説明

無線通信システム

【目的】 チャネルが異なる他のサービスエリアに移動した場合に、そのエリア外れを、音で報知して作業者に確実に通知し、かつ、チャネルが相違するサービスエリアからのデータ伝送を容易かつ確実に行う。
【構成】 サービスエリアSA,SBでハンディターミナル6の受信部Aがレピータ2,4からのキャリアを検出する。キャリア検出が出来ない場合、「エリア外」であることをCPU20が認識する。CPU20の制御でブザー29から断続音を発報して「エリア外」を操作者に報知する。同時にプログラマブルデバイダ48への切替制御信号をCPU20の制御で順次スキャンして、受信部Aが複数のチャネルをサーチ受信する。このサーチ受信で現在位置するサービスエリアSA,SBのチャネルを探し出し、データ伝送が可能なチャネルに設定して、メモリ23からデータを読みだしてレピータ2,4に無線伝送する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、商品管理、工程管理及び物流管理等のデータ収集システムなどに利用して好適な無線通信システムに係り、詳しくは、固定チャネルを使用し、かつ、レピータなどの中継装置を経由する無線回線でホストコンピュータと移動子機との間でデータ伝送を行う無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の無線通信システムでは、物流倉庫内に複数の有線基地局や、移動設置が可能なレピータを配置し、このサービスエリア内で、作業者がハンディターミナル(移動無線子機)から入力した商品の入出庫などのデータを、有線基地局又はレピータの無線回線を通じてホストコンピュータに伝送している。このようなハンディターミナルと、有線基地局、レピータとの無線回線は、微弱電波で送信しており、そのデータ伝送を、キャリヤ検知多重アクセス(CSMA)及びデジタル周波数変調方式(DーFSK)によるパケット通信などで行っている。また、伝送周波数は、複数チャネル(CH)中の一つのチャネル選択して、設置場所での隣接チャネルによる混変調や、外乱での通信エラー(ビット消滅やビット化け)が発生しないようにしている。
【0003】このような固定チャネルの無線通信方式では、使用するチャネルの空き状態を、装置がキャリア検出して確認し、チャネルが使用されている場合は、このチャネルが空くまで待機するようになっている(参考文献:1990年9月5日:CQ出版社発行、ダイナミックハムシリーズ誌、記載第68頁〜75頁記載)。この場合、有線基地局又はレピータのサービスエリアごとに固定チャネルで無線回線が設定されているため、作業者がハンディターミナルを携帯して他のサービスエリアに移動すると、ハンディターミナルと有線基地局又はレピータとのチャネル(周波数)が異なってしまい、無線回線接続が出来ない。このため、装置に設けた発光ダイオード(LED)を点灯するようにして、「エリア外」を操作者に報知し、元のサービスエリアに戻って、データ伝送の作業を行うように促している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例の無線通信システムにあって、LEDの点灯で、「エリア外」を操作者に報知できるが、作業者が視覚のみで確認しているため、ことに移動しながらの作業中などでは、点灯報知が容易かつ確実に判明し難い。また、作業者は固定チャネルのサービスエリア内でのみ、データ伝送が可能である。換言すれば、「エリア外」に移動した場合、その場所でのデータ伝送ができないため、元のサービスエリアに戻って、データ伝送を行う必要があり、迅速な商品の入出庫などのデータ伝送が出来ず、作業効率が悪いという欠点がある。
【0005】この発明は、このような背景の下になされたもので、固定周波数(チャネル)によるデータ伝送を行う際に、周波数が異なる他のサービスエリアに移動した場合、そのエリア外れを音で報知して作業者が確実に確認できるとともに、周波数が異なるサービスエリアからのデータ伝送が容易かつ確実に出来る無線通信システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は無線親局のサービスエリア内で送信データを受信する子機を有する無線通信システムにおいて、無線親局に、送信データを送信する送信手段を備え、子機に、無線親局のサービスエリア内で送信周波数に同調して送信データを受信し、この受信信号を出力する受信処理手段と、受信処理手段からの受信信号が得られない場合に、当該子機が無線親局のサービスエリア外に位置することを発音して警報する発音警報手段とを備える構成としている。
