説明

火炎抑制装置

【課題】室内、その他の密閉空間内の火炎を抑制できる携帯型消火装置(10)。
【解決手段】パイロテク組成物(14)とディレーフューズ(18)とを収容したハウジング(12)を有する。パイロテク組成物(14)が燃焼して生じる燃焼副生成物は、微粒子のエーロゾルとして分散する無機ハロゲン化合物または迅速に微粒子のエーロゾルに凝縮するガスを含む。この粒径は極めて小さく、粒子の自由落下速度は室内の空気の平均気流より遅い。従って、この火炎抑制エーロゾルは数時間浮いたままで、火炎抑制剤の役目をする。持続性するので隠れた火炎も探して抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は火炎抑制装置、特に、手で持って操作できる携帯型の火炎抑制装置に関するものである。
本願は2006年1月5日出願の仮出願第60/756,374号に優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
密閉空間内、例えば部屋中に行き渡って消火できる手で持って操作可能な携帯型消火器の潜在的有用性はよく認識されている。
Tankの下記特許文献には四塩化炭素のような多量の消火液を収容したガラス製容器または破断し易い材料で作られた容器とバネ付勢式ハンマーとを備えた消火装置が開示されている。
【特許文献1】米国特許第1,565,036号明細書
【0003】
バネ付勢式ハンマーはハンダ等の可溶物質で保持されている。Tankが開示した上記火炎抑制装置は、火災が発生した部屋中で高温に曝されると可溶物質が溶けてハンマーが解放され、それによってガラス容器が破壊され、四塩化炭素の火炎抑制液が放出され、火炎抑制液が部屋中に充満して消火をする。別の実施例ではガラス容器を火炎に向かって投げ、衝撃で容器を粉砕する。四塩化炭素は有効な消化液ではあるが、同時に発ガン性も高い。さらに、火炎の温度に曝された時に四塩化炭素が反応して毒性の高い副生成物が生じることもある。
【0004】
Kirkの下記特許文献には、火災の炎を消すために酸素を吸収する化学物質を充填したガラス、その他の破断しやすい容器を備えた消火装置が開示されている。
【特許文献2】米国特許第3,980,139号明細書
【0005】
Kirkが開示した上記消火装置は熱的トリガーと装薬とを有し、火災に伴う高温に曝された時にこれらによって容器が破断される。別の実施例では消火装置を火の中心に投げてガラス容器を破断させ、消火薬品を放出させる。Kirkが開示した上記消火装置の欠点は酸素を奪って消火すること、すなわち、密閉された部屋で火を消すため、酸素レベルを生命を維持できるレベル以下に下げる必要があることである。従って、Kirkが開示した上記消火装置の使用は、別の方法でなら火災から逃れられたであろう部屋内の犠牲者を窒息させる危険性がある。
【0006】
Smithの下記特許文献にはリジッドな壁を有する容器中に多量の乾燥粉末消火剤と爆薬とを一緒に詰め込んだ火炎抑制装置が開示されている。
【特許文献3】米国特許第4,964,469号明細書
【0007】
乾燥粉末消火剤は爆薬の周りに位置し、爆薬が爆発した時に爆発力で粉末が所定エリアに渡って分散される。Smithが開示した上記装置の欠点は乾燥粉末剤の粒径が極めて大きいため爆発力によって分散したとしても粒子が直ちに地面へ落下してしまい、粒子が落下した場所のごく近傍以外では火炎の抑制に寄与しない点にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、密閉領域内で消火剤が持続され、消火剤が密閉領域内の火炎を探し、抑制し、しかも密閉領域内から生命維持に必要な酸素は奪わず、毒性および/またはオゾン層破壊性の化学物質を多量に発生しない消火装置に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、パイロテク組成物の燃焼副生成物である無機ハロゲン化合物の超微粒子のエーロゾルを分散させて、室内、その他密閉領域内の火炎を抑制する携帯型消火装置を提供することによって上記課題を解決する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施例では、パイロテク火炎抑制装置(pyrotechnic fire suppression apparatus)はパイロテク組成物(pyrotechnic compositeon)とディレーフューズ(delay fuze)とを収容したハウジングを有している。パイロテク組成物は無機ハロゲン含有成分と、100℃以下の温度で固体である有機結合剤とから成り、約600〜1100℃の温度で燃焼して火炎抑制可能な複数の反応生成物を生成する。
