説明

点字刻印器

【解決課題】 ピン位置決め板の所定位置への刻印ピンの配置を速やかに行うことができ、煩雑さを減らす点字刻印器を提供すること。
【解決手段】 複数のドット位置に貫通孔を開けて一文字区画を形成し、この一文字区画を、点字を連ねる方向へ複数配列したピン位置決め板(1)と、すべての貫通孔に配置した刻印ピン(9)と、ピン位置決め板の下方に間隔をおいて配置される基盤(31)と、3つのドット位置のグループ毎にドット位置に対応して基盤に配置されるスライド板(37)とを備え、スライド板がグループ内の貫通孔に配置した刻印ピンの進出と退去を定める凸面(37a,37b,37c)及び凹面(37d,37e)を刻印ピンに対向する上面に有し、上面の長さ方向へ移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は点字刻印器に関し、特に、各点字を構成する複数のドット位置に貫通孔を開けると共に、これら貫通孔のうち、1又は複数の所定の貫通孔に1又は複数の刻印ピンを配置して紙やカードのような被刻印シートに刻印する点字刻印器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、点字として6点式点字が使用されている。この6点式点字は、各点字を6つのドット位置で構成したもので、6つのドット位置を縦二列に平行に並べて各列に3つのドット位置を配置している。所定のドット位置を読み面が凸となるように被刻印シートに刻印すると、所定の点字が刻印される。
【0003】
複数の点字を被刻印シートに刻印するには、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、6つのドット位置にそれぞれ貫通孔を開けて一文字区画を形成し、これら一文字区画を例えば横方向に相当数配列したピン位置決め板を用意すると共に、各一文字区画毎に所定の貫通孔に1又は複数の刻印ピンを差しこむ。一方、刻印ピンの頭部が被刻印シートと共に挿入可能である複数の凹部をピン位置決め板の複数の貫通孔に対応する位置に形成した押圧板をピン位置決め板の上方に配置し、両者の間に被刻印シートを置いて押圧板を押し下げる。
【特許文献1】特開昭62−90268号公報
【特許文献2】特開平05−238125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明では、底板上にピン位置決め板を配置すると共に、頭部と同じ径の第1柱部と第1柱部より径の大きな第2柱部からなる刻印ピンの第2柱部をピン位置決め板の所定の貫通孔に挿入し、ピン位置決め板から上方へ進出する第1柱部が挿入できる貫通孔を有する抜け防止板をピン位置決め板の上に載せて刻印ピンを所定位置に保持している。刻印すべき点字を変更しようとする場合、抜け防止板をピン位置決め板から外し、ピン位置決め板に配置されている刻印ピンを抜き、新たな所定の貫通孔に刻印ピンを挿入し、再び抜け防止板をピン位置決め板の上に載せる必要があることから、ピン位置決め板に刻印ピンを配置する作業に手間取り、煩雑である。
【0005】
特許文献2に記載された発明では、フランジ付き刻印ピンをピン位置決め板の下方から所定の貫通孔に挿入してフランジを貫通孔の縁に突き当てると共に、ピン位置決め板を底板上に置いてピン位置決め板を底板にねじ止めし、ピンを所定位置に保持している。刻印すべき点字を変更しようとする場合、ねじを緩めてピン位置決め板を底板から外し、ピン位置決め板に配置されているピンを抜き、新たな所定の貫通孔に刻印ピンを挿入し、再びピン位置決め板を底板上に置いてピン位置決め板を底板にねじ止めする必要があることから、ピン位置決め板の底板への着脱作業やピン位置決め板への刻印ピンの配置作業に手間取り、煩雑である。加えて、ピンにフランジを設けているため、ピンの加工に時間がかかる。
【0006】
この発明の目的は、ピン位置決め板の所定位置への刻印ピンの配置を速やかに行うことができ、煩雑さを減らすことができる点字刻印器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するためにこの発明は、次の構成を備え、作用効果を奏する。なお、何れかの請求項記載の発明の構成等を説明するに当って行う用語の定義等は、その性質状可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
