無線通信装置
【課題】交信エリアが隣接する別の無線通信装置の影響による通信エラーを極力回避する。
【解決手段】無線通信装置は、複数の無線チャネルをいかなる順番で切替えて空チャネルを検索するかを定めたチャネル切替パターンデータと、空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する条件を定めた切替条件データとを記憶する。無線通信媒体との無線通信において、上記切替条件データの条件が成立すると、上記チャネル切替パターンデータに従い、複数の無線チャネルのなかから空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する。切換条件データは、隣接する他の無線通信装置で記憶されるものとは切換条件が異なる。
【解決手段】無線通信装置は、複数の無線チャネルをいかなる順番で切替えて空チャネルを検索するかを定めたチャネル切替パターンデータと、空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する条件を定めた切替条件データとを記憶する。無線通信媒体との無線通信において、上記切替条件データの条件が成立すると、上記チャネル切替パターンデータに従い、複数の無線チャネルのなかから空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する。切換条件データは、隣接する他の無線通信装置で記憶されるものとは切換条件が異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線通信媒体から無線通信を利用してデータの書込みや読取りを行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDシステムと称される無線通信システムが注目されている。このシステムは、ICチップとアンテナとを備えた小型の無線通信媒体と、電波または電磁波を利用して上記無線通信媒体との間で無線通信を行うことによりデータの書込み及び読取りを非接触で行う無線通信装置、いわゆるRFIDリーダ・ライタとから構成されている。
【0003】
無線通信媒体のICチップには、製造時に設定されるシリアルナンバー等の固有のIDが記憶されている。また、無線通信媒体は薄型化が可能であり、物品に容易に付与することができる。このため、無線通信媒体は、RFIDタグ,無線タグ等と称され、通常は管理対象の物品1つ1つに付与されて使用される。
【0004】
一方、RFIDリーダ・ライタは、無線通信媒体との間で電波または電磁波の受け渡しを行うアンテナ部と、このアンテナ部を介して無線通信媒体と非接触でデータ通信を行う無線通信装置としてのリーダ・ライタ本体とからなる。そしてRFIDリーダ・ライタは、アンテナ部の形状等によってゲート型、据置型,携帯型等に分類される。ゲート型のRFIDリーダ・ライタは、例えば盗難防止システムや通門管理システム等に利用される。据置型のRFIDリーダ・ライタは、例えば図書館の貸出管理システムや店舗の商品販売データ処理システム等に利用される。ハンディ型のRFIDリーダ・ライタは、倉庫の物品検索システムや店舗の棚卸システム等に利用される。
【0005】
ところで一般に、RFIDシステムでは、13.56MHzや2,45GHzの周波数帯が使用されている。また、最近では、860〜960MHzのUHF帯も使用されるようになってきた。ただし、UHF帯は主に携帯電話の周波数帯として用いられているため、携帯電話とRFIDシステムとの周波数帯が重複して電波状況を乱すことがないように、860〜960MHzの中でも952〜954MHzのUHF帯域(無線チャネルcn1〜無線チャネルcn9)若しくは952〜955MHzのUHF帯域(無線チャネルcn1〜無線チャネルcn14)がRFIDシステムに割り当てられている。
【0006】
一方、RFIDシステムを構築する場合、使用されるRFIDリーダ・ライタは1台のみでなく、複数台を併用する場合が殆どである。このため、複数のRFIDリーダ・ライタから発せられる電波が干渉しないように、LBT(Listen Before Talk)方式によるキャリアセンスを行っている。すなわち、RFIDリーダ・ライタが電波を出す前に空きチャネルを検索し、空きチャネルを検出できたならばそのチャネルを使用して電波を出力するようにしている。
【0007】
このようなキャリアセンス方式を用いた従来のRFIDリーダ・ライタにおいて、無線通信媒体との通信における通信異常を検知すると、所定の送信休止時間経過後に再度空チャネルを検出し、この検出された空チャネルを用いて無線通信媒体との通信を再開するようにしたものはあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−067621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、RFIDリーダ・ライタが空きチャネルを検出して無線通信媒体との間でデータ通信を行ったとしても、交信エリアが隣接する別のRFIDリーダ・ライタで空きチャネルにごく近い周波数のチャネルを使用して無線通信を行っていた場合には、その影響によって通信エラーとなる場合があった。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、交信エリアが隣接する別の無線通信装置の影響による通信エラーを極力回避して通信効率の向上を図り得る無線通信装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ICチップとアンテナとを備えた無線通信媒体との間で、複数の無線チャネルのなかから検出された空チャネルを使用して無線通信を行う無線通信装置において、複数の無線チャネルをいかなる順番で切替えて空チャネルを検索するかを定めたチャネル切替パターンデータを記憶するパターン記憶手段と、空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する条件を定めた切替条件データを記憶する条件記憶手段と、無線通信媒体との無線通信において、条件記憶手段に記憶された切替条件データの条件が成立すると、パターン記憶手段に記憶されたチャネル切替パターンデータに従い、複数の無線チャネルのなかから空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行するチャネル切替手段とを備え、条件記憶手段により記憶される切換条件データは、隣接する他の無線通信装置の条件記憶手段に記憶されるデータで定められるものとは切換条件が異なるものである。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、交信エリアが隣接する別の無線通信装置の影響による通信エラーを極力回避することができ、通信効率の向上を図ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態である商品販売データ処理システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において、ストアサーバが有する主要なデータテーブルを示す模式図。
【図3】図2における切替条件テーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図4】図2における切替パターンテーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図5】図2におけるリーダ・ライタ設定テーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図6】同実施の形態におけるRFIDリーダ・ライタの要部構成を示すブロック図。
【図7】同実施の形態において、RFIDリーダ・ライタの記憶部に形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図8】同実施の形態において、ストアサーバが実行するリーダ・ライタ設定業務の主要な処理手順を示す流れ図。
【図9】同実施の形態において、RFIDリーダ・ライタの制御部が実行する主要な処理手順を示す流れ図。
【図10】図9のST37において、条件コードmが“C0”であったときの、その後の処理手順を示す流れ図。
【図11】図9のST37において、条件コードmが“C1”であったときの、その後の処理手順を示す流れ図。
【図12】図9のST37において、条件コードmが“C2”であったときの、その後の処理手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施の形態は、スーパーマーケット等の店舗において、各商品にそれぞれ付されたRFIDタグのデータをPOS(Point Of Sales)端末に接続されたRFIDリーダ・ライタで読み取ることによって、客が購入する商品の販売データを処理するようにした商品販売データ処理システムに、本発明の無線通信システムを適用した場合である。
【0015】
図1は、商品販売データ処理システムの一実施形態を示すブロック図である。このシステムは、複数台(図では4台)のPOS端末1-1,1-2,1-3,1-4と、各POS端末1-1,1-2,1-3,1-4を制御するストアサーバ2とを、LAN(Local Area Network)等のネットワーク3で接続している。また、各POS端末1-1,1-2,1-3,1-4に対してそれぞれRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4が1対1で設けられている。
【0016】
各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれアンテナ5-1,5-2,5-3,5-4を備えており、そのアンテナ5-1,5-2,5-3,5-4の交信エリア内に存在するRFIDタグと無線通信を行う。そして、そのRFIDタグのメモリ部に記憶されたデータを非接触で読み取ったり、このメモリ部にデータを非接触で書き込んだりする。ここに、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、本発明の無線通信装置として機能する。また、RFIDタグは、該無線通信装置がアクセスする無線通信媒体として機能する。
【0017】
RFIDタグは、アンテナとICチップとから構成されている。ICチップには、電源作成部,復調部,変調部,メモリ部及びこれらを制御する制御部等が設けられている。本実施の形態では、952〜954MHzのUHF帯域(無線チャネルcn1〜無線チャネルcn9)を使用して、RFIDリーダ・ライタ4とRFIDタグとがデータ通信を行う。すなわちRFIDタグは、アンテナでUHF帯の電波を受信すると、電源作成部の作用により電源が生成されて活性化する。活性化したRFIDタグからは、メモリ部に記憶されている固有のIDを含む応答波がそのアンテナから放射される。そして、この応答波を受信したRFIDリーダ・ライタ1と無線による回線が接続されたならば、それ以後、RFIDリーダ・ライタ1からのコマンドに応じて、受信したデータを復調してメモリ部に書込んだり、メモリ部のデータを読出し変調して、RFIDリーダ・ライタに送出したりする。このようなRFIDタグは、店舗で販売される各商品にそれぞれ取付けられている。そして、各RFIDタグのメモリ部には、それぞれ固有のIDの他、当該タグが付されている商品を特定するための単品コード等の商品データが予め記憶されている。
【0018】
各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4のアンテナ5-1,5-2,5-3,5-4は、店舗の会計場に並設された複数のチェックアウトカウンタにそれぞれ1つずつ設けられている。そして、このチェックアウトカウンタの上に商品が載せられると、その商品に付されているRFIDタグのデータを、アンテナ5-1,5-2,5-3,5-4を介してRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4がそれぞれ読み取るように構成されている。POS端末1-1,1-2,1-3,1-4は、対応するRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4がRFIDタグから読み取った商品データにより、客が買上げる商品の販売データを登録処理するように構成されている。
【0019】
ストアサーバ2は、各POS端末1-1,1-2,1-3,1-4で登録された商品販売データを、ネットワーク3を介して収集し集計して、店舗全体の売上,在庫等のデータを管理するように構成されている。また、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4の動作を制御するためのデータテーブルとして、図2に示すように、切替条件テーブル11と、切替パターンテーブル12と、リーダ・ライタ設定テーブル13とを備えている。
【0020】
切替条件テーブル11は、複数の無線チャネルのなかから空きチャネルを検索するための無線チャネルの切替えをいかなる条件が成立したときに実行するかを定めたデータのテーブルであり、図3に示すように、一意の条件コードに関連付けて、それぞれ異なる条件データが記憶されている。本実施の形態では、条件コードC1に対しては、キャリアセンスエラーの発生時に無線チャネルの切替えを行うという条件データを設定し、条件コードC2に対しては、RFIDタグに対してデータ通信を行うコマンド、すなわちリードコマンド及びライトコマンドに応じた処理を実行する毎に無線チャネルの切替えを行うという条件データを設定し、条件コードC3に対しては、キャリアセンスエラーの発生時に加え、RFIDタグとの通信エラー発生時にも無線チャネルの切替えを行うという条件を設定している。なお、通信エラーとは、RFIDタグからの応答信号を受信したが、当該RFIDタグとのデータ通信手順の中で発生したエラーであり、自己が使用した周波数と近い周波数を他のRFIDリーダ・ライタが使用していた場合に起こり得るノイズに起因したビット欠落エラーやビット化けエラー等である。
【0021】
切替パターンテーブル12は、いかなる無線チャネルを使用し、また、いかなる順番でチャネルを切替えて空チャネルを検索するかを定めたデータのテーブルであり、図4に示すように、一意のパターンコードに関連付けて、無線チャネルcn1〜無線チャネルcn9までの9チャネルの選択順位データが記憶されている。また、対応する選択順位データをいずれかのRFIDリーダ・ライタが使用している場合にオン(1)する使用フラグも、各パターンコードに関連付けて記憶されている。なお、選択順位データにおいて,“0”は未選択を示す。パターンコードの数は、システムを構築するRFIDリーダ・ライタの数よりも多くする。
【0022】
本実施の形態では、パターンコードP1に対しては、選択順位データ[123456789]を設定し、パターンコードP2に対しては、選択順位データ[987654321]を設定し、パターンコードP3に対しては、選択順位データ[403000102]を設定し、パターンコードP4に対しては、選択順位データ[430000021]を設定し、パターンコードP5に対しては、選択順位データ[000132000]を設定している。ここで、選択順位データ[123456789]は、無線チャネルを[cn1→cn2→cn3→cn4→cn5→cn6→cn7→cn8→cn9→cn1…]の順に切替えることを示す。選択順位データ[987654321]は、無線チャネルを[cn9→cn8→cn7→cn6→cn5→cn4→cn3→cn2→cn1→cn9]の順に切替えることを示す。選択順位データ[403000102]は、無線チャネルを[cn7→cn9→cn3→cn1→cn7…]の順に切替えることを示す。選択順位データ[430000021]は、無線チャネルを[cn8→cn9→cn2→cn1→cn8…]の順に切替えることを示す。選択順位データ[000132000]は、無線チャネルを[cn4→cn6→cn5→cn4…]の順に切替えることを示す。
