説明

無水フィルムを用いたシェービング方法、シェービング製品調製のための無水フィルムの使用、シェービングキット

【課題】旅行に特に適しており、嵩張らず、製造が安価で、使用が容易であり、良好なシェービング特性を示すシェービング製品を提供する。
【解決手段】溶媒に可溶性又は分散性である無水フィルムから出発し、該フィルムを前記溶媒と接触させることによりシェービング用組成物を使用時に即時生成させ、ついで、このようにして形成された組成物をシェービングされる皮膚表面に適用し、かみそりを使用して毛をシェービングする。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、溶媒に可溶性又は分散性である無水フィルムから出発し、該フィルムを前記溶媒に接触させることによりシェービング用組成物を生じせしめることからなるシェービング方法に関する。
また本発明は、溶媒に可溶性又は分散性である少なくとも一の無水フィルム及び少なくとも一のかみそり、特に使い捨てかみそり、及び/又はシェービング用組成物を展伸する手段を具備するシェービングキットに関する。
【0002】
美的又は衛生的な目的により、体の除毛をするために男性が使用する製品として、パウダー状、棒状又は固形物の形態のシェービング石鹸から、シェービングクリーム及びフォームまで、また水性シェービングゲル(ジェル)まで、種々のものが知られている[この点に関しては、Maison G. de Navarreから「化粧品の化学と製造(The Chemistry and Manufacture of Cosmetics)」(第2版、1975、第IV巻、第64章、1313-1341頁)の著作にて刊行されている、Robert E. Sauteによる「シェービング調製物−シェービングの起源と販売傾向」と題された文献が参照される]。
【0003】
従来のシェービングゲル類に加えて、透明な非起泡性ゲル及び遅起泡性(delayed foaming)(すなわち、遅起泡効果を有する)シェービングゲルも公知であり、さらに詳しくは、多くの特許、例えば、US3541581、US4405489及びFR2595943に開示されている。遅起泡効果を有するこれらのゲルは、一般的に、加圧下でエアゾール装置に包装された組成物であり、該エアゾール装置は、噴霧剤の作用下で、静的状態下では発泡しないが、製品の皮膚上への展伸による機械的作用により、自発的に、事実上瞬時に皮膚上で泡を生成するゲルを移送する。
【0004】
現在のシェービング製品は、一般的に複数用量形態で、例えば瓶(ジャー)、ボトル、チューブ又はエアゾールに包装されている。これらの包装形態は嵩張り、そのいくつかは損傷を受けやすいものであるため、旅行にはあまり適さない。この必要性から、小さなエアゾールも開発されているが、その製造には極めて多額の費用がかかる。シェービングペーパー又はワイプ型の製品が提供され、特にJP2000319147、JP09157143、JP2000256164及びUS20011046513に開示されている。それらは、シェービングを容易にする流体調製物が含浸されている支持体である。これらの製品は、環境に有害な生物分解性の問題を生じるという点は別にしても、それらをひげを剃っていない皮膚に使用することは非常に困難である。
【0005】
これは、シェービング製品が、顔の皮膚上で良好に展伸でき、処理される皮膚表面上でかみそりが容易に動き、また個々の体毛を容易に切断できる、適切なテクスチャーを示さなければならないためである。さらに、シェービング用調製物は、水と接触したときに、均質で安定した形で望ましいテクスチャーを極めて速やかに発現することができるものでなくてはならない。最後に、シェービング製品は、良好な化粧品特性を有していなければならず、例えば保湿性があり、柔軟性を付与し、シェービングにおいて快適感があり、粘着質な感じが無く、皮膚上を流れるような感じがないものでなくてはならない。さらに、皮膚及びかみそり刃の双方から、水ですすぐことにより、容易に除去されるものでなくてはならない。
よって、旅行に特に適しており、体積が小さく、製造が安価で、使用が容易であり、上述したような良好なシェービング製品の特性の全てを示す新規な形態のシェービング製品を入手できることが望まれている。
【0006】
しかして、この問題に関して鋭意研究を行ったところ、本出願人は、全く予期しないことに、また驚くべきことに、溶媒、特に水性組成物に分散性又は可溶性の無水フィルムから出発してこの必要性を満たすシェービング用調製物が得られることを見出した。このような無水フィルムは、前記溶媒と接触せしめられると、皮膚に適用することができ、効果的で快適感のあるシェービングを行うことができる組成物を使用時に生成するものである。
この発見が本発明の基礎にある。
【0007】
