濃淡画像の等高線描画装置および濃淡画像の処理システム
【目的】 取り扱うことができる濃淡画像の範囲を大幅に拡大して、高度なパターン認識を行うことができるようにする。
【構成】 原画像のノイズ除去、階調数の調整、および領域の分割処理を行う前処理装置61と、処理画像を等高線の集まりとして読み取ってそれに囲まれた領域を特徴づけるデータを記録した領域データリストを作成するデータ読み取り装置62と、画像の中で意味のある対象物としての領域を選び出す特徴領域抽出装置63と、選ばれた領域の等高線を表示しそれの大凡の形状を再現できる座標データを読み取る等高線の描画装置64とを設け、画像を等高線で囲まれた領域のデータリストを作成するとともに、この中から特定の目的にそったものを選びだし、その等高線を表示装置に描き、その座標データを取得することにより、濃淡画像の評価を機械で行うことが可能な範囲を広げることができるようにする。
【構成】 原画像のノイズ除去、階調数の調整、および領域の分割処理を行う前処理装置61と、処理画像を等高線の集まりとして読み取ってそれに囲まれた領域を特徴づけるデータを記録した領域データリストを作成するデータ読み取り装置62と、画像の中で意味のある対象物としての領域を選び出す特徴領域抽出装置63と、選ばれた領域の等高線を表示しそれの大凡の形状を再現できる座標データを読み取る等高線の描画装置64とを設け、画像を等高線で囲まれた領域のデータリストを作成するとともに、この中から特定の目的にそったものを選びだし、その等高線を表示装置に描き、その座標データを取得することにより、濃淡画像の評価を機械で行うことが可能な範囲を広げることができるようにする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、濃淡画像の等高線描画装置および濃淡画像の処理システムに関わる。
【0002】
【従来の技術】材料組織画像あるいは粉体・粒子等の画像を機械によって定量解析を行うためには、入力画像を2値化あるいは細線化処理を行った後の処理画像の中に、対象となるイメージとしての欠陥がなく、また対象物以外のものが存在しないことが必要である。
【0003】これを実現するためには、通常、幾何学的なパターン認識作業を行っている。パターン認識を含む画像処理および解析は、一般に、しきい値処理による2値画像を用いて行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のようなしきい値処理による2値画像を用いて行う方法では、黒化度の勾配に関する情報が除かれているため、コントラストの関係する高度な認識を行うことはできなかった。このため、従来は機械が対象とすることのできる画像は、2値化処理になじむ濃淡画像に限られていた。
【0005】本発明は上述の問題点にかんがみ、取り扱うことができる濃淡画像の範囲を大幅に拡大して、高度なパターン認識を行うことができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、本発明の濃淡画像の等高線描画装置は、濃淡画像の中の特徴的な形状の対象物を等高線で囲まれた領域として抽出する領域抽出手段と、上記領域抽出手段によって抽出された特徴的な形状の対象物を表す等高線とその分布を画像として表示する表示手段とを具備している。
【0007】また、本発明の濃淡画像の処理システムは、前処理の終わった濃淡画像を、多数の2値画像の集まりと見なし、それぞれの領域の存在範囲と、上下に隣接する領域を記録した領域データファイルを作成し、そのデータを立体的に整理して、その中から着目する特徴を備えた等高線、またはその集団を表示装置に描画する。そして、この中の必要な等高線図を記録することにより、高度なパターン認識を必要とする各種の作業、例えば、材料組織の定量化、特徴領域の切り出し、重ね合わせなどを効率的に行うための環境を用意するようにしている。
【0008】
【作用】図6は、濃淡画像の処理システムの構成とデータの流れを説明する図である。図6から明らかなように、本発明の濃淡画像の処理システムは、前処理装置61、データ読み取り装置62、特徴領域抽出装置63および等高線の描画装置64等によって構成されている。
【0009】先ず、CCDやIP、またはスキャナ等で作成された原イメージ信号S1が前処理装置61に与えられる。前処理装置61においては、等高線で囲まれた領域に量子ノイズ等に起因する孤立領域を除くための平滑化を行う。この場合、目的によっては、平滑化の後に次の処理の一方または両方を行う。すなわち、その一つは、ラプラシアン処理を施して、微分濃淡画像に変換する処理である。
【0010】また、他の一つは、画像を表示して、対象像の上に切断線を描き、この線上の濃度値を最大値または“0”とする。その後、濃度の最大値と最小値との間を分割して、濃度の階調の調整を行う。
【0011】前処理装置61において前処理が施されたイメージデータS1は、次に、データ読み取り装置62に入力され、それぞれの階調値をしきい値とする2値画像の境界(等高線)で囲まれた領域の大きさと、それの存在する範囲、および上下の隣接する高さの領域との重なり合いの関係のデータを記録した領域データファイルに変換される。上記領域データファイルの配列要素の記載内容と、各項目の意味を下記の表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】領域データファイルは、特徴領域抽出装置63により、上下に1:1で重なり合う領域の集まりを枝としてまとめられる。そして、これらの接続関係を立体的に組み立てて、全ての領域を、高さが“0”で像の全体が一つの幹になる樹木構造として整理される。
【0014】これにより、例えば、濃淡画像の写真の中で、意味のある対象物として作業者が着目する像は、特定の枝の断面の代表領域に対応させることができる。このようにして、領域を樹木構造の中に位置づけることにより、領域の性格を表すパラメータとしては、表1に示したデータリストのパラメータのほかに、その領域内の濃度の極大点の数、およびそれらの位置、標高差、お互いの接続関係を使うことができるようになる。
【0015】等高線の描画装置64では等高線の描画が行われる。等高線を描画する領域の指定は、領域データリストおよび領域の樹木構造から得られるパラメータの特定のものに、限界値を指定した条件式によって行う。
【0016】領域名を指定して等高線表示装置を働かせると、領域データのしきい値(th)が指定されて、(iu, ju)を起点とし、イメージデータの等高線を一回りする。このときに通過した点を、表示装置の対応する位置に印をつけることにより、指定された領域の周辺を囲む等高線を描くことができる。
【0017】等高線を一回りするときには、その幾何学的な詳細な形状を与える特徴点の座標を、数値データとして取得できる。例えば、等高線の外側に対して凸または凹の屈曲点の座標とその折れ曲がりの角度、くびれた部分の位置と幅、等高線の全長等を容易に数値データとすることができる。
【0018】なお、この一連の座標データを用いれば、等高線の大凡の形状を、イメージデータを参照せずに描くことができる。このデータは、更に高度なパターン認識のための入力データとして利用できる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の濃淡画像の等高線描画装置および濃淡画像の処理システムの実施例を詳述する。先ず、図1および図2に従って本実施例の濃淡画像の等高線描画装置を説明する。図1は本実施例の濃淡画像の等高線描画装置の構成を示す図である。図1に示したように、本実施例の濃淡画像の等高線描画装置は領域名指定手段1、条件式作成手段2、等高線追尾手段3、表示手段4、特徴点の座標読み取り手段5および等高線形状のデータ作成手段6によって構成されている。
