説明

炭酸ガス圧浴装置

【課題】所定値以上濃度の炭酸ガスを所定の圧力値以上で人体の皮膚に積極的に接触させることにより、少量の炭酸ガスでも効率的に人体の皮膚から吸収させることが可能な炭酸ガス圧浴装置を提供する。
【解決手段】炭酸ガスを水蒸気に含ませた状態で供給する炭酸ガス供給手段と、圧縮空気供給手段と、前記炭酸ガス供給手段と前記圧縮空気供給手段とに接続器を介して接続され、前記炭酸ガス供給手段から供給される炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを人体の皮膚に直接接触させると共に前記圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気を封止する密閉層を形成する2層構造の被覆ウェアと、から構成され、炭酸ガスを前記圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスを人体の皮膚に直接に接触させることにより、血管を拡張させると共に、血液循環を改善させるための炭酸ガス入浴装置に関するものであり、特に、炭酸ガスを圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させる炭酸ガス圧浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭酸ガス(二酸化炭素:CO)が人体の皮膚から吸収されると、血管を拡張させることが知られている。炭酸ガスは、単に皮膚に触れるだけで皮下に浸透し、人体における炭酸ガスの浸透部位の血管を拡張させ血液循環を改善するため、血圧を降下させ、心臓の負担を軽減し、代謝を改善し、疼痛物質や老廃物の排除を促す等の種々の生理的効果を発揮する。
【0003】
このため、従来から高血圧や心臓病、動脈硬化の治療等に炭酸泉浴等が利用されており、また近年では、医療目的のみならず、炭酸ガスによる血行促進効果によって健康増進、美容促進といった点からも広く注目を集めている。
【0004】
炭酸ガスを人体に吸収させるための従来技術の例として最も広く利用されているのは、浴槽内の湯中に投入することにより炭酸ガスを発生する入浴剤である。入浴剤を湯中に入れると、入浴剤の中に閉じ込められていた炭酸ガスが泡状になって湯中において発生しその一部が湯の中に溶け込んで入浴する人の皮膚に接触し、炭酸ガスが皮膚から体内に浸透して上記したような生理的効果を発揮させようとするものである。
【0005】
さらに、炭酸ガスをより多く人体に接触させる従来技術として、炭酸ガス入浴装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3)。
【0006】
この種の装置は、水中に炭酸ガスを高濃度に溶け込ませるための装置であり、特許文献1には、炭酸ガス入浴剤溶解部2と微小孔4を有する炭酸ガス拡散装置1と、から構成され、溶解部2と拡散装置1間に設置された微小孔3および拡散装置部に設けられた微小孔4の両者にて、炭酸ガスの泡は微小になり、炭酸ガスが浴槽水と接する面積が格段に拡大し、かつ接する時間が長くなり、さらには入浴剤の周囲の泡による浮き上がりを防止し、最後まで入浴剤が浴槽水内において炭酸ガスを放散させ続けさせる入浴剤用炭酸ガス拡散装置が開示されている。
【0007】
また、引用文献2及び引用文献3には、浴槽に炭酸ガス発生装置を接続し、炭酸ガス発生装置から供給される多量の炭酸ガスを浴槽内の浴槽水に積極的に溶け込ませるように細かい気泡状に噴出させる浴槽用マイクロバブル発生装置および炭酸ガス併用シャワー入浴装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−20985号公報
【特許文献2】特開2007−159902号公報
【特許文献3】特開2005−168859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これ等の公知技術は、何れも入浴時において浴槽水の中に炭酸ガスを溶け込ませて人体の皮膚から炭酸ガスを吸収させようとするものであって、多量の炭酸ガスを消費する割には、皮膚からの炭酸ガスの吸収率は決して高くないという問題があった。また、その利用は、入浴時に限定されていた。
【0009】
また、水中に溶け込んだ炭酸ガスは、人体の皮膚に対して大気圧程度(大気圧と浴槽内の水圧の加算値)の圧力で接触するため、炭酸ガスの皮膚からの浸透性は良好ではなかった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、所定値以上濃度の炭酸ガスを所定の圧力値以上で人体の皮膚に積極的に接触させることにより、少量の炭酸ガスでも効率的に人体の皮膚から吸収させることが可能な炭酸ガス圧浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明は、所定値以上濃度の炭酸ガスを人体の皮膚に接触させることにより、血管を拡張させると共に血液循環を改善させるための装置であって、炭酸ガスを水蒸気に含ませた状態で供給する炭酸ガス供給手段と、圧縮空気供給手段と、前記炭酸ガス供給手段と前記圧縮空気供給手段とに接続器を介して接続され、前記炭酸ガス供給手段から供給される炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを人体の皮膚に直接接触させると共に、前記圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気を封止する密閉層を形成する2層構造の被覆ウェアと、から構成され、炭酸ガスを前記圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させることを特徴とした炭酸ガス圧浴装置を提供するものである。
【0012】
