説明

潤滑剤塗布装置及び画像形成装置

【課題】像担持体に対して潤滑剤を充分かつ安定して供給塗布することができる潤滑剤塗布装置を提供する。
【解決手段】ブラシローラ3aにより固形潤滑剤3bを摺擦して像担持体1に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、フリッカー部材11を固形潤滑剤3bよりもブラシローラ回転方向上流側に備え、ブラシローラ3a、フリッカー部材11および固形潤滑剤3bで形成される空間12が閉じているように構成した。これにより、ブラシローラ3aは常にフリッカー11によりトナーが除去された状態を維持したまま固形潤滑剤3bと摺擦することができ、像担持体1に潤滑剤を十分供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、および潤滑剤塗布装置を備えるプロセスカートリッジならびに画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、高画質化への要求が高まっており、特に高精細なカラー画像形成を実現させるため、トナーの小粒径化、球形化が進められている。トナーの小粒径化によりドットの再現性が良好になり、球形化により現像性、転写性の向上を図ることができる。従来のトナーにおいての混練粉砕法では、このような小粒径化、球形化したトナーを製造するのは非常に困難であることから、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法による製造された重合トナーが採用されつつある。
【0003】
しかしながら、小粒径化、球形化されたトナーを用いた場合、画像形成後に行われる感光体上のクリーニングにいくつかの問題が生じている。そのひとつは、小粒径化、球形化されたトナーのクリーニングが一般的に用いられているブレードクリーニング方式では難しいことである。クリーニングブレードは感光体表面を摺擦しながらトナー等を除去するが、感光体との摩擦抵抗によりクリーニングブレードのエッジの部分が変形するため、感光体とクリーニングブレードとの空間で転がり始め、クリーニングブレードをすり抜けるというものである。クリーニングブレードをすり抜けるトナーが大量であれば、クリーニング不良となって、地かぶり等の異常画像を発生させる。
【0004】
また、問題の二つ目として、クリーニングブレードをすり抜けたトナーは、その後感光体表面に残留し続けるうちに、トナー中に含まれる離型剤や流動化剤等がその原因物質となって感光体表面に膜状に固着してできると考えられている、いわゆるフィルミングの発生が挙げられる。そのフィルミングが発生すると、画像のベタ部に白点ができるなどの異常画像を発生させる。
【0005】
そのような問題に対して、例えば、特許文献1及び特許文献2には、感光体表面のブレードクリーニング性を向上させるために、感光体表面に脂肪酸金属塩等からなる潤滑剤を塗布し薄い皮膜を形成させて、感光体表面の摩擦係数を低下させる方法が提案されている。感光体表面の摩擦係数が低下すると感光体とトナーとの間に働く付着力が小さくなるので、ブレードクリーニングが良好になり、またフィルミングの抑制にもなることがわかっている。
【0006】
ところで、画像面積率が高い画像が連続して印刷されるような場合は、潤滑剤塗布ブラシに多量にトナーが付着していると潤滑剤成型体を摺擦しても、ブラシに付着しているトナーに潤滑剤が付着し感光体表面に潤滑剤を供給することができない。従って、潤滑剤成形体を摺擦する際にはブラシ表面に付着しているトナーが少ない方が潤滑剤を塗布する際に有利である。ブラシに付着したトナーを除去するためにフリッカー部材を設けた例もあるが、フリッキングしてブラシから除去されたトナーが気流等により、ブラシに再付着してしまうような構成は好ましくない。
【0007】
特許文献3には、クリーニングブレードの下流に潤滑剤塗布手段を設けることが提案されており、クリーニングブレードが転写残トナーをクリーニングするために画像履歴に影響を受けずに潤滑剤を感光体表面に塗布することができる。しかし、潤滑剤を塗布するための均し部材が必要となり、省スペース化や小型化や低コストには不向きである。
【0008】
一方、固形潤滑剤をクリーニングブレード上流に配置した塗布ブラシによって感光体に塗布する構成においては、ブラシ中に溜まったトナーがあることで、せっかく削った固形潤滑剤を効率的に感光体に塗布することができないという問題がある。
【0009】
さらに、従来の画像形成装置においては、ステアリン酸亜鉛などが一般的に用いられる潤滑剤を、ブラシローラやスポンジローラなどの潤滑剤塗布手段で、像担持体である感光体や中間転写ベルトなどに塗布して、これらの感光体ドラムおよび中間転写ベルトのクリーニング性向上や、寿命向上、画像転写時の虫食い対策などの転写性向上を図るようにしている。
【0010】
すなわち、像担持体の像担持側表面に、その外周面が均一に接するように塗布ローラを回転可能に配置し、この塗布ローラを像担持体の回転に伴い、従動回転させる、あるいは回転駆動するとともに、この回転する塗布ローラに、固形状潤滑剤を所定の圧力を確保して接するように構成した潤滑剤塗布装置が採用されている。この潤滑剤は、潤滑剤の自重、重りの自重あるいはスプリングの弾性力などを用いて押圧付勢され、所定圧を確保するようにしている。
【0011】
潤滑剤は固形状潤滑剤を塗布用ローラに押圧して粉体状の潤滑剤とし、塗布用ローラによって像担持体に当接して塗布される。固形状潤滑剤は自重やスプリングの弾性力を用いて押圧付勢され所定圧を確保しているため、潤滑剤は常に粉体状の潤滑剤とされ、像担持体に供給されている。そのため、像担持体の状態にかかわらず、常に一定量供給されることとなり、像担持体の状態によって固形状潤滑剤から削り取られた粉体状の潤滑剤は、塗布用ローラにより塗布されずに、粉体状でユニット内に堆積することが考えられる。これらの粉体状の潤滑剤は、クリーニングブレード上や塗布用ローラ内などクリーニングユニット内に自由に堆積し、交換時などにおいて飛散やこぼれ落ちることが考えられる。また、クリーニングブレード上に堆積した場合、堆積した潤滑剤はクリーニングブレードを押圧し、堆積量に応じてクリーニングブレードの像担持体への当接圧が変化することが考えられる。これにより、クリーニング条件が狙いの値を満足できない状況となることが考えられ、クリーニング性能が低下する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来の潤滑剤塗布装置及び画像形成装置における上述の問題を解決し、像担持体に対して潤滑剤を充分かつ安定して供給塗布することができる潤滑剤塗布装置、および、像担持体に対して潤滑剤を充分かつ安定して供給塗布することができることによって像担持体のクリーニング不良を防ぎ、高品質な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0013】
