説明

炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維前駆体トウの梱包方法

【課題】太繊度の炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維前駆体トウを良好な振込み形態で梱包容器へ安定して収納する。
【解決手段】トウの梱包方法は、トウを往復移動する揺動シュートから梱包容器内に振込みながら、梱包容器をトウ幅方向に往復移動させ、同時に、トウの振込み面の上昇に応じて、揺動シュートを梱包容器に対して相対的に上昇させるステップと、梱包容器が端部に達したときに、反対側の端部の上方に位置するプレス板を押し下げて、トウを圧縮するステップと、を有している。トウの総繊度が48000dtex以上、180000dtex未満のとき、トウ振出し端の最低位置とトウの振込み面との間の距離a(mm)と、プレス板の厚みh(mm)と、プレス板と揺動シュートとの間の最短距離y(mm)とは、10≦a≦400、および(a−h)/y≦3.3の関係を満たしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維前駆体トウの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維の生産性を上げてコストダウンを図るため、フィラメント数が50000以上の太い炭素繊維前駆体トウが採用されるようになり、その結果、トウパッケージも大型化されている。トウパッケージの大型化には、トウの振り落としによる梱包方法の採用が有利であり、従来から、トウの振り落としによる様々な梱包方法の提案がなされてきている。
【0003】
例えば、特許文献1では、太繊度の炭素繊維前駆体トウに水分を1〜3wt%付与したのち偏平化して、一方向に揺動する揺動シュートを介して梱包容器に振込みをおこなっている。梱包容器は揺動シュートの揺動方向と直交する方向に往復動させる。また、トウの振込み開始時から、梱包容器の前後折返し位置にて、プレス板により交互に、収納されたトウを上からプレスしている。特許文献1によれば、これによって、梱包重量の極大化と梱包形態の維持が可能であるとされている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、供給されるトウに綾振り運動を与え、トウを梱包容器内に収納する装置を開示されている。トウ収納開始時にトウ振出し端を梱包容器内に挿入し、収納作業中、梱包容器を連続的に下降させ、トウ振込み面とトウ振出し端との間隔を1〜50cmの範囲に保持している。
【特許文献1】特開2005−15939号公報
【特許文献2】特開昭47−35244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1では、揺動シュートの高さ位置が梱包容器の上部に固定されている。このため振込み時に振込み面とトウ振出し端との間隔が大きく開き、空気抵抗等の影響を大きく受けるため、トウねじれなどの振込み形態の不良が発生する可能性がある。特許文献2のようにトウ振込み面とトウ振出し端との間隔を一定に保つようにすれば、この影響は最小限にできる。
【0006】
しかし、トウ振込み面とトウ振出し端との間隔を一定に保つようにしても、振込み時にプレス板が下降する際に、プレス板上部への巻き込み流が発生する。この巻き込み流によりトウがプレス板上部に引掛かると、装置の動作不良および振込み形態の著しい悪化を招く。プレス板を厚くすれば引掛かりは防止しやすくなるが、プレス板が下降する際の梱包容器内に生じる空気の流れがさらに擾乱され、トウの揺動シュートへの追従性が悪くなり、振込み形態が悪くなる可能性がある。
【0007】
本発明は、こうした従来の様々な課題を解決することを目的としてなされたものである。具体的には、本発明は、太繊度の炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維前駆体トウを良好な振込み形態で梱包容器へ安定して収納でき、パッケージから引き出すときにもトウのねじれや折れ等のない良好な解じょ性を得ることができ、さらに梱包重量を極大化することができる、炭素繊維前駆体トウなどの梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトウの梱包方法は、炭素繊維前駆体トウまたは耐炎繊維前駆体トウを、トウ幅方向とトウ供給方向とに直交する方向に往復移動する揺動シュートの内部を通して、揺動シュートのトウ振出し端から梱包容器内に振込みながら、梱包容器をトウ幅方向に往復移動させ、同時に、トウの振込み面の上昇に応じて、揺動シュートを梱包容器に対して相対的に上昇させるステップと、梱包容器が往復移動のいずれか一方の端部に達したときに、端部とは反対側の端部の上方に位置するプレス板を押し下げて、梱包容器内に振込まれたトウを圧縮するステップと、を有している。トウの総繊度が48000dtex以上、180000dtex未満のとき、揺動シュートの往復運動の際のトウ振出し端の最低位置とトウの振込み面との間の距離a(mm)と、プレス板の厚みh(mm)と、プレス板を押し下げた時の、トウ幅方向におけるプレス板と揺動シュートとの間の最短距離y(mm)との間で、10≦a≦400、および(a−h)/y≦3.3の関係を満たしている。
