説明

無線タグ通信装置

【課題】タグ識別情報の取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができるようにする。
【解決手段】リーダ1は、操作端末100とタグ通信端末200とを備えている。タグ通信端末200は、無線タグTの無線タグ回路部ToのタグIDを受信して取得すると、取得したタグIDが読取結果リストに既に登録されているタグIDと同一であるかどうか照合し、両者のタグIDが異なるときは、当該タグIDを読取結果リストに追加登録し、読取結果リストに登録されているタグIDの数を表示部220にカウンタ表示する。そして、タグ通信端末200は、取得したタグIDの全データをそのまま操作端末100へ送信するか、或いは取得したタグIDのデータを短縮化して操作端末100へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグと無線通信を行う無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグと無線通信を行う無線タグ通信装置として、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。この従来技術の無線タグ通信装置としてのリーダは、操作者が携帯可能な携帯操作端末として構成されている。このリーダは、情報取得手段としてのアンテナ及び高周波回路と、CPUを備えた制御回路とを有している。また、リーダには、基地局及び通信回線を介しデータベースを備えたサーバが接続されている。このデータベースには、物品の名称と、これに関連づけられている無線タグのタグ識別情報としてのタグIDとの、相関情報が格納保持されている。
【0003】
操作者がある特定の物品の現在位置を探したい場合、リーダのCPUは、基地局及び通信回線を介し上記サーバのデータベースにアクセスする。すると、操作者により指定されたキーワードに対応する検索がデータベースで実行され、当該物品に設けられた無線タグに係るタグIDが特定される。そして、そのタグIDを指定して高周波回路及びアンテナを介し無線タグと無線通信を行い、タグIDを取得することにより、対応する無線タグを検出する。これにより、操作者が探したい物品を見つけ出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−87034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術のようなユーザが携帯可能な無線タグ通信装置において、ユーザの利便性を向上することを目的として、操作手段を備えた操作端末と、無線タグと無線通信を行うタグ通信端末とを分離した構造が考えられる。操作端末とタグ通信端末とを別体とすることにより、ユーザが操作しやすい状態に操作端末を配置することができるとともに、無線タグと通信しやすい場所にタグ通信端末を配置することができるからである。
【0006】
ここで、無線タグからのタグ識別情報の取得処理の際には、1つのタグ識別情報が1回受信され取得されれば2回目以降を重複して取得する必要はない。このため、通常、新たにタグ識別情報が取得された際には、当該タグ識別情報が、既に取得済みのタグ識別情報と同一であるかどうかの照合が行われる。
【0007】
一般に、このような照合は操作端末によって行われる。このため、タグ通信端末と操作端末との間では、次のような情報の送受信が行われることになる。すなわち、タグ通信端末が取得したタグ識別情報を操作端末へ報告し、操作端末が当該タグ識別情報が既に取得済みのタグ識別情報と同一であるかどうかを照合し、照合結果に基づく所定の指示を操作端末がタグ通信端末側へ送信し、受信した指示に応じた処理をタグ通信端末が行う。
【0008】
このような情報の送受信が、タグ通信端末においてタグ識別情報の取得処理を行っている間、常に行われることになる。その結果、タグ識別情報の取得処理を円滑かつ迅速に行うことができなくなるおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、タグ識別情報の取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができる無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1発明の無線タグ通信装置は、操作手段を備えた操作端末と、無線タグと無線通信を行う装置アンテナを備えたタグ通信端末と、を有する無線タグ通信装置であって、前記タグ通信端末は、前記無線タグのタグ識別情報を、前記装置アンテナを用いた無線通信により当該無線タグから取得する情報取得処理を行う情報取得手段と、少なくとも1つのタグ識別情報を記憶可能な記憶手段と、前記情報取得手段により前記無線タグより前記タグ識別情報が取得された場合に、当該取得された前記タグ識別情報が、前記記憶手段に記憶された前記タグ識別情報と一致するかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記取得された前記タグ識別情報が前記記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致したと判定された場合と一致しないと判定された場合とで、それぞれ異なる当該タグ識別情報に係わる所定の処理を行う情報加工手段と、前記情報加工手段による処理結果に対応した処理データを前記操作端末へ送信するデータ送信手段と、を備えており、前記操作端末は、前記データ送信手段により送信された前記処理データを受信して取得するデータ受信手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本願第1発明の無線タグ通信装置は、操作端末とタグ通信端末とを有する。タグ通信端末は装置アンテナを用いて無線タグと無線通信を行い、操作端末は操作手段を備えている。タグ通信端末と操作端末とは互いに着脱自在に構成されている。これにより、操作端末をユーザが操作しやすい状態に配置するとともに、タグ通信端末は無線タグと通信しやすい場所に配置することができる。この結果、ユーザの利便性を向上することができる。
【0012】
上記のように、無線タグ通信装置が、別体である操作端末及びタグ通信端末により構成された場合、それら操作端末とタグ通信端末との間で信号の授受を行う必要がある。
【0013】
一方、一般に、無線タグからのタグ識別情報の取得処理の際には、取得のための問いかけ信号が装置アンテナから無線タグへ送信され、無線タグが当該問いかけ信号に応答してタグ情報を送信する。通常、タグ識別情報の取得漏れを防ぐために、装置アンテナからは上記問いかけ信号が所定回数繰り返し送信される。この結果、通信範囲内に存在する同一の無線タグから同一のタグ識別情報が複数回送信されるので、装置アンテナは、同一のタグ識別情報を複数回受信する。タグ識別情報の取得処理としては、1つのタグ識別情報が1回受信され取得されれば2回目以降を重複して取得する必要はない。このため、通常、新たにタグ識別情報が取得された際には、当該タグ識別情報が、既に取得済みのタグ識別情報と同一であるかどうかの照合が行われる。
【0014】
本願第1発明においては、上述した、別体である操作端末及びタグ通信端末の間における信号の授受の必要性に対応して、上記のタグ識別情報の照合機能をタグ通信端末側が備えている。すなわち、本願第1発明では、タグ通信端末において、情報取得手段が、無線タグのタグ識別情報を無線通信により取得する。そしてタグ通信端末の判定手段が、当該取得されたタグ識別情報が記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致するかどうかを判定する。取得されたタグ識別情報が記憶されたタグ識別情報と一致したと判定された場合と一致しないと判定された場合とで、タグ通信端末の情報加工手段が、それぞれ異なる当該タグ識別情報に係わる所定の処理を行う。そして、タグ通信端末のデータ送信手段が、その所定の処理の結果に対応した処理データを、操作端末へと送信する。
【0015】
以上のように、本願第1発明では、タグ通信端末がタグ識別情報を取得したとき、取得されたタグ識別情報が既に取得済みのタグ識別情報と同一であるかどうかをタグ通信端末側で判定し、所定の処理を行い、処理後のデータを操作端末へ送信する。この結果、取得されたタグ識別情報をタグ通信端末が操作端末へ報告し、操作端末が当該タグ識別情報が既に取得済みのタグ識別情報と同一であるかどうかを照合し、照合結果に基づく所定の指示を操作端末がタグ通信端末側へ送信し、受信した指示に応じた処理をタグ通信端末が行う場合に比べ、タグ識別情報の取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0016】
第2発明の無線タグ通信装置は、上記第1発明において、前記タグ通信端末は、前記判定手段により、前記取得された前記タグ識別情報が前記記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致しないと判定された場合に、当該タグ識別情報を記憶手段に格納する第1格納手段を備え、前記情報加工手段は、前記所定の処理として、前記第1格納手段により前記記憶手段に格納されたタグ識別情報を当該タグ識別情報の少なくとも一部を有するように加工し、前記データ送信手段は、前記第1格納手段により格納された前記タグ識別情報又は前記情報加工手段により加工した情報を前記処理データとして前記操作端末へ送信することを特徴とする。
