説明

無線通信システム、無線通信端末および加入者情報管理装置

【課題】容易に行方不明の無線機器の位置を特定可能な無線通信システムを提供すること。
【解決手段】無線通信端末(1)が、紛失した外部機器(2)の固有情報と自端末の位置情報とを含む紛失登録情報を送信し、加入者情報管理装置(3)が、紛失登録情報に含まれた位置情報に基づいて捜索対象セルを特定し、当該捜索対象セルに向けて外部機器(2)の固有情報を含む捜索依頼を同報送信し、捜索対象セル内の無線通信端末(4−1〜4−n)が、近距離無線通信により無線機器の検索を行い、その結果、外部機器(2)の固有情報と一致する無線機器を検出した場合に、自端末の位置情報を含む検出通知を送信し、加入者情報管理装置(3)が、検出通知に含まれる位置情報に基づいて外部機器(2)の位置を特定し、外部機器(2)の位置を含む発見通知を無線通信端末(1)に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信を利用して他の無線機器と接続可能な無線通信端末を含む無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
行方不明の無線機器を捜索する技術として、以下の従来技術が開示されている。具体的には、まず、携帯電話機が、自機に取り付けられた親機と貴重品に取り付けた子機との間の近距離無線通信が切断された場合に置き忘れを検知し、置き忘れの発生を自機の所有者と所定の監視サーバに通知する。つぎに、監視サーバが、連絡リストから置き忘れ位置に最も近い関係者が所有する携帯電話機を特定する。そして、監視サーバが、特定した携帯電話機にメールで置き忘れに関する情報を通知し、上記関係者に置き忘れ発生場所への急行を依頼する(第1の従来技術)。
【0003】
また、行方不明の無線機器を捜索する他の技術として、以下の従来技術が開示されている。具体的には、移動通信網に接続可能な第一端末部と、この第一端末部と近距離無線通信を用いて通信を行う第二端末部と、に分離可能な携帯電話機において、第二端末部を置き忘れた場合に、第二端末部を容易に捜索可能な技術が開示されている。たとえば、置き忘れを検知した第二端末部が、近距離無線通信を可能とする他の携帯電話機経由で、置き忘れの発生や位置情報等を管理サーバに通知する。そして、管理サーバが、メールや電話等を利用して、第一端末部の利用者に置き忘れの発生や第二端末部の位置情報等を通知する(第2の従来技術)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−160509号公報
【特許文献2】特開2011−29920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記第1の従来技術においては、置き忘れ位置に最も近い関係者が数キロも離れているような場合には、所望の機器が発見される可能性が低い、という問題があった。
【0006】
また、上記第2の従来技術においては、第二端末部が、近距離無線通信を可能とする他の携帯電話機に置き忘れ等の情報を通知しているが、第二端末部と他の携帯電話機との間のやり取りに独自の通信プロトコルが使用されている。すなわち、第二端末部から他の携帯電話機への問い合わせ、および他の携帯電話機から第二端末部への応答を、お互いに認識するための特別な処理および構成が必要となる、という問題があった。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、独自の通信プロトコルを用いることなく、容易に行方不明の無線機器の位置を特定可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する無線通信システムは、近距離無線通信により接続可能な無線機器を外部機器として登録可能な複数の無線通信端末と、前記複数の無線通信端末における加入者情報を管理する加入者情報管理装置と、を有し、前記複数の無線通信端末のうちの特定の無線通信端末が、自端末に登録済みの外部機器の固有情報と自端末の位置情報とを含む登録情報を前記加入者情報管理装置に送信し、前記登録情報を受信した加入者情報管理装置が、前記特定の無線通信端末の位置情報に基づいて、前記外部機器を捜索する対象のセルである捜索対象セルを特定し、当該捜索対象セル内の無線通信端末に向けて前記外部機器の固有情報を含む捜索依頼を送信し、前記捜索依頼を受信した前記捜索対象セル内の無線通信端末が、近距離無線通信により無線機器の検索を行い、その結果、前記外部機器の固有情報と一致する無線機器を検出した場合に、自端末の位置情報を含む検出通知を前記加入者情報管理装置に送信し、前記加入者情報管理装置が、受信した検出通知に含まれる位置情報に基づいて前記外部機器の位置を特定し、当該外部機器の位置を含む発見通知を前記特定の無線通信端末に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する無線通信システムの一つの態様によれば、独自の通信プロトコルを用いることなく、容易に行方不明の無線機器の位置を特定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、携帯電話端末の構成例を示す図である。
【図3】図3は、外部機器の構成例を示す図である。
【図4】図4は、加入者情報管理装置の構成例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図である。
【図6−1】図6−1は、実施例1の動作を示すシーケンス図である。
【図6−2】図6−2は、実施例1の動作を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、外部機器管理テーブルの一例を示す図である。
【図8】図8は、外部機器紛失通知の一例を示す図である。
【図9】図9は、捜索依頼管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】図10は、捜索依頼の一例を示す図である。
【図11】図11は、検出通知の一例を示す図である。
【図12】図12は、紛失したイヤホンの位置の特定の仕方を示す図である。
【図13】図13は、発見通知の一例を示す図である。
【図14】図14は、外部機器の構成例を示す図である。
【図15】図15は、実施例2の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図である。
【図16】図16は、実施例2の動作を示すシーケンス図である。
【図17】図17は、携帯電話端末の構成例を示す図である。
【図18】図18は、実施例3の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図である。
【図19】図19は、実施例3の動作を示すシーケンス図である。
【図20】図20は、通信ログの一例を示す図である。
【図21】図21は、携帯電話端末の構成例を示す図である。
【図22】図22は、加入者情報管理装置の構成例を示す図である。
