説明

灰均し

【課題】解決しようとする問題点は、従来の灰均しは全体が一枚の板を打ち抜いた形状で平面的であり、当然その持ち手の部分も平面の為に、直線的な模様を描くには十分であったが曲線模様を描く為には不便であった事である。
【解決手段】本発明は、灰均しの持ち手部分を円柱状の指で摘んで回転させる事が容易な立体的形状とし、且つ、その回転軸線が鋸歯部分の一方の端と直角に交差する事を特徴としており、コンパスを用いた様に灰の表面に同心円の模様を描く事を容易にしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火鉢、囲炉裏、香炉、線香立て等の灰を取り扱う際に使用する灰均しに関するものである。
【0002】
従来の灰均しは1枚の板を切り抜いた平面のヘラ状のものであった。
【背景技術】
【0003】
灰均しは、囲炉裏や火鉢等で炭を燃やす際に炭の補給や火力調整に灰の操作をする時のヘラとして、火箸と並んで用いられる事が主な役目であったが、その他の役目として灰の表面を均一にならして美観を保つ為の用具としての重要な役も担っていた物である。
【0004】
従来の灰均しは長方形の板の一辺を鋸歯状にして、他辺を持ち易く構成しただけの平面的な物であった。
【0005】
この灰均しには火箸と共通した目的の炭火の管理作業の他に、灰の表面を均一にならして美観を保つと言う使用目的があることは前述した通りであるが、本発明は特に、美観を保つ要素についての機能を向上させる事を目的として発明されたものである。
【0006】
従来の平面的構成の場合、持ち手部分も平面になる事は当然であり、それを手に持って指先で回転させる事は非常に困難な事であった。特に模様を描こうとする目的の面積が小さい香炉や、線香立ての場合は直線的な模様を描くだけに限られてしまい不満足な事であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、灰均しで線香立てや香炉など比較的小さい面積の灰の表面に、同心円の模様を容易に描く事を可能とする事である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
灰均しの持ち手部に回転取手部(1)を構成し、指先で容易に回す事が可能なこの回転取手部(1)の回転中心線上に直角に交差した灰均しの鋸歯部を構成した方法が考えられた。
【発明の効果】
【0009】
枯山水の庭園に見られる砂の模様は日本庭園の美しさの代表的な部分として多くの人々の心を魅了してきた事は承知の通りである。この枯山水の砂に描かれた模様を美しいと感じる感性の延長線上において、各家庭の小さな火鉢、囲炉裏等の灰の表面に枯山水の砂模様を描こうとする心が存在する事は、日本文化を愛する人々に共通して存在する美的感性と推測するところである。
【0010】
灰均しの役目はこの様な繊細な美意識を満足させるところの用具であった事は、この呼び名からも推測できる所である。すなわち灰を移動管理するだけのヘラではなく「均し」と呼んだ所にすでに囲炉裏の灰の表面模様に対する古の人々の拘りが窺える。本発明はこのような美意識の満足を手助けする事を可能としたものである。
【実施例】
【0011】
本発明における灰均しは、灰均しをコンパスのように繊細に動かす事を可能とすべく考えられたものであるが、従来の単なる平面状の持ち手部分に球または円柱等の回転取手部(1)を取り付け、且つ当該回転取手部(1)の回転中心線の延長が鋸歯部(2)の中心線の一端で直角に交わる事を特徴とする。
【0012】
鋸歯部(B)の左右いづれかの一端に先の回転取手部(1)の回転中心線の延長線が直角に交わる事により、この交点が円の中心となり、鋸歯部(B)のもう一方の端が外周となる。
【0013】
すなわち、回転取手部(1)を指でつまんで回転させる事により、回転取手部(1)の回転中心線を円の中心とした、半径が鋸歯部(B)の長さの同心円を描く事が可能となる。その模様は鋸歯部(B)の歯幅に準じた縞模様となる。
【0014】
回転取手部(1)の形状は回転体を基本的な形状として、その表面にローレット加工を施したり、図柄を表す凹凸の模様を施したものが代表的であるが、要は、指で摘んで回転させられる立体的形状であれば何れの形状でも可能なところである。通常の製図で円を描くコンパスのハンドルと同じ役を満足できれば良くデザイン的に自由に選択する事は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明により、香炉、線香立て、囲炉裏等の灰の表面に小さくきれいな回転模様を描く事が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は本発明による灰均しの斜視図である。
【図2】は本発明による灰均しの底面図である。
【図3】は従来の灰均しの平面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 回転取手
1´ 持ち手
2 鋸歯部
A 回転取手の回転中心線
B 鋸歯部中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転取手部(1)の回転中心線の延長が、鋸歯部(2)の中心線の一端に直角に交わる事を特徴とする灰均し。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−112589(P2010−112589A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283805(P2008−283805)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000217468)