【0011】
同時係属中の出願である下記文献(本明細書の一部を成す)に記載のように、無機ハロゲン含有組成物は臭化カリウム、臭素酸カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カリウム、臭化アンモニウム、臭素酸アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ素酸アンモニウムまたはこれらの混合物を含む。
【特許文献4】米国特許第2005/0242319号
【0012】
さらに好ましい実施例では無機ハロゲン含有組成物は臭素酸カリウムおよび臭化カリウムまたはこれらの混合物からなる群の中から選択される。最も好ましい実施例のパイロテク組成物は臭素酸カリウムとシアヌル酸カリウムとの混合物(燃料)と、有機結合剤樹脂と、可塑剤と、燃焼触媒と、冷却液成分とから成る。
【0013】
臭素酸カリウムとシアヌル酸カリウムとが反応すると臭化カリウムと炭酸カリウムの微粒子のエーロゾル(または微粒子のエーロゾルに迅速に凝固するガス)ができる。このエーロゾルの平均粒径は10ミクロン以下、好ましくは1.0ミクロン以下、さらに好ましくは約0.5ミクロン以下、最も好ましくは約0.1〜0.2ミクロン粒径である。粒径が極めて小さいのでこの粒子の自由落下速度は室内の気流の平均速度よりも遅い。従って、上記粒子は最大で数時間浮いたままである。このエーロゾルは持続性があって地面に落下しないので、隠れた火炎も数時間探し続けて抑制する。
【0014】
本発明の一つの実施例ではパイロテク組成物の有機結合剤樹脂がポリビニルアルコール、カルボキシ末端を有するポリブタジエン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒドロキシ末端を有するポリブタジエン、ポリブタジエンアクリロニトリル、ポリブタジエンアクリル酸、アジピン酸ポリグリコールまたはこれらの混合物である。
本発明の一つの実施例では有機結合剤系がパイロテク組成物の約1〜8重量%の量で存在する。さらに好ましい実施例では有機結合剤系がパイロテク組成物の約2〜5重量%の量で存在する。
【0015】
本発明の一つの実施例ではパイロテク組成物の反応生成物がN2、H2O、CO2、およびハロゲン含有副生成物、例えばKI、KBrまたはこれらの混合物を含む。本発明の別の実施例では反応生成物はKBrのようなハロゲン含有塩の粒子である。特定の理論に限定されるのは好まないが、燃焼反応を触媒するO-やOH-のようなフリーラジカルが結合して無機ハロゲン含有成分の存在下で安定な化合物が形成されると考えられる。
本発明は添付図面を参照した以下の詳細な説明からより良く理解できよう。同様な要素は同じ参照番号で示した。
【実施例】
【0016】
図面は構造を一般的に説明するためのもので、図面の縮尺は必ずしも正確ではない。詳細な説明および図面では特定の実施例を示し、詳細に説明するが、これは単なる説明であって、本発明が図面および詳細な説明に開示した特定の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の本発明を製造および/または使用する方法を当業者に教え、本発明を実施するための最良の形態を説明するためのものであるということは理解できよう。
【0017】
[図1]〜[図3]を参照する。既に述べたように、室内、その他の密閉空間内に行き渡って消火することができる携帯型消火装置の利点は良く認識されている。住宅火災の場合には現場に到着した最初のユニットが消火設備をセットするのに必要な全ての設備を有していない、および/または、消火を始めるまでに数分を要することが多く、その時までに火が広がって消火が難しくなることが多い。本発明の特徴を有する火炎抑制装置を用いた場合には、火炎抑制装置10を作動させ、消火すべき部屋の中へ投げ入れるだけで、たった一人の消防士8で消火ができる。
【0018】
本発明の火炎抑制装置10は多量のパイロテク組成物14を収容したハウジング12を有する。このパイロテク組成物は、後で詳細に説明するが、燃焼して燃焼副生成物を発生させ、この燃焼副生成物は無機ハロゲン化合物のエーロゾル微粒子(または微粒子のエーロゾルに迅速に凝縮するガス)の形で放出される。本発明の製造する粒子のエーロゾルは、粒径が約50ミクロン以上の粉末から成る従来の乾燥粉末消火器とは違って、極めて微細であり、粒子の自由落下速度は密閉空間内の空気の平均速度よりも遅い。従って、本発明の粒子は数十分〜数時間空気中に浮いたままである。従って、室内の火炎を抑制し続け、さらに、隠れた火炎も探し続け、抑制する。
【0019】