【0007】請求項2記載の発明は、無線親局のそれぞれの周波数、及びそれぞれのサービスエリア内で無線親局と子機との間の無線回線を通じてデータ送受信を行う無線通信システムにおいて、無線親局に、データを送受信する送受信手段を備え、子機に、無線親局のサービスエリア内かつ送信周波数に同調して送信データを受信し、この受信信号を出力する受信処理手段と、データを送信する送信手段と、受信処理手段からの受信信号が得られない場合に、当該子機が無線親局のサービスエリア外に位置することを発音して警報する発音警報手段と、受信処理手段の受信周波数及び送信手段の送信周波数を可変する送受信周波数可変手段と、当該子機が自己の受信周波数のサービスエリアから他のサービスエリアに移動して、当該子機と無線親局との送受信周波数が異なる際に、送受信周波数可変手段を制御して現在のサービスエリアの送受信周波数に一致させる制御を行うを制御手段とを備える構成としている。
【0008】請求項3記載の無線通信システムは、発音警報手段に、当該子機が、無線親局の送信周波数のサービスエリア外であることを示す合成音声データを格納する合成音声データ格納手段と、合成音声データ格納手段からの合成音声データを音声出力する発声手段と、受信処理手段からの受信信号が得られない場合に、合成音声データ格納手段からの合成音声データを発声手段を通じて音声出力する制御を行うための制御手段とを備える構成としている。
【0009】請求項4記載の無線通信システムは、現在の送受信周波数を表示する表示手段を備える構成である。
【0010】請求項5記載の無線通信システムは、無線親局と通信線で接続されるデータ収集用の情報処理装置を有し、子機と情報処理装置とが無線親局を通じてデータ送受信を行い、又は、無線親局と無線回線で接続される無線制御装置と、この無線制御装置と通信線で接続される情報処理装置とを有し、子機と情報処理装置とが無線親局及び無線制御装置を通じてデータ送受信を行う構成である。
【0011】
【作用】請求項1,2,4,5の無線通信システムは、無線親局のサービスエリア内で送信周波数に同調して送信データを受信する。この受信信号が得られない場合に、当該子機が無線親局のサービスエリア外に位置することを発音又は合成音声で警報している。さらに、現在の受信周波数を表示し、かつ、無線親局と有線、又は、無線回線で接続される情報処理装置からのデータを子機が受信している。したがって、固定周波数(チャネル)によるデータ伝送を行う際に、子機がチャネルが異なる他のサービスエリアに移動した場合、そのエリア外れを音、合成音声の警報を通じて作業者が確実に確認できるようになる。
【0012】請求項3〜5記載の無線通信システムは、子機が自己の受信周波数のサービスエリアからの他のサービスエリアに移動して、当該受信周波数と無線親局の送信周波数が異なる際に子機が無線親局のサービスエリア外に位置することを発音又は合成音声で警報し、さらに、当該子機と前記無線親局との送受信周波数を現在のサービスエリアの送受信周波数に自動的に一致させ、この移動先のサービスエリアを通じて子機と情報処理装置との間でデータ伝送が行われる。また、現在の受信周波数を表示し、かつ、無線親局と有線で接続し、又は、無線回線で接続される情報処理装置と子機との間でデータ伝送を行っている。したがって、固定周波数(チャネル)によるデータ伝送を行う際に、子機が周波数が異なる他のサービスエリアに移動した場合に、そのエリア外れを音、合成音声による警報を通じて作業者が確実に確認できる。さらに、子機の送受信周波数が移動先のサービスエリア(無線親局)の送受信周波数に一致し、この移動先のサービスエリアを通じた子機と情報処理装置との間のデータ伝送が容易かつ確実に行われる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例について説明する。
◇第1実施例図1は、この発明の第1実施例である無線通信システムの概略構成を示す斜視図である。図1において、この例は、物流倉庫内などをチャネル(周波数)が異なる複数のサービスエリアに区分けした例であり、レピータ2,4が設けられ、それぞれチャネルが異なるサービスエリア(無線回線接続エリア)SA,SBを有している。レピータ2,4には、それぞれ異なるチャネルで無線回線接続を行うハンディターミナル(移動無線子機)6,8が移動している。さらに、レピータ2,4の無線中継を通じて、ハンディターミナル6,8からのデータ(電波)を受信し、また、制御信号やハンディターミナル6,8から要求されたデータを送信するコントローラ10と、ハンディターミナル6,8からのデータを記録、変更及び分析を行うためのコンピュータ12とを有している。