【0023】
リーダ・ライタ設定テーブル13は、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎にいかなる切替条件とチャネル切替えパターンとを設定するかを定めたデータのテーブルであり、図5に示すように、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4のRWID(自己IDa)に関連付けて、複数の隣接IDエリア(隣接IDb,隣接IDc)と、条件コードメモリと、パターンコードエリアとから形成されている。隣接IDエリアには、自己の交信エリアに対して隣接する交信エリアを有する他のRFIDリーダ・ライタのRWIDがセットされる。なお、RWIDは、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4をそれぞれ特定するために、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に予め設定された固有の識別コード(ID)である。
【0024】
本実施の形態では、RFIDリーダ・ライタ4-1のアンテナ5-1が設けられたチェックアウトカウンタの隣に、RFIDリーダ・ライタ4-2のアンテナ5-2が設けられたチェックアウトカウンタが配置され、さらにその隣に、RFIDリーダ・ライタ4-3のアンテナ5-3が設けられたチェックアウトカウンタが配置され、さらにその隣に、RFIDリーダ・ライタ4-4のアンテナ5-4が設けられたチェックアウトカウンタが配置されている。すなわち、RFIDリーダ・ライタ4-1とRFIDリーダ・ライタ4-2とは、各々の交信エリアが隣接する。また、RFIDリーダ・ライタ4-2とRFIDリーダ・ライタ4-3とは、各々の交信エリアが隣接する。また、RFIDリーダ・ライタ4-3とRFIDリーダ・ライタ4-4とは、各々の交信エリアが隣接する。したがって、RFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]が隣接IDエリアにセットされている。また、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]とRFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]とが隣接IDエリアにセットされている。また、RFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]とRFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]とが隣接IDエリアにセットされている。また、RFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]が隣接IDエリアにセットされている。
【0025】
図6は、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4の要部構成を示すブロック図である。各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は同一構成であるので、RFIDリーダ・ライタの符号4-1,4-2,4-3,4-4を“4”、アンテナ5-1,5-2,5-3,5-4の符号を“5”と総称して、その構成を説明する。
【0026】
RFIDリーダ・ライタ4は、CPU(Central Processing Unit)を主体とした制御部21と、ROM(Read Only Memory)領域及びRAM(Random Access Memory)領域を有する記憶部22と、POS端末1とデータ通信を行うための通信部23と、後述する監視時間及び動作制御時間等をそれぞれカウントするタイマ部24と、無線によるデータの送受信を制御する無線回路部25と、キャリアセンス部26とを備えている。
【0027】
無線回路部25は、PLL(Phase Locked Loop)回路31、送信部32、サーキュレータ33及び受信部34等で構成されている。PLL回路31は、高周波の正弦波信号を発生する。送信部32は、制御部21から送られてきた送信データを変調し、この変調信号とPLL回路31で作られた高周波信号とを足し合わせた信号を増幅してサーキュレータ33に出力する。サーキュレータ33は、送信部32から入力された信号はアンテナ5に出力し、アンテナ5から入力された信号は受信部34に出力する特性を有する。受信部34は、サーキュレータ33を介して入力された高周波信号を増幅した後、この増幅された高周波信号とPLL回路31の高周波信号とを組み合わせてベースバンド信号に変換し、このベースバンド信号を復調して制御部21に出力する。
【0028】
キャリアセンス部26は、当該RFIDリーダ・ライタ4が使用するUHF帯域の無線チャネル(952〜954MHzのチャネルcn1〜チャネルcn9)の使用状況を、LBT方式によるキャリアセンスによって判定する。因みに、LBT方式では、リーダ・ライタの1回の動作可能時間が最大4秒に制限されている。そして、1回の動作を終了すると50msの時間休止し、その後、空きチャネルを5msの時間監視して初めて再動作可能となる。
【0029】
記憶部22のRAM領域には、図7に示すように、チャネルパターンテーブル41、条件コードメモリ42、初期周波数メモリ43、チャネルカウンタメモリ44、リトライ回数設定値メモリ45、リトライカウンタメモリ46等を形成している。チャネルパターンテーブル41は、空チャネルを検索するための無線チャネル切替え順序を示すチャネルパターンデータを記憶するパターン記憶手段として機能する。条件コードメモリ42は、無線チャネルの切替条件データを記憶する条件記憶手段として機能する。その他のメモリエリア43〜46の機能については、後述するRFIDリーダ・ライタ4の動作説明の中で適宜説明する。
【0030】
ストアサーバ2は、そのプログラム業務の1つとして、リーダ・ライタ設定業務を実行可能である。ストアサーバ2の業務メニューのなかからリーダ・ライタ設定業務が選択されると、ストアサーバ2は、図8の流れ図に示す手順の処理を実行する。
【0031】
先ず、ストアサーバ2は、ST(ステップ)1としてRFIDリーダ・ライタ4のID入力画面をディスプレイに表示する。この画面には、RFIDリーダ・ライタ4の識別コード[RWID]の入力エリアが形成されている。そこで、ストアサーバ2は、ST2として識別コード[RWID]が入力されるのを待機する。ここで、識別コード[RWID]が入力されることなく業務終了の指示入力を受けた場合には(ST3のYES)、ストアサーバ2は、当該リーダ・ライタ設定業務の処理を終了する。
【0032】
ID入力画面のRWID入力エリアに識別コード[RWID]が入力されると(ST2のYES)、ストアサーバ2は、ST4としてリーダ・ライタ設定テーブル13を参照して、入力された識別コード[RWID]を自己IDaとするレコードにセットされた隣接IDb及び隣接IDcを取得し、ワークメモリに記憶する。また、ストアサーバ2は、ST5としてカウンタjを“0”にリセットする。
【0033】
次に、ストアサーバ2は、ST6としてリーダ・ライタ設定テーブル13を参照して、ワークメモリに記憶した隣接IDb及び隣接IDcをそれぞれ自己IDaとするレコードの条件コードメモリに、条件コードCj(Cjの“j”はカウンタjの値)が格納されているか否かを判断する。すなわち、自己に対して隣接するRFIDリーダ・ライタで条件コードCjを使用中か否かを判断する。条件コードCjが格納されていない場合、つまり使用中でない場合には(ST6のNO)、ストアサーバ2は、ST9としてリーダ・ライタ設定テーブル13の入力識別コード[RWID]を自己IDaとするレコードの条件コードメモリに、条件コードCjを書き込む。
【0034】
これに対し、条件コードCjが格納されている場合、つまり使用中の場合には(ST6のYES)、ストアサーバ2は、ST7としてカウンタjを“1”だけインクリメントする。そして、ST8としてカウンタjがその最大値jmaxを超えたか否かを判断する。カウンタjがその最大値jmaxを超えていない場合には(ST8のNO)、ストアサーバ2はST6の処理に戻り、自己に対して隣接するRFIDリーダ・ライタで条件コードCjを使用中か否かを判断する。
【0035】
因みに本実施の形態では、図3に示すように、条件コードが“C0”,“C1”,“C2”の3種類であるので、最大値jmaxは“2”となる。一方、1つのRFIDリーダ・ライタの交信エリアに隣接する交信エリアの数は最大で“2”である。したがって、一方が条件コードC0を使用し、他方が条件コードC1を使用していたとしても、条件コードC2は空いている。すなわち、ST8にてカウンタjが最大値jmaxを超えることはない。ただし、各RFIDリーダ・ライタのアンテナのレイアウトによっては、1つのアンテナの交信エリアに対して3つ以上の他のアンテナの交信エリアが隣接する場合があり、その場合は、カウンタjが最大値jmaxを超えることもあり得る。このような場合には、例えばオペレータのマニュアル入力により、任意の条件コードCjをリーダ・ライタ設定テーブル13に設定すればよい。
【0036】
ST9にてリーダ・ライタ設定テーブル13の条件コードメモリに条件コードCjを書き込んだならば、ストアサーバ2は、ST10としてディスプレイに未使用パターンリストを表示する。このリストは、切替パターンテーブル12において、使用フラグがオフ(0)されているレコードのパターンコードと選択順位データの一覧であり、いずれか1つのパターンコードPsを選択可能となっている。パターンコードPsが選択されると(ST11のYES)、ストアサーバ2は、リーダ・ライタ設定テーブル13の入力識別コード[RWID]を自己IDaとするレコードのパターンコードエリアに、パターンコードPsを書き込む。また、切替パターンテーブル12のパターンコードPsに対応する使用フラグをオンする。しかる後、ストアサーバ2は、ST1に戻り、ディスプレイの画面をRFIDリーダ・ライタ4のID入力画面に戻す。以後、ストアサーバ2は、業務終了の指示入力を受けるまで、ST1〜ST13の処理を繰返し実行する。
【0037】
このようなリーダ・ライタ設定業務を実行することにより、リーダ・ライタ設定テーブル13に対し、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に条件コードとパターンコードを設定することができる。
【0038】
例えば今、図1において、RFIDリーダ・ライタ4-1、RFIDリーダ・ライタ4-4、RFIDリーダ・ライタ4-2、RFIDリーダ・ライタ4-3の順番に条件コードとパターンコードを設定するものとする。
【0039】
この場合、ストアサーバ2のオペレータは、ID入力画面において、先ずRFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-1に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-2である。ただし、この時点では、RFIDリーダ・ライタ4-2に対して条件コードが設定されていない。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]に対応した条件コードメモリには、条件コードC0が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP5を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]に対応したパターンコードエリアには、パターンコードP5が設定される。
【0040】
次に、オペレータは、ID入力画面において、RFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-4に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-3である。ただしこの時点では、RFIDリーダ・ライタ4-3に対して条件コードが設定されていない。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]に対応した条件コードメモリには、条件コードC0が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに、パターンコードP5を除く未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP3を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]に対応するパターンコードエリアには、パターンコードP3が設定される。
【0041】
次に、オペレータは、ID入力画面において、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-2に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-1とRFIDリーダ・ライタ4-3であり、RFIDリーダ・ライタ4-1に対して条件コードC0が設定されているのでカウンタjが“1”に繰り上がる。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]に対応した条件コードメモリには、条件コードC1が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに、パターンコードP3及びP5を除く未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP4を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]に対応したパターンコードエリアには、パターンコードP4が設定される。
【0042】
最後にオペレータは、ID入力画面において、RFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-3に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-2とRFIDリーダ・ライタ4-4であり、RFIDリーダ・ライタ4-2に対しては条件コードC1が、RFIDリーダ・ライタ4-4に対しては条件コードC0が設定されているのでカウントjが“2”に繰り上がる。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]に対応した条件コードメモリには、条件コードC2が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに、パターンコードP3〜P5を除く未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP1を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]に対応したパターンコードエリアには、パターンコードP1が設定される。
