説明

無線通信システム、送信装置、受信装置、送信制御方法、受信制御方法、送信制御プログラム、及び、受信制御プログラム

【課題】送信装置から制御情報を通知しなくても、受信装置が自装置宛のパイロット信号を取得すること。
【解決手段】受信アンテナR1は、送信装置から送信された信号を受信する。電力測定部107mは、受信した前記パイロット信号のうち、所望のパイロット信号を自律的に検出する。伝搬路推定部109mは、電力測定部107mが検出したパイロット信号に基づいて伝搬路推定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、送信装置、受信装置、送信制御方法、受信制御方法、送信制御プログラム、及び、受信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基地局装置に備えられた複数の送信アンテナを用いて、複数の送信信号を空間多重し、高い周波数利用効率と高速伝送を実現するダウンリンクMIMO(Multiple−Input Multiple−Output;多入力多出力)伝送の研究が盛んに行われている。
ダウンリンクMIMO伝送では、次の2つの技術が知られている。1つ目は、複数のアンテナを備える単一の端末装置へ、複数の送信信号を空間多重して送信するSingle User−MIMO(SU−MIMO)伝送である。2つ目は、複数の端末装置宛の送信信号を空間多重して送信するMulti User−MIMO(MU−MIMO)伝送である。通常、基地局装置が備えるアンテナは端末装置が備えるアンテナよりも多く、SU−MIMO伝送では基地局装置の全アンテナを必ずしも活用できるとは限らないが、MU−MIMO伝送では、複数の端末装置宛の送信信号を空間多重することにより基地局装置の全アンテナを有効に活用し、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0003】
このMU−MIMO伝送では、各端末装置宛の信号が各端末装置で干渉し合わないように、基地局装置が予めプリコーディングした信号を送信する技術が適用される。適用するプリコーディングには、複数の送信信号に線形ウェイトを乗算する線形プリコーディングと、非線形演算を含めた信号処理を行う非線形プリコーディングがある。
非線形プリコーディングを適用したMU−MIMO伝送として、Tomlinson−Harashima Precodingを用いたMU−MIMO(THP MU−MIMO)伝送が知られている。THP MU−MIMO伝送では、例えば多重する端末装置を4個とした場合、各端末装置A〜D宛の信号x〜xから端末間の干渉を減算した干渉除去信号v〜vを生成する。この減算処理は、逐次的に行われ、端末装置A、B、C、Dの順番でそれぞれの宛先へ向けて送信される信号が生成される。この時、例えば、端末装置C宛の信号は、端末装置C宛の所望信号から、端末装置Aが端末装置Cに与える干渉信号と端末装置Bが端末装置Cに与える干渉信号がそれぞれ減算された信号となる。このように生成された干渉除去信号v〜vを成分とするベクトルvは、次式(1)で表される。
【0004】
【数1】

【0005】
ここで、ベクトルxは信号x〜xを成分とするベクトルであり、行列Iは単位行列である。また、行列Rは、基地局装置の各アンテナと端末装置の各アンテナの間の伝搬路を行列形式で表した伝搬行列Hの複素共役転置行列HをQR分解して算出した行列である。ここで、QR分解とは、行列をユニタリ行列Qと上三角行列Rに分解することである。また、diag(X)は、行列Xの非対角成分を0とした行列を表す。また、行列Rの成分rnkの添え字n、kは、それぞれ、空間多重されている端末装置、基地局装置における送信アンテナの識別番号を示す。
式(1)に示すように、干渉除去信号は所望信号から干渉信号を減算した信号であり、この干渉信号減算処理により送信信号の電力が大幅に増加する場合があるため、THP MU−MIMO伝送では、干渉除去信号v〜vにModulo演算を行って摂動信号u〜u(変調方式に応じて定まる定数τの整数倍の信号)を加算することで、送信する信号の送信電力を抑圧する。基地局装置は、Modulo演算後の信号v’〜v’にユニタリ行列で表される送信ウェイトQを乗算し、送信アンテナを介して送信する。この場合、各端末装置A〜Dは、次式(2)の受信信号ベクトルyの成分で表される受信信号y〜yを受信する。但し、説明の簡単化のため、各受信装置で加わる熱雑音は省略している。
【0006】
【数2】

