説明

無煙タバコ製品

非水性で押出可能な組成物は、組成物全体に対して20質量%を超える量の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む。シートの形態の無煙タバコ製品は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物の押出成形又はホットメルト成形により形成することができ、シートは使用者の口内で可溶性であり、使用者へのニコチンの持続的な放出がもたらされる。シートは使用者の頬側口腔内、口蓋上又は舌下に置ける形態をとることができ、またスーパーバイオアベイラブルなニコチンを使用者に送達するための平均溶解時間5〜50分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ無煙タバコ製品、押出可能なタバコ組成物、無煙タバコ製品を製造するための方法及びタバコが含有するニコチンを使用者に送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国では巻きタバコの喫煙が減りつつある一方で、無煙タバコの消費が増大している。喫煙の潜在的な健康上のリスク、第三者の受動喫煙の潜在的なリスクが認識され、巻きタバコ喫煙禁止条例が増えつつあることの全てが、タバコの消費を巻きタバコから無煙タバコへと移行させる要因となっている。湿性嗅ぎタバコの米国内の売り上げは、6%の成長率が何年か続いた後、2006年には10%上昇し、一方で巻きタバコの消費は低下した。巻きタバコから無煙タバコへのこの移行に寄与している別の潜在的な要因が、巻きタバコの喫煙より無煙タバコのほうが使用者の健康への害がはるかに少ない可能性があるという見方が公衆衛生界では強まりつつあることである。加えて、無煙タバコは使用者の周囲の空気をタバコの煙で汚染しない。
【0003】
喫煙者は巻きタバコの喫煙に代わるものを求めている。UST Inc.(U.S. Smokeless Tobacco Companyの持株会社)は、米国の喫煙者の半数以上が喫煙に代わるものを求めていると見積もっている。この事実にも関わらず、米国の喫煙者は無煙タバコ製品を試すことに概して消極的である。伝統的な無煙タバコ製品は湿って汚く見えることが多い。更に、米国の消費者は、伝統的な無煙タバコ製品を実際に試しても、概してこのような製品にあまり良い反応を示さない。米国のように最新の無煙タバコを使用しない国では反応がもっと芳しくないであろうことが推測される。
【0004】
スヌース(Snus)スタイルの無煙タバコは、ノルウェイ及びスウェーデンで人気の蒸気乾燥のタバコであり、ルース状態かパウチに入れられており、頬に入れて使用する。ディッピングタバコ(アメリカ湿性嗅ぎタバコ又はディップとしても知られる)も知られている。ロングカットのタバコは、これまで1回分のパウチに入れられてきた。1回分のパウチは便利だと見なされ、無煙タバコ使用者の間で売り上げが伸びつつある。細かく粉砕された嗅ぎタバコは何世紀にも亘って知られている。嗅ぎタバコは、鼻で嗅ぐ又は鼻に吸い込む又は頬に入れて使用することを意図した細かく粉砕されたタバコである。ルース状態であるかパウチに入ったものであるかに関係なく、嗅ぎタバコは一般に茶色く、多くの場合湿性であり、無煙タバコ製品の使用に消極的な多くの喫煙者が見た目が悪く魅力的ではないと考える。加えて、タバコを吸うことで起こる唾吐き及び/又はパウチに入っているか否かに関わらず使用後にタバコを口から出すことに関係して、ある種の社会的な蔑視が存在している。
【0005】
Swedish Match North Europe ABが自社のウェブサイト(http://www.gothiatek.com/templates/start.aspx?paqe id=73)に掲載した“Nicotine uptake from snus”というタイトルのレポート(その内容は引用文献も含めて本願に全て導入される)に記載されるように、スウェーデンのスヌースが含有するニコチンは、中枢神経系に対して十分に立証された薬理学作用を有する。用量及び取り込み率の両方が、ヒトにおけるニコチンの生物学的作用を理解する上で重要である。スヌースの使用中に吸収されるニコチンの量(ニコチン用量)は、様々な体液(すなわち、血液、唾液、尿)中のニコチン又はその代謝産物の濃度を測定することにより定量化することができる。取り込み率は、経時的な血中ニコチン濃度の上昇を監視することにより推定することができる。スウェーデンのスヌースからのニコチン取り込みについては、目的も実験計画も異なる6つのサイエンス系出版物に記載されている。上記のレポートに記載されるように、ひとつまみのスヌースからのニコチン取り込み量は、使用中にそのひとつまみのスヌースから放出されるニコチンの量及び頬粘膜を通過して体循環に到達するニコチンの量の両方によって決定される。ひとつまみのスヌース中に存在するニコチンのほぼ半分が、スヌースの使用中に抽出された(個別包装のスヌースからは37%、ルース状態のスヌースからは49%)。排出されたニコチンの総量をひとつまみのスヌースが含有するニコチンの総量と時間単位で比較することにより、スヌースひとつまみ中に本来存在するニコチンの10〜20%しか、頬粘膜を介して吸収され体循環に到達しないと結論付けられた。スヌースの使用中、ニコチンは口腔粘膜を介して吸収される。
【0006】
無煙タバコの使用者はタバコの満足感にとって重要な要素としてニコチンの取り込みに注目していることから、所定の量のタバコからのニコチン吸収を改善して、使用者が所定のレベルのニコチンを吸収するのに使用するタバコの量を減らせるようにするのが望ましい。しかしながら、ある量のタバコからのニコチン吸収を強化する方法は教示されていない。
【0007】
パウチは、その厚さゆえにかなりの唾液流に曝露される。この唾液流が、かなりの割合のニコチンを唾液と共に喉及び胃へと流してしまう。このニコチンは初回通過生理にもさらされる。加えて、パウチの壁もまた、タバコからのニコチン流出の障害となる。無包装の固形噛みタバコ及びつまみタバコも同じ力学の影響を受ける。
【0008】
再構成タバコシート(reconstituted tobacco sheet)の製造は、タバコ産業では既知の常法である。この技術の進化は、充実した特許の歴史によって物語られている(例えば、1948年1月6日に発行のF.H.Wellsらの米国特許第2433877号明細書(セルロースをバインダとして使用した屑タバコを再捕捉するためのウェットキャストシートの製造)を参照のこと)。このような技術の目的は、小さなタバコ粒子(粒子が小さすぎて巻きタバコ、葉巻等には使用できないため廃棄物である)を使用して、巻きタバコのフィラー又は葉巻のラッパーとして使用可能なタバコ様シートを作製することである。再構成タバコシートは、タバコそれ自体、すなわち喫煙するための不溶性シート又は葉巻のラッパーとして機能させることを意図したものである。
【0009】
多数の材料が、タバコ粒子の結合に役立つバインダとして使用されている。これらにはHPC、HPMC、その他のセルロース、プルラン、ペクチン、多種多様なゴム等が含まれる。恐らく最も興味深いのが、天然の植物性ペクチンのバインダとしての使用が教示されていることである(例えば、1968年11月19日に発行のHindらの米国特許第3411515号明細書を参照のこと)。
【0010】
再構成シートにおけるタバコの葉を再編するための天然ペクチンの使用は、このようなシートを形成するための少量のバインダに相対して、使用されるタバコの濃度が極めて高いことを説明している。例えば、1992年3月24日に発行のEhlingらの米国特許第5097851号明細書は、1〜8質量%しかないバインダと86〜98質量%のタバコ材料から成るタバコシートを開示している。このような比は可食性フィルム産業では見られず、それ自身で再編でき且つ喫煙又はラッパーとしての使用といった不溶性の目的に使用されるタバコ本来の傾向を示す。
【0011】
基本的な製造方法には、ウェットキャスティング(wet casting)及び水性押出成形(aqueous−based extrusion)が含まれる。ウェットキャスティングにおいて、タバコは水及びバインダと混合される。次に、典型的には、スチールベルト上に流延し、乾燥段階において実質的に含水量を低下させる。次に、再構成タバコシートをベルトから取り除く(例えば、1979年3月20日に発行のSchmidtらの米国特許第4144894号明細書を参照のこと)。
【0012】
水性押出成形においては、タバコ粒子をバインダと混合し、水を添加する。水はバインダを水和させ、またその接着性を活性化する役割を果たす。次に、この混合物を押出機及び典型的にはスロットダイに通す(例えば、1986年12月2日に発行のKeritsisらの米国特許第4625737号明細書を参照のこと)。
【0013】
水は粘度を低下させる役割も果たす。粘度が高いと水性キャスティングが制限されてしまう。水は、キャストフィルム及び押出シートの一部の組成物において高粘度に対処するために必要である。粘度を低下させるための水の添加は暫定的な工程であり、本願において示されるような、新規の創意工夫に満ちた工程が必要とされていた。
【0014】
タバコは成熟した効率の良い産業であり、これは過去60年間に亘る再構成タバコシート技術の進歩に反映されている。再構成タバコシート技術は、スループット及びコスト上の理由から、ウェットキャスティングから押出成形へと移行しつつある。ウェットキャストフィルムからの水分の除去はかなりの量の熱エネルギーを必要とする。エネルギーコストの上昇により、過剰な水分を除去するためのコストの持つ意味合いは大きくなりつつある。組成の面ではより単純に、よりタバコに近くなってきており、タバコの量が増え、バインダの量が減ってきている。その結果、このような技術は本発明の開発には殆ど役に立たない。その究極の実施形態において、再構成タバコは理想的なタバコの1種である(天然のままのようだが、より良好な機械的性質その他を備える)。このように、再構成タバコの技術は、噛みタバコ様の不溶性製品を製造しようとする場合には有用だが、出願人は持続放出性溶解タバコシートに関しては役に立たないことを発見した。
【0015】
可食性フィルムは、典型的には、ウェットキャスト法を使用して形成される。既存の技術について論じる際、出願人は、シートではなく「フィルム(film)」という用語をはっきりと使い分けている。これは、現在わかっている限り、より厚さのあるシートの製造はできないというウェットキャスト製造法に特有の性質によるものである。厚さは溶解時間と関係する場合が多く、特定の処方を使用する場合は特にそうである。ウェットキャスト可食性フィルムは典型的には迅速に溶解する製品であり、専門家は、使用目的からすると溶解時間がより遅いほうがより適当であるウェットキャスト可食性フィルム製品の崩壊時間を延長しようと模索してきたが、あまり成功していない。原則問題の1つが、重合体分子量は、粘度と直接関係していることが多いということであり、ウェットキャスティングは高粘度に対応できない。
【0016】
様々な食品及びその他の用途のためのウェットキャスト可食性包装フィルムの開発は、少なくとも50年前に始まった(http://www.watson-inc.com/about_history.phpを参照のこと)。その他の歴史的な先例は、アジアにおける果肉及び米をベースとしたフィルムのウェットキャスト製造である。
【0017】
薬物及びビタミンを送達するためのウェットキャスト単層フィルム組成物が、1979年1月23日に発行のFuchsらの米国特許第4136162号明細書に開示されている。Schmidtは、1989年7月18日に発行の米国特許第4849246号明細書において医薬品及び食品用の2層式フィルム組成物を開示している。
【0018】
発明者Horst Zerbeは、治療薬及び口臭清涼剤のためのフィルム組成物について特許第5948430号を発行された。Zerbeが指摘しているように、口内での感触に悪影響を与えないために、フィルムの厚さは0.068mm(2.7ミル)を超えるべきではない。この発明の譲受人であるLohmann Therapeutic Systems(LTS)は、商業的に成功した最初の可食性フィルムの製造、すなわちプルラン系のリステリンポケットパック(Listerine PocketPaks、登録商標)口臭予防ストリップ(Leungらの第6596298号明細書“Fast dissolving orally consumable films”及びLeungらの第6923981号明細書でより十分に説明される製品)の2001年の市販開始で評価されている。
【0019】
リステリンポケットパック(登録商標)フィルムは極めて迅速に溶解するフィルムである。このフィルムは10秒未満で溶解し、質量は33mgにすぎない。この製品の水分含有量は高く、水の助けを借りて製品に柔軟性を付与している(1枚のリステリンストリップを乾燥させることで簡単に実証できる特性である。乾燥させると極めて脆くなり、屈曲させると割れて砕ける)。
【0020】
ウェットキャストフィルムテクノロジーは、口臭清涼剤からOTC(over−the−counter)医薬品へと移行してきた。依然として口内での迅速な崩壊の達成が重要視されている。薄肉フィルムによる薬物送達を取り扱う有名な会社MonoSol Rx LLCは、自社のフィルムテクノロジーについてウェブサイトで以下のように述べている:「MonoSol Rxは、従来の剤形より安定した丈夫な、より迅速に溶解する薄肉フィルムによる薬物送達テクノロジーを開発した。切手と同じようなサイズ、形状及び厚さのこの薄肉フィルムは、高度に均一な処方薬を極めて低用量〜最高80mgのより大用量まで担持する能力を有する。このテクノロジーにより、頬及び舌下での送達が可能になる」。
【0021】
その他の医薬品薄肉フィルム開発業者、例えばLTS及びApplied Pharma Researchは、自社のフィルムテクノロジーを同じような形で説明している。ウェットキャスト製品についてのこれらの説明は、有効成分が水溶性なのか非水溶性なのか及び味のマスキングを必要とするか否かについては検討していないことに留意すべきである。これらの要素は、有効成分の負荷に大きな影響を与える場合がある。
【0022】
薄肉フィルムでの薬物送達が医薬品に応用されることにより、医薬品の基準(例えば、ウェットキャスト製造過程における含量均一性の達成及び維持)を満たすことが新たな焦点となった(Yangらの米国特許出願公開第2003/0107149号A1明細書を参照のこと)。フィルムの迅速な崩壊に引き続き重点が置かれた、より多量の薬物を負荷できるウェットキャスト組成物フィルム技術が発展した(例えば、Yangらの米国特許出願公開第2005/0037055号A1明細書を参照のこと)。
【0023】
ウェットキャストテクノロジーにおける1つの制約が、一定の厚さ(又は負荷)範囲を超えてフィルムをウェットキャストすることの困難さ、実際にはそれができないことである。これは、粘度とコーティング厚さとの関係によるものであり、この関係によって、一定の厚さレベルを超えてコーティングを施すことへの実際的な限界と、たとえ上手く流延できたとしても一定の厚さを超えてフィルムから水分を除去することの難しさが生じる。
【0024】
厚さの限界は、フィルムが担持できる有効成分の量の限界と言い換えられる。市販のフィルムが送達できる固形有効成分の最大量は、Pfizerのベナドリル(Benadryl、登録商標)ストリップ中のジフェンヒドラミン25mgである。同様に、厚さに限界があると、フィルムマトリックスの溶解時間の延長も制限される。単層のウェットキャスト媒体の溶解時間を延長することの困難さは、Fankhauserらの米国特許出願公開第2007/0202057号A1明細書において明瞭であり、このケースは、薬物であるニコチンを含有するキャストフィルムについてのものである。このケースでは、(ポリマーをゲル化するための)氷水浴を含むベンチスケールにおける処方上のコツを利用することで、単層のウェットキャストフィルムで所望の15分の崩壊時間を獲得している。このようなやり方を商業的な生産に拡大するには極めて大きな課題があり、まず間違いなく不可能であることは明白である。多数のウェットキャストフィルム製品を測定し、その厚さは以下の通りと判明した。GSKのブリーズライトいびき緩和剤(Breathe Right Snore Relief):0.076mm(3ミル)、Fleet Labsのペディアラックス(Pedialax、登録商標)センナ(Senna):0.101mm(4ミル)、Novartisのトリアミニック7.5デキストロメトルファン(Triaminic 7.5 dextromethorphan):0.152mm(6ミル)。
【0025】
その他にも、製剤の溶解を遅延させるために複数のフィルムを積層することが提案されている(例えば、LTSのウェブサイトを参照のこと)。この方法は、Fankhauserが提案した解決策より製造という観点から間違いなくより実用的だが、実践するには医薬品分野であってもコストがかかりすぎる。この結果、このような複数のフィルムの積層物を市販品として市場では見かけないのである。
【0026】
単層のウェットキャスティングでさえ比較的高価になる可能性がある。市販の装置は長い乾燥炉を備えており、動かすには重過ぎ、特殊な専用の製造着を必要とする。乾燥はかなりの量の濾過空気及び水分を除去するためのかなりの量の熱エネルギーを必要とする。これらのコストは医薬品では許されても、コスト競争の激しい世界のタバコ市場では難しいものとなる。
【0027】
更に2つの点を指摘しなくてはならない。すなわち、ウェットキャストフィルムの物理的強度及び物理的安定性についてである。ウェットキャストフィルムは、典型的には、支持体又は補強紙上に流延される。とりわけ、支持体は、フィルムを剥離するまでの間、処理中、フィルムに物理的強度を付与する。しかしながら、支持体による補強はコスト及び処理工程の追加を伴う。もしこのようなフィルムが必要な柔軟性及び引張強さを欠いていると、包装中に破れがちであり、プロセス歩留まりに多大な損失が生じる。このような破損問題が、Novartisによるフィルム接合方法についての特許の出願につながったと思われる(Slominskiらの第20060207721号明細書)。MonoSol Rxは、最も柔軟で強靭なウェットキャストフィルムを、そのポリエチレンオキシド(PEO)系組成物を使用して製造する(Yangらの米国特許出願公開第2005/0037055号A1明細書を参照のこと)。これらのフィルムの強度は、後にNovartisが市販する製剤におけるPEOの使用につながった。物理的強度及びその結果としての破損やプロセス歩留まりの問題は、非PEOフィルムの多くにとって大きな問題であるのが現実である。
【0028】
物理的安定性に関連するこの問題は、多くのウェットキャストフィルムにとっても問題であり、高価なバリア包装を使用しなくてはならないことが多い。それでもなお、物理的安定性が常に得られるとは限らない。Boots Chemistsは、フロリダ州タンパでBioProgressによるビタミンCストリップの製造に乗り出したが、包装の中で細かく砕けてしまって「ストリップではなくチップだ」と呼ばれたことから、店頭から回収しなくてはならなかった。この話は珍しいものではなく、多くのプロジェクトが、物理的安定性の問題ゆえに、開発から商品化への移行に失敗してきた。
【0029】
加えて、流延するための湿性組成物の混合では若干問題が生じる。第一に、溶媒それ自体により混合物の体積が増大する。湿性組成物は混合槽及び輸送管に付着する傾向があり、歩留まりの損失につながる。発泡が問題となる場合もある。湿性混合物には、内容物の均一性を低下させる恐れのある気泡を回避するために、ガス抜きを行わなくてはならない。Fuiszらの米国特許出願公開第20080075825号A1明細書を参照のこと。
【0030】
可食性押出製品には長い歴史があり、1920年代には糖菓が押出成形されていた(P.B.Laskeyの米国特許第1492600号明細書を参照のこと)。最近では医療機器製造及び経皮薬物送達系の製造において押出成形が使用されており、当然のことながら、これらは両方とも非可食性且つ不溶性である。全般的なことについては、Issac Ghebre−Sellassie及びCharles Martinが編集したPharmaceutical Extrusion Technology(2007)を参照のこと。その内容は本願に全て導入される。
【0031】
経皮薬物送達系の成功に触発されて、薬物送達に使用するための可溶性で可食性のシート及びフィルムの押出成形が始まった。
【0032】
Schiraldiら(米国再発行特許発明第33093号明細書)は、生体接着性の単層押出フィルム(0.25mm(10ミル)未満)を開示しており、このフィルムは主成分であるポリエチレンオキシドと、それより少量のHPC、非水溶性ポリマー、可塑剤及び薬剤から構成される。MooneyとSchiraldiの米国特許第6072100号明細書も参照のこと。この文献は組成物を押出成形した速溶性フィルムを開示しており、フィルムはPEO又はHPC系組成物、カルボン酸から誘導されたウォーターポリマー、30〜80%の可塑剤及び最高10%の薬剤を含む。
【0033】
Michael Repka及びJames McGinnityは、厚さ0.25〜0.33mm(10〜13ミル)を有し、50対50の比のPEO及びHPCを3%のビタミンE TPGSと共に使用したホットメルト押出シートを開示している(“Influence of Vitamin E TPGS on the properties of hydrophilic films produced by hot melt extrusion,” International Journal of Pharmaceutics 202(2000)63−70を参照のこと)。
【0034】
2002年4月23日に発行のRepkaらの米国特許第6375963号明細書は、HPC、PEO、ポリカルボフィル[アクリルポリマー]を含み、可塑剤を含まない押出フィルム組成物を開示している。
【0035】
オレンジブック(Orange Book)のレビューは、上記の押出成形に関した特許のいずれもFDAが承認した医薬品では使用されておらず、またこのような特許のいずれもOTC製品で参考とされていないことを述べている。
【0036】
従来技術が示すように、専門家達はホットメルト押出フィルム製剤において所望の柔軟性を付与しようと腐心し、シート又はフィルムにそのような柔軟性を付与するにあたってPEO、ポリカルボフィル又は極端に多量の可塑剤に依存してきた。PEOもポリカルボフィルも米国外では食品への使用が承認されていない。加えて、PEOは非常に高価なポリマーであり、コストという観点からタバコ製品への使用には適していない。多量の可塑剤も多くの理由から望ましくない。可塑剤は組成物の粘着性を上昇させる傾向があるため、巻き上げる場合、製品を分離させるために支持紙を使用する必要に駆られる可能性や、更にカセット内の場合のようにシートを積み重ねる包装形態が不可能になる可能性がある。加えて、多量の可塑剤に依存すると、製品に負荷できる有効成分の量が低下しがちである。更に、可塑剤への依存は物理的安定性の問題を引き起こす可能性があるが、これは可塑剤が製品保管中に揮発する限りは製品の脆さが上昇しやすいからである。結果的に、押出フィルム及びシートに関する製剤技術は、本発明の組成物には殆ど役に立たない。
【0037】
伝統的なタバコ製品は、使用後に口から取り出される。そのようなタバコ製品には噛みタバコ、固形噛みタバコ、スヌース製品等が含まれる。喫煙者はこれらの製品の使用に消極的なことが多いが、これは口からタバコを取り出すのが決まりが悪い行為となる又は他人に不快な思いをさせる可能性があることから、このようなタバコは社会的に不適切であると信じられているからである。
【0038】
多種多様な溶解性タバコ製品が教示されている。
【0039】
2003年12月30日に発行のWilliamsの米国特許第6669839号明細書は、少なくとも50%のタバコを含む低ニトロソアミンタバコ錠剤を開示している。
【0040】
2004年12月28日に発行のWilliamsの米国特許第6834654号明細書は、粉砕タバコから生成され且つ本質的にバージニア熱風乾燥タバコから成る低ニトロソアミンタバコ組成物を開示している。
【0041】
2005年1月25日に発行のPeraの米国特許第6845777号明細書は、タバコ、酸化防止剤、カフェイン及びS−アデノシル−メチオニンを含む、口内又は頬側口腔(buccal cavity)内で崩壊する錠剤又はカプセル状の製品を開示している。
【0042】