【図23】図23は、実施例4の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図である。
【図24】図24は、実施例4の動作を示すシーケンス図である。
【図25】図25は、紛失登録解除通知の一例を示す図である。
【図26】図26は、捜索依頼解除通知の一例を示す図である。
【図27】図27は、携帯電話端末の構成例を示す図である。
【図28】図28は、実施例5の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図である。
【図29】図29は、実施例5の動作を示すシーケンス図である。
【図30】図30は、外部機器接合通知の一例を示す図である。
【図31】図31は、実施例6の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する無線通信システム、無線通信端末および加入者情報管理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例の無線通信システムの構成例を示す図である。本実施例の無線通信システムは、通信端末の一例である携帯電話端末1,4−1〜4−n,5−1〜5−mと、携帯電話端末1と近距離無線通信により接続可能な無線機器の一例である外部機器2と、加入者情報管理装置3とを有する。たとえば、携帯電話端末1を所有するユーザが外部機器2を紛失した場合、携帯電話端末1は、ユーザ操作に従い、外部機器2の紛失を加入者情報管理装置3に通知する。この際、携帯電話端末1では、外部機器2の紛失を、外部機器2の固有情報と現在の自端末の位置情報とともに、移動通信網を利用して加入者情報管理装置3に通知する。加入者情報管理装置3では、携帯電話端末1の位置情報から外部機器2を紛失した場所を推定し、推定した紛失場所の周辺(図示の捜索対象セル)に存在する携帯電話端末4−1〜4−nに対し、外部機器2の固有情報を含む捜索依頼を送信する。捜索依頼を受信した携帯電話端末4−1〜4−nは、近距離無線通信を利用して外部機器2を捜索する。捜索の結果、紛失した外部機器2を検出した各携帯電話端末は、それぞれ自局の位置情報を加入者情報管理装置3へ通知する。そして、加入者情報管理装置3では、外部機器2を検出した各携帯電話端末から受け取ったすべての位置情報から外部機器2の位置を特定し、携帯電話端末1に外部機器2の位置を通知する。
【0013】
つづいて、本実施例の無線通信システムに含まれる各装置の構成について説明する。図2は、携帯電話端末1,4−1〜4−n,5−1〜5−mの構成例を示す図である。図2において、各携帯電話端末は、端末制御部11と移動通信網通信部12と近距離無線通信部13とアプリ制御部14と外部機器管理機能部15と測位部16と記憶部17を有する。また、上記アプリ制御部14は、ユーザインタフェース部21と外部機器情報送信部22と紛失外部機器判定部23と捜索依頼受信部24を有する。また、外部機器管理機能部15は、外部機器紛失登録部26と外部機器管理部27を有する。なお、携帯電話端末の各機能部は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)およびメモリ等で構成することが可能である。
【0014】
図2において、端末制御部11は、携帯電話端末全体の動作を制御する。移動通信網通信部12は、所定の移動通信網に接続し、無線信号の送受信を行う。移動通信網として、3GPP(Third Generation Partnership Project),LTE(Long Term Evolution),GSM(Global System for Mobile Communications),WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等があげられる。近距離無線通信部13は、Bluetooth(登録商標),Wi−Fi(wireless fidelity),IC通信,無線LAN等の近距離無線通信を行う。
【0015】
また、アプリ制御部14において、ユーザインタフェース部21は、ユーザ操作および画面表示等のインタフェースである。外部機器情報送信部22は、捜索依頼対象の外部機器を検出した場合に、検出通知を加入者情報管理装置3へ通知する。紛失外部機器判定部23は、近距離無線通信を利用して検出した無線機器が、捜索依頼対象の外部機器であるかどうかを判断する。捜索依頼受信部24は、加入者情報管理装置3から捜索依頼を受信した場合に、近距離無線通信部13に対し近距離無線通信を利用した外部機器の捜索を要求する。
【0016】
また、外部機器管理機能部15において、外部機器紛失登録部26は、紛失した外部機器2の固有情報および自端末の位置情報等を含む外部機器紛失通知を加入者情報管理装置3に送信する。外部機器管理部27は、自端末にて管理するすべての外部機器2の固有情報を外部機器管理テーブルにより検索可能とする。
【0017】
また、測位部16は、GPS(Global Positioning System)や、基地局との電波強度等の情報を利用して自端末の位置を特定する。記憶部17は、メモリ等で構成され、自端末にて管理する外部機器2の固有情報が記載された外部機器管理テーブルや、処理の過程で得られる情報等を記憶する。
【0018】
なお、上記携帯電話端末の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、携帯電話端末のすべての機能を表現したものではない。
【0019】
図3は、外部機器2の構成例を示す図である。図3において、外部機器2は、機器制御部31と近距離無線通信部32と記憶部33を有する。なお、外部機器2の各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0020】
図3において、機器制御部31は、外部機器2全体の動作を制御する。近距離無線通信部32は、Bluetooth,Wi−Fi,IC通信,無線LAN等の近距離無線通信を行う。記憶部33は、メモリ等で構成され、処理の過程で得られる情報等を記憶する。なお、上記外部機器2の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、外部機器のすべての機能を表現したものではない。
【0021】
図4は、加入者情報管理装置3の構成例を示す図である。図4において、加入者情報管理装置3は、装置制御部41と移動通信網通信部42と紛失外部機器管理機能部43と紛失外部機器情報報知部44と記憶部45を有する。また、紛失外部機器管理機能部43は、紛失外部機器管理部51を有する。なお、加入者情報管理装置3の各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0022】
