説明

濾過ケークの回収方法、およびケーク形成・洗浄濾過用装置

【課題】スラリー中の固相を液相から分離するための濾過システムを提供する。
【解決手段】スラリーを、垂直フィルター要素を含むフィルターハウジングに供給する工程;スラリーを圧入し、i)濾液がフィルター要素を通過し、排出口の外に存在し;ii)フィルター要素上に固形ケークを形成する工程;スラリー流出バルブを開けることによってスラリーを流出させながら、洗浄液を供給する工程;スラリー流出バルブを閉め、洗浄液をケークを通してフィルターチューブ中に連続的に供給する工程;洗浄液の供給を停止する工程;気体を導入し、下部流出バルブを開けることによって洗浄液を流出させる工程;気体の流れを止め、流出バルブを開けて気体と残留洗浄液のほとんどを出させる工程;下部ケーク排出バルブを開ける工程;及び気体でバックパルスし、濾過ケークを砕いてフィルター要素から取り除く工程を含む、スラリーから濾過ケークを形成する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリー中の固相を液相から分離するための濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、スラリー中の固相を液相から分離するための濾過システムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの実施態様では、本発明は、スラリーから濾過ケーク(filter cake)を形成する方法であって、該スラリーを、複数の垂直フィルター要素(vertical filter element)を含むフィルターハウジング(filter housing)に供給する工程;該スラリーを、該フィルター要素に抗して該フィルターハウジングに圧入し、その結果として、i)濾液が該フィルター要素を通過し、該フィルターハウジングの排出口の外に存在し;ii)該フィルター要素上に固形ケーク(solid cake)を形成する工程;スラリー流出バルブを開けることによって該スラリーを流出させながら、洗浄液を該フィルターハウジング内に供給する工程;該スラリー流出バルブを閉め、次いで該洗浄液を該ケークを通して該フィルターハウジングのフィルターチューブ中に連続的に供給する工程;該洗浄液の供給を停止する工程;気体を該フィルターハウジング内に導入し、下部流出バルブを開けることによって該洗浄液を流出させる工程;該気体の流れを止め、該流出バルブを開けて該気体と残留洗浄液のほとんどを出させる工程;該下部ケーク排出バルブを開ける工程;及び気体でバックパルス(back pulsing)氏、該濾過ケークを砕いて該フィルターハウジングの該フィルター要素から取り除く工程を含む、方法に関する。
【0004】
他の実施態様では、本発明は、フィルターハウジングを有するケーク濾過装置(cake filtration device)であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;そして、該フィルターハウジングの該下部分は、該フィルターハウジングの内径の少なくとも70%の内径を有するケーク排出バルブ(cake discharge valve)を含むフランジを有する、ケーク濾過装置に関する。
【0005】
他の実施態様では、本発明は、ケーク排出バルブが、該排出バルブ内に保持された液体を実質的に除去できるように充分に設計された少なくとも1つの流出口を有する、のケーク濾過装置に関する。
【0006】
他の実施態様では、本発明は、フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;前記フィルターハウジングの前記上部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部(process connection)を有し、かつ、該フィルターハウジングの前記下部分が、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有する、ケーク濾過装置に関する。
【0007】
他の実施態様では、本発明は、フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;前記フィルターハウジングの前記下部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの前記上部分は、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有する、ケーク濾過装置に関する。
【0008】
他の実施態様では、本発明は、フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;そして、該フィルターハウジングの該下部分は、該フィルターハウジングの内径の少なくとも70%の内径を有するケーク排出バルブ(cake discharge valve)を含むフランジを有し、該フィルターハウジングの該上部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの該下部分が、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有するケーク濾過装置に関する。
【0009】
