濃度検知装置および画像形成装置
【課題】検知部材の個体差や経時的変化に応じて発生する特性の変化を随時補正可能にすること。
【解決手段】検知部(2)から第1の検知対象面(B)までの距離である第1の検知距離(L1)だけ離れた位置に第2の検知対象面(21a)を仮設した場合に、第2の検知対象面(21a)を検知した第1の距離用検知値(Vin)と、検知部(2)から第2の検知対象面(21a)までの距離である第2の検知距離(L2)だけ離れた位置における第2の検知対象面(21a)を検知した第2の距離用検知値(Vref)と、第2の検知対象面(21a)を前記検知部により検知した第2の検知値(Vref′)と、に基づいて、第1の検知対象面(B)の濃度を補正する濃度補正手段(C10A)と、を備えた濃度検知装置(1)。
【解決手段】検知部(2)から第1の検知対象面(B)までの距離である第1の検知距離(L1)だけ離れた位置に第2の検知対象面(21a)を仮設した場合に、第2の検知対象面(21a)を検知した第1の距離用検知値(Vin)と、検知部(2)から第2の検知対象面(21a)までの距離である第2の検知距離(L2)だけ離れた位置における第2の検知対象面(21a)を検知した第2の距離用検知値(Vref)と、第2の検知対象面(21a)を前記検知部により検知した第2の検知値(Vref′)と、に基づいて、第1の検知対象面(B)の濃度を補正する濃度補正手段(C10A)と、を備えた濃度検知装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度検知装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、形成される画像の濃度を検知する技術に関し、下記の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2007−148259号公報には、正反射光の受光体と拡散反射光の受光体を有する反射型センサを使用して画像濃度を測定する画像形成装置において、センサ個々の感度の違いによる特性に対して、予め基準反射体に対するセンサ個々の正反射光出力、拡散反射光出力を測定して検査データとして記憶しておき、トナー濃度に関連するトナー付着量を算出する際にフィードバックさせることで、センサの個々の感度の違いを補正して、基準化する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−148259号公報(「0045」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、検知部の個体差や経時的変化に応じて発生する特性の変化を補正可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の濃度検知装置は、
光を発光する発光体と、前記発光体から発光された光が、前記発光体と対向して配置された第1の検知対象面で反射した光を受光する受光体と、を有し、前記第1の検知対象面の濃度を検知する検知部と、
前記検知部と前記第1の検知対象面との間であって、前記検知部と一体に形成された第2の検知対象面と、
前記検知部から前記第1の検知対象面までの距離である第1の検知距離だけ前記検知部から離れた位置に前記第2の検知対象面を仮設した場合に、前記第2の検知対象面を検知した際に、前記検知部で検知される第1の距離用検知値と、前記検知部から第2の検知対象面までの距離であり且つ前記第1の検知距離よりも距離が短い第2の検知距離だけ離れた位置における前記第2の検知対象面を検知した場合に前記検知部で検知される第2の距離用検知値と、を記憶する記憶手段と、
前記第2の検知対象面を前記検知部により検知した第2の検知値と、前記記憶手段に予め記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する濃度補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の濃度検知装置において、
前記各検知対象面での正反射光を受光する正反射受光体と、前記各検知対象面での拡散反射光を受光する拡散反射受光体と、を有する前記受光体、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の濃度検知装置において、
前記検知部と前記第1の検知対象面との間で移動可能に支持された移動部材と、
前記移動部材と一体的に移動する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の濃度検知装置において、
前記検知部と前記第1の検知対象面を閉鎖する閉鎖位置と、前記検知部と前記第1の検知対象面との間を開放する開放位置と、の間を移動する前記移動部材、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の濃度検知装置において、
前記移動部材に支持され、且つ、前記閉鎖位置において弾性変形する弾性体と、
前記移動部材が前記閉鎖位置と前記開放位置との間を移動中に前記検知部に対向する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の濃度検知装置において、
前記第2の検知値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値に基づいて、前記第2の検知対象面を前記第1の検知距離離れた位置で検知した場合の検知値を演算する演算手段、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検知装置において、
前記第2の検知値と前記記憶手段に記録された前記第2の距離用検知値との比に応じた変化値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値と前記第2の距離用検知値との比に応じた固体値、とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する前記濃度補正手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項8に記載の発明の画像形成装置は、
前記第1の検知対象面としての表面を有する像保持体と、
前記像保持体表面または前記像保持体表面に保持された画像を検知する請求項1ないし7のいずれかに記載の濃度検知装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、8に記載の発明によれば、予め測定された前記検知距離用出力値および前記基準距離用出力値に基づいて補正出力値の演算を行わない構成に比べて、検知部材の個体差や経時的変化に応じて発生する特性の変化を随時補正可能にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、正反射と拡散反射の光量の違いの個体差に応じて、検知部の基準化ができる。
請求項3に記載の発明によれば、第1の検知対象面と検知部を移動させることなく、第2の検知対象面を検出できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、検知部が汚れることを防止できる。
請求項5に記載の発明によれば、閉塞位置における弾性体の経時変化によらず、第2の検知対象面と検知部との距離を一定に保持することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第2の検知対象面の実際の検知値である第2の検知値から、第1の検知距離離れた位置で検知した場合の検知値を演算できる。
請求項7に記載の発明によれば、変化値と固体値から第1の検知対象面の濃度を補正でき、個体差に応じた濃度の検出ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
図1において、本発明の画像形成装置の実施例1としての複写機Uは、上端部に配置された画像読取り装置の一例としてのスキャナU1と、スキャナU1を支持する画像記録装置の一例としての画像形成装置本体U2と、を有する。前記画像形成装置本体U2の下部には、媒体収容容器の一例として、媒体の一例としてのシートを収容する複数の給紙トレイTR1〜TR4が着脱可能に装着されている。
【0018】
図2は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2において、前記スキャナU1は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿給紙部TG1と、原稿給紙部TG1から給紙されて透明な原稿読取り面PG上の原稿読取位置を通過して搬送される原稿Giが排出される原稿排紙部TG2とを有している。
前記スキャナU1には、利用者が画像形成動作開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIと、露光光学系A、固体撮像素子CCD等が設けら得ている。
【0019】
前記原稿読取り面PG上を搬送される原稿または手動で原稿読取り面PG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで赤:R、緑:G、青:Bの電気信号に変換される。
画像情報変換部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒:K、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:Cの画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を所定の時期に潜像形成用の画像情報として潜像形成装置駆動回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒のみの画像情報が潜像形成装置駆動回路DLに入力される。
前記潜像形成装置駆動回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を所定の時期に、各色毎に配置された潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
【0020】
図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
前記画像形成装置Uの重力方向中央部に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、Y,M,C、およびKの各色の可視像を形成する装置である。
潜像形成装置LHy〜LHkの各潜像書込光源から出射したY,M,C,Kの潜像書込光は、それぞれ、回転する像保持体の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。なお、実施例1では、前記潜像形成装置LHy〜LHkは、いわゆる、LEDアレイにより構成されている。
前記Yの可視像形成装置Uyは、回転する感光体PRy、帯電器CRy、潜像形成装置LHy、現像装置Gy、転写器T1y、像保持体清掃器CLyを有している。なお、実施例1では、前記感光体PRy、帯電器CRy、像保持体清掃器CLyが、画像形成装置本体U2に対して一体的に着脱可能な像保持体ユニットとして構成されている。
前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0021】
図2,図3において、前記各感光体PRy,PRm,PRc,PRkはそれぞれの帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより帯電された後、画像書込位置Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、潜像形成装置LHy〜LHkにより表面に静電潜像が形成される。前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤保持体の一例としての現像ロールR0y,R0m,R0c,R0kに保持された現像剤により可視像の一例としてのトナー像に現像される。
その現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0022】
前記各感光体PRy〜PRk上のトナー像は前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留物、付着物は、像保持体清掃器CLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面は、帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。
【0023】
前記感光体PRy〜PRkの上方には、上下移動可能且つ前方に引き出し可能な中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、中間転写体張架部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび二次転写領域対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは、前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより構成される中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより回転移動可能に支持されている。
【0024】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して2次転写部材の一例としての二次転写ロールT2bが配置されており、前記各ロールT2a,T2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域には2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
【0025】
前記可視像形成装置Uy〜Ukの下方には、ガイド部材の一例としての左右一対のガイドレールGRが4段設けられており、前記ガイドレールGRには、給紙トレイTR1〜TR4が前後方向に出入可能に支持されている。前記給紙トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。そして、シートSは、媒体搬送路の一例であるシート搬送路SH1に沿って媒体搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送され、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側に配置された転写領域搬送時期調節部材の一例としてのレジロールRrに送られる。前記シート搬送路SH、シート搬送ロールRa、レジロールRr等によりシート搬送装置SH+Ra+Rrが構成されている。
【0026】
レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記シートSを2次転写領域Q4に搬送する。シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地され、2次転写ロールT2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2によりシートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。また、二次転写ロールT2b表面に付着した紙粉や現像剤等の残留物は、二次転写器清掃装置の一例としての二次転写クリーナCLtにより除去されて二次転写ロールT2bが清掃される。
したがって、実施例1の画像形成装置Uでは、前記一次転写器T1y〜T1k、中間転写ベルトB、二次転写器T2等により、感光体PRy〜PRk表面のトナー像をシートSに転写する転写装置T1+B+T2が構成されている。
【0027】
前記トナー像が2次転写されたシートSは、定着装置Fの加熱用定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧用定着部材の一例としての加圧ロールFpの圧接領域である定着領域Q5に搬送され、前記定着領域を通過する際に加熱定着される。
なお、前記加熱ロールFh表面には、シートSの前記加熱ロールからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
ここで、前記可視像形成装置Uy〜Uk、ベルトモジュールBM、2次転写器T2、定着装置F等により、実施例1の画像記録部Uy〜Uk+BM+T2+Fが構成されている。
【0028】
前記定着装置Fの搬送方向下流側である上方には、記録シートSを第1の媒体積載部の一例としての排紙トレイTRhに搬送する場合に第1の媒体排出路の一例としての排紙路SH3と、反転や画像記録面を上側にして排出される記録シートSが搬送される分岐搬送路の一例としての上方接続路SH4が配置されている。前記排紙路SH3と上方接続路SH4とが接続されている分岐部には、記録シートSの搬送先に応じて搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第1ゲートGT1が配置されている。したがって、排紙トレイTRhに排出される場合には、定着された記録シートSが排紙路SH3を搬送され、第1の媒体排出部材の一例としての排紙ロールRhにより排紙トレイTRhに排出される。
【0029】
図1、図2において、前記定着装置Fの上方には、媒体排出装置の一例としてのオプション排出ユニットU3が支持されており、前記オプション排出ユニットU3は、前記排紙トレイTRhの上方に配置され、排紙トレイTRhと同様に画像記録面が下側になる状態で積載される第2の媒体排出部の一例としてのフェイスダウントレイTRh2と、画像記録面が上側になる状態で積載される第3の媒体排出部の一例としてのフェイスアップトレイTRh3とを有する。
【0030】
前記オプション排出ユニットU3内部には、前記上側接続路SH4に接続される搬送路の一例としての反転・排出共通路SH5と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスダウントレイTRh2に記録シートSを送る搬送路の一例としてのフェイスダウン排出路SH6と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスアップトレイTRh3に記録シートSを送る搬送路の一例としてのフェイスアップ排出路SH7と、を有する。前記フェイスダウン排出路SH6には、第2の媒体排出部材の一例であって媒体反転部材の一例として、正逆回転可能な反転ロールRh2が配置されており、前記フェイスアップ排出路SH7には、第3の媒体排出部材の一例としてのフェイスアップ排紙ロールRh3が配置され、各搬送路SH6,SH7の記録シートSを搬送する。
