説明

濾過器及び濾過装置

【課題】 分解することなく、対象流体を流入するために設けられる開口部に滞留した夾雑物を外部に流出することができる濾過器を提供する。
【解決手段】 対象流体を流入するための第1開口部2aと対象流体を流出するための第2開口部2bとを有する本体部2と、本体部2に収容され、通過する対象流体を濾過する濾過部3とを備える濾過器1において、対象流体とは別の流体を本体部2の内部に流入可能に構成されると共に、別の流体を第1開口部2aから本体部2の外部へ流出可能に構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象流体を濾過する濾過器とその濾過器を備える濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、濾過装置として、図15に示すように、対象流体を流入して且つ流出することにより対象流体を濾過する濾過器200を備える濾過装置が知られている。濾過器200は、筐体である本体部201と、本体部201の内部に収容され、対象流体が通過する際に、対象流体に混入する夾雑物を対象流体から分離する、即ち、対象流体を濾過する濾過部(例えば、ストレーナ)202とを備える。
【0003】
本体部201は、対象流体を流入するための第1入口部203と、濾過部202で濾過された対象流体を流出するための第1出口部204と、対象流体とは別の流体(以下、「逆洗水」という)を流入するための第2入口部205と、逆洗水を流出するための第2出口部206とを備える。
【0004】
そして、第1入口部203には、第1入口弁207を有する第1入口管208が接続され、第1出口部204には、第1出口弁209を有する第1出口管210が接続され、第2入口部205には、第2入口弁211を有する第2入口管212が接続され、第2出口部206には、第2出口弁213を有する第2出口管214が接続される。
【0005】
かかる濾過装置は、対象流体を処理する際には、第1入口弁207及び第1出口弁209を開け、第2入口弁211及び第2出口弁213を閉じる。これにより、第1入口管208内を流れる上流側からの対象流体が、第1入口部203を介して本体部201に流入し、濾過部202を通過したのち、第1出口部204を介して、第1出口管210内を流れて下流側へ送られる。
【0006】
また、濾過装置は、対象流体の処理を続けると、濾過部202に付着される夾雑物により濾過機能が低下する。したがって、濾過機能を復旧すべく、濾過部202に付着される夾雑物を本体部201から排出する、即ち、逆洗を行う。
【0007】
そして、逆洗を行う際には、濾過装置は、第1入口弁207及び第1出口弁209を閉じ、第2入口弁211及び第2出口弁213を開ける。これにより、第2入口管212内を流れる逆洗水は、第2入口部205を介して本体部201に流入し、対象流体が通過する方向と反対方向にて濾過部202を通過することにより、濾過部202に付着する夾雑物を濾過部202から離させ、第2出口部206を介して、夾雑物と共に第2出口管214内を流れて排出(ブロー)される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、かかる濾過装置は、例えば、大量の夾雑物を混入した対象流体が流入することにより、夾雑物が第1入口部203に滞留することがある。かかる場合、滞留した夾雑物を逆洗により排出することができないため、濾過器200を分解する必要がある。
【0009】
さらに、例えば、通常予定されているよりも大きな夾雑物が流入すると、対象流体の流量が略維持された状態で、夾雑物が第1入口部203に次第に滞留し、濾過器200の濾過機能が低下した際には、既に、夾雑物が第1入口管208の内部まで詰まっていることがある。こうなると、濾過器200を分解するだけではなく、第1入口管208を第1入口部203から取り外す等の広範囲な分解が必要となる。
【0010】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、分解することなく、対象流体を流入するために設けられる開口部に滞留した夾雑物を外部に流出することができる濾過器、及び、濾過器を分解することなく、対象流体を流入するために設けられる濾過器の開口部に滞留した夾雑物を外部に流出することができる濾過装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る濾過器は、対象流体を流入するための第1開口部と対象流体を流出するための第2開口部とを有する本体部と、本体部に収容され、通過する対象流体を濾過する濾過部とを備える濾過器において、対象流体とは別の流体を本体部の内部に流入可能に構成されると共に、別の流体を第1開口部から本体部の外部へ流出可能に構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、対象流体を第1開口部から本体部の内部に流入し、本体部の内部に収容される濾過器を通過する際に対象流体を濾過した後、対象流体を第2開口部から本体部の外部へ流出することができる。さらには、対象流体とは別の流体を本体部の内部に流入した後、別の流体を第1開口部から本体部の外部へ流出することができる。