添付の図面を参照して、本発明をさらに説明する。ここでは、同様の構造は同様の番号で参照される。示した図面は必ずしも縮尺通りではなく、かわりに、本発明の原理を表わす部分が通常強調される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるフィルターシステムの実施態様の断面図を例示する。
【図2】本発明によるフィルターシステムの要素の垂直断面図を示す。
【図3】本発明によるフィルターシステムの要素の水平断面図を示す。
【図4】本発明によるフィルターシステムの要素の実施態様の断面図を示す。
【図5】本発明の実施におけるフィルターシステムの要素の実施態様の上面図を示す。
【図6】本発明によるフィルターシステムの要素の実施態様の上面図を示す。
【図7】本発明によるフィルターシステムの実施態様の一部の断面図を示す。
【図8】本発明によるフィルターシステムの実施態様の下部分の断面図を示す。
【図9A】本発明によるフィルターシステムを利用したプロセスの実施態様のフローチャートを例示する。
【図9B】本発明によるフィルターシステムを利用したプロセスの実施態様のフローチャートを例示する。
【図10】本発明によるフィルターシステムの実施態様の断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の詳細な実施態様をここに開示する。但し、開示された実施態様は、様々な形で具体化される本発明の単なる例示にすぎないことを理解すべきである。加えて、本発明の様々な実施態様と関連付けて提示される実施例は各々例示的なものであって、限定的なものではない。さらに、図面は必ずしも縮尺通りではなく、特定の要素を詳述するために特徴が誇張されている場合がある。加えて、図中の採寸や説明等は、いかなるものも例示を意図したものであって、限定的なものではない。従って、ここに開示された具体的な構造的・機能的詳細は限定的なものと解釈されてはならず、当業者が本発明を種々使用するに際して、単に典型的な基礎を教示するにすぎないものと解釈すべきである。
【0012】
本発明は、フィルターハウジングを有する、濾過ケーク装置に関する。1つの具体的な実施態様において、該フィルターハウジングは、垂直な円形フィルターハウジングである。フィルターハウジングの大きさの適切な例としては、直径6”、16”、24”、26”などがあるが、これらに限定されるものではない。1つの実施態様では、フィルターハウジングにはフィルター要素が少なくとも1つ含まれている。1つの実施態様では、フィルター要素はチューブの形状をしている。他の実施態様では、フィルターハウジングは、例えば要素数が3、7、15、19など、複数のフィルター要素を含んでいてよく、フルシステムでは、所望の固体比(solids rate)を達成するために、数個のフィルターハウジングを含んでいてもよい。1つの実施態様では、フィルター要素はチューブの形状をしている。1つの実施態様では、フィルター要素は、多孔質のステンレス鋼焼結金属でできている。適当なフィルター要素材料としては、焼結金属、織って作った金属メッシュ、多孔質セラミック、多孔質高分子膜、または、高分子織布などがあるが、これらに限定されるものではない。1つの例では、焼結金属膜要素は、濾過される物質の固体損失を最小化し、膜透過流れを最大化するようなサイズの多孔性(porosity)を有している。異なる製品には、粒子径に応じて、異なるフィルター多孔性が必要となるだろう。1つの具体例において、コーンスターチを濾過するのに使用されるフィルター要素のミクロン等級(micron rating)は約1−5ミクロンの範囲内にあることができる。適当な気孔サイズとしては0.5ミクロンから20ミクロンであるが、これらに制限されるものではない。
【0013】
他の実施態様においては、フィルター要素はトップから垂直につるされている。他の実施態様においては、該要素は固定したトップフランジまたはプレートから垂直につるされ、フィルター要素の中心からプレートを通り、濾液収集ヘッダー(filtrate collection header)へと続く流れが確保される。フィルター要素の例としては、外径50mm、1500mm長のフィルターチューブがある。フィルターチューブのサイズとしては、外径(OD)25〜75mm、500〜2000mm長が適しているが、これに限定されない。
【0014】
しかし他の実施態様においては、濾液収集ヘッダーは、バック‐パルス(back-pulse)空気、排気、および/またはクリーン‐イン‐プレイス(clean-in-place(CIP))流体用のプロセス接続部を1以上有する。
【0015】
他の実施態様では、フィルターハウジングの下部には、フィルターハウジングと実質的に同じ内径(ID)のバルブを有するフランジがある。1つの実施態様では、バルブは、バルブを開ける前にハウジングからの液の少なくともいくらかを流出できるような手段を含む。例えば、バルブハウジング(valve housing)は制御された流出速度(drainage flow rates)に対応するため、排出口を1以上含んでいてもよい。ハウジング内の適切なバルブとしては、フラッシュ/流出口(flush/drain ports)を有するスライドゲートバルブ、および流出口を有する高性能バタフライバルブ(butterfly valve)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。他の実施態様では、ハウジングの下部には、スラリー、洗浄液、および/または排水用の接続部(connections)が含まれる。1つの実施態様では、下部流出口はヘッダーに結合する。1つの実施態様では、下部流出ヘッダーにはスラリー流出プロセス接続部(slurry drain process connection)及び排水プロセス接続部(water drain process connection)がある。