【0008】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る点字刻印器は、点字を横方向に連ねて、又は縦方向に連ねて被刻印シートに刻印するものであり、各点字を構成する複数のドット位置を少なくとも3つ又は少なくとも2つのドット位置を含むグループに分け、各グループに含まれる少なくとも3つ又は少なくとも2つのドット位置を、点字を連ねる方向と実質的に直交する方向に配置すると共に、複数のドット位置に貫通孔を開けて一文字区画を形成し、この一文字区画を、点字を連ねる方向へ1又は複数配列したピン位置決め板と、前記すべての貫通孔に挿入配置した刻印ピンであって、各刻印ピンの頭部がピン位置決め板の上面から上方へ進出する位置とピン位置決め板の上面から退去する位置とをとる刻印ピンと、前記ピン位置決め板の下方に間隔をおいて配置される基盤と、前記少なくとも3つ又は少なくとも2つのドット位置のグループ毎にドット位置に対応して前記基盤に配置されるスライド板であって、前記グループ内の貫通孔に配置した前記刻印ピンの進出と退去を定める凸面及び凹面を刻印ピンに対向する上面に有し、上面の長さ方向へ移動可能に支持されるスライド板と、前記刻印ピンの頭部が被刻印シートと共に挿入可能である複数の凹部を前記複数の貫通孔に対応する位置に形成した押圧板であって、前記ピン位置決め板の上方に配置され、前記基盤と相俟って前記ピン位置決め板及び前記スライド板をはさむ押圧板と、前記押圧板を上下方向へ移動させる昇降機構とを備えることを特徴とする。
【0009】
現在一般的に使用されている点字は6点式点字であり、縦二列で各列に3つのドット位置を配置した各点字は通常の文字と同様に、上下関係や左右関係が定まっている。そこで、同一の点字刻印器を使用して点字を横方向に連ねて刻印する、いわゆる横書きの場合と、点字を縦方向に連ねて刻印する、いわゆる縦書きの場合とでは、点字の向きを変える必要がある。通常、横書きの場合も縦書きの場合も、一文字区画を横方向に配列して刻印する形態、いわゆる横打ち横書きタイプ、また横打ち縦書きタイプが採用される。そこで、横書きの場合には、各グループに3つのドット位置を含ませて一文字区画を2つのグループで構成する。また縦書きの場合には、各グループに2つのドット位置を含ませて一文字区画を3つのグループで構成する。そして、凸面及び凹面の位置を3つのドット位置に対応するように形成したスライド板、又は2つのドット位置に対応するように形成したスライド板を使用することにより横書きと縦書きに対処できる。
【0010】
6つ以外の複数のドット位置、例えば8つのドット位置で各点字を構成する特殊な要請に対処することもできる。横書きの場合には、各グループに4つのドット位置を含ませて一文字区画を2つのグループで構成する。また縦書きの場合には、各グループに2つのドット位置を含ませて一文字区画を4つのグループで構成する。さらに、9つのドット位置で各点字を構成する要請に対処することもできる。横書きの場合には、各グループに3つのドット位置を含ませて一文字区画を3つのグループで構成する。また縦書きの場合には、各グループに3つのドット位置を含ませて一文字区画を3つのグループで構成する。
【0011】
請求項1の点字刻印器によれば、刻印ピンをすべての貫通孔に予め配置してあるため、刻印すべき点字を変更する場合でも、ピン位置決め板から刻印ピンを抜いたり、ピン位置決め板に刻印ピンを再配置したりする手間が不要となり、速やかな変更が期待できる。また、スライド板を移動して刻印ピンの進出と退去を行わせて所定の点字をうるため、煩雑さは少ない。
【0012】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1の点字刻印器の基本構成に加え、前記刻印ピンは磁力によって前記ピン位置決め板に仮に保持されることを特徴とする。
【0013】
仮に保持されるとは、刻印ピンの頭部がピン位置決め板の上面から退去しているか、又は上方へ進出していても、わずかな力によって退去する状態をいう。刻印ピンの例えば、下方部分に磁石を埋設するか、又は刻印ピンの全体を磁石で作ると共に、ピン位置決め板を強磁性材料で作る。この場合の磁力は、刻印ピンを仮に保持することができる大きさでよい。
【0014】
請求項2の点字刻印器によれば、刻印ピンが磁力によってピン位置決め板に仮に保持されるため、ピン位置決め板を基盤上に組み込むときや、点字刻印器をある場所から別の場所へ移すときなどに、刻印ピンが脱落するのを防ぐことができる。
【0015】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1の点字刻印器の基本構成に加え、前記刻印ピンは前記頭部と、頭部から下方へ延びる第1柱部と、第1柱部から境界面を介して下方へ延びる、第1柱部より外径の小さな第2柱部とからなり、前記ピン位置決め板の前記貫通孔は、第1柱部が摺動する第1孔部と、第1孔部から肩を介して下方へ延びる、第1孔部より内径の小さな、第2柱部が摺動する第2孔部とからなり、前記刻印ピンは前記境界面を前記肩に載せて仮に保持されることを特徴とする。
【0016】
第1柱部と第2柱部は、刻印ピンが境界面を肩に載せて仮に保持されるとき、第2柱部の下方部分がピン位置決め板の下面から下方へ進出するように、かつ、進出した第2柱部の下方部分がスライド板の凸面によって上方へ押し上げられるとき、刻印ピンの頭部がピン位置決め板の上面から上方へ進出して適切な位置をとるように、全体的に長さを定める。第1柱部が第2柱部より長くても、同じでも、短くてもよい。