【0009】
トウの総繊度が180000dtex以上、7200000dtex以下であるときは、10≦a≦500、および(a−h)/y≦4.7の関係を満たしている。
【0010】
揺動シュートを梱包容器に対して相対的に上昇させ、トウ振出し端と振込み面の間隔をトウの振込み面の上昇に応じて一定範囲(10≦a≦400または10≦a≦500)に制御するため、トウの振込み形態の改善が可能になる。トウの振込み形態が良くなることで、パッケージから引き出す際にトウのねじれや折れ等のない良好な解じょ性を得ることが可能となる。トウ振出し端の最低位置とトウの振込み面との間の距離a(mm)、プレス板の厚みh(mm)、およびトウ幅方向におけるプレス板と揺動シュートとの間の最短距離y(mm)を上述のように適切な値に設定することで、プレス板下降時に発生する空気流によるトウの揺動シュートへの追従性低下を回避することができる。さらに、プレス板下降時にプレス板上部への巻き込み流の発生によるトウのプレス板上部への引掛かりを防ぐこともできる。また、(a−h)/yを指標として制御することで、振込み形態の最良化を達成できるとともに、振込み部とプレス部の相対的な位置関係を決めることができ、装置全体のコンパクト化が可能である。
【0011】
プレスは、振込みの早い時期、すなわち振込み面が梱包容器の底部にある段階から開始する。早い時期からのプレスは、収納嵩密度の極大化につながり、また振込み時にプレスをおこなうことで設備のコンパクト化にもつながる。プレスは梱包容器の往復移動における両側の折返し位置でおこなう。梱包容器が折返し位置に到達したことは、光電管スイッチで検出することができる。プレス板は、梱包容器内において次第に上昇する振込み面に追従させる必要があるため、エアシリンダーで駆動することが好ましい。振込みの早い段階からプレスをおこなうために十分なストローク長を確保することが望ましく、伸縮ストロークは従来技術よりも長くすることが望ましい。
【0012】
トウ振出し端とトウ振込み面の間隔は、トウが空気抵抗等の影響を受けにくい範囲となるように設定されることが好ましい。例えば、トウの総繊度が180000dtex以上、7200000dtex以下であるときは、トウ振出し端とトウ振込み面の間隔は上述のとおり10〜500mmが好ましく、より好ましくは100〜300mm、さらに好ましくは100〜200mmである。この間隔が500mm以上に離れすぎると空気抵抗等の影響を受けやすくなり、トウのねじれなど振込み形態不良の原因となる。
【0013】
プレス板は側面に補強壁を有していてもよい。この場合、補強壁の高さがプレス板の厚みhを定める。補強壁は、高さ方向に狭まる台形形状をなしていることが望ましい。補強壁に傾斜をつけることでプレス時のトウの引掛かりや、内装袋を用いる場合には、プレス板が上昇する際の引掛かりを防止することができる。
【0014】
揺動シュートのトウ導入口は、受け口が拡がっていることが望ましい。一方、トウの振込みにあたっては、揺動シュート内でねじれが入るのを防止し、テープ状のフラットな状態を保つように配慮する必要がある。トウの自重は小さいため、揺動シュートの揺動に対して空気抵抗を受けやすく、揺動シュート内で仮撚りが入る可能性がある。それを防止するため、受け口の下からトウ振出し端までの区間では、揺動シュートのトウ幅方向の内空寸法はトウ幅の略1.2〜2.5倍を確保し、幅方向に余裕をもたせることが望ましい。また、揺動シュート内のエアーの流れを一様に保つため、受け口の下から振出し開口部までのトウ幅方向の内空寸法を一定にすることが望ましい。揺動シュートの揺動方向の断面寸法は略30〜100mmに設定することが好ましい。
【0015】
トウを揺動シュートのトウ導入口に供給するため、一対のギアロールを揺動シュートの上方に設けることが望ましい。具体的には、ギアロールの位置は固定し、ギアロールのかみ合わせ部の鉛直方向真下に揺動シュートのトウ導入口を配置し、トウ導入口を支点として揺動シュートを揺動させることが好ましい。トウは滑りを生じながらトウ導入口に供給されるため、厳密な張力の制御が不要となり、あわせてトウ形態の安定化を図ることができる。さらに、このようなギアロールと揺動シュートの配置を採用することによって、プレス板と相まって極限まで高密度の収納が可能となる。ギアロールは歯部を有する2つの円筒を所定の間隔で対向させ、各円筒の軸方向に対向する歯部の間を複数本のパイプ材もしくは丸棒、または角を丸く仕上げた角材で連結して形成することが望ましい。