Stricklandらの国際公開第2005/04363号パンフレットは、タバコを含有するウェットキャスティングによる速溶性HPMC系フィルムを開示している(実施例B(1分未満で崩壊する厚さ0.063mm(2.5ミル)のウェットキャストHPMC系フィルム)、実施例D(1分未満で溶解する、1層がタバコである2層HPMCウェットキャストフィルム)、実施例E(1分未満で崩壊する3層HPMCウェットキャストフィルム)、実施例F(更に溶解が速い、空気を混和させるウェットキャスティングによるHPMCフィルム)、実施例K(1分未満で崩壊するHPMC/でんぷんウェットキャストフィルム)、実施例L(15〜30秒で崩壊したHPMC/でんぶんウェットキャストフィルム)及び実施例M(15〜30秒で崩壊したHPMC/でんぷんウェットキャストフィルム)を参照のこと)。実施例Rにおいて、タバコを含有する水性HPC系溶液を二軸スクリュー押出機に454g〜1361g(1〜3ポンド)/時間の速度で供給すると、「0.050〜0.076mm(2〜3ミル)で変化する厚さ」のフィルムが得られる。この組成から予測されるように、このフィルムは明らかに粘着性が高く、「付着を防止するためにフィルム層の間に」マイラー(Mylar)が置かれた。完成品の水分レベルは開示されなかった。ウェットキャスティングによる実施例とは異なり、恐らくは周囲条件に曝露されることで引き起こされる粘着性及びその他の安定性問題により、この「タバコフィルムは、保管に適した容器内に置かれた」ことが注目される。このフィルムは「2〜4分で・・・・崩壊した」。
【0043】
Wrenの国際公開第2007/138484号パンフレットは、50%を超えるタバコを含有する速溶性フィルムストリップを開示しており、このフィルムストリップは1分未満、「好ましくはより速く」溶解する。Wrenは、プルラン、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ゴム及びこれらの混合物をバインダとして挙げている。Wrenはウェットキャスト製造法を開示している。
【0044】
Muaらの米国特許出願公開第2008/0029117号A1明細書は、タバコを含有するウェットキャストフィルムの実施例及びフィルム又はシートとしてパスタ製造機を通して押出成形される水性混合物を開示している。実施例は主にアルギネート系であるが、HPMC、HPC及びでんぷんも含み得る。
【0045】
上記の従来技術で開示の速溶性タバコストリップは、口内で迅速に崩壊する基本的なフィルム組成物である。このような速溶性製品が意にかなったタバコの満足感を与えることができるとは、十分なニコチン吸収を含めて大いに疑わしい。むしろ、許容範囲の量のニコチンがタバコから口腔粘膜によって吸収される前にマトリックスが完全に溶解してしまい、溶解したマトリックスからのタバコを飲み込むことになる。間違いなく、これがこれらの製品のいずれもが市販されていない理由の一部である。
【0046】
構成について「押出成形(extrusion)」及び押出成形された水性フィルムへの言及はあるが、タバコを含有するシート及び/又はフィルムのホットメルト押出は、方法でも組成でも教示されておらず、また大量の水を使用しないことの重要性及び大量の水を使用しなくてもすむことも教示されていない。見ての通り、有効成分を含有するシート及び/又はフィルムのホットメルト押出に関わる製剤技術には克服すべき真の難題がつきまとうが、これらの難題は本発明によって克服されるものである。
【0047】
従って、タバコからニコチンを吸収するためのより効率的なやり方を提供することが依然として望ましい。
【発明の概要】
【0048】
本発明は、組成物全体に対して20質量%を超える量の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性で押出可能な組成物に関する。
【0049】
本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物の押出成形又はホットメルト成形により形成されるシートを含む無煙タバコ製品にも関し、シートは、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含むマトリックス及びそのマトリックス中に分散されたタバコを含み、このマトリックスは使用者の口内で可溶性であり、使用者へのニコチンの持続的な放出がもたらされる。
【0050】
本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物を含む、使用者の頬側口腔内、舌下又は口蓋上に置ける形態の無煙タバコ製品にも関し、本タバコ製品は、表面積約6.45〜9.67cm2(1〜1.5インチ2)及び厚さ約0.25〜1.02mm(約10〜40ミル)を有するシートの形態の組成物について測定した場合、使用者の頬側口腔内で完全に溶解するまでの平均溶解時間5〜50分を有する。
【0051】
本発明は、1000mg未満、好ましくは150mg未満、より好ましくは100mg未満のマトリックスタバコを含み、また1回分を投与した場合に3ng/mlより高く、好ましくは4ng/mlより高い最高測定血漿中ニコチン濃度を有する無煙タバコ製品にも関する。
【0052】
本発明は、100mg未満、好ましくは50mgより多いタバコを有するマトリックスを含み、また1回分を投与した場合に15ng/mlより大きい血漿中ニコチン濃度対時間曲線下面積(0〜無限大)を有する無煙タバコ製品にも関する。
【0053】
本発明はタバコ製品を製造するための方法にも関し、本方法は、組成物全体に対して20質量%を超える量の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物を押出機に通して押出成形することによりこの非水性組成物の押出シートを形成することを含む。
【0054】
本発明は、タバコ製品から使用者にスーパーバイオアベイラブル(super bioavailable)なニコチンを送達するための方法にも関し、本方法は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む押出非水性組成物を含むシートを提供し、このシートを使用者の頬側口腔内、口蓋上又は舌下に置くことを含む。
【0055】
本発明は同時包装製品にも関し、本同時包装製品は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物から成るシートを含む少なくとも1種の押出タバコ製品を収めた第1のパッケージ並びに少なくとも1種の巻きタバコを収めた第2のパッケージを含み、第1のパッケージ及び第2のパッケージは共に外装に同時包装される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な混合プロセスの一例を示す概略図である。
【図2】本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な押出成形プロセスの一例を示す概略図である。
【図3】本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な小規模押出成形プロセスの一例を示す概略図である。
【図4】本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な中規模押出成形プロセスの一例を示す概略図である。
【図5】本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な大規模押出成形プロセスの一例を示す概略図である。
【図6】本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な任意の圧縮ローラーを伴う押出成形プロセスの一例を示す概略図である。
【図7】Gothiatekが引用したLunellの研究による4種類のブランドのスヌース及び2mgニコチンチューイングガムの摂取から得られた血漿中ニコチン濃度対時間曲線を示すグラフである。
【図8】本発明のタバコシートと実施例Oの2mgガムとを比較した、血漿中ニコチン濃度対時間曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、既存の無煙タバコ製品より少量のタバコを使用してより高い血中ニコチンレベルをもたらすと判明している。これにより望ましいニコチンレベルを依然としてもたらしながらも使用するタバコの量を少なくすることができ、また、にわかには信じがたいことだが、本発明の製品は完全溶解性であるにも関わらず、本発明の使用者が飲み込むタバコの量が、使用後に口から取り出される慣用のタバコ製品と比較して少ないことを意味している。
【0058】
本発明の一態様において、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性で押出可能な組成物に関する。
【0059】
用語「非水性(nonaqueous)」により、出願人は、この組成物が多数の材料を含むものの、組成物中のその他の材料中に存在し得る水、水分又は水性溶媒のほかに水又はその他の水性溶媒が添加されていないことを意味する。例えば、組成物は、少量の残留水分を含有するタバコ及び/又はそれ自体が水性である香味料を含有し得るが、組成物は、タバコ中のこの残留水分及び/又は香味料中の水分のほかにいずれの水も含有しない。従って、このような組成物は、依然として、本願においてこの用語が定義されるように「非水性」と見なされる。好ましくは、本発明の非水性組成物は、押出成形に先立って20質量%未満、より好ましくは12.5質量%未満、より好ましくは10質量%未満、押出成形又はホットメルト後は好ましくは6質量%未満、より好ましくは4質量%未満の水を含有する。水分レベルは、主としてタバコ中に存在する及び幾つかの香味料系中に存在する水分に起因することが指摘される。タバコ中の残留水分含有量は低いことが好ましいが、タバコの水分含有量が高くても、炭酸カルシウム、シリケート誘導体又はドライブレンド中で水分と「結びついて(tie up)」組成物の流動性を促進するその他の薬剤の使用を通して対応することができる。
【0060】
熱可塑性ポリマーとしては、熱加工性のポリマー及びマトリックス形成体が好ましい。熱可塑性ポリマーは、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポロキサマー(poloxamer)、押出可能な炭水化物、ポリエチレングリコール、PVP、ポリビニルアルコール、アクリレート、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリビニルアセテート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)コポリマー、プルラン及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から成る群から選択される少なくとも1種のポリマーを含み得る。好ましくは、熱可塑性ポリマーは水溶性である。
【0061】
本発明の一実施形態において、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等のセルロースエーテルが好ましい。使用可能な市販のHPCの例には、Hercules IncorporatedのAqualon事業部(デラウェア州ウィルミントン)が販売するクルーセル(KLUCEL、登録商標)EF、ELF及びLFヒドロキシプロピルセルロース(HPC)が含まれる(以下、それぞれHPCEF、HPCELF及びHPCLFと称する)。
【0062】
PEOを使用する場合、PEOの分子量は100000以上で1000000未満であることが好ましい。PEOはその他のポリマーと組み合わせて使用することもできる。PEOを使用する場合、ビタミンE及びビタミンE誘導体を応力亀裂除去剤(stress crack eliminator)として使用することが好ましい。出願人は、1〜15%、好ましくは5〜10%、最も好ましくは5%のビタミンE又はビタミンE誘導体が、このような応力亀裂を除去する機能を果たすことを発見した。
【0063】
一部の不溶性ポリマーは、溶解時間を延長するために、可溶性ポリマーと共に使用される。
【0064】
タバコは0.1ミクロン以上の厚さを有することができ、実際のタバコ細断片次第である。低ニトロソアミンのタバコの使用が好ましい。タバコをブレンドしたものを使用してもよい。タバコ粒子又は細断片の全て又は一部が、押出製品シートを凹凸にさせすぎないだけの小ささであることが好ましい場合もある。すなわち、粒子が、表面を乱さないに十分な小ささである。従って、タバコは、好ましくは、好ましくは0.1〜600ミクロン(両数値を含む)の粒径分布を有する嗅ぎタバコである。Bruton及びPackard´s Club嗅ぎタバコが、使用可能なタバコの種類及び粒径の例である。タバコは、タバコ抽出物の全体又は一部を含むことができる。
【0065】
非水性で押出可能な組成物は、組成物全体に対して20質量%を超える量の少なくとも1種のこのような熱可塑性ポリマーを含む。好ましくは、組成物は、組成物全体に対して少なくとも30質量%、より好ましくは少なくとも40質量%、例えば組成物全体に対して少なくとも50質量%の量の少なくとも1種のこのような熱可塑性ポリマーを含む。
【0066】
非水性で押出可能な組成物は、粘膜吸収促進剤(mucosal absorbing enhancer)、すなわち頬粘膜、歯肉粘膜及び上皮を通しての吸収を促進する物質(「浸透促進剤(penetration enhancer)」又は「透過性促進剤(permeability enhancer)」としても知られる。米国特許出願公開第2006/0257463号明細書を参照のこと)も含むことができる。粘膜吸収促進剤は、以下に限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)、23−ラウリルエーテル、アプロチニン、アゾン、ベンズアルコミンクロリド(benzalkomin chloride)、セチルペリジウムクロリド(cetylperidium chloride)、セチルメチルアンモニウムブロミド、硫酸デキストラン、ラウリン酸、ラウリン酸/プロピレングリコール、リソホスファチルコリン(Lysophosphatilcholine)、メントール、サリチル酸メトキシ、オレイン酸、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、EDTAナトリウム、ナトリウムグリコレーテッド(sodium glycholated)、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、スルホキシド及び多種多様なアルキルグリコシド又は、米国特許出願公開第2006/0257463号明細書に記載されるように、胆汁酸塩、例えばデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ラウレス−9、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、例えばBRIJ(登録商標)シリーズ、MYRJ(登録商標)シリーズ、安息香酸、例えばサリチル酸ナトリウム、サリチル酸メトキシ、脂肪酸(例えばラウリン酸、オレイン酸、ウンデカン酸、オレイン酸メチル)、脂肪アルコール(例えばオクタノール、ノナノール、ラウロカプラム(Laurocapram)、ポリオール、プロピレングリコール、グリセリン)、シクロデキストリン、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド、ドデシルメチルスルホキシド)、テルペン(例えばメントール、チモール、リモネン)、尿素、キトサン並びにその他の天然及び合成ポリマーを含んでいてよい。好ましくは、粘膜吸収促進剤はポリオール、例えばポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、マルチトール、ソルビトール等又はジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)である。
【0067】
加えて、0.1〜10%、好ましくは0.1〜5%、より好ましくは0.1〜3%のPEGをこの混合物に添加して粘膜層への浸透を支援することができる。
【0068】
使用者によるニコチンの吸収を改善するために、非水性で押出可能な組成物が、pH6〜9.5、好ましくは7〜8を有することが好ましい。緩衝剤を使用してpHを制御してもよく、緩衝剤には、限定するものではないが、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カリウム、クエン酸カリウム、リン酸ナトリウム及びいずれのその他同様の緩衝系が含まれ得る。緩衝系を、使用中の唾液の作用を考慮に入れて製品のpHを動的に制御(すなわち、動的緩衝系)するように設計してもよい。好ましいpHを得るための緩衝系の例には、第二リン酸ナトリウム及び第一リン酸ナトリウムが含まれる。両方共、FDAに使用を承認された緩衝材料であり、不活性成分リストに記載されている。例えば、pH7の場合、第一リン酸ナトリウム/第二リン酸ナトリウムの比は4.678/8.659、pH7.5の場合、第一リン酸ナトリウム/第二リン酸ナトリウムの比は1.92/11.92、pH8.0の場合、第一リン酸ナトリウム/第二リン酸ナトリウムの比は0.630/13.44となり得る。これらの比は数学的に計算した緩衝剤の数値であり、処方に添加されるその他の成分に応じて調節する必要がある。非水性で押出可能な組成物が、50ppm未満、好ましくは5ppm未満、最も好ましくは1ppm未満のタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)含有量を有することが好ましい。これは以下に記載のやり方で達成することができる。TSNAの総量は、濃度と質量との積である。ニコチンのスーパーバイオアベイラビリティにより、本発明の製品は、伝統的な無煙タバコ製品より使用するタバコを少なくすることができるため、本発明の製品では、伝統的な無煙タバコ製品より総TSNA含有量を大幅に少なくできることが見て取れる。
【0069】
また、非水性で押出可能な組成物に、任意で、甘味料(スクラロース等)及び/又は香味料(例えば、ペパーミント、チェリー、バーボン、ラム、スモーキーローズ、スイートブラウン&スパイシー、ウィンターグリーン、クールミント、ベルガモット、シトラミント、カンゾウ)を含めることができる。適した香味添加物は、メリーランド州エルダーズバーグのTobacco Technology,Inc.から市販されている。殆どの香味料は、好ましくは、溶媒としてエチルアルコールを使用しているか、溶媒不使用である。
【0070】
非水性で押出可能な組成物は、可塑剤を含むこともできる。可塑剤は、熱可塑性ポリマーの質量に基づいて30%までの量で存在し得る。可塑剤は、限定するものではないが、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、可食性ポリオール、グリセロール、ポリオール、マルチトール、イソマルト及び還元糖の少なくとも1種となり得る。
【0071】
着色料を任意で添加することができる。最高で5質量%の二酸化チタンの使用により、白色又は淡色の製品が得られる。二酸化チタン等の着色料は、淡色のタバコ、例えばBruton又はF&T嗅ぎタバコと組み合わせて使用することができ、これはタバコの色が薄いことでより色の薄い製品が得られるからである。その他の可食性顔料、例えばColorcon赤色40号を使用してもよい。
【0072】
加えて、特にタバコが蒸気乾燥されたものであり且つ水分含有量が極めて高い場合、最高10%、好ましくは3〜5%の許容可能なシリケートを使用することにより組成物の流動性及び均一な処理を促進することができる。
【0073】
上記の非水性組成物は、以下でより十分に説明するように、押出成形又はホットメルト成形によりシートを含む無煙タバコ製品に形成することができ、シートは、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含むマトリックス及びこのマトリックス中に分散されたタバコを含み、マトリックスは使用者の口内で可溶であるため、使用者にニコチンが持続放出される。
【0074】
無煙タバコ製品は、折り畳んだ状態でも折り畳んでいない状態でも、使用者の頬側口腔内、使用者の口蓋上又は舌下に置きやすい形状を有するシートの形態にすることができ、例えば矩形の薄いストリップ形状である。矩形は長さ1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、幅1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、厚さ0.127mm〜1.27mm(5〜50ミル)を有し得る。無煙タバコ製品シートは、或いは、幅約6.35mm(0.25インチ)、長さ3.18cm(1.25インチ)の細長い形状を有してもよい。或いは、卵形又は使用し易いいずれの形状である。
【0075】
無煙タバコ製品は好ましくは、製造後、10質量%未満、好ましくは6質量%未満、より好ましくは4質量%未満の水を含む。
【0076】
無煙タバコ製品シートは、好ましくは、表面積約6.45〜9.67cm2(1〜1.5インチ2)及び厚さ約0.25〜1.02mm(10〜40ミル)を有するシートについて測定した場合、使用者の頬側口腔内で完全に溶けるまでの平均(多数の使用者の平均)溶解時間5〜50分を有する。
【0077】
効率的な包装作業のために、無煙タバコ製品シートは、好ましくは、少なくとも0.90kg(2ポンド)、好ましくは1.81kg(4ポンド)の引張強さ(実施例Mに記載の張力/引裂試験に従って測定)を有する。
【0078】
無煙タバコ製品シートは、好ましくは、±10%、より好ましくは±5%の範囲の均一性を有する。すなわち、シートの厚さ及びタバコ含有量は、シートの平均厚さと比較した場合、好ましくは最高で±10%、より好ましくは±5%、その全表面領域に亘って変動する。シートは、多数の異なるやり方で包装することができ、その幾つかは当業者に明白である。
【0079】
個々のシートを包装する1つのやり方が、リステリンポケットパック(登録商標)口臭予防ストリップのカセット包装に似た、対応するサイズの薄い容器内に積み重ねることである。このようなパッケージを、少なくとも1種の巻きタバコを収めた第2のパッケージ(例えば、典型的な巻きタバコパック)と共に同時包装してもよく、これら2つのパッケージは共に外装内に同時包装され、外装は好ましくは透明である。例えば、このタイプのカセットは、外装と、巻きタバコ(例えば、マールボロ(Marlboro、登録商標)巻きタバコ)のパッケージのプラスチックオーバーラップとの間に楽に挿入することができる。このような同時包装は、これら2つの製品を組み合わせる消費者又は巻きタバコの包装業者によって行なわれる。このような同時包装は、カセットに限定されない。別の例において、タバコシートを小さな金属箔の袋に入れ、同様に巻きタバコのパッケージとプラスチックオーバーラップとの間に挿入してもよい。
【0080】
或いは、シートを連続的に巻き上げたシートに形成し、切手ロールから切手を取り出すための既知のパッケージ(すなわち、巻き上げたシートを所望の長さで取り出すための開口部及びパッケージ内の巻き上げたシートの残った部分からその所望の長さの巻き上げたシートを切り取るための切断刃を有するパッケージ)と同様のパッケージに収めてもよい。レギュラーサイズの巻きタバコ及びキングサイズの巻きタバコと同様に、様々な幅のシートを販売することができる。例えば、より幅が狭いロールを収めたパッケージを、「ライト」製品として販売することができる。
【0081】
別の代替実施形態において、シート(例えば、大面積押出又はホットメルト成形シート)は、切断されて上記のサイズ及び形状のシートに形成されるのではなく、細断されて細断タバコ製品にされ、パッケージに入れられた細断タバコ製品となる。
【0082】
更に別の実施形態において、製品は典型的な無煙タバコ容器(円形又は矩形)に包装することができ、既存の薄肉フィルム積層/包装テクノロジー、例えばロータリーカッター及びギロチン型カッターを使用して包装は円滑に行なわれる。
【0083】
製品の1つの包装実施形態が、1回分のサイズのシートをカセット又は同様の容器内に積み重ねることである。シート同士の粘着又は膠着を防止する方法として、可食性材料の粒子をシート全体に振りかけても又は撒いてもよい。このように粒子を撒くことは、ロールストックの製造中又は最終的な切断及び包装中に行なってもよい。好ましい実施形態においては、微粉タバコが使用される。微粉タバコは望ましい粘着防止機能を果たし、また容器を開けた際に使用者が楽しめるようなタバコの香りももたらす。いずれの可食性の非吸湿性粉末材料を使用してもよい。シートの少なくとも1つの表面上に起伏のある表面、すなわち隆起を有する表面、を使用することもできる。
【0084】
シートの粘着又は膠着を軽減するための別の方法が、滑らかな表面領域を有さないシートを製造することである。表面領域が滑らかであればあるほど、2枚のシート間の接触する表面領域が広くなる。反対に、表面領域が粗ければ、2枚のシート間の接触する表面領域が少なくなる。一般に、接触する表面領域におけるこのような減少により、粘着又は膠着の傾向は低下する。より粗い表面領域は、多種多様なやり方で達成することができる。例えば、十分なサイズの不溶性粒子を使用することにより最終製品につぶつぶとした感触を残すことができる。このような不溶性粒子は、不活性又はタバコ粒子を含む活性成分であってよい。シートの表面を、テクスチャード加工されたローラーを使用して物理的に乱してもよく、本質的には、シートの表面にエンボス加工で粗さを出す。
【0085】
食用インクによるインクジェット印刷を使用してラベル、ブランド名又はその他の画像を製品上に印刷してもよい。
【0086】