【0016】
他の実施態様では、ハウジングはスラリー、空気、洗浄液、排液、および/またはCIP流体などのためのプロセス接続部を1つ以上有する。ハウジングのトップには、空気乾燥プロセス、洗浄液および/またはスラリー供給のための接続部があってもよい。他の実施態様では、プロセス接続部は、ハウジングの外に共通のマニホールド(manifold)を1つ以上有していて良い。1つの例に関して、金属膜は徐々に汚れるため、1つの実施態様では、膜再生用に洗浄システムが提供される。コーンスターチの濾過に関し、1つの例には膜汚れ除去のため、熱い希薄苛性溶液が含まれる。
【0017】
本発明のケーク濾過装置は、スラリーと共に使用される。本発明の目的では、スラリーは懸濁した固体を含む液体である。スラリーの適当な例としては、水中のデンプンが含まれるが、これに限定されるものではない。1つの実施態様では、該スラリーは固体の濃度が約5%から約40%、特に約10%から約30%の範囲である。本発明の方法で、厚みが約1/8インチ(約3mm)から2インチ(50mm)超まで変化しうる「濾過ケーク」が得られる。濾過ケークの厚みは、例えば、濾過する製品、スラリー供給時に使用する圧、およびスラリー供給段階の時間などの変数によって変化させることができる。最大ケーク厚みは、フィルター要素、即ちフィルターチューブ間の距離、および/またはフィルター要素とハウジング壁間の距離によって定められる。
【0018】
以下に、ケーク形成濾過装置の操作法の1実施態様を例示する。最初に、スラリーはスラリープロセス接続部(slurry process connection)を通しフィルターハウジングに供給される。ポンピング能力によってフィルターハウジング内の圧は上昇し、液が、例えばフィルターチューブなどのフィルター要素を通してフィルターハウジング内に絞り込まれ、排出口から出ていく。適切な圧には30〜150psi(0.2〜1.1MPa)が含まれるが、これに限定されるものではない。液がフィルターを通して押し出されると、固体が後に残り、「濾過ケーク」がフィルターチューブのまわりに生成する。
【0019】
濾過が終了したと判断し、スラリーの流れを停止したら、空気プロセス接続部(air process connection)を通して空気をフィルターハウジングに導入し、スラリープロセス接続部経由で、または流出口を通して、スラリーをフィルターハウジング外に流出させてよい。1つの実施態様では、少なくとも1つの流出口がフィルターハウジングのボトムに設置される。
【0020】
洗浄液(例えば、水、アセトン、エタノール)は、その後洗浄液プロセス接続部を通してフィルターハウジングに供給され得る。1つの実施態様では、洗浄水入口はフィルターハウジングのトップに設置される。洗浄液はフィルターチューブに蓄積したケークを通して押し出され、さらにケークの周囲に存在する液体は濾液収集ヘッダーに移される。洗浄液は排出口から排出される。
【0021】
洗浄が終了すると、空気乾燥が行われる。空気プロセス接続部を通してハウジングに再度空気を導入してよく、そうすることで、ケークを通して洗浄液が押出され、および/または、流出口を通してハウジング外に洗浄液が押出される。空気は空気プロセス接続部を通して、フィルターハウジングに供給され続ける。空気はケークの周囲およびケーク内の液体を一部移動させ、ケークの水分を減少させる。空気および液体はフィルターチューブを通して濾液収集ヘッダーに押出され、排出口から排出される。流出バルブは時々開けられ、ハウジングから液体がすべて取り除かれる。
【0022】
空気乾燥が終了したと判断された(例えば、ケークの水分量が望ましい値に達した)とき、空気バルブおよび排出口は閉じられる。ハウジング圧が減じられて周囲よりもわずかに高くなるまでになったら(例えば、5psi(0.04MPa)未満)、下部のケーク排出バルブ(例えば、フィルターハウジングと実質的に同じIDのバルブ;図1でハウジングより大きく見える排出バルブを考慮のこと)が開けられ、バック‐パルス空気接続部(back-pulse air connection)から濾液ヘッダーに空気が導入される。結果として、ケークはフィルターチューブから除去され、下部バルブを通して落下し、回収される。
【0023】
図1に、本発明によるフィルターシステムの1つの実施態様の断面図を例示する。特に、図1は1つ以上フィルター要素101を保持するハウジング100を有する実施態様を示す。1つの実施態様においては、フィルター要素101はヘッダープレート103から垂直につり下げられる。1つの実施態様においては、フィルター要素101は多孔質の焼結金属材料(porous sintered metal material)から形成される。1つの実施態様では、ヘッダープレート103によって、流れがフィルター要素101の中心から濾液収集ヘッダー(filtrate collection header)104へと向かうようになる。1つの実施態様では、濾液収集ヘッダー104は、バック‐パルス空気、クリーン‐イン‐プレイス流体(clean-in-place fluid)、および/または濾液排出用の、少なくとも1つのプロセス接続部109を有する。これらのポートは独立したものあっても、または外部マニホールドの一部であってもよい。1つの実施態様では、収集した濾液をトップフランジ102が密封し、フィルター要素へのアクセスが可能となる。
