説明

点字データ通信装置

【課題】通信機器として無線パケット通信網に接続可能な携帯電話を利用でき、携帯性に優れ、任意の場所で通信可能で、一つの装置で盲ろう者又は視覚障害者のいずれの場合でも通信相手を問わずに簡単な通信を実現する点字データ通信装置を提供する。
【解決手段】無線パケット通信網に接続可能な携帯電話100を通信機器として用い、前記携帯電話100と無線または有線で接続可能な点字データ通信装置200であって、前記点字データ通信装置200は、前記携帯電話100との間でデータの送受信を制御する通信制御部220と、入出力モード設定部212と、前記入出力モード設定部212で設定された入出力モードにしたがって、入力部240と、入出力モードにしたがって、点字又は音声で出力する出力部250と、前記入力部240で入力された点字入力又は音声入力を、ひらがな文字データに変換する入力変換部230と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線パケット通信網に接続可能な携帯電話を利用した、点字入出力及び音声入出力可能な点字データ通信装置に関する。特に、携帯電話・携帯端末を接続して、盲ろう者同士、あるいは盲ろう者と視覚障害者、あるいは盲ろう者と健常者とが簡単に通信できる点字データ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信機器端末の代表はパーソナルコンピュータと携帯電話であり、共に広く普及し、日常生活における必需品の一部になっている。パーソナルコンピュータはインターネット上の電子メールを使用してのコミュニケーションが主流であり、携帯電話は音声通信やメール機能を使用したコミュニケーションが主流である。より簡単で便利なコミュニケーションを目指してパーソナルコンピュータと携帯電話のメール機能は共に著しい進化を遂げている。
【0003】
しかし、前記メール機能を支えるパーソナルコンピュータと携帯電話は、眼の見える健常者(晴眼者)に対応したものであり、共にメール文書をキーボードで入力し、液晶パネルなどの表示ディスプレイで文字をそのまま表示している。このように、そのまま表示される文字を「点字」に対して「墨字」といい、その表示を「墨字表示」という。しかし、この液晶パネルでは墨字表示しかできない。そのため、目の見えない視覚障害者、目が見えず耳も聞こえない盲ろう者などの障害者にとっては、これらのメール通信機能を使用することは極めて困難な状況にある。
【0004】
現在、視覚障害者、盲ろう者の遠隔通信方法として、パーソナルコンピュータと点字入出力装置とを接続して、電子メール入出力を点字入出力装置によって行う通信システムが提案されている。しかし、デスクトップ型パソコンはもちろんノート型パーソナルコンピュータにおいても、パーソナルコンピュータは、形状が大きく重いため常時携帯することが通常困難である。また、パーソナルコンピュータによるメール通信はインターネットが中心になるが、インターネットへの接続ができるのは光ケーブルまたは電話線が配置済みの屋内環境か、無線LANが使用できる限られた環境のみであり、任意の場所で通信することはできないという問題がある。また、点字の読み書きができない視覚障害者にとっては、点字入出力装置は全く利用できないという問題もある。
【0005】
これに対して、携帯性と使用環境の改善のために、携帯電話を使った通信が視覚障害者、盲ろう者の遠隔通信方法として提案されている。例えば、送受信データとして扱うことのできる音声情報や文字情報に加えて点字情報を加えることにより、視覚障害者にインターネットや電子メールなどのサービスを提供可能にする点字対応携帯端末装置が開示されている(例えば、特許文献1乃至8参照。)。
【0006】
また、携帯電話の特定のダイヤルキーが点字を構成する各点に対応した特定キーとして割り当てられ、受信したメール文書に含まれている文字を点字に変換して、前記特定キーを突出制御して表示することにより、メールを点字表示することで読めるようにした携帯電話が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、携帯電話のダイヤルキーは12個程度である。一方、点字の1文字は2×3の6点から構成されるので、点字表示が1文字ごとしかできず、点字を文章として読むことには障壁が高い。また、携帯端末上での点字入力は考慮されていない。
【0007】
また、携帯電話に専用の点字表示部を設け、点字を表示できる携帯電話が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この場合も、表示部が携帯電話の小さな面積に設けられているために、点字を文章として読むことには障壁が高く、また、携帯端末上での点字入力は考慮されていない。これらの機器では、視覚障害者・盲ろう者は一般文章を読むのが困難で、何とか努力して簡単なメールは読めたとしても、メールを打つことはできないという問題がある。
【0008】
前記の点字表示ができる携帯電話の開示例に対して、各ダイヤルキーに点字1文字を割り当てた携帯電話が提案され、点字読み取りと入力の改善が図られている(例えば、特許文献9参照。)。しかし、点字の1文字を構成する2×3の6点の間隔は規格で決められている。各ダイヤルキーに点字1文字を割り当てると各点の間隔が規格より著しく狭くなってしまう。また各ダイヤルキーそのものが普段は突起しており、点字読み取り・入力のためにダイヤルキーを押さえるとダイヤルキーそのものがへこむために、点字変換されたメール読み取り精度は著しく劣化するという問題がある。
【0009】