【0007】
ここで、受信信号yは端末装置nが受信する受信信号を示す。端末装置nは、基地局装置から送信された既知の復調用パイロット信号に基づいてrnkを算出し、受信信号yをrnkで除算した信号にModulo演算を行うことで、自身宛の信号xを取得する。この式(2)からわかるように、端末装置Aが受信する信号は所望信号に係数rA1が乗算された信号であり、これは、端末装置A宛の信号は基地局装置のアンテナ1から送信された信号であるのと等価ということができる。同様に、端末装置Bが受信する信号は所望信号に係数rB2が乗算された信号であるため、基地局装置のアンテナ2から送信されているのと等価である。また、端末装置C宛の信号は基地局装置のアンテナ3から、端末装置D宛の信号は基地局装置のアンテナ4からそれぞれ送信されているのと等価といえる。
【0008】
このように、各端末装置では、基地局装置から送信される既知のパイロット信号を用いてこのrnt*を推定する必要があるが、複数ユーザ分のパイロット信号をデータ信号と同様に空間多重して伝送すると、複数のパイロット信号が干渉し合い、伝搬路の推定精度が著しく劣化する。
このような問題に対して、非特許文献1には、パイロット信号を周波数領域で直交化するように配置することが記載されている。
図14は、従来技術に係るパイロット信号の配置を示す概略図である。この図において、横軸は時間であり縦軸は周波数である。また、周波数方向はサブキャリア毎に分割され、時間方向は予め定めた時間(シンボル)単位で分割されている(分割された周波数及び時間領域を信号配置領域という)。
図14において、番号が付されている信号配置領域は復調用パイロット信号が伝送される信号配置領域を表しており、その番号kは、該当する信号配置領域が、送信アンテナkから送信される復調用パイロット信号が配置されている信号領域であることを示す。また、番号が付されていない信号配置領域ではデータ信号が送信される。この図において、例えば、符号Q11を付したサブキャリアでは、時間が1番早い信号配置領域に送信アンテナ「1」から送信するパイロット信号が配置されている。同様に、符号Q11を付したサブキャリアでは、時間が2、5、6番目の信号配置領域には、それぞれ、送信アンテナ「4」、「3」、「2」から送信するパイロット信号が配置されている。
このような復調用パイロット信号の配置である場合に、式(1)、(2)で示されるTHP MU−MIMO伝送を行うと、端末装置Aは番号1が付されたサブキャリアを基に伝搬路推定を行うこととなる。同様に、端末装置Bは番号2、端末装置Cは番号3、端末装置Dは番号4が付されたサブキャリアを基にそれぞれ伝搬路推定を行って、その伝搬路推定結果を用いて信号の復調を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】青木 他、“Tomlinson−Harashima Precodingを用いたMIMO Broadcast Channelにおけるパイロット信号の検討”、2009年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会B−5−39、Sep. 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1記載の技術では、端末装置nは、自身宛のパイロット信号がどの信号配置領域で送信されるかを事前に把握していなければ、rnkを算出できずに、所望の信号xを取得できない、という欠点があった。
先に述べたように、THP MU−MIMO伝送では、送信信号が生成される順序(干渉が除去される順序)と信号が送信されるアンテナ番号が等価的に対応付けられており(この対応付けを表す情報を空間対応情報と呼ぶこととする)、この対応関係に応じて各端末装置は自身が用いるべきパイロット信号の位置を把握する必要があるが、この対応関係は基地局装置でのみ正確に把握できるものであり、基地局装置は空間対応情報を各端末装置に通知する必要がある。このように、空間対応情報を事前に通知する場合、無線リソースを浪費して信号の伝送効率が低下するという欠点があった。特に、伝搬路状況等に応じて対応関係を適宜変更する場合には、変更の度に空間対応情報を通知しなければならず、伝送効率が低下してしまう。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、各受信装置がそれぞれデータ信号の伝搬路補償に用いるべき復調用パイロット信号の位置を特定する制御情報を送信装置から通知しなくても受信装置が自装置宛の復調用パイロット信号を取得することができる無線通信システム、送信装置、受信装置、送信制御方法、受信制御方法、送信制御プログラム、及び、受信制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明は、複数の送信アンテナを備えた送信装置において、複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を基に生成した前記複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する無線通信システムであって、前記送信装置は、空間多重したデータ信号と、伝搬路推定用の直交パイロット信号とを送信し、前記受信装置は、前記送信装置から送信された信号を受信し、受信した前記パイロット信号のうち、所望のパイロット信号を自律的に検出して伝搬路推定を行うことを特徴とする無線通信システムである。
【0013】
(2)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記複数の受信装置宛の送信データ信号は、各受信装置宛の希望信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に施されて生成され、前記伝搬路変動に関する情報を基に生成された送信ウェイトを乗算されて送信されることを特徴とする。
【0014】
(3)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記複数の受信装置宛の送信データ信号が逐次的に生成される順序と、前記送信データ信号が前記送信ウェイトも含めた等価伝搬路へ向けて送信される際の送信アンテナは関連付けられていることを特徴とする。
【0015】
(4)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記パイロット信号は、前記送信ウェイトが乗算されて送信されることを特徴とする。
【0016】
(5)また、本発明は、上記の通信システムにおいて、前記受信装置は、受信パイロット信号の電力を測定し、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行うことを特徴とする。
【0017】
(6)また、本発明は、複数の送信アンテナを備え、複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する送信装置であって、複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を受信する手段と、前記伝搬路変動に関する情報を基に送信ウェイトを算出する手段と、前記複数の受信装置宛の希望データ信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に行って送信データ信号を生成する手段と、前記減算処理を逐次的に行う際の順序と生成された送信データ信号が送信されるアンテナを関連付ける制御手段と、直交化した伝搬路推定用のパイロット信号を生成する手段と、前記送信信号と前記パイロット信号に前記送信ウェイトを乗算する手段と、前記送信ウェイトが乗算された前記送信信号及び前記パイロット信号を送信する手段と、を備えることを特徴とする送信装置である。
【0018】
(7)また、本発明は、複数の送信アンテナを備え複数の受信装置宛の送信データ信号を同一リソースで空間多重し伝搬路推定用のパイロット信号とともに送信する送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、前記送信装置から送信された信号を受信する手段と、受信パイロット信号の電力を測定する手段と、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う手段と、
を備えることを特徴とする受信装置である。
【0019】
(8)また、本発明は、複数の送信アンテナを備え、複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する送信装置における送信制御方法であって、前記送信装置が、複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を受信する過程と、前記送信装置が、前記伝搬路変動に関する情報を基に送信ウェイトを算出する過程と、前記送信装置が、前記複数の受信装置宛の希望データ信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に行って送信データ信号を生成する過程と、前記送信装置が、前記減算処理を逐次的に行う際の順序と生成された送信データ信号が送信されるアンテナを関連付ける制御過程と、前記送信装置が、直交化した伝搬路推定用のパイロット信号を生成する過程と、前記送信装置が、前記送信信号と前記パイロット信号に前記送信ウェイトを乗算する過程と、前記送信装置が、前記送信ウェイトが乗算された前記送信信号及び前記パイロット信号を送信する過程と、を有することを特徴とする送信制御方法である。
【0020】
(9)また、本発明は、上複数の送信アンテナを備え複数の受信装置宛の送信データ信号を同一リソースで空間多重し伝搬路推定用のパイロット信号とともに送信する送信装置から送信された信号を受信する受信装置における受信制御方法であって、前記受信装置が、前記送信装置から送信された信号を受信する過程と、前記受信装置が、受信パイロット信号の電力を測定する過程と、前記受信装置が、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う過程と、を有することを特徴とする受信制御方法である。
【0021】
(10)また、本発明は、複数の送信アンテナを備え、複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する送信装置のコンピュータを、複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を受信する手段、前記伝搬路変動に関する情報を基に送信ウェイトを算出する手段、前記複数の受信装置宛の希望データ信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に行って送信データ信号を生成する手段、前記減算処理を逐次的に行う際の順序と生成された送信データ信号が送信されるアンテナを関連付ける制御手段、
直交化した伝搬路推定用のパイロット信号を生成する手段、前記送信信号と前記パイロット信号に前記送信ウェイトを乗算する手段、前記送信ウェイトが乗算された前記送信信号及び前記パイロット信号を送信する手段、として機能させる送信制御プログラムである。
【0022】
(11)また、本発明は、複数の送信アンテナを備え複数の受信装置宛の送信データ信号を同一リソースで空間多重し伝搬路推定用のパイロット信号とともに送信する送信装置から送信された信号を受信する受信装置のコンピュータを、前記送信装置から送信された信号を受信する手段、受信パイロット信号の電力を測定する手段、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う手段、として機能させる受信制御プログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、MU−MIMO伝送を行う無線通信システムにおいて、各受信装置がそれぞれデータ信号の伝搬路補償に用いるべき復調用パイロット信号の位置を特定する制御情報を送信装置から通知しなくても受信装置が自装置宛の復調用パイロット信号を自律的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムを示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施形態に係るパイロット信号の配置を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】本実施形態に係るパイロット信号の配置を示す概略図である。
【図8】本実施形態に係る端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る無線通信システムを示す概略図である。
【図10】本実施形態に係る基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図11】本実施形態に係る端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図12】本発明の変形例に係る端末装置n宛の信号の配置を示す概略図である。
【図13】本発明の別の変形例に係る端末装置n宛の信号の配置を示す概略図である。
【図14】従来技術に係るパイロット信号の配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0026】
<無線通信システムについて>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムを示す概略図である。この図は、Tomlinson−Harashima Precodingを用いたMU−MIMO(THP MU−MIMO)伝送を行う無線通信システムの図である。
この図において、基地局装置1は、複数の端末装置n(n=A、B、C、・・・)各々に宛てた所望のデータ信号から既知の干渉信号を逐次減算する。基地局装置1は、減算後の信号に線形ウェイト(送信ウェイト)を乗算し、乗算後の信号を、複数の送信アンテナTk(k=1〜4;kを送信アンテナ識別情報という)を用いて空間多重して送信する。このデータ信号には、基地局装置1及び端末装置nが、その波形を予め記憶する復調用パイロット信号が付加されて送信される。
端末装置nは、受信した全パイロット信号に基づいて、自身宛の復調用パイロット信号が等価的にどのアンテナから送信されたか、つまり空間対応情報を検出し、検出した空間対応情報を基に自身が用いるべきパイロット信号の位置を検出して伝搬路推定を行う。
なお、本実施形態では、端末装置n各々を端末装置1mという。また、本実施形態では、基地局装置1が4本の送信アンテナT1〜T4を備え、4個の端末装置A〜Dと通信を行う場合について説明をする。
【0027】
<基地局装置1について>
図2は、本実施形態に係る基地局装置1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、基地局装置1は、受信アンテナ101、無線部102、A/D(アナログ/デジタル)部103、受信部104、係数算出部105、干渉生成部106、変調部111、P/S(並直列)部112、干渉減算部113、modulo(剰余)部114、S/P(直並列)部115、送信ウェイト乗算部116を含んで構成される。また、基地局装置1は、送信アンテナT1〜4各々に対する構成として、バッファ117−1〜117−4、S/P部118−1〜118−4、パイロット信号生成部119、送信ウェイト乗算部120、パイロット多重部121−1〜121−4、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)部122−1〜122−4、P/S部123−1〜123−4、GI(Guard Interval;ガードインターバル)挿入部124−1〜124−4、D/A(デジタル/アナログ)部125−1〜125−4、無線部126−1〜126−4、及び、送信アンテナT1〜T4を含んで構成される。
【0028】
無線部102は、受信アンテナ101を介して、端末装置1mからの無線信号を受信する。無線部102は、受信した無線信号をベースバンド帯域にダウンコンバージョンし、A/D部103に出力する。
A/D部103は、無線部102から入力された信号をアナログデジタル変換して、変換後の信号を受信部104に出力する。
受信部104は、A/D部103から入力された信号を復調する。受信部104は、復調した情報から、基地局装置1と端末装置A〜Dの受信アンテナ各々と送信アンテナT1〜4各々との伝搬路状態を示す伝搬路状態情報(Channel State Information;CSIという)であって、端末装置A〜D各々が推定したCSI(CSIは、伝搬路推定値を含む情報)を抽出する。受信部104は、抽出したCSIを係数算出部105に出力する。
【0029】
係数算出部105は、受信部104から入力されたCSIから伝搬行列Hを生成する。ここで、伝搬行列Hのn行k列要素hnk(n=1〜4(A〜D)、k=1〜N)は、送信アンテナ識別情報kの送信アンテナTkと端末装置nとの間の伝搬路推定値である。なお、このnの並び順(オーダリング順位という)は予め基地局装置1が決定する。例えば、基地局装置1は、このオーダリング順位をCSIに基づいて(CSIの絶対値が大きい端末装置nの順又は低い端末装置nの順に)決定するといったことができる。
係数算出部105は、生成した伝搬行列Hの複素共役転置行列HをQR分解して、行列R及び線形フィルタ(行列Q)を算出する。QR分解とは、行列をユニタリ行列Qと上三角行列Rに分解することである。
係数算出部105は、算出した行列Rを示す情報を干渉生成部106に出力し、算出した線形フィルタを送信ウェイト乗算部116及び送信ウェイト乗算部124に出力する。
【0030】
干渉生成部106は、係数算出部105から入力された情報が示す行列Rを用いて、端末装置n宛の信号xに対する干渉信号fを逐次生成する。具体的には、干渉生成部106は、行列Rを用いて、干渉係数行列B={diag(R)}−1−Iを算出する。また、干渉生成部106は、modulo部114から入力された端末装置nより上にオーダリングされた全ての端末装置宛のModulo演算後の信号を成分とするベクトルv’に干渉係数行列Bを乗算することで、干渉信号fを生成する。例えば、干渉信号f、fは、f=B(v’,v’,0,0)、f=B(v’,v’,v’,0)で表される。干渉生成部106は、生成した干渉信号fを干渉減算部113に出力する。
【0031】
変調部111は、各端末装置1m宛のデータビットが入力される。変調部111は、入力されたデータビットを変調し、変調後の各端末装置1m宛の信号をP/S部112に出力する。
P/S部112は、変調部111から入力された各端末装置1m宛の信号を直列変換する。P/S部112は、直列変換によって、オーダリング順位が示す端末装置nの順(干渉処理順Nという;本実施形態では、例えば、N=1が端末装置A、N=2が端末装置B)に並び替えた信号を、干渉減算部113に出力する。なお、図2中の変調部111からP/S部112に向かう4個の矢印は、それぞれ、端末装置A〜D宛の信号系列を示す。なお、この並び替えは、変調信号分(サブキャリア数×データシンボル数)だけ行われる。
【0032】
干渉減算部113は、P/S部112から端末装置n宛の信号xが入力されると、端末装置n宛の信号から、干渉生成部106から入力された干渉信号fを減算し、減算後の干渉除去信号vをmodulo部114に出力する。なお、干渉処理順がN=1番目の信号(端末装置A宛の信号)については、干渉減算部113は、減算を行わず、そのままmodulo演算部に出力する。
この処理を全てのnについて順に繰り返した後の送信信号ベクトルv’は次式(3)で表される。
【0033】
【数3】