【0017】
請求項3の点字刻印器によれば、刻印ピン及びピン位置決め板の貫通孔の機械加工による、いわゆる相補形状によって刻印ピンを仮に保持するため、刻印ピン及びピン位置決め板それぞれの強度が保たれる限り、刻印ピンやピン位置決め板を種種の材料で作ることができる。
【0018】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1乃至3何れかの点字刻印器の基本構成に加え、前記スライド板は、前記ピン位置決め板をはさむように前記スライド板の移動方向に間隔をおいて配置され、ピン位置決め板に突き当たる一対のストッパを備え、これらストッパは、前記スライド板の凸面及び凹面が前記刻印ピンを進出及び退去させるのに必要なスライド板の移動距離より大きな間隔で位置することを特徴とする。
【0019】
ストッパはスライド板と一体に作ることもでき、また別個に作ったものをスライド板に接着、溶接等によって取りつけることもできる。
【0020】
請求項4の点字刻印器によれば、スライド板は前後方向へ進退するところ、一対のストッパを、ピン位置決め板をはさんで配置してあり、その間隔をスライド板の移動距離より大きくしてあるため、スライド板が前方へ進出しても、後方へ退出してもスライド板の抜けを防ぐことができる。また、ストッパがスライド板の機能を損なうことがない。
【0021】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1乃至4何れかの基本構成に加え、前記スライド板はスライド板の移動方向に等間隔をおいた複数の切欠きを下面に有し、前記基盤は、上方の進出位置に向けて偏倚され、進出位置で前記切欠きに嵌まるストッパピンを備え、当該ストッパピンはスライド板を移動させる力によって下方へ退去することを特徴とする。
【0022】
スライド板の複数の切欠きは、切欠き間の間隔はスライド板の1ピッチ、つまりスライド板がある距離移動したとき、ある凸面又は凹面と係合していた各グループ内の各刻印ピンが別の凸面又は凹面と係合するようになる距離と等しいことが好ましい。しかし、切欠き間の間隔をスライド板の1ピッチの整数倍分の1に定めることもできる。例えば、スライド板が1ピッチ移動したとき、ストッパピンが2つの切欠きと係合するように定めることもできる。ストッパピンはばねによって進出位置に向けて偏倚させる。そのばねのばね力は、スライド板を移動させる力によってストッパピンが下方へ退去することができるような大きさである。
【0023】
請求項5の点字刻印器によれば、スライド板を移動するとき、ストッパピンが切欠きに嵌まるカチカチ音が生ずることから、そのカチカチ音を数えることでスライド板が何ピッチ動いたかを確認できる。視認によって各刻印ピンの進出、退去状況を確認することができるが、視認できない場合にはカチカチ音でスライド板のピッチ数を確認し、そのピッチ数から刻印ピンの進出、退去状況を推量する。
【0024】
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1乃至5何れかの基本構成に加え、前記昇降機構は、前記基盤に設けた支持台に上下方向へ移動可能に支持され、前記押圧板を固定する昇降材と、前記支持台に回転可能に支持される枢軸に固定される取っ手付きアームと、アームの枢軸回りの回転を昇降材に伝達する手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
支持台に2つの枢軸を取りつけて各枢軸にアームを固定し、これらアームを取っ手で結合した、いわゆるコ字形タイプにするか、又は単一のアームに取っ手を結合した、いわゆるT形タイプにする。昇降材はばね又は空気シリンダによって上方へ向けて偏倚させることが好ましい。枢軸にピニオンを固定し、昇降材にピニオンとかみ合うラックを取りつけてアームの回転を昇降材の上下運動として伝達する。その他、アーム及び昇降材に枢軸で連結したリンクを使用してアームの回転を昇降材の上下運動として伝達することができる。
【0026】
請求項6の点字刻印器によれば、取っ手付きアームによって昇降材を上下させ、昇降材と共に押圧板を上下させるため、操作が簡単である。
【0027】
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1の基本構成に加え、前記点字刻印器は一文字区画を横に複数配列し、各一文字区画を2つのグループに分け、各グループに3つのドット位置を含む横書き用であることを特徴とする。
【0028】
請求項7の点字刻印器によれば、縦二列で各列に3つのドット位置を配置した6点式点字を使用して横打ち横書きをする専用器が得られる。
【0029】