【0031】
前記反転・排出共通路SH5、フェイスダウン排出路SH6およびフェイスアップ排出路SH7の分岐部には、記録シートSの搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第2ゲートGT2が配置されている。前記第2ゲートGT2は、記録シートSがフェイスダウントレイTRh2に排出される場合と両面印刷のために反転される場合にフェイスダウン排出路SH6に搬送路を切り替え、記録シートSがフェイスアップトレイTRh3に排出される場合にはフェイスアップ排出路SH7に搬送路を切り替える。
ここで、前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5及びフェイスダウン排出路SH6により、実施例1の第2の媒体排出路SH4+SH5+SH6が構成されている。
また、前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5及びフェイスアップ排出路SH7により、実施例1の第3の媒体排出路SH4+SH5+SH7が構成されている。
【0032】
前記画像形成装置本体U2の左側部には、追加ユニットの一例としての反転ユニットU4が設置されている。前記反転ユニットU4には、反転・排出共通路SH5の下端部に接続され、両面印刷時に記録シートSが搬送される搬送路の一例としての反転路SH8が設けられている。前記反転路SH8は、重力方向に沿って直線上に延びる主反転路SH8aと、前記主反転路SH8aと反転・排出共通路SH5とを接続する上流側反転路SH8bと、前記主反転路SH8aとレジロールRrとを接続する下流側反転路SH8cと、を有する。前記上流側反転路SH8bと反転・排出共通路SH5との接続部には、記録シートSが反転時に上方接続路SH4に搬送されないよう搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第3ゲートGT3が配置されている。前記反転・排出共通路SH5やフェイスダウン排出路SH6の搬送方向下流側の搬送路である反転路SH8には、反転路SH8内の記録シートSを搬送する反転路搬送部材の一例としての反転路搬送ロールRa2が配置されている。
【0033】
したがって、両面印刷がされる記録シートSは、前記反転・排出共通路SH5を搬送されて、反転ロールRh2により記録シートSの後端部が挟まれた状態になるまでフェイスダウントレイTRh2に排出された後、反転ロールRh2が逆回転し、記録シートSが反転路SH8に搬送される。前記反転路SH8を搬送された記録シートSは、反転路搬送ロールRa2により搬送され、表裏が反転した状態で、レジロールRrに搬送される。
【0034】
前記ベルトモジュールBMの上方にはイエローY,マゼンタM,シアンC,黒Kの各現像剤を収容し、内部の現像剤を画像形成装置Uに搬送して補給する現像剤収容容器の一例であって、着脱体の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各トナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて、図示しない現像剤補給路から前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。
【0035】
(濃度検出装置の説明)
図4は濃度検知装置の要部説明図であり、図4Aは開放位置の状態の説明図、図4Bは閉鎖位置の状態の説明図である。
図2、図3において、前記中間転写ベルトBの回転方向に沿って、黒色の1次転写領域Q3kの下流側且つ2次転写領域Q4の上流側には、濃度検知領域Q6が設定されており、濃度検知領域Q6には、中間転写ベルトB表面に対向して濃度検知装置1が配置されている。図4において、前記本実施例における濃度検知装置の一例としての光センサ1は、検知部の一例としてのセンサ部2を有する。前記センサ部2は、本実施例における第1の検知対象面である中間転写ベルトBに対向して固定支持されている。前記センサ部2は、検知収容体の一例として、箱状の収容カバー3を有する。前記収容カバー3には、前後方向中央部に形成され且つ中間転写ベルトB側が開口した発光体収容部3aが形成されている。発光体収容部3aの前側には、第1の受光体収容部の一例として、中間転写ベルトB側が開口した正反射受光体収容部3bが形成されている。発光体収容部3aの後側には、第2の受光体収容部の一例として、中間転写ベルトB側が開口した拡散反射受光体収容部3cと、が形成されている。
【0036】
前記発光体収容部3aには、発光体の一例として、中間転写ベルトB表面に対して光を照射する光源の一例としての発光素子6が収容されている。前記正反射受光体収容部3bには、正反射受光体の一例として、中間転写ベルトB表面に照射された光の正反射光を受光する正反射ディテクタ7が収容されている。拡散反射受光体収容部3cには、拡散反射受光体の一例として、中間転写ベルトB表面に照射された光の拡散反射光を受光する拡散反射ディテクタ8が収容されている。なお、実施例1では、発光素子6として、従来公知のLED:Light Emission Diode、発光ダイオードが使用され、ディテクタ7、8として、PD:Photodiode、フォトダイオードが使用されているが、これらに限定されず、従来公知の任意の発光体、光源や受光体を使用することが可能である。したがって、フォトダイオードで構成された実施例1のディテクタ7、8は、受光した光の強度に応じた電流が流れ、このときの電圧値[V]が出力値として出力される。
前記正反射ディテクタ7と拡散反射ディテクタ8により、実施例1の受光体7+8が構成されており、前記発光素子6および各ディテクタ7、8により実施例1の検知本体6〜8が構成されている。
【0037】
前記収容カバー3の上面には、光や反射光が透過可能な硝子等の板状の透明体により構成された窓材9が支持されており、窓材9の上面には検知面9aが形成されている。したがって、窓材9により各収容部3a〜3cの上端の開口が閉塞されて、中間転写ベルトBから落下した現像剤や埃等が発光素子6や各受光体7、8に直接付着することが防止され且つ光が透過可能に構成されている。
前記収容カバー3の上面の後端には、中間転写ベルトB側に延びる基準清掃体の一例であり、弾性体の一例としての基準板クリーナ11が支持されている。前記基準板クリーナ11の上端には、基準清掃部の一例としての基準清掃端11aが形成されている。実施例1の基準板クリーナ11は、弾性材料の一例としての板状の発泡材料、いわゆるスポンジにより構成されているが、スポンジに限定されず、ゴム材や布材、樹脂材等の任意の材料を使用することが可能であり、また、形状も板状に限定されず、ローラ状、ブラシ状等の任意の形状とすることが可能である。
【0038】
前記収容カバー3の後方には、駆動系の一例としてのシャッタ駆動装置12が配置されている。シャッタ駆動装置12は、駆動装置本体13を有し、駆動装置本体13内には、図示しない駆動源の一例であるシャッタ移動モータからの駆動が伝達される伝達歯車の一例としてのピニオンギア14が回転可能に支持されている。前記駆動装置本体13には、前後方向に延びる棒状の開閉移動体の一例としてのラック16が前後方向に移動可能に支持されており、ラック16の上縁にはピニオンギア14に噛み合う噛合い部の一例としてのギア歯16aが形成されている。したがって、ピニオンギア14が正逆回転すると、ラック16が前後方向に移動するように構成されている。
【0039】
前記ラック16の前端には、上方に延びる連結部の一例としてのシャッタ連結アーム17が支持されている。前記シャッタ連結アーム17の上端には、移動部材の一例として、板状のシャッタ18の後端が支持されている。したがって、前記シャッタ移動モータの駆動によりラック16が前後方向に移動することで、検知面9aを中間転写ベルトBに対して開放する図4Aに示す開放位置と、シャッタ18が検知面9aと中間転写ベルトBとの間に進入して検知面9aを閉塞する図4Bに示す閉鎖位置との間で移動可能に支持されている。
前記シャッタ18の前端には、検知面9a側に延びる清掃部材の一例であり、弾性体の一例としての検知面クリーナ19が支持されている。前記検知面クリーナ19の下端には、検知面清掃部の一例としてのクリーナ先端部19aが形成されている。実施例1の検知面クリーナ19は、弾性材料の一例としての発泡材料、いわゆるスポンジにより構成されており、クリーナ先端部19aは検知面9aに弾性変形して予め設定された圧力で押された状態で接触可能に支持されている。
【0040】
前記シャッタ18の検知面9a側の面には、画像の濃度の基準となる基準濃度を検知するための基準部材の一例として、基準板21が支持されている。前記基準板21の検知面9a側の下面は、本実施例における第2の検知対象面の一例として、基準面21aにより構成されている。前記基準面21aは、発光素子6からの検査光を正反射および拡散反射するように表面が加工されており、検知部本体6〜8の出力結果を基準化するための基準濃度が検出されるように設定されている。なお、前記基準濃度として、設計や仕様等に応じて任意の濃度を使用可能であるが、例えば、濃度50%に対応する反射率に設定することが可能であり、このほかにも、例えば、0%、10%、…等の複数の濃度の画像が形成された基準濃度一覧表、いわゆるキャリブレーションチャートとし、基準板21を移動させながら、すなわちシャッタ18の移動中に濃度を順次検知する用に構成することも可能である。
なお、実施例1では、基準板クリーナ11の基準清掃端11aが基準板21に接触可能な位置に配置されている。
【0041】
(実施例1の制御部の説明)
図5は本発明の実施例1の画像形成装置の制御部分が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
図5において、実施例1の画像形成装置Uの制御部Cは、小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、外部との信号の入出力、および、入出力信号レベルの調節等を行うI/O、必要な処理を実行するためのプログラム、および、データ等が記憶されたROM、必要なデータを一時的に記憶するためのRAMや、HDD、前記ROMや、前記HDDに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU、ならびにクロック発振器等を有する計算機の一例としてのコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0042】
(制御部Cに接続された信号入力要素)
前記制御部Cには、操作部UI、濃度検知装置1のセンサ部2等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
前記操作部UIは、印刷実行釦の一例であり読取り開始釦の一例としてのコピー開始釦UI1、印刷実行中止釦の一例としてのコピー中止釦UI2、表示部UI3、方向入力釦の一例としての矢印釦UI4、階調補正開始釦UI5等を有する。
濃度検知装置1のセンサ部2は、中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度や、基準板21の基準濃度を検知する。
【0043】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、次の被制御要素D1、D2,Eの制御信号を出力している。
D1:メインモータ駆動回路
主駆動源駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を駆動することにより、感光体PRy〜PRkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
D2:シャッタ移動モータ制御回路
移動部材駆動源制御回路の一例としてのシャッタ移動モータ制御回路D2は、濃度検知装置1のシャッタ移動モータM2を駆動することで、シャッタ18を移動させる。
【0044】
E:電源回路
電源回路Eは、現像用電源回路E1、帯電用電源回路E2、転写用電源回路E3、定着用電源回路E4等を有している。
E1:現像用電源回路
現像用電源回路E1は、現像装置Gy〜Gkの現像ロールR0y〜R0kに現像電圧を印加する。
E2:帯電用電源回路
帯電用電源E2は、帯電器CRy〜CRkそれぞれに感光体PRy〜PRk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
E3:転写用電源回路
転写用電源回路E3は、1次転写装置T1y〜T1kや2次転写ロールT2bに転写電圧を印加する。
E4:定着用電源回路
定着用電源回路E4は、定着装置Fの加熱ロールFhにヒータ加熱用の電源を供給する。
【0045】
(制御部Cの機能)
前記制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:ジョブ制御手段
画像形成動作制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、スキャナU1で読み込まれた原稿画像の情報に応じて、前記帯電器CRy〜CRk、1次転写装置T1y〜T1k、定着装置F等の動作を制御して画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
【0046】
C2:メインモータ駆動制御手段
主駆動源駆動制御手段の一例としてのメインモータ駆動制御手段C2は、前記メインモータ駆動回路D1を介して前記メインモータM1の駆動を制御して、現像装置Gy〜Gk、前記定着装置Fの加熱ロールFh、排出ロールRh等の駆動を制御する。
C3:電源回路制御手段
電源回路制御手段C3は、前記電源回路Eの作動を制御して、前記現像装置Gy〜Gkの現像電圧や前記帯電器CRy〜CRkの帯電電圧、前記1次転写装置T1y〜T1kの1次転写電圧、前記加熱ロールFhのヒータの加熱用電流等の電圧、電流の供給を制御する。
【0047】
図6は実施例1の濃度補正処理および階調補正の要部説明図であり、図6Aは濃度補正時に中間転写ベルト表面に形成されるトナーパッチの説明図、図6Bは階調補正時に使用されるキャリブレーション画像の説明図である。
C4:プロセスコントロール手段
濃度補正制御手段の一例としてのプロセスコントロール手段C4は、予め設定された濃度補正処理開始時期に、濃度補正用の画像、いわゆるトナーパッチTPを形成し、センサ部2で検出された濃度、すなわち付着している現像剤の量と、濃度補正用画像の設定されている濃度との差に応じて、濃度の差、すなわち、濃度のズレが小さくなるように、帯電電圧や現像電圧、潜像形成装置LHy〜LHkのレーザー光強度の調整を行う。図6Aにおいて、実施例1では、プロセスコントロール時には、中間転写ベルトBに、センサ部2に対応する位置に、濃度補正用画像の一例として、Y,M,C,Kの各色毎に四角形状で濃度10%、40%、70%、100%のトナーパッチTPが形成されるように設定されている。また、実施例1では、プロセスコントロールは、画像形成装置Uの電源入力時に初期化動作の一部として実行されるように設定されているが、実行する時期は電源入力時に限定されず、予め設定された印刷枚数毎に実行したり、予め設定された時刻に実行する等任意の時期に設定可能である。
【0048】
C5:シャッタ制御手段
移動部材制御手段の一例としてのシャッタ制御手段C5は、前記シャッタ移動モータ制御回路D2を介して、シャッタ移動モータM2の駆動を制御することで、シャッタ18を開放位置と閉鎖位置との間で移動させる。実施例1のシャッタ制御手段C5は、プロセスコントロールが開始されると、基準板21の濃度をセンサ部2が読み取った後に、シャッタ18を閉鎖位置から開放位置に移動させ、プロセスコントロールが終了するとシャッタ18を開放位置から閉鎖位置に移動させる。
C6:濃度検出装置作動制御手段
濃度検知装置作動制御手段C6は、濃度補正動作、いわゆるプロセスコントロールの実行に応じて、濃度検出装置1の発光素子6やディテクタ7、8の作動、停止を制御する。すなわち、プロセスコントロールの開始、停止に応じて、発光素子6による検査光の照射開始、停止やディテクタ7、8による正反射光、拡散反射光の受光の開始、停止を制御する。
【0049】
図7は実施例1の濃度対応情報の一例の説明図であり、図7Aは濃度対応情報の一覧表の説明図、図7Bは正反射光受光体と拡散反射光受光体の個体差に応じた濃度と出力値とのグラフである。
C7:濃度対応情報記憶手段
濃度対応情報記憶手段C7は、センサ部2のディテクタ7,8から出力された出力値Vと前記出力値Vに対応する濃度を特定する濃度対応情報を記憶する。図7において、実施例1の濃度対応情報記憶手段C7は、正反射ディテクタの出力値V1から拡散反射ディテクタ8の出力値V2を減算した値である合算出力値V=V1−V2と、前記合算出力値Vに対応する濃度N[%]とを特定する関数N=f(V)が濃度対応情報として記憶されている。なお、実施例1では、前記合算出力値Vと濃度Nとの関係は、Y,M,C,Kの各色の現像剤の反射特性に応じて、色毎に以下の式(1−1)〜式(1−4)で示される関数が記憶されている。
Y色: Ny=fy(Vy) …式(1−1)
M色: Nm=fm(Vm) …式(1−2)
C色: Nc=fc(Vc) …式(1−3)
K色: Nk=fk(Vk) …式(1−4)
なお、Ny,Nm,Nc,Nkは、Y,M,C,Kの各色の濃度、fy,fm,fc,fkは、Y,M,C,Kの各色に応じて実験等で予め導出された関数、Vy,Vm,Vc,Vkは、Y,M,C,Kの各色の出力値に対応する。
【0050】
なお、正反射ディテクタの出力値V1から拡散反射ディテクタ8の出力値V2を減算するのは、図7Bに示すように、正反射光の出力値V1には中間転写ベルトB表面での正反射光に現像剤表面での正反射光、および拡散反射光が含まれ、図7Bの感度が低い場合のグラフに示すように個体差や経時劣化等により、トナーの濃度が中濃度〜高濃度で、同一の出力値に対して2つ以上の濃度が対応する場合があるが、拡散、散乱反射光の出力値V2には、現像剤表面での拡散反射光が検知されるため、正反射ディテクタの出力値V1から拡散反射ディテクタ8の出力値V2を減算することで、出力値と現像剤の濃度が1対1、すなわち、出力値と濃度との関係を特定する関数として、単調減少の関数を得ることができるためである。したがって、実施例1では、センサ部2に対して、実験等により予め関数N=f(V)が測定され、記憶されている。