【0034】
ここで、行列Iは単位行列であり、Modτ(v)は次式(5)で表されるModulo演算を表している。
【0035】
【数4】

【0036】
ここで、v、v’はそれぞれModulo演算前後の変調シンボルを表す。また、jは虚数単位、Re(v)はvの実部を表し、Im(v)はvの虚部を表す。また、floor(z)はzを超えない最大の整数を表す。なお、τは信号xに施された変調の変調方式によって決まる定数である。例えば、QPSK(quadrature phase−shift keying;四位相偏移変調)ではτ=2√2、16QAM(Quadrature amplitude modulation;直交振幅変調)では、τ=8/√10、64QAMではτ=16/√42である。
modulo部114は、干渉減算部113から入力された干渉除去信号vに対して、Modulo演算(剰余演算)を行い、演算後の剰余信号v’を、干渉生成部106及びS/P部115に出力する。
【0037】
ここで、干渉生成部106、干渉減算部113、及びmodulo部114が行う処理の動作について詳細を説明する。
まず、干渉生成部106は、係数算出部105から干渉係数行列Bが入力され、干渉減算部113が処理を行った端末装置A(端末装置Aの干渉処理順N=1)宛の剰余信号v’が入力される。干渉生成部106は、端末装置B(端末装置Bの干渉処理順N=2)宛の信号xに対する干渉信号f=B(v’,0,0,0)を算出して、干渉減算部113に出力する。干渉減算部113は、干渉除去信号v=x−fを算出してmodulo部114に出力する。modulo部114は、v’=Modτ(v)を算出して干渉生成部106及びS/P部115に出力する。
干渉生成部106は、端末装置C(端末装置Cの干渉処理順N=3)宛の信号xに対する干渉信号f=B(v’,v’,0,0)を算出して、干渉減算部113に出力する。干渉減算部113は、干渉除去信号v=x−fを算出してmodulo部114に出力する。modulo部114は、v’=Modτ(v)を算出して干渉生成部106及びS/P部115に出力する。
干渉生成部106は、端末装置D(端末装置Dの干渉処理順N=4)宛の信号xに対する干渉信号f=B(v’,v’,v’,0)を算出して、干渉減算部113に出力する。干渉減算部113は、干渉除去信号v=x−fを算出してmodulo部114に出力する。modulo部114は、v’=Modτ(v)を算出して干渉生成部106及びS/P部115に出力する。
干渉生成部106、干渉減算部113、及びmodulo部114が行う上記の処理は、信号x毎に逐次的に行われる。
【0038】
S/P部115は、modulo部114から入力された信号を直並列変換することによって、各端末装置n宛の剰余信号v’に分割して送信ウェイト乗算部116に出力する。ここで、S/P部115は、剰余信号v’を、modulo部114からの入力順(P/S部112が並び替えた順序)に送信アンテナT1〜T4を用いて送信する信号として送信ウェイト乗算部116に出力する。
送信ウェイト乗算部116は、係数算出部105から入力された線形フィルタを、S/P部115から入力された剰余信号v’に乗算する。乗算後の信号skは、次式(6)で表される。
【0039】
【数5】

【0040】
送信ウェイト乗算部116は、信号skを、送信に用いる送信アンテナTk毎に、バッファ117−kに出力する。
バッファ117−kは、信号sを、1OFDMシンボル分(例えば、4サブキャリア分)入力されるまで保持する。バッファ117−kは、1OFDMシンボル分の信号sが入力されると、信号列sをS/P部118−kに出力する。
S/P部118−kは、バッファ117−kから入力された信号列sを直並列変換することによって、1OFDMシンボルの信号Sを同時にパイロット多重部119−kに出力する。
【0041】
パイロット信号生成部119は、予め記憶する復調用パイロット信号を送信アンテナTk毎に選択し、選択した送信アンテナTk毎の復調用パイロット信号pを送信ウェイト乗算部120に出力する。
送信ウェイト乗算部120は、係数算出部105から入力された線形フィルタを、パイロット信号生成部119から入力された復調用パイロット信号pに乗算する。送信ウェイト乗算部120は、送信ウェイト乗算後のパイロット信号p’を、それぞれ、パイロット多重部121−kに出力する。
【0042】
パイロット多重部121−kは、送信ウェイト乗算部120から入力されたパイロット信号p’と、S/P部118−kから入力された信号Sと、を予め定められたマッピング情報に基づいて、時間周波数領域にマッピングする(図3参照)。ここで、パイロット多重部121−kは、パイロット信号p’を、それぞれ異なるサブキャリアにマッピングする。パイロット多重部121−kは、マッピングした信号をIFFT部122−kに出力する。
また、先に述べたように、THP MU−MIMO伝送では、各端末装置において基地局装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定し、CSIとして基地局装置にフィードバックする必要があり、基地局装置はこの伝搬路推定のためのパイロット信号(CSI用パイロット信号)を各端末装置宛に送信する。パイロット多重部121−kでは、このCSI用パイロット信号についても、システムで予め定められたマッピング情報に基づいて、マッピングして送信する。但し、このCSI用パイロット信号は、基地局装置1が送信ウェイトを乗算しないで送信するパイロット信号であり、データ信号に付加して伝送する必要はなく、別フレームで伝送しても良い。
【0043】
IFFT部122−kは、パイロット多重部121−kから入力された信号に対して周波数時間変換を行うことによって、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する。IFFT部122−kは、変換後の信号をP/S部123−kに出力する。
P/S部123−kは、IFFT部122−kから入力された信号を並直列変換して、GI挿入部124−kに出力する。
【0044】
GI挿入部124−kは、P/S部123−kから入力された信号に対して、ガードインターバルを挿入して、D/A部125−kに出力する。
D/A部125−kは、GI挿入部124−kから入力された信号をデジタルアナログ変換して、無線部126−kに出力する。
無線部126−kは、D/A部125−kから入力された信号を、無線周波数帯域にアップコンバートし、アップコンバートした送信信号を、送信アンテナTkを介して送信する。
【0045】
<パイロット信号について>
図3は、本実施形態に係る復調用パイロット信号の配置を示す概略図である。この図において、横軸は時間であり縦軸は周波数である。また、周波数方向はサブキャリア毎に分割され、時間方向は予め定めた時間単位で分割されている(分割された周波数及び時間領域を信号配置領域という)。この図3は、復調用パイロット信号の配置を示す図であって、CSI用パイロット信号の配置は図3に示す配置と同じである必要はない。
図3において、信号配置領域の番号kは、送信アンテナkから送信する復調用パイロット信号p’が配置されていることを示し、番号が付されていない信号配置領域では全端末装置宛のデータ信号が空間多重されて送信されることを示している。この図において、例えば、符号S11を付したシンボルでは、周波数が1番高いサブキャリアに送信アンテナ「1」から送信するパイロット信号p’が配置されている。同様に、符号S11を付したシンボルでは、周波数が2、3、4番目に高いサブキャリアに、それぞれ、送信アンテナ「2」、「3」、「4」から送信するパイロット信号p’、p’、p’が配置されている。
【0046】
基地局装置1から送信されたパイロット信号p’は、次式(7)で表される受信信号yとして、各端末装置で受信される。
【0047】
【数6】