【0020】図2は、図1に示した濃淡画像の等高線描画装置の動作を説明するためのフローチャートである。図2に示したように、ステップP1において領域名指定手段1により領域名を指定すると、領域データファイルから、その等高線の高さ(h)と、その領域に入った最初の点の座標(x,y) の値を読み取る。等高線追尾手段3では、イメージデータのその点を起点として(図2のステップP2)、等高線の上を時計回りの方向に移動する。
【0021】本実施例では、イメージの周辺のピクセル値は“0”としてある。このため、等高線は全て閉じた閉曲線となる。濃淡画像の等高線の特徴は、他の等高線とは重なる部分はあっても、交差点がないことであり、一回りすると起点に戻る。
【0022】図3は、ある点の回りの8近傍点の記号を示している。ステップP3の「近傍探索」では、先ず、カーソルの位置(現在点)の回りの8近傍点のピクセル値を読み取り、8個の要素を持つ配列に書き込む。
【0023】図4は、等高線の高さを88と指定したときの、等高線上の点とその8近傍点のピクセル値の一例を示している。この図の中心に進入する前の点の方向は5である。この場合、カーソルが起点にいるときの進入方向は4とする。
【0024】図4で、ここを起点として8近傍点を時計方向に移動して、ピクセル値dが、d<h から、 d≧h となる点を、次に移動する点とする。図4では、「2」の位置の方向である。
【0025】次に、ステップP4で行う屈曲点の判定方法を説明する。直前の屈曲点(または起点)を出るときの方向は、図3の数値drb として記憶してある。カーソルの存在する現時点に入るときの方向をdri とするとともに、出るときの方向をdroとする。
【0026】このとき、 d = abs ( drb - dri + drb - dro ) …(1式)
とおくと、屈曲点である条件は、「以下に示す3つの不等式が同時に成り立つとき」、と記述することができる。
d>1 …(2式)
d<15 …(3式)
d≠7 …(4式)
【0027】これを言い換えれば、直前の屈曲点を出る時の方向と、現在点に入る前の点と後の点を結ぶ線分の方向の間の変化が45度、またはそれ以上になった点が新しい屈曲点である。そして、その屈曲点の(x,y) 座標が記録される。なお、起点は無条件で記録される。
【0028】ステップP4における判定が屈曲点の場合は、ステップP5に進み、座標点を記録する。また、ステップP4における判定が屈曲点でない場合は、ステップP4からステップP6に進み、その点が中間点であるか否かを判定する。ところで、等高線を屈曲点だけで記録すると、緩やかにカーブした曲線部分が直線として近似される。これを除くために、直前の屈曲点(または中間点)からの距離(または移動ステップ数)を指定して、それを越えた点を中間点として、その点の(x,y) 座標を記録する。なお、本実施例では中間点を指示するステップ数を10としたが、これは解析の目的に応じて任意に選べばよい。
【0029】記録される座標点を分類すると、内側に凸な屈曲点、外側に凸な屈曲点、および中間点の3種類がある。これらを区別するために、それぞれに「-1」、「+1」、「 0」、の印をつけておくと、等高線の形状の特徴(例えば、くびれ部の位置と幅、あるいは半島の長さ等)を量として表現するときの計算に便利である。
【0030】ステップP5において必要な特徴点の記録が終わると、そのときの進行方向をdrbとして記録し、ステップP3の「近傍探索」で決めた次の点に移動し(ステップP7)、同じ作業を繰り返す。そして、等高線を一回りして起点に戻ったところ(ステップP8)で等高線形状データは完成する。
【0031】したがって、表示装置のウインドーに、入力イメージに対応する空間を開いておき、上の作業の中で通過した点の座標に対応する場所に点を描けば、等高線図を描くことができる。図5は、このような方法で析出物としての特徴を備えた領域の等高線を、原イメージを1/2に縮尺した1024×768 のイメージとして表示したものである。
【0032】等高線追尾手段3を働かせて得られた等高線の形状データを使えば、これとほとんど同じ等高線図を、原イメージのピクセルデータを使わずに描くことができる。そして、それに記録された各点の座標データを使えば、それぞれの線分の長さ、線分の間の角度等の幾何学的なデータを組み合わせて、高度なパターン認識を行うことが可能になる。
【0033】次に、上記実施例の濃淡画像の等高線描画装置を用いた濃淡画像の処理システムを説明する。以下、作用で説明した順序に従って、具体的なデータの流れを説明する。先ず、前処理装置61において行われる前処理について説明する。なお、本実施例においては、鉄鋼薄膜試料をイメージングプレートを組み込んだ透過電子顕微鏡で撮影し、これから作成した 2048x1536 の大きさの 4096 階調の濃淡画像を入力画像とした。ディジタルイメージの倍率を、ピクセル間隔の実寸法で表した数値は 5.0 nm であった。
【0034】前処理装置61では、先ず、平滑化処理により量子ノイズを除いた後、100 階調の濃淡画像に調整した。
(A)本実施例で解析の対象とした第1のものは球形の析出物であり、解析の目的は析出物の粒径に対する頻度分布図の作成である。CRTに表示した濃淡イメージの上で、複数の析出物が接触あるいは重なっている箇所には、操作者が指示した線による切断を入れ、この線上のピクセル値は 0、あるいは最大値 100とした。
【0035】(B)本実施例で解析の対象とした第2のものは棒状の形をした析出物であり、解析の目的は、析出物の太さとアスペクト比に対する頻度分布図の作成、および整合度の判別である。CRTに表示した濃淡イメージの上で、棒状の析出物が干渉縞あるいは粒界と接触あるいは重なっていて、等高線として分離が困難な箇所には、操作者が指示した線による切断を入れ、この線上のピクセル値は 0、あるいは最大値 100 とした。
【0036】次に、前処理の終わったデータをデータ読み取り装置62に入力し、等高線で囲まれた全ての領域の、存在する範囲とその面積、および隣接する高さの領域との重なり合いを記録した領域データリストを作成する。
【0037】その後、上記領域データリストを濃淡画像の特徴領域抽出装置63に入力して、処理の対象とする候補領域のリストを作成する。この選考過程で用いられるパラメータは、領域の面積、円形度、線間隔、最大濃度との標高差のほか、その領域内の濃度の極大点の数、およびそれらの位置、標高差等であり、これらに所定の限界値を与えた条件式を組み合わせた選考基準を使って候補を選出する。
【0038】(A) 対象が円形の析出物のときの実施例で用いた限界値は、面積の上限と下限、円形度の下限、線間隔の上限、および標高差の下限である。これらの限界値は、あるパラメータには複数とし、他のパラメータとの組合せのもとで使い分ければ抽出成績は向上する。領域の内部構造が複雑な場合には、領域内の極大点の数およびそれに付随するデータを使って、領域の分割を行った。
(B) 対象が棒状の形をした析出物のときには、(A) のときの円形度の下限を上限に置き換えた。
【0039】次に、上述した等高線の描画装置64において、指定した領域の描画および形状データの取得を行う。特徴領域抽出装置63が作成した候補領域の等高線を、表示手段4(CRT)に描いた等高線図のハードコピーが、図5である。この過程で等高線の概略の形状を、イメージデータを参照せずに描画するためのデータとして、各特徴点の座標を読み取って記録する。このデータは本実施例で有効に使用することはなかったが、高度なパターン認識を必要とするときに使うことができる。
【0040】次に、上記データ読み取り装置62および特徴領域抽出装置63の一例を説明する。図7は、データ読み取り装置62の一例を示す構成図である。上記データ読み取り装置62は、ディジタルイメージとして得られる濃淡画像の全てのものを対象とする。
【0041】入力された原イメージ信号S1は前処理装置61に与えられ、ここで公知の平滑化処理が施されて量子ノイズが取り除かれる。その後、濃度の最大値と最小値の間を適切な階調数に調整され、入力イメージ信号S2としてイメージ読み取り装置62に出力される。