【0013】
また、本発明に係る濾過器においては、別の流体が対象流体が通過する方向と反対方向にて濾過部を通過するような構成を採用してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、対象流体が通過される際に濾過部を通過する方向と反対方向にて、別の流体が濾過部を通過して第1開口部から本体部の外部へ流出する。したがって、濾過部に付着した夾雑物が別の流体により濾過部から離されて、別の流体と共に第1開口部から本体部の外部へ流出される。
【0015】
また、本発明に係る濾過装置は、上記濾過器と、第1開口部に接続される接続管と、接続管に対象流体を流入するための流入管と、接続管から別の流体を流出するための流出管とを備え、接続管が流入管と連通する状態と、接続管が流出管と連通する状態とに切り替え可能に構成されることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、第1開口部に接続される接続管が対象流体を流入するための流入管と連通する状態と、接続管が別の流体を流出するための流出管と連通する状態とに切り替えることができるため、対象流体が流入管及び接続管を介して第1開口部から濾過器の内部に流入する状態と、別の流体が第1開口部から接続管及び流出管を介して濾過器の外部へ流出する状態とを切り替えることができる。
【0017】
また、本発明に係る濾過装置においては、接続管には、流入管と流出管とが接続され、流入管及び流出管には、それぞれ弁が設けられてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、流入管に設けられる弁を開け、流出管に設けられる弁を閉じることにより、接続管が流入管と連通し、反対に、流出管に設けられる弁を開け、流入管に設けられる弁を閉じることにより、接続管が流出管と連通する。したがって、接続管が流入管と連通する状態と、接続管が流出管と連通する状態とに切り替えることができる
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、本発明に係る濾過器によれば、対象流体とは別の流体を本体部の内部に流入した後、別の流体を第1開口部から本体部の外部へ流出することができるため、分解することなく、対象流体を流入するために設けられる第1開口部に滞留した夾雑物を外部に流出することができるという優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明に係る濾過装置によれば、対象流体が第1開口部から濾過器の内部に流入する状態と、別の流体が第1開口部から濾過器の外部へ流出する状態とを切り替えることができるため、濾過器を分解することなく、対象流体を流入するために設けられる濾過器の第1開口部に滞留した夾雑物を外部に流出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る濾過器の全体図であって、(a)は正面図、(b)は平面図を示す。
【図2】同実施形態に係る濾過器の全体図であって、(a)は図1のA−A線における断面図、(b)は図1のB−B線における断面図を示す。
【図3】同実施形態に係る濾過器の全体図であって、(a)は図2のC−C線における断面図、(b)は図2のD−D線における断面図を示す。
【図4】同実施形態に係る濾過装置の配管図であって、要部拡大図を示す。
【図5】同実施形態に係る濾過装置の配管図であって、図4のE領域における拡大図を示す。
【図6】同実施形態に係る濾過装置の濾過処理状態における、(a)は要部拡大配管図、(b)は濾過器の図1のA−A線における全体断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る濾過装置の逆洗処理状態における、(a)は要部拡大配管図、(b)は濾過器の図1のA−A線における全体断面図を示す。
【図8】本発明に係る他の実施形態に係る濾過器の全体図であって、(a)は正面図、(b)は平面図を示す。
【図9】同実施形態に係る濾過装置の濾過処理状態及び(濾過部の)逆洗処理状態における、(a)は要部拡大配管図、(b)は濾過器の全体図で且つ図8のF−F線における断面図を示す。
【図10】同実施形態に係る濾過装置の濾過処理状態及び(濾過部の)逆洗処理状態における、濾過器の全体図であって、(a)は図8のG−G線における断面図、(b)は図8のH−H線における断面図を示す。
【図11】同実施形態に係る濾過装置の(第1開口部の)逆洗処理状態における、(a)は要部拡大配管図、(b)は濾過器の全体図で且つ図8のG−G線における断面図を示す。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る濾過装置の濾過処理状態における、(a)は要部拡大配管図、(b)は濾過器の全体断面図を示す。
【図13】同実施形態に係る濾過装置の逆洗処理状態における、(a)は要部拡大配管図、(b)は濾過器の全体断面図を示す。
【図14】本発明のさらに他の実施形態に係る濾過装置のそれぞれ要部拡大配管図を示す。
【図15】従来における濾過装置の要部拡大配管図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る濾過器及び濾過装置における第1の実施形態について、図1〜図7を参酌して説明する。
【0023】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る濾過器1は、対象流体を流入するための第1開口部2aと対象流体を流出するための第2開口部2bとを有する本体部2と、本体部2の内部に収容され、通過する対象流体を濾過する濾過部3とを備え、対象流体とは別の流体(以下、「逆洗水」ともいう)を本体部2の内部に流入可能に構成されると共に、逆洗水を第1開口部2aから本体部2の外部へ流出可能に構成される。
【0024】
具体的には、濾過器1は、逆洗水が本体部2に設けられる第3開口部2cから本体部2の内部に流入し、対象流体が濾過される際に濾過部3を通過する方向と反対方向にて、逆洗水が濾過部3を通過し、さらに、逆洗水が第1開口部2aから本体部2の外部へ流出するように構成される。
【0025】
そして、濾過器1は、濾過部3が上下方向を中心として回転可能に構成され、濾過部3を回転させるべく回転手段4を備える。また、濾過器1は、濾過部3で濾過された対象流体を、濾過されていない対象流体から隔離して第2開口部2bへ導く通路を内部に有する中空状の隔離部5を備える。さらに、濾過器1は、第3開口部2cから本体部2の内部に流入される逆洗水を濾過部3に向けて噴出させる噴出部6を備える。
【0026】
本体部2は、円柱状に形成され、濾過部3を収容すべく中空状に形成される。また、本体部2は、第1開口部2aが側面の一方側に設けられ、第2開口部2bが側面の他方側に設けられ、第3開口部2cが下面に設けられる。なお、第1開口部2a及び第2開口部2bは、略同じ大きさに形成され、第3開口部2cは、第1開口部2a及び第2開口部2bより小さく形成されている。
【0027】
濾過部3は、中空状に形成され、一部が開放されて形成される。具体的には、濾過部3は、筒状に形成され、上方が閉塞されて且つ下方が開放されて形成される。そして、濾過部3は、側面に複数の孔(図示しない)が設けられ、外から内へ向けて側面を通過する対象流体から、孔より大きい夾雑物を分離させる、即ち、対象流体を濾過するように構成される。
【0028】
また、濾過部3は、回転する際に、下端面が隔離部5の上面に押圧し且つ摺接するように構成される。これにより、対象流体が濾過部3の下端面及び隔離部5の上面間から濾過部3の内部に流入するのを防止し、濾過されていない対象流体を濾過部3の内部に流入するのを防止している。
【0029】
回転手段4は、上下方向に沿って本体部2の内部から外部に亘って延設され、濾過部3に固定される回転軸4aと、回転軸4aにおける本体部2の外部に配置される端部に固定されるハンドル4bとを備える。これにより、ハンドル4bを介して、回転軸4aが回転することにより、濾過部3が回転するように構成されている。
【0030】
隔離部5は、円柱状で且つ中空状に形成され、上面に設けられる開口5aにより内部が濾過部3の内部と連通すると共に、側面に設けられる開口5bにより内部が第2開口部2bと連通するように形成される。また、隔離部5は、上面が濾過部3の下端面より大きく形成される。
【0031】
噴出部6は、濾過部3の側面の外側に付着(係止)された夾雑物を濾過部3から離させるべく、濾過部3の側面と対向するように上下方向に沿って延設され、逆洗水を噴出するための噴出口6a,…が上下方向に亘って複数設けられている。
【0032】
そして、噴出部6は、濾過部3と干渉しない程度に近傍に設置され、逆洗水が夾雑物を付勢するまでに損失する圧力を小さくしている。また、噴出部6は、本体部2に対して固定され、濾過部3が回転することにより、濾過部3の側面を全周に亘って逆洗することができる。
【0033】
また、図4及び図5に示すように、本実施形態に係る濾過器1は、タービン(図示しない)から排気される蒸気を冷却する復水器(図示しない)に、冷却水としての海水を供給するための濾過装置100に採用されている。なお、本実施形態に係る濾過器1及び濾過装置100においては、対象流体が海水である。
【0034】
濾過装置100は、復水器に対象流体(以下、「海水」ともいう)を送るための第1ポンプ101と、第1ポンプ101から送られる海水の一部を分岐する分岐部102と、分岐された海水を濾過処理する濾過器1と、濾過器1で濾過された海水を軸受用潤滑水として第1ポンプ101に送るための第2ポンプ103とを備える。
【0035】
また、濾過装置100は、第1ポンプ101に送られる軸受用潤滑水の流量を検知する流量検知手段(流量センサ)104と、流量検知手段104により所定量以上の流量が検知されない場合に開放される補給水弁105とを備え、補給水弁105が開放されると、補給水として上水が軸受用潤滑水として第1ポンプ101に供給される。
【0036】
したがって、濾過装置100は、通常は、濾過器1で濾過した海水を、第2ポンプ103を介して第1ポンプ101に供給するが、濾過器1のトラブル等にて第1ポンプ101へ送る海水の流量が不足した場合には、上水を第1ポンプ101に供給することになる。また、補給水としての上水は、逆洗水(対象流体とは別の流体)としても濾過器1に供給されている。
【0037】
また、濾過装置100は、濾過器1と、第1開口部2aに接続される接続管(本発明に係る接続管であって、以下、「第1接続管」ともいう)106と、第1接続管106に海水を流入するための流入管107と、第1接続管106から逆洗水を流出するための流出管108とを備え、第1接続管106が流入管107と連通する状態と、第1接続管106が流出管108と連通する状態とに切り替え可能に構成される。
【0038】
具体的には、濾過装置100は、濾過器1の第1開口部2aには、第1接続管106の一端部が接続され、第1接続管106の他端部には、流入管107と流出管108とが接続され、流入管107及び流出管108には、それぞれ弁(以下、それぞれ「流入管弁」、「流出管弁」ともいう)109,110が設けられる。
【0039】
そして、濾過装置100は、第2開口部2bには、下流側に海水を流出するための第2接続管111が接続され、第3開口部2cには、逆洗水を流入するための第3接続管112が接続され、第2接続管111及び第3接続管112には、それぞれ弁(以下、それぞれ「第2接続管弁」、「第3接続管弁」ともいう)113,114が設けられる。なお、濾過装置100は、濾過器1、各管106,107,108,111,112、各弁109,110,113,114が一対並設されている。
【0040】
本実施形態に係る濾過器1及び濾過装置100の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る濾過器1及び濾過装置100の作用について図6〜図7を参酌して説明する。
【0041】
まず、海水を濾過処理する際には、図6(a)に示すように、流入管弁109及び第2接続管弁113を開けて、流出管弁108及び第3接続管弁114を閉じる。これにより、上流側から送られてきた海水が流入管107及び第1接続管106を介して、第1開口部2aから濾過器1の内部に流入し、濾過器1の内部で濾過処理された後、第2開口部2bより濾過器1の外部へ流出し、第2接続管111を介して、下流側に送られる(図6(a)における実線の流路)。
【0042】
ここで、濾過器1の内部においては、図6(b)に示すように、第1開口部2aから流入した海水は、側面から濾過部3の内部に流入する。このとき、濾過部3の側面に設けられる孔より大きい夾雑物は、濾過部3の側面に付着(係止)されることにより海水から分離される。そして、濾過部3にて濾過処理された海水は、隔離部5の上面に設けられる開口5aから隔離部5の内部に流入し、その後、隔離部5の側面に設けられる開口5bから流出し、第2開口部2bから外部に流出する。なお、図6(b)における点線は、海水の流路を示している。
【0043】
次に、夾雑物を排出する(逆洗処理)する際には、図7(a)に示すように、流出管弁110及び第3接続管弁114を開けて、流入管弁109及び第2接続管弁113を閉じる。これにより、逆洗水が第3接続管112を介して、第3開口部2cから濾過器1の内部に流入し、濾過器1の内部で逆洗処理された後、第1開口部2aより濾過器1の外部へ流出し、第1接続管106及び流出管108を介して、排出(ブロー)される(図7(a)における実線の流路)。
【0044】
ここで、濾過器1の内部においては、図7(b)に示すように、第3開口部2cから流入した逆洗水は、噴出部6の噴出口6a,…から濾過部3の側面に向けて噴出される。このとき、濾過部3の側面に付着(係止)される夾雑物が逆洗水に付勢されるため、夾雑物が濾過部3の側面から離れる。そして、逆洗水は、夾雑物と共に、第1開口部2aから外部に流出する。このとき、濾過部3が回転手段4により回転しているため(図7(b)における実線の矢印方向)、濾過部3の全周に亘って付着(係止)される夾雑物が外部に流出する。なお、図7(b)における一点鎖線は、逆洗水の流路を示している。
【0045】
以上より、本実施形態に係る濾過器1は、逆洗水を本体部2の内部に流入した後、逆洗水を第1開口部2aから本体部2の外部へ流出することができるため、分解されることなく、海水を流入するために設けられる第1開口部2aに滞留した夾雑物を外部に流出することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る濾過器1は、海水が通過される際に濾過部3を通過する方向と反対方向にて、逆洗水が濾過部3を通過して、第1開口部2aから本体部2の外部へ流出するため、濾過部3に付着した夾雑物が逆洗水により濾過部3から離されて、逆洗水と共に第1開口部2aから本体部2の外部へ流出することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る濾過装置100は、流入管107に設けられる流入管弁109を開け、流出管108に設けられる流出管弁110を閉じることにより、流入管107及び第1接続管106により、海水が第1開口部2aから濾過器1の内部に流入することができると共に、流出管弁110を開け、流入管弁109を閉じることにより、第1接続管106及び流出管108により、逆洗水が第1開口部2aから濾過器1の外部へ流出することができる。
【0048】
したがって、海水が第1開口部2aから濾過器1の内部に流入する状態と、逆洗水が第1開口部2aから濾過器1の外部へ流出する状態とを切り替えることができるため、濾過器1を分解することなく、海水を流入するために設けられる濾過器1の第1開口部2aに滞留した夾雑物を外部に流出することができる。
【0049】
次に、本発明に係る濾過器及び濾過装置における第2の実施形態について、図8〜図11を参酌して説明する。なお、第1実施形態に係る濾過器1は、逆洗水が濾過部3を通過した後に第1開口部2aから流出する構成であるのに対して、第2実施形態に係る濾過器は、逆洗水が濾過部を通過することなく第1開口部から流出する構成である。
【0050】
図8〜図11に示すように、本実施形態に係る濾過器11は、本体部12の内部に収容され、通過する対象流体を濾過する濾過部13を備え、本体部12は、対象流体を流入するための第1開口部12aと、対象流体を流出するための第2開口部12bと、対象流体とは別の流体(以下、「第1逆洗水」という)を流入するための第3開口部12cと、対象流体とはさらに別の流体(以下、「第2逆洗水」という)を流入するための第4開口部12dと、第2逆洗水を流出するための第5開口部12eとを備え、第1逆洗水を第1開口部12aから本体部12の外部へ流出可能に構成される。
【0051】
そして、濾過器11は、第1実施形態の濾過器1における濾過部3、回転手段4、及び隔離部5と略同様に、上下方向を中心として回転可能に構成される濾過部13を回転させるべく回転手段14を備え、さらに、濾過部13で濾過された対象流体を、濾過されていない対象流体から隔離して第2開口部12bへ導く通路を内部に有する中空状の隔離部15を備える。
【0052】
また、濾過器11は、第3開口部12cから本体部12の内部に流入される第1逆洗水を第1開口部12aに向けて噴出させる第1噴出部16と、第4開口部12dから本体部12の内部に流入される第2逆洗水を濾過部13に向けて噴出させる第2噴出部17と、第2逆洗水と第2逆洗水により濾過部13から離される夾雑物とを第5開口部12eへ案内する案内部18とを備える。
【0053】
第1噴出部16には、第1逆洗水を噴出する噴出口16aが第1開口部12aより小さく形成される。そして、第1噴出部16は、噴出口16aが略円形状に形成され、噴出口16aは、略円形状に形成される第1開口部12aと略同心となるように配置される。また、第1噴出部16には、第1逆洗水を噴出する際に噴出口16aを開放し、第1逆洗水を噴出しない際に噴出口16aを閉塞する蓋状の弁体16bが設けられている。
【0054】
第2噴出部17は、第1実施形態の濾過器1における噴出部16と略同様に、濾過部13の側面と対向するように上下方向に沿って延設されると共に、濾過部13と干渉しない程度に近傍に配置され、さらに、逆洗水を噴出するための噴出口17a,…が上下方向に亘って複数設けられている。
【0055】
案内部18は、第5開口部12eから濾過部13の側面に向けて筒状に延設される。そして、案内部18は、対象流体が濾過部13にて濾過されるのと同時に、第2逆洗水で濾過部13を逆洗するのを可能にすべく、濾過部13側の開口端部18aが濾過部13と干渉しない程度に近傍に配置される。また、案内部18は、濾過部13側の開口端部18aが第2噴出部17、より具体的には、噴出口17a,…と対向するように上下方向に沿って延設されている。
【0056】
また、上記濾過器11を備える濾過装置120においては、第1開口部12aには、第1接続管(本発明に係る「接続管」)121の一端部が接続され、第1接続管121の他端部には、対象流体を流入するための流入管122と、第1逆洗水を流出するための流出管123とが接続され、流入管122には、流入管弁124が設けられ、流出管123には、流出管弁125が設けられる。
【0057】
そして、濾過装置120においては、第2開口部12bには、下流側に対象流体を流出するための第2接続管126が接続され、第3開口部12cには、第1逆洗水を流入するための第3接続管127が接続され、第2接続管126には、第2接続管弁128が設けられ、第3接続管127には、第3接続管弁129が設けられる。
【0058】
さらに、濾過装置120においては、第4開口部12dには、第2逆洗水を流入するための第4接続管130が接続され、第5開口部12eには、第2逆洗水を流出するための第5接続管131が接続され、第4接続管130には、第4接続管弁132が設けられ、第5接続管131には、第5接続管弁133が設けられる。
【0059】
本実施形態に係る濾過器11及び濾過装置120の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る濾過器11及び濾過装置120の作用について説明する。
【0060】
まず、対象流体を濾過処理すると共に濾過器13を逆洗処理する際には、図9(a)に示すように、流入管弁124、第2接続管弁128、第4接続管弁132、及び第5接続管弁133を開けて、流出管弁125及び第3接続管弁129を閉じる。
【0061】
これにより、上流側から送られてきた対象流体が流入管122及び第1接続管121を介して、第1開口部12aから濾過器11の内部に流入し、濾過部13にて濾過された後、第2開口部12bより濾過器11の外部へ流出し、第2接続管126を介して、下流側に送られると共に、さらに、第2逆洗水が第4接続管130を介して、第4開口部12dから濾過器11の内部に流入し、濾過部13を逆洗した後、案内部18を介して第5開口部12eより濾過器11の外部へ流出し、第5接続管弁133を介して、排出(ブロー)される(図9(a)における実線の流路)。
【0062】
ここで、濾過器11の内部においては、図9(b)及び図10に示すように、第1開口部12aから流入した対象流体は、濾過部13を通過する際に濾過(混入する夾雑物が分離)され、隔離部15を介して第2開口部12bから外部に流出する。なお、図9(b)及び図10における点線は、対象流体の流路を示している。
【0063】
また、それと同時に、図9(b)及び図10(b)に示すように、第4開口部12dから流入した第2逆洗水は、第2噴出部17の噴出口17a,…から濾過部13の側面に向けて噴出され、濾過部3の側面から離される夾雑物と共に、案内部18を介して、第5開口部12eから外部に流出する。このとき、濾過部13が回転手段14により回転している(図9(b)及び図10における実線の矢印方向)ため、濾過部13の全周に亘って逆洗処理を行うことができる。なお、図9(b)及び図10(b)における一点鎖線は、第2逆洗水の流路を示している。
【0064】
次に、第1開口部12aの逆洗処理する際には、図11(a)に示すように、流入管弁124、第2接続管弁128、第4接続管弁132、及び第5接続管弁133を閉じて、流出管弁125及び第3接続管弁129を開ける。これにより、第1逆洗水が第3接続管127を介して、第3開口部12cから濾過器11の内部に流入した後、第1開口部12aより濾過器11の外部へ流出し、第1接続管121及び流出管123を介して、排出(ブロー)される(図11(a)における実線の流路)。
【0065】
ここで、濾過器11の内部においては、図11(b)に示すように、第3開口部12cから流入した第1逆洗水は、噴出部16の噴出口16aから第1開口部12aに向けて噴出される。このとき、噴出口16aを閉塞していた弁体16bは、第1逆洗水に付勢されることにより回動して噴出口16aを開放する。そして、第1逆洗水は、例えば、第1開口部12aに滞留する夾雑物と共に、第1開口部12aから外部に流出する。なお、図11(b)における一点鎖線は、第1逆洗水の流路を示している。
【0066】
以上より、本実施形態に係る濾過器11は、第1逆洗水を第3開口部12cから本体部12の内部に流入した後、第1開口部12aから本体部12の外部へ流出することができるため、分解されることなく、対象流体を流入するために設けられる第1開口部12aに滞留した夾雑物を外部に流出することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る濾過器11は、第1開口部12aに向けて第1逆洗水を噴出する第1噴出部16とは別に、第4開口部12dを介して流入した第2逆洗水を濾過部13に向けて噴出する第2噴出部17と、噴出された第2逆洗水を夾雑物と共に第1開口部12aに案内する案内部18とを備えるため、対象流体を濾過処理すると同時に、濾過部13の逆洗処理を行うことができる。したがって、濾過部13において目詰まり等が発生しないため、連続して対象流体を濾過することができる。
【0068】
なお、本発明に係る濾過器及び濾過装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0069】
例えば、上記実施形態に係る濾過器1,11においては、第3開口部2c,12cから逆洗水を流入する場合を説明したが、かかる場合に限られず、第2開口部から逆洗水を流入する場合でもよい。即ち、逆洗水を流入するための開口部、即ち、第2開口部の他に新たな開口部を設けるのは、必須の構成ではない。
【0070】
例えば、図12及び図13に示すように、濾過器21は、対象流体を流入するための第1開口部22aと対象流体を流出するための第2開口部22bとを有する本体部22と、本体部22の内部に収容され、通過する対象流体を濾過する濾過部23とを備え、逆洗水を第2開口部22bから本体部22の内部に流入可能に構成されると共に、逆洗水を第1開口部22aから本体部22の外部へ流出可能に構成されてもよい。
【0071】
また、かかる濾過器21を備える濾過装置140においては、第1開口部22aには、第1接続管141の一端部が接続され、第1接続管141の他端部には、上流側から対象流体を流入するための第1流入管142と、逆洗水を流出するための第1流出管143とが接続され、第1流入管142には、第1流入管弁144が設けられ、第1流出管143には、第1流出管弁145が設けられる。
【0072】
さらに、濾過装置140は、第2開口部22bには、第2接続管146の一端部が接続され、第2接続管146の他端部には、対象流体を下流側へ流出するための第2流出管147と、逆洗水を流入するための第2流入管148とが接続され、第2流出管147には、第2流出管弁149が設けられ、第2流入管148には、第2流入管弁150が設けられる。
【0073】
そして、濾過装置140は、対象流体を濾過処理する際には、図12に示すように、第1流入管弁144及び第2流出管弁149を開け、第1流出管弁145及び第2流入管弁150を閉じ(図12(a)における実線の流路)、逆洗水にて逆洗処理する際には、図13に示すように、第1流入管弁144及び第2流出管弁149を閉じ、第1流出管弁145及び第2流入管弁150を開ける(図13(a)における実線の流路)。なお、図12(b)における点線は、対象流体の流路を示し、図13(b)における一点鎖線は、逆洗水の流路を示す。
【0074】
また、上記実施形態に係る濾過装置100,120においては、(第1)接続管106,121に接続される、流入管107,122及び流出管108,123にそれぞれ弁109,110,124,125が設けられる場合を説明したが、かかる場合に限られない。
【0075】
例えば、図14(a)に示すように、濾過器30の第1開口部30aに接続管151の一端部が接続され、接続管151の他端部には、三方弁152を介して、対象流体を上流側から流入するための流入管153と、逆洗水を排出するための流出管154とが接続される場合でもよい。
【0076】
かかる構成によれば、接続管151が流入管153と連通する状態と、接続管151が流出管154と連通する状態とを、三方弁152により切り替えることができる。したがって、流入管153及び流出管154にそれぞれ別個の弁を設ける必要がなく、弁操作のミスや、逆洗できない溜まり部の存在を解消できる。
【0077】
さらに、例えば、接続管と流入管との間、又は、接続管と流出管との間を一つのフレキシブル管による接続で切り替える場合でもよい。即ち、流入管及び流出管のうち、フレキブル管に接続される一方は、接続管と連通し、フレキシブル管に接続されない他方は、開放される。要するに、濾過装置は、対象流体が第1開口部から濾過器の内部に流入する状態と、別の流体が第1開口部から濾過器の外部へ流出する状態とを切り替え可能に構成されていればよい。
【0078】
また、上記第1実施形態に係る濾過器1及び濾過装置100においては、対象流体が海水であり、対象流体とは別の流体、即ち、逆洗水が上水である場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、対象流体は、海水以外の液体の場合でもよく、さらには、気体、固体、それらの二つ又は三つの混合体である場合でもよい。また、対象流体とは別の流体は、逆洗水(上水)以外の液体の場合でもよく、さらには、気体、固体、それらの二つ又は三つの混合体である場合でもよい。
【0079】
また、本発明に係る濾過器は、回転可能な濾過部が自動で回転可能に構成されてもよい。例えば、第1実施形態において、ハンドル4bに替えて駆動手段(モータ)が設けられることにより、回転軸4aを介して、濾過部3が自動で回転可能に構成されてもよい。
【0080】
また、本発明に係る濾過装置は、各バルブの操作を自動に切り替え可能に構成されてもよい。例えば、図14(b)に示すように、濾過装置155は、第1実施形態に係る濾過器1,1を並設し、各濾過器1における、対象流体の入口部(第1開口部)2a及び出口部(第2開口部)2b間の圧力差を検出し、対象流体の濾過処理や濾過器1の逆洗処理を制御可能に構成されてもよい。
【0081】
かかる濾過装置は、例えば、濾過器1の第1開口部2aの圧力を検知する第1圧力センサ156と、濾過器1の第2開口部2bの圧力を検知する第2圧力センサ157と、第1圧力センサ156及び第2圧力センサ157で検知する圧力値により、各電動弁(採番しない)の開閉操作を制御する制御部(図示しない)とを備えてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…濾過器、2…本体部、2a…第1開口部、2b…第2開口部、3…濾過部、100…濾過装置、106…(第1)接続管、107…流入管、108…流出管、109…(流入管)弁、110…(流出管)弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象流体を流入するための第1開口部と対象流体を流出するための第2開口部とを有する本体部と、本体部に収容され、通過する対象流体を濾過する濾過部とを備える濾過器において、
対象流体とは別の流体を本体部の内部に流入可能に構成されると共に、別の流体を第1開口部から本体部の外部へ流出可能に構成されることを特徴とする濾過器。
【請求項2】
別の流体が対象流体が通過する方向と反対方向にて濾過部を通過するように構成される請求項1に記載の濾過器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の濾過器と、第1開口部に接続される接続管と、接続管に対象流体を流入するための流入管と、接続管から別の流体を流出するための流出管とを備え、接続管が流入管と連通する状態と、接続管が流出管と連通する状態とに切り替え可能に構成されることを特徴とする濾過装置。
【請求項4】
接続管には、流入管と流出管とが接続され、流入管及び流出管には、それぞれ弁が設けられる請求項3に記載の濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−230094(P2011−230094A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105250(P2010−105250)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)