また、クリーニングブレードの像担持体への当接圧の変化を防ぐとともに、交換時における粉体状の潤滑剤が飛散することを防止すること、および、塗布ブラシ中に溜まったトナーを除去して効率的な潤滑剤の塗布を可能とすることも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題は、本発明により、潤滑剤塗布ローラにより固形潤滑剤成型体を摺擦して像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布ローラの表面に付着した粉体状物質を除去するためのフリッカー部材を前記固形潤滑剤成型体よりも前記潤滑剤塗布ローラ回転方向上流側に備え、前記潤滑剤塗布ローラ、前記フリッカー部材および前記固形潤滑剤成型体で形成される空間が閉じているように構成したことにより解決される。
【0015】
また、前記の課題は、本発明により、潤滑剤塗布ローラにより固形潤滑剤成型体を摺擦して像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布ローラの表面に付着した粉体状物質を除去するためのフリッカー部材を前記固形潤滑剤成型体よりも前記潤滑剤塗布ローラ回転方向上流側に備え、前記フリッカー部材と前記固形潤滑剤成型体の間に、前記フリッカー部材によって前記潤滑剤塗布ローラから除去された除去物を遮蔽して該除去物の前記潤滑剤塗布ローラへの再付着を防止する再付着防止部材を設けたことにより解決される。
【0016】
また、前記の課題は、本発明により、潤滑剤塗布ローラにより固形潤滑剤成型体を摺擦して像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、前記潤滑剤塗布ローラの下方に、前記潤滑剤塗布ローラからの粉体状潤滑剤を受ける受け部材を設け、前記粉体状潤滑剤の堆積場所を規制することにより解決される。
【0017】
また、前記潤滑剤塗布ローラがブラシローラであると好ましい。
また、前記固形潤滑剤成型体がフッ素系樹脂又は脂肪酸金属塩であると好ましい。
また、像担持体に接触して潤滑剤を塗布するための塗布ブレードを有すると好ましい。
【0018】
また、前記フリッカー部材が当該潤滑剤塗布装置の枠体と一体的に設けられると好ましい。
また、前記フリッカー部材が当該潤滑剤塗布装置の枠体とは別体に設けられると好ましい。
また、前記再付着防止部材は前記固形潤滑剤成型体よりも前記潤滑剤塗布ローラ回転方向上流側に配置され、前記潤滑剤塗布ローラ、前記再付着防止部材および前記固形潤滑剤成型体で形成される空間が閉じていると好ましい。
【0019】
また、前記再付着防止部材の先端部が前記潤滑剤塗布ローラに食い込むように設けられていると好ましい。
また、前記受け部材の先端部が像担持体に接触するように設けられていると好ましい。
【0020】
また、前記受け部材が弾性を有すると好ましい。
また、前記受け部材が剛性を有する支持部材によって支持されると好ましい。
また、前記支持部材が屈曲部を有する形状に構成されていると好ましい。
【0021】
また、前記受け部材が、像担持体をクリーニングするクリーニング装置の上方に配置されていると好ましい。
また、前記の課題は、本発明により、画像形成装置本体に着脱可能に構成されたプロセスカートリッジであって、少なくとも像担持体と請求項1〜15のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置とを搭載するプロセスカートリッジにより解決される。
【0022】
また、前記像担持体をクリーニングするクリーニング装置を搭載し、前記受け部材が前記クリーニング装置のクリーニングブレード又はその支持部材に取り付けられて支持されると好ましい。
【0023】
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜15のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置または請求項15,16のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを備える画像形成装置により解決される。
【0024】
また、前記プロセスカートリッジを含む作像ユニットを複数個備え、該複数の作像ユニットにより多色画像の形成が可能であると好ましい。
また、使用するトナーの円形度が0.95以上であると好ましい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の潤滑剤塗布装置によれば、潤滑剤塗布ローラ、前記フリッカー部材および前記固形潤滑剤成型体で形成される空間が閉じているように構成したことにより、潤滑剤塗布ローラ表面からフリッカー部材によりトナーを除去した状態を維持したまま固形潤滑剤を塗布ローラで摺擦することができるため、常に安定して像担持体に対して潤滑剤を供給塗布することができる。
【0026】
請求項2の潤滑剤塗布装置によれば、フリッカー部材と固形潤滑剤成型体の間に、フリッカー部材によって潤滑剤塗布ローラから除去された除去物を遮蔽して該除去物の塗布ローラへの再付着を防止する再付着防止部材を設けたことにより、潤滑剤塗布ローラから除去されたトナー等の除去物の塗布ローラへの再付着を防ぐことができる。その結果、潤滑剤塗布ローラは常にフリッカー部材によりトナーが除去された状態を維持したまま固形潤滑剤と摺擦することができ、像担持体に対して潤滑剤を充分に供給することができる。
【0027】
請求項3の潤滑剤塗布装置によれば、潤滑剤塗布ローラの下方に、前記潤滑剤塗布ローラからの粉体状潤滑剤を受ける受け部材を設け、前記粉体状潤滑剤の堆積場所を規制するので、他の機器、例えばクリーニングブレード上などへの粉体状潤滑剤の堆積を防止することができる。その結果、クリーニングブレードの押圧等によるクリーニング不良等の不具合を防ぎ、像担持体の性能維持及び高寿命化を実現できる。