また、実施例1の濃度対応情報記憶手段C7では、基準板21の基準濃度に対して実験等により予め設定された出力値Vkが記憶されている。なお、実施例1では、基準濃度に対する各ディテクタ7,8の出力値Vk1,Vk2を記憶している。
【0051】
C8:基準部材読取り制御手段
基準部材読取り制御手段C8は、基準部材読取り判別手段C8Aと、出力値記憶手段C8Bと、基準出力値検知手段C8Cと、演算手段の一例としての補正出力値演算手段C8Dとを有し、基準板21の濃度の読取りを制御する。実施例1の基準部材読取り制御手段C8は、濃度補正用の画像や色ズレ補正用の画像を形成して画像形成時期や各印加電圧等の調整を行う処理、いわゆるプロセスコントロールが開始されると、前記濃度検知装置制御手段C6等に信号を送信してセンサ部2を作動させて、基準検知位置の一例である閉鎖位置に保持されているシャッタ18に支持されている基準板21からの反射光をディテクタ7,8で受光して、基準出力値Vref′を取得することで、基準板21の基準濃度をセンサ部2で読み取る。
【0052】
C8A:基準部材読取り判別手段
基準部材読取り判別手段C8Aは、基準板21を読み取る時期になったか否かを判別する。実施例1の基準部材読取り判別手段C8Aは、プロセスコントロールが開始された場合に、基準板21を読み取る時期になったと判別する。
C8B:出力値記憶手段
記憶手段の一例としての出力値記憶手段C8Bは、検知距離用出力値記憶手段C8B1と、基準距離用出力値記憶手段C8B2とを有し、予め測定されたセンサ部2の出力値を記憶する。実施例1の出力値記憶手段C8Bは、センサ部2の各ディテクタ7,8から出力される出力値を記憶する。
【0053】
図8は実施例1の検知距離用出力値と基準距離用出力値の説明図であり、図8Aは濃度検知部材の個体差や取付誤差の説明図、図8Bは図8Aの状態における検知面から検知対象までの距離と検知部材の出力とのグラフである。
C8B1:検知距離用出力値記憶手段
検知距離用出力値記憶手段C8B1は、センサ部2のディテクタ7,8から中間転写ベルトBまでの距離である第1の検知距離の一例としてのベルト距離L1だけ、センサ部2から離れた位置に基準板21を仮設した場合に、基準板21の基準面21aを検知したセンサ部2から出力される第1の距離用検知値の一例としての検知距離用出力値Vinを記憶する。実施例1の検知距離用出力値記憶手段C8B1では、画像形成装置Uの製造時に、センサ部2を設置し且つ中間転写ベルトBの位置に基準板21を仮設した状態で、センサ部2を作動させてディテクタ7,8の出力値Vin1,Vin2をそれぞれ測定し、測定された出力値を検知距離用出力値Vin1,Vin2として記憶する。
【0054】
C8B2:基準距離用出力値記憶手段
基準距離用出力値記憶手段C8B2は、センサ部2のディテクタ7,8から基準検知位置である閉鎖位置における基準面21aまでの距離であり且つ前記ベルト距離L1よりも距離が短い第2の検知距離の一例としての基準距離L2だけ離れた前記基準位置における前記基準板21の検知面21aを検知した場合にセンサ部2から出力される第2の距離用検知値の一例としての基準距離用出力値Vrefを記憶する。実施例1では、画像形成装置Uの製造後の検査時に、閉鎖位置に基準板21が保持された状態で、センサ部2を作動させてディテクタ7,8の出力値Vref1,Vref2をそれぞれ測定し、測定された出力値を基準距離用出力値Vref1,Vref2として記憶する。
【0055】
C8C:基準出力値検知手段
基準出力値検知手段C8Cは、基準部材読取り判別手段C8Aにより基準板21を読み取る時期になったと判別された場合、センサ部2を作動させて、基準面21aからの反射光をセンサ部2で受光した際に出力される出力値である第2の検知値の一例としての基準出力値Vref′を検知する。実施例1の基準出力値検知手段C8Cは、基準面21aからの反射光を受光した各ディテクタ7,8の出力値Vref1′,Vref2′を基準出力値Vref1′,Vref2′として取得、検知する。なお、実施例1では、プロセスコントロールが開始された場合に、基準板21を読み取る時期になったと判別される。
【0056】
C8D:補正出力値演算手段
演算手段の一例としての補正出力値演算手段C8Dは、基準板21の基準面21aが基準検知位置においてセンサ部2により検知された場合の基準出力値Vref′と、予め測定された検知距離用出力値Vinおよび基準距離用出力値Vrefと、に基づいて、検知距離においてセンサ部2により基準面21aが検知された場合に出力される出力値である補正出力値Vkを演算する。
図8において、ディテクタ7,8や発光素子6の個体差や取付誤差等により発光素子6から照射される光や、各ディテクタ7,8で受光可能な光が図8Aに示すように変化することがあり、図8Bに示すように基準板21からの反射光を受光した場合と、中間転写ベルトBからの反射光を受光した場合とで、各ディテクタ7,8から出力される出力値Vin、Vrefに大きな差が発生することがある。例えば、図8に示すように、照射される光が設定よりも内向きの場合にはベルト距離L1と基準距離L2とで出力値の差がズレBであり、ほとんど差が無いが、外向きの場合には出力値の差がズレAとなり、ズレが比較的大きくなる。すなわち、基準板21の基準濃度の検知結果Vref,Vref′をそのまま使用しても、出力値Vinとの間に大きな差が発生する場合がある。
【0057】
これに応じて、実施例1の補正出力値演算手段C8Dは、固体値の一例としての検知距離用出力値Vinと基準距離用出力値Vrefとの差分ΔVref=Vin−Vrefを、基準出力値Vref′に加算することで、補正出力値Vk=Vref′+ΔVref=Vref′+Vin−Vrefを演算する。したがって、基準面21aを検知した際の出力値Vref′が、プロセスコントロール時にトナーパッチTPが保持されている中間転写ベルトB表面の位置に対応する出力値Vkに補正され、この補正出力値Vkを基準としてプロセスコントロールが実行される。すなわち、経時的な劣化や温度等によりディテクタ7,8の感度が変化して、補正出力値Vkが初期状態の出力値Vrefから変化することがあり、この変化分に応じて各トナーパッチTPの出力値を補正することで、ディテクタ7、8の感度変化に応じた補正することが可能となる。
なお、実施例1の補正出力値演算手段C8Dでは、各ディテクタ7,8毎に、Vk1=Vref1′+Vin1−Vref1およびVk2=Vref2′+Vin2−Vref2の演算が行われる。
【0058】
C9:階調補正制御手段
階調補正制御手段C9は、階調補正用画像記憶手段C9Aと、階調補正用画像形成制御手段C9Bと、階調濃度出力値記憶手段C9Cと、読取り濃度検出手段の一例としてのスキャン濃度検知手段C9Dと、出力値変化演算手段C9Eと、変化量補正出力値演算手段C9Fとを有し、形成される画像の濃淡である階調の補正処理の制御を行う。実施例1の階調補正制御手段C9は、階調補正開始釦UI5の入力がされた場合に、階調補正処理を開始する。
C9A:階調補正用画像記憶手段
階調補正用画像記憶手段C9Aは、階調補正処理を実行する際に形成される階調補正画像を記憶する。図6Bにおいて、実施例1では、階調補正画像の一例として、Y,M,C,Kの各色について、予め設定された大きさの四角形状で濃度10%、40%、70%、100%の各画像を含む画像、いわゆるキャリブレーション画像KGを記憶している。
【0059】
C9B:階調補正用画像形成制御手段
階調補正用画像形成制御手段C9Bは、潜像形成装置LHy〜LHkを制御して、階調補正用画像記憶手段C9Aに記憶された階調補正用画像を形成し、転写装置T1+T2+Bを介して媒体Sに転写させ、定着装置Fで定着させる。
C9C:階調濃度出力値記憶手段
階調濃度出力値記憶手段C9Cは、階調補正用画像形成制御手段C9Bで形成され、中間転写ベルトB表面に保持された階調補正用画像が、センサ部2の位置を通過する際にセンサ部2で検知された出力値である階調濃度出力値Vhを記憶する。実施例1の階調濃度出力値記憶手段C9Cは、階調濃度出力値Vhとして、各色の各濃度に応じた階調濃度出力値Vhy(10%),Vhy(40%),Vhy(70%),Vhy(100%),Vhm(10%),…,Vhk(100%)を記憶する。
【0060】
C9D:スキャン濃度検知手段
スキャン濃度検知手段C9Dは、階調補正用画像が印刷された媒体SがスキャナU1の原稿として設置された状態で読取り開始釦の一例としてのコピー開始釦UI1の入力に応じて、スキャナU1で読み取られた階調補正用画像の濃度である読取り濃度Nsを検知する。実施例1では、各色の各濃度に応じた読取り濃度を検知する。
C9E:出力値変化演算手段
出力値変化演算手段C9Eは、スキャナU1で読み取られた階調補正用画像の読取り濃度Nsに対して濃度対応情報である関数N=f(V)から導出される設定出力値の一例としての読取り出力値Vsと、センサ部2から出力された階調濃度出力値Vhと、の変化量を演算する。実施例1の出力値変化演算手段C9Eは、前記読取り出力値Vsと、中間転写ベルトBからセンサ部2で実際に検知された階調濃度出力値Vhとの変化量として、差分値ΔVh=Vs−Vhが演算される。なお、実施例1の出力値変化演算手段C9Eは、Y,M,C,Kの各色の10%、40%、70%、100%の濃度の画像毎に変化量が演算され、その平均値が変化量ΔVhとして使用される。
【0061】
C10:濃度測定手段
濃度測定手段C10は、濃度補正手段の一例としての出力値補正手段C10Aとを有し、センサ部2のディテクタ7、8により出力された出力値V1,V2に基づいて、中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度Nを測定する。実施例1の濃度測定手段C10は、補正出力値Vkに対応する基準濃度Nkを基準として、プロセスコントロール動作時に中間転写ベルトB表面に保持された画像をセンサ部2で検知した場合の出力値Vに対応する濃度Nを測定する。また、実施例1の濃度測定手段C10では、画像形成動作時に中間転写ベルトB表面に保持された画像をセンサ部2で検知した場合の出力値Vが前記変化量ΔVhに基づいて補正された変化量補正出力値V+ΔVhと、濃度対応情報N=f(V)と、に基づいて、中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度Nを測定する。
【0062】
C10A:出力値補正手段
出力値補正手段C10Aは、センサ部2のディテクタ7,8から出力された出力値V1,V2を、補正出力値Vkや変化量ΔVhに基づいて補正する。例えば、正反射ディテクタの出力値V1に対して、基準板21の濃度対応情報記憶手段C7に記憶された基準濃度に対応する検知距離用出力値Vin1と補正出力値Vk1との変化分である変化値の一例としての差分ΔVk1=Vk1−Vin1が加算される補正が行われると共に、測定されるプロセスコントロール用画像に対応して各変化量ΔVhが加算される補正が行われる。すなわち、正反射用補正後出力値V1′=V1+ΔVk1+ΔVhおよび拡散反射用補正後出力値V2′=V2+ΔVk2+ΔVhが演算される。したがって、前記濃度測定手段C10では、補正後出力値V1′,V2′に基づいて、濃度対応情報N=f(V)=f(V1′−V2′)が演算されて、濃度Nの測定が行われ、測定された濃度Nに応じてプロセスコントロールが実行される。なお、実施例1の出力値補正手段C10Aは、前述のように演算を行ったが、演算の順序は、これに限定されず、例えば、基準表面21aを基準位置で検知した値と、中間転写ベルトBの位置で検出した値と、の比を記憶しておいて、記憶された比と基準位置で基準表面21aを検知した値とを比較して、演算することも可能である。また、基準位置で基準表面21aを検知した際の値自体を演算に使用しなくても、記憶手段に記憶されている値と、そのとき検知された値との比や差等の相対値を演算に使用しても良い。
【0063】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(濃度検知装置制御処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1の濃度検知装置での濃度検知装置制御処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、画像形成装置Uの制御部Cのハードディスク等に記憶された濃度検知装置制御プログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図9に示すフローチャートは画像形成装置の電源が投入された時に開始される。
【0064】
図9のST1において、プロセスコントロールが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、発光素子6およびディテクタ7,8を作動させて、各ディテクタ7,8で基準板21の基準濃度Vref′を測定する。そして、ST3に進む。
ST3において、シャッタ18を図4Aに示す開放位置に移動させる。そして、ST4に進む。
【0065】
ST4において、中間転写ベルトBに保持された濃度調整用画像に対するディテクタ7,8の読取り結果、すなわち、濃度調整用画像の検知結果の出力値V1,V2を補正して、補正後出力値V1′,V2′として出力する。なお、このとき、濃度検知装置制御処理とは並行して実施されている図示しないプロセスコントロール処理により、出力値V1′,V2′に基づいて、プロセスコントロールが実行される。そして、ST5に進む。
ST5において、プロセスコントロールが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST5を繰り返す。
ST6において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST1に戻る。
(1)シャッタを図4Bに示す閉鎖位置に移動させる。
(2)センサ部2の作動を停止させる。
【0066】
(自動階調補正処理のフローチャートの説明)
図10は実施例1の画像形成装置での自動階調補正処理のフローチャートである。
図10のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、画像形成装置Uの制御部Cのハードディスク等に記憶された自動階調補正プログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図10に示すフローチャートは画像形成装置の電源が投入された時に開始される。
【0067】
図10のST11において、階調補正開始釦UI5の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST11を繰り返す。
ST12において、キャリブレーション画像KGを形成して、ST13に進む。
ST13において、発光素子6およびディテクタ7,8を作動させて、各ディテクタ7,8で基準板21の基準濃度Vref′を測定する。そして、ST14に進む。
ST14において、シャッタ18を図4Aに示す開放位置に移動させる。そして、ST15に進む。
【0068】
ST15において、中間転写ベルトBに保持されたキャリブレーション画像KGに対するディテクタ7,8の読取り結果の出力値Vhを出力する。そして、ST16に進む。
ST16において、キャリブレーション画像KGが印刷された媒体Sが排出されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST17に進み、ノー(N)の場合はST16を繰り返す。
ST17において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST18に進む。
(1)シャッタを図4Bに示す閉鎖位置に移動させる。
(2)センサ部2の作動を停止させる。
【0069】
ST18において、コピー開始釦UI1の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST19に進み、ノー(N)の場合はST18を繰り返す。
ST19において、キャリブレーション画像KGが印刷された媒体SをスキャナU1で読み取る。そして、ST20に進む。
ST20において、スキャナU1の読取り結果と、センサ部2の読取り結果Vhとに基づいて、変化量ΔVhを演算し、保存する。そして、ST11に戻る。
【0070】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、プロセスコントロールが開始されると、センサ部2は、中間転写ベルトB表面のトナーパッチTPの濃度を読みとる前に、閉鎖位置のシャッタ18に支持された基準板21の基準濃度を読みとる。基準濃度が読み取られると、シャッタ18が開放位置に移動して、センサ部2が中間転写ベルトBに対して露出した状態となる。そして、通過する中間転写ベルトB表面のトナーパッチTPが、読み取られた基準濃度を基準として、センサ部2により読み取られる。したがって、温度や湿度等の環境の変化や経時的な劣化等で、基準濃度に対応するセンサ部2の出力値が変化しても、トナーパッチTPが読み取られる前に、基準濃度が読み取られて、出力値の補正、基準化が行われる。従って、基準化された状態で出荷後に基準化が行われない場合に比べて、随時補正、基準化が行われ、濃度検知の精度が向上する。
【0071】
また、実施例1の濃度検知装置1では、基準板21がシャッタ18に支持されており、検知面9aから基準板21間での基準距離L2と、検知面9aから中間転写ベルトBのトナーパッチTPまでのベルト距離L1とが異なっており、発光素子6やディテクタ7,8の個体差や取付誤差等で基準濃度を読み取る際の出力値がそのまま使用できないことがある。これに対応して、中間転写ベルトBに対応するベルト距離L1に仮設した基準濃度の出力値Vinと、基準距離L2の基準濃度の出力値Vrefを予め測定しておき、その差分であるΔVrefで補正して出力値を得ている。したがって、中間転写ベルトBに対応する位置に基準板21を配置する必要が無くなり、中間転写ベルトBの外部に基準板21が配置可能になると共に、基準板21までの距離が中間転写ベルトBまでの距離と異なり、センサ部2の個体差等が生じても、基準濃度の読み取り時の出力値が中間転写ベルトBの距離に対応する出力値に補正されて、補正された基準濃度を基準として精度よくトナーパッチTPの濃度を検知することが可能になっている。
【0072】
さらに、実施例1の濃度検知装置1では、開閉可能なシャッタ18がプロセスコントロール時に開放されて、プロセスコントロールが終了すると閉塞されており、画像形成動作中等に中間転写ベルトBから落下した現像剤や2次転写領域から飛散した現像剤や紙粉等で検知面9aが汚染されることが低減されている。特に、実施例1では、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態で、検知面9aおよび基準板21の前後両側が、基準面クリーナ11と検知面クリーナ19とにより挟まれて密閉された状態となっており、前後の一方または両方が開放されている構成に比べて、検知面9aおよび基準板21の汚染が低減されている。