確かに、水又は唾液と接触したときに即座に溶解する無水フィルムや保存期間を伸ばすために包装食品を対象とした食用フィルムを使用することは知られており、この技術は数多くの応用(Guilbert S.ら, 食用保護フィルムの技術と応用(Technology and applications of edible protective film)、Packaging Technology and Science, 第8巻, 339-346頁、1995)や、例えばUS-A-5965708、US-A-5962053及びJP-A-10/215792のような特許の主題を形成している。同様に、この種の技術は、例えば文献WO-A-2002/085119、WO-A-2002/043657又はWO-A-2001/070194において、即座の口腔内崩壊用製剤の形態で経口経路により活性成分が投与される医薬分野で使用されている。これらのフィルムの使用は、また、他の粘膜、例えば膣(EP-A-1110546)、及び外傷(JP-A-63/220876号)への薬の投与にまで及ぶ。
【0008】
さらに、文献JP-A-2002/212027には、具体的な用途は何も特定しない水溶性フィルムの形態の化粧品用組成物の製造及び組成が開示されている。文献WO-A-2002/05789、US-A-2002/0127254及びWO-A-2003/075812には、予め湿らせておいた皮膚に化粧品用組成物を直接投与するための無水ポリマーフィルムの調製及び投与が開示されている。さらに、文献US-A-2003/0186826には、水と共に皮膚又は毛髪に投与される、ポリマー及び界面活性剤をベースにした乾燥化粧品用組成物が開示されている。しかしながら、これらの文献では、皮膚のシェービングを意図した製品を使用時に調製することは決して考えられていない。
【0009】
変性デンプン及び活性成分をベースにした水和性(hydratable)フィルムを化粧品、特に毛髪用組成物、例えばシャンプー、毛髪の固定用組成物、脱臭製品又は洗浄製品に使用することは、EP1317916において知られている。しかしながら、この文献では、皮膚のシェービングを意図した製品を使用時に即時調製することについては何ら考えられていない。
さらに、出願US2004/0029762号においては、皮膚の清浄化及び皮膚の衛生を目的として、高濃度の界面活性剤を含有するか、又は石鹸の水和性シートを使用することが知られている。皮膚の清浄化及び皮膚の衛生を意図した、水溶性ポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及び界面活性剤をベースにした水溶性シートは、WO2004/032859から知られている。これらのシートが皮膚のシェービングに使用されることについては記載されていない。
【0010】
よって、本発明の主な主題事項は:
(1)溶媒に可溶性又は分散性である無水フィルムから出発し、該フィルムを前記溶媒に接触させることにより、シェービング用組成物を使用時に生成し、ついで、
(2)このようにして形成された組成物をシェービングされる皮膚表面に適用し、
(3)かみそりを使用して、毛をシェービングする、
ことからなることを特徴とする、皮膚のシェービング方法にある。
本発明の他の主題事項は、皮膚をシェービングするための組成物の調製における、溶媒、特に水溶液に可溶性又は分散性である無水フィルムの使用にある。
また本発明は、
(a)溶媒、特に水性組成物に可溶性又は分散性である少なくとも一の無水フィルム、及び
(b)少なくとも一のかみそり、特に使い捨てかみそり、及び/又は
(c)シェービングブラシを含むブラシ、又はスポンジ等の、シェービング用組成物を展伸するための手段、
を具備するシェービングキットに関する。
【0011】
本発明の方法で使用される溶媒は、有機溶媒、例えばシェービング用オイルの製造に一般的に使用されている油又は油混合物、さらには少なくとも該有機溶媒と、場合によっては皮膚を快適にし及び/又は皮膚を手入れするための化粧品用活性成分を含有する組成物とすることができる。
本発明の方法に使用される溶媒は、好ましくは水性組成物であり、無水フィルムは水に可溶性又は分散性である。前記水性組成物は、特に生水(水道水)、温水、湧水(天然水)、芳香水、又は皮膚を快適にし及び/又は皮膚を手入れするための化粧品用活性成分を含有し得る水性組成物とすることができる。
【0012】
「フィルム」なる用語は、本出願においては、把持可能な薄層固形物を意味するものと理解される。「薄層」なる用語は、最大で5000μmの厚みを持つ固形物を意味するものと理解される。
フィルムは単層から形成することもできるし、又はいくつかの重積層からなるものとすることもできる。
本発明のフィルムは、使用者が容易に扱うことができるように、一般的には適切な大きさを有するものである。フィルムは四角、長方形又は円盤状、もしくは他の任意の形状のものとすることができる。それぞれのフィルムは50μm〜5000μm、好ましくは100〜2000μmの厚みを有する。また、1〜50cm、好ましくは2〜30cmの表面積を有しうる。
【0013】
さらに、本出願において「無水フィルム」なる用語は、フィルムの全重量に対して20重量%未満、好ましくは10重量%未満の水分しか含有しないことを意味するものと理解される。
本出願において「可溶性フィルム」なる用語は、溶媒に溶解するフィルムを意味するものと理解される。
本出願において「分散性フィルム」なる用語は、溶媒に分散するフィルムを意味するものと理解される。
【0014】
好ましい実施態様において、本発明の無水フィルムは、水に可溶性である少なくとも一の親水性ポリマーと、水に可溶性又は分散性である少なくとも繊維とを含有する。
本発明で使用可能な水溶性の親水性ポリマーの例としては、次のポリマー:
− ポリビニルピロリドン類;
− セルロースポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース、及びセルロースの第4級化誘導体;及び
− 変性されていてもよいデンプン、例えばEP1317916に開示されたもの;
− 天然由来の変性されていてもよいポリマー、例えばアラビアガム、グアーガム、キサンタン誘導体、カラヤガム、グリコアミノグリカン類、シェラック、サンダラックガム、ダマー(dammers)、エレミス(elemis)、コーパル、ペクチン、マンナン及びガラクトマンナン類、グルコマンナン類及びそれらの誘導体;
− これらのポリマーの混合物;
を挙げることができる。
【0015】
水溶性ポリマー又はポリマー群は、フィルムの全重量に対して、好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜60重量%の範囲の割合でフィルム中に存在している。
【0016】
本発明の組成物に使用可能な繊維は、天然由来の繊維、特に植物から得られたセルロース繊維、より詳細には木材、絹、綿、毛、亜麻、果実又はビートから得られるセルロース繊維から選択することができる。
特に、天然由来の繊維、パルプの形態の木材セルロース繊維が選択される。特にこれらの繊維としては、市販参照名リグノセル(Lignocel)、リヨセル(Lyocell)、レーヨン・フロック(Rayon Flock)、天然レーヨン、セル-U-ラッシュ(Cell-U-Lash)、AVセル(AV Cell)、バイオフラッフ(Biofluff)、テンフィルム(Temfilm)又はバイオフロック(Biofloc)に相当する製品を挙げることができる。
トウモロコシから得られるポリアクリル酸(PLA)繊維を使用することもできる。
【0017】
繊維は、水に溶解可能又は分散可能な紙の形態でフィルム中に導入することができる。このような製品は、例えばディゾルボ(Dissolvo)(ギルブレス(Gilbreth))又はMDP(三島(Mishima)製紙)の商品名で知られている。
本発明の天然由来の繊維は、合成樹脂又は繊維、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリアミド又はポリ(ビニルアセテート)樹脂又は繊維と混合することができる。
【0018】
特に、水溶性繊維としては、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)から生産される繊維、例えばクラロン(Kuralon)K II WN2の名称で日本の会社であるクラレから販売されている製品を挙げることができる。これらの繊維の製造方法には、有機溶媒の使用が含まれる。これらの繊維の断面はほぼ円形である。出願EP636716には、水溶性PVA-ベースの繊維及びそれらの製造方法が開示されている。
水溶性の繊維としては、ポリ(エチレンオキシド)繊維、ポリ乳酸繊維、例えば日本の会社であるカネボウ(Kanebo)のラクトロン(Lactron)繊維、又はリサック・テクノロジー・インク(Lysac Technologies Inc.)からリソーブ(Lysorb)の名称で販売されている多糖類繊維を挙げることができる。
【0019】
繊維は、フィルムの全重量に対して、好ましくは1〜90重量%、さらに好ましくは5〜80重量%の範囲の割合で、フィルム中に存在している。
【0020】
本発明の特定の形態では、無水フィルムは少なくとも一の界面活性剤をさらに含有している。
界面活性剤は、アニオン性、両性、双性イオン性又は非イオン性の界面活性剤、及びそれらの混合物から選択することができる。
本発明で使用可能なアニオン性界面活性剤としては、6〜30の炭素原子、好ましくは12〜22の炭素原子を有する飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のアルキル鎖を有する脂肪酸塩(又は石鹸)を挙げることができる。
これらの脂肪酸を完全に中和させるのに使用可能な塩基は、好ましくは無機塩基、例えばアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)、さらにはアルカリ土類金属(マグネシウム)の水酸化物又はアンモニア水、あるいは有機塩基、例えばアルカノールアミン類、例えばトリエタノールアミン、モノエタノールアミン又はモノイソプロパノールアミン;又はアミノ酸、例えばN-メチルグルカミン、リジン及びアルギニンであってよい。
脂肪酸塩の例として、アルカノールアミン(すなわち、トリエタノールアミン)塩又はラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸又はステアリン酸の水酸化カリウム塩、及びそれらの混合物が特に使用される。
【0021】