パイロテク火炎抑制組成物14は点火組成物16によって起爆される。この点火組成物16は図示した実施例では過塩素酸カリウムとシリコンゴムとの組成物から成る。点火組成物16自体は手動作動型のフューズ(fuze、信管)18で起爆される。このフューズ(fuze)の例はMartin & Shaft of Breckenridge社(コロラド州)の一般的なプルイグナイター(引張り式点火器)である。ハウジング12はハンドル20をさらに有し、このハンドル20の端には防水キャップ22が付いている。防水キャップ22はプルイグナイター18の引き紐(ランヤード)24を収容している。防水キャップ22に不正開封防止シール26を付けることもできる。こ不正開封防止シール26は防水キャップ22を取り外した場合に2枚に分断される
【0020】
操作時には消火をするために操作者が防水キャップ22を取り外し、引き紐24をハンドル20の開口端28から落下させる。引き紐24をプルイグナイター18から強く引き抜くとパイロテク遅延導火線が点火される。図示した実施例では、このパイロテク遅延導火線は所定長さの通常の安全信管30から成る。この安全信管30の出力は所定時間後に点火組成物16を起爆する。点火組成物16は迅速に燃焼し、ハウジング10の中心室34に形成された複数の吐出孔32を通して熱と火炎とを放出する。吐出孔32を通って出た高温ガスと火炎によってパイロテク組成物14が燃焼をし始める。それによってハウジング10内の圧力が上昇し、ダイヤフラム38が破断して、燃焼生成物が通気孔40、42を通って排気される。通気孔40、42はハウジング10の両端に配置していて、流出する燃焼生成物のスラスト(推力)が確実にゼロになるようになっている。
【0021】
本発明の火炎抑制装置に入れたパイロテク組成物は燃焼して燃焼生成物を生成する。この燃焼生成物は基本的に毒性がなく、極めて低温で燃えるので強力な冷却は必要がない。従って、本発明は閉じられた空間内での使用に特に有利である。燃焼生成物はその配合に応じてH2O、CO2、N2、上記群のハロゲン含有副生成物、例えば臭化物塩および炭酸塩、例えばKBr、K2CO3、MgBr2またはMgCO3を含む。ハロゲン含有副生成物中に含まれるハロゲンのタイプはパイロテク組成物中に存在する無機ハロゲン含有成分に依存する。本発明で用いられるパイロテク組成物は一酸化炭素のような毒性燃焼生成物を多量に生成することがないので居住室でも安全に使用できる。
【0022】
パイロテク組成物の燃焼熱は1グラム当たり約250〜約600カロリーである。本発明の一つの実施例ではパイロテク組成物の燃焼熱は1グラム当たり約300〜約500カロリーである。特に好ましい実施例ではパイロテク組成物の燃焼熱は1グラム当たり約400〜約450カロリーである。本発明のパイロテク組成物の燃焼熱は下記文献に記載の当業界の他のパイロテク組成物の燃焼熱よりも低い(下記文献に引用されているパイロテク組成物の燃焼熱は1グラム当たり約860カロリーである)。
【特許文献5】米国特許第5,861,106号明細書
【特許文献6】米国特許第6,019,177号明細書
【0023】
燃焼生成物は微粒子のエーロゾル(または粒子のエーロゾルに迅速に凝固するガス)の形で放出される。この微粒子のエーロゾルは極めて微細で、粒子の自由落下速度は密閉空間内の空気の平均速度よりも遅い。従って、粒子は最大で数時間空気中に浮いたままであり、従って、火炎を抑制し続け、さらに、隠れた火炎も探し続けて、抑制する。
【0024】
不燃性ガス中に浮遊しているハロゲン化物および炭酸塩は火炎に直接当たると高い比熱の生成物を生じ、火炎を物理的に冷却する。ボヤの場合には本発明の要素だけで十分に消火できる。ハロゲン化物、特に臭化物は原子ラジカルが安定しているので火炎の化学反応を効果的に妨げる。特定の理論に規定されるのではないが、火災帯域に本発明の火炎抑制エーロゾルを供給すると、通常は火災の燃焼反応を触媒するO-やOH-のようなフリーラジカルをハロゲン化物の微粒子が結合させて安定な化合物が形成され、そのため火が燃え続けるのに必要な燃料を触媒することができなくなると考えられる。この火炎抑制メカニズムは単に熱を吸収し、酸素を置換するという従来の不活性ガス火炎抑制剤に比べて、密閉空間内での消火に大きな利点を有する。すなわち、従来の火炎抑制剤は生命維持が可能な濃度以上の濃度で用いなければならないため、別の方法でなら火災から逃れられたであろう犠牲者を窒息させる危険性がある。さらに、本発明の火炎抑制メカニズムは、空気が超高温になっている密閉空間、例えば天井近くに空気が蓄積している部屋の消火の際に、大部分の地方自治体の消防署が用いている純粋な冷却式消火剤(例えば水)に比べて大きな利点を有している。この場合には消火剤として水を用いると瞬間的に多量の熱湯と蒸気が発生し、別の方法でなら火災から逃れられたであろう犠牲者に火傷を負わせ、死亡させる危険もある。本発明は酸素置換や水の気化による冷却を用いずに燃焼反応を妨げるので、従来技術の上記のような危険を伴わずに消火することができる。