【0073】
特に、実施例1の濃度検知装置1では、シャッタ18に支持された検知面クリーナ19が、シャッタ18の開放位置と閉鎖位置との間で移動する際に、検知面9aを清掃している。よって、トナーパッチTPの現像剤や中間転写ベルトBに付着した残留物が落下して検知面9aに付着しても、検知面9aが清掃され、センサ部2による検知の精度が低下することが低減されている。
また、実施例1の濃度検知装置1では、収容カバー3に基準板クリーナ11が支持されており、シャッタ18の移動に伴って基準板21の基準面21aに接触して清掃する。したがって、開放位置で基準面21aに飛散した現像剤等が付着しても、シャッタ18が閉鎖位置に移動する際に基準面21aが清掃されて、前後が閉塞された状態となっており、次回の基準面21aの読み取り時に汚染が低減された状態で基準面21aの読み取りが可能になっている。
【0074】
さらに、実施例1の画像形成装置Uでは、階調補正開始釦UI5の入力がされると、自動階調補正処理が開始され、キャリブレーション画像KGが形成される。そして、中間転写ベルトB上のキャリブレーション画像KGの濃度がセンサ部2で読み取られ、媒体Sに転写、定着されたキャリブレーション画像KGがスキャナU1で読み取られる。一般に、センサ部2の濃度検知精度に比べて、スキャナU1の濃度検知精度の方が高くなっており、前述のようにセンサ部2が経時的な劣化等で出力値が変化することがある。実施例1の画像形成装置では、スキャナU1で読み取られた濃度を基準として、読み取られた濃度に対応するはずの出力値Vsに対して、センサ部2から出力された出力値Vhに差がある場合に、変化量ΔVhが演算されて、次回以降にトナーパッチTPの濃度を検出する際の補正に使用される。したがって、基準板21のみの基準化では、経時劣化等でセンサ部2の全体的な出力値の変動に対して対応しきれなくなるおそれがあるが、濃度検知装置1とは異なる装置であるスキャナU1を基準として補正を行うことで、キャリブレーション画像KGに基づく出力値の補正を行わない場合に比べて、センサ部2の濃度の読み取り精度が低下することが低減されている。
【実施例2】
【0075】
図11は実施例1の図4に対応する実施例2の濃度検知装置の要部説明図であり、図11Aは開放位置に移動した状態の説明図、図11Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図11において、実施例2の濃度検知装置1では、窓材9の前後方向の長さについて、前側の長さが短く形成されている。したがって、実施例2では、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態では、図11Bに示すように、検知面クリーナ19の先端が窓材9の前端よりも前側に配置される。この状態では、検知面クリーナ19の先端は弾性復元により、窓材9の検知面9aよりも下方、すなわち、検知部材本体6〜8側に配置された状態となる。
【0076】
(実施例2の作用)
図12は実施例2の作用説明図である。
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置Uでは、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態では、検知面クリーナ19の先端が検知面9aから離れ、弾性復元した状態となる。図12において、閉鎖位置で検知面クリーナ19が検知面9aに接触して弾性変形した状態では、シャッタ連結アーム17で片持ち状態のシャッタ18に検知面クリーナ19の弾性力が作用し、図12に示すように、経時的にシャッタ18が永久変形することがあり、基準板21と検知面9aとの間隔が変化する可能性があった。これに対して、実施例2では、閉鎖位置において検知面クリーナ19が弾性復元した状態となり、シャッタ18が変形して、基準板21の検知精度が低下することが低減されている。また、実施例2では、閉鎖位置では、検知面クリーナ19が弾性復元しており、閉鎖位置で検知面9aに接触して弾性変形した状態で長時間保持されて、検知面クリーナ19が永久変形して清掃能力が低下する場合に比べて、清掃能力の低下も低減されている。
【0077】
また、実施例2では、閉鎖位置において、基準板クリーナ11も基準板21から離間しており、シャッタ18に弾性力が作用して変形させる恐れが低減されている。なお、各クリーナ11,19と検知面9aやシャッタ18との間隔は微小な間隔または清掃時に比べて弱い圧力で接触した状態に設定されており、内部の空間に現像剤等が進入しにくくなっている。特に、検知面クリーナ19の先端19aが検知面9aよりも下方に延びており、現像剤の進入が阻止可能な位置に配置されており、内部の汚染が低減されている。
その他、実施例2は、実施例1と同様の作用を有する。
【実施例3】
【0078】
図13は実施例1の図4に対応する実施例3の濃度検知装置の要部説明図であり、図13Aは開放位置に移動した状態の説明図、図13Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1、2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成されている。
図13において、実施例3の濃度検知装置1では、閉鎖位置において、検知面クリーナ19の先端19aは、検知面9aの前側に近接した状態となるように設定されている。したがって、実施例3では、実施例2と同様に、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態では、図13Bに示すように、検知面クリーナ19の先端が窓材9の前端よりも前側に配置される。この状態では、検知面クリーナ19の先端は弾性復元により、窓材9の検知面9aよりも下方、すなわち、検知部材本体6〜8側に配置された状態となる。
【0079】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の濃度検知装置1では、実施例2と同様に、閉鎖位置において、各クリーナ11,19が基準板21や検知面9aから離間して、弾性復元した状態となっており、基準面21の検知精度が低下することが低減されている。
【実施例4】
【0080】
図14は実施例4の濃度検知装置の要部説明図であり、図14Aは検知部材収容体とシャッタの斜視図、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見た図である。
次に、本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図14において、実施例4の濃度検知装置1では、収容カバー3′は、左右両端部に上方に延びる本体側進入防止壁3d,3eが形成されている。また、実施例4のシャッタ18には、囲み部材の一例として、下方に延びて、基準板21の前後左右の四方を囲む移動体側進入防止壁31が形成されている。そして、前記移動体進入防止壁31の前端壁により、検知面クリーナ19が構成されている。
【0081】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の濃度検知装置1では、開放位置、閉鎖位置および開放位置から閉鎖位置に移動する間、基準板21が各進入防止壁3d,3e,31より囲まれており、現像剤等の進入が妨げられており、基準板21や検知面9aが汚染されることが低減されている。
【実施例5】
【0082】
図15は実施例1の図4に対応する実施例5の濃度検知装置の要部説明図であり、図15Aは開放位置に移動した状態の説明図、図15Bは基準検知位置に移動した状態の説明図、図15Cは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
次に、本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例5は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0083】
図15において、実施例5の濃度検知装置1では、基準板クリーナ11が実施例1と異なり、収容カバー3の前端部に支持されている。また、シャッタ18には、基準板21の後方に検知面クリーナ19が支持されている。実施例5の検知面クリーナ19は、先端19aの面が、検知面9a全体を被覆可能な大きさに設定されている。
そして、実施例5では、閉鎖位置に基準検知位置が設定された実施例1と異なり、閉鎖位置は、図15Cに示すように、基準板21が検知面9aよりも前方に突出した状態となる位置に設定されており、閉鎖位置において検知面クリーナ19の先端19aが検知面9aを被覆した状態で保持される。
【0084】
また、実施例5では、図15Bに示す基準検知位置が、閉鎖位置と図15Aに示す開放位置との間の位置に設定されている。したがって、実施例5では、基準濃度を測定する場合、実施例1のように閉鎖位置で基準板21の検知を行わず、閉鎖位置から基準検知位置にシャッタ18が移動した状態で、基準濃度の検知が行われる。なお、実施例5では、シャッタ18が閉鎖位置から開放位置に移動中に、シャッタ18が停止しない状態で基準板21の基準濃度を検知するように設定されているが、前記基準検知位置においてシャッタ18が一時停止して、基準濃度の検知が行われた後で、開放位置に移動する構成とすることも可能である。
【0085】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の濃度検知装置1では、閉鎖位置において、検知面9aは検知面クリーナ19で被覆されており、現像剤等が付着して汚染されることが低減されている。また、閉鎖位置から基準検知位置に移動する際に、基準板21は基準板クリーナ11により清掃された状態で検知面9aに対向する位置に移動し、閉鎖位置で基準板21に現像剤等が付着していても、清掃された状態で基準濃度の検知が行われる。そして、開放位置に移動すると、中間転写ベルトB表面のトナーパッチTPの濃度が検知される。
したがって、実施例5の濃度検知装置1でも、実施例1と同様の作用を有する。
【0086】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
【0087】
(H02)前記実施例において、実施例4の構成を実施例2,3,5に適用することも可能である。
(H03)前記実施例において、検知面9aから、基準板21までの距離と中間転写ベルトBまでの距離との違いによる出力値の補正はすることが望ましいが、個体差等により各距離における出力値が完全に同一である場合や差が許容できる範囲である場合等には、出力値の補正を省略することが可能である。
(H04)前記実施例において、キャリブレーション画像を使用した補正を行うことが望ましいが、省略することも可能である。
(H05)前記実施例において、例示した具体的な数値や材料等は、設計や仕様等に応じて、適宜変更可能である。
【0088】
(H06)前記実施例において、像保持体の一例としての中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度を検知する構成を例示したが、この構成に限定されず、像保持体の一例としての感光体PRy〜PRk表面に保持された画像の濃度を検知する構成とすることも可能である。また、ベルト状の中間転写体に限定されず、回転円筒体状の中間転写体、すなわち中間転写ドラム等を有する画像形成装置に適用することも可能である。
(H07)前記実施例4において、検知面クリーナ19と移動体進入防止壁31の前端壁と共通化したが、この構成に限定されず、移動体進入防止壁31と検知面クリーナ19とを共通化せず、別個に設ける構成とすることも可能である。
【0089】
(H08)前記実施例において、濃度検知装置が複数あり、共通の移動部材に濃度検知装置毎の基準板と検知面清掃部材を備え、移動部材の移動により複数の濃度検知装置による基準濃度検知・トナーパッチ濃度検知・検出面清掃が行える構成とすることも可能である。
(H09)前記実施例において、発光部が1つで受光部が2つの構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、受光部が1つで発光部が正反射用と拡散反射用とで2つの構成としたり、受光部と発光部とが2個ずつある構成としたり、等、発光部と受光部の数や組み合わせは、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
【図4】図4は濃度検知装置の要部説明図であり、図4Aは開放位置の状態の説明図、図4Bは閉鎖位置の状態の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施例1の画像形成装置の制御部分が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
【図6】図6は実施例1の濃度補正処理および階調補正の要部説明図であり、図6Aは濃度補正時に中間転写ベルト表面に形成されるトナーパッチの説明図、図6Bは階調補正時に使用されるキャリブレーション画像の説明図である。
【図7】図7は実施例1の濃度対応情報の一例の説明図であり、図7Aは濃度対応情報の一覧表の説明図、図7Bは正反射光受光体と拡散反射光受光体の個体差に応じた濃度と出力値とのグラフである。
【図8】図8は実施例1の検知距離用出力値と基準距離用出力値の説明図であり、図8Aは濃度検知部材の個体差や取付誤差の説明図、図8Bは図8Aの状態における検知面から検知対象までの距離と検知部材の出力とのグラフである。
【図9】図9は実施例1の濃度検知装置での濃度検知装置制御処理のフローチャートである。
【図10】図10は実施例1の画像形成装置での自動階調補正処理のフローチャートである。
【図11】図11は実施例1の図4に対応する実施例2の濃度検知装置の要部説明図であり、図11Aは開放位置に移動した状態の説明図、図11Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
【図12】図12は実施例2の作用説明図である。
【図13】図13は実施例1の図4に対応する実施例3の濃度検知装置の要部説明図であり、図13Aは開放位置に移動した状態の説明図、図13Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
【図14】図14は実施例4の濃度検知装置の要部説明図であり、図14Aは検知部材収容体とシャッタの斜視図、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見た図である。
【図15】図15は実施例1の図4に対応する実施例5の濃度検知装置の要部説明図であり、図15Aは開放位置に移動した状態の説明図、図15Bは基準検知位置に移動した状態の説明図、図15Cは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
【符号の説明】
【0091】
1…濃度検知装置、
2…検知部、
6…発光体、
7…正反射光受光体、
7+8…受光体、
8…拡散反射光受光体、
11,19…弾性体、
18…移動部材、
21a…第2の検知対象面、
B…第1の検知対象面,像保持体、
C8B…記憶手段、
C8D…演算手段、
C10A…濃度補正手段、
ΔVk…変化値、
ΔVref…固体値
L1…第1の検知距離、
L2…第2の検知距離、
U…画像形成装置、
Vin…第1の距離用検知値、
Vref…第2の距離用検知値、
Vref′…第2の検知値。
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度検知装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、形成される画像の濃度を検知する技術に関し、下記の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2007−148259号公報には、正反射光の受光体と拡散反射光の受光体を有する反射型センサを使用して画像濃度を測定する画像形成装置において、センサ個々の感度の違いによる特性に対して、予め基準反射体に対するセンサ個々の正反射光出力、拡散反射光出力を測定して検査データとして記憶しておき、トナー濃度に関連するトナー付着量を算出する際にフィードバックさせることで、センサの個々の感度の違いを補正して、基準化する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−148259号公報(「0045」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、検知部の個体差や経時的変化に応じて発生する特性の変化を補正可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の濃度検知装置は、
光を発光する発光体と、前記発光体から発光された光が、前記発光体と対向して配置された第1の検知対象面で反射した光を受光する受光体と、を有し、前記第1の検知対象面の濃度を検知する検知部と、
前記検知部と前記第1の検知対象面との間であって、前記検知部と一体に形成された第2の検知対象面と、
前記検知部から前記第1の検知対象面までの距離である第1の検知距離だけ前記検知部から離れた位置に前記第2の検知対象面を仮設した場合に、前記第2の検知対象面を検知した際に、前記検知部で検知される第1の距離用検知値と、前記検知部から第2の検知対象面までの距離であり且つ前記第1の検知距離よりも距離が短い第2の検知距離だけ離れた位置における前記第2の検知対象面を検知した場合に前記検知部で検知される第2の距離用検知値と、を記憶する記憶手段と、
前記第2の検知対象面を前記検知部により検知した第2の検知値と、前記記憶手段に予め記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する濃度補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の濃度検知装置において、
前記各検知対象面での正反射光を受光する正反射受光体と、前記各検知対象面での拡散反射光を受光する拡散反射受光体と、を有する前記受光体、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の濃度検知装置において、
前記検知部と前記第1の検知対象面との間で移動可能に支持された移動部材と、