【0017】
本願第2発明においては、タグ通信端末がタグ識別情報を取得したとき、取得されたタグ識別情報が既に取得済みのタグ識別情報と同一ではなかった場合にのみ、第1格納手段が当該タグ識別情報を記憶手段に格納する。1つのタグ識別情報が記憶手段に格納された後、同一のタグ識別情報を重複して記憶手段に格納する必要はないからである。また、情報加工手段により、第1格納手段により格納されたタグ識別情報を当該タグ識別情報の少なくとも一部を有するように加工する。そして、第1格納手段に格納されたタグ識別情報又は上記加工した情報が、操作端末へ送信される。
【0018】
以上のようにして、本願第2発明では、タグ通信端末が、既に取得済みのタグ識別情報と異なるタグ識別情報を新たに取得したとき、取得されたタグ識別情報を記憶手段に格納する態様の情報取得処理において、取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0019】
第3発明の無線タグ通信装置は、上記第2発明において、前記第1格納手段により前記タグ識別情報が前記記憶手段に格納された場合に、その新たに格納されたタグ識別情報と、前記タグ識別情報の格納よりも前に前記記憶手段に格納された少なくとも1つのタグ識別情報のうち最後に格納されたタグ識別情報との、同一性を比較し、前記新たに格納されたタグ識別情報のうち、前記最後に格納されたタグ識別情報と同一のデータ部分と異なるデータ部分とを識別するデータ比較手段と、前記データ比較手段により識別された前記異なるデータ部分を、前記新たに格納されたタグ識別情報から抽出加工するデータ抽出手段と、を有し、前記データ送信手段は、前記データ抽出手段により抽出加工された、前記新たに格納されたタグ識別情報の前記異なるデータ部分を、前記処理データとして前記操作端末へ送信することを特徴とする。
【0020】
本願第3発明においては、新たにタグ識別情報が取得されたとき、直前に記憶手段に格納したタグ識別情報と異なるデータ部分のみが抽出され、操作端末へ送信される。操作端末は、当該受信した異なるデータ部分に対し、直前に受信した同一のデータ部分を付け加えることで、上記取得されたタグ識別情報を容易に復元することができる。そして、上記異なるデータ部分のみがタグ通信端末から操作端末へ送信されることで、送信におけるデータ量を必要最小限にとどめることができる。この結果、取得処理全体をさらに迅速に行うことができる。特に、同一種類の複数の無線タグに対し連続して情報読み取りが行われる場合には、上記異なるデータ部分のデータ量が少なく、特に有効である。
【0021】
第4発明の無線タグ通信装置は、上記第3発明において、前記データ抽出手段により抽出加工された、前記新たに格納されたタグ識別情報の前記異なるデータ部分に対し、抽出加工されたことを表す識別子を付与する識別子付与手段を有し、前記データ送信手段は、前記データ抽出手段により抽出加工された、前記新たに格納されたタグ識別情報の前記異なるデータ部分と、前記識別子付与手段により付与された前記識別子とを、前記処理データとして前記操作端末へ送信することを特徴とする。
【0022】
これにより、操作端末は、識別子の有無を手がかりに、タグ通信端末から受信されたデータが、上記抽出加工されたデータであるのか、抽出加工されない通常のデータであるのかを、確実に識別することができる。
【0023】
第5発明の無線タグ通信装置は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記タグ通信端末は、前記記憶手段に記憶された前記タグ識別情報の数を表示する第1表示手段を備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、操作者が、タグ識別情報の取得及び格納が正しく行われていることを、確実に視覚的に認識することができる。
【0025】
第6発明の無線タグ通信装置は、上記第2乃至第5発明のいずれかにおいて、前記タグ通信端末は、操作者が、前記記憶手段に格納された前記タグ識別情報の消去を指示可能な第1操作手段と、前記第1操作手段による指示に基づき、前記記憶手段に格納された前記タグ識別情報を消去する第1初期化手段を備えることを特徴とする。
【0026】
これにより、操作者が第1操作手段を手動操作することで、タグ識別情報の取得及び記憶手段への格納を途中でリセットし、最初からやり直すことができる。また、第1表示手段での表示が行われる場合には、操作者が意図的に一度リセットすることで、どの時点からの表示であるのかを明確化することができる。
【0027】
第7発明の無線タグ通信装置は、上記第1発明において、前記操作端末は、前記タグ通信端末の前記情報取得手段による情報取得対象となる少なくとも1つのタグ識別情報を前記タグ通信端末へ送信する情報送信手段を備えており、前記タグ通信端末は、前記情報送信手段により送信された前記少なくとも1つのタグ識別情報を受信して取得する情報受信手段と、前記情報受信手段により取得された前記少なくとも1つのタグ識別情報を前記記憶手段に格納する第2格納手段とを備え、前記情報加工手段は、前記判定手段により、前記取得された前記タグ識別情報が、前記第2格納手段により前記記憶手段に格納され記憶された前記少なくとも1つのタグ識別情報と一致したと判定された場合に、前記記憶手段内の当該タグ識別情報に対し所定の削除処理を行う削除処理手段を含み、前記データ送信手段は、前記第2格納手段により前記記憶手段に格納され記憶された前記少なくとも1つのタグ識別情報のうち、前記削除処理手段による削除処理が行われていないタグ識別情報の個数を前記処理データとして前記操作端末へ送信することを特徴とする。
【0028】
本願第7発明においては、予め、操作端末の情報送信手段から情報取得対象となる少なくとも1つのタグ識別情報が送信され、タグ通信端末の情報受信手段が当該タグ識別情報を受信し、当該受信されたタグ識別情報が第2格納手段により記憶手段に記憶されている。
【0029】
この状態で、タグ通信端末がタグ識別情報を取得したとき、取得されたタグ識別情報が既に取得済みのタグ識別情報と同一であった場合にのみ、削除処理手段が記憶手段内の当該タグ識別情報に所定の削除処理を行う。1つのタグ識別情報に削除処理を行った後、同一のタグ識別情報に対し重複して削除処理を行う必要はない、若しくは削除処理ができないからである。そして、記憶手段内のタグ識別情報のうち削除処理されていないタグ識別情報の個数が、操作端末へ送信される。
【0030】
以上のようにして、本願第7発明では、タグ通信端末が、既に取得済みのタグ識別情報と異なるタグ識別情報を新たに取得したとき、取得されたタグ識別情報を削除処理する態様の情報取得処理において、取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0031】
第8発明の無線タグ通信装置は、上記第7発明において、前記タグ通信端末は、前記第2格納手段により前記記憶手段に格納され記憶された前記少なくとも1つのタグ識別情報のうち、前記削除処理手段による削除処理が行われていないタグ識別情報の個数を表示する第2表示手段を備えることを特徴とする。
【0032】
これにより、操作者が、タグ識別情報の取得及び当該取得に伴う削除処理が正しく行われていることを、確実に視覚的に認識することができる。
【0033】
第9発明の無線タグ通信装置は、上記第7又は第8発明において、前記タグ通信端末は、操作者が、前記削除処理手段により前記削除処理が実行された前記記憶手段内の当該タグ識別情報の、削除処理前の状態への復元を指示可能な第2操作手段と、前記第2操作手段による指示に基づき、前記削除処理手段により前記削除処理が実行された前記記憶手段内の当該タグ識別情報を、削除処理前の状態へ復元処理する第2初期化手段を備えることを特徴とする。
【0034】
これにより、操作者が第2操作手段を手動操作することで、タグ識別情報の取得及び削除処理を途中でリセットし、最初からやり直すことができる。また、第2表示手段での表示が行われる場合には、操作者が意図的に一度リセットすることで、どの時点からの表示であるのかを明確化することができる。
【0035】
第10発明の無線タグ通信装置は、上記第1乃至第9発明のいずれかにおいて、前記タグ通信端末は、操作者が、前記装置アンテナからの前記無線通信の送信出力の変更を指示可能な第3操作手段と、前記第3操作手段による指示に基づき、前記装置アンテナからの前記無線通信の送信出力の変更する出力制御手段を備えることを特徴とする。
【0036】
これにより、タグ通信端末での操作により、操作者が容易に無線通信の送信出力を変更することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、タグ識別情報の取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の無線タグ通信装置であるリーダの外観構成を示す斜視図である。