かかる構成により、コストの低減が可能となり、摩耗などに対するメンテナンスが容易となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、太繊度の炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維前駆体トウを良好な振込み形態で梱包容器へ安定して収納でき、パッケージから引き出すときにもトウのねじれや折れ等のない良好な解じょ性を得ることができ、さらに梱包重量を極大化することができる、炭素繊維前駆体トウなどの梱包方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維トウの梱包方法を、その方法を実施するための梱包装置の好適な実施形態とともに、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の代表的な実施形態に用いる炭素繊維前駆体トウおよび耐炎繊維トウの梱包装置の全体概略図である。
【0019】
トウ振込み機10は、一対のギアロール11と、揺動シュート12と、昇降可能なプレート13と、梱包容器14を往復動させる容器往復駆動コンベア15と、一対のプレス装置16とを備えている。揺動シュート12のトウ導入口12aが、一対のギアロール11の間のトウ送り出し位置の真下に、ギアロール11と対向して位置している。揺動シュート12は、その上端のトウ導入口12aの近傍を中心として全体が一つの鉛直面内を揺動可能となるように、プレート13に支持されている。揺動シュート12の揺動方向Sは、トウ幅方向Rとトウ供給方向Fの双方に直交する方向である。プレート13は、サーボモータ(図示せず)を駆動装置とするボールスクリュージャッキ18によって昇降可能にされている。揺動シュート12の下方の、梱包容器14の載置位置には、容器往復駆動コンベア15が設けられている。容器往復駆動コンベア15は、梱包容器14をトウ幅方向Rに往復動させる。梱包容器14が往復動する際の両側の折返し位置の上方には、一対のプレス装置16が設けられている。
【0020】
一対のギアロール11は、図2に拡大して示すように、互いに対向して配置された同一形状の2枚の円板11aを有している。各円板11aの軸方向両側の外周縁には、多数かつ同数のギア歯11cが等間隔に形成されている。両側の対向するギア歯11cの頂部間はパイプまたは丸棒11bで結ばれている。パイプまたは丸棒11b同士が係合することによって円板11a同士が連結されている。パイプまたは丸棒11bは、その断面の半分を円板11aの外周縁から外周側に露呈させて円板11aに固着されている。
【0021】
かかるギアロール構造により、軽量化を実現できるとともに材料およびギア製作コストの低減が可能となる。パイプまたは丸棒11bをボルトおよびナットによって円板11aに脱着自在に取り付ければ、一部のパイプまたは丸棒11bが破損した場合にも容易に交換が可能であり、メンテナンスも容易となる。
【0022】
ボールスクリュージャッキ18は、プレート13の、揺動方向Sに関して両端側に設けられている。プレート13の四隅はガイドシャフト(図示せず)によって支持されている。プレート13上には、ボールスクリュージャッキ18の駆動装置(例えばサーボモータ)、揺動シュート12を保持する冶具(図示せず)、および揺動シュート12の速度制御装置19が設けられている。ボールスクリューの正逆回転によりプレート13は上昇、下降し、駆動装置の制御により昇降速度の制御が可能である。
【0023】
トウ1の振込み開始時には、揺動シュート12は梱包容器14内の所定の位置まで挿入される。トウ1の振込みが開始されると、トウ1は、揺動方向Sに往復移動(揺動運動)する揺動シュート12の内部を通り、揺動シュートのトウ振出し端12bから梱包容器14内に振込まれる。揺動シュート12はトウ振込み面T(図5参照)の上昇に従って上昇し、トウ振込み面Tとトウ振出し端12bとの間隔aは、振込み終了時まで所定の値に保持される。間隔aが所定の値を超えるとトウ1は空気抵抗等の影響を受けやすくなり、トウ1のねじれや折れの原因となり、振込み形態の悪化および解じょ性の低下をもたらす。
【0024】
本実施形態は、トウ1の振込み面Tの上昇に伴い揺動シュート12が上昇する構成であるが、逆に揺動シュート12の高さ位置を固定し、梱包容器14がトウ1の振込み面Tの上昇に伴い下降する構成でもよい。すなわち、トウ1の振込み面Tの上昇に応じて、揺動シュート12が梱包容器14に対して相対的に上昇する構成であればよい。駆動方式は、トウ振出し端12bとトウ1の振込み面Tの間隔aが一定に保持される構造であればサーボモータに限定されず、任意の機械的方法を用いることができる。
【0025】
揺動シュート12は、ステンレス、アルミ合金、銅合金などの金属板をプレス加工し、溶接などによって製作される方形筒体からなる。図3に示すように、揺動シュート12のトウ導入口12aの開口断面は矩形である。トウ振出し端12bの開口断面は、揺動方向Sの内空寸法がトウ幅方向Rの内空寸法の略1/2に狭められた矩形である。一例では、揺動方向S(トウ厚み方向)の内空寸法は、トウ導入口12aで170mm程度であったのが、トウ振出し端12bで50mm程度に縮小している。一方、トウ幅方向Rの内空寸法は、トウ導入口12a、トウ振出し端12bともに100mm程度である。