このように、本炭酸ガス圧浴装置においては、被覆ウェアにおいて形成された圧縮空気層が、直接人体の皮膚に接する炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを一定の圧力で皮膚に押圧するので、炭酸ガスの皮膚からの浸透性を著しく向上させているのである。また、炭酸ガスと水蒸気の混合ガスそのものの圧力を高める必要がないので、大量の炭酸ガスを必要とせず、炭酸ガスを効率的に使用することができるのである。
【0013】
ところで、本炭酸ガス圧浴装置において使用する炭酸ガス供給装置は、炭酸ガスを封入した炭酸ガスボンベが挿入される炭酸ガス挿入部と、水を受け入れる貯水部と、を備え、炭酸ガスボンベ内の炭酸ガスを微粒サイズの気泡状にして前記貯水部内に放出させることにより、前記炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを得るのである。
【0014】
そして、前記炭酸ガス供給装置内における温水の温度は、摂氏40乃至70度とすることにより、入浴と同様に皮膚を温めてそれ自体で血行を良好にさせることを可能にしているのである。そして、前記圧縮空気供給手段は、ヒータ手段を備え、ヒータ手段のオン/オフにより温風空気又は冷風空気を供給することも可能にしたのである。
【0015】
そして、前記圧縮空気供給手段から供給される空気圧は、1.2乃至2.5気圧である。これにより、圧縮空気による皮膚に対する圧力マッサージ効果をも発揮させることを可能としたのである。
【0016】
このため、前記圧縮空気供給手段は、(1)圧縮空気ボンベ、(2)電気駆動されるコンプレッサ、又は(3)手動の袋状の空気圧器(例えば、血圧計に用いられる手動の空気袋又は浮き袋に空気を入れる足踏みタイプの空気圧記)を用いる。
【0017】
ところで、前記被覆ウェアは、人体の腰部及び両下肢を包む下半身用の被覆ウェア、人体の腹部及び両上肢を包む上半身用の被覆ウェア、人体の片足を包む片下肢用の被覆ウェア、人体の片手を包む片上肢用の被覆ウェア等、種々の被覆ウェアが利用できる。そして、これ等の種々のタイプの被覆ウェアは、複数を同時使用することができるのである。
【0018】
そして、前記被覆ウェアは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、又はポリテトラフルオロエチレン、織布又は不織布の中の何れか一つ又は複数の組み合わせにより形成される。また、前記被覆ウェアは、その開口部に紐又は面ファスナーの締付手段が取り付けられており、これにより、炭酸ガスと水蒸気の混合ガスの大気中への放散を防止しているのである。
【0019】
前記被覆ウェアに設けられた、前記炭酸ガス供給手段からの混合ガスと前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気を受け入れるための各接続器は、タップが形成された捻じ込み式の接続器又は嵌め込み式の接続器とする。
【発明の効果】
【0020】
上記したように、本発明に係る炭酸ガス圧浴装置においては、炭酸ガス供給手段から供給される炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを人体の皮膚に直接接触させると共に、圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気を封止する密閉層を形成する2層構造の被覆ウェアと、から構成され、炭酸ガスを前記圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させるので、被覆ウェアにおいて形成された圧縮空気層が、直接人体の皮膚に接する炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを一定の圧力で皮膚に押圧するので、炭酸ガスの皮膚からの浸透性を著しく向上させているのである。さらには、炭酸ガスと水蒸気の混合ガスそのものの圧力を高める必要がないので、大量の炭酸ガスを必要とせず、炭酸ガスを効率的に使用することができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(下半身用)の全体模式図である。そして、図2は、被覆ウェアの断面と人体の皮膚との接触関係を説明する要部拡大図を示し、図3は、炭酸ガス供給装置の模式図である。
【0022】
本発明に係る炭酸ガス圧浴装置は、図1に示すように、炭酸ガスを水蒸気に含ませた状態で供給する炭酸ガス供給装置1と、圧縮空気を供給するコンプレッサ2と、人体(ここでは例として下半身)を覆い、炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを充満させてその部位の皮膚に混合ガスを接触、吸収させる炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4と圧縮空気を充満させてこの炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4に加圧する加圧層5とを有する被覆ウェア3と、炭酸ガス供給装置1と被覆ウェア3の炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4とを接続するコネクタ6と、コンプレッサ2と被覆ウェア3の加圧層5とを接続するコネクタ7と、から構成される。
【0023】
被覆ウェア3は、上述したように人体(ここでは下半身)を覆い包む形状をしており、その開口部には、着脱を可能にすると共に炭酸ガスと水蒸気の混合ガスの漏出を防ぐ止着部8が設けられている。
【0024】