図4において、装置制御部41は、加入者情報管理装置3全体の動作を制御する。移動通信網通信部42は、上記の移動通信網に接続し、無線信号の送受信を行う。紛失外部機器管理機能部43において、紛失外部機器管理部51は、携帯電話端末1が紛失した外部機器2の固有情報等を記憶部45に登録し管理する。また、紛失外部機器管理部51は、紛失した外部機器2を検出したすべての携帯電話端末の位置情報から、紛失した外部機器2の位置を特定する。紛失外部機器情報報知部44は、捜索対象セル内の携帯電話端末に向けて、紛失した外部機器2の捜索依頼を送信する。また、紛失外部機器情報報知部44は、紛失した外部機器2の位置情報を含む発見通知を携帯電話端末1に向けて送信する。記憶部45は、メモリ等で構成され、携帯電話端末1が紛失した外部機器2の固有情報(紛失登録情報)や、捜索依頼に関する情報が記載された捜索依頼管理テーブルや、処理の過程で得られる情報等を記憶する。
【0023】
なお、上記加入者情報管理装置3の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、加入者情報管理装置のすべての機能を表現したものではない。
【0024】
つづいて、本実施例の無線通信システムの動作を図面に従い詳細に説明する。図5は、実施例1の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図である。また、図6(図6−1,図6−2)は、実施例1の動作を示すシーケンス図である。なお、本実施例では、一例として、外部機器2の1つであるイヤホンを紛失した場合について記載する。また、ここでいう紛失とは、たとえば、置き忘れによる紛失や盗難による紛失等を含み、携帯電話端末1の近距離無線通信部13が外部機器2の近距離無線通信部32と通信できない状況を意味する。また、本実施例では、近距離無線通信としてBluetoothを使用する場合について説明する。
【0025】
まず、携帯電話端末1の所有者は、たとえば、外部機器2の1つであるイヤホンを紛失した場合、ユーザインタフェース部21を操作し、加入者情報管理装置3にイヤホンを紛失してしまったことを登録する処理を行う。具体的には、まず、ユーザインタフェース部21から登録要求を受け取った外部機器紛失登録部26が、外部機器管理部27にイヤホンに関する情報を要求する(S1、S2)。そして、外部機器管理部27は、記憶部17に記憶されている外部機器管理テーブルを検索し、イヤホンのネットワーク識別情報等を読み出す。
【0026】
図7は、外部機器管理テーブルの一例を示す図である。図7の外部機器管理テーブルには、携帯電話端末1に管理されている外部機器単位に、管理番号,機器名称,接続方法,MACアドレスがそれぞれ関連付けられて固有情報として記憶されている。たとえば、本実施例では、管理番号#1にイヤホンが、管理番号#2に腕時計が、管理番号#3に携帯ゲームが、管理番号#4にハンズフリーが、管理番号#5にキーボードがそれぞれ対応付けられている。また、ネットワーク識別情報として、外部機器との接続方法(Bluetooth,無線LAN等)や、外部機器のMACアドレスが記憶されている。たとえば、近距離無線通信として、Bluetoothや無線LANを用いる場合は、ネットワーク識別情報として、外部機器に割り当てられたMACアドレスを使用することができる。さらに、このテーブルには紛失フラグが設けられ、紛失フラグには、各外部機器が紛失中かどうか(ON(紛失中の場合)/OFF(紛失していない場合))が示されている。
【0027】
すなわち、外部機器管理部27は、上記外部機器管理テーブルを検索して、紛失したイヤホンの固有情報を読み出すとともに(S3)、さらに、紛失フラグをON(初期値OFF)に設定する(S3)。また、外部機器管理部27は、測位部16に対し測位情報取得要求を通知する(S4)。測位部16では、現在の自端末の位置情報を測定し(S5)、その測定結果を外部機器管理部27に通知する(S6)。
【0028】
つぎに、外部機器管理部27は、紛失したイヤホンの固有情報および自端末の位置情報を外部機器紛失登録部26に通知する(S7)。そして、外部機器紛失登録部26では、移動通信網通信部12および移動通信網経由で、紛失したイヤホンの固有情報、自端末の位置情報および紛失者情報(名前,電話番号等)等を含む外部機器紛失通知を、加入者情報管理装置3に送信する(S8)。本実施例では、一例として、外部機器紛失通知を電子メールにて送信する。図8は、外部機器紛失通知の一例を示す図である。外部機器紛失通知は、図示のとおり、所定のメッセージが記載された本文、および添付ファイルで構成される。なお、本実施例では、携帯電話端末1から加入者情報管理装置3への送信に移動通信網を使用する場合を一例として示したが、携帯電話端末1と加入者情報管理装置3が有線網によって接続可能な場合は、装置間のやりとりに有線網を用いてもよい。
【0029】
つぎに、加入者情報管理装置3では、外部機器紛失通知を受信した移動通信網通信部42が、紛失外部機器管理部51に対し外部機器紛失通知に含まれる添付ファイルを転送する(S9)。そして、紛失外部機器管理部51は、添付ファイルであるイヤホンの固有情報、携帯電話端末1の位置情報および紛失者情報を、紛失登録情報として記憶部45に登録する(S10)。さらに、紛失外部機器管理部51は、この紛失登録情報を紛失外部機器情報報知部44に通知する(S11)。
【0030】
つぎに、紛失外部機器情報報知部44は、携帯電話端末1の位置情報に基づいて、イヤホンを捜索する対象のセルである捜索対象セルを特定し、さらに、そのセル内の携帯電話端末を特定する(S12)。本実施例では、一例として、図1に示す捜索対象セル内の携帯電話端末4−1〜4−nを特定する。なお、携帯電話端末1の位置が複数セルの境界となるような場合には、隣接する全てのセルを捜索対象セルとする。
【0031】
つぎに、紛失外部機器情報報知部44は、移動通信網通信部42に対し、イヤホンの固有情報を含む捜索依頼を通知する(S13)。また、紛失外部機器情報報知部44は、捜索依頼に関する情報を、記憶部45内の捜索依頼管理テーブルに保存する。図9は、捜索依頼管理テーブルの一例を示す図である。捜索依頼管理テーブルには、捜索依頼が行われた外部機器単位に、管理番号,捜索依頼時間,MACアドレス,捜索対象セルがそれぞれ関連付けられて記憶されている。たとえば、本実施例では、管理番号#1にイヤホンが、管理番号#2に腕時計が、管理番号#3に携帯ゲームが、管理番号#4にハンズフリーが、管理番号#5にキーボードがそれぞれ対応付けられている。
【0032】
つぎに、捜索依頼を受け取った移動通信網通信部42では、上記で特定したセルを対象としたセルブロードキャストを実行することにより、受け取った捜索依頼を携帯電話端末4−1〜4−nに通知する(S14)。本実施例では、一例として、捜索依頼を電子メールにて一斉に送信する。図10は、捜索依頼の一例を示す図である。捜索依頼は、図示のとおり、所定のメッセージが記載された本文、および添付ファイルで構成される。なお、図10では、捜索用アプリケーションプログラムを添付することとしたが、これに限らず、プログラムのダウンロードアドレスを添付することとしてもよい。また、加入者情報管理装置3では、一定期間に、紛失したイヤホンがみつからない場合には、別のセルに捜索依頼を行う。セルとは、1つの基地局がカバーするエリアのことである。