また、ダイヤルキーが設置された面の反対面に専用の点字表示部を設けた携帯電話が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この例では、点字の6点の間隔は多少広げられ、安定した突起部を構成することができるが、やはり各点の間隔は規格値よりも狭くなり、読み取り精度は著しく劣化する。また、この場合も点字入力は考慮されていないという問題がある。通常、点字使用者はA4の紙面で点字を読んでいるために点字は1行32文字と決まっている。発明者による点字使用者に対する調査では、1行32文字が一番読みやすく、より少ない1行あたりの文字数では1行24文字あるいは1行16文字などが次に読みやすいということがわかった。また、1行あたりの表示文字数が16文字より少なくなると文書として読みにくくなるという調査結果がある。
【0010】
また、キーからの墨字入力が困難である視聴覚障害者のために音声入力により電子メールを作成する装置が提案されている(例えば、特許文献10参照。)。また、入力された文字情報および入力された文字情報以外の文字情報、または音声情報を点字情報として表示する点字端末が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。また、音声として入力された情報を文字情報に変換して相手方の端末に送信し、また、受信した文字情報を音声情報や点字情報等の異なった情報に変換して出力する情報無線通信携帯端末が開示されている(例えば、特許文献11参照。)。この場合、音声入出力は視覚障害者には有効であるが、目も見えず耳も聞こえないという盲ろう者にとっては通信手段として用いることはできないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−218092公報
【特許文献2】特開2002−344608公報
【特許文献3】特開2003−60742公報
【特許文献4】特開2005−134886公報
【特許文献5】特開2006−171307公報
【特許文献6】特開2007−256771公報
【特許文献7】特開2008−124599公報
【特許文献8】特開2008−209793公報
【特許文献9】特開2006−246108公報
【特許文献10】特開2002−218092公報
【特許文献11】特開2001−69259公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、上記各特許文献には、視覚障害者や盲ろう者の遠隔通信のために、点字情報、音声情報、文字情報の相互変換を行うことができる機器の開示がある。しかしながら、いずれも前述のように様々な問題点を有しており、現実には使いづらいものとなっている。特に盲ろう者を中心とした遠隔通信を行う場合には、通信相手が盲ろう者、視覚障害者あるいは健常者によって相手方の適切な入出力の形態が変わるので、従来に開示された技術では、盲ろう者同士、あるいは盲ろう者と視覚障害者、あるいは盲ろう者と健常者が、特に相手を過剰に意識せず快適な遠隔通信を行うことのできる提案の開示はない。
【0013】
以上述べたように、パーソナルコンピュータや携帯電話を通信機器端末として使用する点字データ通信システムが数多く提案されているが、コミュニケーションの片方が盲ろう者および視覚障害者である場合に、使いやすい通信システムの提案は未だなされていない。また、極限られた範囲内でのみ実用化されている。この原因の一つは、実際の盲ろう者および視覚障害者が点字を使用する時の使い勝手に対するデータの欠如にあると思われる。例えば、点字ピンの間隔が狭い、1行当たりの点字数が少ないなどはこの典型である。
【0014】
本発明の目的は、通信機器として無線パケット通信網に接続可能な携帯電話を利用でき、携帯性に優れ、任意の場所で通信可能で、一つの装置で盲ろう者又は視覚障害者のいずれの場合でも通信相手を問わずに簡単な通信を実現する点字データ通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る点字データ通信装置は、無線パケット通信網に接続可能な携帯電話を通信機器として用い、前記携帯電話と無線または有線で接続可能な点字データ通信装置であって、前記点字データ通信装置は、
前記携帯電話との間でデータの送受信を制御する通信制御部と、
入出力を点字で行う点字モードと、入出力を音声で行う音声モードと、のいずれで行うか判断して、判断された点字モード又は音声モードのいすれかを入出力モードとして設定する入出力モード設定部と、
前記入出力モード設定部で設定された入出力モードにしたがって、点字又は音声での入力を受け付ける入力部と、
前記入出力モード設定部で設定された入出力モードにしたがって、点字又は音声で出力する出力部と、
点字又は音声と、ひらがな文字データとの間で互いに変換する入出力データ変換部と、
を備える。
【0016】
また、前記入出力モード判断部は、入力及び出力を、点字で行う点字モードと、音声で行う音声モードとを切り替える入出力モード設定スイッチによって構成してもよい。
【0017】
さらに、前記入力部は、
点字モードにおいて、点字入力するための点字入力キーと、
音声モードにおいて、音声入力可能なマイクロフォンと、
を備えてもよい。
【0018】
またさらに、前記出力部は、
点字モードにおいて、ひらがな文字データを点字出力するための点字ピンと、
音声モードにおいて、ひらがな文字データを音声出力するためのスピーカと、
を備えてもよい。
【0019】
また、前記入出力データ変換部は、
点字入出力とひらがな文字データとの間で互いに変換する点字−ひらがな変換部と、
音声入出力とひらがな文字データとの間で互いに変換する音声−ひらがな変換部と、
を備えてもよい。
【0020】
前記入出力データ変換部は、さらに、
ひらがな文字データと漢字・ひらがな文字データとの間で互いに変換するひらがな−漢字・ひらがな変換部、を備えてもよい。
【0021】
前記携帯電話の機能を制御する携帯電話機能制御部と、
