説明

炭素の電磁誘導作用と応用製品

【課題】 炭素繊維を巻いて作ったコイルが磁界の中を運動、もしくは、炭素繊維を巻いて作ったコイルをつらぬく磁界が変化する時、電磁誘導現象が発生する。
【解決手段】 PAN系CF又はピッチ系CFを巻いて作ったコイルの中に、棒磁石を出し入れすると、コイル内の磁界が変化して誘導起電力が発生し、炭素を主成分とする炭素繊維は金属の代替導線となる事を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素が磁界の中を運動したり、炭素で巻いたコイル内の磁界が変化すると、炭素内に起電力が発生する電磁誘導現象を利用した炭素の電気製品開発に関する。
【背景技術】
【0002】
特願2004−043622で本発明者は、銅線とPAN系CFをアンテナ材に用いたゲルマラジオの負荷出力を比較して、次の様な実験結果を示した。
アンテナ材の検体 起電力(V) 電流(mA)
(1)0.5mmφ銅線(約6.6g) 0.52 0.06
(2)PAN系CF2束(約6.0g) 1.25 0.12
但し、検体の長さは360cmで垂直型アンテナとした。
これは、PAN系CFは金属と同じ電磁誘導機能を有し、コイルに使われている銅よりPAN系CFが優れている事を表わしている。
ピッチ系CFに於ても、これと近似の数値を出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
炭素繊維の電気的特性である良好な電気伝導性は知られているが、銅より優れた電磁誘導機能を炭素繊維が持っている事は知られていない。
又、炭素が電磁誘導作用を示す事も記録にはない。
従って[0002]の結果を受けて、無限資源で化学的にも安定している炭素を主成分とする炭素繊維を、有限資源である銅の代替として用いたコイル及び電気製品を開発する事が、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
PAN系CF又はピッチ系CF又はグラファイト棒が磁束を切るように動くと、誘導起電力が発生する。
PAN系CF又はピッチ系CFで作ったコイル内に磁石を出し入れすると、コイル内の磁束が変化して誘導起電力が発生する。
これは、炭素及び炭素繊維がコイルの導線に使用できる事を示しており、従って、炭素及び炭素繊維をコイルの導線に用いる事が、課題を解決するための手段である。
【発明の効果】
【0005】
電気関連の製品には大量に銅が使われているが、銅は有限資源であるので、将来的には不足する事は明らかである。
そこで、炭素及び炭素繊維に電磁誘導作用がある事を見出して、無限に存在する炭素及び炭素繊維を銅の代替として使える可能性を示したのが、本発明の効果である。
更に、粉状又は粒状の炭素から炭素繊維を直接作る方法を開発する事の必要性を示したのも、本発明の効果であろう。
なお、炭素繊維以外の炭素同素体(新規を含む)が、単独又は複数で導電性物質によって加工されたものも、これらは本発明の範囲内にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
導電性、耐候性、耐熱性、柔軟性などがある樹脂又は同等の物質で加工を施し、導線状の炭素繊維又は板状の炭素を製作する事によって、発明を実施するための最良の形態ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素又は炭素を主成分とする炭素繊維の電磁誘導作用を利用した電気関連の製品。
【請求項2】
PAN系炭素繊維(以下、PAN系CFと略記)を巻いて作ったコイル。
【請求項3】
ピッチ系炭素繊維(以下、ピッチ系CFと略記)を巻いて作ったコイル。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のコイルを用いて作ったダイナモ。
【請求項5】
請求項2又は請求項3のコイルを用いて作ったモートル。

【公開番号】特開2008−5686(P2008−5686A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197432(P2006−197432)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(594183967)有限会社新日本社 (12)