無端状のウインチ
【課題】本発明は、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムに沿って適切に移動するとともに、調整が容易で安全性にとんだ無端状のウインチを提供することを課題とする。
【解決手段】ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、巻回ドラムの外周には、溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体を溝側に着設して微移動すべく両端側を固定した着設ガイド体が設けられ、該着設ガイド体及び巻回ドラムがスライド移動すべく設けられている。
【解決手段】ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、巻回ドラムの外周には、溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体を溝側に着設して微移動すべく両端側を固定した着設ガイド体が設けられ、該着設ガイド体及び巻回ドラムがスライド移動すべく設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ワイヤロープ等の紐状体を無端状に移動することのできるウインチに関する。
【背景技術】
【０００２】
屋外のゴルフ練習場の施設においては、支柱により区画された空間部の側面及び天井部分に設置された防球用のネットと、該ネットを移動自在に連結し各支柱の上下間に沿って吊り張りされたガイド用ワイヤロープと、該ガイド用ワイヤロープに並行し無端状に移動すべく設けられた駆動用ワイヤロープと、該駆動用ワイヤロープを駆動するウインチとから構成された防球用のネットの移動システムが設置され、風の影響を受けるような時には、ウインチを駆動することで駆動用ワイヤロープを無端状に移動し、ガイド用ワイヤロープに沿って防球用のネット下降することで風の影響を回避することができるようになっている。
【０００３】
また、近年建設されている大面積の室内練習場においては、防球用ネットや間仕切り用ネットと、該ネットの上端側に連結された複数の吊張用ワイヤロープと、該吊張用ワイヤロープが連結され天井側で無端状に移動すべく吊り張りされた駆動用ワイヤロープと、該駆動用ワイヤロープを駆動するウインチとからから構成されたネットの移動システムが設置され、ネットを吊り張りする場合は、ウインチを駆動して駆動用ワイヤロープを無端状に移動することで吊張用ワイヤロープを上昇移動してネットを吊り張りすることができるようになっている。
【０００４】
上記ネットの移動システムで使用されるウインチとしては、全体が矩形状のウインチ本体と、ウインチ本体に駆動軸を介して取り付けられたモーターよりなる駆動部とから構成され、前記駆動軸にはワイヤロープを外周に形成された溝に巻回して移動する巻回ドラムが取り付けられ、巻回ドラムの外周にはワイヤロープが巻回されている範囲に沿ってワイヤロープを溝側へ押圧して移動するローラーチエーンが設けられ、該ローラーチエーンの両端側はウインチ本体に設けられた弾性体により張設されている（特開２０００−３５１５８０号公報参照）ウインチが使用されている。
【０００５】
上記ウインチは、巻回ドラムを回転すると回転方向にローラーチエーンが引っ張られた状態となり、ワイヤロープの巻回ドラムへの取り込み側が押圧されワイヤロープの巻回ドラムよりの取り出し側がフリー状態となるために、ワイヤロープは巻回ドラムの溝に沿って空回りすることなくワイヤロープを移動することができる。このために、上記各施設等においては、複数の上記ウインチを制御盤を介して同期しやすく、スムーズなネット移動を可能としていた。
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、上記ウインチは巻回ドラムの外周に設けられたローラーチエーンの両端側に弾性体が設けられているために、ワイヤロープを溝側へ押圧しながら移動することには適するものの、ローラーチエーンの両端が移動自在であるために溝側へのワイヤロープの着設（尚、以下の記載で本発明において着設とは、溝の断面略Ｖ字又は略Ｕ字に沿ってワイヤロープの周面を密接することをいう）して移動する点においては不十分であった。
【０００７】
また、回転するたびにローラーチエーンが巻回ドラムに沿って移動するためにローラーチエーンの両端側の弾性体に延びが発生しやすく、頻繁な弾性体の取り替え等のメンテナンスを必要とするという欠点があった。
【０００８】
また、両端側に弾性体を設ける構成はその取り付けを含め煩雑な構成を必要とし、コンパクト化が図られている現状においては適さないという欠点があった。
【０００９】
また、巻回ドラムの外周にワイヤロープを適切に着設するにはローラーチエーンの僅かな移動で十分であり、両端側に弾性体を設けるような複雑の構成は必要としない。
【００１０】
さらに、必要な点はワイヤロープの先端を巻回ドラムに取り入れる際の巻回ドラムとローラーチエーンとのわずかな間隔の調整は、両端側に弾性体を設けた従来の構成が適するが、両端部が固定していないためにワイヤロープの先端の取り入れ時の巻回ドラム側への着設が十分でないという欠点があった。
【００１１】
そこで、本発明は、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムに沿って適切に移動するとともに、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムへ取り入れが容易であり、調整が容易で安全性にとんだ無端状のウインチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は上記課題を解決するためのウインチの第１の手段は、請求項１に記載のように、ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、巻回ドラムの外周には、溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体を溝側に着設して微移動すべく両端側を固定した着設ガイド体が設けられていることを特徴とする。