【0048】
サブキャリアk毎の受信信号yは、次式(8)〜(11)で表される。
【0049】
【数7】

【0050】
式(8)〜(11)で表された受信信号を、端末装置n毎の受信信号ベクトルyで表すと、次式(12)で表される。
【0051】
【数8】

【0052】
ただし、受信信号ベクトルyは、サブキャリアgの信号を第g成分とするベクトルである。
式(12)は、干渉処理順N=1の端末装置Aは、パイロット信号pが配置された1個のサブキャリアでのみパイロット信号を検出できることを示す。また、式(12)は、干渉処理順N=2の端末装置Bは、パイロット信号p、 pが配置された2個のサブキャリアでパイロット信号を検出できることを示す。
【0053】
つまり、式(12)は、端末装置nでは、検出したパイロット信号の個数G(パイロット信号数Gという)と、端末装置nの干渉処理順Nと、が一致することを示す。さらに、本発明では干渉処理順Nと所望信号が等価的に送信される送信アンテナ番号kを一致させており、各送信アンテナからは周波数領域で直交化されたパイロット信号が送信されている。したがって、端末装置nでは、観測可能な受信パイロット信号数Gを計数することにより、干渉処理順N及び自身宛の復調用パイロット信号が配置されるサブキャリアを特定することができる。
例えば、端末装置3は、それぞれ、パイロット信号数G=3を検出し、干渉処理順が「3」であり、及び自装置宛の復調用パイロット信号が配置されるサブキャリアがサブキャリア「3」であることを特定する。そして、このサブキャリア3で受信されたパイロット信号を用いて伝搬路推定を行うこととなる。
【0054】
図4は、本実施形態に係る端末装置1mの構成を示す概略ブロック図である。この図において、端末装置1mは、受信アンテナR1、無線部101m、A/D部102m、GI除去部103m、S/P部104m、FFT部105m、パイロット分離部106m、電力測定部107m、所望パイロット検出部108m、伝搬路推定部109m、伝搬路補償部110m、modulo部111m、復調部112m、CSI測定部121m、送信部122m、D/A部123m、無線部124m、及び送信アンテナ125mを含んで構成される。
【0055】
無線部101mは、基地局装置1からの送信信号を、受信アンテナR1を介して受信する。無線部101mは、受信した受信信号を、ベースバンド帯域にダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号をA/D部102mに出力する。
A/D部102mは、無線部101mから入力された信号をアナログデジタル変換して、GI除去部103mに出力する。
GI除去部103mは、A/D部102mから入力された信号から、ガードインターバルを除去し、S/P部104に出力する。
【0056】
S/P部104は、GI除去部103mから入力された信号を直並列変換して、FFT部105に出力する。
FFT部105は、S/P部104から入力された信号に対して、時間周波数変換を行うことによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。FFT部105は、変換後の信号をパイロット分離部106mに出力する。
【0057】
パイロット分離部106mは、FFT部105から入力された信号を、予めシステムで定められたマッピング情報に基づいて、デマッピングする。
パイロット分離部106mは、デマッピングによって抽出したパイロット信号を電力測定部107mに出力する。また、パイロット分離部106mは、デマッピングによって抽出したパイロット信号以外の信号、つまりデータ信号を伝搬路補償部110mに出力する。具体的には、図3に示す信号の場合、パイロット分離部106mは、1番目のOFDMシンボルの各サブキャリアに配置された信号を電力測定部107m及び伝搬路推定部110mに出力し、2番目〜5番目のOFDMシンボルの各サブキャリアに配置された信号を伝搬路補償部110mに出力する。
また、パイロット分離部106mは、デマッピングによってCSI用パイロット信号を抽出する。パイロット分離部106mは、抽出したCSI用パイロット信号をCSI測定部121mに出力する。但し、このCSI用パイロット信号は別フレームで伝送される場合もあり、周波数領域での配置も復調用パイロット信号とは異なる場合がある。
【0058】
電力測定部107mは、パイロット分離部106mから入力された各復調用パイロット信号の振幅を2乗して、この信号の電力を算出する。電力測定部107mは、算出した電力と予め定められた閾値とを比較して、閾値以上の復調用パイロット信号の個数Gを計数する。電力測定部107mは、計数したパイロット信号数Gを示す情報を、所望パイロット検出部108mに出力する。また、電力測定部107mは、パイロット分離部106mから入力された各復調用パイロット信号をそのまま所望パイロット検出部108mに出力する。
【0059】
所望パイロット検出部108mは、電力測定部107mから入力されたパイロット信号数Gとマッピング情報に基づいて、自身が伝搬路推定に用いるべきサブキャリアを特定する。所望パイロット検出部108mは、特定されたサブキャリアに配置されたパイロット信号を抽出して、伝搬路推定部109mに出力する。例えば、式(12)で表される信号を受信したとき、端末装置A〜Dの所望パイロット検出部108mは、それぞれ、pA1、pB2、pC3、pD4を、伝搬路推定部109mに出力する。
【0060】
伝搬路推定部109mは、所望パイロット検出部108mから入力されたパイロット信号を用いて伝搬路推定値を推定する。具体的には、伝搬路推定部109mは、パイロット信号を予め記憶するパイロット信号で除算する。例えば、式(12)で表される信号を受信したとき、端末装置A〜Dの伝搬路推定部109mは、それぞれ、rA1、rB2、rC3、rD4を伝搬路推定値として推定する。伝搬路推定部109mは、推定した伝搬路推定値を伝搬路補償部110mに出力する。
【0061】
伝搬路補償部110mは、パイロット分離部106mから入力されたデータ信号に対して、伝搬路推定部109mから入力された伝搬路推定値を除算することで、伝搬路補償する。
伝搬路補償部110mは、伝搬路補償した信号をmodulo部111mに出力する。
【0062】
modulo部111mは、伝搬路補償部110mから入力された信号に対して、式(5)に示したModulo演算を行う。modulo部111mは、演算後の信号を復調部112mに出力する。
復調部112mは、modulo部111mから入力された信号を復調する。復調部112mは、復調後のデータビットを出力する。
【0063】
CSI測定部121mは、パイロット分離部106mから入力されたCSI用パイロット信号を用いて、基地局装置1の各送信アンテナTkと自装置の送信アンテナR1との間の伝搬路について、伝搬路推定値を推定する。CSI測定部121mは、推定した伝搬路推定値を含むCSIを送信部122に出力する。
送信部122は、CSI測定部121mから入力されたCSIを変調する。送信部122は、変調した信号をD/A部123mに出力する。
D/A部123mは、送信部122から入力された信号をデジタルアナログ変換して、変換後の信号を無線部124mに出力する。
無線部124mは、D/A部123mから入力された信号を、無線周波数帯域にアップコンバートし、アップコンバートした送信信号を、送信アンテナ125mを介して送信する。
【0064】
このように、本実施形態によれば、基地局装置1は、空間多重したデータ信号と、伝搬路推定用の直交パイロット信号とを送信し、端末装置nは、基地局装置1から送信された信号を受信し、受信したパイロット信号のうち、所望のパイロット信号を自律的に検出して伝搬路推定を行う。これにより、本実施形態では、各端末装置nが用いるべき復調用のパイロット信号の位置を基地局装置1から各端末装置nに通知しない場合でも、各端末装置nが自律的に所望のパイロット信号位置を抽出して復調に用いることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、複数の端末装置n宛の送信データ信号が逐次的に生成される順序と、送信データ信号が送信ウェイトも含めた等価伝搬路へ向けて送信される際の送信アンテナは関連付けられている。これにより、端末装置がある程度の電力で受信可能な復調用パイロット信号の数が、各端末装置のオーダリング順位によって異なってくることとなり、各端末装置がその数を計数することにより自身のオーダリング順位を把握することができる。
また、本実施形態によれば、パイロット信号は、送信ウェイトが乗算されて送信される。これにより、復調用のパイロット信号がデータ信号と全く同じ伝搬路を経由して各端末で受信されるようにすることができる。
また、本実施形態によれば、前記受信装置は、受信パイロット信号の電力を測定し、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う。これにより、本実施形態では、各端末装置nが用いるべき復調用のパイロット信号の位置を基地局装置1から各端末装置nに通知しない場合でも、各端末装置nが自律的に所望のパイロット信号位置を抽出して復調に用いることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、予め定めたオーダリング順位に基づいて、オーダリング順位の高い端末装置n宛の信号がオーダリング順位の低い端末装置n宛の信号による干渉を受けないように信号を送信する。端末装置nでは、基地局装置1から受信したパイロット信号数に基づいて、オーダリング順位(干渉処理順N)を検出する。これにより、本実施形態では、端末装置nは、検出したオーダリング順位に基づいて、自装置宛のパイロット信号を抽出することができ、抽出したパイロット信号を用いて伝搬路推定を行うことができる。
【0067】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、干渉除去順をA、B、C、Dとする場合についての例を示したが、この干渉除去順は必ずしも固定されるものではなく、この順序関係を適宜変更することが考えられる。本実施形態では、順序関係を適宜変更する場合について説明をする。
なお、本実施形態に係る無線通信システムを示す概略図は、第1の実施形態(図1)と同じである。また、本実施形態に係る端末装置nの構成は、第1の実施形態(図4)と同じである。第1の実施形態と同じ図の説明は省略する。
以下、本実施形態に係る基地局装置を基地局装置2という。
【0068】
<基地局装置2について>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置2の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る基地局装置2(図5)と第1の実施形態に係る基地局装置1(図2)とを比較すると、係数算出部205、及びP/S部212が異なる。しかし、他の構成要素(受信アンテナ101、無線部102、A/D部103、受信部104、干渉生成部106、変調部111、干渉減算部113、modulo部114、S/P部115、送信ウェイト乗算部116、バッファ117−1〜117−4、S/P部118−1〜118−4、パイロット信号生成部119、送信ウェイト乗算部120、パイロット多重部121−1〜121−4、IFFT部122−1〜122−4、P/S部123−1〜123−4、GI挿入部124−1〜124−4、D/A部125−1〜125−4、無線部126−1〜126−4、及び、送信アンテナT1〜T4)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0069】
係数算出部205は、受信部104から入力されたCSIから伝搬行列Hを生成し、生成した伝搬行列Hの複素共役転置行列HをQR分解する。但し、係数算出部205は、列を入れ替えた伝搬行列Hの組み合わせを全て生成し、それぞれの複素共役転置行列HをQR分解する。係数算出部205は、QR分解をして取得した行列Rの対角成分の値について平均値を算出する。なお、行列Rの対角成分(n行n列)が大きい場合、端末装置nでの受信信号のSNRも大きくなる。
【0070】
係数算出部205は、算出した平均値が最も大きい行列Rを選択し、この行列RとQR分解の対の行列Qを選択する。また、係数算出部205は、この場合の干渉処理順Nを示す情報を生成する。また、係数算出部205は、干渉処理順Nに応じてRとQを並び替え、並び替えた行列R(行列R’)を示す情報を干渉生成部106に出力し、並び替えた行列Q(行列Q’;線形フィルタ)を送信ウェイト乗算部116及び送信ウェイト乗算部124に出力する。また、係数算出部205は、生成した干渉処理順Nを示す情報をP/S部212に出力する。
【0071】
P/S部212は、変調部111から入力された各端末装置1m宛の信号を直列変換する。P/S部112は、直列変換によって、係数算出部205から入力された情報が示す干渉処理順Nに並び替えた信号を、干渉減算部113に出力する。
【0072】
例えば、干渉処理順NがB、C、A、Dの順序のときに行列R(式(4)の行列Rとする)の対角成分の平均値が最大になる場合、並び替え後の行列R’の複素共役転置行列R’は、次式(13)で表される。
【0073】
【数9】