前記移動部材と一体的に移動する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の濃度検知装置において、
前記検知部と前記第1の検知対象面を閉鎖する閉鎖位置と、前記検知部と前記第1の検知対象面との間を開放する開放位置と、の間を移動する前記移動部材、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の濃度検知装置において、
前記移動部材に支持され、且つ、前記閉鎖位置において弾性変形する弾性体と、
前記移動部材が前記閉鎖位置と前記開放位置との間を移動中に前記検知部に対向する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の濃度検知装置において、
前記第2の検知値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値に基づいて、前記第2の検知対象面を前記第1の検知距離離れた位置で検知した場合の検知値を演算する演算手段、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検知装置において、
前記第2の検知値と前記記憶手段に記録された前記第2の距離用検知値との比に応じた変化値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値と前記第2の距離用検知値との比に応じた固体値、とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する前記濃度補正手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項8に記載の発明の画像形成装置は、
前記第1の検知対象面としての表面を有する像保持体と、
前記像保持体表面または前記像保持体表面に保持された画像を検知する請求項1ないし7のいずれかに記載の濃度検知装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、8に記載の発明によれば、予め測定された前記検知距離用出力値および前記基準距離用出力値に基づいて補正出力値の演算を行わない構成に比べて、検知部材の個体差や経時的変化に応じて発生する特性の変化を随時補正可能にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、正反射と拡散反射の光量の違いの個体差に応じて、検知部の基準化ができる。
請求項3に記載の発明によれば、第1の検知対象面と検知部を移動させることなく、第2の検知対象面を検出できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、検知部が汚れることを防止できる。
請求項5に記載の発明によれば、閉塞位置における弾性体の経時変化によらず、第2の検知対象面と検知部との距離を一定に保持することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第2の検知対象面の実際の検知値である第2の検知値から、第1の検知距離離れた位置で検知した場合の検知値を演算できる。
請求項7に記載の発明によれば、変化値と固体値から第1の検知対象面の濃度を補正でき、個体差に応じた濃度の検出ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
図1において、本発明の画像形成装置の実施例1としての複写機Uは、上端部に配置された画像読取り装置の一例としてのスキャナU1と、スキャナU1を支持する画像記録装置の一例としての画像形成装置本体U2と、を有する。前記画像形成装置本体U2の下部には、媒体収容容器の一例として、媒体の一例としてのシートを収容する複数の給紙トレイTR1〜TR4が着脱可能に装着されている。
【0018】
図2は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2において、前記スキャナU1は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿給紙部TG1と、原稿給紙部TG1から給紙されて透明な原稿読取り面PG上の原稿読取位置を通過して搬送される原稿Giが排出される原稿排紙部TG2とを有している。
前記スキャナU1には、利用者が画像形成動作開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIと、露光光学系A、固体撮像素子CCD等が設けら得ている。
【0019】
前記原稿読取り面PG上を搬送される原稿または手動で原稿読取り面PG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで赤:R、緑:G、青:Bの電気信号に変換される。
画像情報変換部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒:K、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:Cの画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を所定の時期に潜像形成用の画像情報として潜像形成装置駆動回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒のみの画像情報が潜像形成装置駆動回路DLに入力される。
前記潜像形成装置駆動回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を所定の時期に、各色毎に配置された潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
【0020】
図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
前記画像形成装置Uの重力方向中央部に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、Y,M,C、およびKの各色の可視像を形成する装置である。
潜像形成装置LHy〜LHkの各潜像書込光源から出射したY,M,C,Kの潜像書込光は、それぞれ、回転する像保持体の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。なお、実施例1では、前記潜像形成装置LHy〜LHkは、いわゆる、LEDアレイにより構成されている。
前記Yの可視像形成装置Uyは、回転する感光体PRy、帯電器CRy、潜像形成装置LHy、現像装置Gy、転写器T1y、像保持体清掃器CLyを有している。なお、実施例1では、前記感光体PRy、帯電器CRy、像保持体清掃器CLyが、画像形成装置本体U2に対して一体的に着脱可能な像保持体ユニットとして構成されている。
前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0021】
図2,図3において、前記各感光体PRy,PRm,PRc,PRkはそれぞれの帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより帯電された後、画像書込位置Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、潜像形成装置LHy〜LHkにより表面に静電潜像が形成される。前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤保持体の一例としての現像ロールR0y,R0m,R0c,R0kに保持された現像剤により可視像の一例としてのトナー像に現像される。
その現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定の時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0022】
前記各感光体PRy〜PRk上のトナー像は前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留物、付着物は、像保持体清掃器CLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面は、帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。
【0023】
前記感光体PRy〜PRkの上方には、上下移動可能且つ前方に引き出し可能な中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、中間転写体張架部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび二次転写領域対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは、前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより構成される中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより回転移動可能に支持されている。
【0024】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して2次転写部材の一例としての二次転写ロールT2bが配置されており、前記各ロールT2a,T2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域には2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
【0025】
前記可視像形成装置Uy〜Ukの下方には、ガイド部材の一例としての左右一対のガイドレールGRが4段設けられており、前記ガイドレールGRには、給紙トレイTR1〜TR4が前後方向に出入可能に支持されている。前記給紙トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。そして、シートSは、媒体搬送路の一例であるシート搬送路SH1に沿って媒体搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送され、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側に配置された転写領域搬送時期調節部材の一例としてのレジロールRrに送られる。前記シート搬送路SH、シート搬送ロールRa、レジロールRr等によりシート搬送装置SH+Ra+Rrが構成されている。
【0026】
レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記シートSを2次転写領域Q4に搬送する。シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地され、2次転写ロールT2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2によりシートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。また、二次転写ロールT2b表面に付着した紙粉や現像剤等の残留物は、二次転写器清掃装置の一例としての二次転写クリーナCLtにより除去されて二次転写ロールT2bが清掃される。
したがって、実施例1の画像形成装置Uでは、前記一次転写器T1y〜T1k、中間転写ベルトB、二次転写器T2等により、感光体PRy〜PRk表面のトナー像をシートSに転写する転写装置T1+B+T2が構成されている。
【0027】
前記トナー像が2次転写されたシートSは、定着装置Fの加熱用定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧用定着部材の一例としての加圧ロールFpの圧接領域である定着領域Q5に搬送され、前記定着領域を通過する際に加熱定着される。
なお、前記加熱ロールFh表面には、シートSの前記加熱ロールからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
ここで、前記可視像形成装置Uy〜Uk、ベルトモジュールBM、2次転写器T2、定着装置F等により、実施例1の画像記録部Uy〜Uk+BM+T2+Fが構成されている。
【0028】
前記定着装置Fの搬送方向下流側である上方には、記録シートSを第1の媒体積載部の一例としての排紙トレイTRhに搬送する場合に第1の媒体排出路の一例としての排紙路SH3と、反転や画像記録面を上側にして排出される記録シートSが搬送される分岐搬送路の一例としての上方接続路SH4が配置されている。前記排紙路SH3と上方接続路SH4とが接続されている分岐部には、記録シートSの搬送先に応じて搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第1ゲートGT1が配置されている。したがって、排紙トレイTRhに排出される場合には、定着された記録シートSが排紙路SH3を搬送され、第1の媒体排出部材の一例としての排紙ロールRhにより排紙トレイTRhに排出される。
【0029】
図1、図2において、前記定着装置Fの上方には、媒体排出装置の一例としてのオプション排出ユニットU3が支持されており、前記オプション排出ユニットU3は、前記排紙トレイTRhの上方に配置され、排紙トレイTRhと同様に画像記録面が下側になる状態で積載される第2の媒体排出部の一例としてのフェイスダウントレイTRh2と、画像記録面が上側になる状態で積載される第3の媒体排出部の一例としてのフェイスアップトレイTRh3とを有する。
【0030】
前記オプション排出ユニットU3内部には、前記上側接続路SH4に接続される搬送路の一例としての反転・排出共通路SH5と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスダウントレイTRh2に記録シートSを送る搬送路の一例としてのフェイスダウン排出路SH6と、前記反転・排出共通路SH5に接続され且つフェイスアップトレイTRh3に記録シートSを送る搬送路の一例としてのフェイスアップ排出路SH7と、を有する。前記フェイスダウン排出路SH6には、第2の媒体排出部材の一例であって媒体反転部材の一例として、正逆回転可能な反転ロールRh2が配置されており、前記フェイスアップ排出路SH7には、第3の媒体排出部材の一例としてのフェイスアップ排紙ロールRh3が配置され、各搬送路SH6,SH7の記録シートSを搬送する。
【0031】
前記反転・排出共通路SH5、フェイスダウン排出路SH6およびフェイスアップ排出路SH7の分岐部には、記録シートSの搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第2ゲートGT2が配置されている。前記第2ゲートGT2は、記録シートSがフェイスダウントレイTRh2に排出される場合と両面印刷のために反転される場合にフェイスダウン排出路SH6に搬送路を切り替え、記録シートSがフェイスアップトレイTRh3に排出される場合にはフェイスアップ排出路SH7に搬送路を切り替える。
ここで、前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5及びフェイスダウン排出路SH6により、実施例1の第2の媒体排出路SH4+SH5+SH6が構成されている。
また、前記上方接続路SH4、反転・排出共通路SH5及びフェイスアップ排出路SH7により、実施例1の第3の媒体排出路SH4+SH5+SH7が構成されている。
【0032】
前記画像形成装置本体U2の左側部には、追加ユニットの一例としての反転ユニットU4が設置されている。前記反転ユニットU4には、反転・排出共通路SH5の下端部に接続され、両面印刷時に記録シートSが搬送される搬送路の一例としての反転路SH8が設けられている。前記反転路SH8は、重力方向に沿って直線上に延びる主反転路SH8aと、前記主反転路SH8aと反転・排出共通路SH5とを接続する上流側反転路SH8bと、前記主反転路SH8aとレジロールRrとを接続する下流側反転路SH8cと、を有する。前記上流側反転路SH8bと反転・排出共通路SH5との接続部には、記録シートSが反転時に上方接続路SH4に搬送されないよう搬送路を切り替える搬送路切り替え部材の一例としての第3ゲートGT3が配置されている。前記反転・排出共通路SH5やフェイスダウン排出路SH6の搬送方向下流側の搬送路である反転路SH8には、反転路SH8内の記録シートSを搬送する反転路搬送部材の一例としての反転路搬送ロールRa2が配置されている。
【0033】
したがって、両面印刷がされる記録シートSは、前記反転・排出共通路SH5を搬送されて、反転ロールRh2により記録シートSの後端部が挟まれた状態になるまでフェイスダウントレイTRh2に排出された後、反転ロールRh2が逆回転し、記録シートSが反転路SH8に搬送される。前記反転路SH8を搬送された記録シートSは、反転路搬送ロールRa2により搬送され、表裏が反転した状態で、レジロールRrに搬送される。
【0034】
前記ベルトモジュールBMの上方にはイエローY,マゼンタM,シアンC,黒Kの各現像剤を収容し、内部の現像剤を画像形成装置Uに搬送して補給する現像剤収容容器の一例であって、着脱体の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各トナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて、図示しない現像剤補給路から前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。
【0035】
(濃度検出装置の説明)
図4は濃度検知装置の要部説明図であり、図4Aは開放位置の状態の説明図、図4Bは閉鎖位置の状態の説明図である。
図2、図3において、前記中間転写ベルトBの回転方向に沿って、黒色の1次転写領域Q3kの下流側且つ2次転写領域Q4の上流側には、濃度検知領域Q6が設定されており、濃度検知領域Q6には、中間転写ベルトB表面に対向して濃度検知装置1が配置されている。図4において、前記本実施例における濃度検知装置の一例としての光センサ1は、検知部の一例としてのセンサ部2を有する。前記センサ部2は、本実施例における第1の検知対象面である中間転写ベルトBに対向して固定支持されている。前記センサ部2は、検知収容体の一例として、箱状の収容カバー3を有する。前記収容カバー3には、前後方向中央部に形成され且つ中間転写ベルトB側が開口した発光体収容部3aが形成されている。発光体収容部3aの前側には、第1の受光体収容部の一例として、中間転写ベルトB側が開口した正反射受光体収容部3bが形成されている。発光体収容部3aの後側には、第2の受光体収容部の一例として、中間転写ベルトB側が開口した拡散反射受光体収容部3cと、が形成されている。