本発明で使用可能な他のアニオン性界面活性剤としては、特に次の種類:アルキルスルファート類、アルキルエーテルスルファート類、アルキルアミドエーテルスルファート類、アルキルアリールポリエーテルスルファート類、モノグリセリドスルファート類;アルキルスルホナート類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、α-オレフィンスルホナート類、パラフィンスルホナート類、アルキルスルホスクシナート類、アルキルエーテルスルホスクシナート類、アルキルアミドスルホスクシナート類、アルキルスルホアセテート類;アシルサルコシナート類;及びアシルグルタマート類で、これら全ての化合物のアルキル及びアシル基が6〜24の炭素原子を有し、アリール基が、好ましくはフェニル又はベンジル基を示すもの、の塩、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩を挙げることができる。また、ポリグリコシドジカルボン酸のC6−24アルキルエステル、例えばグルコシドクエン酸アルキル、ポリグリコシド酒石酸アルキル及びポリグリコシドスルホコハク酸アルキル;アルキル-スルホスクシナマート類、アシルイセチオナート類及びN-アシルタウラート類で、これら全ての化合物のアルキル又はアシル基が12〜20の炭素原子を有しているものを使用してもよい。
使用可能なアニオン性界面活性剤としては、アシル基が8〜20の炭素原子を有するアシルラクチラート類、及びそれらの混合物を挙げることができる。
さらに、アルキル-D-ガラクトシドウロン酸、ポリオキシアルキレン化(C-24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-24)アルキル(C-24)アリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に2〜50のエチレンオキシド基を有するもの、及びそれらのアルカリ金属、アンモニウム、アミン、アミノアルコール又はアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。
【0022】
本発明で適切な両性界面活性剤は、特に、脂肪族基が8〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の鎖であり、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスファート又はホスホナート基等の少なくとも一の水溶性アニオン性基を有する、脂肪族の第2級又は第3級アミンの誘導体であってよい。
アミン誘導体としては、アンホカルボキシグリシナート及びアンホカルボキシプロピオナートの名称で、CTFA辞典、第3版、1982に分類され、特許US2528378及びUS2781354に開示され、ミラノール(登録商標)の名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0023】
これらの化合物は、ココアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Cocoamphodiacetate)、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Lauroamphodiacetate)、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Caprylamphodiacetate)、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Capryloamphodiacetate)、ココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(Disodium Cocoamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(Disodium Lauroamphodipropionate)、カプリルアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(Disodium Caprylamphodipropionate)、カプリロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(Disodium Capryloamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸及びココアンホ二プロピオン酸の名称で、CTFA辞典、第5版、1993に分類されている。
また、本発明で適切な両性界面活性剤は、(C-C20)アルキルベタイン類、スルホベタイン類、(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルベタイン類、又は(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルスルホベタイン類、及びそれらの混合物、特に(C-C20)アルキルベタイン類、例えばココベタインで、ローディア社(Rhodia)からミラタイン(Mirataine)BB/FLA又はハンツマン社(Huntsman)からエンピゲン(Empigen)BB/FLの商品名で販売されているものから選択することができる。例えば、ローディア社からミラノール(登録商標)C2M濃縮物の商品名で販売されているココアンホジアセタートを挙げることができる。
【0024】