【0028】
請求項4の構成により、潤滑剤塗布ローラをブラシローラとすることで、低コストに良好な塗布性を得ることができる。
請求項5の構成により、固形潤滑剤成型体がフッ素系樹脂又は脂肪酸金属塩であるので、塗布対象である像担持体を保護するとともに、フィルミングしにくく、安定した画像形成を可能とする。
【0029】
請求項6の構成により、塗布ブレードを有することにより、像担持体に塗布した潤滑剤を均一に薄膜化させることができる。
請求項7の構成により、フリッカー部材が潤滑剤塗布装置の枠体と一体的に設けられるので、部品点数を減らしコストダウンを図ることができる。
【0030】
請求項8の構成により、フリッカー部材が潤滑剤塗布装置の枠体とは別体に設けられるので、自由度の高い形状や配置が可能となる。
請求項9の構成により、潤滑剤塗布ローラ表面からトナーを除去した状態を維持したまま固形潤滑剤を塗布ローラで摺擦することができるため、常に安定して像担持体に対して潤滑剤を供給塗布することができる。
【0031】
請求項10の構成により、再付着防止部材の先端部が潤滑剤塗布ローラに食い込むように設けられているので、潤滑剤塗布ローラに付着したトナー等の除去性を高めることができる。
請求項11の構成により、受け部材の先端部が像担持体に接触するように設けられているので、受け部材上に堆積した粉体状潤滑剤のこぼれ落ちを防止することができる。
【0032】
請求項12の構成により、受け部材が弾性を有するので、像担持体の損傷を防止することができる。
請求項13の構成により、受け部材が剛性を有する支持部材によって支持されるので、受け部材上に堆積した粉体状潤滑剤の量が増加した場合でも受け部材の撓みを防ぎ、粉体状潤滑剤のこぼれ落ちを抑制することができる。また、受け部材を確実に装着支持することができる。
【0033】
請求項14の構成により、支持部材が屈曲部を有する形状に構成されているので、粉体状潤滑剤の堆積場所が受け部材先端から離れた場所に形成され、こぼれ落ちが抑制される。
請求項15の構成により、クリーニング装置の上に粉体状潤滑剤が堆積することを防ぎ、クリーニングブレード押圧によるクリーニング不良を防止することができる。
【0034】
請求項16のプロセスカートリッジによれば、像担持体に対して充分な潤滑剤が安定して供給されるため、像担持体表面の摩擦係数を低下させ、クリーニング性が向上する。その結果、クリーニング不良による異常画像の発生が防止される。
【0035】
請求項17の構成により、プロセスカートリッジ内でクリーニング装置の上に粉体状潤滑剤が堆積することを防止できる。
請求項18の画像形成装置によれば、像担持体に対して充分な潤滑剤が安定して供給されるため、像担持体表面の摩擦係数を低下させ、クリーニング性が向上する。その結果、クリーニング不良による異常画像の発生が防止される。高品質な画像を安定して得ることが可能となる。
【0036】
請求項19の構成により、高品質なカラー画像・多色画像を安定して得ることができる。
請求項20の構成により、使用するトナーが、クリーニングしづらい円形度が0.95以上であっても、良好なクリーニングが可能であり、高品質な画像を継続して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
【図2】そのカラープリンタの作像ユニットを詳しく示す断面構成図である。
【図3】従来の潤滑剤塗布装置におけるフリッカーの機能について説明する部分拡大図である。
【図4】同じく、従来の潤滑剤塗布装置におけるフリッカーの機能について説明する図である。
【図5】本発明による潤滑剤塗布装置の第1実施例を示す詳細図である。
【図6】本発明による潤滑剤塗布装置の第2実施例を示す詳細図である。
【図7】第2実施例の別例を示す詳細図である。
【図8】第2実施例の変形例を示す詳細図である。
【図9】第2実施例のさらに他の変形例を示す詳細図である。
【図10】直接転写方式による画像形成装置の一例における感光体付近を示す模式図である。
【図11】本発明の第2実施形態の具体的な構成を示す図である。
【図12】第2実施形態の構成例を示す模式図である。
【図13】ブラシローラの構成と作用を説明するための図である。
【図14】ブラシローラに加えて塗布ブレードを備える構成を示す図である。
【図15】第2実施形態の潤滑剤塗布装置を備えるプロセスカートリッジの一例を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略を示す断面構成図である。この図に示す画像形成装置は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタであり、装置本体のほぼ中央部に4個の作像ユニット10(Y,C,M,K)を配設している。各作像ユニット10(Y,C,M,K)は、中間転写ベルト56の下部走行辺に沿って並設されている。支持ローラ52〜55に巻き掛けられた中間転写ベルト56は図中反時計回りに走行駆動される。中間転写ベルト56の内側には、各作像ユニット10が備える感光体ドラム1(Y,C,M,K)に対向するように、一次転写手段としての転写ローラ5が設けられている。そして、左側の支持ローラ55の外側に、中間転写ベルト56をクリーニングするベルトクリーニングユニット57が配置されている。
【0039】
各作像ユニット10は扱うトナーの色が異なるのみで構成は同一であり、図2に詳しく示すように、像担持体としての感光体ドラム1を具備している。この感光体ドラム1の周りには、帯電手段2、現像装置4、潤滑剤塗布装置3、クリーニング装置8等が配置される。各作像ユニット10は、プロセスカートリッジとしてプリンタ本体に着脱可能に設けられている。帯電装置2は、帯電部材として帯電ローラ2aを備える。帯電ローラ2aは、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。また、帯電ローラ2aには、帯電ローラ2a表面に接触してクリーニングする帯電クリーニング部材2bが設けられている。
【0040】
現像装置4は、感光体1と対向する位置に現像スリーブ4aが配置されている。現像スリーブ4aの斜め下方には2つのスクリュー4bが備えられている。トナーと磁性キャリアからなる現像剤は、ドクターブレード4cによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ4aに担持される。なお、ここでは、二成分現像方式の構成を示したが、これに限るものではなく、一成分現像方式の現像装置であっても適用可能である。
