説明

濃度計測装置

【課題】濃度を測定する際に温度依存性を低減させると共に精度を向上させること。
【解決手段】混合溶液中に浸し漬けられる弾性板と、弾性板を包囲するように配置された遮蔽容器と、弾性板を振動させる予め定められた周波数を発生させる周波数発生部と、弾性板の振動時における変位量を計測するひずみゲージと、弾性板を振動させている周波数及びひずみゲージによる変位量から弾性板の固有振動数を算出する固有振動数算出部と、算出された固有振動数と、予め定められた固有振動数及び混合溶液の濃度の対応関係から混合溶液の濃度を取得する濃度取得部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度計測装置に関し、混合溶液中の物体の固有振動数に基づいて被検知物質の濃度を算出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、溶液濃度の変化に伴う音速変化を利用した濃度センサが多く用いられている。これは、音速c、密度ρ及び体積弾性係数Kについてc=√(K/ρ)の式が成り立つので、音速変化より密度を算出できる。
【0003】
より具体的には、溶液濃度が変化すると密度と体積弾性率の両方が変化し、その結果音速が変化する。そこで、濃度と音速の対応関係を予め調べておくことで、測定された音速から溶液の濃度を算出することができる。しかしながら、一般的に密度の温度依存より体積弾性率の方が温度依存性は大きい。つまり、音速の温度依存性が大きいため、音速変化を測定する際に厳密な温度管理が要求される。
【0004】
例えば、液温40℃、重量比3%のメタノール溶液の±15%の濃度変化を音速型濃度センサで計測する場合、±0.1℃以下の精度で液温管理する必要がある。つまり、液温を厳密に管理する機材が必要となり、濃度センサを小型化できないという問題が生じていた。
【0005】
これに対して、濃度の算出時に上記音速型濃度センサより音速依存性の小さい技術として、物体の固有振動数から濃度を算出する技術が提案されている(例えば特許文献1)。この特許文献1に記載された技術では、混合溶液中に侵漬させた水晶振動子を発振させた時に、当該水晶振動子の固有振動数を求めることで、混合溶液中の被検知物質の濃度を求めている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−18394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、振動により流動する溶液等の流動可能な領域が、算出される濃度の精度に影響を与えてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、濃度の測定精度を向上させた濃度計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、測定対象となる溶液中に浸漬される振動部材と、前記振動部材に接する前記溶液の流動可能な流動領域を制限する遮蔽部と、前記振動部材を、予め定められた振動数で振動させる振動制御手段と、前記振動制御手段による前記振動部材の振動時における前記振動部材の物理的な変動量を計測する変動計測手段と、前記振動制御手段による前記振動部材を振動させた前記振動数及び前記変動計測手段により計測された前記変動量から前記溶液中の前記振動部材の固有振動数を算出する固有振動数算出手段と、前記固有振動数算出手段により算出された前記固有振動数と、予め定められた前記固有振動数及び前記溶液の濃度の対応関係から前記溶液の濃度を取得する濃度取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固有振動数から濃度を取得することで温度依存性を低減させると共に、遮蔽部により溶液の流動可能な領域を制限するので、流体の流動距離が増大して付加質量効果が向上することとなり、濃度を測定する精度を向上させるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる濃度計測装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる濃度計測装置の構成を示した構成図である。本図に示すように濃度計測装置100の内部は、弾性板101と、加振用アクチュエータ102と、ひずみゲージ103と、遮蔽容器104と、記憶部111と、周波数発生部112と、駆動アンプ113と、チャージアンプ114と、固有振動数算出部115と、温度取得部116と、濃度取得部117と、を備え、容器10内の混合溶液20に浸し漬けられた弾性板101の固有振動数を算出し、混合溶液20中の被検知物質の濃度を取得する。また、濃度を取得する際に、固有振動数のみならず温度センサ30より測定された混合溶液20の温度に基づいて濃度を取得する。
【0013】
そして、本実施の形態の濃度計測装置100は、混合溶液20中の被検知物質が予め認識されており、この被検知物質の濃度のみ不明な混合溶液20であることを前提とする。つまり、濃度計測装置100が混合溶液20の密度を算出できれば、この被検知物質の重量から濃度を算出することが可能となる。
【0014】
まず、本発明の濃度計測装置100について濃度を計測する原理について説明する。まず、大気中で振動する弾性板101の固有振動数ωn,airと、モード質量mpと、モード剛性kの間には下記に示した数(1)式が成り立つ。
【0015】
【数1】

【0016】
まず、この数(1)式における固有振動数ωn,airは大気中で測定することで予め取得することが可能である。そして、弾性板101等の物体が混合溶液20による流体中で振動する場合、流体の慣性力が働き、弾性板101等の物体に質量が付加されたように作用する。これを付加質量効果といい、この効果を考慮して上記方程式を用いる場合、この作用を表した付加質量Mfluidという変数を上記方程式に慣性項として加える必要がある。なお、この付加質量Mfluidは、密度に比例した値となるため、この付加質量Mfluidを算出できれば、混合溶液20の密度を求めることができる。
【0017】
次に、流体の慣性項として付加質量Mfluidを考慮した場合の流体中の固有振動数ωn,fluidを数(2)式に示す。
【0018】
【数2】