【0043】
さて、上記の如くリーダ・ライタ設定テーブル13に対してRFIDリーダ・ライタ別に条件コードとパターンコードが設定されている状態において、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4の電源をオンすると、その制御部21は、図9〜図12の流れ図に示す手順で動作する。はじめに、RFIDリーダ・ライタ4-1の電源をオンした場合について説明する。
【0044】
RFIDリーダ・ライタ4-1の制御部21は、先ず、ST21としてストアサーバ2に対する設定データ問合せコマンドを送信する。問合せコマンドには、当該RFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]が含まれる。問合せコマンドは、対応するPOS端末1-1を経由し、ネットワーク3を介してストアサーバ2に送信される。
【0045】
問合せコマンドを受信したストアサーバ2は、リーダ・ライタ設定テーブル13を検索して、コマンド中の識別コード[RWID1]に対応する条件コードC0とパターンコードP5とを読み出す。次に、切替パターンテーブル12を検索して、上記パターンコードP5に対応する選択順位データを読み出す。そして、この選択順位データに基づいてチャネルパターンデータを作成する。RFIDリーダ・ライタ4-1の場合、選択順位データは[000132000]であるので、チャネルパターンデータ[cn4,cn6,cn5,0,0,0,0,0,0]が作成される。ストアサーバ2は、上記条件コードC0とチャネルパターンデータ[cn4,cn6,cn5,0,0,0,0,0,0]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。応答コマンドは、ネットワーク3を経由し、POS端末1-1を介してRFIDリーダ・ライタ4-1に送信される。
【0046】
制御部21は、ST22として設定データ応答コマンドを待機する。設定データ応答コマンドを受信すると(ST22のYES)、制御部21は、ST23として応答コマンド中の条件コードC0を、条件コードメモリ42に格納する。また、ST24として応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn4,cn6,cn5,0,0,0,0,0,0]をチャネルパターンテーブル41に、チャネル番号n=1〜9の順にセットする。さらに、ST25として初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する。
【0047】
しかる後、制御部21は、ST26としてPOS端末1-1からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されるのを待機する。いずれかのコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は、ST27としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“0”にリセットする。また、ST28としてチャネルカウンタメモリ44に初期周波数メモリ43の値kをセットする。そして、ST29としてチャネルパターンテーブル41を検索し、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nに一致するチャネル番号のチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。
【0048】
チャネルデータcnnが“0”の場合には(ST29のYES)、制御部21は、ST32の処理に進む。すなわち、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nを“1”だけインクリメントする。そして、ST33としてカウント値nがチャネル番号の最大値“9”を超えたか否かを判断する。カウント値nがチャネル番号の最大値を越えた場合には、ST34としてカウント値nを“1”に戻す。しかる後、制御部21は、ST29に戻り、チャネルカウンタメモリ44のチャネル番号nに一致するチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。
【0049】
チャネルデータcnnが“0”でない場合は(ST29のNO)、制御部21は、ST30としてそのチャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。すなわち、タイマ部24の監視タイマを起動し、この監視タイマがタイムアウトするまでの時間(LTB方式においては5ms)、上記チャネルデータcnnの周波数信号を受信部34が受信しているか否かを、キャリアセンス部26から読み込んだCS信号により判定する(ST31:条件判断手段)。CS信号は、チャネルデータcnnの周波数信号を受信部34が受信していない状態では“0”レベルであり、受信すると“1”レベルとなる。制御部21は、ST31として上記CS信号が“0”レベルであるか否かを判断する。
【0050】
CS信号が“1”レベルの場合(ST31のYES)には、チャネルデータcnnの周波数は使用中のチャネルである。この場合、制御部21は、ST32に進む。そして、前述したように、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nを“1”だけインクリメントし(チャネル切替手段)、カウント値nがチャネル番号の最大値“9”を超えた場合には、カウント値nを“1”に戻した後、再び、カウント値nに一致するチャネル番号のチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。
【0051】
CS信号が“0”レベルの場合(ST31のNO)には、チャネルデータcnnの周波数は空きチャネルである。この場合、制御部21は、ST35としてその空チャネルの周波数を使用してコマンド処理を実行する。例えばリードコマンドであれば、タイマ部24の動作制限タイマをスタートさせるとともに、アンテナ5-1の交信エリア内に存在するRFIDタグとチャネルデータcnnの周波数で無線通信を行って、データの読取りを行う。ライトコマンドであれば、タイマ部24の動作制限タイマをスタートさせるとともに、アンテナ5-1の交信エリア内に存在するRFIDタグとチャネルデータcnnの周波数で無線通信を行って、データの書込みを行う。なお、動作制限タイマは、LBT方式において、最大の動作可能時間4sに達するとタイムアウトする。
【0052】
制御部21は、ST36としてリード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトするのを待機する。リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば、制御部21は、ST37として条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0053】
RFIDリーダ・ライタ4-1の場合は、条件コードmが“C0”なので、図10の流れ図に示す処理を実行する。すなわち制御部21は、ST41としてリード動作またはライト動作を正常に終了したか否かを判断する。正常に終了した場合には、制御部21は、ST42としてチャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nを次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0054】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には、制御部21は、ST43としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“1”だけインクリメントする。そして、ST44としてカウント値yがリトライ回数設定値メモリ45に記憶されている設定値xを超えたか否かを判断する。カウント値yが設定値xを越えていない場合には(ST44のNO)、制御部21は、ST30に戻り、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には、エラーとする。
【0055】
したがって、条件コードC0とパターンコードP5とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-1においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、無線チャネルcn4でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、無線チャネルcn6でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn5→cn4→cn6→cn5の順番に切替えられる。そして、空きチャネルが検出されたならば、その空チャネルを使用してリード動作またはライト動作が実行される。その後、リード動作またはライト動作が正常に終了した場合には、使用した無線チャネルが初期周波数メモリ43に記憶される。そして、次のコマンド受信時においては、前回使用した無線チャネルからキャリアセンスが開始される。
【0056】
次に、RFIDリーダ・ライタ4-2の電源をオンした場合について説明する。RFIDリーダ・ライタ4-2の電源をオンすると、当該RFIDリーダ・ライタ4-2の制御部21は、識別コード[RWID2]を含む設定データ問合せコマンドをストアサーバ2に送信する(ST21)。ストアサーバ2では、リーダ・ライタ設定テーブル13から識別コード[RWID2]に対応する条件コードC1とパターンコードP4とを読み出す。そして、このパターンコードP4に対応した選択順位データに基づいてチャネルパターンデータ[cn9,cn8,cn2,cn1,0,0,0,0,0]を作成し、この条件コードC1とチャネルパターンデータ[cn9,cn8,cn2,cn1,0,0,0,0,0]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。
【0057】
上記設定データ応答コマンドを受信したRFIDリーダ・ライタ4-2の制御部21は、応答コマンド中の条件コードC1を、条件コードメモリ42に格納する(ST23)。また、応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn9,cn8,cn2,cn1,0,0,0,0,0]を、チャネルパターンテーブル41にセットする(ST24)。さらに、初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する(ST25)。その後、POS端末1-2からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は無線チャネルをcn9,cn8,cn2,cn1の順に切替えてキャリアセンスを実行し(ST30)、空チャネルを検出したならば(ST31のNO)、その空チャネルの周波数でコマンド処理を実行する(ST35)。そして、リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば(ST36のYES)、制御部21は、条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する(ST37)。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0058】
RFIDリーダ・ライタ4-2の場合は、条件コードmがC1なので、図11の流れ図に示す処理を実行する。すなわち制御部21は、ST51としてリード動作またはライト動作を正常に終了したか否かを判断する(条件判断手段)。正常に終了した場合には(ST51のYES)、制御部21は、ST52としてチャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nに“1”を加算した値を、次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする(チャネル切替手段)。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0059】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には(ST51のNO)、制御部21は、ST53としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“1”だけインクリメントする。そして、ST54としてカウント値yがリトライ回数設定値メモリ45に記憶されている設定値xを超えたか否かを判断する。カウント値yが設定値xを越えていない場合には(ST54のNO)、制御部21は、ST30に戻り、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には、エラーとする。
【0060】
したがって、条件コードC1とパターンコードP4とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-2においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、チャネルcn9でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、チャネルcn8でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn2→cn1→cn9→cn8の順番に切替えられる。そして、空きチャネルが検出されたならば、その空チャネルを使用してリード動作またはライト動作が実行される。また、リード動作またはライト動作が正常に終了した場合には、チャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nに“1”を加算した値が、次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きされる。したがって、次のコマンド受信時においては、キャリアセンス時と同様な順番で前回使用された無線チャネルの次の無線チャネルに自動的に切替えられてキャリアセンスが開始される。
【0061】
次に、RFIDリーダ・ライタ4-3の電源をオンした場合について説明する。RFIDリーダ・ライタ4-3の電源をオンすると、当該RFIDリーダ・ライタ4-3の制御部21は、識別コード[RWID3]を含む設定データ問合せコマンドをストアサーバ2に送信する(ST21)。ストアサーバ2では、リーダ・ライタ設定テーブル13から識別コード[RWID3]に対応する条件コードC2とパターンコードP1とを読み出す。そして、このパターンコードP1に対応した選択順位データに基づいてチャネルパターンデータ[cn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9]を作成し、この条件コードC2とチャネルパターンデータ[cn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。
【0062】