【0026】
このように、揺動シュート12の内空寸法はトウ幅方向Rで一定とされ、揺動方向Sの内空寸法のみが縮小しているため、揺動シュート12の内部を走行するトウ1のねじれが防止できる。この結果、トウ1が下方に振出されるときにねじれが生じることもなく、所期の偏平形態が保持される。さらに本実施形態では、図1に示すように、揺動シュート12内を走行するトウ1に振出し方向に向かう引張り力を付与するため、揺動シュート12のトウ導入口12aに、揺動シュート内部に向かう空気流をつくり出す給気部12″が設けられている。給気部12″に代えて、揺動シュート12のトウ振出し端12bの近傍に、振出し方向に向けてエアカーテン状の空気流を作り出す給気部を設けてもよい。トウ1が揺動シュート12を通過するとき摩擦による損傷を受けないように、揺動シュート12の内面にはバフ研磨仕上げが施されている。
【0027】
揺動シュート12は、図1に示すように、揺動方向Sにおける一方の側面にブラケット12’を備えている。ブラケット12’の下半部は溶接などによって揺動シュート12に固定されている。ブラケット12’の上半部は、その中央部付近で回転軸17に結合されている。回転軸17は、カムなどの揺動機構(図示せず)を介して、駆動源(図示せず)によって回転駆動される。この結果、揺動シュート12は回転軸17の軸線を揺動中心として所定の揺動幅で揺動する。揺動シュート12のトウ振出し端12bの揺動幅は、下方に配置される梱包容器14の揺動方向Sの内空寸法とほぼ一致している。揺動機構としては、カムのほか、リンク機構などの公知の機構を用いることができる。サーボモータによって直接往復動の幅を制御してもよい。太繊度の偏平トウ1は、ギアロール11を通して下方に送り出され、揺動シュート12に導入される。揺動シュート12のトウ導入口12aから先端のトウ振出し端12bに到る全体がブラケット12’を介して同一方向に揺動されるため、偏平トウ1は揺動シュート12の内部を円滑に走行する。
【0028】
本実施形態では、揺動シュート12の揺動速度は紡糸速度の0.75倍〜1.25倍となるようにされている。このため、トウ1が揺動シュート12のトウ振出し端12bから過剰または過小に振出されることがなく、梱包容器14の折返し位置においてもトウ1は確実に折り返される。この結果、トウ1を梱包容器14の揺動方向Sの端部まで確実に振込み、梱包容器14の全面に均等に収納することが可能となる。同時に、梱包容器14の内部におけるトウ1の折返し回数を極小化することができ、結果として梱包の嵩密度を極大化させることができる。
【0029】
容器往復駆動コンベア15は、図1に示すように、複数の回転ロール15aが同一水平面上にトウ幅方向Rに並列したロールコンベアからなっている。複数の回転ロール15aの一つは、駆動軸(図示せず)によって往復回転させられる駆動ロールである。駆動ロールの軸端にはチェーンホイール(図示せず)が備えられている。他の回転ロール15aは同じく軸端にチェーンホイール(図示せず)が備えられた従動ロールである。駆動ロールと従動ロールは、チェーン(図示せず)およびチェーンホイールを介して連結され、同一方向に同調して回転する。回転ロール15aを支持する支持フレーム15bには2つの光電管式検出器15c,15c’が設けられている。光電管式検出器15cは容器往復駆動コンベア15上を移動する梱包容器14が所定位置(往復運動の端部)に到達したことを検出する。検出信号は制御部(図示せず)に送られ、その信号を受けた制御部は回転ロール15aの駆動軸を反転させる。反対側の位置に設けられた光電管式検出器15c’が、梱包容器14が所定位置(往復運動の端部)に到達したことを検出すると、梱包容器14は再び折返され、以下この動きを繰り返す。
【0030】
制御部は、梱包容器14が所定位置に到達してから折返し開始まで、外部からの信号入力によって、梱包容器14を任意時間停止させることができる。各折返し位置における停止時間中にもトウ1を振込むことによって、その後のプレス操作と相まって、梱包容器14のトウ幅方向Rにおける端部まで隙間なくトウ1を振込むことができ、振込み状態を改善することができる。
【0031】
梱包容器14の往復速度は、紡糸速度の1/100〜1/16に設定されている。この速度範囲で梱包容器14をトウ幅方向Rに往復動させることによって、梱包容器14に振込まれたトウ1が斜めに倒れ込むことが防止され、均一な収納が可能となる。
【0032】