【0019】
そして、上述したように大気中の固有振動数ωn,airは予め取得している。これにより、数(1)式及び数(2)式から、流体中の固有振動数ωn,fluidを算出できれば、付加質量Mfluidを、つまり密度を算出することができる。そして、密度が算出された場合、上述したように濃度を算出することができる。
【0020】
上記に示すように固有振動数ωn,air及び濃度の間で対応関係が成立しているため、濃度計測装置100が固有振動数を測定することで、濃度を取得することが可能となる。ただし、mp>Mfluidの場合、混合溶液20の濃度変化つまり、密度変化に伴う固有振動数の変化が小さいため濃度の検出精度が向上しない。そこで本実施の形態では、mp≪Mfluidとするために弾性板101の周囲に遮蔽容器104を設けた。これにより検出精度が向上する。なお、この遮蔽容器104の具体的な説明は後述する。次に、濃度計測装置100の各構成について説明する。
【0021】
記憶部111は、濃度−固有振動数対応テーブルを記憶する。この記憶部111は、例えばHDD、光ディスク、メモリカードなどの一般的に用いられるあらゆる記憶手段で構成することができる。
【0022】
図2は、濃度−固有振動数対応テーブルの構成を示した図である。本図に示すように、濃度−固有振動数対応テーブルは、一方の軸に流体中の固有振動数を、他方の軸に流体の温度を備えており、各フィールドには被検知物質の濃度が予め設定されている。つまり、濃度計測装置100は、流体中の固有振動数を算出し、流体の温度を取得した後に、濃度−固有振動数対応テーブルを参照することで被検知物質の濃度を取得することができる。各フィールドに設定される被検知物質の濃度には、予め実験や既知の物質の特性から求められる値を用いることができる。
【0023】
周波数発生部112は、混合溶液20中における固有振動数と推測される振動数を基準として濃度の測定時に用いられる周波数を発生させる。また、周波数発生部112は、弾性板101の振動数を制御するために用いられる構成であり、換言すれば振動制御手段に相当する。この固有振動数と推測される周波数は、どのような判断基準から導出しても良いが、例えば、濃度−固有振動数対応テーブルが保持している固有振動数の値や、空気中の弾性板101の固有振動数を基準として導出された値を用いる等が考えられる。
【0024】
また、周波数発生部112は、混合溶液20の濃度の計測時において、混合溶液20の濃度の測定時に複数の異なる周波数を時間毎に切り替えて発生させる。このように複数の異なる周波数を切り替えることで、異なる周波数毎に異なる弾性板101の変位量を取得することができる。
【0025】
駆動アンプ113は、周波数発生部112が発生させた周波数を示す信号を増幅して、後述する加振用アクチュエータ102に出力する。
【0026】
そして、加振用アクチュエータ102は、信号として入力された周波数で弾性板101を振動させる。なお、本実施の形態は、弾性板101を振動させる手段を加振用アクチュエータ102に制限するものではなく、弾性板101を所定の周波数で振動させることが可能なものであればどのような手段を用いても良い。
【0027】
また、加振用アクチュエータ102は、弾性板101を入力された周波数、つまり固有振動数と推測される振動数を基準として定められた振動数(以下、測定時振動数とする)で振動させる。
【0028】
ひずみゲージ103は、弾性板101に備え付けられ、測定時振動数による振動時の弾性板101の変位量を電圧で取得する。つまり、本実施の形態の濃度計測装置100は、振動時における物理的な変動量として、ひずみゲージ103により変位量を計測する。また、変位量を計測する手段をひずみゲージ103に制限するものではなく、どのような手段を用いても良い。
【0029】
上述したように弾性板101は複数の異なる測定時振動数で振動させられるので、ひずみゲージ103は、測定時振動数毎に異なる変位量を取得する。そして、チャージアンプ114は、取得した変位量を示す電圧を増幅する。
【0030】
固有振動数算出部115は、周波数発生部112で発生させた周波数を入力とし、チャージアンプ114から入力された変位量を出力とした伝達関数を解析し、この解析された伝達関数より弾性板101の固有振動数を算出する。
【0031】
図3は、発生された複数の周波数及び対応する変位量により解析された伝達関数の一例を示したグラフである。本図で示すように発生した周波数f11、f12、f13における変位量V11、V12、V13から伝達関数が求められ、この伝達関数で最も高い変位量を示した周波数f0が固有振動数として特定できる。つまり、複数の測定時振動数及び変位量の対応関係から、伝達関数が特定できるので、固有振動数を算出することができる。
【0032】
温度取得部116は、温度センサ30から入力された信号に基づいて、混合溶液20の温度を取得する。
【0033】
濃度取得部117は、固有振動数算出部115で算出された固有振動数及び温度取得部116で取得した混合溶液20の温度と、記憶部111に記憶された濃度−固有振動数対応テーブルを参照することで、被検知物質の濃度を取得する。
【0034】
弾性板101は、いわゆる梁形の直方体形状を有しており、直方体形状の長手方向の一端に、加振用アクチュエータ102及びひずみゲージ103が設置されている。そして、この弾性板101の空気中における固有振動数ωn,airは予め算出されていることとする。そして、弾性板101は、濃度の計測時に混合溶液20に浸漬されて振動する。
【0035】
遮蔽容器104は、弾性板101を包囲する容器として用いられ、弾性板101の長手方向以外への混合溶液20の流れを拘束する。
【0036】
図4は、本実施の形態にかかる弾性板101及び遮蔽容器104についての構造を説明した説明図である。本図に示すように弾性板101を包囲するように遮蔽容器104を配置する。
【0037】
つまり、上述した付加質量効果を増大させるためには、振動に伴う流体の流動距離を大きくする必要があり、そのためには流体の流動できる領域を制限する必要がある。そこで、本実施の形態においては、弾性板101の長手方向以外に流体の流動を制限することとした。この流体の流動を長手方向のみに制限するため、長手方向に開口部を設けた筒状の遮蔽容器104で弾性板101を包囲した。
【0038】
さらに、この流体の流動について長手方向への移動を可能としたことで、次数の低い振動モードで振動させることを可能とした。この振動モードについては後述する。
【0039】
図5は、遮蔽容器104の配置により拘束された弾性板101に近接する混合溶液20の流れを説明する説明図である。本図に示すように、弾性板101を包囲するように遮蔽容器104を配置することで弾性板101の長手方向以外への混合溶液20の流れは制限され、長手方向に流動可能となる。これにより、上述した付加質量効果が向上する。
【0040】
また、弾性板101を包囲するように遮蔽容器104を固定する方法は、周知である固定方法等を問わず、どのような固定方法を用いても良い。
【0041】
さらに、弾性板101の振動モードの次数の違いにより流体の流動距離が異なる。図6−1は、弾性板101の振動モードが1次の場合の流体の流動量を説明した説明図である。そして、図6−2は、弾性板101の振動モードが3次の場合の流体の流動量を説明した説明図である。図6−1及び図6−2において、流体の流動量を矢印の長さで示した。これらの図に示したように、振動モードの次数が低いほど、流体の流動距離が長くなるので、付加質量効果が向上する。
【0042】
次に弾性板101を用いた場合の付加質量効果について具体的に説明する。図7は、遮蔽容器104及び弾性板101により流路が制限されたことで流路の断面形状が矩形となった場合の寸法を示した図である。そして、本図で示した場合における弾性板101の振動による流体の付加質量効果について説明する。なお、混合溶液20の流体は非粘性、非圧縮性のポテンシャル流と仮定し、W≪Lで、弾性板101で弾性板のy方向の変位は一様となり、流体のy方向の流れは無視できると仮定する。以上の仮定に基づいて、流体の速度ポテンシャルφは次に示す数(3)式のラプラス方程式を満たす。
【0043】
【数3】