【0074】
式(13)の場合、P/S部212は、端末装置B、C、A、Dの順序に並び替えた信号を、干渉減算部113に出力する。また、この場合、S/P部115は、剰余信号v’、v’、v’、v’を、それぞれ、送信アンテナT1、T2、T3、T4を用いて等価的に送信する信号として出力する。
基地局装置1から送信された信号p’は、次式(14)で表される受信信号yとして、各端末装置nに受信される。
【0075】
【数10】

【0076】
式(13)のR’の場合、サブキャリアk毎の受信信号yは、次式(15)〜(18)で表される。
【0077】
【数11】

【0078】
式(15)〜(18)で表された受信信号を、端末装置n毎の受信信号ベクトルyで表すと、次式(19)で表される。
【0079】
【数12】

【0080】
式(19)は、干渉処理順N=1の端末装置Bは、パイロット信号p’が配置された1個のサブキャリアでのみパイロット信号を検出できることを示す。また、式(19)は、干渉処理順N=2の端末装置Cは、パイロット信号p’、 p’が配置された2個のサブキャリアでパイロット信号を検出できることを示す。
【0081】
つまり、式(19)は、端末装置nでは、検出したパイロット信号の個数と、干渉処理順Nと、が一致することを示しており、各端末装置は自律的に自身宛の信号が基地局装置で処理された順序を検出することができる。この干渉処理順と、送信アンテナは関連付けられているため、周波数領域で直交化されているパイロット信号のうち、各端末装置が用いるべき復調用パイロット信号を抽出することができる。
【0082】
このように、本実施形態によれば、基地局装置において適応的にオーダリング順位が変更される場合においても、各端末装置は、受信したパイロット信号数に基づいて自身のオーダリング順位を検出することにより、オーダリング順位と関連付けられた送信アンテナ番号を把握することができ、さらに、復調に用いるべきパイロット信号の位置を検出することが可能となる。
【0083】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。
上記第1、2の実施形態では、復調用パイロット信号を周波数領域で直交するように配置する場合について説明をした。本実施形態では、時間領域で直交するように配置する。
なお、本実施形態に係る無線通信システムを示す概略図は、第1の実施形態(図1)と同じであるので、説明は省略する。
以下、本実施形態に係る基地局装置を基地局装置3といい、端末装置A〜D各々を端末装置3mという。
【0084】
<基地局装置3について>
図6は、本発明の第3の実施形態に係る基地局装置3の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る基地局装置3(図6)と第1の実施形態に係る基地局装置1(図2)とを比較すると、パイロット多重部321−1〜421−4が異なる。しかし、他の構成要素(受信アンテナ101、無線部102、A/D部103、受信部104、係数算出部105、干渉生成部106、変調部111、P/S部112、干渉減算部113、modulo部114、S/P部115、送信ウェイト乗算部116、D/A部125−1〜125−4、無線部126−1〜126−4、及び、送信アンテナT1〜T4)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0085】
パイロット多重部321−kは、送信ウェイト乗算部120から入力された復調用パイロット信号p’と、S/P部118−kから入力された信号Sと、をシステムで予め定められたマッピング情報に基づいて、時間周波数領域にマッピングする(図3参照)。ここで、パイロット多重部321−kは、パイロット信号p’を、それぞれ異なる時間領域にマッピングする。パイロット多重部321−kは、マッピングした信号をIFFT部122−kに出力する。
また、パイロット多重部321−kは、CSI用パイロット信号を、システムで予め定められたマッピング情報に基づいてマッピングするが、CSI用パイロット信号の配置は復調用パイロット信号の配置と必ずしも同じである必要はない。
【0086】
<パイロット信号について>
図7は、本実施形態に係る復調用パイロット信号の配置を示す概略図である。この図において、横軸は時間であり縦軸は周波数である。また、時間方向は予め定めた時間単位(シンボル単位;信号配置領域)で分割されている。また、この図は1フレーム(8シンボル)内での信号の配置を示す図である。
図4は、k(シンボル番号という)番目(k=1〜4)のシンボルには復調用パイロット信号p’が配置されていることを示す。これらのシンボルに記載した番号kは、送信アンテナkから送信するパイロット信号p’が配置されていることを示す。また、この図は、5番目から8番目のシンボルには信号配置領域にはデータ信号が配置されることを示す。
【0087】
基地局装置3から送信された信号p’は、次式(20)で表される受信信号yとして、各端末装置nに受信される。
【0088】
【数13】