揺動シュート12から振込まれるトウ1を挟んでトウ幅方向Rに関して前後方向となる位置、具体的には梱包容器14の往復動における各折返し位置の上方には、一対のプレス装置16が設けられている。プレス装置16は、図4に拡大して示すように、一段のシリンダー16aと、板材16cを有するプレス板16bと、を備えている。シリンダー16aの端部はプレス板16bの中央部に固定されている。シリンダー16aは多段シリンダーでもよい。多段シリンダーは、所要のストローク長を確保するとともにシリンダー全体の長さをコンパクト化するのに適している。本実施形態では、プレス板16bによるプレスは、大型の梱包容器14であってもトウ1を振込む初期段階から行われ、また、プレス板16bを次第に上昇する振込み面Tに追従させる必要がある。このため、シリンダー16aの伸縮ストロークは通常よりも長くされている。梱包容器14はプレス板16bによるプレスが行われている際にもトウ幅方向Rに往復運動をしている。梱包容器14の動きにプレス板16bを追従させるため、プレス板の取り付け部は、梱包容器14の往復動と同じ方向(トウ幅方向R)に揺動可能なヒンジ機構を備えていることが好ましい。プレス板16bが揺動する場合、プレス板16bが上昇する際に戻りが生じ、揺動シュート12との間に接触などの干渉が生じる可能性がある。そのため、プレス板16bの最下部側面と、これと対向する揺動シュート12の片側側面との間隔y(図5参照)は、トウ幅方向Rに10mm以上離れていることが好ましい。
【0033】
プレス板16bは、図1,4に示すように、梱包容器14の底部形状に相似で揺動方向Sに対し略同一の形状をもつ金属製の板材16cを備えている。板材16cの周縁部の強度と剛性を確保するため、周縁部には補強壁16b’が傾斜をもって設けられている。梱包容器14内のトウ1をプレスする際に毛羽などが発生することを防止するため、板材16cの下面および補強壁16b’の外面はバフ研磨仕上げされている。
【0034】
補強壁16b’の高さh(図5参照)は、振込み時のプレスの際に、補強壁16b’の上端が振込まれたトウ1の中に埋まることを避けるため、30mm以上が確保されている。補強壁16b’が低いと、補強壁16b’がプレス時に振込まれたトウ1の中に埋まり、プレス板16bが上昇する際、トウ1を引掛けて振込み形態を乱し、装置トラブルを引き起こす原因となる。
【0035】
トウ1を梱包容器14に振込むときには、トウ1の振込み開始時からプレスをおこなっており、プレスと同時に梱包容器14の他の半部にてトウ1の振込みが続いている。プレス板16bは、梱包容器14が折返し位置に達したときに反対側の半部に対するプレスをおこなう。梱包容器14が折返し位置に達したことは、既述したとおり光電管式検出器15c(または15c’)にて検出される。梱包容器14の折返し位置にて一方のプレス板16bが作動するときに、他方のプレス板16bは上方の待機位置にあるが、このとき同時に待機するプレス板16bの側では引き続きトウ1の振込みが行われている。
【0036】
すなわち、本実施形態のトウの梱包方法は、梱包容器14をトウ幅方向Rに往復移動させ、同時に、トウ1の振込み面Tの上昇に応じて、揺動シュート12を梱包容器14に対して相対的に上昇させるステップと、梱包容器14が往復移動のいずれか一方の端部に達したときに、端部とは反対側の端部の上方に位置するプレス板16bを押し下げて、梱包容器14内に振込まれたトウ1を圧縮するステップと、を有している。
【0037】
プレス板16bはステンレス製の多孔板にて製作される。これは、プレス板16bが下降してトウ1をプレスする際に、空気の抜けを促し、風圧による糸条の乱れを防止することと、プレスするトウ1のフィラメント間に存在するするエアーを抜くためである。プレス板16bの開口率は20〜40%であることが好ましい。孔径は、トウ1が入り込まないように5〜15mmに設定する。本実施形態では孔径10mm、ピッチ17.5mm、開孔率30%の千鳥配列を採用した。プレス面はバフ研磨にて仕上げ加工が施され、トウ1の引掛かりを防止している。
【0038】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
【0039】
以上説明した装置を用いてトウを振込み、プレス板の下降によりプレスをおこない、プレス板上部へのトウの引掛かりトラブルの有無を調べた。以下の説明では、梱包容器への振込みおよびプレス板によるプレスがおこなわれている際の揺動中の揺動シュートのトウ振込み端の最低位置と振込み面との距離をa、プレス板の厚み(補強壁の高さ)をh、トウ幅方向Rにおける揺動シュートの側面と対向するプレス板最下部側面との間隔をyとした。距離aは、トウの振込み形態とトウの総繊度よりa≦400mm、またはa≦500mmとした。高さhは、前述のとおり、プレス時にプレス板の上端がトウに埋もれない高さより30mm≦hとした。間隔yは、前述のとおり、プレス板と揺動シュートとの干渉を避けるため10mm≦yとした。(a-h)/yは、以上の条件を満たす範囲でパラメータとした。梱包容器の内寸(mm)は720×720×1000hとした。引掛かりトラブルの有無は、プレス板が下降した際に、プレス板上部へトウが引掛かるか否かで判定した。
【0040】
(実施例1)
総繊度が48000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=3.0にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0041】
(実施例2)