図2に示すように、被覆ウェア3は二層に形成されており、内側の被覆ウェア素材10と皮膚9との間に形成される内側の層が、炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4である。炭酸ガス供給装置1からコネクタ6を介して、この炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4に混合ガスが供給される。また内側の被覆ウェア素材10と外側の被覆ウェア素材11の間に形成される外側の層が加圧層5である。この加圧層5には、コンプレッサ2からコネクタ7を介して圧縮空気が供給される。それにより炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4を外側から加圧し、皮膚9からの混合ガスの吸収を促進する。
【0025】
この被覆ウェア3は非通気性素材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、織布又は不織布の中の何れか一つ又は複数の組み合わせ等)から成る。
【0026】
上述の止着部8は、伸縮性があり体にフィットする素材から構成され、面ファスナーにより使用者の体型に合わせた位置で止着して被覆ウェア3の炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4内を密閉し、混合ガスが大気中に放散するのを防ぐ。加圧層5はこの止着部8に縫いこまれているため予め密閉性を有する構造となっている。なお、ここでは止着部8の止着を面ファスナーによるものとしたが、このほかに紐やゴム、あるいはそれらの組み合わせを用いても良い。また、空気圧による締め付けで止着できる構造としても良い。
【0027】
炭酸ガス供給装置1は、図3に示すように、温水中に炭酸ガスを放出することにより炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを得る装置である。この炭酸ガス供給装置1は、温水19を注入する温水注入口12と、温水注入口12から注入された温水19を貯水する貯水タンク13と、炭酸ガスボンベ17を開栓するための針が内部に設けられ、貯水タンク13内の温水19中に炭酸ガスを放出させる炭酸ガス挿入部14と、温水19に炭酸ガス18が放出されることで発生する炭酸ガスと水蒸気の混合ガス20を取り出すための混合ガス供給口15と、炭酸ガスボンベ17を固定すると共に炭酸ガスボンベ17を炭酸ガス挿入部14に押し当てるためのキャップ16と、から構成される。
【0028】
そこでまず、温水注入口12から貯水タンク13内に摂氏40度から70度程度の温水19を注入する。次いで、炭酸ガス挿入部14に炭酸ガスボンベ17を挿入する。キャップ16を締めることにより二酸化炭素ボンベ13は押し下げられ、キャップ16を完全に締めると炭酸ガスボンベ17は炭酸ガス挿入部14内に設けられた針により開栓される。すると炭酸ガス18が勢いよく温水19中に放出される。これにより炭酸ガスと水蒸気の混合ガス20が発生し、混合ガス供給口15より被覆ウェア3に供給される。
【0029】
ここで、上記したように、炭酸ガスは、皮膚から浸透して血管を拡張して血行を促進させる生理作用を有するものであるが、本炭酸ガス圧浴装置においては、さらに、温水注入口12から貯水タンク13内に注入する温水中に、メンソール等の清涼作用を生じさせる薬剤、血行をより促進させるビタミンE、皮膚表面に付着している細菌等を消毒する薬剤等を入れて、炭酸ガスによる生理作用との相乗的生理効果を生じさせることも可能である。
【0030】
なお、炭酸ガス供給装置1の構成は上記に限定せず、例えばここではカートリッジ式の小型の炭酸ガスボンベ13を例として用いたが、これに代えて業務用の大型ガスボンベ等にバルブを介して接続しても良い。
【0031】
コンプレッサ2は被覆ウェア3の加圧層5に圧縮空気を供給する。例えばコンプレッサ2として、家庭用の布団乾燥機等を用いても良い。
【0032】
炭酸ガス供給装置1と被覆ウェア3の炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層4とを接続するコネクタ6、及びコンプレッサ2と被覆ウェア3の加圧層5とを接続するコネクタ7は、それぞれ端部にタップが形成され、捻じ込み式又は嵌め込み式で被覆ウェア3に接続される。またその内部には、ガスの逆流を防ぐための逆止弁を有している。
【0033】
以上のように、本発明に係る炭酸ガス圧浴装置では、加圧により少量の炭酸ガスでも皮膚から効率よく吸収させることができる。
【0034】
なお、上記実施形態では下半身のみを対象としていたが、被覆ウェアの形状を変えることにより様々な部位の炭酸ガス圧浴が可能になる。
【0035】
〔第2の実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(上半身用)の模式図である。
ここでは、上半身の炭酸ガス圧浴を目的とする炭酸ガス圧浴装置について説明する。なお、この図において、図1と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図4において、30は炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層31と加圧層32の二層構造を有する被覆ウェア、33,34は被覆ウェア30の止着部である。この図に示すように、本実施形態の被覆ウェア30は上半身全体を覆い包む形状をしている。腰部の開口には止着部33が設けられ、使用者の体型に合わせた位置で体にフィットするように止着して、ガスの漏出を防ぐようになっている。また、首部の開口にも、簡単に着脱を可能にしてかつガスの漏出を防げるよう止着部34を設ける。これらの止着部33,34はそれぞれ、面ファスナーのほか、紐、ゴム、あるいはそれらの組み合わせより構成するのが好ましい。また、空気圧による締め付けで止着できる構造としても良い。
【0036】
〔第3の実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(片下肢用)の模式図である。