【0014】図2は、ハンディターミナル6,8の電気的構成を示すブロックであり、図3は、この外観構成を示す正面図である。図2及び図3において、この例は、この装置の制御を行うCPU20と、制御プログラムを格納したROM21と、ワーキング用のRAM22と、レピータ2,4及びコントローラ10を通じてコンピュータ12に送るための商品入出庫データなどを格納するメモリ23とが設けられている。さらに、入力データや処理データなどを表示する液晶ディスプレイ(LCD)24と、入力操作を行うためのキーボード25と、この装置にコードで接続して用い、商品のバーコードを読み取るバーコードリーダ26とが設けられている。
【0015】さらに、バーコードリーダ26からの読み取りデータ(光電変換信号)をCPU20が演算できるように、その処理を行うI/O信号処理回路27と、ハンディターミナル6,8が、他のサービスエリアSA,SBに移動した場合、例えば、ハンディターミナル6が、チャネルの異なるレピータ4のサービスエリアSBに移動した際に、その「エリア外」を操作者に発光して報知するための発光ダイオード(LED)28とを有している。また、このLED28と同様に「エリア外」を操作者に音で報知するためのブザー29と、以降の図4をもって詳細に説明するレピータ2,4とそれぞれの周波数が異なる固定チャネルでデータの送受信を行う無線送受信部30と、当該装置を有線、例えば、RS232Cによってデータの受渡しを行うためのインタフェース(I/F)回路31と、無線送受信部30に接続される送受信兼用のアンテナ32とが設けられている。
【0016】図4は、図3中の無線送受信部30の詳細な構成を示すブロック図である。図4において、この例は、コントローラ10及びレピータ2,4を通じたコンピュータ12からのデータを復調してCPU20に出力する受信部Aと、当該ハンディターミナル6,8からのデータをレピータ2,4及びコントローラ10を通じてコンピュータ12に送信する送信部Bと、所定の複数チャネル(送信周波数)信号を生成し、かつ、所定の受信チャネルを受信する局部発信信号を得るための、フェーズロックドループ(PLL)で構成される周波数シンセサイザCとを有している。
【0017】受信部Aはアンテナ32が接続される共用器(デュープレクサ)を通じた受信信号を増幅する高周波(RF)増幅器33と、RF増幅器33からの高周波信号を周波数シンセサイザCからの局部発信信号で中間周波数に変換するミキサ34と、データを復調する復調部35と、復調データを図2中のCPU20のI/Oポートに送出するバァファ36とを有している。
【0018】送信部Bは、CPU20のI/Oポートからのデータを増幅するバァファ40と、バァファ40からの伝送データで周波数シンセサイザCからの発振信号にDーFSKなどの変調を施す変調部41と、所定の送信周波数に逓倍する逓倍部42と、所定の電力に増幅する電力増幅部43とを有し、この電力増幅部43からの電力を共用器31、アンテナ32を通じて微弱電波としてレピータ2,4に送信する。
【0019】周波数シンセサイザCは、基準発振器44と、位相比較器45と、ループフイルタ46と、電圧制御発振器(VCO)47と、CPU20からの制御で分周周波数をステップ可変して、複数の送受信チャネルを設定するためのプログラマブルデバイダ48と、受信部Aのミキサ34に、中間周波帯に変換するための局部発振信号を送出する周波数変換部49とが設けられている。
【0020】次に、この第1実施例の動作について説明する。図1に示すレピータ2,4とハンディターミナル6,8との間は、微弱電波の無線回線によって制御信号及びデータを送信している。この場合、データリンク手順をキャリヤ検知多重アクセス(CSMA)で処理している。また、データ変調をデジタル周波数変調(DーFSK)したパケット通信などで行っている。また、伝送周波数は、複数チャネル(CH)中の一つのチャネルを、設置場所で隣接チャネルの混変調や、外乱での通信エラー(ビット消滅やビット化け)を考慮して選択している。