【0024】
1つの実施態様では、ハウジング100はボトムフランジ107に接続される。1の実施態様では、ボトムフランジ107にはケーク排出バルブ106がある。1つの実施態様では、ハウジング100は円形であって、ハウジング100の内側に開くケーク排出バルブ106の一部は、ハウジング100の内径と同一であるかあるいは実質的に同一の内径を有する。1つの実施態様では、ハウジング100の内側に開くケーク排出バルブ106の一部は、ハウジング100の内径の少なくとも70%の径を有する。1つの実施態様では、ケーク排出バルブ106は、バルブハウジングの側面に穴が開けられた1つ以上の流出口108を有し、バルブ106が開く前に、実質的に全液をハウジング100から流出させる。1つの実施態様では、バルブ106はフラッシュ/流出口を有するスライドゲートバルブである。1つの実施態様では、バルブ106は、追加の流出口がついた高性能バタフライバルブである。
【0025】
1つの実施態様では、ハウジング100は更に、例えばスラリー、空気、洗浄流体、クリーン‐イン‐プレイス流体などの輸送供給のため、および/またはハウジング100を空にするため、プロセス接続105を少なくとも1つ以上有する。1つの実施態様では、ハウジング100は更に、例えばスラリー洗浄液、およびクリーン‐イン‐プレイス流体などの輸送供給のため、および/またはハウジング100を空にするため、プロセス接続110を少なくとも1つ以上有する。1つの実施態様では、プロセス接続105、108、110は外部マニホールドに接続されている。1つの実施態様では、ハウジング100には例えば、圧力ゲージ、レベル検出器、および/またはのぞき窓など、追加的な壁貫通(wa1l penetration)111がある。
【0026】
図2には、本発明で使用されるフィルター要素200を通る垂直断面図を示す。1つの実施態様では、フェルール(ferrule)201はフィルター要素上部の一部である。図3には、ハウジングと濾液収集ヘッダーを分離するトッププレート303の実施態様の断面図を示す。トッププレート303には、ハウジング内につり下げられたフィルター要素の一部分を通すホールがある。1つの実施態様では、トッププレートの上部のフィルター要素の一部分は、実質的に、フィルター要素がハウジング本体内部でトッププレートからつり下げられるように設計されている。1つの実施態様では、フェルール312がトッププレートに取り付けられ、フィルター要素の上部にクランプする。1つの実施態様では、フェルール312はトッププレート上の対応するホールに溶接される。
【0027】
図4は、図2および図3を組合せた拡大図を示す。フィルター要素401はトッププレート403およびフェルール412を通して挿入される。クランプ406およびガスケット405を使用してフィルター要素401がフェルール412に密閉される。
【0028】
図5は、本発明の実施における、ハウジング500の実施態様の水平断面図を示す。図5は、本発明による、濾液の除去により残された、ハウジング500中の残渣であるフィルトランド(filtrand)502で囲まれたフィルター要素501を示す。例えば、1つの実施態様では、フィルトランド502は、スラリーの液体部分である濾液が本発明によりスラリーから除去された時に生成した濾過ケークである。
【0029】
図6は、本発明によるフィルターシステムのトッププレート603の実施態様の上面図を示す。1つの実施態様では、トッププレート603は、フィルター要素の一部分がトッププレート603を通過できるように設計されたホール614を含む。1つの実施態様では、フェルール612はトッププレート603に取り付けられ、フィルター要素の上部分をクランプする。
【0030】
図7は、本発明によるフィルターシステムの実施態様の一部分の断面図を示す。1つの実施態様では、下部ケーク排出バルブ702は高性能バタフライバルブである。1つの実施態様では、排出バルブ702にはフランジが取り付けられ、ハウジングの下部にボルト付けされる。1つの実施態様では、バタフライバルブウェハ(butterfly valve wafer)700は、本発明で得られたケークを排出する開口部を与える。1つの実施態様では、4つの流出口が、ケーク排出バルブ702のハウジングに開けられている。1つの実施態様では、該4流出口はヘッダー715に接続する。
【0031】
図8は、本発明によるフィルターシステムの実施態様の下部分の断面を示す。1つの実施態様では、フィルターシステムの下部分は高性能バタフライバルブ806を含んでおり、ハウジングの下部に接続している。1つの実施態様では、該高性能バタフライバルブ806は、フィルターシステムを空にするために、流出口819を少なくとも1以上有する。1つの実施態様では、流出口819が共通のマニホールドに集められ、流出ヘッダー820を形成する。
【0032】