総繊度が48000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=3.3にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0042】
(比較例1)
総繊度が48000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=3.5にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0043】
(比較例2)
総繊度が48000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=4.0 にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
総繊度が180000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=4.0にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0045】
(実施例4)
総繊度が180000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=4.5にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0046】
(比較例3)
総繊度が180000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=5.0にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0047】
(比較例4)
総繊度が180000dtexのトウをa=400、h=30、(a-h)/y=5.5にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例1〜4および比較例1〜4は、揺動シュート速度比、コンベア速度比を一定とし、a=400、h=30に固定し、yおよびトウの総繊度をパラメータとして、(a-h)/yのトラブル有無に対する閾値を確認したものである。
【0050】
表1より、トウの各総繊度について、(a-h)/yが所定の閾値を下回ると、プレス板上部へのトウの引掛かりは発生せず、スムースに振込みが行えることがわかる。
【0051】
総繊度48000dtexのケースは総繊度180000dtexのケースに比べて、プレス時に巻き込み流の影響を受け、なびきやすいため、プレス板上部へのトウの引掛かりトラブルが発生しやすい。表1より、総繊度48000dtexの場合、トラブル有無の閾値は(a-h)/y=3.3〜3.5の間(実際に確認された上限値は3.3)であるのに対し、総繊度180000dtexでは(a-h)/y=4.5〜5.0(実際に確認された上限値は4.5)と閾値が大きくなっている。これは、トウの総繊度が大きくなれば、その自重によりプレス時のプレス板上部へのなびきが抑制される方向となるためである。すなわち、より小さなトウの総繊度で(a-h)/yの閾値を定めれば、それよりも大きいトウの総繊度においてもその閾値ではトラブルが発生しない。
【0052】
(実施例5)
総繊度が48000dtexのトウをy=112、h=30、(a-h)/y=3.0にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表2に示す。
【0053】
(実施例6)
総繊度が48000dtexのトウをy=112、h=30、(a-h)/y=3.3にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表2に示す。
【0054】
(比較例5)
総繊度が48000dtexのトウをy=112、h=30、(a-h)/y=3.5にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
実施例5、6と比較例5は、総繊度48000dtexの条件でyとhの値を固定して、aを変化させることにより、(a-h)/yのトラブル有無に対する閾値を確認したものである。
【0057】
表2より、aを変化させた場合も、(a-h)/yの閾値は3.3〜3.5の間にあり、yを変化させた実施例1、比較例1および2と同じ結果となった。これは、総繊度48000dtexと、プレス時に巻き込み流の影響を受け最もなびきやすく、プレス板上部へのトウの引掛かりが起きやすいケースにおいて、a、yどちらを変化させた時でもトラブル発生有無の(a-h)/yの閾値は同じになることを示している。またhの増加は、トウ振出し端と補強壁上端の間隔が狭まることを意味し、プレス板上部へのトウの引掛かりが起きにくい方向となる。したがって、hを増加させても、少なくとも(a-h)/yが3.3以下であればトウ引掛かりトラブルは生じないと考えられる。
【0058】
(実施例7)