【００１３】
また、具体的には、請求項２に記載のように、着設ガイド体及び／又は巻回ドラムがスライド移動すべく設けられていることである。
【発明の作用・効果】
【００１４】
本発明による無端状のウインチの作用効果について説明する。
【００１５】
先ず、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に沿って巻回し、駆動軸を正回転（時計方向）に駆動することで巻回ドラムを正回転する。
【００１６】
この際、巻回ドラムの外周には両端側を溝の近傍で固定した着設ガイド体が設けられているために、ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側では、端部が固定された着設ガイド体は巻回ドラムの外周の溝側に微移動しながら引っ張られ、その結果着設ガイド体はワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動する。
【００１７】
このため、ワイヤロープ等の紐状体は溝に沿って確実に取り出し側に移動することができる。
【００１８】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側では、端部側の着設ガイド体が微移動しているために溝側への着設が取り入れ側に比し弱く、ワイヤロープ等の紐状体は巻回ドラムの溝より離脱しやすくスムーズなワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動を行うことができる。
【００１９】
次に、駆動軸を逆回転（反時計方向）に駆動する場合は、前記着設ガイド体の一端側（ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側）も他端側（ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側）も溝近傍で固定され、しかも着設ガイト体が微移動するために、上記と同様に、ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側では着設ガイド体は巻回ドラムの外周の溝側に移動しながら引っ張られ、その結果着設ガイド体がワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動する。このため、ワイヤロープ等の紐状体は溝に沿って確実に取り出し側に移動することができる。
【００２０】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側では、端部が固定されているが上記の場合とは逆方向に着設ガイド体が微移動するためにワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝への着設力が弱く、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００２１】
このように、本発明の無端状のウインチは、その構成が簡易でありしかも、確実にワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら移動することができるので、スムーズで確実なワイヤロープ等の紐状体の移動を可能とする。
【００２２】
次に、着設ガイド体及び巻回ドラムがスライド移動するように、構成すことで、上記ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側では、巻回ドラムがスライド移動してワイヤロープ等の紐状体の先端側の取り入れを容易に行え、取り入れられたワイヤロープ等の紐状体は着設ガイド体がスライド移動することでよりスムーズに着設ガイド体は巻回ドラムの外周の溝側に移動しながら引っ張られ、その結果着設ガイド体がワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動する。
【００２３】
このため、ワイヤロープ等の紐状体は溝に沿って確実に取り出し側に移動することができる。
【００２４】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側では、端部側の着設ガイド体がスライド移動しているために溝側への着設が取り入れ側に比し弱く、ワイヤロープ等の紐状体は巻回ドラムの溝より離脱しやすくスムーズなワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動を行うことができる。
【００２５】
次に、駆動軸を逆回転（反時計方向）に駆動する場合は、上記取り入れ側と取り出し側とが入れ代わり上記同様にワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動及び取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００２６】
また、上記着設ガイド体又は巻回ドラムをスライド移動すべく構成することでも上記と同様に着設ガイド体又は巻回ドラムのみを移動して、ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ及びワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動することができる。