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明に係る点字刻印器は、請求項1の基本構成に加え、前記点字刻印器は一文字区画を横に複数配列し、各一文字区画を3つのグループに分け、各グループに2つのドット位置を含む縦書き用であることを特徴とする。
【0030】
請求項8の点字刻印器によれば、縦二列で各列に3つのドット位置を配置した6点式点字を使用して横打ち縦書きをする専用器が得られる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る点字刻印器によれば、ピン位置決め板の所定位置への刻印ピンの配置を速やかに行うことができ、煩雑さを減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、各図を参照しながら、この発明の実施形態について説明する。図1は第一の実施形態に係るピン位置決め板を示す平面図、図2は図1に示したピン位置決め板と刻印ピンを示す正面図、図3は図1のX−X線に沿って切断した拡大断面図、図4は第二の実施形態に係るピン位置決め板を示す平面図、図5は図4のY−Y線に沿って切断した拡大断面図、図6はピン位置決め板の貫通孔と刻印ピンの別の実施形態を示す、図3と同様な拡大断面図、図7はピン位置決め板に配置した刻印ピンとスライド板を示す拡大断面図、図8はピン位置決め板を基盤に、スライド板を基盤に取りつける状態を示す斜視図、図9はスライド板を取りつけた基盤にピン位置決め板を取りつける状態を示す斜視図、図10は基盤に固定されたピン位置決め板と押圧板を示す斜視図、図11は点字刻印器の斜視図、図12はスライド板を移動して刻印ピンを所定の進出位置、退去位置に置く状態を示す平面図、図13は図12の正面図、図14は刻印する状態を示す平面図である。
【0033】
以下の説明において、実質的に同じ機能を果たし、実質的に同じ構造の部品には同一の符号をつけ、詳細な説明を省略することもある。なお、6点式点字を使用する実施形態について説明する。
【0034】
(ピン位置決め板の第一の実施形態)
図1のピン位置決め板1は、二点鎖線で囲った複数の一文字区画3を有する。この二点鎖線は、文字区画3が占有する領域を概念的に示したものである(後述する第二の実施形態において同じ)。各一文字区画3は、6つのドット位置5を2つの縦に並ぶ3個ずつのグループ5a,5bに分け、各ドット位置5には、ピン位置決め板1の厚み方向に貫通する貫通孔5hを開けてある。ドット位置5は、貫通孔5hを形成する位置を示す。つまり、ドット位置5は貫通孔5hそのものである。各グループのドット位置5を、点字を連ねる方向、この実施形態では横書きの左右方向と実質的に直交する上下方向に配置し、6つのドット位置に上述したように貫通孔5hを開けて形成してある。複数の一文字区画3は左右方向に等間隔をおいて配列する。図1に示すピン位置決め板1には、被刻印シートの読み面に左端から右方にむけてア、イ、ウ、エ、オが刻印されるように、進出した刻印ピンを黒丸で示してある。ピン位置決め板1は左右の側部にそれぞれ2つのねじ孔7を有する。なお、上記した、ア、イ、ウ、エ、オは、文字列の一例であることはいうまでもない。さらに、文字数は、少なくとも1文字あればよい(後述する第二の実施形態において同じ)。
【0035】
刻印ピン9はピン位置決め板1のすべての貫通孔5h,・・に配置する。図1では20個の一文字区画3をピン位置決め板1に配列しているため、合計120本の刻印ピン9を使用している。刻印ピン9は、図3の矢印Aで示すように外力を受けて上下に動き、各刻印ピン9の頭部9aがピン位置決め板1の上面1aから上方へ進出する位置と、ピン位置決め板1の上面1aから退去する位置とをとる。退去した刻印ピン9の下方部分は、ピン位置決め板1の下面1bから下方へ進出する。すなわち、各刻印ピン9は、貫通孔5h内を上下方向(ピン位置決め板1の厚み方向)に移動可能に構成してある。図3ではグループ内の3つの貫通孔5hそれぞれに刻印ピン9を挿入してあり、中央の刻印ピン9の頭部9aが上方へ進出し、左右の刻印ピン9の頭部が退去している。刻印ピン9の頭部9aは進出方向に丸い半球状であり、従来の点字刻印器と同様に、被刻印シートに適切な凸を刻印することができる。
【0036】
(ピン位置決め板の第二の実施形態)
図4のピン位置決め板11は、二点鎖線で囲った複数の一文字区画13を有する。各一文字区画13は、6つのドット位置15を縦に並ぶ2個ずつ3つのグループ15a,15b,15cに分け、各ドット位置15には、ピン位置決め板11の厚み方向に貫通する貫通孔15hを開けてある。ドット位置15は、貫通孔15hを形成する位置を示す。つまり、ドット位置15は貫通孔15hそのものである。各グループのドット位置15を、点字を連ねる方向、この実施形態では縦書きの左右方向と実質的に直交(略直交)する上下方向に配置し、6つのドット位置に上述したように貫通孔15hを開けて形成してある。複数の一文字区画13は左右方向に等間隔をおいて配列する。図4に示すピン位置決め板11には、被刻印シートの読み面に左端から右方にむけてア、イ、ウ、エ、オが刻印されるように、進出した刻印ピンを黒丸で示してある。ピン位置決め板11の全体の寸法や形状は位置決め板1と同じであり、ピン位置決め板11は左右(長手方向)の側部にそれぞれ厚み方向に貫通する2つのねじ孔7を有する。
