示されている。
このため、解答を書く上で、答と式を記入するだけでなく、立式から答えに至る過程の計算を記入させることで、文章問題に対するより完全な解答を記入することを促すことができるし、これらの各事項を演習ノートのページ上に整理して記載する要領を学習することができる。
【0041】
図12においては、問題ドリル10の問題ページ25に対して、その右側に演習ノート30の対応箇所が示されている。
問題ページ25の領域F1には、縦横に整列したドットを結ぶことにより、所定の形を形成する問題が記載されている。
これに対応して、演習ノート30の領域F2に、問題ドリル30と同じドットを予め印刷しておき、所定の形を書きやすいようにしている。これに加えて、演習ノート30では、ノートページ58に、縦横に整列するドットを広い範囲で印刷し、さらに追加してドットを結んで形状を書く練習ができるようになっている。
【0042】
図13においては、問題ドリル10の問題ページ26に対応して、その右側に演習ノート30の対応するノートページ59−1が示されている。
ノートページ59−1までは、これまで説明してきた構成と相違する点はないが、その次のページであるノートページ59−2は、余力のある学習者のためのページとなっている。ここには、これまで学習してきた範囲で解答できる問題を掲載して、あまり負担にならないようにしつつ、これまでの問題とは視点を変えた問題を掲載している。
これにより、クラス単位で問題演習をさせている時などにおいては、多数の学習者の間で問題を解く時間に差がある場合などに、早く終わった学習者に、時間調節として、より学習内容の理解を深めるために使うことができる。
【0043】
図14は、演習ノート30のある単元学習のおわりの部分を示している。
具体的には、ノートページ61までで、問題ドリルに対応する通常の単元学習が一旦終わり、ノートページ62では、符号63の箇所に示すように、ノート練習がその単元について一通り終わったことを受けて、学習内容のチェックを行うようにしている。
例えば、ノートページ62に記載された内容のような誌面をつくり、学習者が自分でノート学習の内容をチェックできるようにしている。
【0044】
以上述べたように、本実施形態によれば、問題ドリルを用いてその問題を解き、解答をノートに記入する上で、ノートの適切な書き方、使用法を学習させることができる演習ノート30と、このような演習ノートと問題ドリル10とを備える問題練習教材を提供することができる。
【0045】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、問題ドリルは、「算数のくりかえし計算ドリル」に限るものではなく、同種の構成の他の科目の問題ドリルなどの教材にも適用することができる。
上記実施形態の構成その一部を省略してもよいし、さらには、上述の説明で言及することのない他の構成と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図3】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図4】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図5】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図6】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図7】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図8】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図9】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図10】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図11】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図12】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図13】本発明の実施の形態に係る問題ドリルの問題ページと演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図14】本発明の実施の形態に係る演習ノートの対応するノートページの説明図。
【図15】普通のノートに問題演習した例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
10・・・問題ドリル、30・・・演習ノート、32−1,32−2・・・問題記号(番号)ガイド部、35・・・薄墨ガイド部、53,54・・・記入範囲ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
問題に対する解答を記入するための演習ノートであって、
前記問題を収載した問題ドリルの特定の問題ページを、当該問題の解答を記入するための予め決められたノートページに示すための問題ページガイド部と、
前記問題ドリルの問題ページに記載された複数の問題に対応して問題記号が表示された問題記号ガイド部と、
該問題記号ガイド部の個々の問題記号に対応して、式や筆算の一部が薄墨で記載された薄墨ガイド部と
を有しており、
前記薄墨ガイド部が、前記ノートページに印刷された方眼に対応して、学習者がノートに記載すべき文字などの大きさと、記載すべき位置や書式とに適合させて示されており、
かつ、学習者が記載すべき内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように構成されている
ことを特徴とする演習ノート。
【請求項2】
前記薄墨ガイド部は、学習段階に応じて問題が変更されると、その変更に対応して、記載すべき内容として文字、数字、記号の記載位置や形式が変化する場合には、前記ノートページの途中においても、前記薄墨記載部分を設定することで、学習すべき内容をガイドするとともに、その後薄墨記載部分の割合を減少もしくは消失させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の演習ノート。
【請求項3】
前記問題ドリルにページ単位で問題が掲載されており、該問題ドリル1ページに対し、解答を記載すべき前記ノートページの1ページが対応する構成を含んでいることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の演習ノート。
【請求項4】
前記ノートページの問題記号ガイド部は、前記問題ドリルの出題の並びと一致するように解答欄をガイドする構成としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の演習ノート。
【請求項5】
前記ノートページの前記問題記号ガイド部により示された算数文章問題の解答スペースが、答を記入する箇所と、当該答を導く式を記載すべきスペースとを視覚的に把握できる構成としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の演習ノート。
【請求項6】
前記解答スペースが、答を記入する箇所と、当該答を導く式を記載すべきスペースとに加えて、さらに前記式から前記答にいたる計算を行う筆算スペースを視覚的に把握できる構成としたことを特徴とする請求項5に記載の演習ノート。
【請求項7】
前記ノートページには、問題ドリルで出題されている問題に対応して、解答を記入するために各問題に適合した表やグラフ、図形でなる解答テンプレートを設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の演習ノート。
【請求項8】
前記解答テンプレートが、前記問題ドリルの問題ページに印刷された前記解答を記入するために、各問題に適合した表やグラフ、図形よりも大きな縮尺で示されていることを特徴とする請求項7に記載の演習ノート。
【請求項9】
前記問題ドリルは学習単元ごとに問題が収載されており、これに対応して前記ノートページには、解答欄の単元終了箇所に、それより前のノート記入内容をチェックするチェック欄を設けたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の演習ノート。
【請求項10】
多数の練習問題を収載した問題ドリルと、
該問題ドリルと別体で、かつ、該問題ドリルに合わせて使用され、問題練習するとともに、ノートの書き方を演習できる演習ノートとを含む問題練習教材であって、
前記演習ノートが、
解答すべき前記問題ドリルの特定の問題ページを、当該問題の解答を記入するための予め決められたノートページに示すための問題ページガイド部と、
前記問題ドリルの問題ページに記載された複数の問題に対応して問題記号が表示された問題記号ガイド部と、
該問題記号ガイド部の個々の問題記号に対応して、式や筆算の一部が薄墨で記載された薄墨ガイド部と
を有しており、
前記薄墨ガイド部が、前記ノートページに印刷された方眼に対応して、学習者がノートに記載すべき文字などの大きさと、記載すべき位置や書式とに適合させて示されており、
かつ、学習者が記載すべき解答内容に対する前記薄墨記載部分の割合が段階的に減少するように構成されている
ことを特徴とする問題練習教材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−196109(P2009−196109A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37402(P2008−37402)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(591139138)株式会社新学社 (13)