【0044】
この速度ポテンシャルφが、満たす境界条件について考慮する。まず、z=0では、遮蔽容器104により拘束されて流体はz軸方向に流動することができないため数(4)式の境界条件を満たす。
【0045】
【数4】

【0046】
そして、z=Hでは、弾性板101に接しているので、弾性板の変位をw、時間をtとすると数(5)式の境界条件を満たす。
【0047】
【数5】

【0048】
そして、弾性板101が流体に接して次に示す数(6)式のように角振動数ωで振動している。なお、次式のAmは振幅を示し、mはモードの次数を示している。
【0049】
【数6】

【0050】
以上の条件のもとに速度ポテンシャルφを求めると、数(7)式が導き出せる。
【0051】
【数7】

【0052】
また、次の数(8)式で示した直交条件が成り立っている。
【0053】
【数8】

【0054】
これにより、係数Bmは、数(9)式のように定まる。
【0055】
【数9】

【0056】
そして、弾性板101の振動方程式に、圧力をp、板の曲げ剛性EI、弾性板101の密度をρp、弾性板101の板厚をhとすると、次の数(10)式で示すことができる。
【0057】
【数10】

【0058】
この数(10)式で示した(p)z=Hは、弾性板に作用する圧力なので、次の数(11)式が成り立つ。なお、ρfluidは混合溶液20の密度とする。
【0059】
【数11】

【0060】
そして、数(6)式〜数(11)式より、次の数(12)式に示す振動数方程式が成り立つ。
【0061】
【数12】

【0062】
ここで、ωm,airは、上述したように弾性板101の大気中での固有振動数である。そして、ωm,air=√(k/m)から次に示す数(13)式が成り立つ。
【0063】
【数13】

【0064】
そして、数(12)式から、弾性板101の流体に接している時の固有振動数と大気中の固有振動数の比は次の数(14)式で表せる。
【0065】
【数14】