上記設定データ応答コマンドを受信したRFIDリーダ・ライタ4-3の制御部21は、応答コマンド中の条件コードC2を、条件コードメモリ42に格納する(ST23)。また、応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9]を、チャネルパターンテーブル41にセットする(ST24)。さらに、初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する(ST25)。その後、POS端末1-3からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は無線チャネルをcn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9の順に切替えてキャリアセンスを実行し(ST30)、空チャネルを検出したならば(ST31のNO)、その空チャネルの周波数でコマンド処理を実行する(ST35)。そして、リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば(ST36のYES)、制御部21は、条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する(ST37)。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0063】
RFIDリーダ・ライタ4-3の場合は、条件コードmがC2なので、図12の流れ図に示す処理を実行する。すなわち制御部21は、ST61としてリード動作またはライト動作を正常に終了したか否かを判断する。正常に終了した場合には(ST61のYES)、制御部21は、ST62としてチャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nを、次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0064】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には(ST61のNO)、制御部21は、ST63として異常終了した原因が通信上のエラーによるものか否かを判別する(条件判断手段)。因みに、通信上のエラーとは、RFIDタグからの応答信号を受信し、RFIDタグがアンテナ5-3の交信エリア内に存在することを検知できたが、このRFIDタグに記憶されているデータを読み取るためのデータ通信手順の中でビット欠落エラーやビット化けエラーが発生したり、通信に時間を要して動作制限タイマのタイムアウトエラーとなってしまって、データを正常に書き込めなかった場合である。
【0065】
通信上のエラーに起因する場合には、制御部21は、ST32に進む。すなわち、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nを“1”だけインクリメントし(チャネル切替手段)、カウント値nがチャネル番号の最大値“9”を超えた場合には、カウント値nを“1”に戻した後、カウント値nに一致するチャネル番号のチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。チャネルデータcnnが“0”でない場合は、制御部21は、そのチャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。チャネルデータcnnが空チャネルである場合には、制御部21は、その空チャネルの周波数を使用して再びコマンド処理を実行する。
【0066】
一方、例えばRFIDタグを検出できない等というように通信上のエラーに起因しない場合には、制御部21は、ST64としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“1”だけインクリメントする。そして、ST65としてカウント値yがリトライ回数設定値メモリ45に記憶されている設定値xを超えたか否かを判断する。カウント値yが設定値xを越えていない場合には(ST65のNO)、制御部21は、ST30に戻り、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には、エラーとする。
【0067】
したがって、条件コードC2とパターンコードP1とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-3においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、チャネルcn1でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、チャネルcn2でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn3→cn4→cn5→cn6→cn7→cn8→cn9→cn1→cn2の順番に切替えられる。また、リード動作またはライト動作が正常に終了しなかった場合で、かつその原因が通信上のエラーに起因するときも、キャリアセンス時と同様な順番で使用周波数が切替えられて、リード動作またはライト動作が再実行される。この際、リトライカウンタメモリ46はインクリメントされないので、正常に完了するまで周波数を切替えながら動作が繰返し実行される。
【0068】
次に、RFIDリーダ・ライタ4-4の電源をオンした場合について説明する。RFIDリーダ・ライタ4-4の電源をオンすると、当該RFIDリーダ・ライタ4-4の制御部21は、識別コード[RWID4]を含む設定データ問合せコマンドをストアサーバ2に送信する(ST21)。ストアサーバ2では、リーダ・ライタ設定テーブル13から識別コード[RWID4]に対応する条件コードC0とパターンコードP3とを読み出す。そして、このパターンコードP3に対応した選択順位データに基づいてチャネルパターンデータ[cn7,cn9,cn3,cn1,0,0,0,0,0]を作成し、この条件コードC0とチャネルパターンデータ[cn7,cn9,cn3,cn1,0,0,0,0,0]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。
【0069】
上記設定データ応答コマンドを受信したRFIDリーダ・ライタ4-4の制御部21は、応答コマンド中の条件コードC0を、条件コードメモリ42に格納する(ST23)。また、応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn7,cn9,cn3,cn1,0,0,0,0,0]を、チャネルパターンテーブル41にセットする(ST24)。さらに、初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する(ST25)。その後、POS端末1-4からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は無線チャネルをcn7,cn9,cn3,cn1の順に切替えてキャリアセンスを実行し(ST30)、空チャネルを検出したならば(ST31のNO)、その空チャネルの周波数でコマンド処理を実行する(ST35)。そして、リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば(ST36のYES)、制御部21は、条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する(ST37)。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0070】
RFIDリーダ・ライタ4-4の場合は、条件コードmがC0なので、図10の流れ図に示す処理を実行する。すなわち、リード動作またはライト動作を正常に終了した場合には(ST41のYES)、チャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nを次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする(ST42)。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0071】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には、リトライカウンタメモリ46のカウント値yが設定値xを超えるまで(ST44のNO)、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には(ST44のYES)、エラーとする。
【0072】
したがって、条件コードC0とパターンコードP3とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-4においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、無線チャネルcn7でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、無線チャネルcn9でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn3→cn1→cn7→cn9の順番に切替えられる。そして、空きチャネルが検出されたならば、その空チャネルを使用してリード動作またはライト動作が実行される。その後、リード動作またはライト動作が正常に終了した場合には、使用した無線チャネルが初期周波数メモリ43に記憶される。そして、次のコマンド受信時においては、前回使用した無線チャネルからキャリアセンスが開始される。
【0073】
このように本実施の形態によれば、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれ使用する無線チャネルの切替え順序が異なっている。したがって、隣接する交信エリアを有する他のRFIDリーダ・ライタの影響により通信エラーが発生しても、次のスパンではお互いが別の無線チャネルに切り換わるので、通信エラーを回避することができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、使用する無線チャネルの数も各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に設定することができる。しかも、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に無線周波数を切替える条件も変えることができる。したがって、より確実に通信エラーを回避することができ、通信効率の向上を図ることができる。
【0075】
さらに、本実施の形態によれば、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれ無線チャネルの切替条件データを個々に設定できるようになっている。したがって、隣接する交信エリアを有する他のRFIDリーダ・ライタとは異なった条件で無線チャネルが切り替るように設定できるので、より確実に通信エラーを回避することができ、通信効率の向上を図ることができる。
【0076】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば前記実施の形態では、図12のST63として動作を正常に終了し得なかった原因が通信エラーによるものか否かを判断し、通信エラーによる場合のみ、使用する無線チャネルを切替えたが、原因に関わらず、使用する無線チャネルを切替えてもよい。ただし、この場合は、アンテナの交信エリア内にRFIDタグが存在しない場合も無線周波数が切替えられて再実行されるので、図12において、ST63の処理ステップを削除し、ST65の処理ステップで判断がNOの場合に、ST32の処理ステップに進むようにすればよい。
【0077】
また、前記実施の形態では、ストアサーバ2において図8の流れ図に示す手順でリーダ・ライタ設定業務を実行することにより、リーダ・ライタ設定テーブル13に対してRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に条件コードとパターンコードを設定したが、リーダ・ライタ設定テーブル13に対する条件コードとパターンコードの設定手順は、これに限定されるものではない。例えば、条件コードとパターンコードとの組合せデータを予め複数パターン用意しておき、システムのユーザがその複数パターンの中から所望するパターンを選択して、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4に設定してもよい。
【0078】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]複数の無線チャネルのなかから空きチャネルを検索し、検出された空きチャネルを使用して無線通信媒体との間でデータ通信を行う無線通信装置において、前記空チャネルを検索するための無線チャネル切替え順序を示すチャネルパターンデータを記憶するパターン記憶手段と、前記無線チャネルの切替条件データを記憶する条件記憶手段と、
この条件記憶手段に記憶された切替条件データを満足したか否かを判断する条件判断手段と、この条件判断手段が前記切替条件データを満足したと判断すると、前記パターン記憶手段に記憶されたチャネルパターンデータの切替え順序に従い無線チャネルを切替えるチャネル切替手段と、を具備したことを特徴とする無線通信装置。
【0079】
[付記2]前記条件記憶手段は、キャリアセンスエラーの発生時という条件データを記憶したものであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【0080】
[付記3]前記条件記憶手段は、前記無線通信媒体に対してデータ通信を行うコマンドに応じた処理の実行時という条件データを記憶したものであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【0081】
[付記4]前記条件記憶手段は、前記無線通信媒体からの応答信号を受信したが、当該無線通信媒体とのデータ通信手順の中でエラーが発生したときという条件データを記憶したものであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【0082】
[付記5]請求項1記載の無線通信装置を複数備えた無線通信システムであって、前記各無線通信装置のパターン記憶手段に設定されるチャネルパターンデータ及び条件記憶手段に設定される条件データを無線通信装置毎に異ならせたことを特徴とする無線通信システム。
【0083】
[付記6]前記各無線通信装置の条件記憶手段に記憶される条件データは、キャリアセンスエラーの発生時という条件データを含むものであることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【0084】
[付記7]前記各無線通信装置の条件記憶手段に記憶される条件データは、前記無線通信媒体に対してデータ通信を行うコマンドに応じた処理の実行時という条件データを含むものであることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【0085】
[付記8]前記各無線通信装置の条件記憶手段に記憶される条件データは、前記無線通信媒体からの応答信号を受信したが、当該無線通信媒体とのデータ通信手順の中でエラーが発生したときという条件データを含むものであることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【符号の説明】
【0086】