【0021】ここでは、レピータ2,4のそれぞれのサービスエリアSA,SBで、個別にハンディターミナル6,8が移動している。この場合、予め設定されているサービスエリアSA,SBのレピータ2,4のチャネル番号にハンディターミナル6,8の図2に示すキーボード25中の周波数切替キーから設定する。この周波数切り替え指示をCPU20が識別する。CPU20のI/Oポートから図3に示す無線送受信部30内のプログラマブルデバイダ48に切替制御信号を送出して送受信チャネルを切り替えて、周波数切替キーから指示された送受信周波数(チャネル)に設定する。
【0022】なお、キーボード25中の周波数切替キーでチャネルを切り替えて、キャリア検出が行われない非使用チャネルを選択しても良い。この場合、複数のチャネルをサーチするスキャンニングによって自動設定する。また、周波数切替キーでチャネルを切り替えた際にLCD24に非使用チャネルを画面表示したり、又はLED28と別のLEDで点灯表示するようして、そのチャネルに手動設定するようにしても良い。
【0023】このようにして、そのサービスエリアSA,SBでの固定チャネルによって、レピータ2,4及びコントローラ10の無線中継を通じて、コンピュータ12がハンディターミナル6,8からのデータを収集する。コンピュータ12からのデータをコントローラ10及びレピータ2,4を通じてハンディターミナル6,8が受けることになる。
【0024】ハンディターミナル6,8から送信を行う場合、まず、CPU20のI/Oポートからのデータが、送信部Bのバァファ40、変調部41を通じて発振信号にDーFSK変調を施す。この変調信号を逓倍部42で、所定の送信周波数に変換し、さらに電力増幅部43で所定の小電力(微弱電波)に増幅し、共用器31及びアンテナ32を通じて微弱電波としてレピータ2,4に送信する。この場合、図2及び図3に示すキーボード25からの送信指示や、バーコードリーダ26で読み取ったバーコードデータ(例えば、商品コード及び、その数量)がLCD24に表示される。
【0025】この場合の周波数シンセサイザCは、PLLとして動作す。すなわち、基準発振器44からの発振信号を、位相比較器45でプログラマブルデバイダ48からの信号と位相を比較し、この比較電圧をループフイルタ46を通じて直流電圧のみを通過させ、電圧制御発振器(VCO)47の電圧制御端に印加してロックする閉ループ位相制御(周波数制御)を行う。このVCO47でロックした発振信号を送信部Bの変調部41に供給する。この際、プログラマブルデバイダ48がCPU20からの切替制御信号によって分周したステップ周波数で、送信チャネル(送信周波数)が決定されることになる。
【0026】また、ハンディターミナル6,8が受信を行う場合、まず、アンテナ32及び共用器32を通じてレピータ2,4からの電波を受信し、その受信信号がRF増幅器33を通じてミキサ34に入力される。ここで周波数シンセサイザCの周波数変換部49を通じた局部発振信号で、中間周波帯信号に変換し、復調部35でデータを復調する。このデータをバッファ36を通じて、CPU20のI/Oポート送出する。このデータはCPU20の制御を通じて図2に示すメモリ23に格納し、また、LCD24に表示して、操作者が各種のデータ入出力処理の確認を行う。
【0027】次に、ハンディターミナル6がサービスエリアSAからサービスエリアSBに移動してデータ伝送が出来ない際の作業者への報知と、サービスエリアSBのチャネルに移行してデータ伝送を行う場合について説明する。図5は、この場合のハンディターミナル6,8の動作の処理手順を示すフローチャートである。図1から図5において、こまでの説明のようにチャネル(CH)設定などを行って動作を開始する(ステップSP10)。
【0028】ハンディターミナル6の無線送受信部30の受信部Aで受信したサービスエリアSBでの受信電界強度をキャリア検出によって行う。このキャリア検出が出来たか否かを判断する(ステップSP11,12)。この判断は、例えば、受信電界強度が6dBμ以上の場合をキャリア検出とする。この場合、予めROM21に設定したしきい値とCPU20が、無線送受信部30の受信部Aから取り込んだキャリア検出のレベルと比較して行う。
【0029】ここではハンディターミナル6がサービスエリアSAからサービスエリアSBに移動しているため、キャリア検出が出来ない(ステップSP12:No)。ここで、ハンディターミナル6がサービスエリアSAから外れており、チャネルが異なるため、レピータ2との無線回線が接続不能であるとして、CPU20がLED28の点灯、例えば、点滅表示を指示する。同時にブザー29からの発音、例えば、断続音の発報を制御し、操作者が携帯しているハンディターミナル6が「エリア外」であることを報知する(ステップSP13)。これによって操作者は、「エリア外」がLED28の点滅とともに、ブザー29からの発音で確認出来るものとなり、「エリア外」が容易かつ確実に確認できることになる。