【0025】
既に述べたように、KBrO3を主酸化剤として用いた場合の本発明のパイロテク組成物の燃焼生成物はKBrのようなハロゲン化物を含むことができる。本発明のパイロテク組成物に追加の粉末の臭化、塩化またはヨウ化カリウムを少量添加して、エーロゾルの火炎抑制特性をさらに増大させることもできる。臭素酸カリウム酸化剤は反応して臭化カリウムに還元され、この臭化カリウムは直ぐにエーロゾルの形で火炎を抑制する。従って、本発明の一つの実施例では主酸化剤は臭素酸カリウムであり、排気物の約30〜約60%は活性な火炎抑制剤である臭化カリウムである。本発明の別の実施例では燃焼生成物の約40〜約60、好ましくは約45〜約55%が臭化カリウムである。本発明の一つの実施例ではほぼ全てのハロゲンが火炎抑制後に固体状態になる。
【0026】
さらに、ハロゲンはHBrのような望ましくない化合物を生成することがあるので、本発明組成物の燃焼生成物はK2CO3のような炭酸塩をさらに含むこともできる。例えば、臭化カリウムは組成物の約40〜約60重量%の量で排気物中に存在することができ、炭酸カリウムは組成物の約10〜約30重量%の量で排気物中に存在することができる。燃焼生成物は水、二酸化炭素、窒素、その他のガス状成分をさらに含んでいる。
【0027】
本発明の一つの実施例では、燃焼生成物は燃焼生成物の全重量の約40〜約90重量%の臭化カリウム、約10〜約30重量%の炭酸カリウム、約5〜約15重量%の水、約10〜約30重量%の二酸化炭素、約0.5〜約15重量%の窒素を含む。本発明の別の実施例では、燃焼生成物は約40〜約55重量%の臭化カリウム、約18〜約25重量%の炭酸カリウム、約8〜約12重量%の水、約15〜約25重量%の二酸化炭素、約1〜約10重量%の窒素を含む。さらに別の実施例では、燃焼生成物は約45〜約50重量%の臭化カリウム、約18〜約22重量%の炭酸カリウム、約9〜約11重量%の水、約18〜約22重量%の二酸化炭素、約2〜約12重量%の窒素を含む。
【0028】
反応生成物中のほぼ全てのハロゲンはハロゲン含有生成物に変換され、このハロゲン含有生成物は好ましくは火炎近傍から離れたときに固体になる。この凝固は反応生成物が反応領域(例えば火炎)から離れて冷却するときに起こるので、凝固を確実にすることによってハロゲン含有副生成物中のハロゲンの毒性およびオゾン層破壊の可能性を大幅に減少できると考えられる。本明細書で「ほぼ全て」とは火炎抑制組成物の少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、さらに好ましくは少なくとも約99重量%を意味する。
【0029】
以上、いくつかの実施例および方法を開示したが、本発明の精神および範囲を逸脱せずにこれらの実施例および方法に変更および修正を加えることができるということは上記説明から当業者には明らかである。例えば、[図6]に示すように変形ハウジングではハウジングが転がるのを防ぐために十字型キャップ50、52を有している。さらに、ハウジングの端に位置した通気孔40、42の代わりに[図6]に示した実施例は複数の放射方向孔を有し、これらの孔によって燃焼生成物が放出されるときの推力をさらにゼロにしている。本発明は添付の請求の範囲と関連法律の規定によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の特徴を有する火炎抑制装置の潜在用途を示す図。
【図2】本発明の特徴を有する火炎抑制装置の斜視図。
【図3】[図2]の装置の横断面図。
【図4】「安全」位置で閉じた時の[図2]の装置のハンドル端の拡大図。
【図5】発射準備状態にある[図4]のハンドル端の拡大図。
【図6】本発明の特徴を有する火炎抑制装置の変形例の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(12)と、燃焼した時に少なくとも一種の無機ハロゲン含有成分から成るエーロゾルを含む燃焼生成物を生成する組成物から成る、上記ハウジング(12)中に収容されたパイロテク火炎抑制組成物(14)と、このパイロテク火炎抑制組成物を所定の遅れ時間後に起爆する手動作動式のディレーフューズ(18)とを有する消火装置。
【請求項2】