1-1,1-2,1-3,1-4…POS端末、2…ストアサーバ、4-1,4-2,4-3,4-4…RFIDリーダ・ライタ、5-1,5-2,5-3,5-4…アンテナ、11…切替条件テーブル、12…切替パターンテーブル、13…リーダ・ライタ設定テーブル、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…タイマ部、25…無線回路部、26…キャリアセンス部、41…チャネルパターンテーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線通信媒体から無線通信を利用してデータの書込みや読取りを行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDシステムと称される無線通信システムが注目されている。このシステムは、ICチップとアンテナとを備えた小型の無線通信媒体と、電波または電磁波を利用して上記無線通信媒体との間で無線通信を行うことによりデータの書込み及び読取りを非接触で行う無線通信装置、いわゆるRFIDリーダ・ライタとから構成されている。
【0003】
無線通信媒体のICチップには、製造時に設定されるシリアルナンバー等の固有のIDが記憶されている。また、無線通信媒体は薄型化が可能であり、物品に容易に付与することができる。このため、無線通信媒体は、RFIDタグ,無線タグ等と称され、通常は管理対象の物品1つ1つに付与されて使用される。
【0004】
一方、RFIDリーダ・ライタは、無線通信媒体との間で電波または電磁波の受け渡しを行うアンテナ部と、このアンテナ部を介して無線通信媒体と非接触でデータ通信を行う無線通信装置としてのリーダ・ライタ本体とからなる。そしてRFIDリーダ・ライタは、アンテナ部の形状等によってゲート型、据置型,携帯型等に分類される。ゲート型のRFIDリーダ・ライタは、例えば盗難防止システムや通門管理システム等に利用される。据置型のRFIDリーダ・ライタは、例えば図書館の貸出管理システムや店舗の商品販売データ処理システム等に利用される。ハンディ型のRFIDリーダ・ライタは、倉庫の物品検索システムや店舗の棚卸システム等に利用される。
【0005】
ところで一般に、RFIDシステムでは、13.56MHzや2,45GHzの周波数帯が使用されている。また、最近では、860〜960MHzのUHF帯も使用されるようになってきた。ただし、UHF帯は主に携帯電話の周波数帯として用いられているため、携帯電話とRFIDシステムとの周波数帯が重複して電波状況を乱すことがないように、860〜960MHzの中でも952〜954MHzのUHF帯域(無線チャネルcn1〜無線チャネルcn9)若しくは952〜955MHzのUHF帯域(無線チャネルcn1〜無線チャネルcn14)がRFIDシステムに割り当てられている。
【0006】
一方、RFIDシステムを構築する場合、使用されるRFIDリーダ・ライタは1台のみでなく、複数台を併用する場合が殆どである。このため、複数のRFIDリーダ・ライタから発せられる電波が干渉しないように、LBT(Listen Before Talk)方式によるキャリアセンスを行っている。すなわち、RFIDリーダ・ライタが電波を出す前に空きチャネルを検索し、空きチャネルを検出できたならばそのチャネルを使用して電波を出力するようにしている。
【0007】
このようなキャリアセンス方式を用いた従来のRFIDリーダ・ライタにおいて、無線通信媒体との通信における通信異常を検知すると、所定の送信休止時間経過後に再度空チャネルを検出し、この検出された空チャネルを用いて無線通信媒体との通信を再開するようにしたものはあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−067621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、RFIDリーダ・ライタが空きチャネルを検出して無線通信媒体との間でデータ通信を行ったとしても、交信エリアが隣接する別のRFIDリーダ・ライタで空きチャネルにごく近い周波数のチャネルを使用して無線通信を行っていた場合には、その影響によって通信エラーとなる場合があった。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、交信エリアが隣接する別の無線通信装置の影響による通信エラーを極力回避して通信効率の向上を図り得る無線通信装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ICチップとアンテナとを備えた無線通信媒体との間で、複数の無線チャネルのなかから検出された空チャネルを使用して無線通信を行う無線通信装置において、複数の無線チャネルをいかなる順番で切替えて空チャネルを検索するかを定めたチャネル切替パターンデータを記憶するパターン記憶手段と、空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する条件を定めた切替条件データを記憶する条件記憶手段と、無線通信媒体との無線通信において、条件記憶手段に記憶された切替条件データの条件が成立すると、パターン記憶手段に記憶されたチャネル切替パターンデータに従い、複数の無線チャネルのなかから空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行するチャネル切替手段とを備え、条件記憶手段により記憶される切換条件データは、隣接する他の無線通信装置の条件記憶手段に記憶されるデータで定められるものとは切換条件が異なるものである。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、交信エリアが隣接する別の無線通信装置の影響による通信エラーを極力回避することができ、通信効率の向上を図ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態である商品販売データ処理システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において、ストアサーバが有する主要なデータテーブルを示す模式図。
【図3】図2における切替条件テーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図4】図2における切替パターンテーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図5】図2におけるリーダ・ライタ設定テーブルのデータ構造例を示す模式図。
【図6】同実施の形態におけるRFIDリーダ・ライタの要部構成を示すブロック図。
【図7】同実施の形態において、RFIDリーダ・ライタの記憶部に形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図8】同実施の形態において、ストアサーバが実行するリーダ・ライタ設定業務の主要な処理手順を示す流れ図。
【図9】同実施の形態において、RFIDリーダ・ライタの制御部が実行する主要な処理手順を示す流れ図。
【図10】図9のST37において、条件コードmが“C0”であったときの、その後の処理手順を示す流れ図。
【図11】図9のST37において、条件コードmが“C1”であったときの、その後の処理手順を示す流れ図。
【図12】図9のST37において、条件コードmが“C2”であったときの、その後の処理手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施の形態は、スーパーマーケット等の店舗において、各商品にそれぞれ付されたRFIDタグのデータをPOS(Point Of Sales)端末に接続されたRFIDリーダ・ライタで読み取ることによって、客が購入する商品の販売データを処理するようにした商品販売データ処理システムに、本発明の無線通信システムを適用した場合である。
【0015】
図1は、商品販売データ処理システムの一実施形態を示すブロック図である。このシステムは、複数台(図では4台)のPOS端末1-1,1-2,1-3,1-4と、各POS端末1-1,1-2,1-3,1-4を制御するストアサーバ2とを、LAN(Local Area Network)等のネットワーク3で接続している。また、各POS端末1-1,1-2,1-3,1-4に対してそれぞれRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4が1対1で設けられている。
【0016】
各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれアンテナ5-1,5-2,5-3,5-4を備えており、そのアンテナ5-1,5-2,5-3,5-4の交信エリア内に存在するRFIDタグと無線通信を行う。そして、そのRFIDタグのメモリ部に記憶されたデータを非接触で読み取ったり、このメモリ部にデータを非接触で書き込んだりする。ここに、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、本発明の無線通信装置として機能する。また、RFIDタグは、該無線通信装置がアクセスする無線通信媒体として機能する。
【0017】
RFIDタグは、アンテナとICチップとから構成されている。ICチップには、電源作成部,復調部,変調部,メモリ部及びこれらを制御する制御部等が設けられている。本実施の形態では、952〜954MHzのUHF帯域(無線チャネルcn1〜無線チャネルcn9)を使用して、RFIDリーダ・ライタ4とRFIDタグとがデータ通信を行う。すなわちRFIDタグは、アンテナでUHF帯の電波を受信すると、電源作成部の作用により電源が生成されて活性化する。活性化したRFIDタグからは、メモリ部に記憶されている固有のIDを含む応答波がそのアンテナから放射される。そして、この応答波を受信したRFIDリーダ・ライタ1と無線による回線が接続されたならば、それ以後、RFIDリーダ・ライタ1からのコマンドに応じて、受信したデータを復調してメモリ部に書込んだり、メモリ部のデータを読出し変調して、RFIDリーダ・ライタに送出したりする。このようなRFIDタグは、店舗で販売される各商品にそれぞれ取付けられている。そして、各RFIDタグのメモリ部には、それぞれ固有のIDの他、当該タグが付されている商品を特定するための単品コード等の商品データが予め記憶されている。
【0018】
各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4のアンテナ5-1,5-2,5-3,5-4は、店舗の会計場に並設された複数のチェックアウトカウンタにそれぞれ1つずつ設けられている。そして、このチェックアウトカウンタの上に商品が載せられると、その商品に付されているRFIDタグのデータを、アンテナ5-1,5-2,5-3,5-4を介してRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4がそれぞれ読み取るように構成されている。POS端末1-1,1-2,1-3,1-4は、対応するRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4がRFIDタグから読み取った商品データにより、客が買上げる商品の販売データを登録処理するように構成されている。
【0019】
ストアサーバ2は、各POS端末1-1,1-2,1-3,1-4で登録された商品販売データを、ネットワーク3を介して収集し集計して、店舗全体の売上,在庫等のデータを管理するように構成されている。また、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4の動作を制御するためのデータテーブルとして、図2に示すように、切替条件テーブル11と、切替パターンテーブル12と、リーダ・ライタ設定テーブル13とを備えている。
【0020】
切替条件テーブル11は、複数の無線チャネルのなかから空きチャネルを検索するための無線チャネルの切替えをいかなる条件が成立したときに実行するかを定めたデータのテーブルであり、図3に示すように、一意の条件コードに関連付けて、それぞれ異なる条件データが記憶されている。本実施の形態では、条件コードC1に対しては、キャリアセンスエラーの発生時に無線チャネルの切替えを行うという条件データを設定し、条件コードC2に対しては、RFIDタグに対してデータ通信を行うコマンド、すなわちリードコマンド及びライトコマンドに応じた処理を実行する毎に無線チャネルの切替えを行うという条件データを設定し、条件コードC3に対しては、キャリアセンスエラーの発生時に加え、RFIDタグとの通信エラー発生時にも無線チャネルの切替えを行うという条件を設定している。なお、通信エラーとは、RFIDタグからの応答信号を受信したが、当該RFIDタグとのデータ通信手順の中で発生したエラーであり、自己が使用した周波数と近い周波数を他のRFIDリーダ・ライタが使用していた場合に起こり得るノイズに起因したビット欠落エラーやビット化けエラー等である。
【0021】
切替パターンテーブル12は、いかなる無線チャネルを使用し、また、いかなる順番でチャネルを切替えて空チャネルを検索するかを定めたデータのテーブルであり、図4に示すように、一意のパターンコードに関連付けて、無線チャネルcn1〜無線チャネルcn9までの9チャネルの選択順位データが記憶されている。また、対応する選択順位データをいずれかのRFIDリーダ・ライタが使用している場合にオン(1)する使用フラグも、各パターンコードに関連付けて記憶されている。なお、選択順位データにおいて,“0”は未選択を示す。パターンコードの数は、システムを構築するRFIDリーダ・ライタの数よりも多くする。
【0022】
本実施の形態では、パターンコードP1に対しては、選択順位データ[123456789]を設定し、パターンコードP2に対しては、選択順位データ[987654321]を設定し、パターンコードP3に対しては、選択順位データ[403000102]を設定し、パターンコードP4に対しては、選択順位データ[430000021]を設定し、パターンコードP5に対しては、選択順位データ[000132000]を設定している。ここで、選択順位データ[123456789]は、無線チャネルを[cn1→cn2→cn3→cn4→cn5→cn6→cn7→cn8→cn9→cn1…]の順に切替えることを示す。選択順位データ[987654321]は、無線チャネルを[cn9→cn8→cn7→cn6→cn5→cn4→cn3→cn2→cn1→cn9]の順に切替えることを示す。選択順位データ[403000102]は、無線チャネルを[cn7→cn9→cn3→cn1→cn7…]の順に切替えることを示す。選択順位データ[430000021]は、無線チャネルを[cn8→cn9→cn2→cn1→cn8…]の順に切替えることを示す。選択順位データ[000132000]は、無線チャネルを[cn4→cn6→cn5→cn4…]の順に切替えることを示す。
【0023】
リーダ・ライタ設定テーブル13は、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎にいかなる切替条件とチャネル切替えパターンとを設定するかを定めたデータのテーブルであり、図5に示すように、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4のRWID(自己IDa)に関連付けて、複数の隣接IDエリア(隣接IDb,隣接IDc)と、条件コードメモリと、パターンコードエリアとから形成されている。隣接IDエリアには、自己の交信エリアに対して隣接する交信エリアを有する他のRFIDリーダ・ライタのRWIDがセットされる。なお、RWIDは、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4をそれぞれ特定するために、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に予め設定された固有の識別コード(ID)である。
