説明

無線式水質分析計

【課題】水質計自身が独立して電力を発電することで、変換器(伝送器)からの電力供給を不要とし、独立した無線式水質分析計を提供する。
【解決手段】水質計と変換器からなり、
前記水質計で測定した信号を前記変換器で無線信号に変換し、ワイヤレス送信装置を介して送信する無線式水質分析計において、前記水質計と変換器の間に発電機を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が流れる箇所に設置され液体の水質を測定する無線式水質分析計に関し、自身で使用する電力を自家発電により賄うようにした無線式水質分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は無線式水質分析計の一般的な構成を示すもので、1は水質を検出する水質計、2は被測定水が流れる槽(以下、流水槽)、3は水質計1を適正な水深を保つように固定する浸漬式ホルダー、4はスタンション、5は浸漬式ホルダー3を流水槽の端に立てられたスタンション4に固定する止め金具、6は変換器(伝送器)、7は変換器6の内部にあるワイヤレス送信装置、8は変換器6の内部にある電源装置、9は建屋、10は流水槽2の陸上にあるスタンション4あるいは建屋9等に据え付けられる変換器、11は変換器10の内部にあるワイヤレス受信装置である。
【0003】
上述の構成において、水質計1は、流水槽2内の水質データ(DO、MLSS、pH、ORP等の計測値)を検出して、各種センサーがそれぞれ特殊な電気信号を発生する。その電気信号は、変換器6のワイヤレス送信装置7でワイヤレス信号に変換され無線送信される。水質計1とワイヤレス送信装置7は、電源装置8から電源が供給され、水質計1は外部からの電源供給なしに現場で独立稼働する。
【0004】
ワイヤレス送信装置7から無線送信されるワイヤレス信号は、気中を伝搬し、流水槽2の陸上に設置される変換器10の内部にあるワイヤレス受信装置11で無線受信され、再度電気信号に変換され、変換器10で共通信号(4〜20mA等)に変換されて図示しない監視室等へ伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−102797号公報
【特許文献2】特開2011−33511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3は図2で示す無線式水質分析計の配線関係の詳細を示すもので、矢印Sは信号伝送線を示し、矢印Pは電力供給線を示している。
図2に示すように、従来のセンサは無線式とはいえ、電力は変換器(伝送器)6から供給される電力を用いて水質計1内のセンサ部を駆動させていた。
低電力の2線式伝送器では電力が限られており、その限られた電力でセンサからの出力信号等の増幅を賄ってきた。
【0007】
従って本発明は、水質計自身が独立して電力を発電することで、変換器(伝送器)からの電力供給を不要とするものであり、かつ独立した無線式水質分析計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、請求項1の無線式水質分析計においては、
水質計と変換器からなり、
前記水質計で測定した信号を前記変換器で無線信号に変換し、ワイヤレス送信装置を介して送信する無線式水質分析計において、
前記水質計と変換器の間に発電機を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2においては、請求項1に記載の該無線式水質分析計において、
前記発電機は被測定液からなる流水層に浸漬され、水流によって回転する回転翼付き円筒を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3においては、請求項1または2に記載の無線式水質分析計において、前記回転翼付き円筒の内周にはコアとコイルが配置されると共に中心に配線が可能な空洞が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、
水質計と変換器からなり、
前記水質計で測定した信号を前記変換器で無線信号に変換し、ワイヤレス送信装置を介して送信する無線式水質分析計において、
前記水質計と変換器の間に発電機を備えたので、変換器(伝送器)からの電力供給が不要となり、かつ独立した無線式水質分析計を提供することことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の無線式水質分析計の一部断面構成図(a)及び(a)図のA−A断面図(b)である。
【図2】無線式水質分析計の一般的な構成を示す図である。
【図3】従来の無線式水質分析計の配線関係の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は無線式水質分析計の一部断面構成図(a)及び(a)図のA−A断面図(b)である。
これらの図において、1は水質計、20は変換器(伝送器)であり、この変換器20内には、ワイヤレス送信装置21、CPU21、プリアンプ23などが収納されている。
【0014】
27は外周に複数(図では8枚)の回転翼25が形成された回転翼付き円筒であり、この回転翼付き円筒内にはコア(鉄心相当)28及びコイル29が配置され、中心部の空洞33には水質計1と変換器20を接続する信号伝送線30が配置されている。
【0015】
31は変換器20と回転翼付き円筒27の間に配置された上部スリップリング、32は回転翼付き円筒27と水質計1との間に配置された下スリップリングであり、回転翼付き円筒27はコイル29の外周を水密な状態を維持して回転可能な構成となっている。
【0016】
上述の構成において、回転翼付き円筒27を流水槽2内に浸漬すると水流により回転翼25を介して回転翼付き円筒27が回転する。この回転により円筒内に設けられたコイル29が電極類の外側に設けられたコア部品28の外側を回転しコイル内に電流を誘導する。誘導された電流はブラシ式端子によりプリアンプ部へ電力として伝送される。
【0017】
プリアンプでは電力を図示しないコンデンサ類に蓄電する。このコンデンサ類に充電された電力を用いてCPU22、水質計1を構成する電子部品に電力が供給され、水質計で計測された測定信号がワイヤレス送信装置を介して発信される。
【0018】
上述のように無線式水質分析計が自家発電する事により、単独で自律的に測定、演算、信号伝送を行うことが出来、センサ自身への電力供給が不要になる。
即ち、低電力で測定、演算、信号伝送を行い変換器(伝送器)の電力使用を抑えることが出来る。
また、電極外側に設けられたコアによってシールド効果を高められることで、外部からのノイズに対しても耐性をもたせることができる。
【0019】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。例えば回転翼の形状は図では長方形状の板として8枚を示したが、回転翼の枚数はこれに限ることなく多くても少なくても良い。また、回転翼の形状も曲線でもよく斜め方向に取付けてもよい。従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
【符号の説明】
【0020】
1 水質計
2 流水槽
3 ホルダー
4 ステータスLED
5 止め金具
6、20 変換器(伝送器)
7、21 ワイヤレス送信装置
8 電源装置
9 建屋
10 変換器
11 ワイヤレス受信装置
12 信号伝送線
13 電力供給線
22 CPU
23 プリアンプ
25 回転翼
27 回転翼付き円筒
28 コア(鉄心)
29 コイル
30 信号伝送線
31 上部スリップリング
32 下部スリップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質計と変換器からなり、
前記水質計で測定した信号を前記変換器で無線信号に変換し、ワイヤレス送信装置を介して送信する無線式水質分析計において、
前記水質計と変換器の間に発電機を備えたことを特徴とする無線式水質分析計。
【請求項2】
前記発電機は被測定液からなる流水層に浸漬され、水流によって回転する回転翼付き円筒を備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線式水質分析計。
【請求項3】
前記回転翼付き円筒の内周にはコアとコイルが配置されると共に中心に配線が可能な空洞が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の無線式水質分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−220244(P2012−220244A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83608(P2011−83608)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)