総繊度が48000dtexのトウをy=10、h=30、(a-h)/y=3.3にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表3に示す。
【0059】
(実施例8)
総繊度が48000dtexのトウをy=10、h=30、(a-h)/y=12にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表3に示す。
【0060】
(比較例6)
総繊度が48000dtexのトウをy=10、h=30、(a-h)/y=17にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表3に示す。
【0061】
(比較例7)
総繊度が48000dtexのトウをy=10、h=30、(a-h)/y=22にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表3に示す。
【0062】
【表3】

【0063】
実施例7、8および比較例6、7は、yとhを許容範囲内で最下限値にし、aを変化させたときの、(a-h)/yのトラブル有無に対する閾値を確認したものである。
【0064】
実施例5は、a、h、yをそれぞれ最小値、すなわちトウ振出し端、トウ振込み面および補強壁が最も近づいたケースである。この場合、トウ振出し端から振出されたトウは振込み面が近いためすぐに積層され、プレス板上部へ引掛かるトラブルは発生しない。また、aの値が小さい場合、トウはプレス時に発生する風圧にて、下降したプレス板とは反対側になびくため、プレス板上部へのトウの引掛かりは(a-h)/y=17のように大きい値にならないと発生しない。
【0065】
以上より、トウがプレス時に巻き込み流の影響を受け、最もなびきやすくプレス板上部への引掛かりトラブルが発生しやすい状況で、規定範囲の最下限値のトウの総繊度から(a-h)/yの閾値を定めた。この閾値を満足すれば、プレス板上部への引掛かりトラブルは発生せず、スムースに振込まれることを示した。
【0066】
(実施例9)
総繊度が180000dtexのトウをa=500、h=30、(a-h)/y=4.0にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表4に示す。
【0067】
(実施例10)
総繊度が180000dtexのトウをa=500、h=30、(a-h)/y=4.5にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表4に示す。
【0068】
(実施例11)
総繊度が180000dtexのトウをa=500、h=30、(a-h)/y=4.7にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表4に示す。
【0069】
(比較例8)
総繊度が180000dtexのトウをa=500、h=30、(a-h)/y=5.0にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表4に示す。
【0070】
(比較例9)
総繊度が180000dtexのトウをa=500、h=30、(a-h)/y=5.5にて振込んだ。その時の紡糸速度に対する揺動シュート速度比、コンベア速度比、およびトウの引掛かりトラブルの有無の結果を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
実施例9、〜11および比較例8、9は、揺動シュート速度比、コンベア速度比を同一とし、a=500、h=30、総繊度180000dtexに固定したときの、(a-h)/yのトラブル有無に対する閾値を確認したものである。
【0073】
表4から、(a-h)/y=4.7〜5.0を境にプレス板上部へのトウの引掛かりは発生していない。総繊度48000dtexのところで示したように、このときの閾値を満足すれば、プレス板上部への引掛かりトラブルは発生せず、スムースに振込まれる。
【0074】
次に、解じょ性テストをおこなった。図5は解じょ性テストの状況を示す概略図である。梱包容器14を平坦な場所に設置し、その梱包容器中心から一定高さ上方となる位置にトウ幅方向と平行になるようにトップガイド20を設置した。トウ1が梱包容器14から引き出され、トップガイド20に至るまでの経路には、トウ1が接触などを受ける干渉物はない。梱包容器14の面位置まで振込みをおこなった後、梱包容器14を上部、中部、底部に3区分し、各位置において2時間ずつ一定速度でトップガイド20までの引出しを実施し、トップガイド20位置でのトウ1のねじれや反転等の発生した数をカウントした。解じょ性テストで用いたトウの総繊度は180000dtex、梱包容器の内寸(mm)は720×720×1000h、地面からトップガイドまでの高さは7.2m、引出し速度は4.5m/minとした。また、振込み時の条件は、紡糸速度に対する揺動シュート速度比が0.9倍、紡糸速度に対するコンベア速度比が1/50であった。
【0075】
(実施例12)