【図2】タグ通信端末を正面側から見た図である。
【図3】リーダの機能的構成を示す図である。
【図4】タグ通信端末が操作端末から離隔された状態を示す斜視図である。
【図5】操作端末の全体制御部が実行する、タグ通信端末との接続に関する制御手順を示すフローチャートである。
【図6】タグ通信端末の全体制御部が実行する制御手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のリストアップ処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図7のデータ送信処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図9】前回送信したタグIDのデータ列と今回送信すべきタグIDのデータ列とを比較した一例を示す図である。
【図10】操作端末に送信するデータのパターンを示す図である。
【図11】図6のインベントリ処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図12】図6のリセット処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図13】図6の通信処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図14】無線タグ通信装置であるリーダの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の無線タグ通信装置であるリーダの外観構成を示す斜視図である。
【0040】
図1において、本実施形態の無線タグ通信装置としてのリーダ1は、操作端末100と、当該操作端末100に対し着脱自在に構成されるタグ通信端末200とを有している。すなわち、リーダ1は、別体である操作端末100及びタグ通信端末200により構成されている。図1に示す例では、タグ通信端末200が操作端末100から取り外され、離隔された状態のリーダ1を示している。
【0041】
操作端末100は、ユーザが各種入力操作を行うための端末である。この操作端末100は、操作部101と、表示部102と、アンテナ103と、2つのフック孔105とを備えている。
【0042】
操作手段としての操作部101は、ユーザが各種操作入力を行うものであり、例えば複数の操作ボタンからなっている。表示部102は、各種情報やメッセージを表示する。アンテナ103は、タグ通信端末200に設けられた端末間通信用アンテナ203との間で、無線により端末間通信を行う(詳細は後述)。フック孔105は、タグ通信端末200に設けられたフック205(後述)を取り付け可能に構成されている。
【0043】
一方、タグ通信端末200は、無線タグTと無線通信を行うための端末である。このタグ通信端末200は、端末間通信用アンテナ203と、装置アンテナとしてのタグ通信用アンテナ206と、2つのフック205とを備えている。
【0044】
端末間通信用アンテナ203は、操作端末100に設けられた上記アンテナ103との間で、無線により端末間通信を行う(詳細は後述)。タグ通信用アンテナ206は、所定の通信範囲(図示せず)に存在する無線タグTに対し無線通信を行う(詳細は後述)。フック205は、操作端末100に設けられた上記フック孔105に対し取り付け可能に構成されている。
【0045】
このようなタグ通信端末200と操作端末100とが互いに着脱自在に構成されていることで、操作端末100をユーザが操作しやすい状態に配置するとともに、タグ通信端末200を無線タグTと通信しやすい場所に配置することができる。この結果、ユーザの利便性を向上することができる。
【0046】
図2は、タグ通信端末200を正面側から見た図である。図2において、タグ通信端末200は、表示部220と、トリガスイッチ221と、リセッチスイッチ222と、パワー調整スイッチ223とを更に備えている。
【0047】
表示部220は、後述する読取結果リストに登録されている無線タグTのタグ識別情報としてのタグIDの数をカウンタ表示したり、後述する調査IDリストにおける削除マークの無いタグIDの数をカウンタ表示する(詳細は後述)。また、表示部220は、タグ通信端末200の処理においてエラーが発生したときに、エラー表示を行う。この表示部220が、特許請求の範囲に記載の第1表示手段及び第2表示手段に相当する。
【0048】
トリガスイッチ221は、ユーザが無線タグTに対する通信の開始及び終了を指示するための操作スイッチである。リセッチスイッチ222は、タグIDの取得、登録、削除マーク付け、表示等の処理のリセットを指示するための操作スイッチである。このリセットスイッチ222が、特許請求の範囲に記載の第1操作手段及び第2操作手段に相当する。パワー調整スイッチ223は、タグ通信用アンテナ206からの無線通信の送信出力を調整するためのスライド式のスイッチである。このパワー調整スイッチ223が、特許請求の範囲に記載の第3操作手段に相当する。
【0049】
図3は、リーダ1の機能的構成を示す図である。図3において、リーダ1は、上述したように、操作端末100及びタグ通信端末200を有している。
【0050】
操作端末100は、上記操作部101と、上記表示部102と、上記アンテナ103と、通信制御部107と、メモリ112と、不揮発性記憶装置113と、全体制御部110と、バッテリ115とを有している。
【0051】
アンテナ103は、タグ通信端末200側の端末間通信用アンテナ203との間で端末間通信を行う。具体的には、例えば公知のBluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)等の無線通信態様による通信を行う。通信制御部107は、上記アンテナ103を介し行われる端末間通信を制御する。
【0052】
メモリ112は、例えばRAMやROM等から構成される。不揮発性記憶装置113は、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり、各種情報や各種プログラムを記憶する。全体制御部110は、上記メモリ112内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置113に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、全体制御部110は、操作端末100全体の各種制御を行う。バッテリ115は、上述した全体制御部110等に対し、必要な電力を供給する。
【0053】
一方、タグ通信端末200は、上記表示部220と、上記トリガスイッチ221と、上記リセッチスイッチ222と、上記パワー調整スイッチ223と、上記端末間通信用アンテナ203と、端末間通信制御部207と、上記タグ通信用アンテナ206と、RF通信制御部211と、メモリ212と、不揮発性記憶装置213と、全体制御部210と、バッテリ215とを有している。
【0054】
端末間通信用アンテナ203は、操作端末100側のアンテナ103との間で端末間通信を行う。具体的には、上記無線通信態様による通信を行う。端末間通信制御部207は、上記端末間通信用アンテナ203を介し行われる端末間通信を制御する。
【0055】
タグ通信用アンテナ206は、上述したように、上記所定の通信範囲内の無線タグTと無線通信を行う。無線タグTは、タグアンテナ151及びIC回路部150を備えた無線タグ回路部Toを有している。タグアンテナ151は、情報を送受信する。IC回路部150は、情報を記憶する図示しないメモリ部を備えている。
【0056】
RF通信制御部211は、上記タグ通信用アンテナ206を介し、無線タグTに設けられた無線タグ回路部ToのIC回路部150に記憶された情報へアクセスする。これにより、無線タグTのタグ識別情報としてのタグIDを取得する。メモリ212は、例えばRAMやROM等から構成される。不揮発性記憶装置213は、ハードディスク装置やフラッシュメモリからなり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0057】
全体制御部210は、上記メモリ212内のRAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記不揮発性記憶装置213に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。これによって、全体制御部210は、タグ通信端末200全体の各種制御を行う。バッテリ215は、上述した全体制御部210等に対し、必要な電力を供給する。
【0058】
図5は、操作端末100の全体制御部110が実行する、タグ通信端末200との接続に関する制御手順を示すフローチャートである。図5において、例えば操作端末100の電源がオンにされることによって、このフローが開始される。
【0059】
まずステップS105において、全体制御部110は、操作部101によりタグ通信端末200との接続要求の操作が行われたかどうかを判定する。判定が満たされるまでループして待機し、タグ通信端末200との接続要求の操作が行われたときは、判定が満たされてステップS110に移る。ステップS110では、全体制御部110は、アンテナ103からタグ通信端末200に対して接続要求信号を送信する。