ここでは、片下肢の炭酸ガス圧浴を目的とする炭酸ガス圧浴装置について説明する。なお、この図において、図1と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、40は炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層41と加圧層42の二層構造を有する被覆ウェア、43は被覆ウェア40の止着部である。この図に示すように、本実施形態の被覆ウェア40は片下肢全体を覆い包む形状をしている。太腿部の開口には止着部43が設けられ、使用者の体型に合わせた位置で体にフィットするように止着して、ガスの漏出を防ぐようになっている。
【0037】
〔第4の実施形態〕
図6は、本発明の第4実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(片上肢用)の模式図である。
ここでは、片上肢の炭酸ガス圧浴を目的とする炭酸ガス圧浴装置について説明する。なお、この図において、図1と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図6において、50は炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層51と加圧層52の二層構造を有する被覆ウェア、53は被覆ウェア50の止着部である。この図に示すように、本実施形態の被覆ウェア50は片上肢全体を覆い包む形状をしている。上腕部の開口には止着部53が設けられ、使用者の体型に合わせた位置で体にフィットするように止着して、ガスの漏出を防ぐようになっている。
【0038】
なお、図6(a)においては圧縮空気供給手段としてコンプレッサ2を配置したが、図6(b)ではこれに代わって手動の空気圧器として、袋状の送気球54を配置している。この送気球54は、例えば手動式血圧計の加圧用送気球と同様の構成とする。ゴム等から成り、手動で加圧層52内に送気して簡単に加圧することができる。
【0039】
〔第5の実施形態〕
図7は、本発明の第5実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置の模式図である。
この実施形態では、被覆ウェアの加圧層の外側に、圧力を調整するためのフレームを設けている。なお、この図において、図1と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図7において、60は炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層61と加圧層62の二層構造を有する被覆ウェア、63は被覆ウェア60の止着部、64は加圧層62の外側に設けられる圧力調整のためのフレームである。
【0040】
このフレーム64は、例えばナイロン樹脂等から成り、被覆ウェア60に環状もしくはスパイラル状に巻き付けられ固着される構成とする。また、図7に示すように片下肢用ならば、太腿から足首へ行くほどフレーム64の半径が小さくなる等、人体の概略形状に合わせて形成される。それにより、加圧層62の圧力が外側に向かうのを防ぎ、また人体の概略形状に合わせて均一に加圧することができるため、炭酸ガスの吸収効率をさらに向上させることができる。
【0041】
上記したように、本発明に係る炭酸ガス圧浴装置の種々の実施の形態について詳しく説明したが、要するに、本炭酸ガス圧浴装置においては、炭酸ガス供給手段から供給される炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを人体の皮膚に直接接触させると共に、前記圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気を封止する密閉層を形成する2層構造の被覆ウェアと、から構成され、炭酸ガスを前記圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させるようにしている。
【0042】
これにより、本炭酸ガス圧浴装置においては、被覆ウェアにおいて形成された圧縮空気層が、直接人体の皮膚に接する炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを一定の圧力で皮膚に押圧するので、炭酸ガスの皮膚からの浸透性を著しく向上させているのである。また、炭酸ガスと水蒸気の混合ガスそのものの圧力を高める必要がないので、大量の炭酸ガスを必要とせず、炭酸ガスを効率的に使用することができたのである。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、炭酸ガスを人体の皮膚に直接に接触させることにより、血管を拡張させると共に、血液循環を改善させるための炭酸ガス入浴装置に関するものであり、特に、炭酸ガスを圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させる炭酸ガス圧浴装置に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(下半身用)の全体模式図である。
【図2】被覆ウェアの断面と人体の皮膚との接触関係を説明する図である。
【図3】炭酸ガス供給装置の模式図を示す。
【図4】本発明の第2実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(上半身用)の模式図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(片下肢用)の模式図である。
【図6】本発明の第4実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置(片上肢用)の模式図である。