パイロテク火炎抑制組成物(14)が無機ハロゲン酸化剤と、可燃性の有機または有機金属燃料とを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
手動作動式のディレーフューズ(18)がトリガーと、遅延手段(30)と、点火化合物(16)を有し、上記トリガーは手動操作によって起爆可能なアクチュエータ(24)と、遅延手段(30)を始動可能な出力とを有し、上記遅延手段(30)はアクチュエータ(24)からの信号を受ける入力手段と、所定遅延時間後に上記点火化合物(16)を起爆させる発火出力とを有し、上記点火化合物(16)は遅延手段の発火出力を受ける入力手段と、上記パイロテク火炎抑制組成物(14)と流体連通した出力とを有し、点火化合物の上記出力はパイロテク火炎抑制組成物を点火するのに十分な熱伝達性を有する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
パイロテク火炎抑制組成物(14)が固形物である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
上記固形物が有機結合剤樹脂と、可塑剤とをさらに含む湿式プレスされた固体混合物を含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
エーロゾルがハロゲン化アルカリ金属である請求項1に記載の装置。
【請求項7】
エーロゾルが炭酸アルカリ金属である請求項1に記載の装置。
【請求項8】
エーロゾルが臭化カリウムである請求項1に記載の装置。
【請求項9】
エーロゾルが平均粒径が0.5ミクロン以下の分散微粒子から成る請求項1に記載の装置。
【請求項10】
エーロゾルが平均粒径が1.0ミクロン以下の微粒子の分散物から成る請求項1に記載の装置。
【請求項11】
エーロゾルが平均粒径が0.1〜1.0ミクロンの微粒子の分散物から成る請求項1に記載の装置。
【請求項12】
ハウジング(12)が複数の開口(40)を有する脆性のない容器から成り、上記開口はダイヤフラム(38)によってパイロテク火炎抑制組成物から遮断され、ダイヤフラム(38)は所定圧力で破断してエーロゾルを放出する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
ハウジング(12)からハンドル(20)が延び、このハンドル(20)はハウジングに取付られた先端と、内部チャンバーと、キャップ(22)によって密封された末端とを有し、手動作動式のディレーフューズ(18)は上記内部チャンバー中に配置された手動作動式のディレーフューズ(18)を駆動するための引き紐(24)を有し、この引き紐(24)へはキャップ(22)を取り外した時にアクセスが可能になり、手動作動式のディレーフューズの起爆が可能になる請求項1に記載の装置。
【請求項14】
ハウジング(12)がほぼ円筒形で、ハンドル(20)がこの円筒形ハウジングとほぼ同軸である請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ハウジング(12)と、燃焼した時に平均粒径が10ミクロン以下の火炎抑制粒子のエーロゾルを含む燃焼生成物を生成する組成物から成る、上記ハウジング(12)中に収容されたパイロテク火炎抑制組成物(14)と、このパイロテク火炎抑制組成物を所定遅延時間後に起爆する手動作動式のディレーフューズ(18)とから成る消火装置。
【請求項16】
火炎抑制粒子のエーロゾルが平均粒径が0.5ミクロン以下の火炎抑制粒子のエーロゾルから成る請求項15に記載の装置。
【請求項17】
火炎抑制粒子のエーロゾルが無機ハロゲン化合物の粒子から成る請求項16に記載の装置。
【請求項18】
火炎抑制粒子のエーロゾルが平均粒径が1.0ミクロン以下の火炎抑制粒子のエーロゾルから成る請求項15に記載の装置。
【請求項19】
火炎抑制粒子のエーロゾルが無機ハロゲン化合物の粒子から成る請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−522045(P2009−522045A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549468(P2008−549468)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039298
【国際公開番号】WO2007/081415
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(301079844)グッドリッチ・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】