【００２７】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側でも、着設ガイド体又は巻回ドラムが取り入れ側にスライド移動したことにより、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝への着設力が弱く、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００２８】
このように、本発明の無端状のウインチは、その構成が簡易でありしかも、確実にワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら移動することができるので、スムーズで確実なワイヤロープ等の紐状体の移動を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、本発明の無端状のウインチの一実施例について下記のような各図面を用いて説明する。
【００３０】
図１は本発明の無端状のウインチを示す概略説明平面図であり、図２は巻回ドラムのスライド移動を示す概略説明平面図であり、図３は着設ガイド体のスライド移動を示す概略説明平面図である。
【００３１】
本発明の無端状のウインチ１は、略矩形箱状のウインチ本体２と、該ウインチ本体２に連結された駆動部（図示せず、手動の場合はハンドル、電動の場合はモータ等）とから構成されている。
【００３２】
ウインチ本体２には、回転自在に設けられ、ウインチ本体２に沿ってスライド移動する駆動軸３と、該駆動軸３に取り付けられた外周側面に断面略Ｖ字状の溝４が形成された略円形状の巻回ドラム５と、巻回ドラム５の近傍に着脱自在に固定された着設ガイト体６とが設けられている。
【００３３】
前記巻回ドラム５には、外周の溝４に沿って紐状体７（以下紐状体７とは、ワイヤロープ、通常の強化ロープ、外周にビニールの設けられた線状体及び近年開発された強度のある樹脂ロープ等の総称として記載する）が巻回される。
【００３４】
また、巻回ドラム５は駆動軸３に対してスライド自在に取り付けられているために、紐状体７の取り入れ時に巻回ドラム５と着設ガイド体６との間が微調整することができ、スムーズに紐状体７を取り入れすることができる。
【００３５】
前記着設ガイド体６は、巻回ドラム５近傍で一定の間隔を開けてウインチ本体２に固定された２個の固定軸８にその両端側が固定され、例えば、弾性を有する等のスライド手段を介してスライド自在に構成されている。このため巻回ドラム５の回転方向に沿って微移動することが可能となる。
【００３６】
前記巻回ドラム５の外周には２個の案内ローラ体８が設けられ、巻回ドラム５への紐状体７の取り入れ及び取り出しを補助する。
【００３７】
本発明の無端状のウインチ１の基本構成は上記のように構成され、次に上記基本構成の無端状のウインチ１を使用して紐状体７を移動する場合について説明する。
【００３８】
先ず、紐状体７の一方側を案内ローラ体８を介して巻回ドラム５側に取り入れ、駆動軸３を正回転（時計方向）駆動するで紐状体７を巻回ドラム５の溝４に沿って巻回し、その後取り入れ方向と同一の方向に取り出し移動する。
【００３９】
この際、紐状体７の先端は巻回ドラム５がスライド移動Ａし巻回ドラム５と着設ガイド体６との間を微調整することで、スムーズに巻回ドラム５側に取り入れすることができる。
【００４０】
そして、取り入れられた紐状体７は巻回ドラム５の溝４に沿って設けられた着設ガイド体６が微移動することで、溝４に紐状体７を着設しながら該巻回ドラム５の回転に沿って取り出し側へ移動する。
【００４１】
また、紐状体７の取り出し側においては、着設ガイド体６は微移動し取り出し側より着設が弱いため、紐状体７のスムーズな取り出し移動が可能となる。
【００４２】
次に、駆動軸３を逆回転（反時計方向）に駆動する場合は、前記着設ガイド体６は上記とは逆方向で巻回ドラム５の溝４に沿って紐状体７を着設しながら微移動するために、溝４に紐状体７を着設しながら該巻回ドラム５の回転に沿って取り出し側へ移動する。
【００４３】
また、紐状体７の取り出し側では、上記の場合とは逆方向に着設ガイド体６が移動するために巻回ドラム５の溝４への着設力が弱く、案内ローラ体８を介して紐状体７の取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００４４】
このように、本発明は、着設ガイド体６の両端側が固定され、且つ巻回ドラム５及び着設ガイド体６がスライド移動するために、紐状体７を溝４に着設しながらスムーズに移動することができる。
【００４５】
また、巻回ドラム５の回転方向が相違しても、自在に対応することができる。
【００４６】
尚、上記実施例では、巻回ドラム５及び着設ガイド体６をスライド自在に構成したが、本発明においてこの構成は必須の構成ではなく、例えば、巻回ドラム５のみ、又は着設ガイド体６のみをスライド自在に構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の無端状のウインチを示す概略説明平面図
【図２】巻回ドラムのスライド移動を示す概略説明平面図
【図３】着設ガイド体のスライド移動を示す概略説明正面図
【符号の説明】
【００４８】
１…ウインチ、５…巻回ドラム、３…駆動軸、６…着設ガイド体
７…紐状体、１１…ネット
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ワイヤロープ等の紐状体を無端状に移動することのできるウインチに関する。
【背景技術】
【０００２】
