説明

濡れセンサ

【課題】吸収性物品に組み込まれ得るような、正確な尿の検出を行うための効率的なセンサを提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に従って、尿の有無を検出する方法について述べる。本方法は、多孔質基材を含む尿指示センサを提供するステップを含み、基材上にはpH指示薬が非拡散的に固定化され、pH指示薬は、尿と接触したときに変色が可能である。尿は、センサの基材と接触し、pH指示薬が変色するか否かに基づいて尿の有無が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿の有無を検出する方法及び尿の有無を判定することができる吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ、トレーニングパンツ、失禁用パッド、及び同様のものなどの使い捨て吸収性物品は、吸収性が高く、着用者から水分を効率的に除去して、長期に及んで濡れに曝されることによって引き起こされる皮膚のかぶれを軽減する。しかし、これらの物品はそのように吸収力があるので、着用者が排尿に関連する身体感覚の意味を理解していないであろう未熟な幼児である場合には特に、着用者は、排尿したことに気付かないことがある。それゆえ、着用者は、排尿コントロールの失敗に気付かなかったり、物品を取り替えるべきであることを認識していなかったりすることがある。さらに、親や介護者は、吸収性物品を取り替える必要があることに気付かないことがある。
【0003】
吸収性物品中の濡れの存在を示唆するために、目視による方法が用いられてきた。電子ベースの濡れセンサ、色ベースの濡れセンサ、及び酵素ベースの濡れセンサを含めて、現在、多数の濡れ検出技術が存在している。しかし、そのような従来のセンサは、複雑かつ高価であることが多い。加えて、そのようなセンサによって作り出される信号(合図)は、短時間しか存在しないことが多い。さらに、従来の検出技術は、正確な試験結果を確認するためのバックアップを提供するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,003,178号明細書
【特許文献2】米国特許第5,962,995号明細書
【特許文献3】米国特許第6,407,492号明細書
【特許文献4】米国特許第6,486,227号明細書
【特許文献5】米国特許第6,780,896号明細書
【特許文献6】米国特許第4,121,011号明細書
【特許文献7】米国特許第4,826,550号明細書
【特許文献8】米国特許第5,389,093号明細書
【特許文献9】米国特許第5,221,228号明細書
【特許文献10】米国特許第4,230,688号明細書
【特許文献11】米国特許第4,032,661号明細書
【特許文献12】米国特許第4,459,425号明細書
【特許文献13】米国特許第4,136,163号明細書
【特許文献14】米国特許第5,266,592号明細書
【特許文献15】米国特許第6,627,233号明細書
【特許文献16】米国特許第5,192,606号明細書
【特許文献17】米国特許第5,702,377号明細書
【特許文献18】米国特許第5,931,823号明細書
【特許文献19】米国特許第6,060,638号明細書
【特許文献20】米国特許第6,150,002号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2004/0102750号公報
【特許文献22】米国特許出願公開第2005/0054255号公報
【特許文献23】米国特許出願公開第2005/0059941号公報
【特許文献24】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献25】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献26】米国特許第6,663,611号明細書
【特許文献27】国際公開WO95/16425号公報
【特許文献28】米国特許第5,399,219号明細書
【特許文献29】米国特許第5,540,796号明細書
【特許文献30】米国特許第5,595,618号明細書
【特許文献31】米国特許第4,704,116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、正確な尿の検出を行うために注意深い監視を必要としない効率的なセンサが必要である。そのようなセンサを組み込んでいる吸収性物品は、特に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に従って、尿の有無を検出する方法について説明する。本方法は、基材を有する尿指示センサを提供するステップを含み、基材上にはpH指示薬が非拡散的に固定化され、pH指示薬は、尿と接触したときに変色が可能である。尿がセンサの基材と接触し、pH指示薬が変色するか否かに基づいて尿の有無が判定される。
【0007】
本開示の別の実施形態に従って、尿の有無を検出する方法について説明する。本方法は、多孔質基材を有する尿指示センサを提供するステップを含み、基材は、サーモクロミック材料とその上に配置されている温度変化作用剤との混合物を有し、温度変化作用剤は、尿と接触させたときにサーモクロミック材料の温度を変化させて変色を引き起こすことができる。尿は、センサの基材と接触し、サーモクロミック材料が変色するか否かに基づいて尿の有無が判定される。
【0008】
本開示の他の特徴及び態様については、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
当業者を対象にしている、本発明の、ベストモードを含む完全かつ実施可能な程度の開示は、添付の図面を参照している明細書の残りの部分に、より詳細に記載されている。
【図1】本開示で用いられることができるセンサの一実施形態の斜視図。
【図2】本開示で用いられることができるセンサの一実施形態の斜視図。 本明細書及び図面において繰り返し用いられる参照文字は、本開示の同一または類似の特徴部または要素を表すことが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示の様々な実施形態について言及する。そのうちの1若しくは複数の例を以下に記載する。各例は、本開示の例として与えられており、本開示を限定するものではない。事実、本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更形態及び変形形態をなすことができるは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または記載されている特徴部を別の実施形態に用いてさらに第3の実施形態を生み出すことができる。それゆえ、本開示は、添付の請求項及びそれらの等価物の範囲内に含まれるそのような変更形態及び変形形態に及ぶことが意図されている。
【0011】
一般に、本開示は、概して尿の有無を判定するためのセンサを対象としている。センサは、非拡散的に固定化されたpH指示薬及び/またはサーモクロミック混合物を用いて尿の有無を正確に検出することができる。
【0012】