【0024】
本実施の形態では、RFIDリーダ・ライタ4-1のアンテナ5-1が設けられたチェックアウトカウンタの隣に、RFIDリーダ・ライタ4-2のアンテナ5-2が設けられたチェックアウトカウンタが配置され、さらにその隣に、RFIDリーダ・ライタ4-3のアンテナ5-3が設けられたチェックアウトカウンタが配置され、さらにその隣に、RFIDリーダ・ライタ4-4のアンテナ5-4が設けられたチェックアウトカウンタが配置されている。すなわち、RFIDリーダ・ライタ4-1とRFIDリーダ・ライタ4-2とは、各々の交信エリアが隣接する。また、RFIDリーダ・ライタ4-2とRFIDリーダ・ライタ4-3とは、各々の交信エリアが隣接する。また、RFIDリーダ・ライタ4-3とRFIDリーダ・ライタ4-4とは、各々の交信エリアが隣接する。したがって、RFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]が隣接IDエリアにセットされている。また、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]とRFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]とが隣接IDエリアにセットされている。また、RFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]とRFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]とが隣接IDエリアにセットされている。また、RFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]に関連付けて、RFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]が隣接IDエリアにセットされている。
【0025】
図6は、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4の要部構成を示すブロック図である。各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は同一構成であるので、RFIDリーダ・ライタの符号4-1,4-2,4-3,4-4を“4”、アンテナ5-1,5-2,5-3,5-4の符号を“5”と総称して、その構成を説明する。
【0026】
RFIDリーダ・ライタ4は、CPU(Central Processing Unit)を主体とした制御部21と、ROM(Read Only Memory)領域及びRAM(Random Access Memory)領域を有する記憶部22と、POS端末1とデータ通信を行うための通信部23と、後述する監視時間及び動作制御時間等をそれぞれカウントするタイマ部24と、無線によるデータの送受信を制御する無線回路部25と、キャリアセンス部26とを備えている。
【0027】
無線回路部25は、PLL(Phase Locked Loop)回路31、送信部32、サーキュレータ33及び受信部34等で構成されている。PLL回路31は、高周波の正弦波信号を発生する。送信部32は、制御部21から送られてきた送信データを変調し、この変調信号とPLL回路31で作られた高周波信号とを足し合わせた信号を増幅してサーキュレータ33に出力する。サーキュレータ33は、送信部32から入力された信号はアンテナ5に出力し、アンテナ5から入力された信号は受信部34に出力する特性を有する。受信部34は、サーキュレータ33を介して入力された高周波信号を増幅した後、この増幅された高周波信号とPLL回路31の高周波信号とを組み合わせてベースバンド信号に変換し、このベースバンド信号を復調して制御部21に出力する。
【0028】
キャリアセンス部26は、当該RFIDリーダ・ライタ4が使用するUHF帯域の無線チャネル(952〜954MHzのチャネルcn1〜チャネルcn9)の使用状況を、LBT方式によるキャリアセンスによって判定する。因みに、LBT方式では、リーダ・ライタの1回の動作可能時間が最大4秒に制限されている。そして、1回の動作を終了すると50msの時間休止し、その後、空きチャネルを5msの時間監視して初めて再動作可能となる。
【0029】
記憶部22のRAM領域には、図7に示すように、チャネルパターンテーブル41、条件コードメモリ42、初期周波数メモリ43、チャネルカウンタメモリ44、リトライ回数設定値メモリ45、リトライカウンタメモリ46等を形成している。チャネルパターンテーブル41は、空チャネルを検索するための無線チャネル切替え順序を示すチャネルパターンデータを記憶するパターン記憶手段として機能する。条件コードメモリ42は、無線チャネルの切替条件データを記憶する条件記憶手段として機能する。その他のメモリエリア43〜46の機能については、後述するRFIDリーダ・ライタ4の動作説明の中で適宜説明する。
【0030】
ストアサーバ2は、そのプログラム業務の1つとして、リーダ・ライタ設定業務を実行可能である。ストアサーバ2の業務メニューのなかからリーダ・ライタ設定業務が選択されると、ストアサーバ2は、図8の流れ図に示す手順の処理を実行する。
【0031】
先ず、ストアサーバ2は、ST(ステップ)1としてRFIDリーダ・ライタ4のID入力画面をディスプレイに表示する。この画面には、RFIDリーダ・ライタ4の識別コード[RWID]の入力エリアが形成されている。そこで、ストアサーバ2は、ST2として識別コード[RWID]が入力されるのを待機する。ここで、識別コード[RWID]が入力されることなく業務終了の指示入力を受けた場合には(ST3のYES)、ストアサーバ2は、当該リーダ・ライタ設定業務の処理を終了する。
【0032】
ID入力画面のRWID入力エリアに識別コード[RWID]が入力されると(ST2のYES)、ストアサーバ2は、ST4としてリーダ・ライタ設定テーブル13を参照して、入力された識別コード[RWID]を自己IDaとするレコードにセットされた隣接IDb及び隣接IDcを取得し、ワークメモリに記憶する。また、ストアサーバ2は、ST5としてカウンタjを“0”にリセットする。
【0033】
次に、ストアサーバ2は、ST6としてリーダ・ライタ設定テーブル13を参照して、ワークメモリに記憶した隣接IDb及び隣接IDcをそれぞれ自己IDaとするレコードの条件コードメモリに、条件コードCj(Cjの“j”はカウンタjの値)が格納されているか否かを判断する。すなわち、自己に対して隣接するRFIDリーダ・ライタで条件コードCjを使用中か否かを判断する。条件コードCjが格納されていない場合、つまり使用中でない場合には(ST6のNO)、ストアサーバ2は、ST9としてリーダ・ライタ設定テーブル13の入力識別コード[RWID]を自己IDaとするレコードの条件コードメモリに、条件コードCjを書き込む。
【0034】
これに対し、条件コードCjが格納されている場合、つまり使用中の場合には(ST6のYES)、ストアサーバ2は、ST7としてカウンタjを“1”だけインクリメントする。そして、ST8としてカウンタjがその最大値jmaxを超えたか否かを判断する。カウンタjがその最大値jmaxを超えていない場合には(ST8のNO)、ストアサーバ2はST6の処理に戻り、自己に対して隣接するRFIDリーダ・ライタで条件コードCjを使用中か否かを判断する。
【0035】
因みに本実施の形態では、図3に示すように、条件コードが“C0”,“C1”,“C2”の3種類であるので、最大値jmaxは“2”となる。一方、1つのRFIDリーダ・ライタの交信エリアに隣接する交信エリアの数は最大で“2”である。したがって、一方が条件コードC0を使用し、他方が条件コードC1を使用していたとしても、条件コードC2は空いている。すなわち、ST8にてカウンタjが最大値jmaxを超えることはない。ただし、各RFIDリーダ・ライタのアンテナのレイアウトによっては、1つのアンテナの交信エリアに対して3つ以上の他のアンテナの交信エリアが隣接する場合があり、その場合は、カウンタjが最大値jmaxを超えることもあり得る。このような場合には、例えばオペレータのマニュアル入力により、任意の条件コードCjをリーダ・ライタ設定テーブル13に設定すればよい。
【0036】
ST9にてリーダ・ライタ設定テーブル13の条件コードメモリに条件コードCjを書き込んだならば、ストアサーバ2は、ST10としてディスプレイに未使用パターンリストを表示する。このリストは、切替パターンテーブル12において、使用フラグがオフ(0)されているレコードのパターンコードと選択順位データの一覧であり、いずれか1つのパターンコードPsを選択可能となっている。パターンコードPsが選択されると(ST11のYES)、ストアサーバ2は、リーダ・ライタ設定テーブル13の入力識別コード[RWID]を自己IDaとするレコードのパターンコードエリアに、パターンコードPsを書き込む。また、切替パターンテーブル12のパターンコードPsに対応する使用フラグをオンする。しかる後、ストアサーバ2は、ST1に戻り、ディスプレイの画面をRFIDリーダ・ライタ4のID入力画面に戻す。以後、ストアサーバ2は、業務終了の指示入力を受けるまで、ST1〜ST13の処理を繰返し実行する。
【0037】
このようなリーダ・ライタ設定業務を実行することにより、リーダ・ライタ設定テーブル13に対し、RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に条件コードとパターンコードを設定することができる。
【0038】
例えば今、図1において、RFIDリーダ・ライタ4-1、RFIDリーダ・ライタ4-4、RFIDリーダ・ライタ4-2、RFIDリーダ・ライタ4-3の順番に条件コードとパターンコードを設定するものとする。
【0039】
この場合、ストアサーバ2のオペレータは、ID入力画面において、先ずRFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-1に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-2である。ただし、この時点では、RFIDリーダ・ライタ4-2に対して条件コードが設定されていない。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]に対応した条件コードメモリには、条件コードC0が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP5を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]に対応したパターンコードエリアには、パターンコードP5が設定される。
【0040】
次に、オペレータは、ID入力画面において、RFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-4に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-3である。ただしこの時点では、RFIDリーダ・ライタ4-3に対して条件コードが設定されていない。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]に対応した条件コードメモリには、条件コードC0が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに、パターンコードP5を除く未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP3を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-4の識別コード[RWID4]に対応するパターンコードエリアには、パターンコードP3が設定される。
【0041】
次に、オペレータは、ID入力画面において、RFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-2に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-1とRFIDリーダ・ライタ4-3であり、RFIDリーダ・ライタ4-1に対して条件コードC0が設定されているのでカウンタjが“1”に繰り上がる。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]に対応した条件コードメモリには、条件コードC1が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに、パターンコードP3及びP5を除く未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP4を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-2の識別コード[RWID2]に対応したパターンコードエリアには、パターンコードP4が設定される。
【0042】
最後にオペレータは、ID入力画面において、RFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]を入力する。ここで、RFIDリーダ・ライタ4-3に対して隣接するRFIDリーダ・ライタはRFIDリーダ・ライタ4-2とRFIDリーダ・ライタ4-4であり、RFIDリーダ・ライタ4-2に対しては条件コードC1が、RFIDリーダ・ライタ4-4に対しては条件コードC0が設定されているのでカウントjが“2”に繰り上がる。したがって、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]に対応した条件コードメモリには、条件コードC2が設定される。次いで、ストアサーバ2のディスプレイに、パターンコードP3〜P5を除く未使用パターンリストが表示される。ここで、オペレータが、パターンコードP1を選択したものとする。そうすると、リーダ・ライタ設定テーブル13におけるRFIDリーダ・ライタ4-3の識別コード[RWID3]に対応したパターンコードエリアには、パターンコードP1が設定される。
【0043】
さて、上記の如くリーダ・ライタ設定テーブル13に対してRFIDリーダ・ライタ別に条件コードとパターンコードが設定されている状態において、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4の電源をオンすると、その制御部21は、図9〜図12の流れ図に示す手順で動作する。はじめに、RFIDリーダ・ライタ4-1の電源をオンした場合について説明する。
【0044】
RFIDリーダ・ライタ4-1の制御部21は、先ず、ST21としてストアサーバ2に対する設定データ問合せコマンドを送信する。問合せコマンドには、当該RFIDリーダ・ライタ4-1の識別コード[RWID1]が含まれる。問合せコマンドは、対応するPOS端末1-1を経由し、ネットワーク3を介してストアサーバ2に送信される。
【0045】