【図7】本発明の第5実施形態を示す炭酸ガス圧浴装置の模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 炭酸ガス供給装置
2 コンプレッサ
3、30、40、50、60 被覆ウェア
4、31、41、51、61 炭酸ガスと水蒸気の混合ガス層
5、32、42、52、62 加圧層
6、7 コネクタ
8、33、34、43、53、63 止着部
9 皮膚
10 内側の被覆ウェア素材
11 外側の被覆ウェア素材
12 温水注入口
13 貯水タンク
14 炭酸ガス挿入部
15 混合ガス供給口
16 キャップ
17 炭酸ガスボンベ
18 炭酸ガス
19 温水
20 炭酸ガスと水蒸気の混合ガス
54 送気球
64 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定値以上濃度の炭酸ガスを人体の皮膚に接触させることにより、血管を拡張させると共に血液循環を改善させるための装置であって、
炭酸ガスを水蒸気に含ませた状態で供給する炭酸ガス供給手段と、
圧縮空気供給手段と、
前記炭酸ガス供給手段と前記圧縮空気供給手段とに接続器を介して接続され、前記炭酸ガス供給手段から供給される炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを人体の皮膚に直接接触させると共に、前記圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気を封止する密閉層を形成する2層構造の被覆ウェアと、
から構成され、
炭酸ガスを前記圧縮空気により所定の圧力値以上で人体の皮膚に接触させることを特徴とした炭酸ガス圧浴装置。
【請求項2】
前記炭酸ガス供給装置は、炭酸ガスを封入した炭酸ガスボンベが挿入される炭酸ガス挿入部と、水を受け入れる貯水部と、を備え、炭酸ガスボンベ内の炭酸ガスを微粒サイズの気泡状にして前記貯水部内に放出させることにより、前記炭酸ガスと水蒸気の混合ガスを得ることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項3】
前記炭酸ガス供給装置内における温水の温度は、摂氏40乃至70度であることを特徴とする請求項2に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項4】
前記圧縮空気供給手段は、ヒータ手段を備え、ヒータ手段のオン/オフにより温風空気又は冷風空気を供給することを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項5】
前記圧縮空気供給手段から供給される空気圧は、1.2乃至2.5気圧であることを特徴とする請求項1又は4に記載の炭酸ガス圧浴装置
【請求項6】
前記圧縮空気供給手段は、圧縮空気ボンベを備えることを特徴とする請求項5に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項7】
前記圧縮空気供給手段は、電気駆動されるコンプレッサを備えることを特徴とする請求項5に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項8】
前記圧縮空気供給手段は、手動の袋状の空気圧器を備えることを特徴とする請求項5に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項9】
前記被覆ウェアは、人体の腰部及び両下肢を包む下半身用の被覆ウェアであることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項10】
前記被覆ウェアは、人体の腹部及び両上肢を包む上半身用の被覆ウェアであることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項11】
前記被覆ウェアは、人体の片足を包む片下肢用の被覆ウェアであることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項12】
前記被覆ウェアは、人体の片手を包む片上肢用の被覆ウェアであることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項13】
前記被覆ウェアは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、又はポリテトラフルオロエチレン、織布又は不織布の中の何れか一つ又は複数の組み合わせにより形成されていることを特徴とする請求項9乃至12に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項14】
前記被覆ウェアは、その開口部に紐又は面ファスナーの締付手段が取り付けられており、これにより、炭酸ガスと水蒸気の混合ガスの大気中への放散を防止するようにした請求項13に記載の炭酸ガス圧浴装置。
【請求項15】
前記被覆ウェアに設けられた、前記炭酸ガス供給手段からの混合ガスと前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気を受け入れるための各接続器は、タップが形成された捻じ込み式の接続器又は嵌め込み式の接続器であることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス圧浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−11695(P2009−11695A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179368(P2007−179368)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(505425878)
【出願人】(592248835)日本エー・シー・ピー株式会社 (56)
【Fターム(参考)】