固体基材上でのpH指示薬の非拡散的固定化は、複数回の曝露(insult)後であっても、尿検出信号が安定した状態を保つ期間を非常に長くすることができる。同様に、本明細書に記載のサーモクロミック混合物は、長時間安定した状態を保ちつつ、複数回の曝露に耐えることもできるような信号を提供することができる。pH指示薬とサーモクロミック混合物を組み合わせたセンサは、尿の信頼できるバックアップ検出を提供することができる。
【0013】
本明細書に記載のセンサは、尿によって引き起こされる濡れの迅速な判定のための、簡単で、利用しやすく、費用対効果の良いアプローチを提供する。さらに、本明細書に記載のセンサをおむつや失禁用物品などの吸収性物品に組み込んで、尿濡れの検出に役立てることができる。
【0014】
図1を参照して、本開示に従って形成することができるセンサ20の一実施形態についてここで詳細に説明する。図のように、センサ20は基材22を含む。一般に、基材22は、尿が通過できる様々な材料のうちの任意のものから作ることができる。例えば、基材22は、合成材料または天然に存在する材料、例えば、多糖(例えば、紙などのセルロース材料、酢酸セルロース及びニトロセルロースなどのセルロース誘導体);ポリエーテルサルホン;ポリエチレン;ナイロン;ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリエステル;ポリプロピレン;シリカ;無機材料、例えば、不活性アルミナ、珪藻土、MgSO、または他の無機微粉材料であって、塩化ビニル、塩化ビニル・プロピレン共重合体、及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などの重合体とともに、多孔質ポリマー基材に均一に分散したものなど天然に存在する生地(例えば綿)及び合成生地(例えばナイロンまたはレーヨン);シリカゲル、アガロース、デキストラン、及びゼラチンなどの多孔質ゲル;ポリアクリルアミドなどの高分子フィルム;その他から形成される多孔質メンブレンであり得る。1つの特定の実施形態では、基材22は、正電荷を持つナイロンメンブレンであるポール社(Pall Corporation)製のバイオダイン(登録商標)プラス(Biodyne Plus)から形成される。別の実施形態では、基材は、正電荷を持つポリマーの処理により正電荷を持つように作られたろ紙やティッシュなどの多孔質セルロースベースの材料から形成される。
【0015】
基材22の大きさ及び形状は、当業者によって容易に認められるように、一般的に様々であり得る。例えば、基材は、約10ないし約100ミリメートル、一部の実施形態では約20ないし約80ミリメートル、一部の実施形態では約40ないし約60ミリメートルの長さ及び幅を有することができる。基材の厚さは、約500マイクロメートル未満、一部の実施形態では約250マイクロメートル未満、一部の実施形態では約150マイクロメートル未満であり得る。
【0016】
尿の有無の検出を開始するために、使用者は基材22の一部に試験試料を直接適用することができる。図の実施形態では、基材22は、pH指示薬ゾーン26及びサーモクロミックゾーン28を画定する。しかし、当然のことながら、特定の実施形態では、pH指示薬ゾーンまたはサーモクロミックゾーンのいずれか一方のみが、基材上に存在することができる。
【0017】
尿の検出を容易にするために、pH指示薬ゾーン26内にpH指示薬が非拡散的に固定化される。pH指示薬は、基材22に直接塗布されるか、または塗布の前に先ず溶液に形成されることができる。限定されるものではないが、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、及び他の極性有機溶媒などの様々な溶媒を用いて、溶液を形成することができる。溶液中のpH指示薬の量は、溶媒1ミリリットル当たり約0.001ないし約100ミリグラム、一部の実施形態では、溶媒1ミリリットル当たり約0.1ないし約10ミリグラムであり得る。pH指示薬濃度は、所望の検出感度レベルを与えるように選択的に制御されることができる。
【0018】
pH指示薬は、実質的に基材22を通して拡散しない(すなわち非拡散的に固定化される)ような方法で塗布されることが望ましい。pH指示薬は、典型的な尿のpH範囲内(約5.5以上または約10未満のいずれか)にあるpHレベルにさらされたとき、色が遷移するように構成される。pH指示薬は、典型的な尿のpH範囲外のpH(約5.5未満または約10以上)に基づいて最初の色を出す。尿試料がpH指示薬と接触した時点で、尿はpHを変化させて、尿が基材と接触したことを示唆するpH指示薬の変色を誘発する。
【0019】
好適なpH指示薬及びその誘導体は、約10以上または約5.5未満のいずれかの色遷移pHを有する。約5.5未満で色が遷移する適切なpH指示薬の例には、クロロブロモフェノールブルー、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールブルー、メチルバイオレット、メチルオレンジ、コンゴレッド、ロイコマラカイトグリーン、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、メチルバイオレット2B、ピクリン酸、ナフトールイエローS、キナルジンレッド、塩基性フクシンが含まれる。約10以上で色が遷移するpH指示薬の例には、ナイルブルーA、チモールフタレイン、アニリンブルー,水溶性、アリザリンエローGG、モーダントオレンジI、トロペオリンO、オレンジG、酸性フクシン、チアゾールイエローG、インジゴカルミン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンエローRが含まれる。そのようなpH指示薬の誘導体も、本開示に従ってセンサを製造するのに有用である。
【0020】
しかし、当分野で知られているであろういかなる適切なpH指示薬も、本開示における使用が考えられる。
【0021】
特定の実施形態では、固定化されたpH指示薬の最初の色は、酸、緩衝剤、塩基、またはこれらの幾つかの組み合わせのいずれかであるpH調整剤とともに、指示薬を固定化することによって、容易に調整することができる。できるだけ大きなはっきりした色の対比を与えるために、最初の色は重要である。例えば、指示薬としてブロモチモールブルーが用いられるとき、塩基性状態は、僅かに酸性状態で黄色とはっきり区別ができる鮮やかな緑色を指示薬ゾーンに与える。同様に、指示薬としてブロモクレゾールグリーンが用いられるとき、酸性状態は、中性または塩基性状態で緑色とはっきり区別ができる黄色を指示薬ゾーンに与える。
【0022】
さらに、他の適切なpH調整剤は、鉱酸、スルホン酸(例えば2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(「MES」)、カルボン酸、及びポリマー酸を含むことができる。適切な鉱酸の具体例は、塩酸、硝酸、リン酸、及び硫酸である。適切なカルボン酸の具体例は、クエン酸、グリコール酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、没食子酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、安息香酸、マロン酸、サリチル酸、グルコン酸、及びそれらの混合物である。適切なポリマー酸の具体例には、直鎖ポリアクリル酸及びその共重合体(例えばマレイン−アクリル、スルホン−アクリル、及びスチレン−アクリル共重合体)、約250,000未満の分子量を持つ架橋ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及び天然に存在するポリマー酸、例えば、カラギナン酸(carageenic acid)、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸が含まれる。この場合もやはり、pH調整剤は、尿と接触させたときに変色が可能である典型的な尿のpH範囲外の初期pH(約5未満かまたは約10以上のいずれか)をもたらす。