前記携帯電話機能制御部に働きかけて、前記携帯電話との間の通信を開始する通信開始部と、
を、さらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、携帯性が優れ、サービスエリアの極めて広いという特徴を持つ携帯電話を通信装置に用い、点字ピンによる1行あたり複数文字の点字表示が可能で、点字入力キーによる点字入力が可能で、しかも音声入出力機能を有する点字データ通信装置を入出力装置として使い、両者の接続をBluetooth、WLANなどの無線または有線で行って結合して点字データ通信装置を構成することを特徴とする。
【0023】
本発明の点字データ通信装置は、盲ろう者あるいは視覚障害者に対応する入出力モードとして点字で入出力を行う点字モード、音声で入出力を行う音声モードを有し、これらを切り替えられることを特徴とする。また、点字−ひらがな変換、音声−ひらがな変換、ひらがな−漢字・ひらがな変換の入出力データ変換部を有する。また、メールアドレスとメール文章を記憶するメモリ、および携帯電話との連携機能を有する。
【0024】
前記入出力モードとして、盲ろう者の通信相手が盲ろう者である時には、両者とも入出力モードとして点字モードを選択する。盲ろう者の通信相手が視覚障害者である時には、両者とも入出力モードとして点字モードを選択できる。この場合、盲ろう者側は入出力モードとして点字モード、視覚障害者側は入出力モードとして音声モードを選択できる。盲ろう者の通信相手が健常者である時には、盲ろう者側は入出力モードとして点字モードを選択し、健常者側は入出力モードとして墨字モードを選択する。
【0025】
本発明の点字データ通信装置は、切り替え可能な入出力モードとして点字モード、音声モードあるいは墨字モードを有している。また、点字データ通信装置には「点字−ひらがな変換部」、「音声−ひらがな変換部」および「ひらがな−漢字・ひらがな変換部」の各入出力データ変換部を有する。この「点字−ひらがな変換部」「音声-ひらがな変換部」および「ひらがな−漢字・ひらがな変換部」により、通信路には常にひらがな文字データ又は漢字・ひらがな文字データからなる墨字データを乗せることができる。また、盲ろう者および視覚障害者は、本発明の点字データ通信装置を持ち、健常者側は通常の携帯電話を持つことにより、「盲ろう者同士の通信」「盲ろう者と視覚障害者の通信」「盲ろう者と健常者の通信」、いずれの場合においても、過度に相手の状況を意識しなくても常に快適な通信を行うことができる。
【0026】
また、本発明によれば、通信機器として携帯電話を利用して、点字入出力及び音声入出力可能な点字データ通信装置を構築することができる。これによって、盲ろう者や視覚障害者は、携帯電話をかばんやポケットにいれて、点字データ通信装置を手に持ち、健常者は携帯電話を手に持つだけで電子メール通信が利用できる。これによって、「いつでも、どこでも、だれとでも」、つまり携帯性が優れ、任意の場所で通信可能で、一つの装置で通信相手を問わず簡単な通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1に係る点字データ通信装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る盲ろう者同士の送信フローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る盲ろう者同士の受信フローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態3に係る視覚障害者同士の送信フローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態3に係る視覚障害者同士の受信フローチャートである。
【図6】健常者からの電子メールの送信フローチャートである。
【図7】健常者側での電子メールの受信フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明に係る点字データ通信装置は、無線通信機能を有し入出力モードとして墨字モードを持つ携帯電話と接続可能であって、「点字−ひらがな変換」、「音声−ひらがな変換」、「ひらがな−漢字・ひらがな変換」という変換機能を有し、点字モードおよび音声モードという入出力モードを有し、メールアドレスとメール文章を格納するメモリを有し、前記携帯電話との連携機能を有する。
【0029】
本発明に係る点字データ通信装置では、入出力モードとして点字モード、音声モードあるいは墨字モードを有し、(1)盲ろう者同士、(2)盲ろう者と視覚障害者、(3)盲ろう者と健常者の通信の場合で入出力モードを切り替えて使用する。つまり、(1)盲ろう者同士のコミュニケーションの場合は両者とも入出力モードをいずれも点字モードに設定する。(2)盲ろう者と視覚障害者の場合は、盲ろう者側は入出力モードを点字モードに設定し、視覚障害者側は入出力モードを点字モードまたは音声モードに設定する。(3)盲ろう者と健常者の場合は、盲ろう者側は入出力モードを点字モードに設定し、健常者は入出力モードを携帯電話の墨字モードで使用する。
【0030】
本発明に係る点字データ通信装置では、通信網として携帯電話で一般的な無線パケット通信網を用い(この中にはセルラー網、W−LAN、WiMAXなどが含まれる。)、通信線路でのデータ形式は、墨字(ひらがな、または、漢字・ひらがな)データにする。なお、ここでは、無線パケット通信網に接続可能な携帯機器を携帯電話という名称で呼んでいるが、通常の電話型やPDA型などの様々な型の携帯電話が含まれる。そのため、点字データ通信装置には、点字−ひらがな変換部、音声−ひらがな変換部、ひらがな−漢字・ひらがな変換部を持つ。例えば、点字データ通信装置で入力された点字データまたは音声データは、一端、ひらがな文字データまたは漢字・ひらがな文字データに変換され、無線パケット通信網に乗せられる。そして、墨字モードで出力される場合は、無線パケット通信網で送られてきたひらがな文字データまたは漢字・ひらがな文字データはそのまま受信者側の携帯電話の画面に表示される。音声で出力される場合は、無線パケット通信網で送られてきたひらがな文字データまたは漢字・ひらがな文字データは、点字データ通信装置で音声変換されて音声出力される。点字出力される場合は、ひらがな文字データまたは漢字・ひらがな文字データは点字データ通信装置で点字データに変換されて点字表示される。