タバコ製品は、上記の非水性組成物をホットメルト成形又は、特に、ホットメルト押出することによって製造することができる。ここで、この製品を製造するにあたって出願人が知っている最も効率的なやり方は、製品が経済的に実現可能であり且つ優れたレオロジー特性を有するものとなるようなホットメルト押出テクノロジーを使用することである。製品を、好ましくは適当な冷却ジャケット、管、ポンプ及びベントを備えた最先端の一軸又は多軸スクリュー押出機で押出成形する。組成物によっては、真空を引くことが望ましい。例えば、過剰な水分を含有するタバコ混合物を使用する場合、押出機のベントに真空を引くのが有用である。その場合、様々な風味のパッケージによって引き起こされる沸点の低下及び上昇を補うために作業温度を調節すべきである。
【0087】
或いは、製品を、下方ホットプレート上の層(例えば、金属箔)間で溶融させ、上方ホットプレート表面でプレス成形し、所望の厚さにすることができる。金属箔を冷却液で冷却することによって製品を冷却し、製品を金属箔層から剥離することができる。その他のホットメルトシステム(ヒートガン等)を使用して組成物を溶融させてもよい。
【0088】
しかしながら、タバコ製品の好ましい製造方法は、上記の非水性組成物を押出機を通して押出成形することによってこの非水性組成物の押出シートを形成することである。好ましくは、組成物の押出成形は、組成物中にガスを注入することなく行われる。押出シートは、好ましくは、厚さ0.127mm〜1.27mm(5〜50ミル)を有する。好ましくは、組成物は、そのタバコ特異的ニトロソアミン含有量を実質的に上昇させないに十分な低さの温度及び十分に短い時間に亘って押出成形される。例えば、組成物は、204.4℃(400oF)以下で3分以下、より好ましくは176.7℃(350oF)以下で2分以下、最も好ましくは148.9℃未満(300oF)、好ましくは93.3℃(200oF)未満で押出成形される。一部の組成物は82.2℃(180oF)もの低温で押出成形される。香味料を組成物に含有させ、またその香味料が液状の場合、好ましくは押出機にベントを設置する。
【0089】
次に、押出シートを切断して、適当なサイズ及び形状(例えば、上記のサイズ及び形状)を有する複数の小さいシートを形成する。このような小さなシート片への切断は、あまりに多数の既存の切断方法を利用して行うことができ、F&Gロータリーブレード積層/包装機械、ギロチン型カッター、打抜機械等が含まれる。
【0090】
切断後に処分される押出シートの不要部分を、押出機の投入口にリサイクルしてもよい。例えば、包装中、製品にある程度の製品損失が生じる場合がある。例えば、ロールストックの縁をトリミングすなわち切り落として全ての製品が均一の外見を有するようにする場合がある。加えて、包装工程において廃棄物が発生する場合もある。このような製品損失分を再利用するために、製品損失分を小片に砕き、押出機内の組成物に添加してもよい。
【0091】
再利用のためのこの方法は、矩形以外の形状の採用を可能にする。このような形状はシートから打抜くことはできるが、通常、その結果としての製品損失(理論上は、矩形の面積から1回の打抜き面積を引いたものに等しいが、実際にはもっと広い)によりウェットキャスト薄肉フィルム産業では好まれない。
【0092】
このシステムにおいて、通常のシート屑は再使用することができるが、これはこれらのシート屑が、再押出成形の際に混ぜ入れる混合物と同じ組成を有するからであり、この結果、完成品の含量均一性が阻害されないことは指摘するに値する。
【0093】
押出シートをすぐに切断する代わりに、押出シートを芯の周りに巻いて押出シートのロールを形成してもよい。押出製品は非粘着性で、裏当てがなくても、ロールの層を互いに粘着させることなく巻くことができる。慣用のスリッタを使用してロールの軸に対して垂直にスリットを何箇所もいれて、例えば幅2.54cm(1インチ)を有する複数のロール又はボビンを形成することができる。次に、スリッティング後のボビンを小片に切断することができる。スリッティングは、スリッティングブレードを並べたものの上に押出シートを通すことによって行なうこともでき、これによってシートはすでにスリッティングされた状態でボビンに巻かれる。このように、押出成形後、シートを巻き上げる前に製品のスリッティングを行なう。
【0094】
薄肉フィルム薬物送達産業で現在使用されているように、製品を識別するためのもの(ブランド名、模様を含むがこれらに限定されない)を各小片上に慣用の可食性インクジェットテクノロジーを使用して印刷してもよい。
【0095】
より厚さのあるシートの場合、シートの外側にチューイングガム用のチクル(原文ではchickle。おそらく正しくはchicle)を加えることが望ましい。これにより最初に良い味がし、口に入れやすくなる。
【0096】
より厚さのあるシート(例えば、0.25mm(10ミル)より厚く、好ましくは0.635mm(25ミル)より厚いシート)の場合、使用者は、チクルを加えなくても噛むことができる。より厚さのあるシートを、噛んだ後、唇又は頬のひだに置いておいてもよい。
【0097】
押出成形直後に、シートを少なくとも1種のローラーの一部に巻きつけてもよい。この少なくとも1種のローラーの表面は滑らかなものであっても、押出シートの片面又は両面にテクスチャード加工された表面を提供するようテクスチャード加工されていてもよい。片面又は両面のテクスチャード加工された表面は、粘膜付着性を促進又は遅延させることができる。例えば、この少なくとも1種のローラーは、押出シートの少なくとも一方の表面に模様をつけるようにグラビアされ(graveure)てもよい。
【0098】
更に別の代替案においては、押出成形後、シートを二重加熱ローラーに通すことにより、完全に均一な厚さを確保する。両方のローラーを加熱すればより良好な熱伝達が得られるが、絶対に必要というわけではない。熱によりシートが粘着性になるなら、シリコーンで表面処理した又は非粘着性にした補強支持体をシートの片側又は両側に配することによりローラーへの付着を防止し、巻取スプールにすぐに巻き取ることができる。或いは、ローラーの表面を非粘着性(例えば、テフロン(登録商標)(Teflon))にすることができる。補強支持体は、粘着性ポリマーがローラーに粘着しないようにするだけである。処理速度も改善するために、加熱/平坦化段階後にシートの温度を低下させる冷却ロールを含めてもよい。一部の熱可塑性ポリマーはより多くの可塑剤を必要とし、例えば、プルランは可塑化に20〜30%のグリセリンを必要とするが、それでも粘着性にならない。一方、HPC LF等のその他のポリマーではたった3又は4%の可塑剤でも過剰な可塑化を招く。これは自然ポリマーのTgの問題である。HPC LFはプルランよりずっと低いTgを有することから、可塑剤の作用機序でありがちな分子間結合の妨害をそれほど必要としない。LFポリマーは粘着性だが、これは可塑化ポリマーのTgが室温より低いからである。Tgが例えば45℃なら、室温では触ってもべとべとしない。しかしながら、温度が45℃にまで上昇すると、同じポリマーが粘着性になる。これが、低押出温度ポリマーを得るためには、低Tgポリマー(HPC等)又は結晶質であり且つ低温で溶融するポリマー(PEO等)を求めるべき理由である。
【0099】
場合によっては、シートの(幅方向の)一端をもう一方より厚くすることが望ましい。すなわち、基本的に楔形のシートである。これは、押出成形時に、一方をもう一方より幅広くしたダイによって簡単に達成される。
【0100】
押出機は一軸スクリュー押出機であってよい。本発明の一実施形態において、非水性組成物は、一軸スクリュー押出機を通して押出成形される。或いは、押出機は、非水性組成物をそのダイに一定の圧力で送り出すためのポンプを備えた二軸スクリュー押出機であってよい。押出機は、押出機内の圧力及びシートの厚さをシートの幅方向で制御するためのギアポンプ及びコートハンガー型のダイを備えていてもよい。押出機は、作業圧力が厳格なパラメータ内に維持されるような極めて正確なフィーダを含むこともある。
【0101】
押出機のダイには、凹みによりマーク又は線を生じさせる小さなボタンを取り付けることができる。マーク又は線は、使用者にシート上の折り畳みマークを示す役割を果たすことができ、この理由については以下で明らかとなる。
【0102】
好ましくは、効率的な包装作業のために、シートは、少なくとも0.90kg(2ポンド)、好ましくは1.81kg(4ポンド)の引張強さ(実施例Nに記載の張力/引裂試験に従って測定)を有する。包装における効率とは、包装速度/生産量及び歩留まりを意味する。良好な引張強さとは、包装プロセス中にかかる引張力下でシートストックが切れないことを意味する。そのような引張力によってシートストックが切れるとダウンタイムにより生産量が低下し、また包装機械に再度シートを装填しなくてはならないことから、歩留まりも低下する。
【0103】
好ましくは、タバコ特異的ニトロソアミンの生成を低下させるため、処理中、組成物の熱への曝露は90秒未満である。
【0104】
押出成形中、超臨界流体(例えば、CO2液)を押出機に注入することにより、速溶性押出発泡体を作製することが可能である。
【0105】
本発明を、複数の押出シートから成る多層製品の製造に使用してもよい。このような多層複合体は、1つ以上のタバコ層を含み得る積層体である。不溶性層を含め、追加の層を使用することにより溶解速度を変化させてもよい。別の実施形態は、pHを動的に制御してニコチン送達を最適化するためのpH緩衝系を備えた追加の層の使用を含む。層は、組成物全体のタバコ含有量を上昇させるために使用されることもある。追加の層を、製造プロセス中に、先行して押出成形された層の上に直接的に押出成形しても、同時押出成形してもよい。
【0106】
酵素媒介材料を組成物において使用してもよく、例えば口内の湿潤な環境においてタバコシートの分解を支援するためのCMC酵素等である。別の例が、含まれるでんぷんの溶解を支援するための組成物へのアミラーゼ(これは唾液中にも天然で存在する)の添加である。
【0107】
無煙タバコの使用者は、口腔粘膜からのニコチン吸収に関連した歯肉のヒリヒリについて語ることが多い。製品の実施形態によっては、特定の局所有効性の薬剤を使用することにより、ヒリヒリした感覚を増強することが望ましい。例えば、メントールにより、ニコチン吸収に関連したものと似た局所的な感覚が得られる。この感覚を引き起こすことができる物質は他にもあり、例えばペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン及び多すぎて挙げきれないが当業者に既知のその他多くの物質である。
【0108】
押出機に入れるドライブレンドの流動性は重要である。塊がある又は凝集しやすいブレンドでは、押出成形される組成物にムラがでて不均一となる場合がある。従って、場合によっては、流動化剤(flow agent)、例えばシリカ誘導体(例えば、ケイ酸カルシウム)を使用して流動性及び結果としての完成品の一様性及び均一性を向上させることが望ましい。
【0109】
流動性は、適切な混合技法を通しても得られる。例えば、高せん断ミキサーの使用が、香味料又は原材料中の残留水分による「フィッシュアイ」又は塊の形成の防止に必要な場合がある。高せん断混合は、水分(通常、先行する原材料処理からの残留水分)を含んだ生成物をタバコ混合物に添加する場合に必須である。一旦、フィッシュアイ又は塊が形成されてしまったら、それを除去するのは極めて困難であるため、最初から高せん断混合を採用しなくてはならない。一例が、残留水分を有するタバコの使用である。高せん断混合することなくこのタバコを添加した場合、塊が形成され、ムラのある不良なシートとなってしまう。同じ材料を高せん断混合(例えば、高速クイジナート(Cuisinart)ブレード型混合)しながら添加すると、塊は形成されず、シートタバコは優れたものとなる。
【0110】
タバコ製品に加えて、その他の食品系有効成分を使用することが可能である。例えば、活力を高めるためにカフェインを含めてもよい。タバコと共にその他の有効成分を幾つ使用してもよい。
【0111】
本発明の一態様において、タバコ製品は、図1及び2に概略的に示された非限定的な実施例の方法によって製造することができる。
【0112】
図1に示されるように、全ての固形材料を秤2で計量し、細断再利用原料とミキサーで予備混合する。香味料及び可塑剤も計量し、ブレンドミキサー4で混合することができる。ブレンドミキサー4内のブレンドを、細断再利用原料も加えることができる細断機を備えたミキサー6に加えることができ、このミキサーで混合は完了する。次に混合物を完了混合物容器8内に保存することができる。
【0113】
水性組成物とは異なって、本発明の非水性組成物は混合し易い。非水性組成物であるということは混合体積が小さいこと及び脱ガス問題がないことを示唆する。慣用のミキサーを使用してもよい。押出機への混合物の供給は、押出機及びスロットダイでの圧力を一定にするために、制御された速度(例えば、ktronicミキサーを使用する)で行われなくてはならない。
【0114】
図2は、本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な押出成形プロセス/押出機10の一例を示す概略図である。加熱ゾーン11、冷却ゾーン13、ダイ15及び駆動部19を備えた典型的な一軸スクリュー押出機が、本発明の組成物をより良好に処理するためにこの実施形態に沿って改造される。押出機のスクリュー軸12の前方部の冷却は、水冷孔14によって達成することができる。追加のバレル及び供給部冷却ゾーン17による、バレル16及び供給ホッパー20によって供給が行われる供給部18の周辺領域の冷却によって、生成物が溶融してホッパー20を塞ぐことが防止される。スクリューの設計は、スクリュー12をキャビテーションなく完全に維持して圧力を一定に保つように十分にバランスがとられる。シートに気泡を生じさせず滑らかに維持するために、通気口22を設置して蒸気/ガスを除去する。
【0115】
図3は、本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な小規模押出成形プロセスの一例を示す概略図である。図3において、固形物及び液体を含む完全混合物24はロスインウェイトフィーダ(loss in weight feeder)26から押出機10のホッパー20へと供給される。ダイ15から来る押出シート27は冷却ロール28に通され、ローラー30の一部の上を通る。次に、シートはトルク巻取機32によってロール29に巻き取られる。
【0116】
図4は、本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な中規模押出成形プロセスの一例を示す概略図である。図4は、図3と同様のプロセスを示したものだが、固形物のブレンド24´と液状の香味料/可塑剤のブレンド25との独立供給が定量ポンプ34により可能になっている。この実施形態は、相互汚染が軽減される及び洗浄時間が短縮されるという利点を有する。
【0117】
図5は、本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な大規模押出成形プロセスの一例を示す概略図である。図5は、図4と同様のプロセスを示したものだが、ポリマー24a、低い割合の固形物ブレンド24b及びタバコ24cのロスインウェイトフィーダ26a、26b、26cをそれぞれ使用した独立供給が可能になっている。この実施形態は、相互汚染が軽減される、洗浄時間が短縮される、バッチ数を減少させ、ミキサーのサイズを小型化できるという利点を有する。
【0118】
図6は、本発明のタバコ製品の製造方法で使用可能な、ウェブ支持体(web substrate)全体に亘って厚さを均一にするための任意の圧縮ローラー36及び加熱ローラー38を使用した押出成形プロセスの一例を示す概略図である。
【0119】
本発明の別の態様は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む押出非水性組成物を含むシートを提供し、そのシートを使用者の頬側口腔内、口蓋上又は舌下に置くことにより使用者にタバコ製品からのニコチンを送達するための方法である。本発明により、ニコチンを使用者にスーパーバイオアベイラブルな形態で送達することが可能になる。シートをその長さ方向の中間点付近で折り畳み、例えば頬側口腔内に置く前に、V型に折られたシートにすることができる。
【0120】
本発明のタバコシートの使用において、タバコシートの頬側口腔への付着及び崩壊又は溶解時間の延長は、使用者がシートを折り畳み、本願において「V構造(V architecture)」と称されるものを形成することにより達成することができる。タバコシートは、XインチxYインチの寸法で販売又はこの寸法に切断することができる。次に、消費者又は製造業者はこの切断されたタバコシートをシートの中間点付近で折り畳み、0.5XインチxYインチのシートにすることができる。用語「V構造」は、得られる形状を表したものである。この時点でタバコはより厚みがあるものとなり、外側に押し出すバネ様の特性を示す。次に、フィルムを頬側口腔内に置くと、どのように置こうと、このバネ様の特性によってタバコシートは頬側口腔内によりたやすく付着する。
【0121】
無煙タバコ製品の成功にとって重要な原動力となるのが(a)味、(b)薬物動態、(c)外見、(d)包装、(e)使用時のたしなみ、(f)コスト、(g)粘膜付着性、(h)組成物の安定性、(i)飲み込むタバコの減量、(j)TSNAの減量である。
【0122】
味:製品の味は消費者製品にとって極めて重要である。濃厚で刺激的な風味を取り入れられることは、ターゲットである消費者(すなわち喫煙者)に無煙タバコ製品の経験があまりない場合に極めて重要である。本発明の製品の感覚刺激性は優れている。
【0123】
薬物動態:タバコの楽しみにとって重要な要素が、タバコ中に天然に認められるニコチンを効果的に享受することである。タバコ中に天然に認められるニコチンの迅速な作用開始及び持続的な送達が製品によってもたらされるべきである。粘膜と直接接触させて使用可能な製品を提供することにより、製品はそのニコチンを口腔粘膜に効率的に移行させることができる。本発明のマトリックスタバコにおいて、材料はパウチを持たず、1.27mm(50ミル)より薄く、頬と歯肉上皮細胞との間に、頬粘膜と接触する表面積が大きくなり(又は舌下に置かれる)且つ唾液流へは最小限にしか曝されず、上皮での吸収が最大となるような形で押し込むことができる。これにより初回通過効果が回避され、ずっと高い割合でタバコのニコチンが吸収される。このことは、パウチに入れられた製品と比較した場合に、マトリックス中の総タバコ質量に対してpkレベルが高い割合であることによって証明される。加えて、粘膜吸収促進剤をマトリックスに加えることにより、吸収を更に強化することができる。純粋なタバコ又は嗅ぎタバコを使用することにより、製品中のタバコそれ自体の相対量はその他の形態の無煙タバコのものよりずっと高くなるが、これはその他の形態の無煙タバコにおけるタバコが純粋なものでなく、水分、香味料、不活性材料等を含有するからである。加えて、極めて重要なことだが、微粉嗅ぎタバコの表面積は、競合する無煙タバコ製品で使用される全タバコ製品の表面積と比較すると広大である。最終的に、粘膜を通したニコチンの吸収がはるかに高い割合となる。
【0124】
タバコの口腔粘膜との接触表面積を最大にすることは、本発明の重要な側面である。接触表面積の最大化は、本発明の2つの相補的な側面によって達成される。第1に、シートマトリックスそれ自体の形状が接触面積を最大化する。第2に、細かく粉砕されたタバコ粒子の使用も表面積の最大化における役割を果たす。この最大化は、伝統的なタバコ製品で見られるより高いニコチン吸収をもたらし、本願に記載のインビボでの臨床結果によって実証されるとおりである。
【0125】
外見:喫煙者は無意識にタバコを口に入れるわけではない。製品は、滑らかで、場合によっては目を楽しませる色に着色されたこぎれいで清潔感のある外見を有しているべきである。
【0126】
包装:パッケージは利便性が高く携帯可能でなくてはならない。
【0127】
たしなみ:喫煙はイメージ要素が重要な社会的な行為である。それに対して、無煙タバコの摂取は目立たない行為であるはずである。理想的には、無煙製品は、本発明のタバコシート製品のように、唾を吐く必要がなく、完全に溶解する(すなわち、最終的に口から取り出す必要がない)。何年にも亘って、巻きタバコの喫煙は、散らかった「吸殻」によって環境的な害を引き起こしてきた。タバコのパウチには使用済みのパウチをどこに置くかという問題がつきまとう。従って、本発明のパウチを使用しない完全に溶解性の製品にはこういった問題がなく、環境的に無害なお供となる。このため、本発明の製品は環境汚染を軽減することができ、また使用者に、人のいる場所で恥ずかしい思いをしたり他人に不快感を与える恐れを持つことなく使用可能な製品を提供する。
【0128】
商品コスト:タバコ産業はマージンが高い産業である。製造又は流通が高くつく製品は、世界市場では否応なく隙間製品となってしまう。成功するためには、製品は既存のタバコ製品に競合できる形で製造されなくてはならず、また流通中に冷蔵を必要としないものでなくてはならない(例えば、キャメルスヌース(Camel SNUS、登録商標)のように)。エネルギーコストの急激な上昇により、冷蔵の必要性は、財政的にも環境的にも望ましくない。
【0129】
粘膜付着性:組成物の粘膜付着性のレベルは、使用しやすい範囲内にあるべきである。組成物の粘膜付着性が高すぎると、頬組織への付着が早すぎる、すなわち使用者が製品を望ましい位置に置く機会を得る前に製品が頬組織に付着する恐れがある。更に、製品の粘膜付着性が高すぎると、口及び唇を普通に動かす際に使用者が不快感を感じてしまう場合があり、本質的に、粘膜付着性が高すぎる製品は、歯肉と唇とを不快にくっつけてしまう両面テープとして働く。
【0130】
必然的に、粘膜付着性レベルが低すぎると、製品が頬側口腔内を浮遊するように動いてしまうという結論が導き出される。このような浮遊は不快であり、使用者に愉快なものではない。更に、製品が頬側口腔内で浮遊すると、頬に有効に曝露され接触する時間の短縮が増大され、また唾液流の相対量が上昇することから(製品が速く溶け過ぎてしまい、所望のニコチン吸収が行なわれる前にタバコを飲み込むことになってしまう)、ニコチン吸収が低下する傾向がある。
【0131】
組成物の安定性:製品の物理的安定性は製品の使用にとって極めて重要である。製品は壊れないままでなくてはならず、また消費者が使用するにあたって適度にしなやかであるべきである(例えば、以下の「V構造」を参照のこと)。更に、製品は、金属箔又はアクラー(Aclar、登録商標)等の高価なバリア包装を使用しなくても物理的に安定しているべきである。本発明のシートはある期間に亘って(例えば、100日間)包装がなくても室温で保管することができ、粘着性の上昇を示さない。本発明のシートは、簡単に広げることができ、柔軟性(すなわち、屈曲能)の損失がない。
【0132】
飲み込むタバコの減量:消費者が本発明のタバコシート製品を使用すると、消費者が飲み込むタバコの量が、伝統的な非溶解性無煙タバコ製品と比較して低下する有利な結果が得られる。これはにわかには信じられない結果であるが、本発明におけるニコチンのスーパーバイオアベイラビリティによって、完全溶解性製品マトリックスにおける、伝統的な製品におけるタバコ量と比較すると相対的に少量のタバコの使用が可能になり、この結果、本発明で実際に飲み込むタバコの量が(非溶解性であると見なされる)伝統的な無煙タバコ製品より少なくなる。
【0133】
TSNAの減量:タバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)は、タバコ使用者におけるガンの原因の1つであると多くの人が考えている。従って、この観点から、最終製品におけるTSNAレベルの制御及び最少量化が望ましい。これは、TSNA量が少ないタバコから製造を開始することによって達成される。最終製品における水分含有量が低いことも、TSNAの増加を緩和し得る。このようなTSNAの増加を遅らせる目的もあって、スヌースは冷蔵されるのだと信じる人もいる。
【0134】
TSNAは、とりわけ熱への曝露によって発生すると考えられる。このため、TSNAの生成を最小限に抑えるため、押出機内でのタバコの滞留時間を最小限に抑えることができる(以下を参照のこと)。加えて、比較的低い溶融温度の組成物を使用することにより、比較的低い処理温度での処理が可能になる。
【0135】
押出機内でのタバコの滞留時間は、適当な精度のドライブレンド供給装置を、ポンプの使用が回避されるようなふさわしいスクリュー設計と共に採用することにより短縮することができる。
【0136】
加えて、タバコは、ホットメルトベースが生成され終わってから押出機内に注入することができる。
【0137】
以下は本発明の非限定的な実施例である。
【実施例】
【0138】
実施例A
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)(Hamilton Beach、Hamilton 8cup)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で10kg混合した。
【0139】
【表1】