【0041】
潤滑剤塗布装置3については後に詳述するが、本発明に係る潤滑剤塗布装置は像担持体に対して潤滑剤を充分かつ安定して供給塗布することができるので、像担持体である感光体1のクリーニング不良が防止され、高品質な画像を得ることが可能となる。特に、円形度が0.95以上であるトナーを用いることによって高精細な画像の形成が可能となるが、その場合(クリーニングし難い円形度の高いトナーを用いる場合)でも感光体を良好にクリーニングできるため、高精細な画像を経時的に出力することができる。
【0042】
クリーニング装置8は、クリーニングブレード8a、支持部材8b、廃トナー搬送スクリュー8cを備える。クリーニングブレード8aは、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴムを板状に形成してなり、そのエッジが感光体1表面に当接するようにして設けられ、転写後に残留する感光体1上のトナーを除去する。
【0043】
図1に戻り、4つの作像ユニット10が並ぶタンデム作像部の下方には光書き込み装置9が設けられている。光書き込み装置9はポリゴンミラーやミラー群等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニットの感光体ドラム1の表面に照射する。
【0044】
装置本体の最下部には、用紙を積載する給紙トレイ20が配設されている。給紙トレイ20の右側には給紙トレイに積載された用紙を送り出す給紙ローラ21があり、図示しない分離手段も設けられる。給紙ローラ21の上方(用紙搬送方向の下流側)にはレジストローラ22が設けられている。レジストローラ22の上方には、二次転写手段としての転写ローラ61が、転写対向ローラ52に対向して設けられ、二次転写部を形成している。
【0045】
二次転写部の上側には定着装置70が設けられている。本例の定着装置70は、加熱ローラ72と定着ローラ73に掛け渡された定着ベルト73を有するものであり、これに加圧ローラ74が圧接されている。定着装置70は、二次転写部にて未定着トナー像が転写された用紙を加熱・加圧することにより定着する。定着装置70の斜め上方には排紙ローラ91が設けられ、装置上面に形成された排紙トレイ上に定着後の用紙を排出する。
【0046】
上記のように構成されたカラープリンタにおける画像形成動作について簡単に説明する。
上記作像ユニット10の感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電手段2によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込み装置9からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置4から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0047】
また、中間転写ベルト56が図中反時計回りに走行駆動され、各作像ユニット10において一次転写ローラ5の作用により感光体ドラム1から中間転写ベルト56に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト56はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0048】
なお、作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図の一番右側のKユニットを用いて画像形成を行う。
【0049】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング手段8によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0050】
一方、給紙トレイ20から用紙が給送され、レジストローラ対22によって、中間転写ベルト56上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。本例では二次転写ローラ61には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置70を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、排紙ローラ91により装置本体の上面に構成された排紙トレイに排出される。
【0051】
なお、感光体上ドラム1上の残留トナーは、クリーニング手段8によってクリーニングされ、また中間転写ベルト56上の残留トナーはベルトクリーニングユニット57によってクリーニングされ、これらの廃トナーは各クリーニングユニット内の廃トナー搬送スクリュ8cにより、プロセスカートリッジから画像形成装置に設けられた図示しない廃トナーボトルに排出される。
【0052】
次に潤滑剤塗布装置3について説明する。潤滑剤塗布装置3は、図2に示すように、固定された枠体3e内に収容された固形潤滑剤(潤滑剤成型体)3bと、固形潤滑剤3bに接触して潤滑剤を削り取り感光体1に塗布する潤滑剤塗布ローラ3aとを備える。潤滑剤塗布ローラは、ブラシローラやスポンジローラなどがあるが、従来ブラシローラが良く用いられている。固形潤滑剤3bは脂肪酸金属塩、フッ素系樹脂等からなるものが使用できるが、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、スタエリン酸、アレイン酸等の直鎖状炭化水素の脂肪酸金属塩が挙げられ、金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム。亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チラン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄などが好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。上記のような脂肪酸金属塩を直方体状に成形した固形潤滑剤3bは、潤滑剤保持部材3cに両面テープあるいは接着剤などで固定されている。潤滑剤保持部材3cには固形潤滑剤3bを潤滑剤塗布ローラ3a側に付勢する加圧部材3dが長手方向に対して複数配置されている。加圧部材3dとしては圧縮スプリングが多く用いられているが、重りなどにより垂直方向に加圧されているものもある。