問合せコマンドを受信したストアサーバ2は、リーダ・ライタ設定テーブル13を検索して、コマンド中の識別コード[RWID1]に対応する条件コードC0とパターンコードP5とを読み出す。次に、切替パターンテーブル12を検索して、上記パターンコードP5に対応する選択順位データを読み出す。そして、この選択順位データに基づいてチャネルパターンデータを作成する。RFIDリーダ・ライタ4-1の場合、選択順位データは[000132000]であるので、チャネルパターンデータ[cn4,cn6,cn5,0,0,0,0,0,0]が作成される。ストアサーバ2は、上記条件コードC0とチャネルパターンデータ[cn4,cn6,cn5,0,0,0,0,0,0]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。応答コマンドは、ネットワーク3を経由し、POS端末1-1を介してRFIDリーダ・ライタ4-1に送信される。
【0046】
制御部21は、ST22として設定データ応答コマンドを待機する。設定データ応答コマンドを受信すると(ST22のYES)、制御部21は、ST23として応答コマンド中の条件コードC0を、条件コードメモリ42に格納する。また、ST24として応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn4,cn6,cn5,0,0,0,0,0,0]をチャネルパターンテーブル41に、チャネル番号n=1〜9の順にセットする。さらに、ST25として初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する。
【0047】
しかる後、制御部21は、ST26としてPOS端末1-1からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されるのを待機する。いずれかのコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は、ST27としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“0”にリセットする。また、ST28としてチャネルカウンタメモリ44に初期周波数メモリ43の値kをセットする。そして、ST29としてチャネルパターンテーブル41を検索し、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nに一致するチャネル番号のチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。
【0048】
チャネルデータcnnが“0”の場合には(ST29のYES)、制御部21は、ST32の処理に進む。すなわち、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nを“1”だけインクリメントする。そして、ST33としてカウント値nがチャネル番号の最大値“9”を超えたか否かを判断する。カウント値nがチャネル番号の最大値を越えた場合には、ST34としてカウント値nを“1”に戻す。しかる後、制御部21は、ST29に戻り、チャネルカウンタメモリ44のチャネル番号nに一致するチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。
【0049】
チャネルデータcnnが“0”でない場合は(ST29のNO)、制御部21は、ST30としてそのチャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。すなわち、タイマ部24の監視タイマを起動し、この監視タイマがタイムアウトするまでの時間(LTB方式においては5ms)、上記チャネルデータcnnの周波数信号を受信部34が受信しているか否かを、キャリアセンス部26から読み込んだCS信号により判定する(ST31:条件判断手段)。CS信号は、チャネルデータcnnの周波数信号を受信部34が受信していない状態では“0”レベルであり、受信すると“1”レベルとなる。制御部21は、ST31として上記CS信号が“0”レベルであるか否かを判断する。
【0050】
CS信号が“1”レベルの場合(ST31のYES)には、チャネルデータcnnの周波数は使用中のチャネルである。この場合、制御部21は、ST32に進む。そして、前述したように、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nを“1”だけインクリメントし(チャネル切替手段)、カウント値nがチャネル番号の最大値“9”を超えた場合には、カウント値nを“1”に戻した後、再び、カウント値nに一致するチャネル番号のチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。
【0051】
CS信号が“0”レベルの場合(ST31のNO)には、チャネルデータcnnの周波数は空きチャネルである。この場合、制御部21は、ST35としてその空チャネルの周波数を使用してコマンド処理を実行する。例えばリードコマンドであれば、タイマ部24の動作制限タイマをスタートさせるとともに、アンテナ5-1の交信エリア内に存在するRFIDタグとチャネルデータcnnの周波数で無線通信を行って、データの読取りを行う。ライトコマンドであれば、タイマ部24の動作制限タイマをスタートさせるとともに、アンテナ5-1の交信エリア内に存在するRFIDタグとチャネルデータcnnの周波数で無線通信を行って、データの書込みを行う。なお、動作制限タイマは、LBT方式において、最大の動作可能時間4sに達するとタイムアウトする。
【0052】
制御部21は、ST36としてリード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトするのを待機する。リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば、制御部21は、ST37として条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0053】
RFIDリーダ・ライタ4-1の場合は、条件コードmが“C0”なので、図10の流れ図に示す処理を実行する。すなわち制御部21は、ST41としてリード動作またはライト動作を正常に終了したか否かを判断する。正常に終了した場合には、制御部21は、ST42としてチャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nを次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0054】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には、制御部21は、ST43としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“1”だけインクリメントする。そして、ST44としてカウント値yがリトライ回数設定値メモリ45に記憶されている設定値xを超えたか否かを判断する。カウント値yが設定値xを越えていない場合には(ST44のNO)、制御部21は、ST30に戻り、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には、エラーとする。
【0055】
したがって、条件コードC0とパターンコードP5とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-1においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、無線チャネルcn4でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、無線チャネルcn6でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn5→cn4→cn6→cn5の順番に切替えられる。そして、空きチャネルが検出されたならば、その空チャネルを使用してリード動作またはライト動作が実行される。その後、リード動作またはライト動作が正常に終了した場合には、使用した無線チャネルが初期周波数メモリ43に記憶される。そして、次のコマンド受信時においては、前回使用した無線チャネルからキャリアセンスが開始される。
【0056】
次に、RFIDリーダ・ライタ4-2の電源をオンした場合について説明する。RFIDリーダ・ライタ4-2の電源をオンすると、当該RFIDリーダ・ライタ4-2の制御部21は、識別コード[RWID2]を含む設定データ問合せコマンドをストアサーバ2に送信する(ST21)。ストアサーバ2では、リーダ・ライタ設定テーブル13から識別コード[RWID2]に対応する条件コードC1とパターンコードP4とを読み出す。そして、このパターンコードP4に対応した選択順位データに基づいてチャネルパターンデータ[cn9,cn8,cn2,cn1,0,0,0,0,0]を作成し、この条件コードC1とチャネルパターンデータ[cn9,cn8,cn2,cn1,0,0,0,0,0]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。
【0057】
上記設定データ応答コマンドを受信したRFIDリーダ・ライタ4-2の制御部21は、応答コマンド中の条件コードC1を、条件コードメモリ42に格納する(ST23)。また、応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn9,cn8,cn2,cn1,0,0,0,0,0]を、チャネルパターンテーブル41にセットする(ST24)。さらに、初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する(ST25)。その後、POS端末1-2からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は無線チャネルをcn9,cn8,cn2,cn1の順に切替えてキャリアセンスを実行し(ST30)、空チャネルを検出したならば(ST31のNO)、その空チャネルの周波数でコマンド処理を実行する(ST35)。そして、リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば(ST36のYES)、制御部21は、条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する(ST37)。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0058】
RFIDリーダ・ライタ4-2の場合は、条件コードmがC1なので、図11の流れ図に示す処理を実行する。すなわち制御部21は、ST51としてリード動作またはライト動作を正常に終了したか否かを判断する(条件判断手段)。正常に終了した場合には(ST51のYES)、制御部21は、ST52としてチャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nに“1”を加算した値を、次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする(チャネル切替手段)。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0059】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には(ST51のNO)、制御部21は、ST53としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“1”だけインクリメントする。そして、ST54としてカウント値yがリトライ回数設定値メモリ45に記憶されている設定値xを超えたか否かを判断する。カウント値yが設定値xを越えていない場合には(ST54のNO)、制御部21は、ST30に戻り、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には、エラーとする。
【0060】
したがって、条件コードC1とパターンコードP4とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-2においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、チャネルcn9でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、チャネルcn8でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn2→cn1→cn9→cn8の順番に切替えられる。そして、空きチャネルが検出されたならば、その空チャネルを使用してリード動作またはライト動作が実行される。また、リード動作またはライト動作が正常に終了した場合には、チャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nに“1”を加算した値が、次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きされる。したがって、次のコマンド受信時においては、キャリアセンス時と同様な順番で前回使用された無線チャネルの次の無線チャネルに自動的に切替えられてキャリアセンスが開始される。
【0061】
次に、RFIDリーダ・ライタ4-3の電源をオンした場合について説明する。RFIDリーダ・ライタ4-3の電源をオンすると、当該RFIDリーダ・ライタ4-3の制御部21は、識別コード[RWID3]を含む設定データ問合せコマンドをストアサーバ2に送信する(ST21)。ストアサーバ2では、リーダ・ライタ設定テーブル13から識別コード[RWID3]に対応する条件コードC2とパターンコードP1とを読み出す。そして、このパターンコードP1に対応した選択順位データに基づいてチャネルパターンデータ[cn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9]を作成し、この条件コードC2とチャネルパターンデータ[cn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。
【0062】
上記設定データ応答コマンドを受信したRFIDリーダ・ライタ4-3の制御部21は、応答コマンド中の条件コードC2を、条件コードメモリ42に格納する(ST23)。また、応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9]を、チャネルパターンテーブル41にセットする(ST24)。さらに、初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する(ST25)。その後、POS端末1-3からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は無線チャネルをcn1,cn2,cn3,cn4,cn5,cn6,cn7,cn8,cn9の順に切替えてキャリアセンスを実行し(ST30)、空チャネルを検出したならば(ST31のNO)、その空チャネルの周波数でコマンド処理を実行する(ST35)。そして、リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば(ST36のYES)、制御部21は、条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する(ST37)。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0063】
