説明

点火具

【課題】容易に着火して円滑に燃焼し、かつ、風のある屋外でも火が消えることのない点火具を提供する。
【解決手段】 紐状体1にロウを含浸させ、該紐状体の先端部1aを露出させた状態で該紐状体を可燃性の炎調節被膜3により被覆させたことを特徴とする点火具。該炎調節被膜3は、紙筒を紐状体に密着させてなるものであってもよいが、フィルムを収縮させて紐状体に密着させてなるもの、或いは塗料を紐状体に塗着してなるものであってもよい。また、炎調節被膜を被覆させた紐状体を消火用筒体内に出し入れ自在に配設しても差し支えない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火具に関するものであり、更に詳しくは、例えば玩具花火、線香、調理用の固形燃料等に屋外で点火するための点火具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
点火具としては、マッチ、ロウソク、ライター等が従来よりしばしば使用されている。
【0003】
また、本出願人は、特開2006−138574号公報において、縄状体に硝酸カリウム等の酸化剤を滲入させてなる玩具花火用点火具を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−138574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、マッチ、ロウソク、ライター等を点火具として屋外で使用するときには、当該マッチ、ロウソク、ライター等の火は、風により容易に消えてしまうという問題点がある。
【0006】
一方、縄状体に硝酸カリウム等の酸化剤を滲入させてなる上記従来の玩具花火用点火具は、必ずしも容易に着火し、円滑に燃焼するものではなく、点火具としては好ましいものではない。
【0007】
以上の如き状況に鑑み、本発明は、容易に着火して円滑に燃焼し、かつ、風のある屋外でも火が消えることのない点火具を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、下記の点火具を提供する。
【0009】
(1)紐状体にロウを含浸させ、該紐状体の先端部を露出させた状態で該紐状体を可燃性の炎調節被膜により被覆させたことを特徴とする点火具(請求項1)。
【0010】
(2)前記炎調節被膜は、紙筒を前記紐状体に密着させてなるものである(請求項2)。

【0011】
(3)前記炎調節被膜は、フィルムを収縮させて前記紐状体に密着させてなるものである(請求項3)。
【0012】
(4)前記炎調節被膜は、塗料を前記紐状体に塗着してなるものである(請求項4)。
【0013】
(5)前記炎調節被膜を被覆させた紐状体を消火用筒体内に出し入れ自在に配設する(請求項5)。
【0014】
(6)紐状体にロウを含浸させたことを特徴とする点火具(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明による点火具は、紐状体にロウを含浸させているため、容易に着火して円滑に燃焼し、かつ、風のある屋外でも火が容易に消えることがない。
【0016】
また、紐状体の先端部を露出させた状態で該紐状体を可燃性の炎調節被膜により被覆させているため、該炎調節被膜は外部からの紐状体への酸素の供給を遮断することにより、炎の大きさと燃焼速度とを調節する。したがって、点火具は適度の大きさの炎を出しつつ、安定して燃焼する。すなわち、点火具は極めて使い易く、かつ、安全なものである。なお、炎調節被膜は可燃性であるため、点火具の使用と共に徐々に燃焼する。
【0017】
炎調節被膜を被覆させた紐状体を消火用筒体内に出し入れ自在に配設したときには、該紐状体を消火用筒体内に没入させることにより、容易に消火することができる。図5参照。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明による点火具の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、同上点火具の断面図である。
【図3】図3は、本発明による点火具の別の一例を示す斜視図である
【図4】図4は、同上点火具の断面図である。
【図5】図5は、同上点火具において、紐状体を消火用筒体内に没入させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
符号1に示すものは紐状体である。紐状体1は綿、麻等により形成する。
【0020】
紐状体1は、好ましくは、直径5〜10mm程度の組紐とする。
【0021】
紐状体1にロウを含浸させる。
【0022】
紐状体1にロウを含浸させる際には、一例として、ドブ漬けによる。
【0023】
紐状体1の先端部1aを露出させた状態で該紐状体1を可燃性の炎調節被膜3により被覆させる。
【0024】
炎調節被膜3は、外部からの紐状体1への酸素の供給を遮断するものであって、該紐状体1の先端部1aを除き、該紐状体1の外面に密着させる。
【0025】
炎調節被膜3は、一例として、紙筒を紐状体1に密着させてなるものである。
【0026】
また、炎調節被膜3は、可燃性のフィルムを収縮(シュリンク)させて紐状体1に密着させてなるものであってもよい。
【0027】
更に、炎調節被膜3は、塗料を紐状体に塗着してなるものであっても差し支えない。
【0028】
図3〜図5に示す事例においては、炎調節被膜3を被覆させた紐状体1を消火用筒体5内に出し入れ自在に配設している。
【0029】
消火用筒体5は、例えば、紙、合成樹脂、金属等により形成する。
【0030】
なお、点火具の使用後、紐状体1の先端部1aに火種を残した状態で炎を吹き消したときには、該先端部1aにマッチ、ライター等の火を近づけるだけで、該先端部1aは再び容易に炎を発する。
【符号の説明】
【0031】
1 紐状体
1a 先端部
3 炎調節被膜
5 消火用筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体にロウを含浸させ、該紐状体の先端部を露出させた状態で該紐状体を可燃性の炎調節被膜により被覆させたことを特徴とする点火具。
【請求項2】
前記炎調節被膜は、紙筒を前記紐状体に密着させてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の点火具。
【請求項3】
前記炎調節被膜は、フィルムを収縮させて前記紐状体に密着させてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の点火具。
【請求項4】
前記炎調節被膜は、塗料を前記紐状体に塗着してなるものであることを特徴とする請求項1に記載の点火具。
【請求項5】
前記炎調節被膜を被覆させた紐状体を消火用筒体内に出し入れ自在に配設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の点火具。
【請求項6】
紐状体にロウを含浸させたことを特徴とする点火具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−271010(P2010−271010A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125330(P2009−125330)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(592072551)井上玩具煙火株式会社 (7)