【0089】
k(k=1〜4)番目のシンボルに配置された受信パイロット信号yは、次式(21)〜(24)で表される。
【0090】
【数14】

【0091】
式(21)〜(24)で表された受信パイロット信号を、端末装置n毎の受信パイロット信号ベクトルyで表すと、次式(25)で表される。
【0092】
【数15】

【0093】
ただし、受信パイロット信号ベクトルyは、k番目のシンボルの信号を第k成分とするベクトルである。
式(25)は、干渉処理順N=1の端末装置Aは、パイロット信号p’が配置された1番目のシンボルでのみパイロット信号を検出することを示す。また、式(25)は、干渉処理順N=2の端末装置Bは、パイロット信号p’、 p’が配置された2個のシンボルでパイロット信号を検出することを示す。
【0094】
つまり、式(13)は、端末装置nでは、検出したパイロット信号の個数Gと、干渉処理順Nと、が一致することを示す。さらに、干渉処理順Nと所望信号が送信されるアンテナ番号とは対応付けられており、各アンテナからは時間領域で直交化されたパイロット信号が送信されるため、各端末装置は、自身が復調に用いるべきパイロット信号が配置されたシンボルを検出し、伝搬路推定できることがわかる。
このように、各端末装置では、パイロット信号数Gを計数することにより、干渉処理順N及び自身宛のパイロット信号が配置されるシンボル番号を特定することができる。
【0095】
<端末装置3mについて>
図8は、本実施形態に係る端末装置3mの構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る端末装置3m(図8)と第1の実施形態に係る端末装置1m(図4)とを比較すると、パイロット分離部306m、所望パイロット検出部308m、及び、伝搬路補償部310mが異なる。しかし、他の構成要素(受信アンテナR1、無線部101m、A/D部102m、電力測定部107m、伝搬路推定部109m、modulo部111m、復調部112m、CSI測定部121m、送信部122m、D/A部123m、無線部124m、及び送信アンテナ125m)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0096】
パイロット分離部306mは、FFT部105から入力された信号を、予めシステムで定められたマッピング情報に基づいて、デマッピングする。
パイロット分離部306mは、デマッピングによって抽出した復調用パイロット信号を電力測定部307mに出力する。また、パイロット分離部306mは、デマッピングによって抽出したパイロット信号以外の信号を伝搬路補償部310mに出力する。具体的には、図7に示す信号の場合、パイロット分離部306mは、フレーム中の1番目から4番目のシンボルに配置された信号を電力測定部307m及び伝搬路推定部310mに出力し、5番目から8番目のシンボルに配置された信号を伝搬路補償部310mに出力する。
また、パイロット分離部306mは、デマッピングによってCSI用パイロット信号を抽出する。パイロット分離部306mは、抽出したCSI用パイロット信号をCSI測定部121mに出力する。
【0097】
所望パイロット検出部308mは、電力測定部107mから入力されたパイロット信号数とマッピング情報に基づいて、送信アンテナTから送信されたパイロット信号を抽出して、伝搬路推定部109mに出力する。例えば、式(25)で表される信号を受信したとき、端末装置A〜Dの所望パイロット検出部308mは、それぞれ、pA1、pB2、pC3、pD4を、伝搬路推定部109mに出力する。
【0098】
伝搬路推定部109mでは伝搬路推定を行い、伝搬路補償部310mでは、伝搬路推定部109mにおいて推定された伝搬路推定値を用いてデータ信号の伝搬路補償が行われる。
伝搬路補償部310mは、伝搬路補償した信号をmodulo部111mに出力する。
【0099】
このように、本実施形態によれば、基地局装置3は、時間領域で直交するパイロット信号を、各送信アンテナから送信し、端末装置は、受信したパイロット信号数に基づいて、自身のオーダリング順位を検出する。これにより、各端末装置は、オーダリング順位と関連付けられた送信アンテナ番号を把握することができ、さらに自信が用いるべきパイロット信号の位置も検出することができる。
【0100】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。
上記各実施形態では、端末装置が1個のアンテナを備える場合について説明をした。本実施形態では、端末装置が複数個のアンテナを備える場合について説明をする。また、本実施形態では、基地局装置は、同じ端末装置宛に複数の信号系列(ストリーム)の信号を送信する。ここで、基地局装置は、ある端末装置宛の信号から他の端末装置宛の信号を減算して送信するが、同じ端末装置宛の信号を減算せずに送信する。
【0101】
<無線通信システムについて>
図9は、本実施形態に係る無線通信システムを示す概略図である。この図は、THP MU−MIMO伝送を行う無線通信システムの図である。
この図において、基地局装置4は、複数の端末装置n(n=A、B)宛に信号を送信する。端末装置nは、2個の受信アンテナRtn(t=1,2:tを受信アンテナ識別情報という)を用いて基地局装置4からの信号を受信する。
【0102】
<基地局装置4について>
図10は、本発明の第4の実施形態に係る基地局装置4の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る基地局装置4(図10)と第1の実施形態に係る基地局装置1(図2)とを比較すると、係数算出部405、及びP/S部412が異なる。しかし、他の構成要素(受信アンテナ101、無線部102、A/D部103、受信部104、干渉生成部106、変調部111、干渉減算部113、modulo部114、S/P部115、送信ウェイト乗算部116、バッファ117−1〜117−4、S/P部118−1〜118−4、パイロット信号生成部119、送信ウェイト乗算部120、パイロット多重部121−1〜121−4、IFFT部122−1〜122−4、P/S部123−1〜123−4、GI挿入部124−1〜124−4、D/A部125−1〜125−4、無線部126−1〜126−4、及び、送信アンテナT1〜T4)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
また、本実施形態では、基地局装置4が、送信アンテナT1、T2を用いて端末装置A宛の信号を送信し、送信アンテナT3、T4を用いて端末装置B宛の信号を送信する場合について説明をする。
【0103】
係数算出部405は、受信部104から入力されたCSIから伝搬行列Hを生成する。この伝搬行列Hは、次式(26)で表される。
【0104】
【数16】

【0105】
ここで、伝搬行列Hは、基地局装置と端末装置Aの受信アンテナRtAとの間の伝搬路の伝搬行列であり、t行k列要素htk(t=1、2、k=1〜4)は、送信アンテナTkと受信アンテナ識別情報tの受信アンテナRtAとの伝搬路推定値である。また、伝搬行列Hは、基地局装置と端末装置Bの受信アンテナRtBとの間の伝搬路の伝搬行列であり、t行k列要素htk(t=1、2、k=1〜4)は、送信アンテナTkと受信アンテナ識別情報tの受信アンテナRtBとの伝搬路推定値である。
【0106】
係数算出部405は、伝搬行列Hを特異値分解する。この特異値分解は、次式(27)で表される。
【0107】
【数17】

【0108】
ここで、行列U及び行列Vはユニタリ行列であり、行列Σの1行1列成分及び2行2列成分は正の実数である。
係数算出部405は、Vの1列目と2列目からなる行列VAL、及び、Vの3列目と4列目からなる行列VARを生成する。なお、端末装置A宛の信号と端末装置B宛の信号とからなる信号ベクトルに、基地局装置4が行列VARを乗算することにより、端末装置B宛の信号が端末装置Aに届かなくなる。
【0109】
係数算出部405は、伝搬行列Hに行列VARを乗算した行列を、特異値分解する。この特異値分解は、次式(28)で表される。
【0110】
【数18】

【0111】
ここで、行列U及び行列Vはユニタリ行列であり、行列Σの1行1列成分及び2行2列成分は正の実数である。なお、基地局装置4は、行列Uを端末装置Aに通知し、また、行列Uを端末装置Bに通知する。
係数算出部405は、次式(29)で表される送信ウェイト(行列W)を算出する。
【0112】
【数19】

【0113】
係数算出部405は、算出した送信ウェイトを送信ウェイト乗算部416及び送信ウェイト乗算部424に出力する。
また、係数算出部405は、行列T=HWを算出する。係数算出部405は、算出した行列Tから干渉行列Bを算出する。干渉係数行列Bは、次式(30)で表される。
【0114】
【数20】