【0060】
次いでステップS111において、全体制御部110は、タグ通信端末200との接続が完了したかどうかを判定する。操作部101との接続が完了したときは、判定が満たされてステップS120に移るが、接続に失敗したときは、判定が満たされずステップS112にて接続エラーであることを表示したのち、このフローを終了する。
【0061】
ステップS120では、全体制御部110は、操作部101からタグ通信端末200の情報取得処理モードの変更が必要かどうかを判定する。ここでの情報取得処理モードとしては、リストアップモードと、インベントリモードとがある。リストアップモードとは、タグ通信端末200が、既に取得済みのタグIDと異なるタグIDを新たに取得したときに、その取得したタグIDを読取結果リストに追加登録する態様のモードである。インベントリモードとは、タグ通信端末200が、調査IDリストに予め登録されているタグIDであって、既に取得済みのタグIDと異なるタグIDを新たに取得したときに、その取得したタグIDを削除処理する態様のモードである。情報取得処理モードの変更が不要な場合、この判定が満たされずステップS139に移行する。また、情報取得処理モードの変更が必要な場合、この判定が満たされステップS121に移行する。
【0062】
ステップS121では、全体制御部110は、アンテナ103からタグ通信端末200に対して、情報取得処理モードとしてリストアップモードを設定する場合にはタグ通信端末200のリストフラグを「0」にするための情報を、インベントリモードを設定する場合にはタグ通信端末200のリストフラグを「1」にするための情報を送信し、ステップS139へ移行する。リストフラグは,タグ通信端末200の動作モードを設定する変数で、タグ通信端末200はリストフラグが「0」の時にはリストアップモードで動作し、リストフラグが「1」の時にはインベントリモードで動作する。
【0063】
ステップS139では、全体制御部110は、操作部101からタグ通信端末200へ調査IDリストデータの送付が必要かどうかを判定する。調査IDリストとは、タグ通信端末200がインベントリモードにおいて調査すべきタグIDを一覧したリストである。調査IDリストデータの送付が必要な場合はこの判定が満たされ、ステップS140において、全体制御部110は、アンテナ103からタグ通信端末200に対して調査IDリストデータを送信し、ステップS150に移る。調査IDリストデータの送付が不要な場合はこの判定が満たされず、ステップS150へ移行する。
【0064】
ステップS150では、全体制御部110は、操作部101によりタグ通信端末200に対する蓄積データの送信要求の操作が行われたかどうかを判定する。タグ通信端末200に対する蓄積データ送信要求の操作が行われたときは、判定が満たされてステップS155に移るが、タグ通信端末200に対する蓄積データ送信要求の操作が行われていないときは判定が満たされず、ステップS125に移行する。
【0065】
ステップS155では、全体制御部110は、アンテナ103からタグ通信端末200に対して蓄積データ送信要求信号を送信する。その後、ステップS160に移り、全体制御部110は、タグ通信端末200からアンテナ103を介して送られてくる蓄積データを受信する。データの受信が完了したら、ステップS125に移行する。
【0066】
ステップS125では、全体制御部110は、操作部101により連続接続モードに関する設定操作が行われたかどうかを判定する。連続接続モードとは、ステップS160においてタグ通信端末200から送信された蓄積データを受信する通常接続モードと異なり、タグ通信端末200が受信したタグIDなどの情報をアンテナ103を介して逐次通信する接続モードのことである。連続接続モードに関する設定操作が行われたときは、判定が満たされてステップS145に移り、連続接続モードに関する設定操作が行われていないときは、判定が満たされずステップS170に移る。
【0067】
ステップS145では、全体制御部110は、アンテナ103からタグ通信端末200に対して連続接続モードに関する指示信号を送信し、ステップS163に移る。
【0068】
ステップS163では、全体制御部110は、操作部101により連続接続モードを終了しタグ通信端末200との接続を切断する操作が行われたかどうかを判定する。連続接続モード終了操作が行われていないときは、判定が満たされず、連続接続モードにおける通信状態を保ちながらステップS163を繰り返す。一方、接続切断操作が行われたときは、判定が満たされて後述のステップS170に移る。
【0069】
ステップS170では、全体制御部110は、タグ通信端末200との接続を切断し、本フローを終了する。
【0070】
図6は、タグ通信端末200の全体制御部210が実行する制御手順を示すフローチャートである。図6において、タグ通信端末200の電源がオンにされることによって、このフローが開始される。
【0071】
まずステップS205において、全体制御部210は、トリガスイッチ221によりトリガがON操作されたかどうかを判定する。トリガがON操作されたときは、判定が満たされてステップS210に移り、トリガがON操作されていないときは、判定が満たされずステップS225に移る。
【0072】
ステップS210では、全体制御部210は、前述したリストフラグが1であるかどうかを判定し、リストフラグが1でないときは、判定が満たされずステップS215に移り、全体制御部210はリストアップ処理を実行し、ステップS205に戻る。なお、このリストアップ処理の詳細内容については、後述の図7で説明する。リストフラグが1であるときは、判定が満たされてステップS220に移り、全体制御部210はインベントリ処理を実行し、ステップS205に戻る。なお、このインベントリ処理の詳細内容については、後述の図11で説明する。
【0073】
ステップS225では、全体制御部210は、リセットスイッチ222によりリセット操作が行われたかどうかを判定する。リセット操作が行われたときは、判定が満たされてステップS230に移り、全体制御部210はリセット処理を実行し、ステップS205に戻る。なお、このリセット処理の詳細内容については、後述の図12で説明する。リセット操作が行われていないときは、判定が満たされずステップS235に移る。
【0074】
ステップS235では、全体制御部210は、操作端末100から送信された接続要求信号(図5のステップS110参照)を端末間通信用アンテナ203を介して受信したかどうかを判定する。操作端末100からの接続要求信号を受信したときは、判定が満たされてステップS240に移り、全体制御部210は通信処理を実行し、ステップS205に戻る。なお、この通信処理の詳細内容については、後述の図13で説明する。
【0075】
操作端末100からの接続要求信号を受信していないときは、判定が満たされずステップS245に移る。ステップS245では、全体制御部210は、タグ通信端末200の電源がオフにされたかどうかを判定し、タグ通信端末200の電源がオフにされていないときは、判定が満たされずステップS205に戻る。タグ通信端末200の電源がオフにされたときは、判定が満たされて、本フローを終了する。
【0076】
図7は、上記ステップS215のリストアップ処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0077】
図7において、まずステップS305において、全体制御部210は、タグ通信端末200の各種初期設定を行う。このとき、IDカウンタ値(後述)を0に初期化する。次いでステップS310において、全体制御部210は、無線タグTの無線タグ回路部Toに記憶された情報を読み出すためのタグ読み取り信号をRF通信制御部211を介してタグ通信用アンテナ206から通信範囲内の無線タグTに送信し、返信を促す。
【0078】
その後ステップS315において、全体制御部210は、上記タグ読み取り信号に対応し通信範囲内の無線タグTの無線タグ回路部Toから返信された応答信号をタグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211を介して受信し、当該無線タグ回路部Toに記憶されたタグIDを読み取ったかどうかを判定する。無線タグTのタグIDを読み取ったときは、判定が満たされてステップS320に移り、無線タグTのタグIDを読み取らなかったときは、判定が満たされず後述のステップS350に移る。
【0079】
ステップS320では、全体制御部210は、読み取ったタグIDを読取結果リスト内のタグIDと照合する。読取結果リストは、読み取ったタグIDが登録されたリストであり、記憶手段としての上記不揮発性記憶装置213に記憶されている。そしてステップS325において、全体制御部210は、読み取ったタグIDが既に読取結果リストに登録されているかどうかを判定する。読み取ったタグIDが読取結果リストに登録されているときは、判定が満たされて後述のステップS350に移り、読み取ったタグIDが読取結果リストに登録されていないときは、判定が満たされずステップS330に移る。
【0080】