【0066】
また、数(14)式のγmは次の数(15)式が成り立つ。
【0067】
【数15】

【0068】
ここで、数(1)式及び数(2)式から、γm=Mfluid/mpが成り立つ。これにより数(15)式で示されるγmの値が高いほど濃度を計測する精度が向上する。
【0069】
図8は、振動モードの次数毎にH/Lの値を変化させた場合のγmの値の変化を示したグラフである。本グラフを求める際にρp/ρfluid=2.5、L/h=50と設定した。本グラフに示されたように、H/Lの値を小さくし、次数の低い振動モードを使うことで、γmの値を大きく、つまり濃度を計測する精度を向上させることができる。また、H/Lの値を小さくするとは、遮蔽容器104と弾性板101との間を接近させる、または長手方向に長い弾性板101を用いる等が考えられる。
【0070】
つまり、次数の低い振動モードを用いるか、遮蔽容器104と弾性板101との間を接近させる又は長手方向に長い弾性板101を用いることで、流体の流動距離が大きくなり付加質量効果が向上することで、濃度を計測する精度が向上する。
【0071】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる濃度計測装置100における混合溶液20の温度の取得から混合溶液20の濃度を取得するまでの処理について説明する。図9は、本実施の形態にかかる濃度計測装置100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。なお、濃度を計測する際には、予め容器10内の混合溶液20に温度センサ30、そして遮蔽容器104に包囲された弾性板101を浸し漬けておく。
【0072】
まず、温度取得部116は、温度センサ30から混合溶液20の温度を取得する(ステップS901)。
【0073】
そして、周波数発生部112は、弾性板101を振動させる周波数を発生させる(ステップS902)。この周波数は、混合溶液20中における固有振動数と推測される振動数を基準として定められる複数の周波数を時間毎に切り替えることとする。次に、駆動アンプ113は、弾性板101を振動させるために、ステップS902で発生された周波数を増幅する(ステップS903)。そして、加振用アクチュエータ102が、ステップS903で増幅された信号で弾性板101を振動させる(ステップS904)。
【0074】
そして、チャージアンプ114は、弾性板101に備え付けられたひずみゲージ103から入力された変位量を示す電圧を増幅する(ステップS905)。
【0075】
次に、固有振動数算出部115は、発生した周波数と入力された変位量から伝達関数を求め、この伝達関数において最も変位量が大きい振動数を固有振動数として算出する(ステップS906)。
【0076】
そして、濃度取得部117は、ステップS906で算出された固有振動数と、ステップS901で取得した温度を用い、記憶部111に記憶された濃度−固有振動数対応テーブルから混合溶液20の濃度を取得する(ステップS907)。
【0077】
上述した処理手順により、精度良く混合溶液20の濃度を取得することが可能となる。なお、上述した処理手順は、本実施の形態による混合溶液20の温度の取得から混合溶液20の濃度を取得するまでの処理手順の例を示したものであり、本発明をこの処理手順に制限するものではない。例えば、温度の取得を、固有振動数を算出した後に行う等が考えられる。
【0078】
上述した実施の形態において、計測する対象となる物理的な変動量を変位量に制限するものではなく、例えば速度又は加速度を物理的な変動量として算出しても良い。これらの値の変動量からも固有振動数を算出することが可能なので、濃度を算出することができる。また、速度又は加速度を物理的な変動量として計測する場合は、ひずみゲージ103の代わりに速度センサ又は加速度センサを用いることとする。
【0079】
本実施の形態にかかる濃度計測装置100は、遮蔽部により溶液の流動可能な領域を制限するので、流体の流動距離が増大して付加質量効果が向上することとなり、濃度の測定精度を向上することができる。また、本実施の形態にかかる濃度計測装置100は、温度依存性が小さくなるので、混合溶液20の温度管理する負担が軽減されると共に、温度管理に必要な費用を削減できる。また、温度管理に必要な部品を省略できるので、小型化が可能となる。
【0080】
また、遮蔽容器104で、弾性板101の振動時に混合溶液20の流動領域を制限することで、混合溶液20の流動距離が長くなり付加質量効果が高まり、測定される濃度の精度が向上する。
【0081】
さらに、振動モードについて低い次数、例えば1次等で、振動させることで付加質量効果が高まり、計測される濃度の精度が向上する。また、弾性板101と遮蔽容器104の面との距離が縮まる、又は弾性板101の長手方向の長さが長くなるほど、濃度の精度が向上する。
【0082】
(第2の実施の形態)
また、流体の付加質量効果を増大させて濃度を測定する精度を向上させるためには、付加質量効果を増大させるために混合溶液の流体の流動距離を大きくすれば良く、第1の実施の形態で示したような梁状の弾性板101を遮蔽容器104で包囲する方法に制限するものではない。そこで、第2の実施の形態においては、振動させる振動部材を環形状の弾性円板とした場合について説明する。
【0083】
図10は、第2の実施の形態にかかる濃度計測装置1000の構成を示した構成図である。上述した第1の実施の形態にかかる濃度計測装置100とは、弾性板101の代わりに環形状の弾性円板1001に変更され、遮蔽容器104の代わりに混合溶液20の流体の流動距離を制限する遮蔽部材1002及び容器11に変更され、記憶部111とは異なる情報を記憶する記憶部1011に変更された構成を有している点で異なる。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0084】
記憶部1011は、濃度−固有振動数対応テーブルを保持している。この濃度−固有振動数対応テーブルは、図2で示したように一方の軸に流体中の固有振動数を、他方の軸に流体の温度を備えており、各フィールドには被検知物質の濃度が予め設定されている。そして、第2の実施の形態の記憶部1011が記憶する濃度−固有振動数対応テーブルは、弾性円板1001の固有振動数を特定するための情報を保持している点で第1の実施の形態の濃度−固有振動数対応テーブルとは異なる。これにより、弾性円板1001の固有振動数から濃度を取得することができる。
【0085】
遮蔽部材1002は、混合溶液20等の流体の半径方向の内円側への流動を制限するものであればどの様な部材を用いても良い。また、本実施の形態において、遮蔽部材1002は、円柱状とする。
【0086】
弾性円板1001は、第1の実施の形態の弾性板101と同様に加振用アクチュエータ102及びひずみゲージ103を備え付けられている。これにより弾性円板1001は、振動して、この変位量を計測することができる。
【0087】
図11は、弾性円板1001、遮蔽部材1002及び容器11の構造を説明した説明図である。本図に示すように弾性円板1001と遮蔽部材1002は組み合わされている。この遮蔽部材1002は、円柱形状であり、半径はr1とする。そして、弾性円板1001は、内径はr1となり、外径はr2となる。これにより、弾性円板1001の内径r1となる内円に遮蔽部材1002を挿入することができる。このように、弾性円板1001と遮蔽部材1002を組み合わせることで、弾性円板1001に接している混合溶液20の流体の弾性円板1001の半径方向で内円側への流動が制限される。なお、本実施の形態の説明では遮蔽部材1002の半径と弾性円板1001の内径は等しいと仮定して説明しているが、現実の濃度測定装置1000では、弾性円板1001が振動可能となる様に、遮蔽部材1002の外形の弾性円板1001の内周との間には間隙を有している。すなわち、遮蔽部材1002の半径はr1よりも若干小さく、弾性円板1001の内径はr1よりも若干大きくなる。この間隙は加工公差や組立公差、弾性円板1001の振動に必要な間隙を考慮して設定される。
【0088】
そして、本図に示すように、組み合わされた弾性円板1001及び遮蔽部材1002は、容器11内に据え置かれる。これにより、容器11内の混合溶液20等の流体は、半径方向で外円側への流動が制限される。
【0089】
図12は、弾性円板1001、遮蔽部材1002及び容器11に従って形成される混合溶液20の流れを説明する説明図である。本図に示すように混合溶液20は、半径方向の内円側及び外円側への流動が制限され、円周方向に流動することが可能となる。
【0090】
そして、弾性円板1001は、周波数発生部112で発生した周波数で加振用アクチュエータ102により振動することになる。この振動により生じた付加質量効果に基づいて濃度を取得することになる。次に第2の実施の形態における振動モードの次数と流体の流動距離の関係について説明する。
【0091】
図13は、弾性円板1001を振動させる振動モードが1次の場合について説明した説明図である。本図に示すように振動モードが1次の時に、点Oから一周するまでの振幅は下のグラフのようになる。この場合の流体の流動距離は、グラフ中の矢印の長さで示されている。そして、第1の実施の形態と同様に、振動モードの次数が増加するほど、流動距離が短くなる。
【0092】
次に、弾性円板1001を用いた場合の付加質量効果について具体的に説明する。図14は、弾性円板1001、遮蔽部材1002及び容器11により流路が制限された場合について、上面が弾性円板1001である場合の寸法を示した図である。そして、本図に示したような場合における弾性円板1001の振動による流体の付加質量効果について説明する。なお、混合溶液20の流体は、第1の実施の形態と同様に、非粘性、非圧縮性のポテンシャル流と仮定し、r2−r1≪r2とし、弾性円板1001の半径方向の変位は一様となり、流体の半径方向の流れは無視できると仮定する。この場合、数(14)式のγmの値の算出方法については特に記載しないが、参考文献「久保田・鈴木著、「流体中の振動円板に作用する付加質量効果」、日本機械学会論文集(C編)、50-449(1984)、P243-248」から次の数(16)式を求めることができる。なお、r0は弾性円板1001の平均半径であり、r0=(r1+r2)/2で求めることができる。
【0093】
【数16】