【0023】
pH調整剤は、無機塩基または有機塩基のいずれかの塩基を含むこともできる。そのような塩基の例は、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩、水酸化ナトリウムなどの水酸化塩を含むことができる。
【0024】
pH調整剤は、弱酸または弱塩基のいずれかから作られる緩衝剤を含むことができる。そのような緩衝剤の例は、リン酸緩衝生理食塩水及び酢酸緩衝剤を含むことができる。
【0025】
pH指示薬は、実質的に基材22の基材を通して拡散しない(すなわち非拡散的に固定化される)ように塗布されることが望ましい。これにより、使用者は、pH指示薬が尿と反応した時点で生じる色の変化を容易に検出することができ、基材22からのpH指示薬の浸出も防止する。固定化は、化学結合、物理吸収などの多くの方法によって、あるいはポリマーや粒子などの担体を用いて達成されることができる。1つの好適実施形態においては、多荷電多孔質材料が、逆の電荷を持つ指示薬を効果的に固定化することができる。この点に関して、有用な荷電多孔質基体は、ポール社製のバイオダインプラスなどの正電荷を持つナイロンメンブレンを含むことができる。Kymene(登録商標)で処理したペーパーティッシュなどの多孔質不織布材料もまた、負電荷を持つ指示薬を固定化するのに適切な電荷材料であることが分かっている。
【0026】
本開示の特定の実施形態では、本明細書に記載のセンサの基材上に、pH指示薬を含む架橋ネットワークが形成される。理論に制限されることを意図するものではないが、架橋ネットワークは、pH指示薬を耐久的に固定するのに役立ち、それによって使用者が使用中に色の変化をより容易に検出できるようにすることができると考えられている。架橋ネットワークは、「クロス内リンク(intra-cross link)」(すなわち単一分子の官能基間の共有結合)及び/または「クロス間リンク(inter-cross link)」(すなわち互いに異なる分子間、例えば2つのpH指示薬分子間またはpH指示薬分子と基体表面間の共有結合)を含むことができる。架橋は、指示薬の自己架橋を通じて、かつ/または別個の架橋剤を加えることによって、実行されることができる。適切な架橋剤は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル;アクリルアミド;1若しくは複数の加水分解性基、たとえば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、及びメトキシプロポキシ);アルコキシアルコキシ基(例えば、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、及びメトキシプロポキシ);アシルオキシ基(例えば、アセトキシ及びオクタノイルオキシ);ケトオキシム基(例えば、ジメチルケトオキシム、メチルケトオキシム、及びメチルエチルケトオキシム);アルケンオキシ基(例えば、ビニルオキシ、イソプロペニルオキシ、及び1−メチル−2−メチルビニルオキシ);アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ);アミノキシ基(例えば、ジメチルアミノキシ及びジエチルアミノキシ);及びアミド基(例えば、N−メチルアセトアミド及びN−エチルアセトアミド)などを含む化合物を含むことができる。
【0027】
本開示において、熱開始(例えば、濃縮反応、付加反応など)、電磁放射線、その他など、様々な異なる架橋メカニズムのうちの任意のものを用いることができる。本開示において用いることができる電磁放射線のいくつかの適切な例には、限定されるものではないが、電子ビーム放射線、天然及び人工の放射性同位体(例えば、α、β、及びγ線)、x線、中性子ビーム、正電荷を持つビーム、レーザビーム、紫外線などが含まれる。電子ビーム放射線は、例えば、電子ビーム装置による加速電子の生成に関与する。電子ビーム装置は、一般的に当分野で公知である。例えば、一実施形態では、マサチューセッツ州ウォバーンのエナジー・サイエンシーズ社(Energy Sciences, Inc.)から「マイクロビームLV(Microbeam LV)」という名称で販売されている電子ビーム装置を用いることができる。適切な電子ビーム装置の他の例は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されており、これらの引用文献は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。放射線の波長λは、電磁放射線スペクトルの放射の種類が変われば変化し、例えば約10−14メートルないし約10−5メートルであり得る。電子ビーム放射線は、例えば、約10−13メートルないし約10−9メートルの波長λを有する。電磁放射線の特定の波長λを選択する他に、他のパラメータを選択して架橋度を制御することもできる。例えば、被爆量は、約0.1メガラド(Mrads)ないし約10Mrad、一部の実施形態では約1Mradないし約5Mradであり得る。
【0028】
電磁放射線源は、当業者に既知の任意の放射線源であり得る。例えば、Dバルブを備えたエキシマーランプまたは水銀ランプを用いることができる。かなり狭い放射ピークで放射線を放出する他の特色添加ランプを、等価な吸収極大を有する光開始剤と併用することができる。例えば、フュージョンシステムズ社(Fusion Systems)製のVバルブが、別の使用に適したランプである。加えて、1若しくは複数の特定の光開始剤と併用するための特定の発光帯を有する特殊なランプを製造することができる。
【0029】
一部の実施形態では、選択された架橋手法の官能性を強化する開始剤を用いることができる。例えば、特定の実施形態では、アゾ、過酸化物、亜硫酸、及びレドックス開始剤などの熱開始剤を用いることができる。適切な熱開始剤の代表例には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ開始剤;過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジクミルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシビバル酸、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサン酸、及び過酸化ジクミルなどの過酸化物開始剤;亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸アンモニウムなどの亜硫酸開始剤;焦性亜硫酸ソーダ及び重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤、有機過酸化物及び第3級アミンに基づく系、並びに有機ヒドロペルオキシド及び遷移金属に基づく系と、上記の亜硫酸開始剤の組み合わせなどのレドックス(酸化−還元)開始剤;ピナコールなどの他の開始剤;及び同様のもの(及びそれらの混合物)が含まれる。