ステップS330では、全体制御部210は、読み取ったタグIDを読取結果リストに追加登録する。そしてステップS335において、全体制御部210は、読取結果リストに登録されているタグIDの数を表すIDカウンタ値を1だけ加算し、表示部220に表示されるIDカウンタ値を修正する。
【0081】
次いでステップS340において、全体制御部210は、操作端末100と接続中であるかどうかを判定する。操作端末100と接続中であるときは、判定が満たされてステップS345に移り、操作端末100と接続中でないときは、判定が満たされずステップS350に移る。ステップS345では、全体制御部210は、データ送信処理を実行し、ステップS350に移る。なお、このデータ送信処理の詳細内容については、後述の図8で説明する。
【0082】
ステップS350では、全体制御部210は、トリガスイッチ221によりトリガがOFF操作されたかどうかを判定する。トリガがOFF操作されたときは、判定が満たされて本フローを終了する。トリガがOFF操作されていないときは、判定が満たさずステップS355に移る。
【0083】
ステップS355では、全体制御部210は、パワー調整スイッチ223により送信パワーの変更操作が行われたかどうかどうかを判定する。送信パワーの変更操作が行われたときは、判定が満たされてステップS360に移り、全体制御部210は、当該変更操作に応じて通信用アンテナ206からの送信出力を変更し、ステップS310に戻る。一方、送信パワーの変更操作が行われていないときは、判定が満たされず、そのままステップS310に戻る。
【0084】
図8は、上記ステップS345のデータ送信処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
図8において、まずステップS405において、全体制御部210は、読取結果リストに追加登録された今回送信すべきタグIDのデータ長さ(データ数)が前回送信したタグIDのデータ長さと同じであるかどうかを判定する。なお、この前回送信したタグIDは、上記不揮発性記憶装置213の所定の記憶エリアに記憶されている。今回送信すべきタグIDのデータ長さが前回送信したタグIDのデータ長さと同じであるときは、判定が満たされてステップS410に移り、今回送信すべきタグIDのデータ長さが前回送信したタグIDのデータ長さと異なるときは、判定が満たされずステップS440に移る。
【0086】
ステップS410では、全体制御部210は、変数mをタグIDデータの全ビット数(M_max)に設定する。変数mは、タグIDデータの最下位ビットから数えて何番目(何ビット目)にあるかを表す変数である。
【0087】
次いでステップS415において、全体制御部210は、今回送信すべきタグIDデータのmビット目のデータ値(D_n(m))が前回送信したタグIDデータのmビット目のデータ値(D_n−1(m))と等しいかどうかを判定する。今回送信すべきタグIDデータのmビット目のデータ値が前回送信したタグIDデータのmビット目のデータ値と等しいときは、判定が満たされてステップS420に移り、今回送信すべきタグIDデータのmビット目のデータ値が前回送信したタグIDデータのmビット目のデータ値と異なるときは、判定が満たされずステップS435に移る。
【0088】
ステップS420では、全体制御部210は、変数mを1だけ減算する。そしてステップS425において、変数mが0であるかどうかを判定する。変数mが0でないときは、判定が満たされずステップS415に戻り、同様の手順を繰り返す。変数mが0であるときは、判定が満たされてステップS430に移り、今回送信すべきタグIDデータが前回送信したタグIDデータと全く同じであるとして、表示部220にエラー表示させる。
【0089】
ステップS435では、全体制御部210は、上記タグIDデータの全ビット数(M_max)から変数mを減じた値が短縮送信基準ビット長p_lengthよりも大きいかどうかを判定する。ここで短縮送信基準ビット長p_lengthは、短縮データ情報長(ここでは「8」ビット)にビット数データ長(ここでは「8」ビット)を加えたものであり、ここでは「16」ビットである。すなわち、この例の場合、変数mが16以下の場合はIDを短縮して送信する必要が無い(短縮処理をしても送信データ長が同じか長くなる)と判断し、変数mが17以上の場合はIDを短縮した送信を行う必要がある(短縮処理をした方が送信データが短くなる)と判断する。M_maxから変数mを減じた値が短縮送信基準ビット長p_length以下であるときは、判定が満たされずステップS440に移り、M_maxから変数mを減じた値が短縮送信基準ビット長p_lengthより大きな値であるときは、判定が満たされてステップS455に移る。
【0090】
ステップS440では、全体制御部210は、今回送信すべきタグIDの先頭データがプリアンブル(0xFF)と同じであるかどうかを判定する。今回送信すべきタグIDの先頭データがプリアンブルと同じであるときは、判定が満たされてステップS445に移り、今回送信すべきタグIDの先頭データがプリアンブルと異なるときは、判定が満たされずステップS450に移る。
【0091】
ステップS445では、全体制御部210は、後述する短縮送信のデータと区別するために、エスケープデータ(0xFE)を端末間通信用アンテナ203から操作端末100に送信する。そしてステップS450において、無線タグTから受信した(読み取った)タグIDの全データを同様にして操作端末100に送信し、ステップS470に移る。
【0092】
ステップS455では、全体制御部210は、データを抽出加工したことを表す識別子としてのプリアンブル(0xFF)を端末間通信用アンテナ203から操作端末100に送信し、引き続きステップS460において、変数mの値を8ビットで同様にして操作端末100に送信し、引き続きステップS465において、無線タグTから受信したタグIDデータのうちのmビット目以降(mビット目〜1ビット目)のデータ(D_n(m〜1))を同様にして操作端末100に送信し、ステップS470に移る。
【0093】
ステップS470では、全体制御部210は、操作端末100からの応答信号を所定時間内に受信したかどうかによって、操作端末100に対するデータの送信が成功したかどうかを判定する。操作端末100に対するデータの送信が成功したときは、判定が満たされて本フローを終了する。操作端末100に対するデータの送信が失敗したときは、判定が満たされずステップS430に移り、表示部220にエラー表示させる。
【0094】
図9は、上述した前回送信したタグIDのデータ列と今回送信すべきタグIDのデータ列とを比較した一例を示したものである。
【0095】
図9において、前回送信したタグIDのデータ列と今回送信すべきタグIDのデータ列とについて、先頭から順にデータ値を照合していく。そして、両者の間で最初にデータ値が異なるのがデータ列の最下位ビットから何番目(変数m)であるかを抽出し、その結果に応じて、タグIDの全データを送信するか、タグIDのデータを少なくとも一部を有するように短縮加工して送信するかを決定する。
【0096】
タグIDデータの全ビット数であるM_maxから変数mを減じた値が短縮送信基準ビット長p_length以下である場合には、mビット目以降のデータにプリアンブル(0xFF)と変数mの値を加えると元のデータよりもデータ長さが大きくなってしまうため、そのようなデータの加工はせず、タグIDの全データを操作端末100に送信する(図8のステップS440〜S450参照)。一方、M_maxから変数mを減じた値が短縮送信基準ビット長p_lengthより大きな値である場合には、mビット目以降のデータにプリアンブル(0xFF)と変数mの値を加えても元のデータよりもデータ長さを小さくできるため、そのようなデータの加工を行ってタグIDのデータを短縮送信する。すなわち、図9に示すように、両者の間で最初にデータ値が異なるビット列よりも先頭側のデータは送信せず、両者の間で最初にデータ値が異なるビット列以降のデータを操作端末100に送信する(図8のステップS465参照)。
【0097】
図10は、操作端末100に送信するデータのパターンを示したものである。図10において、無線タグTから受信した新たなタグIDの全データを送信する場合であって、タグIDのデータの先頭部分が「0xFF」以外のときは、タグIDのデータをそのまま送信する(図10(a)参照)。
【0098】
無線タグTから受信した新たなタグIDの全データを送信する場合であって、タグIDのデータの先頭部分がたまたま「0xFF」であるときは、最初にエスケープデータとしての「0xFE」を送信してから、タグIDのデータを送信する(図10(b)参照)。
【0099】
無線タグTから受信した新たなタグIDのデータを短縮送信する場合には、最初にプリアンブルとしての「0xFF」を送信し、続いて変数mの値を送信してから、タグIDのデータのうちmビット目以降のデータを送信する(図10(c)参照)。
【0100】
図11は、図6の上記ステップS220のインベントリ処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0101】