【0042】イメージ読み取り装置62は、入力イメージ信号S2のある階調をしきい値とする2値像の一単位のデータS4を読み込むたびに、読み取りデータ処理装置73に送るようにしている。
【0043】読み取りデータ処理装置73では、送られてきた一単位のデータS3とそれに関連するワークファイル74の記載内容と領域データ記録装置5の内容に応じて、各種の判断を行い、その結果を領域データ記録装置5へ書き込み(上書きを含む)、後で必要になるデータをワークファイル74に書き込む。この作業を最大濃度から始めて一つずつ濃度を下げて行き、これが0になったところで領域データリストL1は完成する。
【0044】図8は、読み取り装置の働きを説明するためのフローチャートである。なお、濃淡画像はその階調の数だけの2値画像の集まりであり、等高線はそれぞれの階調をしきい値とする2値画像の境界線として定義する。
【0045】図8に示したように、動作がスタートすると、ステップP1においてイメージの読み取りが始まる。このイメージの読み取りは、最高の高さの2値画像から始められる。そして、2値画像の高さをステップP2で判断し、ゼロになったら読み取り動作を終了する。
【0046】ここでは、画面上の移動時の出発点をイメージの最上で、かつ左端とする。そして、画面上での移動はイメージの最上線から出発し(ステップP3)、各行では左端から右方向に移動する。そして、ステップP4にてその行の右端に到達したか否かを判定し、右端に到達していない場合にはステップP5に進み、線の左端を移動開始点とする。
【0047】次に、ステップP6にて走査位置が線の右端に達したか否かを判定し、右端に達していない場合にはステップP7に移行して移動処理を行う。そして、次にステップP8にて走査位置を変更してから、上述したステップP6に戻る。そして、ステップP6の判定の結果、その線の右端に到達したらステップP9に移行して一行下の左端に跳び、再び右の方に移動するという方法を繰り返して最下行まで行く。
【0048】そして、この2値画像の走査が全て終わると、ステップP4からステップP10に進み、一つ下の高さの2値画像に移行して同じことを繰り返し、高さがゼロの画面で読み取りを終了する。
【0049】次に、ステップP7における移動の内容を詳細に説明する。ここでは、イメージを走査しているとき、そのピクセル値を読み取る点をカーソルと呼ぶことにする。濃度高さが「h」という値に指定されて、カーソルが(x, y)の座標点にいるときには、その点の黒化度「d」の値によって、d<h,d=h,d>h の3つの状態の何れかの状態にある。
【0050】移動の一つの単位は、この状態が変化した点から、次に状態が変化する点までである。以下、図9を参照して、カーソルの走査に伴って行われる具体的な作業の内容を説明する。読み取り装置の動作が「移動」の中に入ったときには、その位置のピクセル値をステップP1にて検出する。そして、その位置のピクセル値で決まるカーソルの状態によって、次の3通りの作業を行う。
【0051】すなわち、ステップP2における判定の結果、d>hのときにはステップP3に進み、ワークファイルのその位置に対応する欄に記載してある領域名と、その一つ右の位置に記入してあるその領域が終了する位置のx座標を読み取り、その位置まで跳び、ワークファイルの持つ一つの配列の中に、領域名とその終了位置を記入する。このとき、カーソルが移動した位置ではd≦hの状態になる。
【0052】また、ステップP2における判定の結果が、d>hでない場合はステップP4に進み、d=hか否かを判定する。そして、d=hのときには、ステップP5に進んでピクセル値を読み取りながら、n≠hの位置まで移動する。このとき、CRT上に開いたイメージ空間の対応する位置を塗りつぶすことにより、読み取り作業の進行状況を表示することができる。
【0053】一方、状態がd≧hの状態から、d<hに変化したときには、ステップP6に進み、各種のデータを読み取り、これを記録する(記録装置は後述する)。この後、カーソルは右に移動し、その状態がd<hから、d≧hに変化した点のx座標を、変数xs の値として記録しておく(ステップP7)。
【0054】領域の重なり合いの関係と大凡の形は、表1に記録される。それに対して行われる帳簿処理の具体的な内容と、ワークファイルに記録されるデータの内容は、図10を参照しながら説明する。
【0055】記録装置には、現在行のy座標、およびd≧hになった点のx座標xs と、現在点のx座標が渡される(ステップP1)。次に、ステップP2に移行し、ワークファイルの一行上(y−1)の記録を読んで、その行のxs からxの間にある領域名を記録し、その数nを数える。
【0056】そして、次のステップP3の判定の結果、n=0のときは、ステップP4に進み、それを新しい領域と判断して、その名前(一連番号m)を記録装置に登録し、それの座標欄に現在のデータを書き込む。ワークファイルの記録に、xs とxの間に一つ上の高さ(h+1)の領域があるときには、その領域の(nn)の欄の内容を読む。
【0057】次に、ステップP5において、上のhの領域nnが0であるか否かを判定する。そして、それが0のときには、ステップP6においてその下の現在領域の名前をそこに記入し、現在領域の(nb)欄の数値には1を加算する。
【0058】また、ステップP3における判定の結果、n=0でない場合にはステップP7に進んでn>1か否かを判定する。そして、n=1のときは、ステップP8に進み、一行上の領域の拡大として処理し、それに応じて座標データの一部を書き換える(ステップP10)。
【0059】また、ステップP7における判定の結果、n>1のときは、一行上の2つの領域の合体を意味する。このときは、ステップP9に進み、右側の領域は消去し(stの変数の数値の符号を負にする)、そのデータは、吸収した左側の領域のデータとして引き継ぎ、吸収した領域の座標データの書き換えを行う(ステップP10)。もし、n>2 のときは、この合体作業を繰り返す。
【0060】記録装置にデータの記入および書換えの終わった後には、ステップP11においてワークファイルのxs の欄に現在領域の名前を記入し、その一つ右の欄にはxの座標の値を記入する。以上の作業を全画面の走査が終わるまで繰り返すことにより、記録装置の中の等高線で囲まれた領域のデータファイルL1は完成する。完成した領域データファイルL1は、何等かの目的を持った解析に使われたときに意味を持つ。
【0061】図11は、入力イメージが領域リストに変換された後、それぞれの手段で加工されていき、最後に特徴領域リストL6として完成されていく過程のデータの流れを説明する図である。
【0062】図11に示したように、入力された濃淡画像INは、濃淡画像データ読み取り装置62に与えられ、上記濃淡画像データ読み取り装置62により領域データリストL1が作成される。この領域データリストL1は、等高線で囲まれた領域の大凡の形状と隣接する高さの領域との重なり合いを記録したデータの集まりである。
【0063】上記濃淡画像データ読み取り装置62によって作成された領域データリストL1は、領域整理手段82に与えられて加工される。上記領域整理手段82は、領域と領域が上下に1:1で重なり合う部分を枝と定義して枝リストL2を作成するために設けられている手段である。
【0064】なお、上記枝の起点となる領域は、ある高さで発生し、別の枝と合体する直前の領域が終点となる。そして、次の枝の起点は、合体直後の領域である。枝リスト2には、その起点、終点、およびそれのつながる次の枝の起点の領域名が記載される。なお、枝リストL2には解析目的に応じて、枝の代表となる特徴を備えた領域名と、その特性値を記録する。