アゾ化合物及び過酸化物が一般的には好ましい。例えば、ベンジルジメチルケタール及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの置換アセトフェノン;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換αケトール;ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル;アニソインメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル;芳香族塩化スルホニル;光活性オキシム;その他(及びそれらの混合物)などの光開始剤も、同様に用いることができる。他の適切な光開始剤は、特許文献4及び特許文献5に記載されているものであり得、両引用文献は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0030】
必須ではないが、架橋ネットワーク内で追加成分を用いてpH指示薬の固定を容易にすることもできる。例えば、pH指示薬を基材の表面に結び付けかつさらにセンサ上でのpH指示薬の耐久性を向上させるアンカリング化合物(anchoring compound)を用いることができる。典型的には、アンカリング化合物は、pH指示薬より大きさが大きく、使用中にクロマトグラフ媒体の表面上にとどまる可能性を高める。例えば、アンカリング化合物は、ポリマー、オリゴマー、デンドリマー、粒子などの高分子化合物を含むことができる。高分子アンカリング化合物は、天然、合成、またはそれらの組み合わせであることができる。化合物をアンカリングする天然高分子の例には、例えば、ポリペプチド、タンパク質、DNA/RNA及び多糖(例えば、グルコースベースのポリマー)が含まれる。合成高分子アンカリング化合物の例には、例えばポリアクリル酸及びポリビニルアルコールが含まれる。多糖アンカリング化合物の1つの特定の例は、活性デキストランである。一部の実施形態では、アンカリング化合物は、粒子(「ビーズ」または「マイクロビーズ」と呼ばれることがある)であり得る。核、マイコプラズマ、プラスミド、プラスチド、哺乳類細胞(例えば赤血球ゴースト)、単細胞微生物(例えば細菌)、多糖(例えばアガロース)などの天然に存在する粒子を用いることができる。さらに、合成粒子も用いることができる。例えば、一実施形態では、ラテックス微粒子が用いられる。任意の合成粒子を用いることができるが、粒子は、典型的には、ポリスチレン、ブタジエンスチレン、スチレンアクリル−ビニルターポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピリジン、ポリジビニルベンゼン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル、塩化ビニル−アクリル酸、その他、あるいはそのアルデヒド、カルボキシ、アミノ、ヒドロキシル、またはヒドラジン誘導体から形成される。使用されるときには、粒子の形状は、一般的に様々であり得る。1つの特定の実施形態では、例えば、粒子は球形形状である。しかし、当然のことながら、板、ロッド、円板、バー、チューブ、不規則な形状などの他の形状も考えられる。加えて、粒子の大きさも様々であり得る。例えば、粒子の平均サイズ(例えば径)は、約0.1ナノメートルないし約1,000ミクロン、一部の実施形態では約0.1ナノメートルないし約100ミクロン、一部の実施形態では約1ナノメートルないし約10ミクロンであり得る。
【0031】
アンカリング化合物を用いてpH指示薬と基材を結び付ける方法は、様々であり得る。一実施形態では、例えば、アンカリング化合物は、基材にアンカリング化合物及びpH指示薬を適用する前に、pH指示薬に付着させる。他の実施形態では、pH指示薬の適用前に、アンカリング化合物を基材に接合させることができる。さらに他の実施形態では、材料を別々の要素として基材に適用することができ、任意選択でネットワークの架橋と同時にその場で付着反応が起こり得る。例えば、pH指示薬は、アンカリング化合物を結合することができ、アンカリング化合物は、基材を結合することができ、同時に、アンカリング化合物同士の間、指示薬同士の間、または二者の間で架橋反応が起こり得る。1つのそのような実施形態では、そのように形成された架橋ネットワークは、基材と系の他の要素とを接合する必要なく物理的に基材上に保持されることができる。特に、一部が基材の内部及び間に延在し得る架橋ネットワークは、たとえ基材と架橋ネットワークの要素間に特定の接合を形成しなくても、基材上で物理的に拘束される場合がある。
【0032】
センサ要素間に結合が形成される場合には、基材へのアンカリング化合物の付着、並びにpH指示薬へのアンカリング化合物の付着は、カルボン酸、アミノ、アルデヒド、ブロモアセチル、ヨードアセチル、チオール、エポキシまたは他の反応性官能基、並びに残りのフリーラジカル及びラジカルカチオンを用いて(それによって結合反応を達成することができる)、かつ任意の適切な方法、例えば、熱処理、光開始過程、触媒反応、及び同様のものに従って、達成されることができる。例えば、基材は、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミン含有化合物との接触によりアミン官能基化され、それによって表面のアミン官能性を増加させ、例えばアンカリング化合物のアルデヒド官能性によってアンカリング化合物を表面に結合することができる。表面官能基は、例えば粒子の表面が比較的高い表面濃度の極性基を含むときには、反応性官能基として粒子系アンカリング化合物上に取り込まれることもできる。場合によっては、粒子は、さらなる修飾の必要なしに基材及び/またはpH指示薬に直接接合することができる。
【0033】
当然のことながら、共有結合の他に、電荷間相互作用などの他の付着技術を用いて、アンカリング化合物をクロマトグラフ媒体に付着させかつ/またはpH指示薬をアンカリング化合物に付着させることもできる。例えば、正電荷を持つ高分子電解質アンカリング化合物などの荷電アンカリング化合物を、負電荷を持つ多孔質ニトロセルロースメンブレンなどの負電荷を持つ基材上に、二者間の電荷間相互作用を通じて固定化することができる。同様に、ジアゾニウムイオンなどの負電荷を持つ指示薬を、正電荷を持つアンカリング化合物上に固定化することができる。
【0034】
図の実施形態では、基材22はまた、サーモクロミックゾーン28を画定する。尿の検出を容易にするために、サーモクロミックゾーン内にサーモクロミック材料と温度変化作用剤との混合物を配置することができる。温度変化作用剤は、尿と接触させたときにサーモクロミック材料の温度を変化させることができ、この温度変化は変色を引き起こす。
【0035】
この点に関して、サーモクロミック材料は、サーモクロミック液晶材料、サーモクロミックインク、サーモクロミック色素、及びそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書に記載のサーモクロミックインクは、温度指示機構として機能することが意図されている。本明細書において、「サーモクロミック」は、温度に応じて反射色を変える材料を指す。変色することができるサーモクロミック色素は、典型的にはロイコ染料と呼ばれる。適切なサーモクロミックインクは、ポリテックス社(Polytex D'Pere)から市販されている。さらなる適切なサーモクロミックインクは、特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9に記載されている。用いられるサーモクロミック材料は、顔料微粒子、マイクロカプセル化材料、分子材料の形態、及び同様のものであることができる。