【0115】
ここで、T、T、Tは、2行2列の行列である。
係数算出部405は、算出した干渉係数行列Bを、干渉生成部106に出力する。
【0116】
P/S部412は、変調部111から入力された各端末装置A、B宛の信号を直列変換する。ここで、P/S部412は、直列変換によって、端末装置A宛の第1ストリーム(xA1)及び端末装置A宛の第2ストリーム(xA2)、端末装置B宛の第1ストリーム(xB1)及び端末装置B宛の第2ストリーム(xB2)の順に並び替えた信号x(l=A1、A2、B1、B2)、干渉減算部113に出力する。つまり、P/S部412は、干渉処理順Nに従って、端末装置毎の信号を干渉減算部113に出力する。
この場合、S/P部115は、剰余信号vA1’、vA2’、vB1’、vB2’を、それぞれ、送信アンテナT1、T2、T3、T4から等価的に送信する信号として出力する。
【0117】
基地局装置4から送信された復調用パイロット信号p’は、次式(32)で表される受信信号yとして、各端末装置A、Bに受信される。ここで、復調用パイロット信号は第1の実施形態と同様に、周波数領域で直交化されて送信されるものとする。
【0118】
【数21】

【0119】
ここで、受信信号yntは、端末装置nの受信アンテナRtnに受信される受信信号を示す。また、サブキャリアk毎の受信信号yは、次式(33)〜(36)で表される。
【0120】
【数22】

【0121】
式(33)〜(36)で表された受信信号を、端末装置nの受信アンテナRt毎の受信信号ベクトルyで表すと、次式(37)で表される。
【0122】
【数23】