【0094】
そして、当然ながら、第1の実施の形態と同様にγm=Mfluid/mpが成り立つ。これにより数(16)式で示されるγmの値が高いほど濃度を計測する精度が向上することとなる。
【0095】
図15は、振動モードの次数毎にH/r0の値を変化させた場合のγmの値の変化を示したグラフである。本グラフを求める際にρp/ρfluid=2.5、r0/h=50と設定した。本グラフに示されたように、H/r0の値を小さくし、次数の低い振動モードを使うことで、γmの値を大きく、つまり濃度を計測する精度を向上させることができる。また、H/r0の値を小さくするとは、容器11と弾性円板1001との間を接近させる、または平均半径r0の大きい弾性円板1001を用いる等が考えられる。
【0096】
つまり、第1の実施の形態と同様に、次数の低い振動モードを用いるか、容器11と弾性円板1001との間を接近させる又は平均半径r0の長い弾性円板1001を用いることで、流体の流動距離が大きくなり付加質量効果が向上することで、濃度を計測する精度が向上する。
【0097】
また、以上のように構成された本実施の形態にかかる濃度計測装置1000で行われる処理手順は、第1の実施の形態で示した処理手順と同様であるため説明を省略する。
【0098】
さらに本実施の形態においては、第1の実施の形態で示した効果を有している以下に示した効果を有している。つまり、弾性円板1001を用いたことで、混合溶液20の流体の流動方向が円周方向となる。これにより、同一サイズの容器を用いた場合、流動方向が直線の場合より流動距離を増大させることが可能となる。したがって、濃度を計測する精度がさらに向上する。
【0099】
また、本実施の形態において、弾性円板1001の形状について特に制限するものではないが、流体の半径方向へ流動を制限して、濃度を測定する精度を向上させるために、内径と外径との比を1/3以上とするのが望ましい。
【0100】
また、本実施の形態では、容器11の形状について特に制限するものではないが、流体の弾性円板1001垂直方向への流動を制限して、濃度を測定する精度を向上させるために、容器11の上下端のうち少なくとも1つは密閉されている事が望ましい。すなわち、容器11の上下端のうち少なくとも一つを密閉することにより、流体に対して弾性円板1001が振動する際の振幅方向への流動を制限されるので、流体の流動距離が増大して付加質量効果がさらに向上する。なお、本実施の形態においては、容器11の内部に弾性円板1001を据え置いているので、下端を密閉するのと同様の効果を得ている。
【0101】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態では、振動部材を弾性円板1001として、容器11を弾性円板1001が当てはまる程度の円形容器とした。しかしながら、容器を円形にすることに制限するものではなく、例えば第1の実施の形態と同様に容器について特に制限はなく、混合溶液に浸漬される遮蔽容器と振動部材を円形にしても良い。さらに、この遮蔽容器内に混合溶液が滞留することを防止するために流体の流れによりポンプ作用を生じさせても良い。そこで、第3の実施の形態においては、遮蔽容器及び振動部材を円形とした上で、励起させた進行波による混合溶液の流れでポンプ作用を生じさせた場合について説明する。
【0102】
図16は、第3の実施の形態にかかる濃度計測装置1700の構成を示した構成図である。上述した第2の実施の形態にかかる濃度計測装置1000とは、容器12内に混合溶液20が満たされ、弾性円板1001とはサイズが異なる弾性円板1701に変更され、遮蔽容器1702が追加され、加振用アクチュエータ102は複数備え付けられ、記憶部1011とは異なる情報を記憶する記憶部1711に変更された構成を有している点で異なる。以下の説明では、上述した第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0103】
記憶部1711は、濃度−固有振動数対応テーブルを保持している。この濃度−固有振動数対応テーブルは、図2で示したように一方の軸に流体中の固有振動数を、他方の軸に流体の温度を備えており、各フィールドには被検知物質の濃度が予め設定されている。そして、第3の実施の形態の記憶部1711が記憶する濃度−固有振動数対応テーブルは、第3の実施の形態で用いられる弾性円板1701の固有振動数を特定するための情報を保持している点で第2の実施の形態の濃度−固有振動数対応テーブルとは異なる。これにより、弾性円板1701の固有振動数から濃度を取得することができる。
【0104】
弾性円板1701は、複数の加振用アクチュエータ102及び1個のひずみゲージ103が備え付けられている。この複数の加振用アクチュエータ102で振動を発生させることで、所定の条件の場合に進行波だけが選択的に励起して流体の流れが生じることになる。
【0105】
次に、進行波を励起するための加振用アクチュエータ102の貼り付け位置について説明する。また、以下の説明において、第2の実施の形態の図14で示した場合と同様に、弾性円板1701の内径r1そして外径r2とし、弾性円板1701と遮蔽容器1702の面の間の距離をHとする。そして、θ=0の位置に加振用アクチュエータ102を1個貼り付けて加振する。
【0106】
この貼り付けられた加振用アクチュエータ102で、節直径数mの固有角振動数ωmで加振すると次の数(17)式で示される定在波が励起される。なお、この加振用アクチュエータ102で生じる変位量をw1,mとし、この固有角振動数ωmで生じる振幅をAmとする。
【0107】
【数17】