【0036】
前記発光体収容部3aには、発光体の一例として、中間転写ベルトB表面に対して光を照射する光源の一例としての発光素子6が収容されている。前記正反射受光体収容部3bには、正反射受光体の一例として、中間転写ベルトB表面に照射された光の正反射光を受光する正反射ディテクタ7が収容されている。拡散反射受光体収容部3cには、拡散反射受光体の一例として、中間転写ベルトB表面に照射された光の拡散反射光を受光する拡散反射ディテクタ8が収容されている。なお、実施例1では、発光素子6として、従来公知のLED:Light Emission Diode、発光ダイオードが使用され、ディテクタ7、8として、PD:Photodiode、フォトダイオードが使用されているが、これらに限定されず、従来公知の任意の発光体、光源や受光体を使用することが可能である。したがって、フォトダイオードで構成された実施例1のディテクタ7、8は、受光した光の強度に応じた電流が流れ、このときの電圧値[V]が出力値として出力される。
前記正反射ディテクタ7と拡散反射ディテクタ8により、実施例1の受光体7+8が構成されており、前記発光素子6および各ディテクタ7、8により実施例1の検知本体6〜8が構成されている。
【0037】
前記収容カバー3の上面には、光や反射光が透過可能な硝子等の板状の透明体により構成された窓材9が支持されており、窓材9の上面には検知面9aが形成されている。したがって、窓材9により各収容部3a〜3cの上端の開口が閉塞されて、中間転写ベルトBから落下した現像剤や埃等が発光素子6や各受光体7、8に直接付着することが防止され且つ光が透過可能に構成されている。
前記収容カバー3の上面の後端には、中間転写ベルトB側に延びる基準清掃体の一例であり、弾性体の一例としての基準板クリーナ11が支持されている。前記基準板クリーナ11の上端には、基準清掃部の一例としての基準清掃端11aが形成されている。実施例1の基準板クリーナ11は、弾性材料の一例としての板状の発泡材料、いわゆるスポンジにより構成されているが、スポンジに限定されず、ゴム材や布材、樹脂材等の任意の材料を使用することが可能であり、また、形状も板状に限定されず、ローラ状、ブラシ状等の任意の形状とすることが可能である。
【0038】
前記収容カバー3の後方には、駆動系の一例としてのシャッタ駆動装置12が配置されている。シャッタ駆動装置12は、駆動装置本体13を有し、駆動装置本体13内には、図示しない駆動源の一例であるシャッタ移動モータからの駆動が伝達される伝達歯車の一例としてのピニオンギア14が回転可能に支持されている。前記駆動装置本体13には、前後方向に延びる棒状の開閉移動体の一例としてのラック16が前後方向に移動可能に支持されており、ラック16の上縁にはピニオンギア14に噛み合う噛合い部の一例としてのギア歯16aが形成されている。したがって、ピニオンギア14が正逆回転すると、ラック16が前後方向に移動するように構成されている。
【0039】
前記ラック16の前端には、上方に延びる連結部の一例としてのシャッタ連結アーム17が支持されている。前記シャッタ連結アーム17の上端には、移動部材の一例として、板状のシャッタ18の後端が支持されている。したがって、前記シャッタ移動モータの駆動によりラック16が前後方向に移動することで、検知面9aを中間転写ベルトBに対して開放する図4Aに示す開放位置と、シャッタ18が検知面9aと中間転写ベルトBとの間に進入して検知面9aを閉塞する図4Bに示す閉鎖位置との間で移動可能に支持されている。
前記シャッタ18の前端には、検知面9a側に延びる清掃部材の一例であり、弾性体の一例としての検知面クリーナ19が支持されている。前記検知面クリーナ19の下端には、検知面清掃部の一例としてのクリーナ先端部19aが形成されている。実施例1の検知面クリーナ19は、弾性材料の一例としての発泡材料、いわゆるスポンジにより構成されており、クリーナ先端部19aは検知面9aに弾性変形して予め設定された圧力で押された状態で接触可能に支持されている。
【0040】
前記シャッタ18の検知面9a側の面には、画像の濃度の基準となる基準濃度を検知するための基準部材の一例として、基準板21が支持されている。前記基準板21の検知面9a側の下面は、本実施例における第2の検知対象面の一例として、基準面21aにより構成されている。前記基準面21aは、発光素子6からの検査光を正反射および拡散反射するように表面が加工されており、検知部本体6〜8の出力結果を基準化するための基準濃度が検出されるように設定されている。なお、前記基準濃度として、設計や仕様等に応じて任意の濃度を使用可能であるが、例えば、濃度50%に対応する反射率に設定することが可能であり、このほかにも、例えば、0%、10%、…等の複数の濃度の画像が形成された基準濃度一覧表、いわゆるキャリブレーションチャートとし、基準板21を移動させながら、すなわちシャッタ18の移動中に濃度を順次検知する用に構成することも可能である。
なお、実施例1では、基準板クリーナ11の基準清掃端11aが基準板21に接触可能な位置に配置されている。
【0041】
(実施例1の制御部の説明)
図5は本発明の実施例1の画像形成装置の制御部分が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
図5において、実施例1の画像形成装置Uの制御部Cは、小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、外部との信号の入出力、および、入出力信号レベルの調節等を行うI/O、必要な処理を実行するためのプログラム、および、データ等が記憶されたROM、必要なデータを一時的に記憶するためのRAMや、HDD、前記ROMや、前記HDDに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU、ならびにクロック発振器等を有する計算機の一例としてのコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0042】
(制御部Cに接続された信号入力要素)
前記制御部Cには、操作部UI、濃度検知装置1のセンサ部2等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
前記操作部UIは、印刷実行釦の一例であり読取り開始釦の一例としてのコピー開始釦UI1、印刷実行中止釦の一例としてのコピー中止釦UI2、表示部UI3、方向入力釦の一例としての矢印釦UI4、階調補正開始釦UI5等を有する。
濃度検知装置1のセンサ部2は、中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度や、基準板21の基準濃度を検知する。
【0043】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、次の被制御要素D1、D2,Eの制御信号を出力している。
D1:メインモータ駆動回路
主駆動源駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を駆動することにより、感光体PRy〜PRkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
D2:シャッタ移動モータ制御回路
移動部材駆動源制御回路の一例としてのシャッタ移動モータ制御回路D2は、濃度検知装置1のシャッタ移動モータM2を駆動することで、シャッタ18を移動させる。
【0044】
E:電源回路
電源回路Eは、現像用電源回路E1、帯電用電源回路E2、転写用電源回路E3、定着用電源回路E4等を有している。
E1:現像用電源回路
現像用電源回路E1は、現像装置Gy〜Gkの現像ロールR0y〜R0kに現像電圧を印加する。
E2:帯電用電源回路
帯電用電源E2は、帯電器CRy〜CRkそれぞれに感光体PRy〜PRk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
E3:転写用電源回路
転写用電源回路E3は、1次転写装置T1y〜T1kや2次転写ロールT2bに転写電圧を印加する。
E4:定着用電源回路
定着用電源回路E4は、定着装置Fの加熱ロールFhにヒータ加熱用の電源を供給する。
【0045】
(制御部Cの機能)
前記制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:ジョブ制御手段
画像形成動作制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、スキャナU1で読み込まれた原稿画像の情報に応じて、前記帯電器CRy〜CRk、1次転写装置T1y〜T1k、定着装置F等の動作を制御して画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
【0046】
C2:メインモータ駆動制御手段
主駆動源駆動制御手段の一例としてのメインモータ駆動制御手段C2は、前記メインモータ駆動回路D1を介して前記メインモータM1の駆動を制御して、現像装置Gy〜Gk、前記定着装置Fの加熱ロールFh、排出ロールRh等の駆動を制御する。
C3:電源回路制御手段
電源回路制御手段C3は、前記電源回路Eの作動を制御して、前記現像装置Gy〜Gkの現像電圧や前記帯電器CRy〜CRkの帯電電圧、前記1次転写装置T1y〜T1kの1次転写電圧、前記加熱ロールFhのヒータの加熱用電流等の電圧、電流の供給を制御する。
【0047】
図6は実施例1の濃度補正処理および階調補正の要部説明図であり、図6Aは濃度補正時に中間転写ベルト表面に形成されるトナーパッチの説明図、図6Bは階調補正時に使用されるキャリブレーション画像の説明図である。
C4:プロセスコントロール手段
濃度補正制御手段の一例としてのプロセスコントロール手段C4は、予め設定された濃度補正処理開始時期に、濃度補正用の画像、いわゆるトナーパッチTPを形成し、センサ部2で検出された濃度、すなわち付着している現像剤の量と、濃度補正用画像の設定されている濃度との差に応じて、濃度の差、すなわち、濃度のズレが小さくなるように、帯電電圧や現像電圧、潜像形成装置LHy〜LHkのレーザー光強度の調整を行う。図6Aにおいて、実施例1では、プロセスコントロール時には、中間転写ベルトBに、センサ部2に対応する位置に、濃度補正用画像の一例として、Y,M,C,Kの各色毎に四角形状で濃度10%、40%、70%、100%のトナーパッチTPが形成されるように設定されている。また、実施例1では、プロセスコントロールは、画像形成装置Uの電源入力時に初期化動作の一部として実行されるように設定されているが、実行する時期は電源入力時に限定されず、予め設定された印刷枚数毎に実行したり、予め設定された時刻に実行する等任意の時期に設定可能である。
【0048】
C5:シャッタ制御手段
移動部材制御手段の一例としてのシャッタ制御手段C5は、前記シャッタ移動モータ制御回路D2を介して、シャッタ移動モータM2の駆動を制御することで、シャッタ18を開放位置と閉鎖位置との間で移動させる。実施例1のシャッタ制御手段C5は、プロセスコントロールが開始されると、基準板21の濃度をセンサ部2が読み取った後に、シャッタ18を閉鎖位置から開放位置に移動させ、プロセスコントロールが終了するとシャッタ18を開放位置から閉鎖位置に移動させる。
C6:濃度検出装置作動制御手段
濃度検知装置作動制御手段C6は、濃度補正動作、いわゆるプロセスコントロールの実行に応じて、濃度検出装置1の発光素子6やディテクタ7、8の作動、停止を制御する。すなわち、プロセスコントロールの開始、停止に応じて、発光素子6による検査光の照射開始、停止やディテクタ7、8による正反射光、拡散反射光の受光の開始、停止を制御する。
【0049】
図7は実施例1の濃度対応情報の一例の説明図であり、図7Aは濃度対応情報の一覧表の説明図、図7Bは正反射光受光体と拡散反射光受光体の個体差に応じた濃度と出力値とのグラフである。
C7:濃度対応情報記憶手段
濃度対応情報記憶手段C7は、センサ部2のディテクタ7,8から出力された出力値Vと前記出力値Vに対応する濃度を特定する濃度対応情報を記憶する。図7において、実施例1の濃度対応情報記憶手段C7は、正反射ディテクタの出力値V1から拡散反射ディテクタ8の出力値V2を減算した値である合算出力値V=V1−V2と、前記合算出力値Vに対応する濃度N[%]とを特定する関数N=f(V)が濃度対応情報として記憶されている。なお、実施例1では、前記合算出力値Vと濃度Nとの関係は、Y,M,C,Kの各色の現像剤の反射特性に応じて、色毎に以下の式(1−1)〜式(1−4)で示される関数が記憶されている。
Y色: Ny=fy(Vy) …式(1−1)
M色: Nm=fm(Vm) …式(1−2)
C色: Nc=fc(Vc) …式(1−3)
K色: Nk=fk(Vk) …式(1−4)
なお、Ny,Nm,Nc,Nkは、Y,M,C,Kの各色の濃度、fy,fm,fc,fkは、Y,M,C,Kの各色に応じて実験等で予め導出された関数、Vy,Vm,Vc,Vkは、Y,M,C,Kの各色の出力値に対応する。
【0050】
なお、正反射ディテクタの出力値V1から拡散反射ディテクタ8の出力値V2を減算するのは、図7Bに示すように、正反射光の出力値V1には中間転写ベルトB表面での正反射光に現像剤表面での正反射光、および拡散反射光が含まれ、図7Bの感度が低い場合のグラフに示すように個体差や経時劣化等により、トナーの濃度が中濃度〜高濃度で、同一の出力値に対して2つ以上の濃度が対応する場合があるが、拡散、散乱反射光の出力値V2には、現像剤表面での拡散反射光が検知されるため、正反射ディテクタの出力値V1から拡散反射ディテクタ8の出力値V2を減算することで、出力値と現像剤の濃度が1対1、すなわち、出力値と濃度との関係を特定する関数として、単調減少の関数を得ることができるためである。したがって、実施例1では、センサ部2に対して、実験等により予め関数N=f(V)が測定され、記憶されている。
また、実施例1の濃度対応情報記憶手段C7では、基準板21の基準濃度に対して実験等により予め設定された出力値Vkが記憶されている。なお、実施例1では、基準濃度に対する各ディテクタ7,8の出力値Vk1,Vk2を記憶している。
【0051】
C8:基準部材読取り制御手段
基準部材読取り制御手段C8は、基準部材読取り判別手段C8Aと、出力値記憶手段C8Bと、基準出力値検知手段C8Cと、演算手段の一例としての補正出力値演算手段C8Dとを有し、基準板21の濃度の読取りを制御する。実施例1の基準部材読取り制御手段C8は、濃度補正用の画像や色ズレ補正用の画像を形成して画像形成時期や各印加電圧等の調整を行う処理、いわゆるプロセスコントロールが開始されると、前記濃度検知装置制御手段C6等に信号を送信してセンサ部2を作動させて、基準検知位置の一例である閉鎖位置に保持されているシャッタ18に支持されている基準板21からの反射光をディテクタ7,8で受光して、基準出力値Vref′を取得することで、基準板21の基準濃度をセンサ部2で読み取る。
【0052】
C8A:基準部材読取り判別手段
基準部材読取り判別手段C8Aは、基準板21を読み取る時期になったか否かを判別する。実施例1の基準部材読取り判別手段C8Aは、プロセスコントロールが開始された場合に、基準板21を読み取る時期になったと判別する。
C8B:出力値記憶手段
記憶手段の一例としての出力値記憶手段C8Bは、検知距離用出力値記憶手段C8B1と、基準距離用出力値記憶手段C8B2とを有し、予め測定されたセンサ部2の出力値を記憶する。実施例1の出力値記憶手段C8Bは、センサ部2の各ディテクタ7,8から出力される出力値を記憶する。
【0053】
図8は実施例1の検知距離用出力値と基準距離用出力値の説明図であり、図8Aは濃度検知部材の個体差や取付誤差の説明図、図8Bは図8Aの状態における検知面から検知対象までの距離と検知部材の出力とのグラフである。
C8B1:検知距離用出力値記憶手段
検知距離用出力値記憶手段C8B1は、センサ部2のディテクタ7,8から中間転写ベルトBまでの距離である第1の検知距離の一例としてのベルト距離L1だけ、センサ部2から離れた位置に基準板21を仮設した場合に、基準板21の基準面21aを検知したセンサ部2から出力される第1の距離用検知値の一例としての検知距離用出力値Vinを記憶する。実施例1の検知距離用出力値記憶手段C8B1では、画像形成装置Uの製造時に、センサ部2を設置し且つ中間転写ベルトBの位置に基準板21を仮設した状態で、センサ部2を作動させてディテクタ7,8の出力値Vin1,Vin2をそれぞれ測定し、測定された出力値を検知距離用出力値Vin1,Vin2として記憶する。
【0054】
C8B2:基準距離用出力値記憶手段
基準距離用出力値記憶手段C8B2は、センサ部2のディテクタ7,8から基準検知位置である閉鎖位置における基準面21aまでの距離であり且つ前記ベルト距離L1よりも距離が短い第2の検知距離の一例としての基準距離L2だけ離れた前記基準位置における前記基準板21の検知面21aを検知した場合にセンサ部2から出力される第2の距離用検知値の一例としての基準距離用出力値Vrefを記憶する。実施例1では、画像形成装置Uの製造後の検査時に、閉鎖位置に基準板21が保持された状態で、センサ部2を作動させてディテクタ7,8の出力値Vref1,Vref2をそれぞれ測定し、測定された出力値を基準距離用出力値Vref1,Vref2として記憶する。
【0055】
C8C:基準出力値検知手段
基準出力値検知手段C8Cは、基準部材読取り判別手段C8Aにより基準板21を読み取る時期になったと判別された場合、センサ部2を作動させて、基準面21aからの反射光をセンサ部2で受光した際に出力される出力値である第2の検知値の一例としての基準出力値Vref′を検知する。実施例1の基準出力値検知手段C8Cは、基準面21aからの反射光を受光した各ディテクタ7,8の出力値Vref1′,Vref2′を基準出力値Vref1′,Vref2′として取得、検知する。なお、実施例1では、プロセスコントロールが開始された場合に、基準板21を読み取る時期になったと判別される。
【0056】
C8D:補正出力値演算手段
演算手段の一例としての補正出力値演算手段C8Dは、基準板21の基準面21aが基準検知位置においてセンサ部2により検知された場合の基準出力値Vref′と、予め測定された検知距離用出力値Vinおよび基準距離用出力値Vrefと、に基づいて、検知距離においてセンサ部2により基準面21aが検知された場合に出力される出力値である補正出力値Vkを演算する。