【0033】
つぎに、加入者情報管理装置3からの捜索依頼を受信した各携帯電話端末の移動通信網通信部12は、それぞれ自端末の捜索依頼受信部24に捜索依頼の添付ファイルを転送する(S15)。捜索依頼受信部24は、それぞれ捜索用アプリケーションプログラムを起動し(S16)、紛失外部機器判定部23に対し添付ファイルとして含まれたイヤホンの固有情報を通知する(S17)。そして、紛失外部機器判定部23は、受け取ったイヤホンの固有情報を記憶部17に登録する。一方で、捜索依頼受信部24は、近距離無線通信部13に対して、紛失したイヤホンの捜索を要求する(S18)。捜索には、携帯電話端末において一般的なBluetoothや無線LAN等が利用可能である。本実施例では、イヤホンの接続方法がBluetoothであるため、Bluetoothを用いてイヤホンを捜索する(図7参照)。
【0034】
つぎに、近距離無線通信部13は、Bluetoothの機能により、近傍の無線機器を検索し(S19)、その応答を待つ。その結果、近傍の無線機器より応答があった場合(S20)、近距離無線通信部13は、検出された無線機器の情報を捜索依頼受信部24経由で紛失外部機器判定部23に通知する(S21)。そして、紛失外部機器判定部23は、検出された無線機器が記憶部17内に記憶されているイヤホンの固有情報と一致するかどうかを判定し、その結果を捜索依頼受信部24に通知する(S22)。
【0035】
紛失外部機器判定部23による判定が一致していた場合、捜索依頼受信部24は、測位部16に対し測位情報取得要求を通知する(S23)。測位部16では、現在の自端末の位置情報を測定し(S24)、その測定結果を捜索依頼受信部24に通知する(S25)。そして、捜索依頼受信部24は、イヤホンの固有情報および自端末の位置情報を外部機器情報送信部22に通知する(S26)。
【0036】
つぎに、外部機器情報送信部22は、移動通信網通信部12を介して、イヤホンの固有情報、自端末の位置情報および自端末の電話番号等を含む検出通知を加入者情報管理装置3に送信する(S27)。本実施例では、一例として、検出通知を電子メールにて送信する。図11は、検出通知の一例を示す図である。検出通知は、図示のとおり、所定のメッセージが記載された本文、および添付ファイルで構成される。また、捜索依頼受信部24では、検出通知が送信された後の任意のタイミングで、捜索用アプリケーション用プログラムを終了する(S28)。
【0037】
つぎに、検出通知を受信した加入者情報管理装置3の移動通信網通信部42は、検出通知の添付ファイルを紛失外部機器管理部51に通知する(S29)。そして、紛失外部機器管理部51は、紛失したイヤホンに対応する一定時間内または一定件数の検出通知の受信を待ち、イヤホンを検出したすべての携帯電話端末の位置情報から、紛失したイヤホンの位置を特定する(S30)。
【0038】
図12は、紛失したイヤホンの位置の特定の仕方を示す図である。Bluetoothを使用して携帯電話端末が近傍の無線機器を検索した場合、最大100m程度まで携帯電話端末の電波が到達可能である。本実施では、紛失外部機器管理部51が、たとえば、イヤホンを検出した携帯電話端末4−1,4−2,4−3の、それぞれのBluetoothによる通信範囲が重なる位置を、イヤホンの位置として特定する。
【0039】
そして、紛失外部機器管理部51は、紛失外部機器情報報知部44に対し、上記のように特定したイヤホンの位置を通知する(S31)。その後、紛失外部機器情報報知部44では、イヤホンの位置情報を含む発見通知を、移動通信網通信部42および移動通信網を介して携帯電話端末1に送信する(S32)。本実施例では、一例として、発見通知を電子メールにて送信する。図13は、発見通知の一例を示す図である。発見通知では、図示のとおり、本文にイヤホンの発見場所の地図を記載する。
【0040】
つぎに、発見通知を受信した携帯電話端末1の移動通信網通信部12は、ユーザインタフェース部21に発見通知の内容を通知する(S33)。そして、ユーザインタフェース部21が、携帯電話端末1の表示画面にイヤホンが発見された旨の画面表示(地図表示)を行う。
【0041】
上述してきたように、本実施例では、携帯電話端末1の所有者が外部機器2を紛失した場合に、携帯電話端末1周辺の携帯電話端末(4−1〜4−n)が近距離無線通信を利用して外部機器2を捜索することとした。また、携帯電話端末4−1〜4−nでは、独自の通信プロトコルを用いることなく、既存の近距離無線通信機能を用いて外部機器2の捜索を行うこととした。これにより、独自の通信プロトコルを用いることなく、既存の通信プロトコルを利用して、容易に、行方不明の外部機器2を発見することが可能となる。
【0042】
なお、上記では、近距離無線通信の一例としてBluetoothを使用する場合について記載したが、これに限らず、無線LANを使用することとしてもよい。たとえば、携帯電話端末と、外部機器として登録された無線機器とが無線LANを使用して通信可能な場合、両者には、予め、紛失時における捜索専用のSSID(Service Set Identifier)を割り当てておく。具体的には、携帯電話端末が外部機器を捜索するときに使用するSSIDは、紛失時の捜索専用のものを外部機器ごとに機器の開発元で割り当てておくこととし、外部機器および携帯電話端末の双方で管理する。このSSIDは、一例として、外部機器のMACアドレスを含むような文字列とする。
【0043】
また、無線LANを使用した外部機器2の登録および捜索を行う場合には、上記の外部機器紛失通知や捜索依頼に上記捜索専用のSSIDを含める。したがって、加入者情報管理装置3から捜索依頼を受信した携帯電話端末4−1〜4−nは、通知されたSSIDを使用して外部機器の検索を行う(S19)。すなわち、「Probe request」を送信する。一方、捜索専用のSSIDによる「Probe request」を受信した外部機器2は、その応答として、「Probe response」を返信する(S20)。携帯電話端末4−1〜4−nは、この「Probe response」を受信することによって、捜索対象の外部機器を検出したかどうかを判断し、捜索対象の外部機器であれば検出通知を加入者情報管理装置3に送信する。
【実施例2】
【0044】
実施例2では、実施例1の外部機器2に代えて外部機器2aを用いて、外部機器の低消費電力化を実現する。なお、携帯電話端末1,4−1〜4−n,5−1〜5−m、および加入者情報管理装置3の構成については、前述した実施例1の図2,図4と同様である。本実施例では、実施例1と異なる処理について説明する。
【0045】
図14は、外部機器2aの構成例を示す図である。図14において、外部機器2aは、機器制御部31と近距離無線通信部32と記憶部33と紛失判定部34と送信状態制御部35を有する。なお、前述した実施例1の外部機器と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、外部機器2aの各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0046】