非イオン性界面活性剤は、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化された脂肪酸、(C-C20)アルキルフェノール類 、α-ジオール類又はアルコール類で、例えば8〜18の炭素原子を有する脂肪鎖を含むものから選択することができ、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数を特に2〜50の範囲とすることができ、グリセロール基の数を、特に2〜30の範囲とすることができる。また、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、脂肪アルコールとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド類、平均1〜5、特に1.5〜4のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド類;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミン類;2〜30モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化されたソルビタンの脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、(C-C24)アルキルポリグリコシド類、N-(C-C24)アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド類、例えば(C10-C14)アルキルアミン又はN-(C10-C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド;及びそれらの混合物を挙げることもできる。
【0025】
界面活性剤又は界面活性剤類は、フィルムの全重量に対して、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%の範囲の割合でフィルムに存在している。
アニオン性界面活性剤、特に脂肪酸塩(石鹸)、例えば上述したものが選択される。
【0026】
本発明の無水フィルムは、少なくとも一の可塑剤をさらに含有することができる。
可塑剤は、ポリオール類、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール又はペンチレングリコール;糖アルコール類、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール又はラクチトール;モノ-、ジ-又はオリゴ糖類、例えばグルコース、フルクトース、スクロース、マルトース又はラクトース;ポリカルボン酸、例えばクエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸又はポリマレイン酸;又はポリエステル、例えばトリ酢酸グリセリル、アセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル又はアクリルクエン酸トリブチルから選択することができる。
【0027】
本発明の無水フィルムは、シェービング製品の分野でよく知られている他の成分又は活性成分をさらに含有することができる。
例えば:
− 保湿剤、特にグリセロール及びソルビトール、
− 鎮痛剤、例えばアラントイン又はα-ビサボロール;
− リフレッシュ剤及び芳香剤、例えばメントールとその誘導体、
− 潤滑剤、例えばシリコーン類、ポリデセン類、ポリビニルピロリドン類又はカチオン性ポリマー、
− 過脂肪剤、例えばロウ、植物、動物又は鉱物由来の油、脂肪酸エステル、脂肪アルコール又は脂肪酸、
− エモリエント、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、C12/C15アルコール類のベンゾアート、グリセロール及びポリエチレングリコールのステアラート類、
− 不透明化剤(乳白剤)、
− 安定剤、
− 着色剤、
− 香料、
− 防腐剤、
− 酸化防止剤、
− pH調節剤、
− 活性化合物、
を挙げることができる。
【0028】
活性化合物としては、ビタミン類、特にビタミンE(トコフェロール)とその誘導体、又はビタミンA(レチノール)とその誘導体;多価不飽和脂肪酸;精油;α-ヒドロキシ酸、例えば乳酸又はグリコール酸、又はアスコルビン酸(ビタミンC)とその誘導体;尿素;アミノ酸;オリゴペプチド類;植物抽出物、特にイチョウ抽出物;ペプチド又はタンパク質加水分解物;微量元素;ヒアルロン酸とその塩;パンテノール;β-ヒドロキシ酸、特にアセチルサリチル酸;又はそれらの混合物を挙げることができる。
もちろん当業者であれば、本発明の無水フィルムに固有の有利な特性が、考えられる添加により悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように留意して、上述した任意の付加的な化合物又は化合物類を選択するであろう。
【0029】
本発明の無水フィルムは、防腐剤を含有していなくてもよい。もちろん、このことは安全性の問題に関して有利である。
さらに本発明の無水フィルムは単独で使用することもでき、また無水フィルムは、特にそれが乾燥しているという理由で、防腐剤を添加することなく、優れた保存性を示す。
【0030】