【0031】
盲ろう者同士、あるいは盲ろう者と視覚障害者、あるいは盲ろう者と健常者かのいずれかの通信が開始される前には、盲ろう者側では点字データ通信装置の入出力モードを点字モードに設定するだけでよい。これによって、通信相手側が盲ろう者、視覚障害者、あるいは健常者のいずれであっても、盲ろう者側では通信相手を過度に意識しなくても簡単で便利な通信を行うことができる。
【0032】
また、盲ろう者と健常者との間での通信の場合、健常者は漢字・ひらがな文字データが読みやすい。しかし、盲ろう者側では、点字入力を行うため、ひらがな入力を行うため、点字データ通信装置において、ひらがな文字データが難しい文章からなるために漢字・ひらがなデータ変換する際に正確さが欠如する場合がある。また、正確に漢字・ひらがな変換ができない場合も多い。そこで、点字データ通信装置から携帯電話を介して基地局に信号を送り、基地局サーバ側のひらがな−漢字・ひらがな変換アルゴリズムを使用することにより変換精度を上げるようにしてもよい。
【0033】
以下、本発明に係る点字データ通信装置について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る点字データ通信装置200のブロック図である。この点字データ通信装置200は、無線パケット通信網302に接続可能な携帯電話100と無線301a又は有線301bで接続可能である。この点字データ通信装置200は、携帯電話100との送受信を制御する通信制御部220と、入出力を点字で行う点字モード207と、入出力を音声で行う音声モード208と、のいずれかを入出力モードとして設定する入出力モード設定部212と、設定された入出力モードにしたがって、点字又は音声による入力を受け付ける入力部240と、設定された入出力モードにしたがって、点字又は音声による出力を行う出力部250と、点字データ又は音声データと、ひらがな文字データとの間で互いに変換する入出力データ変換部230と、を備える。また、この点字データ通信装置200は、さらに、携帯電話100の機能を制御する携帯電話機能制御部205と、携帯電話機能制御部205に働きかけて、点字データ通信装置200と携帯電話100との間の通信を開始する通信開始ボタン213と、内部メモリ260と、を備える。
【0035】
また、この点字データ通信装置200は、さらに、通信の送受信を振動で知らせるバイブレータ215を備えてもよい。さらに、自己の状態を通信相手に通知する自己状態通知部(自己状態通知ボタン)(図示せず)を備えてもよい。この自己状態通知部によって、例えば、一方の通信者が盲ろう者であることを相手に通知することで、通信相手が健常者の場合には作成するメールをひらがなのみで構成する等の対応が可能となる。
【0036】
<通信制御部>
通信制御部220は、携帯電話100と点字データ通信装置200との間が無線301aで接続される場合に機能する無線通信制御部206aと、有線301bで接続される場合に機能する有線通信制御部206bとを有する。
<入出力モード設定部>
この点字データ通信装置200では、入出力モード設定部212は、点字モードと音声モードとを互いに切り替える入出力モード設定ボタン212として設けている。なお、入出力モード設定部212は、上記の例のように「ボタン」として構成する以外に、使用者の状態を判断して入出力モードを自動的に設定する構成としてもよい。具体的には、音声入出力可能か否かを判断するための音声案内と、点字入出力可能か否か判断するための点字案内と、を組み合わせて、それぞれに対する反応に応じて入出力モードを判断する構成としてもよい。例えば、最初に音声案内を行う。この音声案内に反応して使用者による音声入力があった場合には、入出力モードを音声モードに設定する。一方、音声案内への反応がなかった場合には、次に、点字出力による点字案内を行う。この点字案内に反応して点字入力があった場合には、入出力モードを点字モードに設定する。なお、上記判断例は一例であって、他の判断方法によって入出力モードを設定する構成としてもよい。
【0037】
<入力部>
入力部240は、点字モード207において、点字入力可能な点字入力キー217と、音声モード208において、音声入力可能なマイクロフォン218と、を備える。
<出力部>
出力部250は、点字モード207において、ひらがな文字データを点字出力するための点字ピン227と、音声モード208において、ひらがな文字データを音声出力するためのスピーカ228と、を備える。
【0038】
<入出力データ変換部>
入出力データ変換部230は、点字入出力とひらがな文字データとの間で互いに変換する点字−ひらがな変換部201と、音声入出力とひらがな文字データとの間で互いに変換する音声−ひらがな変換部202と、を備える。なお、入出力データ変換部230は、さらに、ひらがな文字データと漢字・ひらがな文字データとの間で互いに変換するひらがな−漢字・ひらがな変換部と、点字入出力とアルファベット文字データとの間で互いに変換する点字−アルファベット変換部204と、を備えてもよい。
<内部メモリ>
この内部メモリ260は、さらに通信相手のメールアドレスを格納するアドレス帳209、送信データおよびメールアドレスを格納する送信データ・バッファ210、受信データおよびメールアドレスを格納する受信データ・バッファ211を有する。