図14において、記憶部33は、メモリ等で構成され、自機器の所有者が所有する携帯電話端末1のMACアドレスや、処理の過程で得られる情報等を記憶する。紛失判定部34は、携帯電話端末1が外部機器2aを紛失しているかどうか、すなわち、自機器が紛失状態であるかどうかを判断する。送信状態制御部35は、自機器が紛失状態である場合に、近距離無線通信部32による定期的な無線信号の送信を停止させる。すなわち、この場合、近距離無線通信部32は、検索に対応する応答時以外の送信は行わない。
【0047】
つづいて、本実施例の無線通信システムの動作を図面に従い詳細に説明する。図15は、実施例2の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図であり、図5の外部機器2を外部機器2aに置き換えたものである。また、図16は、実施例2の動作を示すシーケンス図である。
【0048】
たとえば、紛失判定部34では、イヤホンが紛失状態であるかどうかを自律的に判定する(S41)。判定方法としては、加速度センサにて自機器の動きを監視する方法や、自機器への操作履歴を保持してユーザ操作を監視する方法などの、置き忘れ判定手法を使用する。そして、携帯電話端末1の所有者がイヤホンを紛失したものと判断した場合、紛失判定部34は、送信状態制御部35に対し送信停止要求を通知する(S42)。
【0049】
送信停止要求を受け取った送信状態制御部35では、近距離無線通信部32に対して、自機器からの定期的な無線信号の送信を停止するための設定処理を行う(S43)。これにより、近距離無線通信部32では、検索に対応する応答時のみに送信処理を行うこととなるため(S44)、イヤホン全体としては、携帯電話端末1を検出するために定期的に無線信号を送信する場合と比較して大幅に消費電力を低減させることができる。
【0050】
その後、イヤホンの近距離無線通信部32は、検索要求を受信した場合に(S45)、検索要求に含まれた送信元情報であるMACアドレスを送信状態制御部35に通知する(S46)。送信状態制御部35では、通知されたMACアドレスと、予め記憶部33に記憶された携帯電話端末1のMACアドレスとを比較し、一致する場合に、近距離無線通信部32に対して、定期的な無線信号の送信を再開するための設定処理を行う(S47)。
【0051】
このように、本実施例では、携帯電話端末1の所有者が紛失したイヤホン等の外部機器2aが、自律的に低消費電力化を実施するため、外部機器自体のバッテリー消費を低減させることができる。そのため、外部機器2aの駆動時間が長くなり、バッテリー切れにより発見できなくなる確率を減らすことができる。また、外部機器2aは、所有者が意識することなく、携帯電話端末1から検索要求を受けた時点で、自律的に定期的な無線信号の送信を再開することができる。
【実施例3】
【0052】
前述した実施例1では、図6−1のS8において、外部機器紛失登録部26が、紛失したイヤホンの固有情報および自端末の位置情報等を含む外部機器紛失通知を、移動通信網通信部12を介して加入者情報管理装置3に送信していた。実施例3では、自端末の位置情報に代えて、自端末の軌跡である通信ログを外部機器紛失通知に含めることとした。なお、外部機器2および加入者情報管理装置3の構成については、前述した実施例1の図3,図4と同様である。本実施例では、実施例1と異なる構成および処理について説明する。
【0053】
図17は、携帯電話端末1aの構成例を示す図である。図17において、携帯電話端末1aは、実施例1の携帯電話端末の構成に加えて、通信ログ取得部18を追加する。通信ログ取得部18は、自端末の軌跡の情報を取得し、通信ログとして記憶部17に保存する。なお、前述した実施例1の携帯電話端末1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、携帯電話端末1aの各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0054】
つづいて、本実施例の無線通信システムの動作を図面に従い詳細に説明する。図18は、実施例3の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図であり、図5の携帯電話端末1を携帯電話端末1aに置き換えたものである。また、図19は、実施例3の動作を示すシーケンス図である。なお、携帯電話端末4−1〜4−nの構成については、図2の構成であってもよいし、図17の構成であってもよい。
【0055】
携帯電話端末1aの近距離無線通信部13は、たとえば、外部機器2の近距離無線通信部32と近距離無線通信を行う場合に、通信ログ取得部18に対して通信開始を通知する(S51)。通信開始を通知された通信ログ取得部18は、測位部16に対し測位情報取得要求を通知する(S52)。測位部16では、現在の自端末の位置情報を測定し(S53)、その測定結果を通信ログ取得部18に通知する(S54)。そして、通信ログ取得部18は、得られた通信開始時の位置情報を通信ログとして記憶部17に保存する(S55)。
【0056】
また、携帯電話端末1aの近距離無線通信部13は、たとえば、外部機器2の近距離無線通信部32との近距離無線通信が終了した場合に、通信ログ取得部18に対して通信終了を通知する(S56)。なお、通信終了には、バッテリー不足による通信終了も含むものとする。通信終了を通知された通信ログ取得部18は、測位部16に対し測位情報取得要求を通知する(S57)。測位部16では、現在の自端末の位置情報を測定し(S58)、その測定結果を通信ログ取得部18に通知する(S59)。そして、通信ログ取得部18は、得られた通信終了時の位置情報を通信ログとして記憶部17に保存する(S60)。
【0057】
また、通信ログ取得部18は、測位部16に対し、定期的またはランダムに測位情報取得要求を通知する(S61)。たとえば、ハンドオーバーによりセルが変更されるタイミングで、測位部16に測位情報取得要求を通知する。測位部16では、現在の自端末の位置情報を測定し(S62)、その測定結果を通信ログ取得部18に通知する(S63)。そして、通信ログ取得部18は、ハンドオーバー先での位置情報を通信ログとして記憶部17に保存する(S64)。
【0058】
以降、本実施例では、近距離無線通信の開始、終了、およびハンドオーバーを契機として、自端末の位置情報の測定を継続し、自端末の軌跡を通信ログとして記憶部17に保存する。図20は、通信ログの一例を示す図である。この通信ログは、測定時刻単位に、ログ種別,機器情報(MACアドレス等),位置情報(緯度,経度,セル情報)が関連付けられた状態で保存される。図20では、一例として、通信開始,通信終了,ハンドオーバーを契機として位置情報が測定された場合が示されている。なお、本実施例では、通信開始,通信終了,ハンドオーバーを契機として位置情報を測定しているが、これに限らず、通信開始,通信終了,ハンドオーバーのうちの少なくともいずれか1つを契機として、位置情報を測定することとしてもよい。