【0140】
ドライブレンドは、180rpm、初期ゾーンについてはバレル温度110℃(230F)、後続のゾーン及びスロットダイについては148.9℃(300F)に設定された一軸スクリュー押出機(L/D比36)に供給された。押出機には、7kg/時間で材料が供給された。香味料の液体ベースは、押出機から放出された。スロットダイは0.76mm(30ミル)に設定された。スロットダイは、25.4cm(10インチ)の幅を有した。シートは引取ローラーで押出成形され、0.33m(13ミル)の厚さを示し、いずれの補強材も使用せずローラーに巻き上げられた。押出機内の材料の滞留時間は約90秒であった。厚さが測定され、ウェブ全体及びロールを通して均一であると判明した。
【0141】
シートは柔軟で丈夫であった。小片は2.54cmx2.54cm(1インチx1インチ)の寸法に切断された。小片は、割れることなく180°屈曲させることができた。これらの小片を折り畳み、上歯肉内に置くと12〜25分の溶解時間を示した。より多くの唾液が存在する下歯肉内に置くと、折り畳まれたサンプルは8〜15分の溶解時間を示した。溶解時間が長いことにより、長時間に亘ってはっきりとしたミントの香りの息が得られた。これは伝統的な薄肉キャストフィルムの持続効果をはるかに超える。
【0142】
実施例B
実施例Aのロールストックを慣用のスリッタを使用してスリットして幅2.54センチ(1インチ)のボビンを作製した。次にボビンを、F&G包装機械(ストリップに切断してそれらをカセットに収めるために薄肉フィルム産業で典型的に使用される)を使用して首尾よく切断した。材料は容易に切断され、口臭清涼剤及びクロラセプティック(Chloraseptic、登録商標)咽喉痛用ストリップ等のフィルム製品に使用される標準的なカセット内に10枚ずつ入れられた。
【0143】
実施例C
実施例Bのボビンは、ギロチン型カッターを使用して小片に容易に切断された。
【0144】
実施例D
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で10kg混合した。
【0145】
【表2】