図9Aおよび9Bには、本発明によるフィルターシステムを利用したプロセスの実施態様のフローチャートを例示する。1つの実施態様では、スラリー、すなわち、懸濁固体を含む液体は、スラリープロセス接続部902を通して、フィルターシステムのハウジング900に供給される。1つの実施態様では、スラリーの液体部分がハウジング900内部の圧力によって、フィルター要素901を通してフィルターヘッダー904へと絞り込まれ、排出口909から排出される。1つの実施態様では、液体部分がフィルターシステムを通して絞り込まれて、フィルトランド、例えば固体が残り、濾過ケークがフィルター要素901の周囲に形成される。1つの実施態様では、濾過が終了したと判断されたら、空気プロセス接続部922を通して空気がハウジング900に導入され、スラリー排出接続部903を通して、ハウジング900の外にスラリーが押出される。図9Aおよび9Bには2つの実施態様が例示される。図9Aではスラリー/水が上部から供給され、すべて下部から流出される。図9Bではスラリー/水が下部から供給され、スラリーは上部から、水は下部から流出される。
【0033】
1つの実施態様では、洗浄液、典型的なものとして水が洗浄液プロセス接続部908を通してハウジング900に供給される。1つの実施態様では、洗浄液がフィルター要素901に蓄積したケークを通して押出され、ケークの周囲にさらに存在する液体部分が濾液収集ヘッダー904に、そして排出口909に移される。1つの実施態様では、洗浄が終了したら、空気プロセス接続部922を通して空気がハウジング900に導入され、それによって、濾過ケークを通して洗浄液が押出され、または、洗浄排出接続部(wash drain connection)905を通じて洗浄液がハウジング900の外に押出される。
【0034】
1つの実施態様では、空気は、空気プロセス接続部922を通して、ハウジング900に供給され続ける。1つの実施態様では、濾過ケーク内のおよび/または周辺の液体が空気によって一部移動し、ケークの水分が減少する。1つの実施態様では、空気および液体はフィルター要素901を通して濾液ヘッダー904に押出され、排出口909から排出される。1つの実施態様では、洗浄液排出バルブ505は時々開けられ、ハウジング900から液体がすべて取り除かれる。
【0035】
1つの実施態様では、空気乾燥が終了したら、空気バルブ922が閉鎖される。1つの実施態様では、ハウジング900内が5psi(0.04MPa)未満に減圧されたら排出口909は閉鎖し、ケーク排出バルブ923が開けられる。1つの実施態様では、バック‐パルス空気接続部906から濾液ヘッダー904に、空気が導入される。1つの実施態様では、濾過ケークはフィルター要素901から除去され、スライドゲート923を通して落下し、フィルターシステムを離れる。
【0036】
図10は、本発明による、改良高性能バタフライバルブの断面図を説明する。1つの実施態様では、バルブ本体1000は、主ディスク1001とともに、バルブの最下部として設置される。典型的な高性能ボールバルブでは、シートリング1002はハウジング1000にあわせ、シート固定具(seat retainer)1003で所定の位置に保持される。1つの実施態様では、主ディスク1001の高さ位置、またはそのわずか下の位置で、ハウジングに1つ以上のホール1004が開けられている。1つの実施態様では、接続配管(connection piping)1005はバルブハウジング1000に溶接されている。
【0037】
複数の実施態様では、フィルターシステムのハウジングは、配管から特注の加工材まで、広範囲の材料を組合せて作られる。複数の実施態様では、ハウジングのすべてのプロセス接続部にはバルブがある。複数の実施態様では、空気のバック‐パルスを利用して、重力排出(gravity discharge)を行っている。
【0038】
本発明を利用して、スラリーの液部から固体を分離してケークにするような種々の応用が可能である。例えば、1つの実施態様では、上記フィルターシステムを用いて濾過コーンスターチスラリーを脱水・洗浄し、澱粉ケークを形成する。例えば、コーンスターチスラリーは、名目粒子サイズが8〜10ミクロンである。1つの実施態様では、このサイズの固体を有するコーンスターチに対し、5ミクロン孔のフィルター要素を用いれば、濾液に含まれるのは100ppm未満の澱粉固体である。
【0039】
以下の実施態様で本発明をさらに例示し説明するが、いかなる観点においても、これらを限定的なものととらえるべきではない。
【0040】
1. スラリーから濾過ケークを形成する方法であって、
該スラリーを、複数の垂直フィルター要素を含むフィルターハウジングに供給する工程;
該スラリーを、該フィルター要素に抗して該フィルターハウジングに圧入し、その結果として、
i)濾液が該フィルター要素を通過し、該フィルターハウジングの排出口の外に存在し;
ii)該フィルター要素上に固形ケークを形成する工程;
スラリー流出バルブを開けることによって該スラリーを流出させながら、洗浄液を該フィルターハウジング内に供給する工程;
該スラリー流出バルブを閉め、次いで該洗浄液を該ケークを通して該フィルターハウジングのフィルターチューブ中に連続的に供給する工程;
該洗浄液の供給を停止する工程;
気体を該フィルターハウジング内に導入し、下部流出バルブを開けることによって該洗浄液を流出させる工程;
該気体の流れを止め、該流出バルブを開けて該気体と残留洗浄液のほとんどを出させる工程;