【0037】
刻印ピン9はピン位置決め板11のすべての貫通孔に挿入配置する。刻印ピン9は、図5の矢印Aで示すように外力を受けて上下に動き、各刻印ピン9の頭部9aがピン位置決め板11の上面11aから上方へ進出する位置と、ピン位置決め板11の上面11aから退去する位置とをとる。退去した刻印ピン9の下方部分は、ピン位置決め板11の下面11bから下方へ進出する。図5ではグループ内の2つの貫通孔5hそれぞれに刻印ピン9が挿入してあり、図5に向って左の刻印ピン9の頭部9aが上方へ進出し、右の刻印ピン9の頭部が退去している。
【0038】
(刻印ピンの実施形態)
図3及び図5に示した刻印ピン9は磁石(たとえば、磁性を帯びた鉄)で作られており、強磁性材料のピン位置決め板1,11に磁力によって吸着するので、この吸着によって貫通孔5h内に仮に保持される。刻印ピン9に磁性を帯びさせたのは、主として、ピン位置決め板1,11を基盤31から取り外したときに刻印ピン9が貫通孔5hから落下しないようにするためである。したがって、たとえば、刻印ピン9の落下を不便と感じない場合、刻印ピン9の落下を阻止するための他の手段を講じた場合には、磁性を帯びさせる必要は必ずしもない。
【0039】
図6に示した刻印ピン19は頭部19aと、頭部19aから下方へ延びる第1柱部19bと、第1柱部19bから境界面21を介して下方へ延びる、第1柱部19bより外径の小さな第2柱部19cとからなる。一方、ピン位置決め板1´の貫通孔23は、第1柱部19bが摺動する第1孔部23aと、第1孔部23aから肩25を介して下方へ延びる、第1孔部23aより内径の小さな、第2柱部19cが摺動する第2孔部23bとからなる。刻印ピン19と貫通孔23は機械加工で作る。
【0040】
刻印ピン19は境界面21を肩25に載せて仮に保持される。この状態で第2柱部19cの下方部分がピン位置決め板1´の下面1´bから下方へ進出する長さdは、進出した第2柱部の下方部分がスライド板の凸面によって上方へ押し上げられる結果、刻印ピンの頭部19aがピン位置決め板1´の上面1´aから上方へ進出する長さDと等しい。刻印ピン19はピン位置決め板11、すなわちグループに2つの刻印ピンを配置するピン位置決め板11の場合にも適用できる。
【0041】
(基盤とスライド板の実施形態)
基盤31がピン位置決め板1の下方に間隔をおいて配置される。図8に示すように、基盤31は19枚の仕切り板33によって20個の区画35に仕切られている。仕切り板33はピン位置決め板1の下面1bと接触する支持部33aと、支持部33aから延びている仕切り部33bを有する。仕切り板33は基盤31を製作する際、金属を鋳造して、又は樹脂を射出成形して基盤31と一体に作ることが好ましい。
【0042】
スライド板37が基盤31に配置され、支持される。図示の実施形態のように、基盤31が仕切り板33によって定められた区画35を有する場合、スライド板37を区画35内に配置する。各グループの3つのドット位置5(貫通孔5h,刻印ピン9)に対応して一つのスライド板37を配置することから、ピン位置決め板1の各一文字区画3に含まれる2つのグループ5a,5bのために2枚のスライド板37を区画35内に配置する。
【0043】
前述のように、ピン位置決め板11の各一文字区画13に含まれるグループは3つであるから、ピン位置決め板11を使用する場合、区画内に3枚のスライド板を配置する必要がある。換言すると、基盤31に仕切り板を設けて区画を定める場合、ピン位置決め板1用の区画35を備える基盤31はピン位置決め板11を使用する場合には使用できないため、3枚のスライド板が入る区画を備える基盤を別途製作する必要がある。
【0044】
スライド板37は、各グループ内の貫通孔に配置した刻印ピン9の進出を定める同じレベルにある凸面37a,37b,37cと、退去を定める同じレベルにある凹面37d,37eを刻印ピンに対向する上面39に有し、上面39の長さ方向へ移動可能に支持される。すなわち、凸面37a,37b,37cは、何れもピン位置決め板1の下面1bに密着可能な高さに形成してあり、凹面37d,37eはピン位置決め板1の下面1bに対して同じ深さ寸法に形成してある。凹面37dは凸面37aと凸面37bとの間にあり、実質的に、刻印ピン9の3本分と刻印ピン9相互間の間隔の3つ分を加えた長さを有する。また、凹面37eは凸面37dと凸面37cとの間にあり、実質的に、刻印ピン9の1本と前記間隔を加えた長さを有する。なお、刻印ピン19についてもスライド板37による操作は全く同じであるため、次には刻印ピン9について説明する。
【0045】