本発明の無水フィルムは、その内容が出典明示によって本出願に含まれる特許出願FR0351002に開示されているように、容易に把持される製品(物品)に包装することができる。フィルムは、特にプラスチックの調剤箱、個別包装又はブリスター包装に包装することができる。本発明の水和性無水フィルムは、基部と連結部を介してつながった蓋部又は引出部を有する種類のケースに包装することもできる。ケースには製品を容易に分配させることを意図した手段を含むこともできる。分配手段は、例えば特許US-A-2973882、GB-A-2358627、CH-A-461025又はUS-A-6578732に開示されている種類のものとすることができる。
【0031】
また本発明は:
(a)溶媒、特に水性組成物に可溶性又は分散性である少なくとも一の無水フィルム、及び
(b)少なくとも一のかみそり、特に使い捨てかみそり、及び/又は
(c)シェービングブラシを含むブラシ、又はスポンジ等の、シェービング用組成物を展伸する手段、
を具備するシェービングキットに関する。
【0032】
本発明の特定の形態において、シェービングキットは、同キットのフィルムと使用時に混合されることとなる溶媒、特に水性組成物をさらに含有することができる。
前記溶媒、特に水性組成物は、単一用量形態、例えばバッグ、チューブ、バイアル、プレ充填されたシリンジ、ソフトカプセル、貝状体(シェル)又はトレイで、熱成形されたプレスチックから作製されたものにて提供することができる。また水溶液は従来からの複数用量形態、例えばボトルにて提供することができ、特に前もって決まった用量を分配するシステムに包装することもできる。このようなシステムは、ポンプ作動性スプレー、エアゾール、ピペット、又は目盛り付きシリンジ、又はドロッパーとすることができる。
【0033】
本発明の他の特定の形態では、シェービングキットは、アフターシェービング用組成物をさらに含むことができる。
ここでもまた、アフターシェービング製品は単一用量形態、例えばバッグ、含浸ワイプ、チューブ、バイアル、プレ充填されたシリンジ、ソフトカプセル、貝状体又はトレイで、熱成形されたプレスチックから作製されたものにて提供することができる。またアフターシェービング製品は従来からの複数用量形態、例えばボトルにて提供することができ、特に前もって決まった用量を分配するシステムに包装することもできる。このようなシステムは、ポンプ作動性スプレー、エアゾール、ピペット、又は目盛り付きシリンジ、又はドロッパーとすることができる。
本発明を例証するものであって、限定するものではない実施例を以下に記載する。
【実施例】
【0034】
実施例1:
次の組成を有する水溶性の無水フィルムを調製した:
− 変性デンプン 30重量%
− 木材のセルロースパルプ 25重量%
− 石鹸 35重量%
− グリセロール 10重量%
フィルムを生水と接触させると、即時に発泡ゲルが得られ、そのテクスチャーは、顔の皮膚上に素早く展伸可能であり、効果的で快適なシェービングが可能となった。
【0035】
実施例2:フィルム形成ポリマー+PVA繊維を含む二重層のものを完成した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚のシェービング方法において、
(1)溶媒に可溶性又は分散性である無水フィルムから出発し、該フィルムを前記溶媒に接触させることにより、シェービング用組成物を使用時に生成し、
(2)このようにして生成した組成物をシェービングされる皮膚表面に適用し、
(3)かみそりを使用して毛をシェービングする、
ことからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
無水フィルムが50μm〜5000μm、好ましくは100〜2000μmの厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無水フィルムが単層によって形成されているか、又は複数の重ね合わさった層からなるものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
フィルムが1〜50cm、好ましくは2〜30cmの範囲の表面積を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
無水フィルムが水に可溶性又は分散性であり、溶媒が水性組成物である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
無水フィルムが、水に可溶性である少なくとも一の親水性ポリマーと、水に可溶性又は分散性である繊維とを含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
水可溶性ポリマーが:
− ポリビニルピロリドン類;
− セルロースポリマー;
− 変性していてもよいデンプン;
− 変性していてもよい天然由来のポリマー;
から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
水可溶性ポリマーが、フィルムの全重量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%の範囲の割合でフィルム中に存在している、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
