説明

潤滑箇所に直接注油できる容器に、固形の潤滑油を、媒体を用いずに容器詰めした、固形の潤滑油

【課題】固体潤滑油を媒体で希釈して給油する場合、LPG・有機溶剤などの媒体が無駄となり、さらには、LPG・有機溶剤などの媒体は危険性が高く、取り扱いに危険を伴う。さらに、製品は危険物であるため、用済み容器の廃棄処分も手間を要する。また、媒体で希釈した固体潤滑油を直接給油する場合は、必要量より過剰な供給となり易く、無駄が多くなる等の問題がある。上記問題点を改良する方法を提供する。
【解決手段】潤滑油を常温で固体に、潤滑時に液体となるゲル状にしたゲル状潤滑油は、詰まり難く、摩擦係数が低い特性を持ち、極細の給油管と極小の給油口を持つ容器を組み合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
固形潤滑油を少量で適量を直接潤滑部に給油することは困難で、微細な注油口では流動し難く、詰まり易くなるため実用化できなかった。そのため、LPGや有機溶剤などの媒体を使用して供給したり、スプレーにしたりして使用していた。この方法の難点は、媒体を使用することにより、潤滑油が揮発性の高い危険物となり、容器を強固にしなければならず、持ち運びにも不便で火災・爆発の危険が伴った。また、使用済みの容器の廃棄にも特別の配慮を要した。このことから潤滑油を常温では固体に、潤滑時に液体となるゲル状にすることで、持ち運びが便利になり、注油口を極細にしても、詰まりを抑える事が可能となった。
【背景技術】
【0002】
従来固形潤滑油は、細い給油管や注油口では詰まり易くなるため、LPG・有機溶剤などの媒体を使用して容器詰めしていた。
【0003】
現状の媒体を使用する場合はLPG・有機溶剤などの媒体を無駄に使用していることになる。また、注油では拡散するので、必要以上に潤滑油を使用する事となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固形の潤滑油を、媒体を使用せず、必要な場所に必要量を供給する。
【0005】
危険物でなく持ち運びが容易な潤滑油と容器の組合せとする。
【0006】
使用後に廃棄されても環境に影響が少ない潤滑油と容器にしたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
潤滑油は(株)ジャパンエナジー製のゲル状潤滑油を用いる。この潤滑油は流動性が良いので詰まり難く、摩擦係数が低い特性と極細の注油口とを組み合わせることにより、糸を引くような少量の注油が可能となった。
【0008】
また、LPG・有機溶剤などの媒体を使用しないことにより、危険が少なく、かつ持ち運びが容易な潤滑油のパッケージとなる。容器はプラスチック製の押し出しチューブが良い。この容器は練り歯磨きや化粧品クリームなどの容器として広く利用されている。容器のキャップ(業界でいうトンガリキャップ)は、注油菅・注油口を備えたものを用いる。
【0009】
固形潤滑油の容器は、生分解性のプラスチックを用いるならば、廃棄されても光や微生物によって分解され自然に還り、土に還って環境負荷を低減する。但し、本発明は必ずしも生分解性の容器を用いることを条件とはしない。
【0010】
潤滑油は生分解性能のある基材(エステル・植物油等)を使用すれば、生分解性潤滑油になる。潤滑油の素材に、FDA(米国食品医薬安全局)のリストにある基材を使用することにより、潤滑油を食品機械用にすることも可能である。
【0011】
本発明に利用するゲル状潤滑油は、使用される雰囲気で融点(溶解温度・固化温度)が設計される。この温度範囲は20℃〜700℃である。
【発明の効果】
【0012】
媒体にLPGなどを使用したスプレー等では、法規上危険物扱いとなったが、本発明によれば非危険物となり、持ち運びやすくかつ火災・爆発の危険性が低くなる。また、LPG・有機溶剤などの媒体の無駄がなくなる。その上、使用者(需要者)の取り扱いが容易になる。更には、用済み容器の廃棄でも、残存するガス抜きなどの煩わしい手間や配慮が不要となる。
【0013】
また、直接注油する場合もグリースでは必要量より過剰な供給となり無駄が多かったが、本発明によれば、適量を注油でき、省資源にもなる。
【0014】
固形潤滑油は注油する際は固形であるが、使用する場合は、機械の摩擦部分に付着し、機械の摩擦熱で溶解し、潤滑部分に均一に供給される。
【発明を実施するための最良の状態】
【0015】
固形潤滑油をプラスチックなどの包装材や容器に入れて、固体潤滑油を最後まで絞り出せる状態にする。その給油口は一般には図−1のように一つ穴(又は複数の穴でも可)で口径は0.01〜2mm位が最も良い。また給油し易いように容器から長く伸ばすことが可能な、方向を調整できる給油口としても良い。
【0016】
本発明に採用したゲル状の固形潤滑油は、流動性が良いため普通のスプレー容器に入れて注油することも可能である。
【0017】
固形潤滑油とその容器は、環境負荷を軽減するために、いずれも生分解性能を備えることが望ましい。
【0018】
固形潤滑油をスプレー容器に入れて供給することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る固形潤滑油と容器の組み合わせは、工業的に量産することが可能なため、産業上の利用の可能性を有する。
【0020】
本発明による潤滑油の使用例を示せば、自転車やバイクのチェーンの潤滑油や、防錆用に使用できる。また、釣り道具・ロボット・模型用潤滑油・ドアロック・ドアクローザー・チェーンソー等の潤滑に使用できる。
【0021】
生分解性の機能を持つ潤滑油の場合は、山・湖・海・河などに潤滑油が流失する可能性のある機械に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、押し出しチューブの斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ・・ 押し出しチューブ
2 ・・ 注油口
3 ・・ 給油管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形潤滑油を液化ガス(以下LPGと示す)や有機溶剤などの媒体を使用しないで、直接潤滑箇所に注油可能な容器にパッケージすることを特徴とする固形の潤滑油。
【請求項2】
固形潤滑油を潤滑箇所に直接給油できるよう、微細の給油管と極小の注油口を備えた容器を用いることを特徴とするゲル状潤滑油。
【請求項3】
直接潤滑箇所に注油可能な容器は、生分解性能を持つ容器を用いることを特徴とする固形の潤滑油。

【図1】
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【公開番号】特開2011−213970(P2011−213970A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95423(P2010−95423)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(594068549)
【出願人】(594068538)
【出願人】(510108216)
【Fターム(参考)】