図7を参照して、スライド板37による刻印ピン9の操作を説明する。スライド板37を矢印B方向で右向きに引っ張ると、3本の刻印ピン9が凸面37aに載る。その結果、3本の刻印ピン9の頭部9aがピン位置決め板1の上面から上方へ進出する(図7(a))。
【0046】
2本の刻印ピン9を進出位置にするには次の3通りがある。図7(a)を基準にして説明する。図7(a)において、左の刻印ピンと中央の刻印ピンを進出位置にする場合、スライド板37を1ピッチ、つまり刻印ピン9と刻印ピン相互間の間隔を加えた長さ左方へ押し込む。そうすると、右の刻印ピン9が凹面37dに落ちて頭部9aが退去する。左の刻印ピン9と右の刻印ピン9を進出位置にする場合、スライド板37を6ピッチ左方へ押し込む。そうすると、右の刻印ピンが凸面37cに載り、中央の刻印ピンが凹面37eに落ちて頭部9aが退去し、左の刻印ピンが凸面37bに載る。中央の刻印ピン9と右の刻印ピン9を進出位置にする場合、スライド板37を7ピッチ左方へ押し込む。そうすると、右の刻印ピン9と中央の刻印ピン9が凸面37cに載り、左の刻印ピン9が凹面37eに落ちて退去する。換言すると、中央の刻印ピン9は凸面37cによって押し上げられて移動する。この押し上げる力が、刻印ピン9が受ける外力である。刻印ピン9が磁性を帯びている場合には、その吸着力により自重落下しない場合があり得るが、そのときは、上から指や被刻印シートによって押圧すれば退去させることができる。
【0047】
1本の刻印ピン9の頭部9aを進出位置にするには次の3通りがある。左の刻印ピン9を進出位置にする場合、スライド板37を図7(a)の位置から2ピッチ左方へ押し込む。そうすると、図7(b)に示すように右の刻印ピンと中央の刻印ピンが凹面37dに落ちて頭部が退去する。中央の刻印ピン9を進出位置にする場合、スライド板37を図7(a)の位置から5ピッチ左方へ押し込む。そうすると、図7(c)に示すように右の刻印ピン9が凹面37eに落ち、中央の刻印ピン9が凸面37bに載り、左の刻印ピン9が凹面37d上に位置する。右の刻印ピン9を進出位置にする場合、スライド板37を図7(a)の位置から4ピッチ左方へ押し込む。そうすると、右の刻印ピン9が凸面37bに載り、中央の刻印ピン9と左の刻印ピン9が凹面37d上に位置する。
【0048】
刻印ピン9が一本も進出しない状態、つまり3本の刻印ピン9を退去位置にするには、スライド板37を図7(a)の位置から3ピッチ押し込み、3本の刻印ピン9を凹面37d上に位置させる。
【0049】
ピン位置決め板11を使用する場合のスライド板は、前記スライド板37の凸面及び凹面の配置に準じて形成する。この場合、2本の刻印ピンが進出している場合の1通り、1本の刻印ピンが進出している場合の2通り、2本の刻印ピンが退去している場合の1通りの操作を達成するようにする。
【0050】
スライド板37はスライド板の移動方向に等間隔をおいた複数の切欠き41を下面40に有する。切欠き41は2つの傾斜面を有するもので断面が三角形状を呈しており、2つの傾斜面は下面40で最も大きな幅を有し、上方に向けて収斂している。1つの切欠き41と隣接する切欠き41との間の間隔Pはスライド板37の1ピッチと等しい。
【0051】
基盤31は進出位置で前記切欠き41に嵌まるストッパピン43を備える。ストッパピン43は球体であり、ばね45によって上方の進出位置に向けて偏倚されている。ばね45のばね力は小さいため、スライド板37を移動させる水平力によってストッパピン43を下方へ押し下げることができる。
【0052】
スライド板37は、ピン位置決め板1をはさむようにスライド板37の移動方向に間隔をおいて配置され、ピン位置決め板1に突き当たる一対のストッパ38a,38bを備える。これらストッパ38a,38bは、スライド板37の凸面37a,37b,37c及び凹面37d,37eが刻印ピン9を進出及び退去させるのに必要なスライド板37の移動距離より大きな間隔で位置する。ストッパ38a,38bはスライド板37の製作の際、スライド板37の一部として作られる。
【0053】
図9に示すように、ピン位置決め板1の貫通孔のすべてに刻印ピン9を挿入したピン位置決め板1を、スライド板37を所定位置に配置した基盤31上に置き、ねじ孔7にねじ47を差し込んで基盤31のねじ孔32にねじ込み、ピン位置決め板1を基盤31に固定する。
【0054】
(押圧板の実施形態)
押圧板51は、図10に示すように、刻印ピン9,19の頭部9a,19aが被刻印シートと共に挿入可能である複数の凹部53をピン位置決め板1の複数の貫通孔に対応する位置に有する。押圧板51は、ピン位置決め板1の上方に配置され、矢印Cのように下方へ移動して基盤31と相俟ってピン位置決め板1及びスライド板37をはさむ。
【0055】
(昇降機構の実施形態)