【0065】上記枝リストL2は、枝整理手段83に与えられて加工される。上記枝整理手段83は、枝を接続関係によって立体的に組み立て、全ての領域を高さ0で像の全面が一つの幹になる樹木構造として整理する。そして、解析対象としての可能性を備えた領域を持つ枝で、重なり合うものの集まりをグループと定義してグループリストL3を作成する。
【0066】上記グループリストL3は、候補領域選択手段84に与えられて加工される。候補領域選択手段84は、解析対象として取り上げる可能性のある候補領域を、特性値を使った条件式を用いて、各グループの枝メンバーの代表領域の中から選び、これを候補リストL4に記入する。さらに、特性値の組合せが特別の条件を満たした領域には、この段階で合格の印を付けておく。
【0067】候補リストL4は、データ追加手段85に与えられて加工される。データ追加手段85は、イメージデータの等高線を一回りする装置を働かせて、候補リストL4に登録された領域の等高線をたどり、その全長、凹凸度、くびれ部の形状等、特徴領域を抽出するときの条件式に必要な幾何学的形状の特徴を、追加データとして読み取り、結果を候補リストL4の中に書き込む。
【0068】データ追加手段85の出力は、領域抽出手段86に与えられて加工される。上記領域抽出手段86は、専門家が写真から目視作業で解析の対象を拾い出すときの条件を、領域リストL4と、上記データ追加手段85で追加したデータを組み合わせたパラメータで記述した抽出条件式として書き表し、これに合格した領域を抽出領域リストL5に転記する。
【0069】抽出領域リストL5は、データ調整手段87に与えられて加工される。上記データ調整手段87は、抽出領域の中で重なり合う領域の小さいものが、候補領域選択手段84で合格の判定をされていているときには、抽出領域リストL5に書かれているそれぞれの領域の座標データおよび面積を、決められた計算式による新しい数値に書き換える。これは、特殊な内部構造を持つ領域を、2つに分割する操作である。重なる2つの領域が対等の条件のときには、例えば,面積の小さい領域を対象から除く。
【0070】以上の手段で抽出された特徴領域リストL6は、そのデータを直感的に表現する等高線図としてCRTに描くことにより、専門家の目視抽出の結果と比較してその成績を評価することができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の濃淡画像の等高線描画装置によれば、像の中の特徴的な形状の対象物を、等高線で囲まれた領域として抽出し、それらの形状を表す等高線とその分布を画像として表示するようにしたので、上記機能を用いて操作者の判断により、または予め設定された判断基準による評価と選別を行うことにより、濃淡画像の中から特定の目的のため対象物を抽出するための基本データを作成ことができる。これにより、材料組織の定量解析のほか、特定の対象物のイメージからの切り出し、対象物の詳細な幾何学的な形状をもとにした各種の判断のためのイメージを提供することができる。
【0072】また、本発明の濃淡画像の処理システムによれば、本発明により作成されるイメージデータから作成した等高線データリストにより、機械による材料組織の自動定量解析において、人が目視作業で行うときと同程度の成績を持つ結果を得ることができる。また、入力可能なイメージは、吸収コントラストによる濃淡画像だけでなく、透過電子顕微鏡像のように、着目する粒子が回折コントラストによって識別されるものにも、その対象を広げることができる。さらに、濃淡画像の解析のための有力な手段である2値化・細線化像のデータリストと並んで、本発明のデータリストはパターン認識のための一つの汎用的な手法として利用することができる。
【0073】さらに、解析対象となる特徴を備えた領域を、領域データファイルの検索と比較の繰り返しにより抽出することができ、画像解析の専門家が写真から目視判定で特徴領域を抽出してそれを定量化する作業を機械に置き換えることができるとともに、画像解析の専門家が行う目視解析と同程度以上の成績が得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃淡画像の等高線描画装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例で用いた、8近傍点の位置の符号を定義する図である。
【図4】カーソルの移動方法を説明するための、8近傍点のピクセル値の一例を示す図である。
【図5】鉄鋼材料の透過電子顕微鏡像の中から、本装置により抽出された円形析出物と判定できる可能性のある領域の分布図である。
【図6】本発明の濃淡画像の処理システムの基本構成と、その中のデータの流れの説明図である。
【図7】本発明の濃淡画像の処理システムに用いられる濃淡画像データ読み取り装置の一実施例を示す構成図である。
【図8】濃淡画像データ読み取り装置がイメージデータを読み取るときの走査の方法を説明する図である。
【図9】濃淡画像データ読み取り装置において、カーソルの状態による走査過程の移動に関する動作を説明する図である。
【図10】濃淡画像データ読み取り装置において、領域データファイルへの読み取りデータの記入方法、およびワークファイルへのデータの記入方法の説明図である。
【図11】濃淡画像の処理システムに用いられる特徴領域抽出装置の概略構成およびイメージデータの流れを示す構成図である。
【符号の説明】
1 領域名指定手段
2 条件式作成手段
3 等高線追尾手段
4 表示手段
5 特徴点の座標読み取り手段
6 等高線形状のデータ作成手段
61 前処理装置
62 データ読み取り装置
63 特徴領域抽出装置
64 等高線の描画装置
IN 濃淡画像
L1 領域データリスト
L2 枝リスト
L3 グループリスト
L4 候補リスト
L5 抽出領域リスト
L6 特徴領域リスト
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、濃淡画像の等高線描画装置および濃淡画像の処理システムに関わる。
【0002】
【従来の技術】材料組織画像あるいは粉体・粒子等の画像を機械によって定量解析を行うためには、入力画像を2値化あるいは細線化処理を行った後の処理画像の中に、対象となるイメージとしての欠陥がなく、また対象物以外のものが存在しないことが必要である。
【0003】これを実現するためには、通常、幾何学的なパターン認識作業を行っている。パターン認識を含む画像処理および解析は、一般に、しきい値処理による2値画像を用いて行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のようなしきい値処理による2値画像を用いて行う方法では、黒化度の勾配に関する情報が除かれているため、コントラストの関係する高度な認識を行うことはできなかった。このため、従来は機械が対象とすることのできる画像は、2値化処理になじむ濃淡画像に限られていた。
【0005】本発明は上述の問題点にかんがみ、取り扱うことができる濃淡画像の範囲を大幅に拡大して、高度なパターン認識を行うことができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、本発明の濃淡画像の等高線描画装置は、濃淡画像の中の特徴的な形状の対象物を等高線で囲まれた領域として抽出する領域抽出手段と、上記領域抽出手段によって抽出された特徴的な形状の対象物を表す等高線とその分布を画像として表示する表示手段とを具備している。
【0007】また、本発明の濃淡画像の処理システムは、前処理の終わった濃淡画像を、多数の2値画像の集まりと見なし、それぞれの領域の存在範囲と、上下に隣接する領域を記録した領域データファイルを作成し、そのデータを立体的に整理して、その中から着目する特徴を備えた等高線、またはその集団を表示装置に描画する。そして、この中の必要な等高線図を記録することにより、高度なパターン認識を必要とする各種の作業、例えば、材料組織の定量化、特徴領域の切り出し、重ね合わせなどを効率的に行うための環境を用意するようにしている。