なお、アドレス帳209は、携帯電話100に記憶されている通信相手のメールアドレスをあらかじめ全てコピーしてアドレス帳209に格納してもよい。あるいは、通信相手を検索する際に、携帯電話100から必要なメールアドレスの部分のみをアドレス帳209にコピーしてもよい。後者の場合には、携帯電話100から受信データ・バッファ211に必要なメールアドレスを取り込んでアドレス帳209にコピーし、その後、削除してもよい。なお、点字データ通信装置200による送受信によって新たに追加されたメールアドレスがある場合には、点字データ通信装置200のアドレス帳209から、携帯電話100のアドレス帳に新たなメールアドレスを追加してもよい。
<携帯電話機能制御部>
携帯電話100と点字データ通信装置200は無線301aまたは有線301bで接続される。コマンド、メールアドレスあるいはメール文章転送は、それぞれ無線通信制御部206aまたは有線通信制御部206bで行われ、両者は携帯電話機能制御部205で制御される。
【0039】
<携帯電話>
携帯電話100は、本発明に係る点字データ通信装置200と無線又は有線で接続可能であって、点字データ通信装置200から制御できる通常の携帯電話を使用できる。この携帯電話100は、無線パケット通信網302と接続可能であって、例えば、入力キー111と、液晶ディスプレイ112と、点字データ通信装置機能制御部103と、無線通信制御部102aと、有線通信制御部102bと、を備える。
【0040】
携帯電話100は、入力キー111で入力する文字データを、液晶ディスプレイ112で出力できる墨字モード101を有する。点字データ通信装置機能制御部103は、点字データ通信装置200との連携機能制御とデータ転送制御を、無線または有線のいずれかを介して行う。携帯電話100と点字データ通信装置200との間を無線301aで接続する場合には、無線通信制御部102aがコマンド、メールアドレスあるいはメール文章の転送を行う。携帯電話100と点字データ通信装置200との間を有線301bで接続する場合には有線通信制御部102bがコマンド、メールアドレスあるいはメール文章の転送を行う。携帯電話100間のデータ転送は、無線パケット通信網302を利用して行われる。
【0041】
<入出力モード>
この点字データ通信装置200では、入出力モードとして、点字モード207と、音声モード208とを有する。
<点字モード>
この点字データ通信装置200では、点字モード207の点字入力用として、例えば、JIS規格などの規格で規定された2×3の点字のそれぞれの点に対応した点字入力キー117を設けている。点字入力の際には、入力したい点字を構成する点字ピンに対応した点字入力キー117を押すことによって点字入力を行う。
一方、この点字データ通信装置200では、点字モード207の点字出力用として、JIS規格で規定された2×3のピンで1文字の点字が構成され、一行に複数文字の点字を構成するように配列された点字ピン127を設けている。点字出力の際には、この点字ピン127を構成する各ピンを上下させて一行の点字出力を行うことができる。ユーザは、点字ピン127の各ピンの上下によって形成される凹凸を指でなぞることによって点字表示を読み取ることができる。
なお、点字入力の際に、点字入力キー117で入力された点字を点字ピン227で直ちに点字表示して、入力確認できるように、点字入力キー217と点字ピン227とを連携させてもよい。
<音声モード>
この点字データ通信装置200では、音声モード108の音声入力用として内蔵マイクロフォン118を備える。音声入力では、内蔵マイクロフォン118で音声を電気信号に変えて音声データを得ることができる。
一方、この点字データ通信装置200では、音声モード108の音声出力用として内蔵スピーカ128を備える。音声出力は、内蔵スピーカ128で音声データの電気信号を音声に変えて行うことができる。
【0042】
<入力データの流れ>
ここで、点字データ通信の(1)点字モード、(2)音声モード、(3)墨字モード、のそれぞれ3通りの入力データの流れを説明する。
<点字モードの場合>
点字データ通信装置200の点字モード207において、点字入力キー217で入力された点字データは、点字−ひらがな変換部201でひらがな文字データに変換される。変換されたひらがな文字データは、無線301aで携帯電話100に送られて無線パケット通信網302に乗せられる。
<音声モードの場合>
また、点字データ通信装置200の音声モード208において、マイクロフォン218で入力された音声データは、音声−ひらがな変換部202でひらがな文字データに変換される。変換されたひらがな文字データは、無線301aで携帯電話100に送られて無線パケット通信網302に乗せられる。
<墨字モードの場合>
また、直接携帯電話100の墨字モード101のキー111で入力された漢字・ひらがな文字データは、通常のメール通信とまったく同様に直接無線パケット通信網302に乗せられる。
【0043】
<出力データの流れ>
次に、(1)点字モード、(2)音声モード、(3)墨字モード、のそれぞれ3通りの出力データの流れを説明する。
<点字モードの場合>
無線パケット通信網302で送られてきたひらがな文字データは、点字データ通信装置200の点字−ひらがな変換部201で点字データに変換される。点字データは、点字モード207において点字ピン217の各ピンを上下させることによって点字表示される。
<音声モードの場合>
また、無線パケット通信網302で送られてきたひらがな文字データは、音声−ひらがな変換部202で音声データに変換される。音声データは、音声モード208のスピーカ228に出力される。
<墨字モードの場合>