【0030】次に、ハンディターミナル6が移動中のサービスエリアSBのチャネルからデータ伝送を行う。まず、メモリ23に格納し、コンピュータ12に伝送すべきデータが有るか否かを判断する(ステップSP14)。伝送すべきデータがない場合(No)、はステップSP10に戻って、これまでの処理手順を繰り返す。また、メモリ23にコンピュータ12に伝送すべきデータが有る場合(Yes)、このサービスエリアSBのチャネル番号(周波数)を調べるため、図4示すプログラマブルデバイダ48への切替制御信号をCPU20の制御で順次スキャンして、無線送受信部30の受信部Aが複数のチャネルをサーチ受信する(ステップSP15)。このサーチで、サービスエリアSBのキャリア検出をCPU20が行い、サービスエリアSBのチャネル(周波数)を探し出す。次に、ハンディターミナル6が移動したサービスエリアSBのレピータ4との無線回線を通じたデータ伝送が可能なチャネルに図4に示す送信部Bの送信チャネルが設定されたか否かを判断する(ステップSP16)。
【0031】次に、この設定したチャネルでサービスエリアSBのレピータ4との無線回線との接続を判断し、この判断で接続されない場合(No)、ステップSP15に戻って、チャネルサーチから繰り返す(ステップSP17)。また、サービスエリアSBのレピータ4との無線回線が接続される場合(Yes)、無線送受信部30の送信部B、共用器31及びアンテナ32を通じて、メモリ23に格納していたデータをCPU20の制御で読みだしてレピータ4に無線伝送する(ステップSP18)。このメモリ23に格納しているデータ伝送の完了を判断し、未完了の場合は、ステップSP18のデータ伝送から繰り返し、メモリ23に格納している全てのデータが伝送完了するまで繰り返す(ステップSP19)。全てのデータが伝送完了すると、レピータ2がサービスエリアSBに移動したため、レピータ4とのチャネルに設定を変更していたのを、サービスエリアSAのレピータ4とのチャネルに設定し直して終了となる(ステップSP20)。
【0032】また、ステップSP12でキャリア検出が出来た場合(Yes)、すなわち、ハンディターミナル6がサービスエリアSAに位置している場合は、受信電界強度が6dBμ以上の場合を検出した後、レピータ4から伝送されるデータを取り込む(ステップSP21)。次に、この判断を行う。すなわち、ハンディターミナル6の無線送受信部30の受信部Aで受信したサービスエリアSBでのデータの受信電界強度を検出し、このキャリア検出が出来たか否かを判断する(ステップSP22)。この場合のデータレベルの検出は、受信電界強度が12dBμ以上の場合を検出する。この場合、予めROM21に設定したしきい値とCPU20が、無線送受信部30の受信部Aから取り込んだデータのレベルと比較して行う。この場合、予めROM21に設定したしきい値とCPU20が、無線送受信部30の受信部Aから取り込んだデータレベルと比較して行う。
【0033】この場合、ハンディターミナル6が、チャネル(周波数)が一致するサービスエリアSAに位置しているため、データレベルの受信電界強度が12dBμ以上であり、ハンディターミナル6が無線回線でレピータ2と接続されるため、無線送受信部30の送信部B、共用器31及びアンテナ32を通じてメモリ23に格納していたデータをCPU20の制御で読みだしてレピータ4に無線伝送する(ステップSP23)。このメモリ23に格納しているデータ伝送の完了を判断し、未完了の場合は、ステップSP23のデータ伝送から繰り返し、メモリ23に格納している全てのデータが伝送完了するまで繰り返す(ステップSP24)。
【0034】なお、この第1の実施例ではハンディターミナル6がサービスエリアSAからチャネルが異なるサービスエリアSBに移動した(外れた)場合を説明したが、この反対にハンディターミナル8がサービスエリアSBからチャネルがサービスエリアSAに移動した(外れた)場合も同様に動作する。