【0008】
【作用】図6は、濃淡画像の処理システムの構成とデータの流れを説明する図である。図6から明らかなように、本発明の濃淡画像の処理システムは、前処理装置61、データ読み取り装置62、特徴領域抽出装置63および等高線の描画装置64等によって構成されている。
【0009】先ず、CCDやIP、またはスキャナ等で作成された原イメージ信号S1が前処理装置61に与えられる。前処理装置61においては、等高線で囲まれた領域に量子ノイズ等に起因する孤立領域を除くための平滑化を行う。この場合、目的によっては、平滑化の後に次の処理の一方または両方を行う。すなわち、その一つは、ラプラシアン処理を施して、微分濃淡画像に変換する処理である。
【0010】また、他の一つは、画像を表示して、対象像の上に切断線を描き、この線上の濃度値を最大値または“0”とする。その後、濃度の最大値と最小値との間を分割して、濃度の階調の調整を行う。
【0011】前処理装置61において前処理が施されたイメージデータS1は、次に、データ読み取り装置62に入力され、それぞれの階調値をしきい値とする2値画像の境界(等高線)で囲まれた領域の大きさと、それの存在する範囲、および上下の隣接する高さの領域との重なり合いの関係のデータを記録した領域データファイルに変換される。上記領域データファイルの配列要素の記載内容と、各項目の意味を下記の表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】領域データファイルは、特徴領域抽出装置63により、上下に1:1で重なり合う領域の集まりを枝としてまとめられる。そして、これらの接続関係を立体的に組み立てて、全ての領域を、高さが“0”で像の全体が一つの幹になる樹木構造として整理される。
【0014】これにより、例えば、濃淡画像の写真の中で、意味のある対象物として作業者が着目する像は、特定の枝の断面の代表領域に対応させることができる。このようにして、領域を樹木構造の中に位置づけることにより、領域の性格を表すパラメータとしては、表1に示したデータリストのパラメータのほかに、その領域内の濃度の極大点の数、およびそれらの位置、標高差、お互いの接続関係を使うことができるようになる。
【0015】等高線の描画装置64では等高線の描画が行われる。等高線を描画する領域の指定は、領域データリストおよび領域の樹木構造から得られるパラメータの特定のものに、限界値を指定した条件式によって行う。
【0016】領域名を指定して等高線表示装置を働かせると、領域データのしきい値(th)が指定されて、(iu, ju)を起点とし、イメージデータの等高線を一回りする。このときに通過した点を、表示装置の対応する位置に印をつけることにより、指定された領域の周辺を囲む等高線を描くことができる。
【0017】等高線を一回りするときには、その幾何学的な詳細な形状を与える特徴点の座標を、数値データとして取得できる。例えば、等高線の外側に対して凸または凹の屈曲点の座標とその折れ曲がりの角度、くびれた部分の位置と幅、等高線の全長等を容易に数値データとすることができる。
【0018】なお、この一連の座標データを用いれば、等高線の大凡の形状を、イメージデータを参照せずに描くことができる。このデータは、更に高度なパターン認識のための入力データとして利用できる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の濃淡画像の等高線描画装置および濃淡画像の処理システムの実施例を詳述する。先ず、図1および図2に従って本実施例の濃淡画像の等高線描画装置を説明する。図1は本実施例の濃淡画像の等高線描画装置の構成を示す図である。図1に示したように、本実施例の濃淡画像の等高線描画装置は領域名指定手段1、条件式作成手段2、等高線追尾手段3、表示手段4、特徴点の座標読み取り手段5および等高線形状のデータ作成手段6によって構成されている。
【0020】図2は、図1に示した濃淡画像の等高線描画装置の動作を説明するためのフローチャートである。図2に示したように、ステップP1において領域名指定手段1により領域名を指定すると、領域データファイルから、その等高線の高さ(h)と、その領域に入った最初の点の座標(x,y) の値を読み取る。等高線追尾手段3では、イメージデータのその点を起点として(図2のステップP2)、等高線の上を時計回りの方向に移動する。
【0021】本実施例では、イメージの周辺のピクセル値は“0”としてある。このため、等高線は全て閉じた閉曲線となる。濃淡画像の等高線の特徴は、他の等高線とは重なる部分はあっても、交差点がないことであり、一回りすると起点に戻る。
【0022】図3は、ある点の回りの8近傍点の記号を示している。ステップP3の「近傍探索」では、先ず、カーソルの位置(現在点)の回りの8近傍点のピクセル値を読み取り、8個の要素を持つ配列に書き込む。
【0023】図4は、等高線の高さを88と指定したときの、等高線上の点とその8近傍点のピクセル値の一例を示している。この図の中心に進入する前の点の方向は5である。この場合、カーソルが起点にいるときの進入方向は4とする。
【0024】図4で、ここを起点として8近傍点を時計方向に移動して、ピクセル値dが、d<h から、 d≧h となる点を、次に移動する点とする。図4では、「2」の位置の方向である。
【0025】次に、ステップP4で行う屈曲点の判定方法を説明する。直前の屈曲点(または起点)を出るときの方向は、図3の数値drb として記憶してある。カーソルの存在する現時点に入るときの方向をdri とするとともに、出るときの方向をdroとする。
【0026】このとき、 d = abs ( drb - dri + drb - dro ) …(1式)
とおくと、屈曲点である条件は、「以下に示す3つの不等式が同時に成り立つとき」、と記述することができる。
d>1 …(2式)
d<15 …(3式)
d≠7 …(4式)
【0027】これを言い換えれば、直前の屈曲点を出る時の方向と、現在点に入る前の点と後の点を結ぶ線分の方向の間の変化が45度、またはそれ以上になった点が新しい屈曲点である。そして、その屈曲点の(x,y) 座標が記録される。なお、起点は無条件で記録される。
【0028】ステップP4における判定が屈曲点の場合は、ステップP5に進み、座標点を記録する。また、ステップP4における判定が屈曲点でない場合は、ステップP4からステップP6に進み、その点が中間点であるか否かを判定する。ところで、等高線を屈曲点だけで記録すると、緩やかにカーブした曲線部分が直線として近似される。これを除くために、直前の屈曲点(または中間点)からの距離(または移動ステップ数)を指定して、それを越えた点を中間点として、その点の(x,y) 座標を記録する。なお、本実施例では中間点を指示するステップ数を10としたが、これは解析の目的に応じて任意に選べばよい。
【0029】記録される座標点を分類すると、内側に凸な屈曲点、外側に凸な屈曲点、および中間点の3種類がある。これらを区別するために、それぞれに「-1」、「+1」、「 0」、の印をつけておくと、等高線の形状の特徴(例えば、くびれ部の位置と幅、あるいは半島の長さ等)を量として表現するときの計算に便利である。
【0030】ステップP5において必要な特徴点の記録が終わると、そのときの進行方向をdrbとして記録し、ステップP3の「近傍探索」で決めた次の点に移動し(ステップP7)、同じ作業を繰り返す。そして、等高線を一回りして起点に戻ったところ(ステップP8)で等高線形状データは完成する。
【0031】したがって、表示装置のウインドーに、入力イメージに対応する空間を開いておき、上の作業の中で通過した点の座標に対応する場所に点を描けば、等高線図を描くことができる。図5は、このような方法で析出物としての特徴を備えた領域の等高線を、原イメージを1/2に縮尺した1024×768 のイメージとして表示したものである。