また、無線パケット通信網302で送られてきたひらがな文字データあるいは漢字・ひらがな文字データは、そのまま携帯電話100の液晶ディスプレイ121に表示される。
なお、視覚障害者の入出力モードとして音声モードを選択することとしているが、視覚障害者は、点字モードも選択できる。
【0044】
(実施の形態2)
次に、本発明に係る点字データ通信装置を用いた、実施の形態2に係る盲ろう者同士のコミュニケーション例を説明する。図2は、本発明の点字データ通信装置200を使用した盲ろう者同士のコミュニケーションの送信フローチャートである。図3は、受信フローチャートである。図2および図3により、本発明に係る点字データ通信装置200を使用した盲ろう者同士のコミュニケーション例を具体的に説明する。
【0045】
まず、図2を用いて、送信者(盲ろう者A)から受信者(盲ろう者B)への送信フローを説明する。
1.まず、送信者(盲ろう者A)は、通信を行うにあたり入出力モード設定ボタン213により入出力モードとして点字モード207を選択しておく。
2.点字入力キー217を用いて、通信相手の名前を点字入力する。点字データ通信装置200では、内部メモリのアドレス帳209で、通信相手の名前に対応するメールアドレスが登録してあるかを検索する。
3.通信相手の名前に対応するメールアドレスが登録されている場合は、そのメールアドレスが通信相手として選択される。
4.通信相手の名前に対応するメールアドレスが登録されていない場合は、登録されていないことを、点字ピン227を上下させて点字表示して、通信相手のメールアドレスの点字入力を送信者に要求する。送信者は、指で点字ピン227の上下によって形成された凹凸を指でなぞることで「通信相手のメールアドレスが登録されていない」ことを確認する。送信者は、点字入力キー217で通信相手のメールアドレスを点字入力する。
5.通信相手のメールアドレスが送信データ・バッファ210に格納される。
6.点字入力キー217にてメール文章を点字入力していく。
7.入力した点字でのメール文章が送信データ・バッファ210に格納される。
8.メール文章の内容確認が必要な場合は、送信データ・バッファ210に格納された点字でのメール文章を、点字ピン227を上下させて点字表示する。送信者は、点字ピン227の上下によって形成された凹凸を指でなぞってメール文章を確認する。メール文章の内容確認が不必要な場合は、11へ飛ぶ。
9.点字でのメール文章の修正が必要な場合には、点字入力キー217を使って修正する。
10.修正が終わったら、修正後の点字でのメール文章が送信データ・バッファ210に格納される。
11.通信開始ボタン213を押す。
12.送信データ・バッファ210に格納されているメール文章が、点字−ひらがな変換部201でひらがな文字データに変換され、送信データ・バッファ210に格納される。
13.無線通信制御部206aと無線通信制御部102aが共同して送信データ・バッファ210のひらがな文字データを無線301aで携帯電話100に送信する。
14.携帯電話100は、ひらがな文字データのメール文章を無線パケット通信網302で通信相手に送信する。
【0046】
次に、図3に従って受信者である盲ろう者B側の受信フローを説明する。
1.まず、受信者(盲ろう者B)は、通信を行うにあたり入出力モード設定ボタン213により入出力モードとして点字モード207を選択しておく。
2.受信者の携帯電話100でメールを受信する。
3.携帯電話100側の無線通信制御部102aから、点字データ通信装置200側の無線通信制御部206aを介して無線310aでメール着信を点字データ通信装置200に伝える。
4.無線通信制御部206aと無線通信制御部102aが共同してメールを無線301aで点字データ通信装置200に送信する。
5.通信相手のメールアドレスとメール文章のひらがな文字データが受信データ・バッファ211に格納される。
6.通信相手のメールアドレスとメール文章のひらがな文字データが点字−ひらがな変換部201により点字データに変換され、受信データ・バッファ211に格納される。
7.通信相手のメールアドレスとメール文章の点字データが点字ピン227の上下によって構成される点字で表示される。
8.バイブレータ215の振動によって受信者にメール受信があったことを受信者に知らせる。
9.受信者は、点字ピン227の上下によって形成された凹凸を指でなぞることにより、点字で表示された通信相手のメールアドレスとメール文章を読む。
【0047】
ここでは、盲ろう者Aから盲ろう者Bへの通信例を説明したが、盲ろう者Bから盲ろう者Aへの通信も上記と同様である。
【0048】
本発明に係る点字データ通信装置200は、入出力モード設定ボタン212、点字−ひらがな変換部201、携帯電話100との連携機能である携帯電話機能制御部205、無線通信制御部206aあるいは有線通信制御部206bを具備している。そこで、盲ろう者である送受信者は、両者とも手には点字データ通信装置200のみを持ち、携帯電話100は、かばんまたはポケットに入れたままでよい。これによって、携帯性が良好で、点字によるメール通信が可能である。また、本発明の点字データ通信装置200は、携帯電話よりも点字入出力の面積を広く取れるので、1行あたり複数個の点字出力ができるので読み取り精度を向上させることができる。また、点字入力の面積も広く取れるので、点字入力キー217および点字ピン227の間隔を広く取れるため、入出力が容易になる。また、ここでは携帯電話100と点字データ通信装置200との接続を無線301aで行っているが、接続を有線301bで行ってもよい。
【0049】
(実施の形態3)
次に、本発明に係る点字データ通信装置200を用いた、実施の形態3に係る視覚障害者同士のコミュニケーション例を説明する。図4は、本発明に係る点字データ通信装置200を使用した視覚障害者から視覚障害者への送信フローチャートであり、図5は視覚障害者へ送られてきたメールの受信フローチャートである。図4および図5により、本発明の点字データ通信装置200を使用した視覚障害者同士のコミュニケーション例を具体的に説明する。まず、視覚障害者Aから視覚障害者Bへの送信フローを説明する。