【0123】
ただし、受信信号ベクトルyは、サブキャリアkの信号を第k成分とするベクトルである。
式(37)は、端末装置では、検出したパイロット信号数を2で除算した値と、端末装置の干渉処理順と、が一致することを示す。
【0124】
<端末装置4mについて>
図11は、本実施形態に係る端末装置3mの構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る端末装置4m(図11)と第1の実施形態に係る端末装置1m(図4)とを比較すると、受信フィルタ乗算部413m、パイロット分離部406m、所望パイロット検出部408m、及び、伝搬路補償部410mが異なる。しかし、他の構成要素(電力測定部107m、伝搬路推定部109m、modulo部111m、復調部112m、CSI測定部121m、送信部122m、D/A部123m、無線部124m、及び送信アンテナ125m)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
また、受信アンテナR1t、無線部101tm、A/D部102tm、GI除去部103tm、S/P部104tm、及び、FFT部105tm(t=1、2)が持つ機能は、受信アンテナR1、無線部101m、A/D部102mと同じであるので、説明は省略する。
【0125】
受信フィルタ乗算部413mは、基地局装置4から受信フィルタ(端末装置Aの場合には行列U、端末装置Bの場合には行列U)を通知される。受信フィルタ乗算部413mは、FFT部1051mから入力された信号を第1成分、FFT部1052mから入力された信号を第2成分とする受信信号ベクトルyを生成する。受信フィルタ乗算部413mは、生成した受信信号ベクトルyに受信フィルタを乗算する。乗算後の信号ベクトルは、Σ(ただし、端末装置nの場合にはl=n1、n2)で表される。
受信フィルタ乗算部413mは、乗算後の信号ベクトルの信号をパイロット分離部406mに出力する。
【0126】
パイロット分離部406mは、受信フィルタ乗算部413mから入力された信号を、予めシステムで定められたマッピング情報に基づいて、デマッピングする。パイロット分離部106mは、デマッピングによって抽出した復調用パイロット信号を電力測定部107mに出力する。また、パイロット分離部106mは、デマッピングによって抽出したパイロット信号以外の信号を伝搬路補償部110mに出力する。
【0127】
所望パイロット検出部308mは、電力測定部107mから入力されたパイロット信号数とマッピング情報に基づいて、自身が復調に用いるべきパイロット信号が配置されたサブキャリアを特定する。所望パイロット検出部108mは、所望のパイロット信号を抽出して、伝搬路推定部109mに出力する。例えば、式(37)で表される信号を受信したとき、端末装置Aの所望パイロット検出部108mは、p11、p12、p21、p22を、伝搬路推定部109mに出力する。
なお、伝搬路推定部109mは2行2列の伝搬行列を生成し、伝搬路補償部410mは伝搬路推定部109mが生成した伝搬行列を用いて伝搬路補償を行う。
【0128】
このように、本実施形態によれば、端末装置が複数のアンテナを備える場合にも、各端末装置がある閾値以上の電力で観測可能なパイロット信号を計数することにより、自身の干渉除去順を検出することができ、所望のパイロット信号を抽出することが可能となる。
【0129】
なお、上記各実施形態において、各端末装置nから基地局装置1〜4へのアップリンクの伝送方法はマルチキャリア伝送に限らず、他の伝送方法を用いてもよい。また、基地局装置1〜4では、受信アンテナを1個備える場合について説明したが、本発明はこれに限らず、複数の受信アンテナを備え、アップリンクのMU−MIMO伝送を行う構成としてもよい。
なお、上記第1〜第3の実施形態において、無線通信システムは、基地局装置1〜3と、1個の受信アンテナを備える4個の端末装置nとが通信を行う場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、基地局装置1〜3と、1個の受信アンテナを備える2個の端末装置A、B及び2個の受信アンテナを備える1個の端末装置Cと、が通信を行ってもよい。この場合、端末装置Cの一方のアンテナ宛に送信する信号を、上述の実施形態における端末装置D宛の信号として、処理をすればよい。
【0130】
また、上記第1、2、4の実施形態において、基地局装置1、2、4は、フレーム毎に異なる端末装置n宛の信号を多重してもよい。
図12は、本発明の変形例に係る端末装置n宛の信号の配置を示す概略図である。この図において、横軸は時間であり縦軸は周波数である。また、周波数方向はサブキャリア毎に分割され、時間方向は予め定めた時間単位で分割されている。
図12は、フレーム1では端末装置A、B、C、D宛のデータ信号が多重されていることを示す。また、フレーム2では端末装置C、D、E、F宛のデータ信号が多重されていることを示す。また、フレーム3では端末装置A、C、F、G宛のデータ信号が多重されていることを示す。
このような場合、従来技術では、基地局装置が全てのフレームの時間周波数領域について、各端末装置n宛のパイロット信号の配置を示す制御情報を送信し、端末装置nがこの制御情報に基づいてパイロット信号を抽出していた。しかし、本変形例に係る基地局装置1、2、3、4では、端末装置宛の信号とフレームとの割り当て関係を示す情報のみを送信し、端末装置がこの制御情報に基づいて信号を受信し、自律的にパイロット信号の位置を抽出することができるため、伝送効率の低下を防止することができる。
【0131】
また、上記第1〜3の実施形態において、基地局装置はQR分解の結果に基づいて各端末装置宛の信号を空間多重する場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、線形ウェイト及び干渉係数行列Bを、ZF(Zero Forcing)やMMSE(Minimum Mean Square Error)基準で算出してもよい。この場合、上記第1〜3の実施形態での線形ウェイトとは異なるものとなるが、復調用パイロット信号は、オーダリング順位に応じた数だけ端末装置で受信されることとなる。つまり、ある程度の電力で受信される復調用パイロット信号の数が端末装置のオーダリング順位に応じて異なるため、ZFやMMSE基準のTHP MU-MIMO伝送を行う場合にも、閾値以上の電力で受信されるパイロット信号を計数し、端末装置自身が所望のパイロット信号を検出するという本発明は適用可能である。
【0132】
また、上記第2の実施形態において、基地局装置は、複数のサブチャネルを用いて端末装置宛の信号を多重してもよい。
図13は、本発明の変形例に係る端末装置n宛の信号の配置を示す概略図である。この図において、横軸は時間であり縦軸は周波数である。また、周波数方向はサブキャリア毎に分割され、時間方向は予め定めた時間単位で分割されている。
図13は、周波数領域が4つのサブキャリアからなるサブチャネル1〜3に分割されていることを示す。また、この図において、各サブチャネル1〜3の領域は、端末装置A〜Dに対して割り当てられている。
【0133】
図13において、サブチャネル毎にオーダリング順位が異なってもよく、この場合、ある端末装置が伝搬路推定に用いるパイロット信号を配置する領域(サブキャリア)は、サブチャネル毎に異なる。例えば、端末装置Aがサブチャネル1では3番目にオーダリングされ、サブチャネル2では1番目にオーダリングされ、サブチャネル3では4番目にオーダリングされた場合には、端末装置Aは、サブチャネル1では3番目のサブキャリアのパイロット信号を、サブチャネル2では1番目のサブキャリアのパイロット信号を、サブチャネル3では4番目のサブキャリアのパイロット信号をそれぞれ用いて復調を行う必要がある。しかし、このような場合においても、各端末装置がある程度の電力で受信できる、各サブチャネルのパイロット信号の数は各サブチャネルのオーダリング順位に応じて異なるものとなるため、本発明により、各端末装置が参照すべきパイロット信号をサブチャネル毎に検出することができる。このように、サブチャネルまたは幾つかのサブキャリアをまとめたサブキャリア群毎にオーダリングが異なる場合には、各端末装置にパイロット信号の位置を通知する制御情報が大幅に増加し、伝送効率が大きく低下することが考えられるが、本発明を用いることにより、それらの制御情報を削減することが可能となり、伝送効率の低下を防ぐことができる。 また、第3の実施形態では、無線通信システムがシングルキャリア伝送を行う場合について説明をしたが、マルチキャリア伝送の場合に適用してもよい。
【0134】
また、第4の実施形態において、端末装置nが2個の受信アンテナを備える場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、3個以上であってもよいし、端末装置n各々で異なる個数の受信アンテナを備えてもよい。
【0135】
なお、上述した実施形態における基地局装置1〜4、端末装置1m、3m、4mの一部、例えば、無線部102、A/D部103、受信部104、係数算出部105、205、405、干渉生成部106、変調部111、P/S部112、212、412、干渉減算部113、modulo部114、S/P部115、送信ウェイト乗算部116、S/P部118−1〜118−4、パイロット信号生成部119、送信ウェイト乗算部120、パイロット多重部121−1〜121−4、321−1〜421−4、IFFT部122−1〜122−4、P/S部123−1〜123−4、GI挿入部124−1〜124−4、D/A部125−1〜125−4、無線部126−1〜126−4、無線部101m、A/D部102m、GI除去部103m、S/P部104m、FFT部105m、パイロット分離部106m、306m、406m、電力測定部107m、所望パイロット検出部108m、308m、408m、伝搬路推定部109m、伝搬路補償部110m、310m、410m、modulo部111m、復調部112m、CSI測定部121m、送信部122m、D/A部123m、無線部124m、及び受信フィルタ乗算部413mをコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、基地局装置1〜4、端末装置1m、3m、4mに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における基地局装置1〜4、端末装置1m、3m、4mの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。基地局装置1〜4、端末装置1m、3m、4mの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0136】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0137】
1〜4・・・基地局装置、101・・・受信アンテナ、102・・・無線部、103・・・A/D部、104・・・受信部、105、205、405・・・係数算出部、106・・・干渉生成部、111・・・変調部、112、212、412・・・P/S部、113・・・干渉減算部、114・・・modulo部、115・・・S/P部、116・・・送信ウェイト乗算部、117−1〜117−4・・・バッファ、118−1〜118−4・・・S/P部、119・・・パイロット信号生成部、120・・・送信ウェイト乗算部、121−1〜121−4、321−1〜421−4・・・パイロット多重部、122−1〜122−4・・・IFFT部、123−1〜123−4・・・P/S部、124−1〜124−4・・・GI挿入部、125−1〜125−4・・・D/A部、126−1〜126−4・・・無線部、T1〜T4・・・送信アンテナ
A〜D、1m、3m、4m・・・端末装置、R1・・・受信アンテナ、101m・・・無線部、102m・・・A/D部、103m・・・GI除去部、104m・・・S/P部、105m・・・FFT部、106m、306m、406m・・・パイロット分離部、107m・・・電力測定部、108m、308m、408m・・・所望パイロット検出部、109m・・・伝搬路推定部、110m、310m、410m・・・伝搬路補償部、111m・・・modulo部、112m・・・復調部、121m・・・CSI測定部、122m・・・送信部、123m・・・D/A部、124m・・・無線部、125m・・・送信アンテナ、413m・・・受信フィルタ乗算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信アンテナを備えた送信装置において、複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を基に生成した前記複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する無線通信システムであって、
前記送信装置は、空間多重したデータ信号と、伝搬路推定用の直交パイロット信号とを送信し、
前記受信装置は、前記送信装置から送信された信号を受信し、受信した前記パイロット信号のうち、所望のパイロット信号を自律的に検出して伝搬路推定を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記複数の受信装置宛の送信データ信号は、各受信装置宛の希望信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に施されて生成され、前記伝搬路変動に関する情報を基に生成された送信ウェイトを乗算されて送信されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記複数の受信装置宛の送信データ信号が逐次的に生成される順序と、前記送信データ信号が前記送信ウェイトも含めた等価伝搬路へ向けて送信される際の送信アンテナは関連付けられていることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記パイロット信号は、前記送信ウェイトが乗算されて送信されることを特徴とする請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記受信装置は、受信パイロット信号の電力を測定し、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行うことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の送信アンテナを備え、複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する送信装置であって、
複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を受信する手段と、
前記伝搬路変動に関する情報を基に送信ウェイトを算出する手段と、
前記複数の受信装置宛の希望データ信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に行って送信データ信号を生成する手段と、
前記減算処理を逐次的に行う際の順序と生成された送信データ信号が送信されるアンテナを関連付ける制御手段と、
直交化した伝搬路推定用のパイロット信号を生成する手段と、
前記送信信号と前記パイロット信号に前記送信ウェイトを乗算する手段と、
前記送信ウェイトが乗算された前記送信信号及び前記パイロット信号を送信する手段と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項7】
複数の送信アンテナを備え複数の受信装置宛の送信データ信号を同一リソースで空間多重し伝搬路推定用のパイロット信号とともに送信する送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、
前記送信装置から送信された信号を受信する手段と、
受信パイロット信号の電力を測定する手段と、
予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項8】
複数の送信アンテナを備え、複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する送信装置における送信制御方法であって、
前記送信装置が、複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を受信する過程と、
前記送信装置が、前記伝搬路変動に関する情報を基に送信ウェイトを算出する過程と、
前記送信装置が、前記複数の受信装置宛の希望データ信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に行って送信データ信号を生成する過程と、
前記送信装置が、前記減算処理を逐次的に行う際の順序と生成された送信データ信号が送信されるアンテナを関連付ける制御過程と、
前記送信装置が、直交化した伝搬路推定用のパイロット信号を生成する過程と、
前記送信装置が、前記送信信号と前記パイロット信号に前記送信ウェイトを乗算する過程と、
前記送信装置が、前記送信ウェイトが乗算された前記送信信号及び前記パイロット信号を送信する過程と、
を有することを特徴とする送信制御方法。
【請求項9】
複数の送信アンテナを備え複数の受信装置宛の送信データ信号を同一リソースで空間多重し伝搬路推定用のパイロット信号とともに送信する送信装置から送信された信号を受信する受信装置における受信制御方法であって、
前記受信装置が、前記送信装置から送信された信号を受信する過程と、
前記受信装置が、受信パイロット信号の電力を測定する過程と、
前記受信装置が、予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う過程と、
を有することを特徴とする受信制御方法。
【請求項10】
複数の送信アンテナを備え、複数の受信装置宛の送信データ信号を空間多重して同一リソースで送信する送信装置のコンピュータを、
複数の受信装置から通知された伝搬路変動に関する情報を受信する手段、
前記伝搬路変動に関する情報を基に送信ウェイトを算出する手段、
前記複数の受信装置宛の希望データ信号から干渉信号を減算する処理を逐次的に行って送信データ信号を生成する手段、
前記減算処理を逐次的に行う際の順序と生成された送信データ信号が送信されるアンテナを関連付ける制御手段、
直交化した伝搬路推定用のパイロット信号を生成する手段、
前記送信信号と前記パイロット信号に前記送信ウェイトを乗算する手段、
前記送信ウェイトが乗算された前記送信信号及び前記パイロット信号を送信する手段、
として機能させる送信制御プログラム。
【請求項11】
複数の送信アンテナを備え複数の受信装置宛の送信データ信号を同一リソースで空間多重し伝搬路推定用のパイロット信号とともに送信する送信装置から送信された信号を受信する受信装置のコンピュータを、
前記送信装置から送信された信号を受信する手段、
受信パイロット信号の電力を測定する手段、
予め決められた閾値以上の電力で受信される前記パイロット信号の数に応じて所望パイロット信号の検出を行う手段、
として機能させる受信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−166293(P2011−166293A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24474(P2010−24474)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】