【0036】
本明細書に記載のサーモクロミック材料は、加熱または冷却のいずれかの結果として色を変えることができる。そのような変色を生じさせる温度は、選択された特定のサーモクロミック材料に応じて変わることができる。
【0037】
上記したように、サーモクロミック材料は、選択されたサーモクロミック材料の種類に応じて、冷却剤や加温剤などの温度変化作用剤と組み合わせられる。
【0038】
多様な冷却剤を用いることができる。例えば、有用な冷却剤は、とりわけ、メントール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、メンタン、メントン、ケタール、メントンケタール、メントングリセロールケタール、置換p−メンタン、非環式カルボキサミド、グルタル酸モノメチル、置換シクロヘキサンアミド、置換シクロヘキサンカルボアミド、置換尿素及びスルホンアミド、置換メンタノール、ヒドロキシメチル及びp−メンタンのヒドロキシメチル誘導体、2−メルカプト−シクロ−デカノン、2−イソプロパニル−5−メチルシクロヘキサノール、2〜6個の炭素分子を持つヒドロキシカルボン酸、シクロヘキサアミド、酢酸メンチル、イソプレゴール、乳酸メチル、サリチル酸メチル、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、コハク酸メチル、3,1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、及びグルタル酸エステルを含むことができる。これら及び他の適切な冷却剤については、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15にさらに記載されており、これらは全て、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。そのような冷却剤は、尿と接触させたときに温度低下を生じさせることができる。
【0039】
同様に、本開示に関連して多様な加温剤を利用することができる。加温剤は、日本国東京都の高砂香料工業株式会社によって供給されるバニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000)、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ジンゲロール、ショウガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、及びそれらの組み合わせを含むことができる。そのような加温剤は、尿と接触させたときに温度上昇を生じさせることができる。
【0040】
当然のことながら、任意の適量の冷却剤または加温剤を用いて、サーモクロミック材料の温度を変化させて変色を引き起こすことができる。例えば、特定の実施形態では、冷却剤または加温剤が、サーモクロミック混合物の約1ないし約99重量パーセント、特に約15ないし約30重量パーセントの量で存在することができる。特定の実施形態では、サーモクロミック材料は、サーモクロミック混合物の約99ないし約1重量パーセントの量で存在することができる。
【0041】
サーモクロミック混合物は、任意の適切な方法で基材に適用することができ、かつ、文字、言葉、図形記号、アイコン、商標、使用説明、及び同様のものを形成するように適用することができる。
【0042】
特定の実施形態では、本開示に従って作られるセンサは、信号強度を、少なくとも約10分間、もっと限定すれば少なくとも約30分間、もっと限定すれば少なくとも約1時間、維持することができる。さらに、そのようなセンサは、尿に複数回曝露(insult)しても尚正確な試験結果を生み出すことができる。
【0043】
ここで、図1のセンサ20を用いて尿の有無を検出する方法の1つの特定の実施形態について詳しく説明する。先ず、基材22に尿試験試料を適用する。尿試料は、pH指示薬ゾーン26と接触する。pH指示薬ゾーン26では、尿と接触させたときに変色が可能であるようなpH指示薬によってpHの変化が検出される。同様に、pH指示薬は、サーモクロミックゾーン28と接触して、温度変化作用剤によりサーモクロミック材料の温度を変化させて変色を引き起こす。
【0044】
本開示は、尿の有無を正確に検出するための比較的簡単でコンパクトかつ費用対効果の良いセンサを提供する。試験結果は、即時に、試験条件下で、試験を行う人物によって容易に観察されるように、可視的であることができ、結果的に信頼性が高くかつ一貫性のある試験結果に資する。
【0045】
本開示に従って、本明細書に記載の1若しくは複数のセンサを吸収性物品に組み込むことができる。「吸収性物品」は、一般的に、水または他の流体を吸収することができる任意の物品を指す。いくつかの吸収性物品の例には、限定されるものではないが、おむつ、トレーニングパンツ、吸収性下着、失禁用物品、女性衛生用品(例えば生理用ナプキン)、水着、赤ちゃん用おしり拭き、その他などのパーソナルケア吸収性物品;衣服、開窓材料、アンダーゾーン、ベッドゾーン、包帯、吸収性ドレープ、及び医療用拭き取り繊維などの医療用吸収性物品;外食産業用タオル;装身物品;その他が含まれる。そのような吸収性物品を形成するのに適した材料及び工程は、当業者に公知である。典型的には、吸収性物品は、実質的に液体不透過性層(例えば外カバー)、液体透過性層(例えば、身体側ライナー、サージ層など)、及び吸収性コアを含む。
【0046】
ここで、本開示に従って形成することができる吸収性物品の様々な実施形態について詳しく説明する。説明のためだけに、吸収性物品が図2におむつ101として示されている。図の実施形態では、おむつ101は、締結されていない形態にある砂時計形状を有するおむつとして示されている。しかし、当然のことながら、他の形状、例えば一般的には矩形形状、T字形、またはI字形などを用いることもできる。図のように、おむつ101には、外カバー117、身体側ライナー105、吸収性コア103、及びサージ層107を含む様々な構成材によって形成されるシャーシが含まれる。しかし、当然のことながら、本開示の例示的な実施形態において、他の層を用いることもできる。同じように、本開示の特定の例示的な実施形態において、図2で参照した層のうち1若しくは複数の層を除去することもできる。
【0047】
身体側ライナー105は、吸収性コア103内に保持されている液体から着用者の皮膚を分離するのを助けるために一般的に用いられる。例えば、ライナー105は、典型的には柔軟かつ柔らかな風合いで着用者の皮膚を刺激しないような、身体に面した表面を呈する。また、典型的には、着用者に対して表面が比較的乾いたままであるように、ライナー105は吸収性コア103より親水性が低い。上記したように、ライナー105は、液体がライナーの厚さを貫通して容易に浸透することができるように、液透過性であり得る。不織布ウェブを含む例示的なライナー構造は、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、及び特許文献20、並びに特許文献21、特許文献22、及び特許文献23に記載されており、これらは全て、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0048】