1.まず、送信者(視覚障害者A)は、通信を行うにあたり入出力モード設定ボタン213により入出力モードとして音声モード208を選択しておく。
2.送信者は、マイクロフォン218を用いて、通信相手の名前を音声入力する。音声入力された通信相手の名前は、音声−ひらがな変換部202でひらがな文字データに変換される。内部メモリのアドレス帳209で、ひらがな文字データに変換された通信相手の名前に対応するメールアドレスが登録してあるかを検索する。
3.通信相手の名前に対応するメールアドレスが登録してある場合は、そのメールアドレスが通信相手として選択される。
4.通信相手の名前に対応するメールアドレスが登録されていない場合は、マイクロフォン218で通信相手のメールアドレスを音声入力する。
5.通信相手のメールアドレスが送信データ・バッファ210に格納される。
6.通信相手のメールアドレスが設定できたらマイクロフォン218にてメール文章を入力していく。
7.入力した音声でのメール文章が送信データ・バッファ210に格納される。
8.メール文章の内容確認が必要な場合は、送信データ・バッファ210に格納された音声でのメール文章をスピーカ228で発声させて、メール文章の内容確認を行う。メール文章の内容確認が不必要な場合は、11へ飛ぶ。
9.音声でのメール文章の修正が必要な場合には、マイクロフォン218を使って音声入力によって修正する。
10.修正が終わったら、修正後のメール文章の音声データが送信データ・バッファ210に格納される。
11.通信開始ボタン213を押す。
12.送信データ・バッファ210に格納されているメール文章の音声データが、音声−ひらがな変換部201でひらがな文字データに変換され、送信データ・バッファ210に格納される。
13.無線通信制御部206aと無線通信制御部102aが共同して送信データ・バッファ210のひらがな文字データを無線301aで携帯電話100に送信する。
14.携帯電話100は、ひらがな文字データのメール文章を無線パケット通信網302で通信相手に送信する。
【0050】
次に、図5に従って受信者である視覚障害者Bの受信フローを説明する。
1.まず受信者(視覚障害者B)は、通信を行うにあたり入出力モード設定ボタン213により入出力モードとして音声モード208を選択しておく。
2.受信者(視覚障害者B)の携帯電話100がメールを受信する。
3.携帯電話100の無線通信制御部102aから、点字データ通信装置200の無線通信制御部206aを介して無線310aでメール着信を点字データ通信装置200に伝える。
4.無線通信制御部206aと無線通信制御部102aが共同してメールを無線301aで点字データ通信装置200に送信する。
5.通信相手のメールアドレスとメール文章のひらがな文字データが受信データ・バッファ211に格納される。
6.通信相手のメールアドレスとメール文章のひらがな文字データが音声−ひらがな変換部201により音声データに変換され、受信データ・バッファ211に格納される。
7.バイブレータ215の振動によってメール受信を受信者に知らせる。
8.受信者は、スピーカ228によって、音声で相手のメールアドレスとメール文章を聞く。
【0051】
ここでは、視覚障害者Aから視覚障害者Bへの送信例と、視覚障害者Bでの受信例を説明した。なお、送信者が視覚障害者Aに代えて盲ろう者Aであった場合の送信例のフローチャートは図2と同様である。また、受信者が視覚障害者Bに代えて盲ろう者Bであった場合の受信例は図3と同様である。
【0052】
本発明に係る点字データ通信装置200では、入出力モード設定ボタン212、点字−ひらがな変換部201、音声−ひらがな変換部202、携帯電話との連携機能である携帯電話機能制御部205、無線通信制御部206aあるいは有線通信制御部206bを具備している。そこで、盲ろう者あるいは視覚障害者は、両者とも手には点字データ通信装置200のみを持ち、携帯電話100は、かばんまたはポケットに入れたままでよいので、携帯性が良好で、簡単に点字又は音声によるメール通信が可能である。また、ここでは携帯電話100と点字データ通信装置200の接続を無線301aで行っているが、有線301bで接続しても同様である。
【0053】
また、この実施の形態3では、視覚障害者A及びBの入出力モードは音声モード208を選択しているが、入出力モードとして点字モード207を選んでもよい。また、視覚障害者A及びBが入出力モードとして点字モード207を選んだ場合には、盲ろう者同士の通信と全く同様である。
【0054】
(実施の形態4)
次に、本発明に係る点字データ通信装置200を用いた、実施の形態4に係る盲ろう者と健常者との間のコミュニケーション例を説明する。図6は、本発明の点字データ通信装置200を使用した健常者から盲ろう者又は視覚障害者への送信フローチャートであり、図7は、盲ろう者又は視覚障害者から健常者へ送られてきたメールの受信フローチャートである。図6と図7からわかるように、健常者Bからの送信フロー、および健常者側の受信フローは、通常の携帯電話によるメール送受信の場合と同様であるので説明を省略する。
【0055】
一方、盲ろう者Aから健常者Bへの送信例の送信フローチャートは、図2と同様であるが、場合によっては、ひらがな−漢字・ひらがな変換部203によりひらがな文字データを漢字・ひらがな文字データに更に変換して送信してもよい。また、盲ろう者A側での受信例の受信フローチャートは図3と同様であるが、送られてきたデータが漢字・ひらがな文字データである場合には、ひらがな−漢字・ひらがな変換部203により漢字・ひらがな文字データをひらがな文字データに変換し、その後、点字−ひらがな変換部201で点字データに変換する。