【0146】
ドライブレンドは、180rpm、初期ゾーンについてはバレル温度110℃(230F)、後続のゾーン及びスロットダイについては148.9℃(300F)に設定された一軸スクリュー押出機(L/D比36)に供給された。押出機には、7kg/時間で材料が供給された。香味料の液体ベースは、押出機から放出された。スロットダイは0.76mm(30ミル)に設定された。スロットダイは、25.4cm(10インチ)の幅を有した。シートは、引取ローラーで押出成形され、0.33m(13ミル)の厚さを示し、いずれの補強材も使用せずローラーに巻き上げられた。押出機内の材料の滞留時間は約90秒であった。
【0147】
厚さが測定され、ウェブ全体及びロールを通して均一であると判明した。
【0148】
ロールストックは実施例Aのように滑らかで、柔軟、強靭であると判明した。シートを小片に切断し、口内で使用した。プロピレングリコールの形態の可塑剤の増量にも関わらず、粘膜付着性の大きな上昇は観察されなかった。
【0149】
上記にも関わらず、この混合物には、溶融が早すぎることから、ホッパーに詰まる傾向が若干見られた。使用したスクリュー押出機のホッパーへとギアボックスから若干の熱伝達があったことから、これは改善が可能であった。すなわち、水ジャケット等の冷却システムの使用により、ホッパーでより一定した温度を維持することが可能であった。しかしながら、実施例1の優れた柔軟性を鑑みると、この実施例における増量した可塑剤によって製品が(このような可塑剤によって粘膜付着性は向上しなかったことを鑑みると)改善されたとは言えないようである。
【0150】
実施例E
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて各バッチにつき全部で5kg混合した。
【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
【表5】