おむつ101は、サージ層107を含むこともでき、サージ層107は、吸収性コア103内へ急速に取り込まれ得る液体の急増(サージ)または噴出を減速しかつ拡散するのに役立つ。サージ層107は、液体を吸収性コア103の貯蔵部分または保持部分に放出する前に、液体を速やかに受容しかつ一時的に保持することが望ましい。図の実施形態では、例えば、サージ層107は、身体側ライナー105の内向き表面116と吸収性コア103の間に置かれる。あるいは、サージ層107は、身体側ライナー105の外向き表面118上に位置することができる。サージ層107は、典型的には液体透過性の高い材料から作られる。適切なサージ層の例は、特許文献24及び特許文献25に記載されており、これらの引用文献は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0049】
外カバー117は、典型的には、実質的に液体不透過性である材料から形成される。例えば、外カバー117は、薄いプラスチックフィルムまたは他の柔らかい液体不透過性材料から形成されることができる。一実施形態では、外カバー117は、約0.01ミリメートルないし約0.05ミリメートルの厚さを有するポリエチレンフィルムから形成される。フィルムは、液体不透過性であるが、気体及び水蒸気を透過させる(すなわち「通気性がある」)ことができる。これによって、吸収性コア103から水蒸気を逃がすことができるが、尚も滲出液が外カバー117を通り抜けることは防止される。布のような風合いに近付けたければ、外カバー117を、不織布ウェブに積層されたポリオレフィンフィルムから形成することができる。例えば、引き伸ばして薄くしたポリプロピレンフィルムを、ポリプロピレン繊維のスパンボンドウェブに熱的に積層することができる。
【0050】
上記した構成材の他に、おむつ101は、当分野で既知であるような様々な他の構成材sを含むこともできる。例えば、おむつ101は、吸収性コア103の繊維構造の完全性を維持するのに役立つ実質的に親水性のティッシュラップシート(図示せず)を含むこともできる。ティッシュラップシートは、典型的には、少なくとも吸収性コア103の2つの大きな接面上で吸収性コア103の周囲に置かれ、クレープ加工されたワッディングや高い濡れ強度のティッシュなどの吸収性セルロース材料でできている。ティッシュラップシートは、吸収性コア103の吸収性繊維の塊上に液体を迅速に分配するのに役立つウィッキング層を提供するように構成されることができる。吸収性コア103を効果的に取り込むために、吸収性繊維塊の片側上のラップシート材料を、繊維質量の反対側上に位置するラップシートに接合することができる。さらに、おむつ101は、吸収性コア103と外カバー117の間に配置される通気層(図示せず)を含むこともできる。使用されるときには、通気層は、外カバー117を吸収性コア103から隔離し、それによって外カバー117内の湿気を減少させるのに役立つことができる。そのような通気層の例は、特許文献26に記載されているような通気性フィルムに積層された不織布ウェブを含むことができ、特許文献26は全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0051】
一部の実施形態では、おむつ101は、おむつ101の両側端部132から2つのウエスト領域のうちの一方へ延在する1対のサイドパネル(または耳部)(図示せず)を含むこともできる。サイドパネルは、選択されたおむつ構成材とともに一体的に形成されることができる。例えば、サイドパネルは、外カバー117とともに、または上面を提供するために用いられる材料から、一体的に形成されることができる。代替形態では、サイドパネルは、外カバー117、上面、外カバー117と上面の間に接続されて組み立てられた部材によって、または様々な他の形態で、提供されることができる。必要に応じて、サイドパネルは、本開示の弾性不織布複合材料を用いて弾性を持たせるかまたは別な方法でエラストマー状態にすることができる。伸縮性のあるサイドパネル及び選択的に構成されたファスナタブを含む吸収性物品の例は、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30に記載されており、各引用文献は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0052】
図2に代表的に示されているように、おむつ101は、バリアを提供しかつ滲出液の横方向の流れを封じ込めるように構成された1対の閉じ込めフラップ112を含むこともできる。閉じ込めフラップ112は、身体側ライナー105の長手方向に延在する左右両側端部132に沿って、吸収性コア103の両側端部に隣接して位置することができる。閉じ込めフラップ112は、吸収性コア103の全長に沿って長手方向に延在することができるか、あるいは吸収性コア103の長さに沿って部分的にのみ延在することができる。閉じ込めフラップ112は、吸収性コア103より長さが短いとき、股部領域110においておむつ101の両側端部132に沿ったどこかに選択的に配置されることができる。一実施形態では、閉じ込めフラップ112は、滲出液をより良好に封じ込めるように吸収性コア103の全長に沿って延在する。そのような閉じ込めフラップ112は、一般的に当業者に公知である。例えば、閉じ込めフラップ112の適切な構成及び配置は特許文献31に記載されており、特許文献31は全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0053】
フィット性を向上させ、滲出液の漏れを軽減するのを助けるために、おむつ101は、以下にさらに説明するように、適切な弾性部材によって弾性を持たせることができる。例えば、図2に代表的に示されているように、おむつ101は、おむつ101のサイドマージンを機能的に引っ張るように構成されたレッグ弾性部材106を含むことができ、それによって、着用者の脚の周りにぴったりとフィットすることができる伸縮性のあるレッグバンドを提供して、結果的に漏れを低減し、かつ快適さ及び外観を向上させることができる。ウエスト弾性部材108を用いておむつ101のエンドマージンに弾性を持たせ、伸縮性のあるウエストバンドを提供することもできる。ウエスト弾性部材108は、着用者のウエストの周りに弾力性のある心地よくぴったりとしたフィット性を提供するように構成される。
【0054】
おむつ101は、1若しくは複数のファスナ130を含むこともできる。例えば、着用者の周りに1つのウエスト開口部及び1対のレッグ開口部を作るためにウエスト領域の両側端部上に設けられた2つの柔らかいファスナ130が図2に示されている。ファスナ130の形状は、一般的に様々であり得るが、例えば、一般的には矩形形状、正方形形状、円形形状、三角形形状、楕円形状、線形形状、その他を含むことができる。ファスナは、例えば、フックアンドループ材料、ボタン、ピン、スナップ、粘着テープファスナ、粘着剤、ファブリックアンドループファスナなどを含むことができる。1つの特定の実施形態では、各ファスナ130は、柔らかい裏地の内面に付けられた別体をなすフック材料を含む。
【0055】
おむつ101の様々な領域及び/または構成材は、接着剤、超音波接合、熱接着などの任意の既知の付着機構を用いて一緒に取り付けられることができる。適切な接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤、粘着剤、その他を含むことができる。使用されるときには、接着剤は、均一な層、模様のある層、噴霧された模様、あるいは離れた線、渦またはドットのうちの任意のものとして塗布されることができる。図の実施形態では、例えば、外カバー117及び身体側ライナー105は、接着剤を用いて、互いに、及び吸収性コア103に取り付けられる。あるいは、吸収性コア103は、ボタン、フックアンドループ型ファスナ、粘着テープファスナ、その他などの従来の締結手段を用いて外カバー117に接続されることもできる。同様に、レッグ弾性部材106、ウエスト弾性部材108、ファスナ130などの他のおむつ構成材も、任意の付着機構を用いておむつ101に取り付けられることができる。
【0056】
一般的に言えば、本開示のセンサは、尿を受容しかつ使用者や介護者に尿の有無に関する信号を提供することができる限り、様々な異なる向き及び構成で吸収性物品に組み込まれることができる。例えば、センサは、簡単で、正確かつ迅速に濡れを示すことができるように、使用者や介護者に見えるものであることができる。可視性は、様々な方法で達成可能である。例えば、一部の実施形態では、吸収性物品は、吸収性物品を着用者から取り外しかつ/または吸収性物品を分解することになしにセンサが容易に見えるような透明または半透明部分140(例えば、窓、フィルムなど)を含む場合がある。他の実施形態では、センサは、よく見えるように、吸収性物品に設けられた穴または開口を貫通して延在することができる。さらに他の実施形態では、センサは、よく見えるように、単に、吸収性物品の表面上に配置されることができる。
【0057】
センサが組み込まれる特定の形態に関わらず、尿は、センサの一部、液体透過性カバー、またはセンサを取り囲む他の材料に直接排出されることができ、あるいは、センサ120が組み込まれた吸収性物品の構成材上へ排出されることができる。
【0058】
次の例を参照すると、本開示をよりよく理解することができる。
【0059】

【0060】
1.センサの作製及び試験:
0.5mg/mlのブロモクロロフェノールブルーと5mg/mlのシュウ酸を水に溶かした溶液を作製した。10mlの溶液をペトリ皿に入れた。1枚の10cm×10cmのポール社製のバイオダインプラスメンブレンをペトリ皿に入れ、溶液に浸漬した。メンブレンを10分間浸漬し、その後45℃で2時間乾燥させた。メンブレンを5cm×1cmの断片に切断した。乾燥時、センサの色は黄色であった。色は、尿と接触した時点で藍色に変わった。
【0061】
2.センサの作製及び試験:
0.2mg/mlのブロモクレゾールグリーンと2mg/mlのクエン酸を水に溶かした溶液を作製した。10mlの溶液をペトリ皿に入れた。1枚の10cm×10cmのポール社製のバイオダインプラスメンブレンをペトリ皿に投入し、溶液に浸漬した。メンブレンを10分間浸漬し、その後室温で空気乾燥させた。メンブレンを5cm×1cmの断片に切断した。乾燥時、センサの色は黄色であった。色は、尿と接触した時点で緑色に変わった。
【0062】
3.センサを備えた吸収性物品:
ハギーズ(Huggies)おむつの外カバーの一部を取り除くことによって外カバーの中央の周りに矩形の穴を開けた。その後上記の例で作製したセンサを吸収性コアに接触して挿入した。透明なスコッチテープを用いてセンサを覆い、固定し、挟み込んだ。内側の中央から5mlの尿を適用した。センサは、黄色から青色(ブロモフェノールブルーを用いて)または緑色(ブロモクレゾールグリーンを用いて)に変色する。
【0063】
4.センサの作製及び試験:
ウォーターマン社(Waterman)製のろ紙をハーキュリーズ社(Hercules)製の0.5%のKymeneに浸漬し、70℃で2時間加熱した。その後、ろ紙を、0.5mg/mlのブロモクレゾールグリーンと2mg/mlのクエン酸のエタノール溶液に5分間浸漬した。その後ろ紙を室温で乾燥させた。ろ紙を5cm×1cmの断片に切断した。乾燥時、センサの色は黄色であった。色は、尿と接触した時点で緑色に変わった。
【0064】
5.センサの作製及び試験:
ウォーターマン社製のろ紙をハーキュリーズ社製の0.5%のKymeneに浸漬し、70℃で2時間加熱した。1mg/mlのブロモクレゾールグリーンと5mg/mlのクエン酸のエタノール溶液をろ紙上に噴霧した。その後、ろ紙を、室温で乾燥させた。ろ紙を5cm×1cmの断片に切断した。乾燥時、センサの色は黄色であった。色は、尿と接触した時点で緑色に変わった。
【0065】
6.浸出試験
上記の手順を用いて作製した20cm×20cmセンサを1cm×1cmの断片に切断し、100mg/mlのNaClを含む20mlの水溶液に2日間入れた。その後センサを取り除き、指示薬濃度を分光光度計によって測定した。バイオダインプラスメンブレンを用いたセンサの場合には、測定可能な染料は溶液中に浸出しなかった。Kymene処理したろ紙を用いたセンサの場合には、6%未満の染料が浸出した。
【0066】
7.ポリテックス社製サーモクロミックインクにキシリトールを加えた。インクにキシリトールを最初に加えたとき、色は非常に鮮やかであった。その後混合インク溶液をXP−8635Yフィルム上に塗布して乾燥させた。インクは、乾燥させると色及び可視性が大きく低下した。フィルムを液体に触れさせたとき、インクは再び非常に鮮やかになり、数分間、場合によっては最大で1時間またはそれ以上にわたってよく見える状態が継続した。
【0067】
簡略にするため、本明細書に記載の値の任意の範囲は、問題になっている指定範囲内の整数値である終点を有する任意の部分的な範囲を列挙する請求項をサポートする書面での説明として解釈されたい。仮想に基づく例証として、本明細書において1−5の範囲が開示されていれば、次の部分的な範囲:1−4、1−3、1−2、2−5、2−4、2−3、3−5、3−4、及び4−5のうちの任意のものを列挙する請求項をサポートすると考えられるべきである。
【0068】
本開示のこれら及び他の変更形態及び変形形態は、添付の請求項により詳細に記載されている本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実行されることができる。加えて、当然のことながら、様々な実施形態の態様は、全体的にも部分的にも置き換え可能である。さらに、上述の説明が単なる例にすぎず、そのような添付請求項にさらに説明されている開示を制限する意図はないことは、当業者であれば十分理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿の有無を検出する方法であって、
尿と接触したときに変色が可能なpH指示薬を非拡散的に固定化してある多孔質基材を含む尿指示センサを提供するステップと、
前記センサの前記基材に尿を接触させるステップと、
前記pH指示薬が変色するか否かに基づいて尿の有無を判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基材が、pH調整剤をさらに含み、該pH調整剤が、酸、塩基、緩衝剤、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記pH指示薬が、約10以上または約5.5未満のpHで変色が可能であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
前記pH指示薬が、クロロブロモフェノールブルー、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールブルー、メチルバイオレット、メチルオレンジ、コンゴレッド、ロイコマラカイトグリーン、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、メチルバイオレット2B、ピクリン酸、ナフトールイエローS、キナルジンレッド、塩基性フクシン、ナイルブルーA、チモールフタレイン、アニリンブルー,水溶性、アリザリンエローGG、モーダントオレンジI、トロペオリンO、オレンジG、酸性フクシン、チアゾールイエローG、インジゴカルミン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンエローR、または誘導体、あるいはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
前記基材が、前記pH指示薬との電荷間相互作用が可能な荷電多孔質基材であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
前記基材が、サーモクロミック材料とその上に配置されている温度変化作用剤との混合物をさらに有し、前記温度変化作用剤が、尿と接触させたときに、前記サーモクロミック材料の温度を変化させて変色をもたらすことができ、前記サーモクロミック材料が変色するか否かに基づいて尿の有無も判定されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
尿の有無を検出する方法であって、
サーモクロミック材料とその上に配置されておりかつ尿と接触させたときに前記サーモクロミック材料の温度を変化させて変色を引き起こすことができる温度変化作用剤との混合物を有する基材を含む尿指示センサを提供するステップと、
前記センサの前記基材に尿を接触させるステップと、
前記サーモクロミック材料が変色するか否かに基づいて尿の有無を判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記サーモクロミック材料が、サーモクロミック液晶材料、サーモクロミックインク、サーモクロミック色素、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
前記温度変化作用剤が、ポリオールを含むことを特徴とする請求項7の方法。
【請求項10】
前記サーモクロミック材料の色が元の色に戻るまで、或る期間を経過させるステップと、
前記センサの前記基材に尿を接触させるステップと、
前記サーモクロミック材料が変色するか否かに基づいて尿の有無を判定するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項7の方法。
【請求項11】
前記基材上に、さらにpH指示薬が非拡散的に固定化されており、前記pH指示薬が、尿と接触したときに変色が可能であり、前記pH指示薬が変色するか否かに基づいて尿の有無も判定されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項12】
尿の有無を検出するためのセンサであって、前記センサが、サーモクロミック材料とその中に配置されている温度変化作用剤との混合物を有するサーモクロミックゾーンを画定する基材を含み、前記温度変化作用剤が、尿と接触させたときに前記サーモクロミック材料の温度を変化させて変色を引き起こすことができることを特徴とするセンサ。
【請求項13】
尿と接触したときに変色が可能であるpH指示薬が非拡散的に固定化されているpH指示薬ゾーンをさらに含むことを特徴とする請求項12のセンサ。
【請求項14】
前記pH指示薬が、クロロブロモフェノールブルー、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールブルー、メチルバイオレット、メチルオレンジ、コンゴレッド、ロイコマラカイトグリーン、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、メチルバイオレット2B、ピクリン酸、ナフトールイエローS、キナルジンレッド、塩基性フクシン、ナイルブルーA、チモールフタレイン、アニリンブルー,水溶性、アリザリンエローGG、モーダントオレンジI、トロペオリンO、オレンジG、酸性フクシン、チアゾールイエローG、インジゴカルミン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンエローR、または誘導体、あるいはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項13のセンサ。
【請求項15】
前記pH指示薬が、約10未満かつ約5以上のpHにさらされたときに変色が可能であることを特徴とする請求項13のセンサ。
【請求項16】
前記サーモクロミック材料が、サーモクロミック液晶材料、サーモクロミックインク、サーモクロミック色素、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12のセンサ。
【請求項17】
前記温度変化作用剤が、キシリトール、ソルビトール、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12のセンサ。
【請求項18】
尿の有無を判定することができる吸収性物品であって、
実質的に液体不透過性層と、
液体透過性層と、
前記実質的に液体不透過性層と前記液体透過性層の間に配置されている吸収性コアと、
前記物品に組み込まれ、尿が前記物品の着用者によって与えられたときに前記尿と液体連通するように配置されているセンサとを含み、
前記センサが、pH指示薬ゾーンを画定する基材を含み、前記pH指示薬ゾーン内にはpH指示薬が非拡散的に固定化され、前記pH指示薬が、尿と接触したときに変色が可能であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項19】
前記基材が、サーモクロミック材料とその中に配置されている温度変化作用剤との混合物を有するサーモクロミックゾーンをさらに含み、前記温度変化作用剤が、尿と接触させたときに前記サーモクロミック材料の温度を変化させて変色を引き起こすことを特徴とする請求項18の吸収性物品。
【請求項20】
前記吸収性物品が、前記センサを観察可能な窓を画定することを特徴とする請求項18の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−506953(P2011−506953A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537547(P2010−537547)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053676
【国際公開番号】WO2009/077885
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】