【0056】
本発明に係る点字データ通信装置200では、入出力モード設定ボタン212、点字−ひらがな変換部201、ひらがな−漢字・ひらがな変換部203、携帯電話との連携機能である携帯電話機能制御部205、無線あるいは有線通信制御部206bを具備しているので、盲ろう者は、手には点字データ通信装置200のみを持ち、携帯電話101は、かばんまたはポケットに入れたままでよく、健常者は携帯電話を持つだけでよいので、携帯性が良好で、簡単に点字によるメール通信が可能である。また、ここでは携帯電話100と点字データ通信装置200の接続を無線301aで行っているが、有線301bで接続した場合も同様である。
【0057】
なお、本実施の形態4に係る点字データ通信装置200では、ひらがなと漢字・ひらがなの相互変換を点字データ通信装置200に内蔵されたひらがな−漢字・ひらがな変換部203で行っている。さらに、文書の内容が難しくなった場合や、ひらがな文字データと漢字・ひらがな文字データとの間の漢字・ひらがな変換の変換精度を上げるために基地局のサーバのひらがな−漢字・ひらがな変換部を利用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る点字データ通信装置は、無線パケット通信網に接続可能な携帯電話を利用する、点字入出力及び音声入出力可能な点字データ通信装置である。そこで、携帯電話を接続して、盲ろう者同士、あるいは盲ろう者と視覚障害者、あるいは盲ろう者と健常者とが簡単に通信できる点字データ通信装置として有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 携帯電話
101 墨字モード
102a 無線通信制御部
102b 有線通信制御部
103 点字データ通信装置機能制御部
111 入力キー
121 液晶ディスプレイ
200 点字データ通信装置
201 点字−ひらがな変換部
202 音声−ひらがな変換部
203 ひらがな−漢字・ひらがな変換部
204 点字−アルファベット変換部
205 携帯電話機能制御部
206a 無線通信制御部
206b 有線通信制御部
207 点字モード
208 音声モード
209 アドレス帳
210 送信データ・バッファ
211 受信データ・バッファ
212 入出力モード設定ボタン(入出力モード設定部)
213 通信開始ボタン
215 バイブレータ
217 点字入力キー
218 マイクロフォン
220 入力変換部
227 点字ピン
228 スピーカ
230 通信制御部
240 入力部
250 出力部
260 内部メモリ
301a 無線
301b 有線
302 無線パケット通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線パケット通信網に接続可能な携帯電話を通信機器として用い、前記携帯電話と無線または有線で接続可能な点字データ通信装置であって、前記点字データ通信装置は、
前記携帯電話との間でデータの送受信を制御する通信制御部と、
入出力を点字で行う点字モードと、入出力を音声で行う音声モードと、のいずれで行うか判断して、判断された点字モード又は音声モードのいすれかを入出力モードとして設定する入出力モード設定部と、
前記入出力モード設定部で設定された入出力モードにしたがって、点字又は音声での入力を受け付ける入力部と、
前記入出力モード設定部で設定された入出力モードにしたがって、点字又は音声で出力する出力部と、
点字又は音声と、ひらがな文字データとの間で互いに変換する入出力データ変換部と、
を備える、点字データ通信装置。
【請求項2】
前記入出力モード判断部は、入力及び出力を、点字で行う点字モードと、音声で行う音声モードとを切り替える入出力モード設定スイッチである、請求項1に記載の点字データ通信装置。
【請求項3】
前記入力部は、
点字モードにおいて、点字入力するための点字入力キーと、
音声モードにおいて、音声入力可能なマイクロフォンと、
を備える、請求項1又は2に記載の点字データ通信装置。
【請求項4】
前記出力部は、
点字モードにおいて、ひらがな文字データを点字出力するための点字ピンと、
音声モードにおいて、ひらがな文字データを音声出力するためのスピーカと、
を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の点字データ通信装置
【請求項5】
前記入出力データ変換部は、
点字入出力とひらがな文字データとの間で互いに変換する点字−ひらがな変換部と、
音声入出力とひらがな文字データとの間で互いに変換する音声−ひらがな変換部と、
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の点字データ通信装置。
【請求項6】
前記入出力データ変換部は、さらに、
ひらがな文字データと漢字・ひらがな文字データとの間で互いに変換するひらがな−漢字・ひらがな変換部、を備える請求項5に記載の点字データ通信装置。
【請求項7】
前記携帯電話の機能を制御する携帯電話機能制御部と、
前記携帯電話機能制御部に働きかけて、前記携帯電話との間の通信を開始する通信開始部と、
を、さらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の点字データ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−199500(P2011−199500A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62849(P2010−62849)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】