屋外のゴルフ練習場の施設においては、支柱により区画された空間部の側面及び天井部分に設置された防球用のネットと、該ネットを移動自在に連結し各支柱の上下間に沿って吊り張りされたガイド用ワイヤロープと、該ガイド用ワイヤロープに並行し無端状に移動すべく設けられた駆動用ワイヤロープと、該駆動用ワイヤロープを駆動するウインチとから構成された防球用のネットの移動システムが設置され、風の影響を受けるような時には、ウインチを駆動することで駆動用ワイヤロープを無端状に移動し、ガイド用ワイヤロープに沿って防球用のネット下降することで風の影響を回避することができるようになっている。
【０００３】
また、近年建設されている大面積の室内練習場においては、防球用ネットや間仕切り用ネットと、該ネットの上端側に連結された複数の吊張用ワイヤロープと、該吊張用ワイヤロープが連結され天井側で無端状に移動すべく吊り張りされた駆動用ワイヤロープと、該駆動用ワイヤロープを駆動するウインチとからから構成されたネットの移動システムが設置され、ネットを吊り張りする場合は、ウインチを駆動して駆動用ワイヤロープを無端状に移動することで吊張用ワイヤロープを上昇移動してネットを吊り張りすることができるようになっている。
【０００４】
上記ネットの移動システムで使用されるウインチとしては、全体が矩形状のウインチ本体と、ウインチ本体に駆動軸を介して取り付けられたモーターよりなる駆動部とから構成され、前記駆動軸にはワイヤロープを外周に形成された溝に巻回して移動する巻回ドラムが取り付けられ、巻回ドラムの外周にはワイヤロープが巻回されている範囲に沿ってワイヤロープを溝側へ押圧して移動するローラーチエーンが設けられ、該ローラーチエーンの両端側はウインチ本体に設けられた弾性体により張設されている（特開２０００−３５１５８０号公報参照）ウインチが使用されている。
【０００５】
上記ウインチは、巻回ドラムを回転すると回転方向にローラーチエーンが引っ張られた状態となり、ワイヤロープの巻回ドラムへの取り込み側が押圧されワイヤロープの巻回ドラムよりの取り出し側がフリー状態となるために、ワイヤロープは巻回ドラムの溝に沿って空回りすることなくワイヤロープを移動することができる。このために、上記各施設等においては、複数の上記ウインチを制御盤を介して同期しやすく、スムーズなネット移動を可能としていた。
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、上記ウインチは巻回ドラムの外周に設けられたローラーチエーンの両端側に弾性体が設けられているために、ワイヤロープを溝側へ押圧しながら移動することには適するものの、ローラーチエーンの両端が移動自在であるために溝側へのワイヤロープの着設（尚、以下の記載で本発明において着設とは、溝の断面略Ｖ字又は略Ｕ字に沿ってワイヤロープの周面を密接することをいう）して移動する点においては不十分であった。
【０００７】
また、回転するたびにローラーチエーンが巻回ドラムに沿って移動するためにローラーチエーンの両端側の弾性体に延びが発生しやすく、頻繁な弾性体の取り替え等のメンテナンスを必要とするという欠点があった。
【０００８】
また、両端側に弾性体を設ける構成はその取り付けを含め煩雑な構成を必要とし、コンパクト化が図られている現状においては適さないという欠点があった。
【０００９】
また、巻回ドラムの外周にワイヤロープを適切に着設するにはローラーチエーンの僅かな移動で十分であり、両端側に弾性体を設けるような複雑の構成は必要としない。
【００１０】
さらに、必要な点はワイヤロープの先端を巻回ドラムに取り入れる際の巻回ドラムとローラーチエーンとのわずかな間隔の調整は、両端側に弾性体を設けた従来の構成が適するが、両端部が固定していないためにワイヤロープの先端の取り入れ時の巻回ドラム側への着設が十分でないという欠点があった。
【００１１】
そこで、本発明は、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムに沿って適切に移動するとともに、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムへ取り入れが容易であり、調整が容易で安全性にとんだ無端状のウインチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は上記課題を解決するためのウインチの第１の手段は、請求項１に記載のように、ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、巻回ドラムの外周には、溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体を溝側に着設して微移動すべく両端側を固定した着設ガイド体が設けられていることを特徴とする。
【００１３】
また、具体的には、請求項２に記載のように、着設ガイド体及び／又は巻回ドラムがスライド移動すべく設けられていることである。
【発明の作用・効果】
【００１４】
本発明による無端状のウインチの作用効果について説明する。
【００１５】
先ず、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に沿って巻回し、駆動軸を正回転（時計方向）に駆動することで巻回ドラムを正回転する。
【００１６】
この際、巻回ドラムの外周には両端側を溝の近傍で固定した着設ガイド体が設けられているために、ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側では、端部が固定された着設ガイド体は巻回ドラムの外周の溝側に微移動しながら引っ張られ、その結果着設ガイド体はワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動する。
【００１７】
このため、ワイヤロープ等の紐状体は溝に沿って確実に取り出し側に移動することができる。