【0053】
ここで、従来の潤滑剤塗布装置におけるフリッカーの機能について図3,4を参照して説明する。
図3,4において、ブラシローラ3aの下に、ブラシローラ3aが接触するようにフリッカー9が配置されている。ステンレス棒などにより構成されるフリッカー9は固形潤滑剤3bよりもブラシローラ3aの回転方向上流に位置する。従って、フリッカー9から固形潤滑剤3bまでには開いた空間10が存在する。このため、フリッカー9によりブラシローラ3aから除去したトナーTが気流等により再びブラシ3aに付着してしまう可能性がある。ブラシにトナーTが再付着してしまうと、固形潤滑剤3bとブラシ3aが摺擦する際にブラシ表面のトナーが邪魔して潤滑剤がブラシ3aに付着しづらくなる。すなわち、ブラシにトナーを抱えているために、粉状潤滑剤を保持しづらくなる(図4に破線の楕円で示す)。従って、感光体表面1にブラシローラ3aから潤滑剤が十分に供給されない恐れがある。
【0054】
図5は、本発明による潤滑剤塗布装置の第1実施例を示す詳細図である。
本発明の潤滑剤塗布装置では、ブラシローラ3aの下に三角形のフリッカー11が配置されている。このフリッカー11は、基部を潤滑剤塗布装置3のハウジング3fに取り付けて設けられ、先端部及び上辺部がブラシローラ3aと接触するように配置されている。このようなフリッカー11を設けたことにより、ブラシ3a、フリッカー11、固形潤滑剤3bの間に構成される空間12が閉じている。従って、フリッカー11によりブラシ3aから除去されたトナー(図中に小さな丸印で示す)が、気流等によりブラシ3aに再び付着することはなくなる。これにより、ブラシ3aは常にフリッカー11によりトナーが除去された状態を維持したまま固形潤滑剤3bと摺擦することができ、感光体1に潤滑剤を十分供給することができる。本第1実施例のフリッカー11は、ブラシローラ3aからトナーを除去するフリッカー部材と、その除去されたトナーがブラシローラ3aに再び付着することを防ぐための再付着防止部材とを兼ねるものである。
【0055】
図6,7は、本発明による潤滑剤塗布装置の第2実施例を示す詳細図である。
図6,7に示す第2実施例の潤滑剤塗布装置は、棒状のフリッカー部材を設け、そのフリッカー部材と固形潤滑剤との間に、フリッカー部材により除去されたトナーのブラシへの再付着を防止するための再付着防止部材を配置したものである。図6に示すものは、ブラシローラ3aの下に位置する棒状のフリッカー部材13と、ほぼ同じ高さに位置するように配置された再付着防止部材14とを有している。また、図7に示すものは、ブラシローラ3aの下に位置する棒状のフリッカー部材13と、固形潤滑剤3bの直近に位置するように配置された再付着防止部材15とを有している。再付着防止部材14,15は、潤滑剤塗布装置のハウジング3fと別体に設け、ハウジング3fに取り付けたものでも良いが、ハウジング3fと一体に形成したほうが部品点数を少なくできるので有利である。
【0056】
本第2実施例の潤滑剤塗布装置においては、上記再付着防止部材14又は15によって、ブラシローラ3aとハウジング3f及び固形潤滑剤3bで構成される空間12が閉じているため、フリッカー部材13によって除去されたトナーTが固形潤滑剤3bへ行くことを防ぐことができる。そのため、ブラシローラ3aと固形潤滑剤3bの摺擦は、よりトナー付着の少ない状態で状態で摺擦することができ、固形潤滑剤を削りやすくなるうえに、削って粉状になった潤滑剤をブラシで保持しやすくなる(図6に破線の楕円で示す)。その結果、感光体への潤滑剤塗布もより効率的に行なうことができる。
【0057】
また、図8の変形例に示すように、再付着防止部材16の先端部をブラシローラ3aのブラシに食い込ませた状態とすることで、ブラシローラ3aの固形潤滑剤3bとの摺擦部におけるトナーをさらに少なくすることができる。フリッカー部材13によって取りきれなかったブラシローラ3a中のトナーを、ブラシに食い込ませた再付着防止部材16によって掻き出すことができる。そのため、固形潤滑剤3bとブラシローラ3aの摺擦部によりトナーが少ない状態とすることができる。
【0058】
図9は、第2実施例のさらに他の変形例を示す詳細図である。
この図に示す潤滑剤塗布装置は、ブラシローラ3aの回転方向が図5〜8のものとは反対になっている。そして、板状の再付着防止部材17が、その先端部をブラシローラ3aのブラシに食い込ませた状態で配置される。クリーニング装置の廃トナー搬送スクリュー8cは、再付着防止部材17の下流(ブラシローラ3aの回転方向)に配置される。本構成においては、ブラシローラ3aの回転方向が反対の装置構成でも、ブラシ中のトナーを除去する効果を得ることができる。
【0059】
上記説明した第1実施形態の潤滑剤塗布装置は、潤滑剤塗布手段として塗布ローラ(上記例ではブラシローラ)を用いるものであったが、塗布ローラに加えて塗布ブレードを備える構成も可能である。その場合、例えば図10の(a)図に示すような構成とすることができる。塗布ローラに加えて塗布ブレードを備えることにより、感光体ドラム1に塗布した潤滑剤を均一化させることができる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図10は、直接転写方式による画像形成装置の一例における感光体付近を示す模式図である。この図において、感光体ドラム1の周囲には、帯電手段2、潤滑剤塗布装置3、クリーニング装置8及び転写手段6等が配設されている。記録媒体である用紙Pは、感光体ドラム1と転写ローラ2の間を図に左から右方向に搬送され、感光体ドラム1上のトナー像が用紙上に転写される。潤滑剤塗布装置3は、潤滑剤塗布ローラ3a,固形潤滑剤3b,加圧部材3d等により構成されている。
【0061】
固形状潤滑剤3bは、潤滑剤塗布手段である塗布用ローラ(ブラシローラ3a)に押圧され、ブラシローラ3aが回転することにより粉体状に削り取られる。ブラシローラ3aは削り取った粉体状の潤滑剤を、当接する感光体ドラム1の表面に回転しながら塗布を行う。感光体ドラム1に潤滑剤を塗布することにより、感光体表面に薄膜の層を形成し摩擦係数を減少させる効果がある。