【0154】
各ケースにおいて、ドライブレンドは、180rpm、初期ゾーンについてはバレル温度65.6℃(150F)、後続のゾーン及びスロットダイについては82.2℃(180F)に設定された一軸スクリュー押出機(L/D比36)に供給された。押出機には、7kg/時間で材料が供給された。香味料の液体ベースは、押出機から放出された。スロットダイは0.76mm(30ミル)に設定された。スロットダイは、25.4cm(10インチ)の幅を有した。シートは引取ローラーで押出成形され、0.33m(13ミル)の厚さを示し、いずれの補強材も使用せずローラーに巻き上げられた。押出機内の材料の滞留時間は約90秒であった。厚さが測定され、ロールを通して均一であると判明した。ただし、低処理温度及び(実施例Aのケースにおける約280psiと比較した場合)750psi範囲への圧力の上昇を引き起こす混合物の密度変化により、このような均一性を達成するためには一定した送り速度が特に重要であることが注目された。このことはロスアンドウェイトフィーダの使用及びかさ密度に適合したバランスの取れたスクリュー設計の重要性を示している。加えて、均一な製品を確保するために、ダイ圧力が上昇することから、ダイの品質も重要である。シートは強靭で極めて安定しているように見えた。シートは周囲室内条件に20日間に亘って曝露されたが、柔軟性又は強度の明らかな損失は見られなかった。各風味のシートを2.5cm四方(1インチ四方)の小片に切断して、次に頬側口腔内で使用した。小片は実施例Aのシートより粘膜付着性が若干高いと判明した。これはHPC ELFの特性に起因すると考えられる。
【0155】
実施例F
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で5kg混合した。
【0156】
【表6】

【0157】
ドライブレンドは、180rpm、初期ゾーンについてはバレル温度110℃(230F)、後続のゾーン及びスロットダイについては148.9℃(300F)に設定された一軸スクリュー押出機(L/D比36)に供給された。押出機には、7kg/時間で材料が供給された。香味料の液体ベースは、押出機から放出された。スロットダイは0.76mm(30ミル)に設定された。スロットダイは、25.4cm(10インチ)の幅を有した。シートは引取ローラーで押出成形され、0.30m(12ミル)の厚さを示し、いずれの補強材も使用せずローラーに巻き上げられた。押出機内の材料の滞留時間は約90秒であった。
【0158】
厚さが測定され、ウェブ全体及びロールを通して均一であると判明した。
【0159】
シートは柔軟で丈夫であった。小片は2.54cmx2.54cm(1インチx1インチ)の寸法に切断された。小片は、割れることなく180°屈曲させることができた。この処方は、実施例Aの組成物と比較すると改善された粘膜付着性を示した。
【0160】
実施例G
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で10kg混合した。
【0161】
【表7】

【0162】
ドライブレンドは、180rpm、初期ゾーンについてはバレル温度110℃(230F)、後続のゾーン及びスロットダイについては148.9℃(300F)に設定された一軸スクリュー押出機(L/D比36)に供給された。押出機には、7kg/時間で材料が供給された。香味料の液体ベースは、押出機から放出された。スロットダイは0.76mm(30ミル)に設定された。スロットダイは、25.4cm(10インチ)の幅を有した。シートは引取ローラーで押出成形され、0.33m(13ミル)の厚さを示し、いずれの補強材も使用せずローラーに巻き上げられた。押出機内の材料の滞留時間は約90秒であった。厚さが測定され、ウェブ全体及びロールを通して均一であると判明した。
【0163】
シートは柔軟で丈夫であった。小片は2.54cmx2.54cm(1インチx1インチ)の寸法に切断された。小片は、割れることなく180°屈曲させることができた。これらの小片を折り畳み、上歯肉内に置くと12〜25分の溶解時間を示した。より多くの唾液が存在する下歯肉内に置くと、折り畳まれたサンプルは8〜15分の溶解時間を示した。実施例Aのシートと比較して、6.45cm2(1インチ2)のこの材料の小片の使用者は、タバコの味の若干の強まりについて言及した。
【0164】
実施例H
伝統的な無煙タバコ製品の使用者によってどのぐらいのタバコが飲み込まれるかを求めるために試験が行なわれた。コペンハーゲンパウチ(Copenhagen pouch)が使用された。製品質量にばらつきが認められたため、質量が近い2つの例が選択された。1.147グラムのパウチと1.101グラムのパウチである。タバコ中の水分含有量により、試験計画は、対照として第1のパウチを炉内で1時間に亘って176.7℃(350F)で乾燥させることであった。このような乾燥後のパウチの質量が測定され、667mgと判明した。
【0165】
最初は1.101グラムと計量された第2のパウチを慣用のやり方で頬内で30分に亘って使用した。次にパウチを176.7℃(350F)での1時間に亘る乾燥に供した。乾燥後のパウチの質量は345mgであった。
【0166】
乾燥後の質量における差異は、製品をその用途で使用する場合に、使用者がタバコ及び香味料を約322mg(667mg−345mg)飲み込むことを示唆する。
【0167】
実施例I
同じハミルトンミキサーを使用して、以下に記載の量及び組成でバッチを用意した。
【0168】
【表8】

【0169】
【表9】

【0170】
【表10】

【0171】
【表11】

【0172】
これら4つの組成物は全て、実施例Aで説明したプロセス条件で調製された。グリセリンが製品の粘膜付着性の上昇及び製品の粘着性の上昇の両方で役割を果たしたことが注目された。組成物の1%を越えてグリセリンを使用すると、粘着性が望ましくないほど高いレベルに達することが判明した。
【0173】
実施例J
4人の健康な志願者は、実施例1の製品の用量が同じ小片を使用し、次の日には直前の実施例のチェリー風味の小片を使用した。4人のうち3人が、経験的なものとして、先行の実施例のチェリー風味の小片のほうがニコチンアップデートが大きいと報告した。これは炭酸水素ナトリウムの使用及びpHがニコチン吸収に与える影響に起因すると考えられる。
【0174】
実施例K
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で4.99kg(11ポンド)混合した。
【0175】
【表12】

【0176】
この組成物は、実施例1に記載のプロセスに沿って押出成形され、同様に均一な製品ウェブが得られた。予想通り、グリセリンの減量により、得られるシートの粘着性が低下した。
【0177】
実施例L
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で2.72kg(6ポンド)混合した。
【0178】
【表13】

【0179】
この組成物は、実施例1に記載のプロセスに沿って押出成形され、同様に均一な製品ウェブが得られた。その他の処方には含まれている可塑剤(すなわち、プロピレングリコール)の排除は、シートの柔軟性及び強度に悪影響を与えなかった。ロールからサンプルが切り取られ、サンプルは観察期間の60日間に亘ってその柔軟性及び強度を維持した。可塑剤の不在は、厳しい気候条件下での安定性(及び粘着性の欠如)において望ましい。
【0180】
実施例M
以下の原材料を、ドライブレンドで、ハミルトンビーチ(ハミルトン8カップ)/クイジナートスタイルのフードプロセッサで複数回に分けて全部で2.72kg(6ポンド))混合した。
【0181】
【表14】