図11に示す点字刻印器75は、ベース部60と、ベース部60の一端側上面に設けた昇降機構55と、をその主要部品として構成してあり、ベース部60の上に前述した基盤31等を設置してある。昇降機構55は、ベース部60の上にベース部60の幅方向に対向して起立する支持台57,57を備えている。支持台57,57は、前述した押圧板51を固定する昇降材59,59と、支持台57上端部に回転可能に支持される枢軸61,61に固定される取っ手63付きアーム65と、アーム65の枢軸61回りの回転を昇降材59に伝達する手段67とを備える。
【0056】
図11の実施形態では、2つの支持台57のそれぞれに枢軸61を取りつけて各枢軸61にアーム65を固定し、これらアーム65を取っ手63で結合した、いわゆるコ字形タイプである。昇降材59は図示しないばねによって上方へ向けて偏倚されている。アーム65の回転を昇降材59に伝達する手段67は枢軸61に固定したピニオン69と、昇降材59に固定した、ピニオン69とかみ合うラック71とからなる。アーム65を枢軸61を中心として矢印Eのように回転させるとピニオン69が回転する。ピニオン69の回転はラック71を上下動させ、これに伴いラック71に取りつけてある昇降材59が上下運動する。昇降材59の降下は押圧板51を押し下げ、被刻印シートに点字を刻印させる。これとは逆に昇降材59の上昇は押圧板51を上昇させる。
【0057】
(刻印操作)
図11に示した点字刻印器75を使用して被刻印シートに点字を刻印するには次のようにする。図12及び図13に示すように、一文字区画のグループ毎にスライド板37を移動してピン位置決め板1の所定の刻印ピン9を進出位置又は退去位置にする。例えば、左端にアを刻印する場合、第1の一文字区画81にある2つのスライド板37のうち、左のスライド板37Lを使用して、3つの刻印ピンのうち最も奥にある刻印ピン(図7(a)の左の刻印ピン)を凸面37aと係合させて進出位置におく。また、右のスライド板37Rを使用して3つの刻印ピンを凹面37dに導く。順次、第2の一文字区画82、第3の一文字区画83のように、刻印すべき点字に応じて刻印ピン9の進出及び退去を定める。このとき、ストッパピン43とスライド板37の切欠き41の作用で、スライド板37を所定位置に速やかに導くことができる。
【0058】
スライド板37による刻印ピン9の設定が完了した後、ピン位置決め板1の上に厚紙などを置き、刻印ピン9の頭部を軽く押える。これは磁力によってピン9が仮に保持されている場合、仮の保持を解消し、不要な頭部が刻印の障害となるのを防ぐためである。刻印ピン19の場合にはこの作業は不要である。
【0059】
図14に示すように、ピン位置決め板1の上に被刻印シート85を導く。図示の実施形態では被刻印シート85は名刺の大きさであり、名刺に刻印することができる。断面がL形の位置決め具87を基盤31に取りつけておき、被刻印シート85のエッジを位置決め具87に突き当てたとき、所定の箇所に刻印できるようにすることが好ましい。被刻印シート85を所定位置に配置した後、取っ手63によってアーム65を回転し、押圧板51を押し下げて被刻印シート85に刻印して刻印が完了する。アーム65を逆向きに回転し、被刻印シート85を取り出す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第一の実施形態に係るピン位置決め板を示す平面図で、いくつかの点字について読み面が凸となる刻印ピンの進出状態を黒丸で示してある。
【図2】図1に示したピン位置決め板と刻印ピンを示す正面図である。
【図3】図1のX−X線に沿って切断した拡大断面図である。
【図4】第二の実施形態に係るピン位置決め板を示す平面図で、いくつかの点字について読み面が凸となる刻印ピンの進出状態を黒まるで示してある。
【図5】図4のY−Y線に沿って切断した拡大断面図である。
【図6】ピン位置決め板の貫通孔と刻印ピンの別の実施形態を示す、図3と同様な拡大断面図である。
【図7】ピン位置決め板に配置した刻印ピンとスライド板を示す拡大断面図であり、(a)、(b)、(c)は刻印ピンの異なる状態を示す。
【図8】ピン位置決め板を基盤に、スライド板を基盤に取りつける状態を示す斜視図である。
【図9】スライド板を取りつけた基盤にピン位置決め板を取りつける状態を示す斜視図である。
【図10】基盤に固定されたピン位置決め板と押圧板を示す斜視図である。
【図11】点字刻印器の斜視図である。
【図12】スライド板を移動して刻印ピンを所定の進出位置、退去位置に置く状態を示す平面図である。
【図13】図12の正面図である。
【図14】点字刻印器を使用して刻印する状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,1´,11 ピン位置決め板
1a,1´a,11a 上面
1b,1´b,11b 下面
3,13 一文字区画
5,15 ドット位置
5a,5b グループ
5h,15h 貫通孔
7 ねじ孔
9,19 刻印ピン
9a,19a 頭部
15a,15b,15c グループ
19b 第1柱部
19c 第2柱部
21 境界面
23 貫通孔