【0059】
その後、外部機器2の1つであるイヤホンを紛失した場合、携帯電話端末1aでは、実施例1と同様の処理で、外部機器管理テーブルを検索して、紛失したイヤホンの固有情報を読み出すとともに、さらに、紛失フラグをONに設定する(S1,S2,S3)。そして、外部機器管理部27は、紛失したイヤホンの固有情報を外部機器紛失登録部26に通知する(S65)。
【0060】
つぎに、外部機器紛失登録部26は、通信ログ取得部18に対して、上記で保存された通信ログの送信を要求する(S66)。通信ログ取得部18は、記憶部17から通信ログを読み出し、外部機器紛失登録部26に通信ログを送信する(S67)。以降、通信ログ取得部18は、次回の近距離無線通信による通信開始までの間、通信ログの取得を停止する。
【0061】
つぎに、外部機器紛失登録部26では、移動通信網通信部12および移動通信網経由で、紛失したイヤホンの固有情報、通信ログおよび紛失者情報等を含む外部機器紛失通知を、加入者情報管理装置3に送信する(S8)。本実施例では、一例として、外部機器紛失通知を電子メールにて送信する。
【0062】
以降、実施例1と同様の処理で紛失したイヤホンの捜索を行うが、S12において、加入者情報管理装置3の紛失外部機器情報報知部44は、通信ログに基づいて捜索対象セルを特定することになる。
【0063】
このように、本実施例では、外部機器紛失登録部26が、携帯電話端末1aの軌跡である通信ログを含めた外部機器紛失通知を、加入者情報管理装置3に送信することとした。これにより、加入者情報管理装置3が複数の捜索対象セルを選択可能となり、より広範囲な捜索が可能となるため、紛失した外部機器の発見確率を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施例では、実施例1の携帯電話端末1に通信ログ取得部18を追加して携帯電話端末1aとしたが、この携帯電話端末1aは、実施例2においても適用可能である。
【実施例4】
【0065】
実施例4では、実施例1の携帯電話端末および加入者情報管理装置に代えて携帯電話端末1b,4b−1〜4b−nおよび加入者情報管理装置3bを用いることにより、紛失登録の解除および捜索依頼の解除を可能とする。なお、外部機器2の構成については、前述した実施例1の図3と同様である。本実施例では、実施例1と異なる構成および処理について説明する。
【0066】
図21は、携帯電話端末1b,4b−1〜4b−nの構成例を示す図である。図21において、各携帯電話端末は、実施例1の携帯電話端末の構成に加えて、外部機器紛失解除部28と捜索依頼解除部25を追加する。外部機器紛失解除部28は、紛失した外部機器を自端末にて発見した場合に、加入者情報管理装置に登録した紛失登録情報を解除するための処理を行う。捜索依頼解除部25は、加入者情報管理装置より捜索依頼解除通知を受信した場合に、外部機器の捜索に関する処理を終了させる。なお、前述した実施例1の携帯電話端末1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、上記携帯電話端末の各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0067】
また、図22は、加入者情報管理装置3bの構成例を示す図である。図22において、加入者情報管理装置3bは、実施例1の加入者情報管理装置の構成に加えて、紛失解除部52を追加する。紛失解除部52は、携帯電話端末1bから紛失登録解除通知を受信した場合に、この通知に基づいて紛失登録済みの外部機器の固有情報を検索し、この外部機器に関する紛失登録情報を解除する。なお、前述した実施例1の加入者情報管理装置3と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、加入者情報管理装置3bの各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0068】
つづいて、本実施例の無線通信システムの動作を図面に従い詳細に説明する。図23は、実施例4の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図であり、図5の携帯電話端末および加入者情報管理装置を、それぞれ携帯電話端末1b,4b−1〜4b−n、加入者情報管理装置3bに置き換えたものである。また、図24は、実施例4の動作を示すシーケンス図である。
【0069】
実施例4では、たとえば、携帯電話端末1bにおいて、外部機器紛失登録部26が外部機器紛失通知を加入者情報管理装置3bに送信(S8)した後の任意のタイミングで、近距離無線通信部13が、無線機器の検索を行った場合を想定する(S71)。この検索は、紛失したイヤホンをみつけるための検索でもよいし、イヤホン以外の他の外部機器2(図7参照)の検索でもよいし、新たな無線機器の検出であってもよい。
【0070】
この検索により、無線機器より応答があった場合(S72)、近距離無線通信部13は、検出された無線機器の情報を外部機器管理部27に通知する(S73)。外部機器管理部27は、記憶部17内の外部機器管理テーブルを参照し、検出された無線機器の中に紛失フラグがONのものがあるかどうか、すなわち、検出された無線機器の中に紛失したイヤホンがあるかどうかを判断する(S74)。たとえば、検出された無線機器の中に紛失したイヤホンがあった場合、外部機器管理部27は、外部機器紛失解除部28に紛失登録の解除を依頼する(S75)。また、外部機器管理部27では、紛失登録の解除の依頼を行った後に、外部機器管理テーブル内のイヤホンの紛失フラグをOFFに変更する(S77)。
【0071】
一方、紛失登録の解除を依頼された外部機器紛失解除部28では、移動通信網通信部12および移動通信網経由で、紛失登録済みのイヤホンの固有情報を含む紛失登録解除通知を、加入者情報管理装置3bに送信する(S76)。本実施例では、一例として、紛失登録解除通知を電子メールにて送信する。図25は、紛失登録解除通知の一例を示す図である。紛失登録解除通知には、図示のとおり、本文に所定のメッセージが記載される。
【0072】
つぎに、加入者情報管理装置3bの移動通信網通信部42は、紛失登録解除通知に含まれるイヤホンの固有情報を紛失解除部52に通知する(S78)。紛失解除部52は、記憶部45内の紛失登録情報から、通知された固有情報と一致する紛失登録済みのイヤホンの固有情報を検索し、登録を解除する(S79)。また、紛失解除部52は、記憶部45内の捜索依頼管理テーブル(図9参照)を検索し、イヤホンの捜索依頼に関する情報を削除する(S80)。そして、紛失解除部52は、移動通信網通信部42に対してイヤホンの捜索解除を依頼する(S81)。
【0073】
つぎに、移動通信網通信部42では、イヤホンの固有情報を含む捜索依頼解除通知を、捜索対象セル内の携帯電話端末4b−1〜4b−nにブロードキャストする(S82)。本実施例では、一例として、捜索依頼解除通知を電子メールにて送信する。図26は、捜索依頼解除通知の一例を示す図である。捜索依頼解除通知には、図示のとおり、本文に所定のメッセージが記載される。