総繊度が180000dtexのトウを、トウ振出し端とトウ振込み面の間隔を140mmで保持して振込んだときの解じょ性テストの結果を表5に示す。
【0076】
(比較例10)
総繊度が180000dtexのトウを、トウ振出し端高さ位置を梱包容器の140mm上方で固定して振込んだときの解じょ性テストの結果を表5に示す。
【0077】
【表5】

【0078】
表5は、トウ振込み方式とその構造を限定するものではないが、既述したようにトウ振出し端と振込み面の間隔を保持しながら振込む方式が解じょ性を良好にすることを示している。
【0079】
トウ振出し端と振込み面の間隔aを保持した場合は、梱包容器底部から上部に至るまで振込み形態が一様であるのに対し、トウ振出し端の高さ位置が固定されている場合は、トウ振込み時にトウ振出し端と振込み面の間隔が変化するため、空気抵抗等の影響を大きく受けやすい梱包容器底部に向かってねじれや折れ等がついた状態で振込まれる頻度が多くなり、引上げ時に解じょ性を著しく低下させる。また、振込み時の状態に加え、保管時にトウの自重により明確な折りグセがつきやすいため、梱包容器底部に行くほどトラブル数は増加傾向にある。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態に適用される梱包装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す梱包装置のギアロールの一例を示す斜視図である。
【図3】図1に示す梱包装置の揺動シュートの一例を示す斜視図である。
【図4】図1に示す梱包装置のプレス装置の一例を示す斜視図である。
【図5】図1に示す梱包装置の同図中5−5線からみた概念的断面図である。
【図6】本実施例で用いた解じょテストの概略を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 トウ
10 振込み機
11 ギアロール
11a 歯車状円板
11b パイプまたは丸棒
12 揺動シュート
12' ブラケット
12'' 給気部
12a トウ導入口
12b トウ振出し端
13 プレート
14 梱包容器
15 容器往復駆動コンベア
15a 回転ロール
15b 支持フレーム
15c 光電管式検出器
16 プレス装置
16a シリンダー
16b プレス板
16b' 補強壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維前駆体トウまたは耐炎繊維前駆体トウを、トウ幅方向とトウ供給方向とに直交する方向に往復移動する揺動シュートの内部を通して、該揺動シュートのトウ振出し端から梱包容器内に振込みながら、該梱包容器を該トウ幅方向に往復移動させ、同時に、該トウの振込み面の上昇に応じて、該揺動シュートを該梱包容器に対して相対的に上昇させるステップと、
前記梱包容器が往復移動のいずれか一方の端部に達したときに、該端部とは反対側の端部の上方に位置するプレス板を押し下げて、該梱包容器内に振込まれた前記トウを圧縮するステップと、
を有し、
前記トウの総繊度は48000dtex以上、180000dtex未満であり、
前記揺動シュートの往復運動の際の前記トウ振出し端の最低位置と前記トウの前記振込み面との間の距離a(mm)と、前記プレス板の厚みh(mm)と、該プレス板を押し下げた時の、前記トウ幅方向における該プレス板と該揺動シュートとの間の最短距離y(mm)との間で、10≦a≦400、および(a−h)/y≦3.3の関係を満たしている、
トウの梱包方法。
【請求項2】
炭素繊維前駆体トウまたは耐炎繊維前駆体トウを、トウ幅方向とトウ供給方向とに直交する方向に往復移動する揺動シュートの内部を通して、該揺動シュートのトウ振出し端から梱包容器内に振込みながら、該梱包容器を該トウ幅方向に往復移動させ、同時に、該トウの振込み面の上昇に応じて、該揺動シュートを該梱包容器に対して相対的に上昇させるステップと、
前記梱包容器が往復移動のいずれか一方の端部に達したときに、該端部とは反対側の端部の上方に位置するプレス板を押し下げて、該梱包容器内に振込まれた前記トウを圧縮するステップと、
を有し、
前記トウの総繊度は180000dtex以上、7200000dtex以下であり、
前記揺動シュートの往復運動の際の前記トウ振出し端の最低位置と前記トウの前記振込み面との間の距離a(mm)と、前記プレス板の厚みh(mm)と、該プレス板を押し下げた時の、前記トウ幅方向における該プレス板と該揺動シュートとの間の最短距離y(mm)との間で、10≦a≦500、および(a−h)/y≦4.7の関係を満たしている、
トウの梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−121147(P2008−121147A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306574(P2006−306574)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】