【００１８】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側では、端部側の着設ガイド体が微移動しているために溝側への着設が取り入れ側に比し弱く、ワイヤロープ等の紐状体は巻回ドラムの溝より離脱しやすくスムーズなワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動を行うことができる。
【００１９】
次に、駆動軸を逆回転（反時計方向）に駆動する場合は、前記着設ガイド体の一端側（ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側）も他端側（ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側）も溝近傍で固定され、しかも着設ガイト体が微移動するために、上記と同様に、ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側では着設ガイド体は巻回ドラムの外周の溝側に移動しながら引っ張られ、その結果着設ガイド体がワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動する。このため、ワイヤロープ等の紐状体は溝に沿って確実に取り出し側に移動することができる。
【００２０】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側では、端部が固定されているが上記の場合とは逆方向に着設ガイド体が微移動するためにワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝への着設力が弱く、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００２１】
このように、本発明の無端状のウインチは、その構成が簡易でありしかも、確実にワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら移動することができるので、スムーズで確実なワイヤロープ等の紐状体の移動を可能とする。
【００２２】
次に、着設ガイド体及び巻回ドラムがスライド移動するように、構成すことで、上記ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ側では、巻回ドラムがスライド移動してワイヤロープ等の紐状体の先端側の取り入れを容易に行え、取り入れられたワイヤロープ等の紐状体は着設ガイド体がスライド移動することでよりスムーズに着設ガイド体は巻回ドラムの外周の溝側に移動しながら引っ張られ、その結果着設ガイド体がワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動する。
【００２３】
このため、ワイヤロープ等の紐状体は溝に沿って確実に取り出し側に移動することができる。
【００２４】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側では、端部側の着設ガイド体がスライド移動しているために溝側への着設が取り入れ側に比し弱く、ワイヤロープ等の紐状体は巻回ドラムの溝より離脱しやすくスムーズなワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動を行うことができる。
【００２５】
次に、駆動軸を逆回転（反時計方向）に駆動する場合は、上記取り入れ側と取り出し側とが入れ代わり上記同様にワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動及び取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００２６】
また、上記着設ガイド体又は巻回ドラムをスライド移動すべく構成することでも上記と同様に着設ガイド体又は巻回ドラムのみを移動して、ワイヤロープ等の紐状体の取り入れ及びワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら巻回ドラムの外周に沿って移動することができる。
【００２７】
また、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し側でも、着設ガイド体又は巻回ドラムが取り入れ側にスライド移動したことにより、ワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝への着設力が弱く、ワイヤロープ等の紐状体の取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００２８】
このように、本発明の無端状のウインチは、その構成が簡易でありしかも、確実にワイヤロープ等の紐状体を巻回ドラムの外周に形成された溝に着設しながら移動することができるので、スムーズで確実なワイヤロープ等の紐状体の移動を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、本発明の無端状のウインチの一実施例について下記のような各図面を用いて説明する。
【００３０】
図１は本発明の無端状のウインチを示す概略説明平面図であり、図２は巻回ドラムのスライド移動を示す概略説明平面図であり、図３は着設ガイド体のスライド移動を示す概略説明平面図である。
【００３１】
本発明の無端状のウインチ１は、略矩形箱状のウインチ本体２と、該ウインチ本体２に連結された駆動部（図示せず、手動の場合はハンドル、電動の場合はモータ等）とから構成されている。
【００３２】
ウインチ本体２には、回転自在に設けられ、ウインチ本体２に沿ってスライド移動する駆動軸３と、該駆動軸３に取り付けられた外周側面に断面略Ｖ字状の溝４が形成された略円形状の巻回ドラム５と、巻回ドラム５の近傍に着脱自在に固定された着設ガイト体６とが設けられている。