【0074】
つぎに、携帯電話端末4b−1〜4b−nの移動通信網通信部12では、捜索依頼解除通知に含まれるイヤホンの固有情報を捜索依頼解除部25に通知する(S83)。そして、捜索依頼解除部25は、実施例1において紛失外部機器判定部23が記憶部17に登録したイヤホンの固有情報を削除し、さらに、捜索アプリケーションプログラムの終了および削除を実施する。
【0075】
このように、本実施例では、携帯電話端末1bが、行方不明の外部機器2を見つけた場合に、加入者情報管理装置3bに対して行った紛失登録(外部機器紛失通知による処理)を解除し、さらに、加入者情報管理装置3bによる捜索依頼を解除することとした。これにより、みつかった外部機器2の捜索に関する処理を速やかに終了させることができる。
【0076】
なお、本実施例では、実施例1の携帯電話端末に外部機器紛失解除部28と捜索依頼解除部25を、実施例1の加入者情報管理装置に紛失解除部52を追加することとしたが、これに限らず、実施例2および実施例3においても同様に適用可能である。
【実施例5】
【0077】
実施例5では、実施例1の携帯電話端末および加入者情報管理装置に代えて携帯電話端末1cおよび加入者情報管理装置3bを用いることにより、実施例4とは異なる方法で、紛失登録の解除および捜索依頼の解除を可能とする。本実施例では、外部機器2が、近距離無線通信による接続に加えて、さらに有線で携帯電話端末に接続可能な場合を想定する。なお、外部機器2の構成については、前述した実施例1の図3と同様である。本実施例では、実施例1および実施例4と異なる構成および処理について説明する。
【0078】
図27は、携帯電話端末1c,4c−1〜4c−nの構成例を示す図である。図27において、各携帯電話端末は、実施例1の携帯電話端末の構成に加えて、外部機器接合報知部29と捜索依頼解除部25を有する。外部機器接合報知部29は、有線で外部機器2が接合された場合に、加入者情報管理装置3bに対して外部機器接合通知を行う。なお、前述した実施例1の携帯電話端末1または実施例4の携帯電話端末1bと同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、上記携帯電話端末の各機能部は、たとえば、CPU,FPGA,メモリ等で構成することが可能である。
【0079】
つづいて、本実施例の無線通信システムの動作を図面に従い詳細に説明する。図28は、実施例5の無線通信システムにおける各装置の機能ブロックを示す図であり、図5の携帯電話端末および加入者情報管理装置を、それぞれ携帯電話端末1c,4c−1〜4c−n、加入者情報管理装置3bに置き換えたものである。また、図29は、実施例5の動作を示すシーケンス図である。
【0080】
実施例5では、たとえば、携帯電話端末1cの外部機器紛失登録部26が外部機器紛失通知を加入者情報管理装置3bに送信(S8)した後の任意のタイミングで、携帯電話端末1cに、紛失したイヤホンが有線接続された場合を想定する(S91)。
【0081】
上記の有線接続により、外部機器接合報知部29は、移動通信網通信部12および移動通信網経由で、有線接続により得られるイヤホンのMACアドレス等を含む外部機器接合通知を、加入者情報管理装置3bに送信する(S92、S93)。本実施例では、一例として、外部機器接合通知を電子メールにて送信する。図30は、外部機器接合通知の一例を示す図である。外部機器接合通知には、図示のとおり、本文に所定のメッセージが記載され、さらに、添付ファイルとしてイヤホンのMACアドレスや自端末の電話番号等が添付されている。
【0082】
つぎに、加入者情報管理装置3bの移動通信網通信部42は、外部機器接合通知に含まれるイヤホンのMACアドレスを紛失解除部52に通知する(S94)。紛失解除部52は、記憶部45内の紛失登録情報から、通知されたMACアドレスと一致する紛失登録済みのイヤホンの固有情報を検索し、登録を解除する(S95)。また、紛失解除部52は、記憶部45内の捜索依頼管理テーブル(図9参照)を検索し、イヤホンの捜索依頼に関する情報を削除する(S96)。以降、本実施例では、実施例4と同様の処理(S81〜S83)を実行する。
【0083】
このように、本実施例では、携帯電話端末1cに行方不明の外部機器2が有線接続された場合に、加入者情報管理装置3bに対して行った紛失登録(外部機器紛失通知による処理)を解除し、さらに、加入者情報管理装置3bによる捜索依頼を解除することとした。これにより、みつかった外部機器の捜索に関する処理を速やかに終了させることができる。
【0084】
なお、本実施例では、実施例1の携帯電話端末に外部機器接合報知部29と捜索依頼解除部25を、実施例1の加入者情報管理装置に紛失解除部52を追加することとしたが、これに限らず、実施例2〜4においても同様に適用可能である。
【実施例6】
【0085】
実施例6では、実施例5の構成において、たとえば、携帯電話端末4c−1に、外部機器2として登録していない無線機器が接合された場合の動作について説明する。
【0086】
図31は、実施例6の動作を示すシーケンス図である。たとえば、携帯電話端末1cの外部機器紛失登録部26が外部機器紛失通知を加入者情報管理装置3bに送信(S8)した後の任意のタイミングで、携帯電話端末4c−1に、外部機器2として未登録の無線機器が接合された場合を想定する(S101)。この場合、外部機器接合報知部29では、測位部16に対し測位情報取得要求を通知する(S102)。測位部16では、現在の自端末の位置情報を測定し(S103)、その測定結果を外部機器接合報知部29に通知する(S104)。そして、外部機器接合報知部29では、移動通信網通信部12および移動通信網経由で、有線接続により得られる無線機器のMACアドレスおよび自端末の位置情報を含む接合通知を、加入者情報管理装置3bに送信する(S105、S106)。
【0087】
つぎに、加入者情報管理装置3bの移動通信網通信部42は、接合通知に含まれる無線機器のMACアドレスを紛失外部機器管理部51に通知する(S107)。紛失外部機器管理部51は、通知されたMACアドレスと、記憶部45内に紛失登録済みの外部機器の固有情報とを比較して一致する外部機器があるかどうかを検索する(S108)。たとえば、通知されたMACアドレスと紛失登録済みのイヤホンのMACアドレスが一致した場合、紛失外部機器管理部51は、接合通知に含まれる携帯電話端末4c−1の位置情報をイヤホンの位置情報として紛失外部機器情報報知部44に通知する(S109)。
【0088】
その後、紛失外部機器情報報知部44では、実施例1と同様の処理で、イヤホンの位置情報を含む発見通知を、移動通信網通信部42および移動通信網を介して携帯電話端末1cに送信する(S32、S33)。
【0089】
このように、本実施例では、ある携帯電話端末に外部機器として登録していない無線機器が接合された場合に、その無線機器を外部機器として登録している本来の携帯電話端末に、その無線機器の位置情報を通知することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1,1a,1b,1c,4−1〜4−n,5−1〜5−m 携帯電話端末