【0108】
そして、この数(17)式を書き換えた数(18)式を次に示す。
【0109】
【数18】

【0110】
この数(18)式の右辺[]内の第1項は、位相速度θ=−ωmt/mの後退波を示し、第2項は、位相速度θ=ωmt/mの進行波を示している。
【0111】
そして、もう1個の加振用アクチュエータ102をθ=θ2の位置に貼り付け、数(17)式と同じ振幅で同じ角振動数ωmに、さらに位相差ψを与えて加振した場合を次の数(19)式に示す。なお、このもう1個の加振用アクチュエータ102で生じる変位量をw2,mとする。
【0112】
【数19】

【0113】
そして、数(18)式で示される振動及び数(19)式で示される振動が同時に励起した場合を考慮すると、弾性円板1701の振動は次の数(20)式で示される。
【0114】
【数20】

【0115】
そして、数(20)式の右辺[]内第1項の後退波の振幅を0にし、第2項の進行波の振幅を最大にする条件は以下の数(21)式及び数(22)式で示される。
【0116】
【数21】

【0117】
【数22】

【0118】
上記の数(21)式及び数(22)式において、i、kは任意の整数となる。従って2点を加振して進行波だけを選択的に励起させる条件は以下の数(23)式及び数(24)式となる。
【0119】
【数23】