繊維が、天然由来の繊維、特に絹、綿、ウール又は亜麻の繊維、又は植物から抽出されるセルロース繊維を少なくとも含む、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
天然由来の繊維が木材から得られるセルロース繊維から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
天然由来の繊維が、合成樹脂又は繊維、特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリアミド又はポリ(ビニルアセテート)樹脂又は繊維と混合される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
繊維が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)から生産される水可溶性繊維である、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
繊維が、フィルムの全重量に対して1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%の範囲の割合でフィルム中に存在している、請求項6ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
無水フィルムが少なくとも一の界面活性剤をさらに含有している、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
界面活性剤が、アニオン性、両性、双性イオン性又は非イオン性の界面活性剤、及びそれらの混合物から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
界面活性剤がアニオン性界面活性剤から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
界面活性剤が、6〜30の炭素原子、好ましくは12〜22の炭素原子を有する飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のアルキル鎖を有する脂肪酸塩(石鹸)から選択される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
脂肪酸塩が、アルカノールアミン塩又はラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸又はステアリン酸の水酸化カリウム塩、及びそれらの混合物から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が、フィルムの全重量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%の範囲の割合でフィルム中に存在している、請求項14ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
無水フィルムが少なくとも一の可塑剤をさらに含有している、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
無水フィルムが、保湿剤;鎮痛剤;リフレッシュ剤及び芳香剤;潤滑剤;過脂肪剤;エモリエント;不透明化剤;安定剤;着色剤;香料;防腐剤;酸化防止剤;pH調節剤;又は活性化合物から選択される少なくとも一の添加剤をさらに含有している、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
活性化合物が、ビタミンE(トコフェロール)とその誘導体、又はビタミンA(レチノール)とその誘導体;多価不飽和脂肪酸;精油;α-ヒドロキシ酸、特に乳酸又はグリコール酸、又はアスコルビン酸(ビタミンC)とその誘導体;尿素;アミノ酸;オリゴペプチド類;植物抽出物、特にイチョウ抽出物;ペプチド又はタンパク質加水分解物;微量元素;ヒアルロン酸とその塩;パンテノール;β-ヒドロキシ酸、特にアセチルサリチル酸;又はそれらの混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
皮膚をシェービングするための組成物の調製における、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の無水フィルムの使用。
【請求項24】
(a)請求項1ないし23のいずれか1項に記載の少なくとも一の無水フィルム、及び
(b)少なくとも一のかみそり、特に使い捨てかみそり、及び/又は
(c)シェービング用組成物を展伸する手段、
を具備することを特徴とするシェービングキット。
【請求項25】
無水フィルムと使用時に混合されるための溶媒をさらに含む、請求項24に記載のシェービングキット。
【請求項26】
アフターシェービング用組成物をさらに含む、請求項24又は25に記載のシェービングキット。

【公開番号】特開2006−6943(P2006−6943A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−181511(P2005−181511)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)