図8において、ディテクタ7,8や発光素子6の個体差や取付誤差等により発光素子6から照射される光や、各ディテクタ7,8で受光可能な光が図8Aに示すように変化することがあり、図8Bに示すように基準板21からの反射光を受光した場合と、中間転写ベルトBからの反射光を受光した場合とで、各ディテクタ7,8から出力される出力値Vin、Vrefに大きな差が発生することがある。例えば、図8に示すように、照射される光が設定よりも内向きの場合にはベルト距離L1と基準距離L2とで出力値の差がズレBであり、ほとんど差が無いが、外向きの場合には出力値の差がズレAとなり、ズレが比較的大きくなる。すなわち、基準板21の基準濃度の検知結果Vref,Vref′をそのまま使用しても、出力値Vinとの間に大きな差が発生する場合がある。
【0057】
これに応じて、実施例1の補正出力値演算手段C8Dは、固体値の一例としての検知距離用出力値Vinと基準距離用出力値Vrefとの差分ΔVref=Vin−Vrefを、基準出力値Vref′に加算することで、補正出力値Vk=Vref′+ΔVref=Vref′+Vin−Vrefを演算する。したがって、基準面21aを検知した際の出力値Vref′が、プロセスコントロール時にトナーパッチTPが保持されている中間転写ベルトB表面の位置に対応する出力値Vkに補正され、この補正出力値Vkを基準としてプロセスコントロールが実行される。すなわち、経時的な劣化や温度等によりディテクタ7,8の感度が変化して、補正出力値Vkが初期状態の出力値Vrefから変化することがあり、この変化分に応じて各トナーパッチTPの出力値を補正することで、ディテクタ7、8の感度変化に応じた補正することが可能となる。
なお、実施例1の補正出力値演算手段C8Dでは、各ディテクタ7,8毎に、Vk1=Vref1′+Vin1−Vref1およびVk2=Vref2′+Vin2−Vref2の演算が行われる。
【0058】
C9:階調補正制御手段
階調補正制御手段C9は、階調補正用画像記憶手段C9Aと、階調補正用画像形成制御手段C9Bと、階調濃度出力値記憶手段C9Cと、読取り濃度検出手段の一例としてのスキャン濃度検知手段C9Dと、出力値変化演算手段C9Eと、変化量補正出力値演算手段C9Fとを有し、形成される画像の濃淡である階調の補正処理の制御を行う。実施例1の階調補正制御手段C9は、階調補正開始釦UI5の入力がされた場合に、階調補正処理を開始する。
C9A:階調補正用画像記憶手段
階調補正用画像記憶手段C9Aは、階調補正処理を実行する際に形成される階調補正画像を記憶する。図6Bにおいて、実施例1では、階調補正画像の一例として、Y,M,C,Kの各色について、予め設定された大きさの四角形状で濃度10%、40%、70%、100%の各画像を含む画像、いわゆるキャリブレーション画像KGを記憶している。
【0059】
C9B:階調補正用画像形成制御手段
階調補正用画像形成制御手段C9Bは、潜像形成装置LHy〜LHkを制御して、階調補正用画像記憶手段C9Aに記憶された階調補正用画像を形成し、転写装置T1+T2+Bを介して媒体Sに転写させ、定着装置Fで定着させる。
C9C:階調濃度出力値記憶手段
階調濃度出力値記憶手段C9Cは、階調補正用画像形成制御手段C9Bで形成され、中間転写ベルトB表面に保持された階調補正用画像が、センサ部2の位置を通過する際にセンサ部2で検知された出力値である階調濃度出力値Vhを記憶する。実施例1の階調濃度出力値記憶手段C9Cは、階調濃度出力値Vhとして、各色の各濃度に応じた階調濃度出力値Vhy(10%),Vhy(40%),Vhy(70%),Vhy(100%),Vhm(10%),…,Vhk(100%)を記憶する。
【0060】
C9D:スキャン濃度検知手段
スキャン濃度検知手段C9Dは、階調補正用画像が印刷された媒体SがスキャナU1の原稿として設置された状態で読取り開始釦の一例としてのコピー開始釦UI1の入力に応じて、スキャナU1で読み取られた階調補正用画像の濃度である読取り濃度Nsを検知する。実施例1では、各色の各濃度に応じた読取り濃度を検知する。
C9E:出力値変化演算手段
出力値変化演算手段C9Eは、スキャナU1で読み取られた階調補正用画像の読取り濃度Nsに対して濃度対応情報である関数N=f(V)から導出される設定出力値の一例としての読取り出力値Vsと、センサ部2から出力された階調濃度出力値Vhと、の変化量を演算する。実施例1の出力値変化演算手段C9Eは、前記読取り出力値Vsと、中間転写ベルトBからセンサ部2で実際に検知された階調濃度出力値Vhとの変化量として、差分値ΔVh=Vs−Vhが演算される。なお、実施例1の出力値変化演算手段C9Eは、Y,M,C,Kの各色の10%、40%、70%、100%の濃度の画像毎に変化量が演算され、その平均値が変化量ΔVhとして使用される。
【0061】
C10:濃度測定手段
濃度測定手段C10は、濃度補正手段の一例としての出力値補正手段C10Aとを有し、センサ部2のディテクタ7、8により出力された出力値V1,V2に基づいて、中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度Nを測定する。実施例1の濃度測定手段C10は、補正出力値Vkに対応する基準濃度Nkを基準として、プロセスコントロール動作時に中間転写ベルトB表面に保持された画像をセンサ部2で検知した場合の出力値Vに対応する濃度Nを測定する。また、実施例1の濃度測定手段C10では、画像形成動作時に中間転写ベルトB表面に保持された画像をセンサ部2で検知した場合の出力値Vが前記変化量ΔVhに基づいて補正された変化量補正出力値V+ΔVhと、濃度対応情報N=f(V)と、に基づいて、中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度Nを測定する。
【0062】
C10A:出力値補正手段
出力値補正手段C10Aは、センサ部2のディテクタ7,8から出力された出力値V1,V2を、補正出力値Vkや変化量ΔVhに基づいて補正する。例えば、正反射ディテクタの出力値V1に対して、基準板21の濃度対応情報記憶手段C7に記憶された基準濃度に対応する検知距離用出力値Vin1と補正出力値Vk1との変化分である変化値の一例としての差分ΔVk1=Vk1−Vin1が加算される補正が行われると共に、測定されるプロセスコントロール用画像に対応して各変化量ΔVhが加算される補正が行われる。すなわち、正反射用補正後出力値V1′=V1+ΔVk1+ΔVhおよび拡散反射用補正後出力値V2′=V2+ΔVk2+ΔVhが演算される。したがって、前記濃度測定手段C10では、補正後出力値V1′,V2′に基づいて、濃度対応情報N=f(V)=f(V1′−V2′)が演算されて、濃度Nの測定が行われ、測定された濃度Nに応じてプロセスコントロールが実行される。なお、実施例1の出力値補正手段C10Aは、前述のように演算を行ったが、演算の順序は、これに限定されず、例えば、基準表面21aを基準位置で検知した値と、中間転写ベルトBの位置で検出した値と、の比を記憶しておいて、記憶された比と基準位置で基準表面21aを検知した値とを比較して、演算することも可能である。また、基準位置で基準表面21aを検知した際の値自体を演算に使用しなくても、記憶手段に記憶されている値と、そのとき検知された値との比や差等の相対値を演算に使用しても良い。
【0063】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(濃度検知装置制御処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1の濃度検知装置での濃度検知装置制御処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、画像形成装置Uの制御部Cのハードディスク等に記憶された濃度検知装置制御プログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図9に示すフローチャートは画像形成装置の電源が投入された時に開始される。
【0064】
図9のST1において、プロセスコントロールが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、発光素子6およびディテクタ7,8を作動させて、各ディテクタ7,8で基準板21の基準濃度Vref′を測定する。そして、ST3に進む。
ST3において、シャッタ18を図4Aに示す開放位置に移動させる。そして、ST4に進む。
【0065】
ST4において、中間転写ベルトBに保持された濃度調整用画像に対するディテクタ7,8の読取り結果、すなわち、濃度調整用画像の検知結果の出力値V1,V2を補正して、補正後出力値V1′,V2′として出力する。なお、このとき、濃度検知装置制御処理とは並行して実施されている図示しないプロセスコントロール処理により、出力値V1′,V2′に基づいて、プロセスコントロールが実行される。そして、ST5に進む。
ST5において、プロセスコントロールが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST5を繰り返す。
ST6において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST1に戻る。
(1)シャッタを図4Bに示す閉鎖位置に移動させる。
(2)センサ部2の作動を停止させる。
【0066】
(自動階調補正処理のフローチャートの説明)
図10は実施例1の画像形成装置での自動階調補正処理のフローチャートである。
図10のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、画像形成装置Uの制御部Cのハードディスク等に記憶された自動階調補正プログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図10に示すフローチャートは画像形成装置の電源が投入された時に開始される。
【0067】
図10のST11において、階調補正開始釦UI5の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST11を繰り返す。
ST12において、キャリブレーション画像KGを形成して、ST13に進む。
ST13において、発光素子6およびディテクタ7,8を作動させて、各ディテクタ7,8で基準板21の基準濃度Vref′を測定する。そして、ST14に進む。
ST14において、シャッタ18を図4Aに示す開放位置に移動させる。そして、ST15に進む。
【0068】
ST15において、中間転写ベルトBに保持されたキャリブレーション画像KGに対するディテクタ7,8の読取り結果の出力値Vhを出力する。そして、ST16に進む。
ST16において、キャリブレーション画像KGが印刷された媒体Sが排出されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST17に進み、ノー(N)の場合はST16を繰り返す。
ST17において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST18に進む。
(1)シャッタを図4Bに示す閉鎖位置に移動させる。
(2)センサ部2の作動を停止させる。
【0069】
ST18において、コピー開始釦UI1の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST19に進み、ノー(N)の場合はST18を繰り返す。
ST19において、キャリブレーション画像KGが印刷された媒体SをスキャナU1で読み取る。そして、ST20に進む。
ST20において、スキャナU1の読取り結果と、センサ部2の読取り結果Vhとに基づいて、変化量ΔVhを演算し、保存する。そして、ST11に戻る。
【0070】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、プロセスコントロールが開始されると、センサ部2は、中間転写ベルトB表面のトナーパッチTPの濃度を読みとる前に、閉鎖位置のシャッタ18に支持された基準板21の基準濃度を読みとる。基準濃度が読み取られると、シャッタ18が開放位置に移動して、センサ部2が中間転写ベルトBに対して露出した状態となる。そして、通過する中間転写ベルトB表面のトナーパッチTPが、読み取られた基準濃度を基準として、センサ部2により読み取られる。したがって、温度や湿度等の環境の変化や経時的な劣化等で、基準濃度に対応するセンサ部2の出力値が変化しても、トナーパッチTPが読み取られる前に、基準濃度が読み取られて、出力値の補正、基準化が行われる。従って、基準化された状態で出荷後に基準化が行われない場合に比べて、随時補正、基準化が行われ、濃度検知の精度が向上する。
【0071】
また、実施例1の濃度検知装置1では、基準板21がシャッタ18に支持されており、検知面9aから基準板21間での基準距離L2と、検知面9aから中間転写ベルトBのトナーパッチTPまでのベルト距離L1とが異なっており、発光素子6やディテクタ7,8の個体差や取付誤差等で基準濃度を読み取る際の出力値がそのまま使用できないことがある。これに対応して、中間転写ベルトBに対応するベルト距離L1に仮設した基準濃度の出力値Vinと、基準距離L2の基準濃度の出力値Vrefを予め測定しておき、その差分であるΔVrefで補正して出力値を得ている。したがって、中間転写ベルトBに対応する位置に基準板21を配置する必要が無くなり、中間転写ベルトBの外部に基準板21が配置可能になると共に、基準板21までの距離が中間転写ベルトBまでの距離と異なり、センサ部2の個体差等が生じても、基準濃度の読み取り時の出力値が中間転写ベルトBの距離に対応する出力値に補正されて、補正された基準濃度を基準として精度よくトナーパッチTPの濃度を検知することが可能になっている。
【0072】
さらに、実施例1の濃度検知装置1では、開閉可能なシャッタ18がプロセスコントロール時に開放されて、プロセスコントロールが終了すると閉塞されており、画像形成動作中等に中間転写ベルトBから落下した現像剤や2次転写領域から飛散した現像剤や紙粉等で検知面9aが汚染されることが低減されている。特に、実施例1では、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態で、検知面9aおよび基準板21の前後両側が、基準面クリーナ11と検知面クリーナ19とにより挟まれて密閉された状態となっており、前後の一方または両方が開放されている構成に比べて、検知面9aおよび基準板21の汚染が低減されている。
【0073】
特に、実施例1の濃度検知装置1では、シャッタ18に支持された検知面クリーナ19が、シャッタ18の開放位置と閉鎖位置との間で移動する際に、検知面9aを清掃している。よって、トナーパッチTPの現像剤や中間転写ベルトBに付着した残留物が落下して検知面9aに付着しても、検知面9aが清掃され、センサ部2による検知の精度が低下することが低減されている。
また、実施例1の濃度検知装置1では、収容カバー3に基準板クリーナ11が支持されており、シャッタ18の移動に伴って基準板21の基準面21aに接触して清掃する。したがって、開放位置で基準面21aに飛散した現像剤等が付着しても、シャッタ18が閉鎖位置に移動する際に基準面21aが清掃されて、前後が閉塞された状態となっており、次回の基準面21aの読み取り時に汚染が低減された状態で基準面21aの読み取りが可能になっている。
【0074】
さらに、実施例1の画像形成装置Uでは、階調補正開始釦UI5の入力がされると、自動階調補正処理が開始され、キャリブレーション画像KGが形成される。そして、中間転写ベルトB上のキャリブレーション画像KGの濃度がセンサ部2で読み取られ、媒体Sに転写、定着されたキャリブレーション画像KGがスキャナU1で読み取られる。一般に、センサ部2の濃度検知精度に比べて、スキャナU1の濃度検知精度の方が高くなっており、前述のようにセンサ部2が経時的な劣化等で出力値が変化することがある。実施例1の画像形成装置では、スキャナU1で読み取られた濃度を基準として、読み取られた濃度に対応するはずの出力値Vsに対して、センサ部2から出力された出力値Vhに差がある場合に、変化量ΔVhが演算されて、次回以降にトナーパッチTPの濃度を検出する際の補正に使用される。したがって、基準板21のみの基準化では、経時劣化等でセンサ部2の全体的な出力値の変動に対して対応しきれなくなるおそれがあるが、濃度検知装置1とは異なる装置であるスキャナU1を基準として補正を行うことで、キャリブレーション画像KGに基づく出力値の補正を行わない場合に比べて、センサ部2の濃度の読み取り精度が低下することが低減されている。
【実施例2】
【0075】
図11は実施例1の図4に対応する実施例2の濃度検知装置の要部説明図であり、図11Aは開放位置に移動した状態の説明図、図11Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図11において、実施例2の濃度検知装置1では、窓材9の前後方向の長さについて、前側の長さが短く形成されている。したがって、実施例2では、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態では、図11Bに示すように、検知面クリーナ19の先端が窓材9の前端よりも前側に配置される。この状態では、検知面クリーナ19の先端は弾性復元により、窓材9の検知面9aよりも下方、すなわち、検知部材本体6〜8側に配置された状態となる。
【0076】
(実施例2の作用)
図12は実施例2の作用説明図である。
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置Uでは、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態では、検知面クリーナ19の先端が検知面9aから離れ、弾性復元した状態となる。図12において、閉鎖位置で検知面クリーナ19が検知面9aに接触して弾性変形した状態では、シャッタ連結アーム17で片持ち状態のシャッタ18に検知面クリーナ19の弾性力が作用し、図12に示すように、経時的にシャッタ18が永久変形することがあり、基準板21と検知面9aとの間隔が変化する可能性があった。これに対して、実施例2では、閉鎖位置において検知面クリーナ19が弾性復元した状態となり、シャッタ18が変形して、基準板21の検知精度が低下することが低減されている。また、実施例2では、閉鎖位置では、検知面クリーナ19が弾性復元しており、閉鎖位置で検知面9aに接触して弾性変形した状態で長時間保持されて、検知面クリーナ19が永久変形して清掃能力が低下する場合に比べて、清掃能力の低下も低減されている。
【0077】