【0120】
【数24】

【0121】
この数(23)式及び数(24)式の条件を満足させるようにもう1個の加振用アクチュエータ102を貼り付けることとする。これにより進行波のみを励起させることが可能となる。
【0122】
図17は、混合溶液20が滞留しないように弾性円板1701に貼り付けた加振用アクチュエータ102の配置例を示した説明図である。また、本図に示した例では、節直径数2の進行波が励起させていることとする。そして、一方の加振用アクチュエータ102はθ=0の位置をsinωtで加振し、他方の加振用アクチュエータ102はθ=3π/4の位置をsin(ωt−π/2)で加振する。つまり、数(23)式及び数(24)式で、m=2、i=0及びk=1とした場合に導出できた条件で加振することとする。これにより、進行波だけを選択的に励起することになり、混合溶液20の流体が流れることになる。
【0123】
図16に戻り、遮蔽容器1702は、内円側及び外円側への半径方向の流体の流動を制限し、さらに弾性円板1701の垂直方向への流動を制限する密閉構造とする。また、遮蔽容器1702は、この密閉構造において内円側に流体の流路となる開口部60が設けられ、さらに外円側にも流体の流路となる開口部50が設けられている。遮蔽容器1702がこのような構成を備えて、混合溶液20の流体の流れが生じることで、ポンプ作用が発生する。
【0124】
図18は、混合溶液20の流体の流れを利用して発生するポンプ作用を説明する説明図である。本図に示すように、進行波により生じる円周方向へ流体の流れUにより混合溶液20には遠心力が生じる。そして、遮蔽容器1702に外円側に流体の流路となる開口部50が設けられているので、混合溶液20の流体は、開口部50から外部へと流出する。そして、開口部50から流体が外部へと流出するために、遮蔽容器1702の内円側に設けられた開口部60から混合溶液20の流体が流入することになる。
【0125】
つまり、加振時には常に流体の流出及び流入が行われるポンプ作用が作用することとなり、混合溶液20の滞留を防止する。
【0126】
また、以上のように構成された本実施の形態にかかる濃度計測装置1700で行われる処理手順は、第1の実施の形態で示した処理手順と同様であるため説明を省略する。
【0127】
上述した本実施の形態において、混合溶液20に対してポンプ作用を生じさせることで、混合溶液20の濃度が均一となり、濃度を計測する精度が向上する。
【0128】
なお、本実施の形態においては、弾性円板1701の上に複数の加振用アクチュエータ102を設置して、進行波を励起させてポンプ作用を生じさせて場合について説明したが、ポンプ作用を生じさせるのを弾性円板1701に制限するものではなく、例えば、第1の実施の形態で示した弾性板に複数の加振用アクチュエータを設置して、進行波のみ励起させて流れを生じさせ、滞留を防止しても良い。
【0129】
(変形例)
また、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0130】
上述した実施の形態において、発生した複数の周波数、及びこれら周波数に対応する複数の変位量に基づいて、伝達関数を解析して、固有振動数を算出した。しかしながら、固有振動数の算出する方法を、このような複数の周波数を発生させることに制限するものではない。そこで本変形例では、上述した実施の形態とは異なる固有振動数の算出方法の例について説明する。
【0131】
本変形例では、周波数発生部で発生する周波数を、固有振動数と推測される周波数の範囲で変動させる。そして、ひずみゲージ103により計測される変位量が最も大きかった時に発生していた周波数を固有振動数とする。
【0132】
図19は、発生された周波数の範囲及びこの範囲内で計測された変位量を、伝達関数上に示したグラフである。本変形例において周波数発生部でf21からf22の範囲で周波数を変動させ、その際の変位量を示す電圧が入力される。そして、変位量が最も大きい場合の周波数を特定できるので、この周波数を固有振動数とする。
【0133】
本変形例を用いることで、伝達関数を求めずとも、容易に固有振動数を算出することが可能となる。
【0134】
また、上述した実施の形態及び変形例により、振動部材を弾性円板又は弾性板に制限するものではなく、どのような形状でも良い。また、振動部材の形状は、流体の流動距離を増加させる形状であることが好ましく、例えばらせん形状等であっても良い。
【0135】
また、上述した実施の形態及び変形例に用いられる混合溶液はどの様な混合溶液を用いても良く、例えば水とアルコールの混合溶液が考えられる。また、上述した実施の形態において流体が非粘性の場合について説明したが、粘性の混合溶液の濃度を測定する場合でも、上述した実施の形態と同様の構成を用いて濃度を測定することで、流動距離が増大するため、付加質量効果が生じることになり、精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
以上のように、本発明にかかる濃度計測装置は、濃度の計測に有用であり、特に、濃度を計測する際の固有振動数を用いることで溶液の温度依存性を低減させる技術として適している。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】第1の実施の形態にかかる濃度計測装置の構成を示した構成図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる濃度計測装置の記憶部に記憶されている濃度−固有振動数対応テーブルの構成を示した図である。
【図3】発生された複数の周波数及び対応する変位量により解析された伝達関数の一例を示したグラフである。
【図4】第1の実施の形態にかかる弾性板及び遮蔽容器についての構造を説明した説明図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる遮蔽容器の配置により拘束された弾性板に近接する混合溶液の流れを説明する説明図である。
【図6−1】第1の実施の形態にかかる弾性板の振動モードが1次の場合の流体の流動量を説明した説明図である。
【図6−2】第1の実施の形態にかかる弾性板の振動モードが3次の場合の流体の流動量を説明した説明図である。
【図7】第1の実施の形態にかかる遮蔽容器及び弾性板により流路が制限されたことで流路の断面形状が矩形となった場合の寸法を示した図である。