【0062】
固形状潤滑剤3bはブラシローラ3aにより常に粉体状とされ感光体1に塗布され続ける。そのため、感光体ドラム1の状態に応じて過剰に塗布される場合が存在してくる。この場合、粉体状にされた潤滑剤Jは感光体ドラム1に塗布されきらずにユニット内に残留してしまい、ユニット交換時において残留した粉体状潤滑剤の飛散やこぼれ落ちの原因となる。また、残留した粉体状の潤滑剤は粒径も小さく、ユニット内で自由に堆積してしまうため、図10(a)に示すように、クリーニングブレード上や、感光体ドラム1とクリーニングブレードにより形成される部分(くさび形の部分)に堆積してしまうことがある。この場合、その粉体状潤滑剤の堆積量に応じてクリーニングブレードを押圧し、経時において、クリーニングブレードが狙いの当接条件を満足できなくなる可能性もある。
【0063】
そこで、本第2実施形態では、潤滑剤塗布手段(塗布ローラ)からの粉体状潤滑剤を受ける受け部材を設けてクリーニング装置との間を遮ることにより、経時においてユニット内に残留した粉体状の潤滑剤の堆積する場所を規制し、上記のようなクリーニングブレードの押圧等の発生を防止する構成とする。
【0064】
図11に本第2実施形態の具体的な構成を示す。
この図に示すように、潤滑剤塗布装置30は、上記説明した第1実施形態の潤滑剤塗布装置3と同じく、潤滑剤塗布ローラ3a,固形潤滑剤3b,加圧部材3dを備えるほか、支持部材3hに支持された塗布ブレード3gを備える構成となっている。さらに、当該塗布装置とクリーニング装置8の間を遮るように配置されたシート状の受け部材31を備えている。
【0065】
本第2実施形態においては、感光体ドラム1に塗布されずに作像ユニット内に残留した粉体状の潤滑剤Jは、受け部材31上に堆積し、クリーニング装置8(クリーニングブレード8aやその支持部材8b)上や、クリーニングブレードと像担時体の間に堆積することを防止できる。これにより、経時においても、安定したクリーニング性能を保つことができる。
【0066】
なお、ここでは、潤滑剤塗布手段としてブラシ状の回転部材3aを示しているが、固形状潤滑剤を削り取り粉体状として、像担持体に当接し塗布できる回転部材であれば、その材質等は問わない。また、潤滑剤塗布用のブレード3gを有する構成としているが、塗布ブレードがない構成においても同様の効果が得られる。また、固形状潤滑剤3bの加圧手段として、スプリング3dを用いた加圧方式の構成を示しているが、固形状潤滑剤を潤滑剤塗布手段に押圧できる構成であれば、その加圧方式は問わない。
【0067】
上記のように、シート状の受け部材31を設けたことにより、ユニット内に残留した粉体状の潤滑剤は、クリーニング装置8上や、クリーニングブレードと感光体の間に堆積することを防止できる。しかし、図12(a)に示すように、受け部材31の先端が感光体ドラム1に非接触の場合、受け部材31上に堆積した粉体状の潤滑剤は、受け部材31と感光体1との隙間から徐々に落下していき、クリーニングブレード上やクリーニングブレードと感光体の間に堆積していくことが想定される。これを抑制するためには、受け部材31の先端が感光体ドラム1に接触するように設ける構成が望ましい。
【0068】
また、受け部材31としてウレタン等の材質を用いた場合、その上に堆積した粉体状の潤滑剤量が増加していくと、図12(b)に示すように、堆積した粉体状潤滑剤の重さによって受け部材31が撓み、非接触に設けた場合と同じように受け部材31と感光体1との隙間から徐々に落下していき、クリーニングブレード上やクリーニングブレードと感光体の間に堆積していくことが想定される。
【0069】
そこで、図12(c)に示すように、ウレタン等の材質によるシート状部材32と金属部材からなる支持部材33とを組み合わせた構成(シート状部材32を剛性のある支持部材33で支持させた構成)の受け部材31とすることが好適である。この図12(c)に示す構成においては、シート状部材32の先端部は感光体ドラム1に接触するように設けており、また、支持部材33は途中で屈曲部を有する(本例では約90度に折れ曲がった形状の)構成としている。
【0070】
この図12(c)に示す構成により、粉体状の潤滑剤の重さによる受け部材31の撓みに対する余裕度を向上し、また、支持部材33が屈曲部を有することで受け部材31全体の形状がV字型となり、粉体状の潤滑剤Jが受け部材31上に堆積する場所を、感光体1から離れた場所(すなわちV字型の谷の部分)に落ちていく構成とすることができる。そのため、経時においても受け部材31上に堆積した粉体状の潤滑剤は、クリーニング装置8上や、クリーニングブレード8aと感光体1の間にこぼれ落ち堆積することを防止できる。
【0071】
受け部材31に関して、ここでは支持部材33とシート状部材32を組み合わせたV字型の形状としているが、支持部材33の断面をV字型の形状として、ウレタン等の材質を用いたシート状部材32をその一方(V字の一辺)に取り付けた構成とする。取り付け方法に関しては、接着性をもった材料を使った取り付けなど、広く公知の方法を使うことができる。また、感光体1と支持部材33が接触しない(感光体と接触するのはウレタン等の材質のシート状の部分32のみ)状態であれば、その取り付けしろの幅は問わない。また、支持部材33の材質は金属に限らず、剛性のある適宜な材量を使用可能である。
【0072】
ところで、本第2実施形態の潤滑剤塗布装置30は、第1実施形態の潤滑剤塗布装置3と比べて、クリーニング装置との間を遮るシート状の受け部材31を備えているために、部品点数が増加していることになる。そのため、組み立て時、および、ブレード交換時やユニット交換時において、作業項目が増加することとなる。また、交換時においては、受け部材31上に粉体状の潤滑剤が堆積しており、そのこぼれ落ちや飛散といった懸念事項も考えられる。
【0073】
そこで、受け部材31をクリーニング手段に取り付けて一体構成とすると好適である。図11(b)や図12(c)に示す例では、受け部材31をクリーニング手段であるクリーニングブレード8aの支持部材8bに取り付けて一体構成としている。このように構成することで、クリーニングブレードの付け外し動作で受け部材31も同時に付け外しできるため、作業項目を減らすことができ、また、粉体状の潤滑剤が堆積している状態であっても、クリーニングブレードのホルダ部分も壁の役割となり、受け部材31のみで取り外しを行う時よりも粉体状の潤滑剤のこぼれ落ちや飛散を緩和することができる。