該下部ケーク排出バルブを開ける工程;及び
気体でバックパルスし、該濾過ケークを砕いて該フィルターハウジングの該フィルター要素から取り除く工程
を含む、方法。
【0041】
2. フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、
該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;
該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;そして、
該フィルターハウジングの該下部分は、該フィルターハウジングの内径の少なくとも70%の内径を有するケーク排出バルブを含むフランジを有する、
ケーク濾過装置。
【0042】
3. 前記ケーク排出バルブが、該排出バルブ内に保持された液体を実質的に除去できるように充分に設計された少なくとも1つの流出口を有する、実施態様2に記載のケーク濾過装置。
【0043】
4. フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;前記フィルターハウジングの前記上部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの前記下部分が、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有する、ケーク濾過装置。
【0044】
5. フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;前記フィルターハウジングの前記下部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの前記上部分は、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有する、ケーク濾過装置。
【0045】
6. フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;そして、該フィルターハウジングの該下部分は、該フィルターハウジングの内径の少なくとも70%の内径を有するケーク排出バルブを含むフランジを有し、該フィルターハウジングの該上部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの該下部分が、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有するケーク濾過装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターハウジングを有するケーク濾過装置であって、
該フィルターハウジングは、上部分および下部分を有し;
該フィルターハウジングは、複数の垂直フィルター要素を含み;および、
該フィルターハウジングの該下部分は、該フィルターハウジングの内径の少なくとも70%の内径を有するケーク排出バルブを含むフランジを有する、
ケーク濾過装置。
【請求項2】
前記ケーク排出バルブが、該排出バルブ内に保持された液体を実質的に除去できるように充分に設計された少なくとも1つの流出口を有する、請求項1に記載のケーク濾過装置。
【請求項3】
前記フィルターハウジングの前記上部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの前記下部分が、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有する、請求項1又は2に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記フィルターハウジングの前記下部分が、洗浄液用の少なくとも1つのプロセス接続部を有し、かつ、該フィルターハウジングの前記上部分は、スラリー流出用の少なくとも1つのプロセス接続部を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の濾過装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置を用いてスラリーから濾過ケークを形成する方法であって、
該スラリーを、複数の垂直フィルター要素を含むフィルターハウジングに供給する工程;
該スラリーを、該フィルター要素に抗して該フィルターハウジングに圧入し、その結果として、
i)濾液が該フィルター要素を通過し、該フィルターハウジングの排出口の外に存在し;
ii)該フィルター要素上に固形ケークを形成する工程;
スラリー流出バルブを開けることによって該スラリーを流出させながら、洗浄液を該フィルターハウジング内に供給する工程;
該スラリー流出バルブを閉め、次いで該洗浄液を該ケークを通して該フィルターハウジングのフィルターチューブ中に連続的に供給する工程;
該洗浄液の供給を停止する工程;
気体を該フィルターハウジング内に導入し、下部流出バルブを開けることによって該洗浄液を流出させる工程;
該気体の流れを止め、該流出バルブを開けて該気体と残留洗浄液のほとんどを出させる工程;
該下部ケーク排出バルブを開ける工程;及び
気体でバックパルスし、該濾過ケークを砕いて該フィルターハウジングの該フィルター要素から取り除く工程
を含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate