火災検知通報装置
【課題】 室内配線を設けずに簡単に何処にでも取付けられ、設置費用が安価な火災検知通報装置を提供するものである。
【解決手段】 ケース2の底面にシリンダー3を下方に向かって突出させ、このシリンダー3の内部に揮発性の液体4を封入し、シリンダー3内にピストン7を上下動自在に取付け、前記ケース2内に、電池12で作動する電波または赤外線発信機11を取付け、この発信機11のスイッチ13を前記ピストン7の先端近傍に配置したワイヤレス火災検知発信装置1と、この発信機11から離れた所に設置され、発信機11から発信された電波または赤外線を受信して、警報ベル23を作動させると共に、緊急連絡先に自動通報する自動通報装置25を設けた連絡装置20とからなることを特徴とするものである。
【解決手段】 ケース2の底面にシリンダー3を下方に向かって突出させ、このシリンダー3の内部に揮発性の液体4を封入し、シリンダー3内にピストン7を上下動自在に取付け、前記ケース2内に、電池12で作動する電波または赤外線発信機11を取付け、この発信機11のスイッチ13を前記ピストン7の先端近傍に配置したワイヤレス火災検知発信装置1と、この発信機11から離れた所に設置され、発信機11から発信された電波または赤外線を受信して、警報ベル23を作動させると共に、緊急連絡先に自動通報する自動通報装置25を設けた連絡装置20とからなることを特徴とするものである。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は火災を自動的に検知して、警報や通報を行なう火災検知通報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ホテルや旅館、オフィスビルなどには火災検知装置が取付けられ、火災が発生して室内の温度が上昇すると、この温度を検知して、自動的に警報が作動し火災の発生を知らせる装置が取付けられている。しかしながらこれらの火災検知装置は、各室内に検知器を取付け、これを管理室まで接続しているため配線作業が面倒で、設置費用が高く、特に既存の建物に新たに配線する場合には面倒であった。
【0003】
一方、寝たきりの老人や、痴呆症の老人がいる家では、火災が発生してもこれを外部の人に通報することが難しい場合がある。また無人の倉庫や車庫などに取り付ける場合も、従来の装置では長い室内配線を設置しなければならず設置費用が高くなる問題があった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上記欠点を除去し、室内配線を設けずに簡単に何処にでも取付けられ、設置費用が安価な火災検知通報装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案の火災検知通報装置は、ケースの底面にシリンダーを下方に向かって突出させ、このシリンダーの内部に揮発性の液体を封入し、シリンダー内にピストンを上下動自在に取付け、前記ケース内に、電池で作動する電波または赤外線発信機を取付け、この発信機のスイッチを前記ピストンの近傍に配置したワイヤレス火災検知発信装置と、この発信機から離れた所に設置され、発信機から発信された電波または赤外線を受信して、警報機を作動または緊急連絡先に自動通報する連絡装置とからなることを特徴とするものである。
【0006】
【考案の実施の形態】
以下本考案の実施の一形態を図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図1はワイヤレス火災検知発信装置1を示すもので、これは透明なケース2の底面にプラスチックで成形されたシリンダー3を下方に向かって突出させ、このシリンダー3の内部にエタノールなどの揮発性の液体4と食用油などの潤滑性のある油5が封入されている。またシリンダー3の底部には金属棒6が貫通して揮発性の液体4に接触している。更にシリンダー3内には、ピストン7が上下動自在に取付けられている。
【0007】
また前記ケース2内の中間には取付板8が設けられ、ここにワイヤレス発信装置9が横方向に取付けられている。このワイヤレス発信装置9は、ケース10の内部に電波や赤外線による発信機11と、この電源となる電池12、および電源をオンするスイッチ13がケース10の底面に取付けられ、このスイッチ13の下方に近接して前記ピストン7の先端が位置するように取付けられている。なお図2において14はケース2の全面に取付けた蓋で、シリンダー3を交換する場合に開閉するようになっている。15はケース2の背面に取付けた吸盤、16はケース2の上面に取付けたフックである。
【0008】
また図3は連絡装置20で、ワイヤレス火災検知発信装置1から離れた所に設置され、発信機11から発信された電波や赤外線をアンテナ21から受信機22で受信して、警報ベル23を鳴らすスイッチ24を作動させると共に、自動通報装置25により消防署に自動的に電話回線で通報するようになっている。警報ベル23は、玄関先など建物の外壁に取付けると良い。なお発信機11から発信された電波は周囲10数mまで届き、また赤外線は障害物のない場合には発信機11と受信機22を離れた所に対向して設置すれば良い。
【0009】
この構造のワイヤレス火災検知発信装置1は、台所や居間、寝室など任意の部屋にフック16や吸盤15で取付け、連絡装置20を電話機28の近くに設置する。火災が発生して室内の温度が上昇すると、シリンダー3内に封入したエタノールなどの揮発性の液体4が加熱される。またシリンダー3から露出した金属棒6は熱伝導性が良いので周囲の温度を効率よく伝達して揮発性の液体4を速やかに加熱する。揮発性の液体4が加熱されると蒸発してシリンダー内圧が上昇し、この結果、ピストン7が押し上げられる。例えば、作動温度を50℃に設定しておくと、1〜2分でピストン7が2cm程度上昇し、ワイヤレス発信装置9の底面に設けたスイッチ13を押す。
【0010】
スイッチ13がオンすると、発信機11が作動し、図3に示すように電波29が発信され、これを連絡装置20のアンテナ21を通して受信機22が受信し、スイッチ24をオンして、玄関先などに取付けた警報ベル23が作動し、近所の人に火災が発生したことを知らせ、寝たきりの老人や、痴呆症の老人を助け出すと共に、初期の消火により大きな火災に広がらない内に消し止める。一方、受信機22が信号を受信すると、自動通報装置25が作動し、電話回線を通して消防署などの緊急連絡先に自動通報され、消防車が出動するうようになっている。
【0011】
なお、シリンダー3内に封入した潤滑性の油5は、ピストン7の摺動を滑らかにすると共に、長期間に亘って揮発性の液体4の蒸発を防止する作用もなすものである。またシリンダー3を透明又は半透明のプラスチックで形成すれば、内部に封入した揮発性の液体4の残量が外から確認でき、規定量より少なくなった場合にはケース2の蓋14を開けて、揮発性の液体4を封入したシリンダー3とピストン7が組合わされたカートリッジを交換すれば良い。なお揮発性の液体4がなくなっても油5が残留しているかぎり、作動温度は高くなるが油5が高温に加熱されると蒸発してピストン7を押し上げ、スイッチ13をオンすることができる。
【0012】
また上記説明では、シリンダー3としてプラスチック製の注射器を利用した場合について示したが、これは熱伝導性が低いので図4に示すようにシリンダー3の外側に金属円筒30を取付けて、外部の温度が揮発性の液体4に伝わり易くした構造やシリンダー3自体を金属円筒体で形成した構造でも良い。また上記説明では、警報ベル23と緊急連絡先への自動通報装置25を同時に設けた場合について示したが何れか一方を取付けた構造でも良い。
【0013】
【考案の効果】
以上説明した如く本考案に係る火災検知通報装置によれば、シリンダーの内部に封入した揮発性の液体の蒸発による内圧上昇によってピストンを上昇させ、電池で作動する電波または赤外線発信機を作動させて、離れた所に設置された連絡装置で、電波や赤外線をワイヤレスで受信して、警報機を作動させたり緊急連絡先に自動通報するようになっているので、屋内配線が不要で、任意の部屋に簡単に取付けることができ装置が安価で、寝たきりの老人や、痴呆症の老人がいる家、あるいは倉庫や車庫などの火災検知に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の一形態によるワイヤレス火災検知発信装置の断面図である。
【図2】図1に示すワイヤレス火災検知発信装置の側面図である。
【図3】図1に示すワイヤレス火災検知発信装置と連絡装置を示す説明図である。
【図4】本考案の他の実施の形態によるワイヤレス火災検知発信装置の断面図である。
【符合の説明】
1 ワイヤレス火災検知発信装置
2 ケース
3 シリンダー
4 揮発性の液体
5 潤滑性の油
6 金属棒
7 ピストン
8 取付板
9 ワイヤレス発信装置
11 発信機
12 電池
13 スイッチ
15 吸盤
20 連絡装置
21 アンテナ
22 受信機
23 警報ベル
24 スイッチ
25 自動通報装置
28 電話機
29 電波
30 金属円筒
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は火災を自動的に検知して、警報や通報を行なう火災検知通報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ホテルや旅館、オフィスビルなどには火災検知装置が取付けられ、火災が発生して室内の温度が上昇すると、この温度を検知して、自動的に警報が作動し火災の発生を知らせる装置が取付けられている。しかしながらこれらの火災検知装置は、各室内に検知器を取付け、これを管理室まで接続しているため配線作業が面倒で、設置費用が高く、特に既存の建物に新たに配線する場合には面倒であった。
【0003】
一方、寝たきりの老人や、痴呆症の老人がいる家では、火災が発生してもこれを外部の人に通報することが難しい場合がある。また無人の倉庫や車庫などに取り付ける場合も、従来の装置では長い室内配線を設置しなければならず設置費用が高くなる問題があった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上記欠点を除去し、室内配線を設けずに簡単に何処にでも取付けられ、設置費用が安価な火災検知通報装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案の火災検知通報装置は、ケースの底面にシリンダーを下方に向かって突出させ、このシリンダーの内部に揮発性の液体を封入し、シリンダー内にピストンを上下動自在に取付け、前記ケース内に、電池で作動する電波または赤外線発信機を取付け、この発信機のスイッチを前記ピストンの近傍に配置したワイヤレス火災検知発信装置と、この発信機から離れた所に設置され、発信機から発信された電波または赤外線を受信して、警報機を作動または緊急連絡先に自動通報する連絡装置とからなることを特徴とするものである。
【0006】
【考案の実施の形態】
以下本考案の実施の一形態を図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図1はワイヤレス火災検知発信装置1を示すもので、これは透明なケース2の底面にプラスチックで成形されたシリンダー3を下方に向かって突出させ、このシリンダー3の内部にエタノールなどの揮発性の液体4と食用油などの潤滑性のある油5が封入されている。またシリンダー3の底部には金属棒6が貫通して揮発性の液体4に接触している。更にシリンダー3内には、ピストン7が上下動自在に取付けられている。
【0007】
また前記ケース2内の中間には取付板8が設けられ、ここにワイヤレス発信装置9が横方向に取付けられている。このワイヤレス発信装置9は、ケース10の内部に電波や赤外線による発信機11と、この電源となる電池12、および電源をオンするスイッチ13がケース10の底面に取付けられ、このスイッチ13の下方に近接して前記ピストン7の先端が位置するように取付けられている。なお図2において14はケース2の全面に取付けた蓋で、シリンダー3を交換する場合に開閉するようになっている。15はケース2の背面に取付けた吸盤、16はケース2の上面に取付けたフックである。
【0008】
また図3は連絡装置20で、ワイヤレス火災検知発信装置1から離れた所に設置され、発信機11から発信された電波や赤外線をアンテナ21から受信機22で受信して、警報ベル23を鳴らすスイッチ24を作動させると共に、自動通報装置25により消防署に自動的に電話回線で通報するようになっている。警報ベル23は、玄関先など建物の外壁に取付けると良い。なお発信機11から発信された電波は周囲10数mまで届き、また赤外線は障害物のない場合には発信機11と受信機22を離れた所に対向して設置すれば良い。
【0009】
この構造のワイヤレス火災検知発信装置1は、台所や居間、寝室など任意の部屋にフック16や吸盤15で取付け、連絡装置20を電話機28の近くに設置する。火災が発生して室内の温度が上昇すると、シリンダー3内に封入したエタノールなどの揮発性の液体4が加熱される。またシリンダー3から露出した金属棒6は熱伝導性が良いので周囲の温度を効率よく伝達して揮発性の液体4を速やかに加熱する。揮発性の液体4が加熱されると蒸発してシリンダー内圧が上昇し、この結果、ピストン7が押し上げられる。例えば、作動温度を50℃に設定しておくと、1〜2分でピストン7が2cm程度上昇し、ワイヤレス発信装置9の底面に設けたスイッチ13を押す。
【0010】
スイッチ13がオンすると、発信機11が作動し、図3に示すように電波29が発信され、これを連絡装置20のアンテナ21を通して受信機22が受信し、スイッチ24をオンして、玄関先などに取付けた警報ベル23が作動し、近所の人に火災が発生したことを知らせ、寝たきりの老人や、痴呆症の老人を助け出すと共に、初期の消火により大きな火災に広がらない内に消し止める。一方、受信機22が信号を受信すると、自動通報装置25が作動し、電話回線を通して消防署などの緊急連絡先に自動通報され、消防車が出動するうようになっている。
【0011】
なお、シリンダー3内に封入した潤滑性の油5は、ピストン7の摺動を滑らかにすると共に、長期間に亘って揮発性の液体4の蒸発を防止する作用もなすものである。またシリンダー3を透明又は半透明のプラスチックで形成すれば、内部に封入した揮発性の液体4の残量が外から確認でき、規定量より少なくなった場合にはケース2の蓋14を開けて、揮発性の液体4を封入したシリンダー3とピストン7が組合わされたカートリッジを交換すれば良い。なお揮発性の液体4がなくなっても油5が残留しているかぎり、作動温度は高くなるが油5が高温に加熱されると蒸発してピストン7を押し上げ、スイッチ13をオンすることができる。
【0012】
また上記説明では、シリンダー3としてプラスチック製の注射器を利用した場合について示したが、これは熱伝導性が低いので図4に示すようにシリンダー3の外側に金属円筒30を取付けて、外部の温度が揮発性の液体4に伝わり易くした構造やシリンダー3自体を金属円筒体で形成した構造でも良い。また上記説明では、警報ベル23と緊急連絡先への自動通報装置25を同時に設けた場合について示したが何れか一方を取付けた構造でも良い。
【0013】
【考案の効果】
以上説明した如く本考案に係る火災検知通報装置によれば、シリンダーの内部に封入した揮発性の液体の蒸発による内圧上昇によってピストンを上昇させ、電池で作動する電波または赤外線発信機を作動させて、離れた所に設置された連絡装置で、電波や赤外線をワイヤレスで受信して、警報機を作動させたり緊急連絡先に自動通報するようになっているので、屋内配線が不要で、任意の部屋に簡単に取付けることができ装置が安価で、寝たきりの老人や、痴呆症の老人がいる家、あるいは倉庫や車庫などの火災検知に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の一形態によるワイヤレス火災検知発信装置の断面図である。
【図2】図1に示すワイヤレス火災検知発信装置の側面図である。
【図3】図1に示すワイヤレス火災検知発信装置と連絡装置を示す説明図である。
【図4】本考案の他の実施の形態によるワイヤレス火災検知発信装置の断面図である。
【符合の説明】
1 ワイヤレス火災検知発信装置
2 ケース
3 シリンダー
4 揮発性の液体
5 潤滑性の油
6 金属棒
7 ピストン
8 取付板
9 ワイヤレス発信装置
11 発信機
12 電池
13 スイッチ
15 吸盤
20 連絡装置
21 アンテナ
22 受信機
23 警報ベル
24 スイッチ
25 自動通報装置
28 電話機
29 電波
30 金属円筒
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ケースの底面にシリンダーを下方に向かって突出させ、このシリンダーの内部に揮発性の液体を封入し、シリンダー内にピストンを上下動自在に取付け、前記ケース内に、電池で作動する電波または赤外線発信機を取付け、この発信機のスイッチを前記ピストンの近傍に配置したワイヤレス火災検知発信装置と、この発信機から離れた所に設置され、発信機から発信された電波または赤外線を受信して、警報機を作動または緊急連絡先に自動通報する連絡装置とからなることを特徴とする火災検知通報装置。
【請求項1】 ケースの底面にシリンダーを下方に向かって突出させ、このシリンダーの内部に揮発性の液体を封入し、シリンダー内にピストンを上下動自在に取付け、前記ケース内に、電池で作動する電波または赤外線発信機を取付け、この発信機のスイッチを前記ピストンの近傍に配置したワイヤレス火災検知発信装置と、この発信機から離れた所に設置され、発信機から発信された電波または赤外線を受信して、警報機を作動または緊急連絡先に自動通報する連絡装置とからなることを特徴とする火災検知通報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【登録番号】第3034502号
【登録日】平成8年(1996)11月27日
【発行日】平成9年(1997)2月25日
【考案の名称】火災検知通報装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−8656
【出願日】平成8年(1996)8月8日
【出願人】(594082763)
【出願人】(594082752)
【登録日】平成8年(1996)11月27日
【発行日】平成9年(1997)2月25日
【考案の名称】火災検知通報装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願平8−8656
【出願日】平成8年(1996)8月8日
【出願人】(594082763)
【出願人】(594082752)
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