【0035】◇第2実施例第1実施例ではハンディターミナル6,8が、自己のチャネルと一致するサービスエリアから外れた場合、CPU20をLED28の点滅及びブザー29からの断続音の発報して「エリア外」を操作者に報知しているが、この第2実施例では操作者に合成音声で「エリア外」を通報している。図6は、この第2実施例のハンディターミナル6,8の構成を示すブロック図である。図6において、この例は、図2中のブザー29に代えて、スピーカ50が設けられ、さらに、「エリア外」を合成音声で通知するためのデータを格納した合成音声データ回路51がCPU20に接続されている。この他の回路は図2に示す構成と同様である。
【0036】この第2実施例では、図1から図5の説明と同様に動作するが、ハンディターミナル6,8が、自己のチャネルと一致するサービスエリアから外れた場合、CPU20の制御で合成音声データ回路51から「エリア外」の音声データを読み出し、この「エリア外」をスピーカ50から音声で出力する。これによって「エリア外」が操作者で容易に判明する。例えば、キーボード25の押下操作ごとに、その確認音を送出するようになっている場合、この押下音と「エリア外」の警報音と混同しないようになり、より確実に操作者が「エリア外」を判明できるようになる。
【0037】◇第3実施例第2実施例ではハンディターミナル6,8の受信部Aが複数のチャネルをサーチ受信して探し出している。この第3実施例では、現在、位置しているサービスエリアSBのチャネル(周波数)をLCD24に表示するようにしている。この第3実施例では、図1から図5の説明と同様に動作し、ハンディターミナル6,8が、自己のチャネルと一致するサービスエリアから外れた場合、受信部Aが複数のチャネルをサーチ受信して探し出すとともに、現在、位置しているサービスエリアSBのチャネル(周波数)をLCD24に画面表示する。これによって、サービスエリアSA,SBごとのチャネル番号が迅速に判明し、これ以降のサービスエリアSA,SB間の移動時に、予め操作者によるチャネル設定などが可能になる。
【0038】以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1,2,3,4,5記載の無線通信システムによれば、無線親局のサービスエリア内で送信周波数に同調して送信データを受信し、この受信が出来ない場合に、当該子機が無線親局のサービスエリア外に位置することを発音又は合成音声で警報している。さらに、現在の受信周波数を表示し、かつ、無線親局と有線、又は、無線回線で接続される情報処理装置からのデータを子機が受信しているため、固定周波数(チャネル)によるデータ伝送を行う際に、子機がチャネルが異なる他のサービスエリアに移動した場合、そのエリア外れを音、合成音声の警報を通じて作業者が確実に確認できる。
【0040】請求項3〜5記載の無線通信システムによれば、子機が自己の受信周波数のサービスエリアからの他のサービスエリアに移動して、当該受信周波数と無線親局の送信周波数が異なる際に、子機が無線親局のサービスエリア外であることを発音又は合成音声で警報し、さらに、当該子機と前記無線親局との送受信周波数が現在のサービスエリアの送受信周波数を自動的に一致させ、この移動先のサービスエリアを通じて子機と情報処理装置との間でデータ伝送が行われる。また、現在の受信周波数を表示し、かつ、無線親局と有線で接続し、又は、無線回線で接続される情報処理装置と子機との間でデータ伝送を行っているため、固定周波数(チャネル)によるデータ伝送を行う際に、子機が周波数が異なる他のサービスエリアに移動した場合に、そのエリア外れを音、合成音声による警報を通じて作業者が確実に確認できる。さらに、子機の送受信周波数が移動先のサービスエリア(無線親局)の送受信周波数に一致し、この移動先のサービスエリアを通じた子機と情報処理装置との間のデータ伝送が容易かつ確実に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例である無線通信システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】同第1実施例に用いられるハンディターミナルの電気的構成を示すブロックである。
【図3】同ハンディターミナルの外観構成を示す正面図である。
【図4】図3中の無線送受信部の詳細な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】同ハンディターミナルの動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の第2実施例に用いられるハンディターミナルの電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2,4 レピータ(無線親局)