【0074】
受け部材31をクリーニング手段と一体とする構成に関して、接着性をもった材料(両面テープ等)を用いた取り付け方法、ねじを用いた取り付け方法等、その取り付け方法に関しては、その他の広く公知の手法を利用することもできる。
【0075】
図13は、潤滑剤塗布手段としてのブラシローラの構成と作用を説明するための図である。この図に示すように、ブラシローラ3aは芯軸34とその芯軸34に基端部が固定された多数のブラシ繊維35を有している。ブラシローラ3aは像担持体である感光体ドラム1にほぼ平行で、像担持体に沿って長く伸びている。その芯軸34は長手方向の両端部が軸受けを介して回転可能に支持されている。ブラシローラ3aは像担持体とは別の駆動源によって駆動され、像担持体回転方向に対してカウンターとなる方向に回転する。
【0076】
多数のブラシ繊維35によって、固形状潤滑剤3bから潤滑剤を削り取って粉体状の潤滑剤とし、ブラシ繊維35に粉体状の潤滑剤Jを保持して、像担持体1に塗布する。粉体状の潤滑剤は、像担持体1表面に薄膜層を形成して、像担持体1の摩擦係数を減少させ、また、像担持体表面を保護する。粉体状の潤滑剤の粒径が大きくまばらであると、像担持体表面に均一な薄膜層を形成できなくなり、その機能を満足できなくなる。潤滑剤塗布手段にブラシローラを用いた場合、多数のブラシ繊維により粉体状の潤滑剤の粒径をより細かく均一に削り取ることが可能になる。
【0077】
図14は、潤滑剤塗布手段としてブラシローラを用い、さらに潤滑剤塗布用のブレードを備える構成を示す図である。この図に示す潤滑剤塗布装置30は、潤滑剤塗布ローラ3a,固形潤滑剤3b,加圧部材3dを備えるほか、支持部材3hに支持された塗布ブレード3gを備えている。さらに、当該塗布装置とクリーニング装置8の間を遮るように配置されたシート状の受け部材31を有する構成である。受け部材31は、図12(c)に示すものと同じく、シート状部材32と支持部材33からなる構成であり、支持部材33が屈曲部を有するものである。
【0078】
塗布ブレード3gは、クリーニングブレード8aと同様に、ゴムなどの弾性体で構成され、その塗布ブレード3gの基端側が、接着剤等によりブレードホルダ3hに固定されている。ブレード先端のエッジを像担持体である感光体1に当接させることにより、ブラシローラ3aにより塗布された粉体状の潤滑剤を、感光体表面に長手方向で均一になるように塗りこむ役目を果たす。また、塗布ブレード3gは、感光体回転方向に対して順方向で当接するように配置している。
【0079】
このように、感光体1の回転方向に対して、潤滑剤塗布手段としてのブラシローラ3aの下流側に塗布ブレード3gを設け、粉体状の潤滑剤を押圧することにより、潤滑剤の塗りムラがなく、かつ長手方向に均一に潤滑剤の薄膜層を形成することができる。
【0080】
図15は、本第2実施形態の潤滑剤塗布装置30を備えるプロセスカートリッジ(作像ユニット)の一例を示す断面構成図である。
この図に示すプロセスカートリッジ100は、像担持体としての感光体ドラム1を中心に、その周囲に帯電装置弐2、現像装置4、潤滑剤塗布装置30及びクリーニング装置8等を配設した構成となっている。潤滑剤塗布装置30は、図14で説明したものと同じ構成である。当該プロセスカートリッジ100を画像形成装置本体に装着した場合、感光体ドラム1は矢印の如く図中反時計回りに回転駆動され、潤滑剤塗布装置30のブラシローラ3aは感光体に対してカウンター方向に回転駆動される。
【0081】
一般的に電子写真方式の画像形成装置はその構成が複雑で、これを構成する各装置を容易に交換したりすることが困難である場合が多いが、本形態のように交換等が必要な機器を一体化したプロセスカートリッジの構成とすることで、その交換等が容易となり、メンテナンス性が向上する。ここでは、プロセスカートリッジ100を単体で示したが、当該プロセスカートリッジ100を複数個並設して設け、多色画像あるいはフルカラー画像が形成可能な画像形成装置を構成することができる。また、その画像形成装置は、直接転写方式でも中間転写方式でも構成可能である。
【0082】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、潤滑剤塗布手段としてはブラシローラに限らず、スポンジローラなども採用可能である。固形潤滑剤も適宜な組成のものを使用可能である。固形潤滑剤を塗布手段へ加圧する手段もコイルスプリングに限らず適宜なものを使用可能であり、固形潤滑剤の自重を利用するものでも良い。潤滑剤塗布手段としての塗布ローラの駆動形態も任意であり、適宜な構成を採用可能である。第1実施形態におけるフリッカー部材あるいは再付着防止部材の形状や大きさ等も本発明の範囲内で適宜に設定可能である。また第2実施形態における受け部材の形状や大きさ等も本発明の範囲内で適宜に設定可能であり、その材質等も適宜なものを用いることができる。
【0083】
本発明による潤滑剤塗布装置を備えるプロセスカートリッジに搭載する機器も任意である。また、像担持体(感光体)としてはドラム状に限らず、ベルト状の像担持体も使用可能である。
【0084】
また、画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの配置順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置した構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0085】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電手段
3,30 潤滑剤塗布装置
3a ブラシローラ(潤滑剤塗布ローラ)
3b 固形潤滑剤(潤滑剤成型体)
3g 塗布ブレード
4 現像装置
8 クリーニング装置
8a クリーニングブレード
8c 廃トナー搬送スクリュー
10 作像ユニット
11,13 フリッカー部材
12,14,15 再付着防止部材
16,17 再付着防止部材
31 受け部材
33 支持部材
32 シート状部材
34 芯軸
35 ブラシ繊維
100 プロセスカートリッジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2002−207397号公報
【特許文献2】特開2007−178970号公報