【0032】等高線追尾手段3を働かせて得られた等高線の形状データを使えば、これとほとんど同じ等高線図を、原イメージのピクセルデータを使わずに描くことができる。そして、それに記録された各点の座標データを使えば、それぞれの線分の長さ、線分の間の角度等の幾何学的なデータを組み合わせて、高度なパターン認識を行うことが可能になる。
【0033】次に、上記実施例の濃淡画像の等高線描画装置を用いた濃淡画像の処理システムを説明する。以下、作用で説明した順序に従って、具体的なデータの流れを説明する。先ず、前処理装置61において行われる前処理について説明する。なお、本実施例においては、鉄鋼薄膜試料をイメージングプレートを組み込んだ透過電子顕微鏡で撮影し、これから作成した 2048x1536 の大きさの 4096 階調の濃淡画像を入力画像とした。ディジタルイメージの倍率を、ピクセル間隔の実寸法で表した数値は 5.0 nm であった。
【0034】前処理装置61では、先ず、平滑化処理により量子ノイズを除いた後、100 階調の濃淡画像に調整した。
(A)本実施例で解析の対象とした第1のものは球形の析出物であり、解析の目的は析出物の粒径に対する頻度分布図の作成である。CRTに表示した濃淡イメージの上で、複数の析出物が接触あるいは重なっている箇所には、操作者が指示した線による切断を入れ、この線上のピクセル値は 0、あるいは最大値 100とした。
【0035】(B)本実施例で解析の対象とした第2のものは棒状の形をした析出物であり、解析の目的は、析出物の太さとアスペクト比に対する頻度分布図の作成、および整合度の判別である。CRTに表示した濃淡イメージの上で、棒状の析出物が干渉縞あるいは粒界と接触あるいは重なっていて、等高線として分離が困難な箇所には、操作者が指示した線による切断を入れ、この線上のピクセル値は 0、あるいは最大値 100 とした。
【0036】次に、前処理の終わったデータをデータ読み取り装置62に入力し、等高線で囲まれた全ての領域の、存在する範囲とその面積、および隣接する高さの領域との重なり合いを記録した領域データリストを作成する。
【0037】その後、上記領域データリストを濃淡画像の特徴領域抽出装置63に入力して、処理の対象とする候補領域のリストを作成する。この選考過程で用いられるパラメータは、領域の面積、円形度、線間隔、最大濃度との標高差のほか、その領域内の濃度の極大点の数、およびそれらの位置、標高差等であり、これらに所定の限界値を与えた条件式を組み合わせた選考基準を使って候補を選出する。
【0038】(A) 対象が円形の析出物のときの実施例で用いた限界値は、面積の上限と下限、円形度の下限、線間隔の上限、および標高差の下限である。これらの限界値は、あるパラメータには複数とし、他のパラメータとの組合せのもとで使い分ければ抽出成績は向上する。領域の内部構造が複雑な場合には、領域内の極大点の数およびそれに付随するデータを使って、領域の分割を行った。
(B) 対象が棒状の形をした析出物のときには、(A) のときの円形度の下限を上限に置き換えた。
【0039】次に、上述した等高線の描画装置64において、指定した領域の描画および形状データの取得を行う。特徴領域抽出装置63が作成した候補領域の等高線を、表示手段4(CRT)に描いた等高線図のハードコピーが、図5である。この過程で等高線の概略の形状を、イメージデータを参照せずに描画するためのデータとして、各特徴点の座標を読み取って記録する。このデータは本実施例で有効に使用することはなかったが、高度なパターン認識を必要とするときに使うことができる。
【0040】次に、上記データ読み取り装置62および特徴領域抽出装置63の一例を説明する。図7は、データ読み取り装置62の一例を示す構成図である。上記データ読み取り装置62は、ディジタルイメージとして得られる濃淡画像の全てのものを対象とする。
【0041】入力された原イメージ信号S1は前処理装置61に与えられ、ここで公知の平滑化処理が施されて量子ノイズが取り除かれる。その後、濃度の最大値と最小値の間を適切な階調数に調整され、入力イメージ信号S2としてイメージ読み取り装置62に出力される。
【0042】イメージ読み取り装置62は、入力イメージ信号S2のある階調をしきい値とする2値像の一単位のデータS4を読み込むたびに、読み取りデータ処理装置73に送るようにしている。
【0043】読み取りデータ処理装置73では、送られてきた一単位のデータS3とそれに関連するワークファイル74の記載内容と領域データ記録装置5の内容に応じて、各種の判断を行い、その結果を領域データ記録装置5へ書き込み(上書きを含む)、後で必要になるデータをワークファイル74に書き込む。この作業を最大濃度から始めて一つずつ濃度を下げて行き、これが0になったところで領域データリストL1は完成する。
【0044】図8は、読み取り装置の働きを説明するためのフローチャートである。なお、濃淡画像はその階調の数だけの2値画像の集まりであり、等高線はそれぞれの階調をしきい値とする2値画像の境界線として定義する。
【0045】図8に示したように、動作がスタートすると、ステップP1においてイメージの読み取りが始まる。このイメージの読み取りは、最高の高さの2値画像から始められる。そして、2値画像の高さをステップP2で判断し、ゼロになったら読み取り動作を終了する。
【0046】ここでは、画面上の移動時の出発点をイメージの最上で、かつ左端とする。そして、画面上での移動はイメージの最上線から出発し(ステップP3)、各行では左端から右方向に移動する。そして、ステップP4にてその行の右端に到達したか否かを判定し、右端に到達していない場合にはステップP5に進み、線の左端を移動開始点とする。
【0047】次に、ステップP6にて走査位置が線の右端に達したか否かを判定し、右端に達していない場合にはステップP7に移行して移動処理を行う。そして、次にステップP8にて走査位置を変更してから、上述したステップP6に戻る。そして、ステップP6の判定の結果、その線の右端に到達したらステップP9に移行して一行下の左端に跳び、再び右の方に移動するという方法を繰り返して最下行まで行く。
【0048】そして、この2値画像の走査が全て終わると、ステップP4からステップP10に進み、一つ下の高さの2値画像に移行して同じことを繰り返し、高さがゼロの画面で読み取りを終了する。
【0049】次に、ステップP7における移動の内容を詳細に説明する。ここでは、イメージを走査しているとき、そのピクセル値を読み取る点をカーソルと呼ぶことにする。濃度高さが「h」という値に指定されて、カーソルが(x, y)の座標点にいるときには、その点の黒化度「d」の値によって、d<h,d=h,d>h の3つの状態の何れかの状態にある。
【0050】移動の一つの単位は、この状態が変化した点から、次に状態が変化する点までである。以下、図9を参照して、カーソルの走査に伴って行われる具体的な作業の内容を説明する。読み取り装置の動作が「移動」の中に入ったときには、その位置のピクセル値をステップP1にて検出する。そして、その位置のピクセル値で決まるカーソルの状態によって、次の3通りの作業を行う。
【0051】すなわち、ステップP2における判定の結果、d>hのときにはステップP3に進み、ワークファイルのその位置に対応する欄に記載してある領域名と、その一つ右の位置に記入してあるその領域が終了する位置のx座標を読み取り、その位置まで跳び、ワークファイルの持つ一つの配列の中に、領域名とその終了位置を記入する。このとき、カーソルが移動した位置ではd≦hの状態になる。
【0052】また、ステップP2における判定の結果が、d>hでない場合はステップP4に進み、d=hか否かを判定する。そして、d=hのときには、ステップP5に進んでピクセル値を読み取りながら、n≠hの位置まで移動する。このとき、CRT上に開いたイメージ空間の対応する位置を塗りつぶすことにより、読み取り作業の進行状況を表示することができる。