2,2a 外部機器
3,3b 加入者情報管理装置
11 端末制御部
12 移動通信網通信部
13 近距離無線通信部
14 アプリ制御部
15 外部機器管理機能部
16 測位部
17 記憶部
18 通信ログ取得部
21 ユーザインタフェース部
22 外部機器情報送信部
23 紛失外部機器判定部
24 捜索依頼受信部
25 捜索依頼解除部
26 外部機器紛失登録部
27 外部機器管理部
28 外部機器紛失解除部
29 外部機器接合報知部
31 機器制御部
32 近距離無線通信部
33 記憶部
34 紛失判定部
35 送信状態制御部
41 装置制御部
42 移動通信網通信部
43 紛失外部機器管理機能部
44 紛失外部機器情報報知部
45 記憶部
51 紛失外部機器管理部
52 紛失解除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信により接続可能な無線機器を外部機器として登録可能な複数の無線通信端末と、
前記複数の無線通信端末における加入者情報を管理する加入者情報管理装置と、
を有し、
前記複数の無線通信端末のうちの特定の無線通信端末が、自端末に登録済みの外部機器の固有情報と自端末の位置情報とを含む登録情報を前記加入者情報管理装置に送信し、
前記登録情報を受信した加入者情報管理装置が、前記特定の無線通信端末の位置情報に基づいて、前記外部機器を捜索する対象のセルである捜索対象セルを特定し、当該捜索対象セル内の無線通信端末に向けて前記外部機器の固有情報を含む捜索依頼を送信し、
前記捜索依頼を受信した前記捜索対象セル内の無線通信端末が、近距離無線通信により無線機器の検索を行い、その結果、前記外部機器の固有情報と一致する無線機器を検出した場合に、自端末の位置情報を含む検出通知を前記加入者情報管理装置に送信し、
前記加入者情報管理装置が、受信した検出通知に含まれる位置情報に基づいて前記外部機器の位置を特定し、当該外部機器の位置を含む発見通知を前記特定の無線通信端末に送信する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記加入者情報管理装置は、前記検出通知を送信した各無線通信端末の、それぞれの近距離無線通信による通信範囲が重なる位置を、前記外部機器の位置として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記外部機器は、自身が紛失状態であると判断した場合に、検索に対する応答時以外の、近距離無線通信による無線信号の送信を停止する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記外部機器は、前記特定の無線通信端末から検索要求を受けた場合に、前記停止していた近距離無線通信による無線信号の送信を再開する、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記特定の無線通信端末は、前記登録情報を前記加入者情報管理装置に送信する場合に、自端末の位置情報として自端末の軌跡を含める、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記特定の無線通信端末は、前記登録情報を送信した後の任意のタイミングにおいて無線機器の検索を行った結果、捜索対象の外部機器を検出した場合に、当該外部機器の固有情報を含む登録解除通知を前記加入者情報管理装置に送信し、
前記登録解除通知を受信した加入者情報管理装置は、前記検索を終了させるための捜索依頼解除通知を、前記捜索対象セル内の無線通信端末に向けて送信する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記特定の無線通信端末は、前記登録情報を送信した後の任意のタイミングにおいて前記外部機器が有線接続された場合に、当該外部機器の固有情報を含む接合通知を前記加入者情報管理装置に送信し、
前記接合通知を受信した加入者情報管理装置は、前記検索を終了させるための捜索依頼解除通知を、前記捜索対象セル内の無線通信端末に向けて送信する、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記登録情報が送信された後の任意のタイミングにおいて、未登録の無線機器が有線接続された無線通信端末は、自身の位置情報と当該無線機器の固有情報を含む未登録接合通知を前記加入者情報管理装置に送信し、
前記加入者情報管理装置は、前記未登録接合通知に含まれる無線機器の固有情報と前記登録情報に含まれる前記外部機器の固有情報とが一致する場合に、前記未登録接合通知に含まれる位置情報に基づいて前記外部機器の位置を特定し、当該外部機器の位置を含む発見通知を前記特定の無線通信端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項9】
近距離無線通信により接続可能な無線機器を外部機器として登録可能な無線通信端末であって、
自端末に登録済みの外部機器の固有情報と自端末の位置情報とを含む登録情報を加入者情報管理装置に送信する登録部と、
前記加入者情報管理装置から前記外部機器の固有情報を含む捜索依頼を受信した場合に近距離無線通信により無線機器の検索を行い、その結果、前記外部機器の固有情報と一致する無線機器を検出した場合に自端末の位置情報を含む検出通知を前記加入者情報管理装置に送信する捜索部と、
を有することを特徴とする無線通信端末。
【請求項10】
前記登録部は、前記登録情報を前記加入者情報管理装置に送信する場合に、自端末の位置情報として自端末の軌跡を含める、
ことを特徴とする請求項9に記載の無線通信端末。
【請求項11】
近距離無線通信により接続可能な無線機器を外部機器として登録する特定の無線通信端末から、当該外部機器の固有情報と当該特定の無線通信端末の位置情報とを含む登録情報を受信した場合に、当該特定の無線通信端末の位置情報に基づいて、当該外部機器を捜索する対象のセルである捜索対象セルを特定し、当該捜索対象セル内の無線通信端末に向けて当該外部機器の固有情報を含む捜索依頼を送信する第1の送信部と、
前記捜索対象セル内の無線通信端末から、当該無線通信端末の位置情報を含む検出通知を受信した場合に、受信した検出通知に含まれる位置情報に基づいて前記外部機器の位置を特定し、当該外部機器の位置を含む発見通知を前記特定の無線通信端末に送信する第2の送信部と、
を有することを特徴とする加入者情報管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2012−256986(P2012−256986A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127594(P2011−127594)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】