図11において、まずステップS505において、全体制御部210は、タグ通信端末200の各種初期設定を行う。このとき、IDカウンタ値(後述)を、操作端末100から送られてきた調査IDリストに存在するタグIDの数に設定する。次いでステップS510において、全体制御部210は、無線タグTの無線タグ回路部Toに記憶された情報を読み出すためのタグ読み取り信号をRF通信制御部211を介してタグ通信用アンテナ206から通信範囲内の無線タグTに送信し、返信を促す。
【0102】
その後ステップS515において、全体制御部210は、上記タグ読み取り信号に対応し通信範囲内の無線タグTの無線タグ回路部Toから返信された応答信号をタグ通信用アンテナ206及びRF通信制御部211を介して受信し、当該無線タグ回路部Toに記憶されたタグIDを読み取ったかどうかを判定する。無線タグTのタグIDを読み取ったときは、判定が満たされてステップS520に移り、無線タグTのタグIDを読み取らなかったときは、判定が満たされずステップS545に移る。
【0103】
ステップS520では、全体制御部210は、読み取ったタグIDを調査IDリストのタグIDと照合する。調査IDリストは、読み取ったタグIDをチェックするためのリストであり、操作端末100より受信して(図5のステップS140参照)記憶手段としての上記不揮発性記憶装置213に記憶されている。そしてステップS525において、全体制御部210は、読み取ったタグIDが調査IDリストに登録されており且つ削除マークが付されていないかどうかを判定する。削除マークは、これが付されたタグIDは形式的に調査IDリストから削除されたとみなすための識別子であるが、リセットスイッチ222が操作された場合には削除マークが消去され、当該タグIDは調査IDリストに復元する。読み取ったタグIDが調査IDリストに登録されており且つ削除マークが付されていないときは、判定が満たされてステップS530に移り、読み取ったタグIDが調査IDリストに登録されていないか、或いはタグIDが調査IDリストに登録されているが既に削除マークが付されているときは、判定が満たされずステップS545に移る。
【0104】
ステップS530では、全体制御部210は、調査IDリストにおける読み取ったタグIDに削除マークを付ける。そしてステップS535において、全体制御部210は、調査IDリストに登録されている全タグIDのうち削除マークが付されていないタグIDの数を表すIDカウンタ値を1だけ減算し、表示部220に表示されるIDカウンタ値を修正する。
【0105】
次いでステップS560において、全体制御部210は、操作端末100と接続中であるかどうかを判定する。操作端末100と接続中であるときは、判定が満たされてステップS565に移り、全体制御部210は、調査IDリストに登録されている全タグIDのうち削除マークが付されていないタグIDの残数を、端末間通信用アンテナ203を介して操作端末100に送信し、ステップS540に移行する。操作端末100と接続中で無い場合は、ステップS560の判定が満たされず、ステップS540に移行する。
【0106】
ステップS540において、全体制御部210は、IDカウンタ値が0であるかどうかを判定する。IDカウンタ値が0であるときは、判定が満たされて本フローを終了する。IDカウンタ値が0でないときは、判定が満たされずステップS545に移る。
【0107】
ステップS545では、全体制御部210は、トリガスイッチ221によりトリガがOFF操作されたかどうかを判定する。トリガ221がOFF操作されたときは、判定が満たされて本フローを終了する。トリガがOFF操作されていないときは、判定が満たされずステップS550に移る。
【0108】
ステップS550では、全体制御部210は、パワー調整スイッチ223により送信パワーの変更操作が行われたかどうかどうかを判定する。送信パワーの変更操作が行われたときは、判定が満たされてステップS555に移り、全体制御部210は、当該変更操作に応じて通信用アンテナ206からの送信出力を変更し、ステップS510に戻る。一方、送信パワーの変更操作が行われていないときは、判定が満たされず、そのままステップS510に戻る。
【0109】
図12は、図6の上記ステップS230のリセット処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0110】
図12において、まずステップS605において、全体制御部210は、リストフラグが1であるかどうかを判定する。リストフラグが1でなく0であるときは、リストアップ処理状態であるとみなし、判定が満たされずステップS610に移り、リストフラグが1であるときは、インベントリ処理状態であるとみなし、判定が満たされてステップS625に移る。
【0111】
ステップS610では、全体制御部210は、IDカウンタ値を0にする。そしてステップS615において、読取結果リストに登録されている全てのタグIDを消去する。そしてステップS620において、IDカウンタ値として「0」を表示部220に表示させ、本フローを終了する。
【0112】
一方、ステップS625では、全体制御部210は、調査IDリストのタグIDに付された全ての削除マークを消去する。そしてステップS630において、IDカウンタ値を調査IDリストに存在する全タグIDの数に修正する。そしてステップS620において、IDカウンタ値として調査IDリストに存在する全タグIDの数を表示部220に表示させ、本フローを終了する。
【0113】
図13は、図6の上記ステップS240の通信処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0114】
図13において、まずステップS705において、全体制御部210は、操作端末100より送信されたリストフラグを「0」又は「1」にするための情報(図5のステップS121参照)を受信したかどうかを判定する。リストフラグ情報を受信したときは、判定が満たされてステップS710に移り、リストフラグ情報を受信していないときは、判定が満たされずステップS725に移る。
【0115】
ステップS710では、全体制御部210は、受信したリストフラグ情報に基づき、リストフラグの設定を「1」にするように指示されているかどうかを判定する。リストフラグ設定を「1」にするように指示されているときは、判定が満たされてステップS715に移り、リストフラグを「1」とし、ステップS705に戻る。リストフラグ設定を「0」にするように指示されているときは、判定が満たされずステップS720に移り、リストフラグを「0」とし、ステップS705に戻る。
【0116】
ステップS725では、全体制御部210は、操作端末100より送信された連続接続モードに関する指示信号(図5のステップS145参照)を受信したかどうかを判定する。連続接続モードに関する指示信号を受信したときは、判定が満たされてステップS730に移り、連続接続モードに関する指示信号を受信していないときは、判定が満たされずステップS745に移る。
【0117】
ステップS730では、全体制御部210は、受信した連続接続モードに関する指示信号に基づき、連続接続モードが設定指示されているかどうかを判定する。連続接続モードが設定指示されているときは、判定が満たされてステップS735に移り、通常接続モードから連続接続モードに切り替え、このフローを終了する。一方、連続接続モードではなく通常接続モードが設定指示されているときは、判定が満たされずステップS740に移り、連続接続モードから通常接続モードに切り替え、ステップS705に戻る。
【0118】
ステップS745では、全体制御部210は、操作端末100より送信されたデータ送信要求信号(図5のステップS155参照)を受信したかどうかを判定する。データ送信要求信号を受信したときは、判定が満たされてステップS750に移り、データ送信要求信号を受信していないときは、判定が満たされずステップS755に移る。
【0119】
ステップS750では、全体制御部210は、リストアップモードにおいては読み取ったタグIDのデータを送信し、インベントリモードにおいては削除マークを含む調査IDリストデータを送信し、ステップS705に戻る。
【0120】
ステップS755では、全体制御部210は、操作端末100より送信された調査IDリストデータ(図5のステップS140参照)を受信したかどうかを判定する。調査IDリストデータを受信したときは、判定が満たされてステップS760に移り、全体制御部210は、その調査IDリストデータを上記不揮発性記憶装置213に格納し、ステップS705に戻る。一方、調査IDリストデータを受信していないときは、判定が満たされずステップS765に移る。
【0121】
ステップS765では、全体制御部210は、操作端末100との通信が終了したかどうかを判定する。全体制御部210は、この判定を、操作端末100の全体制御部110が接続切断を行ったか否かを検出することにより行う(図5のステップS170参照)。操作端末100の全体制御部110が接続切断を行った場合には、全体制御部210は操作端末100との通信が終了したとみなし、判定が満たされてステップS770に移り、操作端末100との切断処理を行い、本フローを終了する。一方、操作端末100の全体制御部110が接続切断を行っていない場合には、全体制御部210は操作端末100との通信が終了していないとみなし、判定が満たされずステップS705に戻る。