【0053】一方、状態がd≧hの状態から、d<hに変化したときには、ステップP6に進み、各種のデータを読み取り、これを記録する(記録装置は後述する)。この後、カーソルは右に移動し、その状態がd<hから、d≧hに変化した点のx座標を、変数xs の値として記録しておく(ステップP7)。
【0054】領域の重なり合いの関係と大凡の形は、表1に記録される。それに対して行われる帳簿処理の具体的な内容と、ワークファイルに記録されるデータの内容は、図10を参照しながら説明する。
【0055】記録装置には、現在行のy座標、およびd≧hになった点のx座標xs と、現在点のx座標が渡される(ステップP1)。次に、ステップP2に移行し、ワークファイルの一行上(y−1)の記録を読んで、その行のxs からxの間にある領域名を記録し、その数nを数える。
【0056】そして、次のステップP3の判定の結果、n=0のときは、ステップP4に進み、それを新しい領域と判断して、その名前(一連番号m)を記録装置に登録し、それの座標欄に現在のデータを書き込む。ワークファイルの記録に、xs とxの間に一つ上の高さ(h+1)の領域があるときには、その領域の(nn)の欄の内容を読む。
【0057】次に、ステップP5において、上のhの領域nnが0であるか否かを判定する。そして、それが0のときには、ステップP6においてその下の現在領域の名前をそこに記入し、現在領域の(nb)欄の数値には1を加算する。
【0058】また、ステップP3における判定の結果、n=0でない場合にはステップP7に進んでn>1か否かを判定する。そして、n=1のときは、ステップP8に進み、一行上の領域の拡大として処理し、それに応じて座標データの一部を書き換える(ステップP10)。
【0059】また、ステップP7における判定の結果、n>1のときは、一行上の2つの領域の合体を意味する。このときは、ステップP9に進み、右側の領域は消去し(stの変数の数値の符号を負にする)、そのデータは、吸収した左側の領域のデータとして引き継ぎ、吸収した領域の座標データの書き換えを行う(ステップP10)。もし、n>2 のときは、この合体作業を繰り返す。
【0060】記録装置にデータの記入および書換えの終わった後には、ステップP11においてワークファイルのxs の欄に現在領域の名前を記入し、その一つ右の欄にはxの座標の値を記入する。以上の作業を全画面の走査が終わるまで繰り返すことにより、記録装置の中の等高線で囲まれた領域のデータファイルL1は完成する。完成した領域データファイルL1は、何等かの目的を持った解析に使われたときに意味を持つ。
【0061】図11は、入力イメージが領域リストに変換された後、それぞれの手段で加工されていき、最後に特徴領域リストL6として完成されていく過程のデータの流れを説明する図である。
【0062】図11に示したように、入力された濃淡画像INは、濃淡画像データ読み取り装置62に与えられ、上記濃淡画像データ読み取り装置62により領域データリストL1が作成される。この領域データリストL1は、等高線で囲まれた領域の大凡の形状と隣接する高さの領域との重なり合いを記録したデータの集まりである。
【0063】上記濃淡画像データ読み取り装置62によって作成された領域データリストL1は、領域整理手段82に与えられて加工される。上記領域整理手段82は、領域と領域が上下に1:1で重なり合う部分を枝と定義して枝リストL2を作成するために設けられている手段である。
【0064】なお、上記枝の起点となる領域は、ある高さで発生し、別の枝と合体する直前の領域が終点となる。そして、次の枝の起点は、合体直後の領域である。枝リスト2には、その起点、終点、およびそれのつながる次の枝の起点の領域名が記載される。なお、枝リストL2には解析目的に応じて、枝の代表となる特徴を備えた領域名と、その特性値を記録する。
【0065】上記枝リストL2は、枝整理手段83に与えられて加工される。上記枝整理手段83は、枝を接続関係によって立体的に組み立て、全ての領域を高さ0で像の全面が一つの幹になる樹木構造として整理する。そして、解析対象としての可能性を備えた領域を持つ枝で、重なり合うものの集まりをグループと定義してグループリストL3を作成する。
【0066】上記グループリストL3は、候補領域選択手段84に与えられて加工される。候補領域選択手段84は、解析対象として取り上げる可能性のある候補領域を、特性値を使った条件式を用いて、各グループの枝メンバーの代表領域の中から選び、これを候補リストL4に記入する。さらに、特性値の組合せが特別の条件を満たした領域には、この段階で合格の印を付けておく。
【0067】候補リストL4は、データ追加手段85に与えられて加工される。データ追加手段85は、イメージデータの等高線を一回りする装置を働かせて、候補リストL4に登録された領域の等高線をたどり、その全長、凹凸度、くびれ部の形状等、特徴領域を抽出するときの条件式に必要な幾何学的形状の特徴を、追加データとして読み取り、結果を候補リストL4の中に書き込む。
【0068】データ追加手段85の出力は、領域抽出手段86に与えられて加工される。上記領域抽出手段86は、専門家が写真から目視作業で解析の対象を拾い出すときの条件を、領域リストL4と、上記データ追加手段85で追加したデータを組み合わせたパラメータで記述した抽出条件式として書き表し、これに合格した領域を抽出領域リストL5に転記する。
【0069】抽出領域リストL5は、データ調整手段87に与えられて加工される。上記データ調整手段87は、抽出領域の中で重なり合う領域の小さいものが、候補領域選択手段84で合格の判定をされていているときには、抽出領域リストL5に書かれているそれぞれの領域の座標データおよび面積を、決められた計算式による新しい数値に書き換える。これは、特殊な内部構造を持つ領域を、2つに分割する操作である。重なる2つの領域が対等の条件のときには、例えば,面積の小さい領域を対象から除く。
【0070】以上の手段で抽出された特徴領域リストL6は、そのデータを直感的に表現する等高線図としてCRTに描くことにより、専門家の目視抽出の結果と比較してその成績を評価することができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の濃淡画像の等高線描画装置によれば、像の中の特徴的な形状の対象物を、等高線で囲まれた領域として抽出し、それらの形状を表す等高線とその分布を画像として表示するようにしたので、上記機能を用いて操作者の判断により、または予め設定された判断基準による評価と選別を行うことにより、濃淡画像の中から特定の目的のため対象物を抽出するための基本データを作成ことができる。これにより、材料組織の定量解析のほか、特定の対象物のイメージからの切り出し、対象物の詳細な幾何学的な形状をもとにした各種の判断のためのイメージを提供することができる。
【0072】また、本発明の濃淡画像の処理システムによれば、本発明により作成されるイメージデータから作成した等高線データリストにより、機械による材料組織の自動定量解析において、人が目視作業で行うときと同程度の成績を持つ結果を得ることができる。また、入力可能なイメージは、吸収コントラストによる濃淡画像だけでなく、透過電子顕微鏡像のように、着目する粒子が回折コントラストによって識別されるものにも、その対象を広げることができる。さらに、濃淡画像の解析のための有力な手段である2値化・細線化像のデータリストと並んで、本発明のデータリストはパターン認識のための一つの汎用的な手法として利用することができる。
【0073】さらに、解析対象となる特徴を備えた領域を、領域データファイルの検索と比較の繰り返しにより抽出することができ、画像解析の専門家が写真から目視判定で特徴領域を抽出してそれを定量化する作業を機械に置き換えることができるとともに、画像解析の専門家が行う目視解析と同程度以上の成績が得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃淡画像の等高線描画装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例で用いた、8近傍点の位置の符号を定義する図である。