また、実施例2では、閉鎖位置において、基準板クリーナ11も基準板21から離間しており、シャッタ18に弾性力が作用して変形させる恐れが低減されている。なお、各クリーナ11,19と検知面9aやシャッタ18との間隔は微小な間隔または清掃時に比べて弱い圧力で接触した状態に設定されており、内部の空間に現像剤等が進入しにくくなっている。特に、検知面クリーナ19の先端19aが検知面9aよりも下方に延びており、現像剤の進入が阻止可能な位置に配置されており、内部の汚染が低減されている。
その他、実施例2は、実施例1と同様の作用を有する。
【実施例3】
【0078】
図13は実施例1の図4に対応する実施例3の濃度検知装置の要部説明図であり、図13Aは開放位置に移動した状態の説明図、図13Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1、2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成されている。
図13において、実施例3の濃度検知装置1では、閉鎖位置において、検知面クリーナ19の先端19aは、検知面9aの前側に近接した状態となるように設定されている。したがって、実施例3では、実施例2と同様に、シャッタ18が閉鎖位置に移動した状態では、図13Bに示すように、検知面クリーナ19の先端が窓材9の前端よりも前側に配置される。この状態では、検知面クリーナ19の先端は弾性復元により、窓材9の検知面9aよりも下方、すなわち、検知部材本体6〜8側に配置された状態となる。
【0079】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の濃度検知装置1では、実施例2と同様に、閉鎖位置において、各クリーナ11,19が基準板21や検知面9aから離間して、弾性復元した状態となっており、基準面21の検知精度が低下することが低減されている。
【実施例4】
【0080】
図14は実施例4の濃度検知装置の要部説明図であり、図14Aは検知部材収容体とシャッタの斜視図、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見た図である。
次に、本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図14において、実施例4の濃度検知装置1では、収容カバー3′は、左右両端部に上方に延びる本体側進入防止壁3d,3eが形成されている。また、実施例4のシャッタ18には、囲み部材の一例として、下方に延びて、基準板21の前後左右の四方を囲む移動体側進入防止壁31が形成されている。そして、前記移動体進入防止壁31の前端壁により、検知面クリーナ19が構成されている。
【0081】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の濃度検知装置1では、開放位置、閉鎖位置および開放位置から閉鎖位置に移動する間、基準板21が各進入防止壁3d,3e,31より囲まれており、現像剤等の進入が妨げられており、基準板21や検知面9aが汚染されることが低減されている。
【実施例5】
【0082】
図15は実施例1の図4に対応する実施例5の濃度検知装置の要部説明図であり、図15Aは開放位置に移動した状態の説明図、図15Bは基準検知位置に移動した状態の説明図、図15Cは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
次に、本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例5は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0083】
図15において、実施例5の濃度検知装置1では、基準板クリーナ11が実施例1と異なり、収容カバー3の前端部に支持されている。また、シャッタ18には、基準板21の後方に検知面クリーナ19が支持されている。実施例5の検知面クリーナ19は、先端19aの面が、検知面9a全体を被覆可能な大きさに設定されている。
そして、実施例5では、閉鎖位置に基準検知位置が設定された実施例1と異なり、閉鎖位置は、図15Cに示すように、基準板21が検知面9aよりも前方に突出した状態となる位置に設定されており、閉鎖位置において検知面クリーナ19の先端19aが検知面9aを被覆した状態で保持される。
【0084】
また、実施例5では、図15Bに示す基準検知位置が、閉鎖位置と図15Aに示す開放位置との間の位置に設定されている。したがって、実施例5では、基準濃度を測定する場合、実施例1のように閉鎖位置で基準板21の検知を行わず、閉鎖位置から基準検知位置にシャッタ18が移動した状態で、基準濃度の検知が行われる。なお、実施例5では、シャッタ18が閉鎖位置から開放位置に移動中に、シャッタ18が停止しない状態で基準板21の基準濃度を検知するように設定されているが、前記基準検知位置においてシャッタ18が一時停止して、基準濃度の検知が行われた後で、開放位置に移動する構成とすることも可能である。
【0085】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の濃度検知装置1では、閉鎖位置において、検知面9aは検知面クリーナ19で被覆されており、現像剤等が付着して汚染されることが低減されている。また、閉鎖位置から基準検知位置に移動する際に、基準板21は基準板クリーナ11により清掃された状態で検知面9aに対向する位置に移動し、閉鎖位置で基準板21に現像剤等が付着していても、清掃された状態で基準濃度の検知が行われる。そして、開放位置に移動すると、中間転写ベルトB表面のトナーパッチTPの濃度が検知される。
したがって、実施例5の濃度検知装置1でも、実施例1と同様の作用を有する。
【0086】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
【0087】
(H02)前記実施例において、実施例4の構成を実施例2,3,5に適用することも可能である。
(H03)前記実施例において、検知面9aから、基準板21までの距離と中間転写ベルトBまでの距離との違いによる出力値の補正はすることが望ましいが、個体差等により各距離における出力値が完全に同一である場合や差が許容できる範囲である場合等には、出力値の補正を省略することが可能である。
(H04)前記実施例において、キャリブレーション画像を使用した補正を行うことが望ましいが、省略することも可能である。
(H05)前記実施例において、例示した具体的な数値や材料等は、設計や仕様等に応じて、適宜変更可能である。
【0088】
(H06)前記実施例において、像保持体の一例としての中間転写ベルトB表面に保持された画像の濃度を検知する構成を例示したが、この構成に限定されず、像保持体の一例としての感光体PRy〜PRk表面に保持された画像の濃度を検知する構成とすることも可能である。また、ベルト状の中間転写体に限定されず、回転円筒体状の中間転写体、すなわち中間転写ドラム等を有する画像形成装置に適用することも可能である。
(H07)前記実施例4において、検知面クリーナ19と移動体進入防止壁31の前端壁と共通化したが、この構成に限定されず、移動体進入防止壁31と検知面クリーナ19とを共通化せず、別個に設ける構成とすることも可能である。
【0089】
(H08)前記実施例において、濃度検知装置が複数あり、共通の移動部材に濃度検知装置毎の基準板と検知面清掃部材を備え、移動部材の移動により複数の濃度検知装置による基準濃度検知・トナーパッチ濃度検知・検出面清掃が行える構成とすることも可能である。
(H09)前記実施例において、発光部が1つで受光部が2つの構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、受光部が1つで発光部が正反射用と拡散反射用とで2つの構成としたり、受光部と発光部とが2個ずつある構成としたり、等、発光部と受光部の数や組み合わせは、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
【図4】図4は濃度検知装置の要部説明図であり、図4Aは開放位置の状態の説明図、図4Bは閉鎖位置の状態の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施例1の画像形成装置の制御部分が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
【図6】図6は実施例1の濃度補正処理および階調補正の要部説明図であり、図6Aは濃度補正時に中間転写ベルト表面に形成されるトナーパッチの説明図、図6Bは階調補正時に使用されるキャリブレーション画像の説明図である。
【図7】図7は実施例1の濃度対応情報の一例の説明図であり、図7Aは濃度対応情報の一覧表の説明図、図7Bは正反射光受光体と拡散反射光受光体の個体差に応じた濃度と出力値とのグラフである。
【図8】図8は実施例1の検知距離用出力値と基準距離用出力値の説明図であり、図8Aは濃度検知部材の個体差や取付誤差の説明図、図8Bは図8Aの状態における検知面から検知対象までの距離と検知部材の出力とのグラフである。
【図9】図9は実施例1の濃度検知装置での濃度検知装置制御処理のフローチャートである。
【図10】図10は実施例1の画像形成装置での自動階調補正処理のフローチャートである。
【図11】図11は実施例1の図4に対応する実施例2の濃度検知装置の要部説明図であり、図11Aは開放位置に移動した状態の説明図、図11Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
【図12】図12は実施例2の作用説明図である。
【図13】図13は実施例1の図4に対応する実施例3の濃度検知装置の要部説明図であり、図13Aは開放位置に移動した状態の説明図、図13Bは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
【図14】図14は実施例4の濃度検知装置の要部説明図であり、図14Aは検知部材収容体とシャッタの斜視図、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見た図である。
【図15】図15は実施例1の図4に対応する実施例5の濃度検知装置の要部説明図であり、図15Aは開放位置に移動した状態の説明図、図15Bは基準検知位置に移動した状態の説明図、図15Cは閉鎖位置に移動した状態の説明図である。
【符号の説明】
【0091】
1…濃度検知装置、
2…検知部、
6…発光体、
7…正反射光受光体、
7+8…受光体、
8…拡散反射光受光体、
11,19…弾性体、
18…移動部材、
21a…第2の検知対象面、
B…第1の検知対象面,像保持体、
C8B…記憶手段、
C8D…演算手段、
C10A…濃度補正手段、
ΔVk…変化値、
ΔVref…固体値
L1…第1の検知距離、
L2…第2の検知距離、
U…画像形成装置、
Vin…第1の距離用検知値、
Vref…第2の距離用検知値、
Vref′…第2の検知値。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する発光体と、前記発光体から発光された光が、前記発光体と対向して配置された第1の検知対象面で反射した光を受光する受光体と、を有し、前記第1の検知対象面の濃度を検知する検知部と、
前記検知部と前記第1の検知対象面との間であって、前記検知部と一体に形成された第2の検知対象面と、
前記検知部から前記第1の検知対象面までの距離である第1の検知距離だけ前記検知部から離れた位置に前記第2の検知対象面を仮設した場合に、前記第2の検知対象面を検知した際に、前記検知部で検知される第1の距離用検知値と、前記検知部から第2の検知対象面までの距離であり且つ前記第1の検知距離よりも距離が短い第2の検知距離だけ離れた位置における前記第2の検知対象面を検知した場合に前記検知部で検知される第2の距離用検知値と、を記憶する記憶手段と、
前記第2の検知対象面を前記検知部により検知した第2の検知値と、前記記憶手段に予め記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する濃度補正手段と、
を備えたことを特徴とする濃度検知装置。
【請求項2】
前記各検知対象面での正反射光を受光する正反射受光体と、前記各検知対象面での拡散反射光を受光する拡散反射受光体と、を有する前記受光体、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の濃度検知装置。
【請求項3】
前記検知部と前記第1の検知対象面との間で移動可能に支持された移動部材と、
前記移動部材と一体的に移動する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の濃度検知装置。
【請求項4】
前記検知部と前記第1の検知対象面を閉鎖する閉鎖位置と、前記検知部と前記第1の検知対象面との間を開放する開放位置と、の間を移動する前記移動部材、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の濃度検知装置。
【請求項5】
前記移動部材に支持され、且つ、前記閉鎖位置において弾性変形する弾性体と、
前記移動部材が前記閉鎖位置と前記開放位置との間を移動中に前記検知部に対向する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の濃度検知装置。
【請求項6】
前記第2の検知値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値に基づいて、前記第2の検知対象面を前記第1の検知距離離れた位置で検知した場合の検知値を演算する演算手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の濃度検知装置。
【請求項7】
前記第2の検知値と前記記憶手段に記録された前記第2の距離用検知値との比に応じた変化値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値と前記第2の距離用検知値との比に応じた固体値、とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する前記濃度補正手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検知装置。
【請求項8】
前記第1の検知対象面としての表面を有する像保持体と、
前記像保持体表面または前記像保持体表面に保持された画像を検知する請求項1ないし7のいずれかに記載の濃度検知装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
光を発光する発光体と、前記発光体から発光された光が、前記発光体と対向して配置された第1の検知対象面で反射した光を受光する受光体と、を有し、前記第1の検知対象面の濃度を検知する検知部と、
前記検知部と前記第1の検知対象面との間であって、前記検知部と一体に形成された第2の検知対象面と、
前記検知部から前記第1の検知対象面までの距離である第1の検知距離だけ前記検知部から離れた位置に前記第2の検知対象面を仮設した場合に、前記第2の検知対象面を検知した際に、前記検知部で検知される第1の距離用検知値と、前記検知部から第2の検知対象面までの距離であり且つ前記第1の検知距離よりも距離が短い第2の検知距離だけ離れた位置における前記第2の検知対象面を検知した場合に前記検知部で検知される第2の距離用検知値と、を記憶する記憶手段と、
前記第2の検知対象面を前記検知部により検知した第2の検知値と、前記記憶手段に予め記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する濃度補正手段と、
を備えたことを特徴とする濃度検知装置。
【請求項2】
前記各検知対象面での正反射光を受光する正反射受光体と、前記各検知対象面での拡散反射光を受光する拡散反射受光体と、を有する前記受光体、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の濃度検知装置。
【請求項3】
前記検知部と前記第1の検知対象面との間で移動可能に支持された移動部材と、
前記移動部材と一体的に移動する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の濃度検知装置。
【請求項4】
前記検知部と前記第1の検知対象面を閉鎖する閉鎖位置と、前記検知部と前記第1の検知対象面との間を開放する開放位置と、の間を移動する前記移動部材、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の濃度検知装置。
【請求項5】
前記移動部材に支持され、且つ、前記閉鎖位置において弾性変形する弾性体と、
前記移動部材が前記閉鎖位置と前記開放位置との間を移動中に前記検知部に対向する前記第2の検知対象面と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の濃度検知装置。
【請求項6】
前記第2の検知値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値および前記第2の距離用検知値に基づいて、前記第2の検知対象面を前記第1の検知距離離れた位置で検知した場合の検知値を演算する演算手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の濃度検知装置。
【請求項7】
前記第2の検知値と前記記憶手段に記録された前記第2の距離用検知値との比に応じた変化値と、前記記憶手段に記録された前記第1の距離用検知値と前記第2の距離用検知値との比に応じた固体値、とに基づいて、前記第1の検知対象面の濃度を補正する前記濃度補正手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の濃度検知装置。
【請求項8】
前記第1の検知対象面としての表面を有する像保持体と、
前記像保持体表面または前記像保持体表面に保持された画像を検知する請求項1ないし7のいずれかに記載の濃度検知装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−224318(P2010−224318A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72833(P2009−72833)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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