【0122】
以上において、図7に示すステップS310,S315及び図11に示すステップS510,S515は、無線タグのタグ識別情報を、装置アンテナを用いた無線通信により当該無線タグから取得する情報取得処理を行う情報取得手段の一部を構成する。図7に示すステップS320,S325及び図11に示すステップS520,S525は、情報取得手段により無線タグよりタグ識別情報が取得された場合に、当該取得されたタグ識別情報が、記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致するかどうかを判定する判定手段を構成する。図8に示すステップS445〜ステップS450、ステップS455〜ステップS465の手順、及び図11に示すステップS530は、判定手段により、取得されたタグ識別情報が記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致したと判定された場合と一致しないと判定された場合とで、それぞれ異なる当該タグ識別情報に係わる所定の処理を行う情報加工手段を構成する。図8に示すステップS405乃至ステップS465、図11に示すステップS565及び図13に示すステップS750は、情報加工手段による処理結果に対応した処理データを操作端末へ送信するデータ送信手段の一部を構成する。図5に示すステップS160は、データ送信手段により送信された処理データを受信して取得するデータ受信手段の一部を構成する。
【0123】
図7に示すステップS330は、判定手段により、取得されたタグ識別情報が記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致しないと判定された場合に、当該タグ識別情報を記憶手段に格納する第1格納手段を構成する。
【0124】
図8に示すステップS410〜S425は、第1格納手段によりタグ識別情報が記憶手段に格納された場合に、その新たに格納されたタグ識別情報と、タグ識別情報の格納よりも前に記憶手段に格納された少なくとも1つのタグ識別情報のうち最後に格納されたタグ識別情報との、同一性を比較し、新たに格納されたタグ識別情報のうち、最後に格納されたタグ識別情報と同一のデータ部分と異なるデータ部分とを識別するデータ比較手段を構成する。図8に示すステップS465は、データ比較手段により識別された異なるデータ部分を、新たに格納されたタグ識別情報から抽出加工するデータ抽出手段を構成する。
【0125】
図8に示すステップS455は、データ抽出手段により抽出加工された、新たに格納されたタグ識別情報の異なるデータ部分に対し、抽出加工されたことを表す識別子を付与する識別子付与手段を構成する。
【0126】
図12に示すステップS615は、第1操作手段による指示に基づき、記憶手段に格納されたタグ識別情報を消去する第1初期化手段を構成する。
【0127】
図5に示すステップS140は、タグ通信端末の情報取得手段による情報取得対象となる少なくとも1つのタグ識別情報をタグ通信端末へ送信する情報送信手段の一部を構成する。図13に示すステップS755は、情報送信手段により送信された少なくとも1つのタグ識別情報を受信して取得する情報受信手段の一部を構成する。図13に示すステップS760は、情報受信手段により取得された少なくとも1つのタグ識別情報を記憶手段に格納する第2格納手段を構成する。図11に示すステップS530,S535は、判定手段により、取得されたタグ識別情報が、第2格納手段により記憶手段に格納され記憶された少なくとも1つのタグ識別情報と一致したと判定された場合に、記憶手段内の当該タグ識別情報に対し所定の削除処理を行う削除処理手段を構成する。
【0128】
図12に示すステップS625は、第2操作手段による指示に基づき、削除処理手段により削除処理が実行された記憶手段内の当該タグ識別情報を、削除処理前の状態へ復元処理する第2初期化手段を構成する。
【0129】
図7に示すステップS355,S360及び図11に示すステップS550,S555は、第3操作手段による指示に基づき、装置アンテナからの無線通信の送信出力の変更する出力制御手段を構成する。
【0130】
以上のように構成した本実施形態のリーダ1においては、無線タグTからタグIDを取得する際に、取得のためのタグ読み取り信号がタグ通信端末200のタグ通信用アンテナ206から無線タグTへ送信され、無線タグTが当該読み取り信号に応答してタグIDを送信する。通常、タグIDの取得漏れを防ぐために、タグ通信用アンテナ206からは読み取り信号が所定回数繰り返し送信される。この結果、通信範囲内に存在する同一の無線タグTから同一のタグIDが複数回送信されるので、タグ通信用アンテナ206は、同一のタグIDを複数回受信する。タグIDの取得処理としては、1つのタグIDが1回受信され取得されれば2回目以降を重複して取得する必要はない。
【0131】
そこで、新たにタグIDが取得された際には、タグ通信端末200において当該タグIDが既に取得済みのタグIDと同一であるかどうかの照合を行う。すなわち、タグ通信端末200において、無線タグTのタグIDを無線通信により取得し、その取得されたタグIDが不揮発性記憶装置213に記憶された読取結果リストまたは調査IDリストにあるタグIDと一致するかどうかを判定する。
【0132】
そして、リストアップモード処理においては、取得されたタグIDが読取結果リストに登録された既に取得済みのタグIDと異なる場合、当該タグIDを読取結果リストに追加登録する。そして、追加登録されたタグIDのデータをそのまま操作端末100へ送信するか、或いは当該タグIDのデータを少なくとも一部を有するように加工して操作端末100へ送信する。
【0133】
また、インベントリモード処理においては、取得されたタグIDが調査IDリストにあり且つ削除マークが付されていないタグIDと同一であった場合、当該タグIDに削除マークを付する処理を行う。そして、調査IDリストにあるタグIDのうち削除マークが付されていないタグIDの残数を操作端末100へ送信する。
【0134】
このように、本実施形態では、インベントリモード処理では取得されたタグIDが不揮発性記憶装置213に記憶された調査IDリストと一致したと判定された場合にタグIDに削除マークを付するように加工し、リストアップモード処理では取得されたタグIDが不揮発性記憶装置213に記憶された読取結果リストと一致しないと判定された場合にタグIDのデータを少なくとも一部を有するように加工する。すなわち、取得されたタグIDが不揮発性記憶装置213に記憶されたタグIDのリストと一致したと判定された場合と一致しないと判定された場合とで、それぞれ異なる当該タグIDに係わる加工処理を行う。そして、当該処理結果に対応した処理データである、削除マークが付されていないタグIDの残数や少なくとも一部を有するように加工したタグIDを、操作端末100へ送信する。この結果、無線タグTから取得されたタグIDをタグ通信端末200が操作端末100へ報告し、操作端末100において当該タグIDが既に取得済みのタグIDと同一であるかどうかを照合し、照合結果に基づく所定の指示をタグ通信端末200側へ送信し、受信した指示に応じた処理をタグ通信端末200が行う場合に比べ、そのような情報の送受信を、タグ通信端末200においてタグIDの取得処理を行っている間に行わずに済む。したがって、タグIDの取得処理全体を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0135】
また、本実施形態では特に、リストアップモード処理においては、新たにタグIDが取得されたときに、直前に読取結果リストに追加登録したタグIDと異なるデータ部分のみを抽出して操作端末100へ送信することにより、操作端末100は、当該受信した異なるデータ部分に対し、直前に受信した同一のデータ部分を付け加えることで、上記取得されたタグIDを容易に復元することができる。そして、上記異なるデータ部分のみがタグ通信端末200から操作端末100へ送信されることで、送信データ量を必要最小限にとどめることができる。この結果、タグIDの取得処理全体を更に迅速に行うことができる。特に、同一種類の複数の無線タグTに対し連続して情報読み取りを行う場合に、上記異なるデータ部分のデータ量が少なくなり、有効である。
【0136】
また、本実施形態では特に、新たに取得されたタグIDの異なるデータ部分に対し、抽出加工されたことを表す識別子であるプリアンブルを付与することにより、操作端末100は、プリアンブルの有無を手がかりに、タグ通信端末200から受信されたデータが、上記抽出加工されたデータであるのか、抽出加工されない通常のデータであるのかを、確実に識別することができる。
【0137】
また、本実施形態では特に、タグ通信端末200が、リストアップ処理において無線タグTから読み取り不揮発性記憶装置213に記憶されたタグIDの数を表示する表示部220を備える。これにより、タグ通信端末200の操作者は、タグIDの取得及び登録が正しく行われていることを、確実に視覚的に認識することができる。
【0138】