【００３３】
前記巻回ドラム５には、外周の溝４に沿って紐状体７（以下紐状体７とは、ワイヤロープ、通常の強化ロープ、外周にビニールの設けられた線状体及び近年開発された強度のある樹脂ロープ等の総称として記載する）が巻回される。
【００３４】
また、巻回ドラム５は駆動軸３に対してスライド自在に取り付けられているために、紐状体７の取り入れ時に巻回ドラム５と着設ガイド体６との間が微調整することができ、スムーズに紐状体７を取り入れすることができる。
【００３５】
前記着設ガイド体６は、巻回ドラム５近傍で一定の間隔を開けてウインチ本体２に固定された２個の固定軸８にその両端側が固定され、例えば、弾性を有する等のスライド手段を介してスライド自在に構成されている。このため巻回ドラム５の回転方向に沿って微移動することが可能となる。
【００３６】
前記巻回ドラム５の外周には２個の案内ローラ体８が設けられ、巻回ドラム５への紐状体７の取り入れ及び取り出しを補助する。
【００３７】
本発明の無端状のウインチ１の基本構成は上記のように構成され、次に上記基本構成の無端状のウインチ１を使用して紐状体７を移動する場合について説明する。
【００３８】
先ず、紐状体７の一方側を案内ローラ体８を介して巻回ドラム５側に取り入れ、駆動軸３を正回転（時計方向）駆動するで紐状体７を巻回ドラム５の溝４に沿って巻回し、その後取り入れ方向と同一の方向に取り出し移動する。
【００３９】
この際、紐状体７の先端は巻回ドラム５がスライド移動Ａし巻回ドラム５と着設ガイド体６との間を微調整することで、スムーズに巻回ドラム５側に取り入れすることができる。
【００４０】
そして、取り入れられた紐状体７は巻回ドラム５の溝４に沿って設けられた着設ガイド体６が微移動することで、溝４に紐状体７を着設しながら該巻回ドラム５の回転に沿って取り出し側へ移動する。
【００４１】
また、紐状体７の取り出し側においては、着設ガイド体６は微移動し取り出し側より着設が弱いため、紐状体７のスムーズな取り出し移動が可能となる。
【００４２】
次に、駆動軸３を逆回転（反時計方向）に駆動する場合は、前記着設ガイド体６は上記とは逆方向で巻回ドラム５の溝４に沿って紐状体７を着設しながら微移動するために、溝４に紐状体７を着設しながら該巻回ドラム５の回転に沿って取り出し側へ移動する。
【００４３】
また、紐状体７の取り出し側では、上記の場合とは逆方向に着設ガイド体６が移動するために巻回ドラム５の溝４への着設力が弱く、案内ローラ体８を介して紐状体７の取り出し移動をスムーズに行うことができる。
【００４４】
このように、本発明は、着設ガイド体６の両端側が固定され、且つ巻回ドラム５及び着設ガイド体６がスライド移動するために、紐状体７を溝４に着設しながらスムーズに移動することができる。
【００４５】
また、巻回ドラム５の回転方向が相違しても、自在に対応することができる。
【００４６】
尚、上記実施例では、巻回ドラム５及び着設ガイド体６をスライド自在に構成したが、本発明においてこの構成は必須の構成ではなく、例えば、巻回ドラム５のみ、又は着設ガイド体６のみをスライド自在に構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】本発明の無端状のウインチを示す概略説明平面図
【図２】巻回ドラムのスライド移動を示す概略説明平面図
【図３】着設ガイド体のスライド移動を示す概略説明正面図
【符号の説明】
【００４８】
１…ウインチ、５…巻回ドラム、３…駆動軸、６…着設ガイド体
７…紐状体、１１…ネット
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、巻回ドラムの外周には、溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体を溝側に着設して微移動すべく両端側を固定した着設ガイト体が設けられていることを特徴とする無端状のウインチ。
【請求項２】
前記着設ガイド体及び／又は巻回ドラムがスライド移動すべく設けられている請求項１に記載の無端状のウインチ。
【請求項１】
ワイヤロープ等の紐状体を外周に形成された溝に巻回するための巻回ドラムと、巻回ドラムを正回転又は逆回転駆動するための駆動軸とが設けられたウインチ本体から構成され、巻回ドラムを回転駆動することでワイヤロープ等の紐状体を取り込み移動するととともに取り出し移動する無端状のウインチにおいて、巻回ドラムの外周には、溝に巻回されたワイヤロープ等の紐状体を溝側に着設して微移動すべく両端側を固定した着設ガイト体が設けられていることを特徴とする無端状のウインチ。
【請求項２】
前記着設ガイド体及び／又は巻回ドラムがスライド移動すべく設けられている請求項１に記載の無端状のウインチ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１０−１８４８１１（Ｐ２０１０−１８４８１１Ａ）
【公開日】平成２２年８月２６日（２０１０．８．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−５４１６２（Ｐ２００９−５４１６２）
【出願日】平成２１年２月１２日（２００９．２．１２）
【出願人】（５９２２０６１５６）東田商工株式会社 (54)
【公開日】平成２２年８月２６日（２０１０．８．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年２月１２日（２００９．２．１２）
【出願人】（５９２２０６１５６）東田商工株式会社 (54)
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