6,8 ハンディターミナル(子機)
10 コントローラ(情報処理装置)
12 コンピュータ(無線制御装置)
20 CPU(制御手段)
21 ROM(制御手段)
22 RAM(制御手段)
24 液晶ディスプレイ(LCD)(表示手段)
29 ブザー(発音警報手段)
30 無線送受信部(受信処理手段、送信手段、送受信手段)
33 高周波(RF)増幅器(受信処理手段)
34 ミキサ(受信処理手段)
35 復調部(受信処理手段)
36 バァファ(受信処理手段)
40 バァファ(送信手段)
41 変調部(送信手段)
42 逓倍部(送信手段)
43 電力増幅部(送信手段)
44 基準発振器(送受信周波数可変手段)
45 位相比較器(送受信周波数可変手段)
46 ループフイルタ(送受信周波数可変手段)
47 電圧制御発振器(VCO)(送受信周波数可変手段)
48 プログラマブルデバイダ(送受信周波数可変手段)
50 スピーカ(発声手段)
51 合成音声データ回路(合成音声データ格納手段)
A 受信部(受信処理手段)
B 送信部(送信手段)
C 周波数シンセサイザ(送受信周波数可変手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線親局のサービスエリア内で送信データを受信する子機を有する無線通信システムにおいて、前記無線親局に、送信データを送信する送信手段を備え、前記子機に、前記無線親局のサービスエリア内で送信周波数に同調して送信データを受信し、この受信信号を出力する受信処理手段と、前記受信処理手段からの受信信号が得られない場合に、当該子機が前記無線親局のサービスエリア外に位置することを発音して警報する発音警報手段と、を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】 無線親局のそれぞれの周波数、及びそれぞれのサービスエリア内で前記無線親局と前記子機との間の無線回線を通じてデータ送受信を行う無線通信システムにおいて、前記無線親局に、データを送受信する送受信手段を備え、前記子機に、前記無線親局のサービスエリア内かつ送信周波数に同調して送信データを受信し、この受信信号を出力する受信処理手段と、データを送信する送信手段と、前記受信処理手段からの受信信号が得られない場合に、当該子機が前記無線親局のサービスエリア外に位置することを発音して警報する発音警報手段と、前記受信処理手段の受信周波数及び前記送信手段の送信周波数を可変する送受信周波数可変手段と、当該子機が自己の受信周波数のサービスエリアから他のサービスエリアに移動して、当該子機と前記無線親局との送受信周波数が異なる際に、前記送受信周波数可変手段を制御して現在のサービスエリアの送受信周波数に一致させる制御を行うを制御手段と、を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】 前記発音警報手段に、当該子機が、無線親局の送信周波数のサービスエリア外であることを示す合成音声データを格納する合成音声データ格納手段と、前記合成音声データ格納手段からの合成音声データを音声出力する発声手段と、受信処理手段からの受信信号が得られない場合に、前記合成音声データ格納手段からの合成音声データを発声手段を通じて音声出力する制御を行うための制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】 現在の送受信周波数を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項5】 無線親局と通信線で接続されるデータ収集用の情報処理装置を有し、前記子機と前記情報処理装置とが前記無線親局を通じてデータ送受信を行い、又は、前記無線親局と無線回線で接続される無線制御装置と、この無線制御装置と通信線で接続される前記情報処理装置とを有し、前記子機と前記情報処理装置とが前記無線親局及び無線制御装置を通じてデータ送受信を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平7−322357
【公開日】平成7年(1995)12月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−116489
【出願日】平成6年(1994)5月30日
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)