また、本実施形態では特に、タグ通信端末200は、操作者が不揮発性記憶装置213に格納されたタグIDの消去を指示可能なリセットスイッチ222を備える。操作者が、このリセットスイッチ222を操作してリセット処理を実施することにより、タグIDの取得、読取結果リストへのタグIDの登録、タグIDに対する削除マークの付加を途中でリセットし、最初からやり直すことができる。また、表示部220へのカウンタ表示を操作者が意図的に一度リセットすることで、どの時点からの表示であるのかを明確化することができる。
【0139】
また、本実施形態では特に、タグ通信端末200が、インベントリ処理において調査IDリストにおける削除マークが付与されていないタグIDの残数を表示する表示部220を備える。これにより、タグ通信端末200の操作者は、タグIDの取得及び当該取得に伴う削除マーク付けが正しく行われていることを、確実に視覚的に認識することができる。
【0140】
また、本実施形態では特に、タグ通信端末200が、タグ通信用アンテナ206からの無線通信の送信出力を調整するパワー調整スイッチ223を備える。これにより、タグ通信端末200での操作により、操作者が容易に無線通信の送信出力を変更することができる。
【0141】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0142】
上記実施形態においては、操作端末100とタグ通信端末200とが互いに着脱自在に構成されているが、特にこれに限られない。例えば図14に示すように、操作端末100をパソコン型の端末として構成し、タグ通信端末200をハンディ型の端末として構成してもよい。
【0143】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0144】
1 リーダ
100 操作端末
101 操作部
103 アンテナ
107 通信制御部
110 全体制御部
200 タグ通信端末
203 端末間通信用アンテナ
206 タグ通信用アンテナ
207 端末間通信制御部
210 全体制御部
211 RF通信制御部
213 不揮発性記憶装置
220 表示部
222 リセットスイッチ
225 パワー調整スイッチ
T 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段を備えた操作端末と、
無線タグと無線通信を行う装置アンテナを備えたタグ通信端末と、
を有する無線タグ通信装置であって、
前記タグ通信端末は、
前記無線タグのタグ識別情報を、前記装置アンテナを用いた無線通信により当該無線タグから取得する情報取得処理を行う情報取得手段と、
少なくとも1つのタグ識別情報を記憶可能な記憶手段と、
前記情報取得手段により前記無線タグより前記タグ識別情報が取得された場合に、当該取得された前記タグ識別情報が、前記記憶手段に記憶された前記タグ識別情報と一致するかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記取得された前記タグ識別情報が前記記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致したと判定された場合と一致しないと判定された場合とで、それぞれ異なる当該タグ識別情報に係わる所定の処理を行う情報加工手段と、
前記情報加工手段による処理結果に対応した処理データを前記操作端末へ送信するデータ送信手段と、
を備えており、
前記操作端末は、
前記データ送信手段により送信された前記処理データを受信して取得するデータ受信手段を備える
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記タグ通信端末は、
前記判定手段により、前記取得された前記タグ識別情報が前記記憶手段に記憶されたタグ識別情報と一致しないと判定された場合に、当該タグ識別情報を記憶手段に格納する第1格納手段
を備え、
前記情報加工手段は、
前記所定の処理として、前記第1格納手段により前記記憶手段に格納されたタグ識別情報を当該タグ識別情報の少なくとも一部を有するように加工し、
前記データ送信手段は、
前記第1格納手段により格納された前記タグ識別情報又は前記情報加工手段により加工した情報を前記処理データとして前記操作端末へ送信する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記第1格納手段により前記タグ識別情報が前記記憶手段に格納された場合に、その新たに格納されたタグ識別情報と、前記タグ識別情報の格納よりも前に前記記憶手段に格納された少なくとも1つのタグ識別情報のうち最後に格納されたタグ識別情報との、同一性を比較し、前記新たに格納されたタグ識別情報のうち、前記最後に格納されたタグ識別情報と同一のデータ部分と異なるデータ部分とを識別するデータ比較手段と、
前記データ比較手段により識別された前記異なるデータ部分を、前記新たに格納されたタグ識別情報から抽出加工するデータ抽出手段と、
を有し、
前記データ送信手段は、
前記データ抽出手段により抽出加工された、前記新たに格納されたタグ識別情報の前記異なるデータ部分を、前記処理データとして前記操作端末へ送信する
ことを特徴とする請求項2記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記データ抽出手段により抽出加工された、前記新たに格納されたタグ識別情報の前記異なるデータ部分に対し、抽出加工されたことを表す識別子を付与する識別子付与手段
を有し、
前記データ送信手段は、
前記データ抽出手段により抽出加工された、前記新たに格納されたタグ識別情報の前記異なるデータ部分と、前記識別子付与手段により付与された前記識別子とを、前記処理データとして前記操作端末へ送信する
ことを特徴とする請求項3記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記タグ通信端末は、
前記記憶手段に記憶された前記タグ識別情報の数を表示する第1表示手段を備える
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項6】
前記タグ通信端末は、
操作者が、前記記憶手段に格納された前記タグ識別情報の消去を指示可能な第1操作手段と、
前記第1操作手段による指示に基づき、前記記憶手段に格納された前記タグ識別情報を消去する第1初期化手段
を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
【請求項7】
前記操作端末は、
前記タグ通信端末の前記情報取得手段による情報取得対象となる少なくとも1つのタグ識別情報を前記タグ通信端末へ送信する情報送信手段
を備えており、
前記タグ通信端末は、
前記情報送信手段により送信された前記少なくとも1つのタグ識別情報を受信して取得する情報受信手段と、
前記情報受信手段により取得された前記少なくとも1つのタグ識別情報を前記記憶手段に格納する第2格納手段と
を備え、
前記情報加工手段は、
前記判定手段により、前記取得された前記タグ識別情報が、前記第2格納手段により前記記憶手段に格納され記憶された前記少なくとも1つのタグ識別情報と一致したと判定された場合に、前記記憶手段内の当該タグ識別情報に対し所定の削除処理を行う削除処理手段を含み、
前記データ送信手段は、
前記第2格納手段により前記記憶手段に格納され記憶された前記少なくとも1つのタグ識別情報のうち、前記削除処理手段による削除処理が行われていないタグ識別情報の個数を前記処理データとして前記操作端末へ送信する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項8】
前記タグ通信端末は、
前記第2格納手段により前記記憶手段に格納され記憶された前記少なくとも1つのタグ識別情報のうち、前記削除処理手段による削除処理が行われていないタグ識別情報の個数を表示する第2表示手段を備える
ことを特徴とする請求項7記載の無線タグ通信装置。
【請求項9】
前記タグ通信端末は、
操作者が、前記削除処理手段により前記削除処理が実行された前記記憶手段内の当該タグ識別情報の、削除処理前の状態への復元を指示可能な第2操作手段と、
前記第2操作手段による指示に基づき、前記削除処理手段により前記削除処理が実行された前記記憶手段内の当該タグ識別情報を、削除処理前の状態へ復元処理する第2初期化手段
を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線タグ通信装置。
【請求項10】
前記タグ通信端末は、
操作者が、前記装置アンテナからの前記無線通信の送信出力の変更を指示可能な第3操作手段と、
前記第3操作手段による指示に基づき、前記装置アンテナからの前記無線通信の送信出力の変更する出力制御手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−198182(P2011−198182A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65546(P2010−65546)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】