【0182】
ドライブレンドは、180rpm、初期ゾーンについてはバレル温度126.7℃(260F)、後続のゾーン及びスロットダイについては126.7℃(260F)に設定された一軸スクリュー押出機(L/D比36)に供給された。押出機には、7kg/時間で材料が供給された。香味料の液体ベース揮発分の一部は、押出機から放出された。スロットダイは0.76mm(30ミル)に設定された。スロットダイは、25.4cm(10インチ)の幅を有した。シートは引取ローラーで押出成形され、0.33m(13ミル)の厚さを示し、いずれの補強材も使用せずローラーに巻き上げられた。押出機内の材料の滞留時間は約90秒であった。厚さが測定され、ウェブ全体及びロールを通して均一であると判明した。
【0183】
組成物中に伝統的な可塑剤が存在しないにも関わらず、シートは柔軟で丈夫であった。ロールを検査すると、組成物へのでんぷんの添加が粘着性を更に低下させる役割を果たしたことが認められた。シリケートもこの役割を果たすことができると観察された。でんぷん及びシリケートの添加は、厳しい気候条件下での粘着を回避するために望ましいと観察された。
【0184】
実施例N
実施例Lからのシートを切断して、プラスチック製のホッケーのパック型容器に積み重ねて入れた。Brutonの嗅ぎタバコを容器内に振りいれた。この添加したルース状態のタバコによって、開封したときに、容器が芳しく香ることが判明した。加えて、容器を厳しい温度及び湿度に曝露しても、シート片に粘着性は観察されなかった。これはシート片同士を分離したまま維持することにおけるルース状態のタバコの役割に起因すると考えられる。
【0185】
実施例O
試験を行なって製品にpH安定性があるか否かを求めた。実施例Aのシートを(10gのシートを20gのボトル入りの水中で)溶解させた。オークトン(Oakton)pHメータを使用して、pHは6.8と測定された。同じ材料を同じやり方で2ヵ月後に試験し、結果は6.71であった。
【0186】
実施例P
炭酸水素ナトリウムを含む組成物のpHへの影響を調査するために、試験が行なわれた。試験は実施例Hの第2のチェリー風味のシートについて、先行する実施例のように行なわれ、pHは7.34であると測定された。
【0187】
実施例Q
張力/引裂試験
実施例1からのサンプルの上端を、バネ秤(Baker、0〜11.3kg(0〜25ポンド))の底部フックに取り付けられた強力バインダークリップに挟み、その下端を別の強力バインダークリップに挟んだ。試験サンプルの下端を挟んだ強力バインダークリップを、サンプル製品が破損(引裂)するまで、4.54kg(10ポンド)に設定されたゲージでゆっくりと引っ張った。リステリンポケットパック(登録商標)口臭予防ストリップ(クールミント)(購入直後)は0.23kg(0.5ポンド)で破損し、Monosol RX,LLC製の咳・風邪・アレルギー用ストリップは0.113kg(0.25ポンド)で破損したが、本発明のタバコシートストリップは、3.40kg(7.5ポンド)で破損した。
【0188】
これらの張力試験の結果が極めて重要である主要な理由の1つが、比較用サンプル製品の2つで示されたような引張強さの欠如は、スリッティング及び包装において大きな問題となるからである。ロールがぷっつりと切れてしまうと、製造ラインが停止する。本発明の製品のようなきちんとした製品は、スリッティング及び包装に耐える十分な引裂抵抗を有しているべきである。
【0189】
実施例R
本発明のタバコバッカル(buccal)シート中のニコチンのバイオアベイラベラティ対ニューライフチューエット(Nulife chewette)中のニコチンのバイオアベイラビリティ
この実施例は、75mgのタバコを含有する実施例Aのシートを利用した。
【0190】
無煙タバコからのニコチン吸収は、タバコの満足感にとって重要な要素であると広く考えられている。無煙タバコからのニコチン取り込みは、広く研究されてきている。殆どの公衆衛生の専門家は、スウェーデンのスヌーススタイルの無煙タバコは、現在市販されている無煙タバコ製品で最も良好なニコチン吸収をもたらすと考えている。「スウェーデンのスヌースの比較的高いニコチン送達は巻きタバコと同様であり、ニコチンガム、トローチ剤、吸入器及び点鼻薬を含む殆どの既存のニコチン代替療法よりはるかに高い」(“Is Low−nicotine Marlboro snus really snus,” Jonathan Foulds and Helena Furberg,Harm Reduction Journal 2008 5:9を参照のこと)。
【0191】
大手スヌース製造会社であるSwedish Matchは、そのGothiatek基準(Gothiatek standard)の一部として、Erik Lunell及びMarienne Lunellによって実施されたニコチン吸収の研究を取り入れた。Lunellの研究のタイトルは“Steady state nicotine plasma levels following use of four different types of Swedish Snus compared with a 2−mg Nicorette(登録商標) chewing gum:crossover study.”(Nicotine&Tobacco Research Volume 7,Number 3(June 2005)397−403)である。
【0192】
Gothiatekが引用したLunellの研究において、患者は、1時間に1回の12時間に亘って、4つの異なる強度のスウェーデンのスヌースの1つ及び、異なる時間間隔で、2mgニコチンガムを摂取する。得られる血漿中ニコチン濃度曲線を図7に示す。
【0193】
Lunellの研究は、2mgガムからのニコチン吸収が、キャッチドライミニ(Catch Dry Mini)からのニコチン吸収と事実上同じであることを実証している。キャッチドライミニは300mgのタバコを含有するスヌースパウチである(Lunellの研究を参照のこと)。血漿中ニコチンレベルは、800mgのタバコを含有するキャッチリコリス(Catch Licorice)では2mgガムのほぼ2倍になった。
【0194】
本発明の製品を試験するために、(1時間毎に患者に追加投与を行なったLunellの研究とは異なり)単回投与試験を6人の患者に行なうことによって、75mgのタバコを含有するタバコシートからのニコチン吸収を2mgガムからのニコチン吸収と比較した。血漿中ニコチン濃度時間曲線を図8に示す。
【0195】
より詳細には、非盲検、無作為化、2処置、2期間、2シーケンス、単回投与、クロスーバー比較バイオアベイラビリティ試験を、本発明のタバコ製品シートのニコチンについて、インドのCeejay Healthcare Private Ltd.(米国、ニューヨークのPositive Healthcare LLCと技術提携)のニューライフチューエット(ニコチン2mgに相当するニコチンポラクリレックスUSPを含有)と比較して行なった。6人の満腹状態にある健康な成人男性被験者にそれぞれ投与した後、少なくとも7日間の洗い流し期間が置かれた。
【0196】
調査対象製品
試験製品:本発明のタバコバッカルシートの1回分の経口用量75mg(以下、「FT−TBF」と称する)。
基準製品:インドのCeejay Healthcare Private Ltd.(米国、ニューヨークのPositive Healthcare LLCと技術提携)製造のニューライフチューエット(ニコチン2mgに相当するニコチンポラクリレックスUSPを含有)1回分の経口用量。
【0197】
この調査は、ICHのGuidelines for Good Clinical Practices、Indian Good Clinical Practices Guidelines(2005)、ICMRのEthical Guidelines for Biomedical Research on Human Participants(2006)及びヘルシンキ宣言で宣言された理念(WMA総会、東京、2004年)に準拠して行なわれた。
【0198】
調査の目的は(1)満腹状態にある健康な成人男性被験者における2つの製品中のニコチンの比較バイオアベイラビリティを調査し、(2)臨床状態、有害事象を監視し、FT−TBF及びニューライフチューエットの相対安全性及び耐性を評価することであった。健康な成人男性志願者は志願者の集団から選ばれ、調査に組み入れるかについて、人口統計学、病歴、生育歴、家族歴、全般的な健康診断を含めてスクリーニングされた。更に、胸部X線、ECG、血液学的、生化学的、血清学的及び尿分析等のラボ内検査を、スクリーニング手順の一環として行なった。評価における事前チェックが、選ばれた健康な志願者について行なわれた。呼気アルコール分析及び薬物乱用検査を選ばれた被験者全員について行なった。全被験者は、病歴/投薬歴、理学的検査、ラボ内検査、ECG及びX線によって確認されたように健康であり、調査の組み入れ及び除外基準を満たした。
【0199】
標準的な食事が、投与時間から2時間前に全被験者に与えられた。被験者は、調査期間中、喫煙/アルコール/炭酸飲料/グレープフルーツ又はグレープフルーツ含有製品/キサンチン含有製品を禁止された。被験者は、投与前後の15分間は飲食を禁止された。FT−TBFの1回分75mg又はニューライフチューエットの2mgが、期間Iの2008年4月5日及び期間IIの2008年4月12日の午前9時30分に被験者に投与された。無作為化スケジュールに従って、1つの調査期間内に試験製品を投与された被験者は、もう一方の調査期間において基準製品を投与された。2つの期間の間には7日間の洗い流し期間があった。各期間において、全部で14個の血液サンプル(それぞれ1x5ml)を00.00時間(投与前)、投与から00.08、00.16、00.25、00.50、00.75、01.00、01.25、01.50、02.00、03.00、04.00、06.00及び08.00時間後に採取した。この調査において、採取された血液の総体積は被験者1人あたり約166mlであった。採血後、血液サンプルを3000rpmで10分間に亘って4℃で遠心分離することにより血漿を分離した。全血漿サンプルは2重(2組)に等分され、20℃で保存された。第1の1mlの血漿サンプルは第1のアリコートに集められ、残った血漿サンプルは第2のアリコートに集められた。被験者は全員、有害事象について監視された。
【0200】
検体ニコチン、コチニン及び内標準メトプロロールは、ヒトEDTA血漿の0.250mLアリコートから、固相抽出法によりPhenomenex Strata−X33Jm、30mg/1mL SPEカートリッジを使用して抽出された。サンプルは、Phenomenex Luna HILIC 200A(100x2mm、5Jカラム)を使用して、質量分析装置(LC−MS/MS)に連結された液体クロマトグラフに注入された。移動相は、10mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH3.5)対アセトニトリル(10:90)の混合物から成った。定量化は、ピーク面積比法により行なわれた。重み付き線形回帰(1/x2)を行なって検体の濃度を求めた。
【0201】
本発明のタバコバッカルシート(FT−TBF)又はニューライフチューエットの1回分の経口用量が、各期間中に投与された。処置期間と処置期間との間には、次の薬物投与まで7日間の洗い流し期間が置かれた。
【0202】
全被験者に2種類の処置が施された。FT−TBFの投与に続いて、全被験者は、完全に溶解するまでシートを保持した。シートが完全に溶解するまで19〜34分かかった。調査の臨床段階終了時、バイタルサインの測定及び調査後のラボ内試験によって、被験者の健康状態に大きな変化がないことが確認された。製剤は両方とも耐容性が良好で、製剤間で安全性プロファイルにおける関連する差異は観察されなかった。
【0203】
サンプル分析は、質量分析法(LC−MS/MS)を使用して行なわれた。調査中、被験者は正常なバイタルを有し、アレルギー反応は報告されなかった。
【0204】
データ分析時、試験製品(FT−TBF)が、基準製品(R)であるインドのCeejay Healthcare Private Ltd.のニューライフチューエット(ニコチン2mgに相当するニコチンポラクリレックスUSPを含有)よりも良好なバイオアベイラビリティプロファイルを示すことが観察された。Cmax、AUCt及びAUCinfについての試験製品及び基準製品のニコチンのPKパラメータは、それぞれ5.66、19.54、27.30及び3.89、15.30、22.87である。Cmax、AUCt及びAUCinfについての試験製品及び基準製品のコチニンのPKパラメータは、それぞれ19.34、112.41、886.01及び15.37、87.01、233.17である。試験製品及び基準製品のニコチン及びコチニンについてのVz(分布容積)は、それぞれ14260188.25、488454.45及び4319888.30、127879.28であり、クリアランス(Cl)でさえ、ニコチン及びコチニンについて、試験製品及び基準製品のより良好なプロファイルを示し、それぞれ3378838.03、110488.18及び153492.40、9106.64である。上記において:
max=指定の時間枠での最高測定血漿中濃度;
AUCt=線形台形法により算出されたゼロ時間から最終測定可能濃度までの血漿中濃度対時間曲線下面積;
AUCinf=ゼロ時間から無限大までの血漿中濃度対時間曲線下面積。AUC0−∞は、AUC0-t+最終測定可能血漿中濃度対消失速度定数の比の合計として計算される;
AUCextrap=血漿中濃度対時間曲線下外挿面積;
VZ=消失相に基づいた分布容積;
Cl=全身クリアランス。CL=投与量/AUCとして計算される;
MRTlast=薬物濃度プロファイルが無限大に外挿されず、最終測定濃度を最高としてそれを含む値に基づく場合の平均滞留時間。MRTlast=AUMClast/AUClast
MRTINF=薬物濃度プロファイルが無限大に外挿された場合の平均滞留時間;
AUMClast=最後の観察まで算出された1次モーメント曲線下面積;
TBF=タバコバッカルフィルム(シート);
CRF=症例報告書;
AE=有害事象;
ANOVA=分散分析
である。
【0205】
被験者の全血液中の平均ニコチン濃度を、本発明のサンプル(曲線40)及び基準サンプル(曲線41)について、図8において時間に対してプロットする。
【0206】
2mgガムの平均Cmax3.89と比較すると、本発明の75mgタバコシートの平均Cmax(最大血漿中濃度)は5.66であり、基準ガムを30%上回っていた。2mgガムの平均AUCinf22.87と比較すると、75mgタバコシートの平均AUCinf(ゼロから無限大時間までの血漿中濃度対時間曲線下面積)は27.30であり、基準ガムを16%上回っていた。
【0207】
この調査は、本発明のシートが含有するタバコのニコチンバイオアベイラビリティが劇的に増強されたことを示唆する。75mgシートは、2mgニコチンガムより実質的により多くのニコチンを送達したのに対し、Lunellの研究は、スヌースの300mgパウチはニコチン送達に関して2mgニコチンガムに似ているに過ぎないことを示す。
【0208】
実施例S
各1.2gの10個のニコレット(Nicorette)を水に浸してチクルのコーティングを除去した。チクルのコーティングを除去した後、各ニコレットはそれぞれ1gとなるため、10個全部で10gとなった。この10gのニコレットを実施例Aの30グラムの開始組成物に添加し、完全に混合し、加熱することによって2枚の冷金属箔に挟まれたシートを形成した。対照実施例として、10gの実施例Aの開始組成物をシートに形成した。次に500mg片を両方から切り出した。対照実施例Aを5分間に亘って口に含んで吸うと、質量は155mgに低下した。7分の時点で、微量の対照が存在した。次に、吸引試験を500mgニコレット(25%すなわち125mgがガムベースである)に行い、5分の時点で質量は277mg、7分の時点で261mg、10分の時点で237mgであった。従って、ニコレットで使用される不溶性ポリマー(ポラクリレックス)が、非水溶性であることから、溶解時間を延長すると結論づけられた。
【0209】
試験を、500mgの対照実施例で繰り返し、以下の結果を得た。
2分吸引試験:462mg
4分: 301mg
5分: 119mg
7分; 微量
【0210】
試験を、500mgのこの実施例Pで不溶性ポリマー(ポラクリレックス)及び(125mgのガムベース)を使用して繰り返した。
2分:470mg
4分:370mg
5分:310mg
7分:275mg
10分:230mg
不溶性ポリマーが溶解時間を延長すると結論づけられる。また、粒子状の望ましくない味をもたらす(ポラクリレックスは、水素型で供給される高純度架橋ポリアクリル酸コポリマーである)。このポリマーは、以下の技術特性を有する。
樹脂のタイプ: 弱酸性陽イオン交換樹脂
マトリックス構造: 架橋ポリアクリル酸コポリマー
官能基: カルボン酸基
物理的形態: 白色〜オフホワイトの自由流動性粉末
イオン型: 水素
粒径(USメッシュ): +100〜0%
+200〜15%最大
−200−85%最小
総交換容量: 10.0meq/dry・g(分)
溶解性: 一般的な溶媒全てに不溶性
【0211】
実施例T
2.27kg(5ポンド)の実施例Aの開始組成物を、実施例Aと同じ方法で混合した。同じプロセス条件を使用してシートを押出成形した。ただしダイは完全開放され、引取ローラーは減速された。これはシートの厚さを0.64mm(25ミル)に上昇させる効果を有した。スクリューのrpmを180rpmから上昇させることによって、組成物をより厚くできることが観察された。6.45cm2(1インチ2)の小片が切り出され、溶解に約45分かかった。ロールは、製造時及び周囲条件への60日間の曝露後も柔軟であることが判明した。
【0212】
実施例U
0.45kg(1ポンド)の実施例Aの開始組成物を、実施例Aと同じ方法で混合した。混合物を、2枚のアルミ箔の間に挟んでプレスした。箔に挟まれた材料を162.8℃(325F)のホットプレートとホットアイロンとの間に挟みプレスした。熱及び圧力により組成物は溶融してシートとなった。得られたシートは厚さが不均一であり平均厚さは0.76mm(30ミル)であり、柔軟であった。
【0213】
実施例V
実施例Aの押出組成物の5つのサンプル(サンプル片質量210mg)を、TSNA試験のために、承認された第三者研究機関に送った。結果は、総平均TSNA含有量が3.56ppmであることを示した。この結果を、Brad Roduの“Smokeless Tobacco and Oral Care:A review of the Risks and Determinants,”(Crit Rev Oral Biol Med 15(5)252−263(2004))のBrutonの嗅ぎタバコにおけるTSNAレベルについての公開データと比較した。また、製造プロセスにより製品に含まれるタバコについてTSNAレベルは上昇しなかったと結論づけられた。
【0214】
本明細書では本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されない。以下の請求項によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく数々の変更及び改変が可能であることを当業者は理解するものである。
【0215】
実施例W
実施例Aの押出組成物のサンプルを、そのニコチン濃度を試験するために、承認された第三者研究機関に送った。結果は以下の通りである。
【0216】
【表15】