【特許文献3】特開2006−251751号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤塗布ローラにより固形潤滑剤成型体を摺擦して像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布ローラの表面に付着した粉体状物質を除去するためのフリッカー部材を前記固形潤滑剤成型体よりも前記潤滑剤塗布ローラ回転方向上流側に備え、
前記潤滑剤塗布ローラ、前記フリッカー部材および前記固形潤滑剤成型体で形成される空間が閉じているように構成したことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
潤滑剤塗布ローラにより固形潤滑剤成型体を摺擦して像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布ローラの表面に付着した粉体状物質を除去するためのフリッカー部材を前記固形潤滑剤成型体よりも前記潤滑剤塗布ローラ回転方向上流側に備え、
前記フリッカー部材と前記固形潤滑剤成型体の間に、前記フリッカー部材によって前記潤滑剤塗布ローラから除去された除去物を遮蔽して該除去物の前記潤滑剤塗布ローラへの再付着を防止する再付着防止部材を設けたことを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
潤滑剤塗布ローラにより固形潤滑剤成型体を摺擦して像担持体に供給塗布する潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤塗布ローラの下方に、前記潤滑剤塗布ローラからの粉体状潤滑剤を受ける受け部材を設け、前記粉体状潤滑剤の堆積場所を規制することを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記潤滑剤塗布ローラがブラシローラであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記固形潤滑剤成型体がフッ素系樹脂又は脂肪酸金属塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項6】
像担持体に接触して潤滑剤を塗布するための塗布ブレードを有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項7】
前記フリッカー部材が当該潤滑剤塗布装置の枠体と一体的に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項8】
前記フリッカー部材が当該潤滑剤塗布装置の枠体とは別体に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項9】
前記再付着防止部材は前記固形潤滑剤成型体よりも前記潤滑剤塗布ローラ回転方向上流側に配置され、前記潤滑剤塗布ローラ、前記再付着防止部材および前記固形潤滑剤成型体で形成される空間が閉じていることを特徴とする、請求項2に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項10】
前記再付着防止部材の先端部が前記潤滑剤塗布ローラに食い込むように設けられていることを特徴とする、請求項2又は9に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項11】
前記受け部材の先端部が像担持体に接触するように設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項12】
前記受け部材が弾性を有することを特徴とする、請求項3又は11に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項13】
前記受け部材が剛性を有する支持部材によって支持されることを特徴とする、請求項3,11,12のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項14】
前記支持部材が屈曲部を有する形状に構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項15】
前記受け部材が、像担持体をクリーニングするクリーニング装置の上方に配置されていることを特徴とする、請求項3,11,12,14のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置。
【請求項16】
画像形成装置本体に着脱可能に構成されたプロセスカートリッジであって、少なくとも像担持体と請求項1〜15のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置とを搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項17】
前記像担持体をクリーニングするクリーニング装置を搭載し、前記受け部材が前記クリーニング装置のクリーニングブレード又はその支持部材に取り付けられて支持されることを特徴とする、請求項16に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の潤滑剤塗布装置または請求項15,16のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
前記プロセスカートリッジを含む作像ユニットを複数個備え、該複数の作像ユニットにより多色画像の形成が可能なことを特徴とする、請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
使用するトナーの円形度が0.95以上であることを特徴とする、請求項18又は19に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−77033(P2013−77033A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−13060(P2013−13060)
【出願日】平成25年1月28日(2013.1.28)
【分割の表示】特願2008−262766(P2008−262766)の分割
【原出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】