【図4】カーソルの移動方法を説明するための、8近傍点のピクセル値の一例を示す図である。
【図5】鉄鋼材料の透過電子顕微鏡像の中から、本装置により抽出された円形析出物と判定できる可能性のある領域の分布図である。
【図6】本発明の濃淡画像の処理システムの基本構成と、その中のデータの流れの説明図である。
【図7】本発明の濃淡画像の処理システムに用いられる濃淡画像データ読み取り装置の一実施例を示す構成図である。
【図8】濃淡画像データ読み取り装置がイメージデータを読み取るときの走査の方法を説明する図である。
【図9】濃淡画像データ読み取り装置において、カーソルの状態による走査過程の移動に関する動作を説明する図である。
【図10】濃淡画像データ読み取り装置において、領域データファイルへの読み取りデータの記入方法、およびワークファイルへのデータの記入方法の説明図である。
【図11】濃淡画像の処理システムに用いられる特徴領域抽出装置の概略構成およびイメージデータの流れを示す構成図である。
【符号の説明】
1 領域名指定手段
2 条件式作成手段
3 等高線追尾手段
4 表示手段
5 特徴点の座標読み取り手段
6 等高線形状のデータ作成手段
61 前処理装置
62 データ読み取り装置
63 特徴領域抽出装置
64 等高線の描画装置
IN 濃淡画像
L1 領域データリスト
L2 枝リスト
L3 グループリスト
L4 候補リスト
L5 抽出領域リスト
L6 特徴領域リスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】 濃淡画像の中の特徴的な形状の対象物を等高線で囲まれた領域として抽出する領域抽出手段と、上記領域抽出手段によって抽出された特徴的な形状の対象物を表す等高線とその分布を画像として表示する表示手段とを具備することを特徴とする濃淡画像の等高線描画装置。
【請求項2】 上記領域抽出手段は、領域を特徴づけるパラメータの限界値を指定した条件式を作成し、濃淡画像の中の特徴的な形状の対象物を等高線で囲まれた領域として抽出することを特徴とする請求項1記載の濃淡画像の等高線描画装置。
【請求項3】 上記表示装置に表示される等高線図の特徴点の座標を読み取る手段を具備することを特徴とする請求項1記載濃淡画像の等高線描画装置。
【請求項4】 濃淡画像の量子ノイズを除去して、濃度の最大値と最小値の間を任意の数に分割した多値画像に変換する濃淡画像前処理装置と、上記濃淡画像前処理装置によって処理された濃淡画像から、それぞれの濃度値の等高線で囲まれた領域の位置とその存在する範囲、および隣接する高さの領域との重なり合いの関係を記録した領域データリストを作成するデータ読み取り装置と、上記データ読み取り装置によって作成された濃淡画像の中で、意味のある対象物として着目する所定の特徴を備えた像を選び出す特徴領域抽出装置と、上記特徴領域抽出装置によって選び出された特徴領域を特徴づけるパラメータの限界値を指定した条件式を作成するとともに、上記条件式を満足する領域の等高線を表示装置に描画し、それの特徴点の座標を読み取る手段とを備えることを特徴とする濃淡画像の処理システム。
【請求項5】 濃淡画像の量子ノイズを除去して、濃度の最大値と最小値の間を任意の数に分割した多値画像に変換する濃淡画像前処理装置と、上記濃淡画像前処理装置によって前処理された画像を表示して、対象像の上に切断線を描くとともに、上記線上の濃度値を最大値または0とする手段と、上記濃淡画像前処理装置によって処理された濃淡画像から、それぞれの濃度値の等高線で囲まれた領域の位置とその存在する範囲、および隣接する高さの領域との重なり合いの関係を記録した領域データリストを作成するデータ読み取り装置と、上記データ読み取り装置によって作成された濃淡画像の中で、意味のある対象物として着目する所定の特徴を備えた像を選び出す特徴領域抽出装置と、上記特徴領域抽出装置によって選び出された特徴領域を特徴づけるパラメータの限界値を指定した条件式を作成するとともに、上記条件式を満足する領域の等高線を表示装置に描画し、それの特徴点の座標を読み取る手段とを備えることを特徴とする濃淡画像の処理システム。
【請求項1】 濃淡画像の中の特徴的な形状の対象物を等高線で囲まれた領域として抽出する領域抽出手段と、上記領域抽出手段によって抽出された特徴的な形状の対象物を表す等高線とその分布を画像として表示する表示手段とを具備することを特徴とする濃淡画像の等高線描画装置。
【請求項2】 上記領域抽出手段は、領域を特徴づけるパラメータの限界値を指定した条件式を作成し、濃淡画像の中の特徴的な形状の対象物を等高線で囲まれた領域として抽出することを特徴とする請求項1記載の濃淡画像の等高線描画装置。
【請求項3】 上記表示装置に表示される等高線図の特徴点の座標を読み取る手段を具備することを特徴とする請求項1記載濃淡画像の等高線描画装置。
【請求項4】 濃淡画像の量子ノイズを除去して、濃度の最大値と最小値の間を任意の数に分割した多値画像に変換する濃淡画像前処理装置と、上記濃淡画像前処理装置によって処理された濃淡画像から、それぞれの濃度値の等高線で囲まれた領域の位置とその存在する範囲、および隣接する高さの領域との重なり合いの関係を記録した領域データリストを作成するデータ読み取り装置と、上記データ読み取り装置によって作成された濃淡画像の中で、意味のある対象物として着目する所定の特徴を備えた像を選び出す特徴領域抽出装置と、上記特徴領域抽出装置によって選び出された特徴領域を特徴づけるパラメータの限界値を指定した条件式を作成するとともに、上記条件式を満足する領域の等高線を表示装置に描画し、それの特徴点の座標を読み取る手段とを備えることを特徴とする濃淡画像の処理システム。
【請求項5】 濃淡画像の量子ノイズを除去して、濃度の最大値と最小値の間を任意の数に分割した多値画像に変換する濃淡画像前処理装置と、上記濃淡画像前処理装置によって前処理された画像を表示して、対象像の上に切断線を描くとともに、上記線上の濃度値を最大値または0とする手段と、上記濃淡画像前処理装置によって処理された濃淡画像から、それぞれの濃度値の等高線で囲まれた領域の位置とその存在する範囲、および隣接する高さの領域との重なり合いの関係を記録した領域データリストを作成するデータ読み取り装置と、上記データ読み取り装置によって作成された濃淡画像の中で、意味のある対象物として着目する所定の特徴を備えた像を選び出す特徴領域抽出装置と、上記特徴領域抽出装置によって選び出された特徴領域を特徴づけるパラメータの限界値を指定した条件式を作成するとともに、上記条件式を満足する領域の等高線を表示装置に描画し、それの特徴点の座標を読み取る手段とを備えることを特徴とする濃淡画像の処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開平7−105379
【公開日】平成7年(1995)4月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−273214
【出願日】平成5年(1993)10月5日
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【公開日】平成7年(1995)4月21日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)10月5日
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
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