これらの結果をまとめると、ニコチン濃度の標準偏差に表されるように、小片の優れた含量均一性が実証される。従って、相対標準偏差(RSD)は100・154/3846=4である。RSDが5未満であることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性で押出可能な組成物であって、前記組成物全体に対して20質量%を超える量の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーがヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項3】
前記HPCがHPCLF、HPCELF又はHPCEFを含む、請求項2に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項4】
可塑剤を含まない、請求項3に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項5】
可塑剤を含まない、請求項2に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリマーが、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポロキサマー、押出可能な炭水化物、ポリエチレングリコール、PVP、ポリビニルアルコール、アクリレート、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリビニルアセテート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)コポリマー、プルラン及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から成る群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーがポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項8】
前記タバコが嗅ぎタバコの形態である、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項9】
粘膜吸収促進剤を更に含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項10】
前記粘膜吸収促進剤がポリエチレングリコールである、請求項9に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項11】
前記組成物のpHを制御するための緩衝剤を更に含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項12】
前記緩衝剤が、前記組成物が使用者の口内に存在する場合に、前記組成物にpH6〜9.5を提供する量で存在する、請求項11に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項13】
前記タバコが、5ppm未満のタバコ特異的ニトロソアミン含有量を有するタバコである、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項14】
10質量%未満の水を含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項15】
前記タバコがタバコ抽出物を含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項16】
香味料を更に含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項17】
可塑剤を更に含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項18】
前記可塑剤が、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、グリセロール及び水溶性可食性ポリオールのうちの少なくとも1種である、請求項17に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項19】
前記可塑剤が、前記熱可塑性ポリマーの質量に基づいて30%までの量で存在する、請求項18に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1種のポリマーがHPCを含み、かつ前記可塑剤がポリエチレンオキシドを含むことを特徴とする、請求項17に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、前記組成物全体の少なくとも30質量%の量で含有される、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、前記組成物全体の少なくとも40質量%の量で含有される、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項24】
前記組成物が、前記組成物全体に亘って実質的に均一なニコチン含有量を有していることから、前記組成物から押出成形される製品のニコチン含有量の相対標準偏差が5未満である、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項25】
前記組成物を構成する材料が、高せん断ミキサーでまず第一に混合される、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項26】
前記組成物がシリケート材料を更に含む、請求項1に記載の非水性で押出可能な組成物。
【請求項27】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物の押出成形又はホットメルト成形により形成されるシートを含む無煙タバコ製品であって、前記シートが、前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含むマトリックス及び前記マトリックス中に分散された前記タバコを含み、前記マトリックスが、使用者の口内で可溶性であり、使用者へのニコチンの持続的な放出をもたらすことを特徴とする無煙タバコ製品。
【請求項28】
前記シートが矩形の薄いストリップ形状を有する、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項29】
前記シートが、長さ1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、幅1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、厚さ0.127mm〜1.27mm(5〜50ミル)を有する、請求項28に記載の無煙タバコ製品。
【請求項30】
前記少なくとも1種のポリマーがポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項31】
前記少なくとも1種のポリマーがヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項32】
前記HPCがHPCLF、HPCELF又はHPCEFを含む、請求項31に記載の無煙タバコ製品。
【請求項33】
前記非水性組成物が可塑剤を含まない、請求項32に記載の無煙タバコ製品。
【請求項34】
前記非水性組成物が可塑剤を含まない、請求項31に記載の無煙タバコ製品。
【請求項35】
前記タバコが嗅ぎタバコの形態である、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項36】
粘膜吸収促進剤を更に含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項37】
前記組成物のpHを制御するための緩衝剤を更に含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項38】
前記緩衝剤が、前記組成物が使用者の口内に存在する場合に、前記組成物にpH6〜9.5を提供する量で存在する、請求項37に記載の無煙タバコ製品。
【請求項39】
前記タバコが、5ppm未満のタバコ特異的ニトロソアミン含有量を有するタバコである、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項40】
粘膜吸収促進剤を更に含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項41】
前記粘膜吸収促進剤がジエチレングリコールモノエチルエーテルである、請求項40に記載の無煙タバコ製品。
【請求項42】
前記組成物が4質量%未満の水を含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項43】
香味料を更に含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項44】
可塑剤を更に含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項45】
前記可塑剤が、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン及びグリセロールのうちの少なくとも1種である、請求項44に記載の無煙タバコ製品。
【請求項46】
前記可塑剤が、前記熱可塑性ポリマーの質量に基づいて30%までの量で存在する、請求項45に記載の無煙タバコ製品。
【請求項47】
前記可塑剤が、前記熱可塑性ポリマーの質量に基づいて30%までの量で存在する、請求項44に記載の無煙タバコ製品。
【請求項48】
前記シートが、表面積約6.45〜9.67cm2(1〜1.5インチ2)及び厚さ約0.25〜1.02mm(10〜40ミル)を有するシートについて測定した場合、使用者の頬側口腔内で完全に溶解するまでの平均溶解時間5〜50分を有する、請求項47に記載の無煙タバコ製品。
【請求項49】
前記シートが少なくとも1.81kg(4ポンド)の引張強さを有する、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項50】
前記シートが、±10%の範囲の均一性を有する、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項51】
前記シートの少なくとも1つの表面に起伏がある、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項52】
前記シートの少なくとも1つの表面がタバコ粉末で被覆される、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項53】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、前記組成物全体の少なくとも20質量%の量で含有される、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項54】
前記少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが水溶性ポリマーを含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項55】
前記組成物が80質量%未満のタバコを含有する、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項56】
前記シートの一端がもう一端より厚い、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項57】
前記タバコが100mg未満の量で存在し、前記製品が、1回分を投与した場合に、4ng/mlより高い最高測定血漿中ニコチン濃度を有する、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項58】
前記タバコが100mg未満の量で存在し、前記製品が、1回分を投与した場合に、23ng/mlより大きい0〜無限大時間までの血漿中ニコチン濃度対時間曲線下面積を有する、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項59】
前記製品の溶解時間を延長する量で非水溶性ポリマーを更に含む、請求項27に記載の無煙タバコ製品。
【請求項60】
請求項27に記載の少なくとも1種の無煙タバコ製品と、前記少なくとも1種の無煙タバコ製品を収めたパッケージとの組み合わせ。
【請求項61】
前記シートが連続的に巻き上げたシートへと形成され、前記巻き上げたシートがパッケージに収められ、前記パッケージが、前記巻き上げたシートを所望の長さで取り出すための開口部及び前記パッケージ内の前記巻き上げたシートの残った部分から前記所望の長さの巻き上げたシートを切り取るための切断刃を有する、請求項60に記載の組み合わせ。
【請求項62】
複数の前記無煙タバコ製品が前記パッケージに収められる、請求項60に記載の組み合わせ。
【請求項63】
前記シートのそれぞれの上に撒かれるタバコ粉末を更に含む、請求項62に記載の組み合わせ。
【請求項64】
無煙タバコ製品であって、使用者の頬側口腔内、口蓋上又は舌下に置ける形態で少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物を含み、表面積約6.45〜9.67cm2(1〜1.5インチ2)及び厚さ約0.25〜1.02mm(約10〜40ミル)を有するシートの形態の組成物について測定した場合、使用者の頬側口腔内で完全に溶解するまでの平均溶解時間5〜50分を有することを特徴とする無煙タバコ製品。
【請求項65】
香味料を更に含む、請求項64に記載の無煙タバコ製品。
【請求項66】
前記タバコ製品がシートの形態である、請求項64に記載の無煙タバコ製品。
【請求項67】
前記タバコ製品が細断される、請求項64に記載の無煙タバコ製品。
【請求項68】
前記組成物が50質量%未満のタバコを含有する、請求項64に記載の無煙タバコ製品。
【請求項69】
前記タバコが100mg未満の量で存在し、前記製品が、1回分を投与した場合に、4ng/mlより高い最高測定血漿中ニコチン濃度を有する、請求項64に記載の無煙タバコ製品。
【請求項70】
前記タバコが100mg未満の量で存在し、前記製品が、1回分を投与した場合に、23ng/mlより大きい0〜無限大時間までの血漿中ニコチン濃度対時間曲線下面積を有する、請求項64に記載の無煙タバコ製品。
【請求項71】
無煙タバコ製品であって、マトリックス及び100mg未満のタバコを含み、且つ、1回分を投与した場合に、4ng/mlより高い最高測定血漿中ニコチン濃度を有することを特徴とする無煙タバコ製品。
【請求項72】
無煙タバコ製品であって、マトリックス及び100mg未満のタバコを含み、且つ、1回分を投与した場合に、23ng/mlより大きい0〜無限大時間までの血漿中ニコチン濃度対時間曲線下面積を有することを特徴とする無煙タバコ製品。
【請求項73】
タバコ製品の製造方法であって、組成物全体に対して20質量%を超える量の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物を押出機を通して押出成形し、前記非水性組成物の押出シートを形成することを含む方法。
【請求項74】
前記組成物の押出成形が、前記組成物中へのガスの注入をすることなく行なわれる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1種のポリマーがポリエチレンオキシド(PEO)を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記少なくとも1種のポリマーがヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記押出シートが、厚さ0.127mm〜1.27mm(5〜50ミル)を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記組成物が、そのタバコ特異的ニトロソアミン含有量を実質的に上昇させないに十分な低さの温度及び十分に短い時間で押出成形される、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記組成物が93.3℃(200oF)未満で押出成形される、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記組成物が、176.7℃(350oF)以下及び2分以下で押出成形される、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記組成物が、204.4℃(400oF)以下及び2分以下で押出成形される、請求項73に記載の方法。
【請求項82】
前記非水性組成物が香味料を更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
前記非水性組成物香味料が液状であり、前記押出機にベントが設置される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記押出機にベントが設置される、請求項73に記載の方法。
【請求項85】
前記非水性組成物が可塑剤を更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項86】
前記可塑剤が、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、グリセロール及び水溶性可食性ポリオールのうちの少なくとも1種である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記可塑剤が、前記熱可塑性ポリマーの質量に基づいて30%までの量で存在する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記可塑剤が、前記熱可塑性ポリマーの質量に基づいて30%までの量で存在する、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記押出シートを切断して複数のより小さいシートを形成することを更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項90】
前記より小さいシートのそれぞれが矩形の薄いストリップ形状又は卵形の形状を有する、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記シートが、長さ1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、幅1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、厚さ0.127mm〜1.27mm(5〜50ミル)を有する矩形の薄いストリップ形状を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記押出シートの処分部位を押出機の投入口にリサイクルすることを更に含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記押出シートを芯の周りに巻いて前記押出シートのロールを形成することを更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項94】
前記押出シートを少なくとも1種のローラーの一部に通すことを更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1種のローラーが滑らかである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1種のローラーが、前記押出シートの少なくとも片面にテクスチャード加工された表面を提供するようテクスチャード加工される、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1種のローラーが、前記押出シートの少なくとも一方の表面に模様をつけるようにグラビアされる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記押出機が一軸スクリュー押出機である、請求項73に記載の方法。
【請求項99】
前記非水性組成物が前記一軸スクリュー押出機を通して押出成形される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記押出機が、前記非水性組成物をそのダイに一定の圧力で送り出すためのポンプを備えた二軸スクリュー押出機である、請求項73に記載の方法。
【請求項101】
前記押出機が、ダイ及び前記ダイへの圧力を制御するためのポンプを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項102】
前記シートを細断して細断タバコ製品を形成し、パッケージ中に前記細断タバコ製品を提供することを更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項103】
タバコ特異的ニトロソアミンの生成を低下させるため、処理中、前記組成物の熱への曝露が90秒未満である、請求項73に記載の方法。
【請求項104】
前記非水性組成物を構成する材料が、高せん断ミキサーでまず第一に混合される、請求項73に記載の方法。
【請求項105】
前記非水性組成物がシリケート材料を更に含む、請求項73に記載の方法。
【請求項106】
タバコ製品から使用者にニコチンを送達するための方法であって、
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む押出非水性組成物を含むシートを提供し、
前記シートを使用者の頬側口腔内、口蓋上又は舌下に置くことを含む方法。
【請求項107】
頬側口腔内に置く前に、前記シートをその長さ方向のおよそ中間点で折り畳んでV型に折られたシートを形成することを更に含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記非水性組成物がミント香味料を更に含み、使用者により長い期間に亘って清涼な息をもたらす、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
同時包装製品であって、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及びタバコを含む非水性組成物から成るシートを含む少なくとも1種の押出タバコ製品を収めた第1のパッケージ、並びに少なくとも1種の巻きタバコを収めた第2のパッケージを含み、前記第1のパッケージ及び前記第2のパッケージは共に外装に同時包装されることを特徴とする同時包装製品。
【請求項110】
前記シートが矩形の薄いストリップ形状を有する、請求項109に記載の同時包装製品。
【請求項111】
前記シートが、長さ1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、幅1.58mm〜10.2cm(1/16インチ〜4インチ)、厚さ0.127mm〜1.27mm(5〜50ミル)を有する、請求項109に記載の同時包装製品。
【請求項112】
前記外装が透明である、請求項109に記載の同時包装製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−500021(P2011−500021A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528866(P2010−528866)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/011374
【国際公開番号】WO2009/048522
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】