【図8】第1の実施の形態にかかる濃度計測装置において振動モードの次数毎にH/Lの値を変化させた場合のγmの値の変化を示したグラフである。
【図9】第1の実施の形態にかかる濃度計測装置における混合溶液の温度の取得から混合溶液の濃度を取得するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態にかかる濃度計測装置の構成を示した構成図である。
【図11】第2の実施の形態にかかる弾性円板、遮蔽部材及び容器の構造を説明した説明図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる弾性円板、遮蔽部材及び容器に従って形成される混合溶液の流れを説明する説明図である。
【図13】第2の実施の形態にかかる弾性円板を振動させる振動モードが1次の場合について説明した説明図である。
【図14】第2の実施の形態にかかる弾性円板、遮蔽部材及び容器により流路が制限された場合について、上面が弾性円板である場合の寸法を示した図である。
【図15】振動モードの次数毎にH/r0の値を変化させた場合のγmの値の変化を示したグラフである。
【図16】第3の実施の形態にかかる濃度計測装置の構成を示した構成図である。
【図17】第3の実施の形態にかかる濃度計測装置において混合溶液が滞留しないように弾性円板に貼り付けた加振用アクチュエータの配置例を示した説明図である。
【図18】第3の実施の形態にかかる濃度計測装置において混合溶液の流体の流れを利用して発生するポンプ作用を説明する説明図である。
【図19】変形例にかかる濃度計測装置の周波数発生部により発生された周波数の範囲及びこの範囲内で計測された変位量を、伝達関数上に示したグラフである。
【符号の説明】
【0138】
10、11、12 容器
20 混合溶液
30 温度センサ
50 開口部
60 開口部
100、1000、1700 濃度計測装置
101 弾性板
102 加振用アクチュエータ
103 ひずみゲージ
104 遮蔽容器
111、1011、1711 記憶部
112 周波数発生部
113 駆動アンプ
114 チャージアンプ
115 固有振動数算出部
116 温度取得部
117 濃度取得部
1001、1701 弾性円板
1002 遮蔽部材
1702 遮蔽容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる溶液中に浸漬される振動部材と、
前記振動部材に接する前記溶液の流動可能な流動領域を制限する遮蔽部と、
前記振動部材を、予め定められた振動数で振動させる振動制御手段と、
前記振動制御手段による前記振動部材の振動時における前記振動部材の物理的な変動量を計測する変動計測手段と、
前記振動制御手段による前記振動部材を振動させた前記振動数及び前記変動計測手段により計測された前記変動量から前記溶液中の前記振動部材の固有振動数を算出する固有振動数算出手段と、
前記固有振動数算出手段により算出された前記固有振動数と、予め定められた前記固有振動数及び前記溶液の濃度の対応関係から前記溶液の濃度を取得する濃度取得手段と、
を備えたことを特徴とする濃度計測装置。
【請求項2】
前記振動部材は、直方体形状に形成されており、該直方体形状の外面に設置された加振部で振動し、
前記振動制御手段は、前記振動部材に設置された前記加振部を用いて前記振動数で振動させることを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記振動部材の長手方向に開口部が設けられた筒状の遮蔽容器を有することを特徴とする請求項2に記載の濃度計測装置。
【請求項4】
前記振動部材は、環形状に形成されており、該環形状の前記溶液に接する外面に設置された加振部で振動し、
前記振動制御手段は、前記振動部材に設置された前記加振部を用いて前記振動数で振動させることを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【請求項5】
前記遮蔽部は、前記振動部材の前記環形状における内側及び外側に前記溶液の前記振動部材の半径方向への流動を制限する遮蔽部材と、前記溶液に対して前記振動部が振動する際の振幅方向への流動を制限する遮蔽部材と、を設けたこと
を特徴とする請求項4に記載の濃度計測装置。
【請求項6】
前記遮蔽部は、前記内側及び前記外側の前記遮蔽部材に前記溶液の流路となる開口部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の濃度計測装置。
【請求項7】
前記振動部材は、前記溶液の流れを生じさせる進行波の発生可能な位置に複数の加振部が設置され、
前記振動制御手段は、前記振動部材に設置された複数の前記加振部を、前記進行波を選択的に励起させる異なる位相の前記振動数を用いて振動させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1つに記載の濃度計測装置。
【請求項8】
前記対応情報を記憶する記憶手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに濃度計測装置。
【請求項9】
前記振動制御手段は、異なる複数の振動数で前記振動部材を振動させ、
前記固有振動数算出手段は、前記振動制御手段により前記振動部材を振動させた異なる複数の前記振動数、及び前記振動数による振動時における前記変動計測手段により計測された前記変動量から前記溶液中における前記振動部材の前記固有振動数を算出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の濃度計測装置。
【請求項10】
前記振動制御手段は、前記振動部材を振動させる場合に前記溶液中における前記固有振動数と推測される振動数を含む範囲で前記振動数を変化させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の濃度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−275987(P2006−275987A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100037(P2005−100037)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)