23a 第1孔部
23b 第2孔部
25 肩
31 基盤
32 ねじ孔
33 仕切り板
33a 支持部
33b 仕切り部
35 区画
37 スライド板
37a,37b,37c 凸面
37d,37e 凹面
37L 左のスライド板
37R 右のスライド板
38a,38b ストッパ
39 上面
40 下面
41 切欠き
43 ストッパピン
45 ばね
47 ねじ
51 押圧板
53 凹部
55 昇降機構
57 支持台
59 昇降材
60 ベース部
61 枢軸
63 取っ手
65 アーム
67 回転を伝達する手段
69 ピニオン
71 ラック
75 点字刻印器
81 第1の一文字区画
82 第2の一文字区画
83 第3の一文字区画
85 被刻印シート
87 位置決め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点字を横方向に連ねて、又は縦方向に連ねて被刻印シートに刻印する点字刻印器であって、
各点字を構成する複数のドット位置を少なくとも3つ又は少なくとも2つのドット位置を含むグループに分け、各グループに含まれる少なくとも3つ又は少なくとも2つのドット位置を、点字を連ねる方向と実質的に直交する方向に配置すると共に、複数のドット位置に貫通孔を開けて一文字区画を形成し、この一文字区画を、点字を連ねる方向へ1又は複数配列したピン位置決め板と、
前記すべての貫通孔に挿入配置した刻印ピンであって、各刻印ピンの頭部がピン位置決め板の上面から上方へ進出する位置とピン位置決め板の上面から退去する位置とをとる刻印ピンと、
前記ピン位置決め板の下方に間隔をおいて配置される基盤と、
前記少なくとも3つ又は少なくとも2つのドット位置のグループ毎にドット位置に対応して前記基盤に配置されるスライド板であって、前記グループ内の貫通孔に配置した前記刻印ピンの進出と退去を定める凸面及び凹面を刻印ピンに対向する上面に有し、上面の長さ方向へ移動可能に支持されるスライド板と、
前記刻印ピンの頭部が被刻印シートと共に挿入可能である複数の凹部を前記複数の貫通孔に対応する位置に形成した押圧板であって、前記ピン位置決め板の上方に配置され、前記基盤と相俟って前記ピン位置決め板及び前記スライド板をはさむ押圧板と、
前記板を上下方向へ移動させる昇降機構とを備える
ことを特徴とする点字刻印器。
【請求項2】
前記刻印ピンは磁力によって前記ピン位置決め板に仮に保持される
ことを特徴とする請求項1記載の点字刻印器。
【請求項3】
前記刻印ピンは前記頭部と、頭部から下方へ延びる第1柱部と、第1柱部から境界面を介して下方へ延びる、第1柱部より外径の小さな第2柱部とからなり、
前記ピン位置決め板の前記貫通孔は、第1柱部が摺動する第1孔部と、第1孔部から肩を介して下方へ延びる、第1孔部より内径の小さな、第2柱部が摺動する第2孔部とからなり、
前記刻印ピンは前記境界面を前記肩に載せて仮に保持される
ことを特徴とする請求項1記載の点字刻印器。
【請求項4】
前記スライド板は、前記ピン位置決め板をはさむように前記スライド板の移動方向に間隔をおいて配置され、ピン位置決め板に突き当たる一対のストッパを備え、これらストッパは、前記スライド板の凸面及び凹面が前記刻印ピンを進出及び退去させるのに必要なスライド板の移動距離より大きな間隔で位置する
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の点字刻印器。
【請求項5】
前記スライド板はスライド板の移動方向に等間隔をおいた複数の切欠きを下面に有し、
前記基盤は、上方の進出位置に向けて偏倚され、進出位置で前記切欠きに嵌まるストッパピンを備え、
当該ストッパピンはスライド板を移動させる力によって下方へ退去する
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の点字刻印器。
【請求項6】
前記昇降機構は、前記基盤に設けた支持台に上下方向へ移動可能に支持され、前記押圧板を固定する昇降材と、前記支持台に回転可能に支持される枢軸に固定される取っ手付きアームと、アームの枢軸回りの回転を昇降材に伝達する手段とを備える
ことを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の点字刻印器。
【請求項7】
前記点字刻印器は一文字区画を横に複数配列し、各一文字区画を2つのグループに分け、各グループに3つのドット位置を含む横書き用である
ことを特徴とする請求項1記載の点字刻印器。
【請求項8】
前記点字刻印器は一文字区画を横に複数配列し、各一文字区画を3つのグループに分け、各グループに2つのドット位置を含む縦書き用である
ことを特徴とする請求項1記載の点字刻印器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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