RFIDリーダ・ライタ4-3の場合は、条件コードmがC2なので、図12の流れ図に示す処理を実行する。すなわち制御部21は、ST61としてリード動作またはライト動作を正常に終了したか否かを判断する。正常に終了した場合には(ST61のYES)、制御部21は、ST62としてチャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nを、次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0064】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には(ST61のNO)、制御部21は、ST63として異常終了した原因が通信上のエラーによるものか否かを判別する(条件判断手段)。因みに、通信上のエラーとは、RFIDタグからの応答信号を受信し、RFIDタグがアンテナ5-3の交信エリア内に存在することを検知できたが、このRFIDタグに記憶されているデータを読み取るためのデータ通信手順の中でビット欠落エラーやビット化けエラーが発生したり、通信に時間を要して動作制限タイマのタイムアウトエラーとなってしまって、データを正常に書き込めなかった場合である。
【0065】
通信上のエラーに起因する場合には、制御部21は、ST32に進む。すなわち、チャネルカウンタメモリ44のカウント値nを“1”だけインクリメントし(チャネル切替手段)、カウント値nがチャネル番号の最大値“9”を超えた場合には、カウント値nを“1”に戻した後、カウント値nに一致するチャネル番号のチャネルデータcnnが“0”であるか否かを判断する。チャネルデータcnnが“0”でない場合は、制御部21は、そのチャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。チャネルデータcnnが空チャネルである場合には、制御部21は、その空チャネルの周波数を使用して再びコマンド処理を実行する。
【0066】
一方、例えばRFIDタグを検出できない等というように通信上のエラーに起因しない場合には、制御部21は、ST64としてリトライカウンタメモリ46のカウント値yを“1”だけインクリメントする。そして、ST65としてカウント値yがリトライ回数設定値メモリ45に記憶されている設定値xを超えたか否かを判断する。カウント値yが設定値xを越えていない場合には(ST65のNO)、制御部21は、ST30に戻り、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には、エラーとする。
【0067】
したがって、条件コードC2とパターンコードP1とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-3においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、チャネルcn1でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、チャネルcn2でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn3→cn4→cn5→cn6→cn7→cn8→cn9→cn1→cn2の順番に切替えられる。また、リード動作またはライト動作が正常に終了しなかった場合で、かつその原因が通信上のエラーに起因するときも、キャリアセンス時と同様な順番で使用周波数が切替えられて、リード動作またはライト動作が再実行される。この際、リトライカウンタメモリ46はインクリメントされないので、正常に完了するまで周波数を切替えながら動作が繰返し実行される。
【0068】
次に、RFIDリーダ・ライタ4-4の電源をオンした場合について説明する。RFIDリーダ・ライタ4-4の電源をオンすると、当該RFIDリーダ・ライタ4-4の制御部21は、識別コード[RWID4]を含む設定データ問合せコマンドをストアサーバ2に送信する(ST21)。ストアサーバ2では、リーダ・ライタ設定テーブル13から識別コード[RWID4]に対応する条件コードC0とパターンコードP3とを読み出す。そして、このパターンコードP3に対応した選択順位データに基づいてチャネルパターンデータ[cn7,cn9,cn3,cn1,0,0,0,0,0]を作成し、この条件コードC0とチャネルパターンデータ[cn7,cn9,cn3,cn1,0,0,0,0,0]とを含む設定データ応答コマンドを返信する。
【0069】
上記設定データ応答コマンドを受信したRFIDリーダ・ライタ4-4の制御部21は、応答コマンド中の条件コードC0を、条件コードメモリ42に格納する(ST23)。また、応答コマンド中のチャネルパターンデータ[cn7,cn9,cn3,cn1,0,0,0,0,0]を、チャネルパターンテーブル41にセットする(ST24)。さらに、初期周波数メモリの値kを“1”に初期化する(ST25)。その後、POS端末1-4からリードコマンドまたはライトコマンドが入力されたならば(ST26のYES)、制御部21は無線チャネルをcn7,cn9,cn3,cn1の順に切替えてキャリアセンスを実行し(ST30)、空チャネルを検出したならば(ST31のNO)、その空チャネルの周波数でコマンド処理を実行する(ST35)。そして、リード動作またはライト動作を終了するか動作制限タイマがタイムアウトしたならば(ST36のYES)、制御部21は、条件コードメモリ42に設定されている条件コードmを判別する(ST37)。そして、この条件コードmに応じた処理を実行する。
【0070】
RFIDリーダ・ライタ4-4の場合は、条件コードmがC0なので、図10の流れ図に示す処理を実行する。すなわち、リード動作またはライト動作を正常に終了した場合には(ST41のYES)、チャネルカウンタメモリ44の現時点のカウント値nを次回の初期周波数kとして初期周波数メモリ43に上書きする(ST42)。しかる後、ST26に戻って、次のコマンドを待機する。
【0071】
一方、リード動作またはライト動作を正常に終了できなかった場合には、リトライカウンタメモリ46のカウント値yが設定値xを超えるまで(ST44のNO)、チャネルデータcnnの周波数でキャリアセンスを実行する。カウント値yが設定値xを越えた場合には(ST44のYES)、エラーとする。
【0072】
したがって、条件コードC0とパターンコードP3とが設定されたRFIDリーダ・ライタ4-4においては、リードコマンドまたはライトコマンド受信時に、先ず、無線チャネルcn7でキャリアセンスが実行され、キャリアセンスエラーになると、無線チャネルcn9でキャリアセンスが実行される。以後、空きチャネルが検出されるまで、無線チャネルがcn3→cn1→cn7→cn9の順番に切替えられる。そして、空きチャネルが検出されたならば、その空チャネルを使用してリード動作またはライト動作が実行される。その後、リード動作またはライト動作が正常に終了した場合には、使用した無線チャネルが初期周波数メモリ43に記憶される。そして、次のコマンド受信時においては、前回使用した無線チャネルからキャリアセンスが開始される。
【0073】
このように本実施の形態によれば、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれ使用する無線チャネルの切替え順序が異なっている。したがって、隣接する交信エリアを有する他のRFIDリーダ・ライタの影響により通信エラーが発生しても、次のスパンではお互いが別の無線チャネルに切り換わるので、通信エラーを回避することができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、使用する無線チャネルの数も各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に設定することができる。しかも、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に無線周波数を切替える条件も変えることができる。したがって、より確実に通信エラーを回避することができ、通信効率の向上を図ることができる。
【0075】
さらに、本実施の形態によれば、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4は、それぞれ無線チャネルの切替条件データを個々に設定できるようになっている。したがって、隣接する交信エリアを有する他のRFIDリーダ・ライタとは異なった条件で無線チャネルが切り替るように設定できるので、より確実に通信エラーを回避することができ、通信効率の向上を図ることができる。
【0076】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば前記実施の形態では、図12のST63として動作を正常に終了し得なかった原因が通信エラーによるものか否かを判断し、通信エラーによる場合のみ、使用する無線チャネルを切替えたが、原因に関わらず、使用する無線チャネルを切替えてもよい。ただし、この場合は、アンテナの交信エリア内にRFIDタグが存在しない場合も無線周波数が切替えられて再実行されるので、図12において、ST63の処理ステップを削除し、ST65の処理ステップで判断がNOの場合に、ST32の処理ステップに進むようにすればよい。
【0077】
また、前記実施の形態では、ストアサーバ2において図8の流れ図に示す手順でリーダ・ライタ設定業務を実行することにより、リーダ・ライタ設定テーブル13に対してRFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4毎に条件コードとパターンコードを設定したが、リーダ・ライタ設定テーブル13に対する条件コードとパターンコードの設定手順は、これに限定されるものではない。例えば、条件コードとパターンコードとの組合せデータを予め複数パターン用意しておき、システムのユーザがその複数パターンの中から所望するパターンを選択して、各RFIDリーダ・ライタ4-1,4-2,4-3,4-4に設定してもよい。
【0078】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]複数の無線チャネルのなかから空きチャネルを検索し、検出された空きチャネルを使用して無線通信媒体との間でデータ通信を行う無線通信装置において、前記空チャネルを検索するための無線チャネル切替え順序を示すチャネルパターンデータを記憶するパターン記憶手段と、前記無線チャネルの切替条件データを記憶する条件記憶手段と、
この条件記憶手段に記憶された切替条件データを満足したか否かを判断する条件判断手段と、この条件判断手段が前記切替条件データを満足したと判断すると、前記パターン記憶手段に記憶されたチャネルパターンデータの切替え順序に従い無線チャネルを切替えるチャネル切替手段と、を具備したことを特徴とする無線通信装置。
【0079】
[付記2]前記条件記憶手段は、キャリアセンスエラーの発生時という条件データを記憶したものであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【0080】
[付記3]前記条件記憶手段は、前記無線通信媒体に対してデータ通信を行うコマンドに応じた処理の実行時という条件データを記憶したものであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【0081】
[付記4]前記条件記憶手段は、前記無線通信媒体からの応答信号を受信したが、当該無線通信媒体とのデータ通信手順の中でエラーが発生したときという条件データを記憶したものであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【0082】
[付記5]請求項1記載の無線通信装置を複数備えた無線通信システムであって、前記各無線通信装置のパターン記憶手段に設定されるチャネルパターンデータ及び条件記憶手段に設定される条件データを無線通信装置毎に異ならせたことを特徴とする無線通信システム。
【0083】
[付記6]前記各無線通信装置の条件記憶手段に記憶される条件データは、キャリアセンスエラーの発生時という条件データを含むものであることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【0084】
[付記7]前記各無線通信装置の条件記憶手段に記憶される条件データは、前記無線通信媒体に対してデータ通信を行うコマンドに応じた処理の実行時という条件データを含むものであることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【0085】
[付記8]前記各無線通信装置の条件記憶手段に記憶される条件データは、前記無線通信媒体からの応答信号を受信したが、当該無線通信媒体とのデータ通信手順の中でエラーが発生したときという条件データを含むものであることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
【符号の説明】
【0086】
1-1,1-2,1-3,1-4…POS端末、2…ストアサーバ、4-1,4-2,4-3,4-4…RFIDリーダ・ライタ、5-1,5-2,5-3,5-4…アンテナ、11…切替条件テーブル、12…切替パターンテーブル、13…リーダ・ライタ設定テーブル、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…タイマ部、25…無線回路部、26…キャリアセンス部、41…チャネルパターンテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップとアンテナとを備えた無線通信媒体との間で、複数の無線チャネルのなかから検出された空チャネルを使用して無線通信を行う無線通信装置において、
前記複数の無線チャネルをいかなる順番で切替えて空チャネルを検索するかを定めたチャネル切替パターンデータを記憶するパターン記憶手段と、
前記空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する条件を定めた切替条件データを記憶する条件記憶手段と、
前記無線通信媒体との無線通信において、前記条件記憶手段に記憶された前記切替条件データの条件が成立すると、前記パターン記憶手段に記憶されたチャネル切替パターンデータに従い、前記複数の無線チャネルのなかから空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行するチャネル切替手段と、を具備し、
前記条件記憶手段により記憶される前記切換条件データは、隣接する他の無線通信装置の条件記憶手段に記憶されるデータで定められるものとは切換条件が異なるものであることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
隣接する他の無線装置の条件記憶手段に記憶される切換条件データとは切換条件の種類が異なる切換条件データを前記条件記憶手段に設定する切換条件設定手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記条件記憶手段で記憶する切替条件データの1つは、キャリアセンスエラーの発生時に前記無線チャネルの切替えを実行するという条件を定めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記条件記憶手段で記憶する切替条件データの1つは、前記無線通信媒体に対するコマンド実行後に前記無線チャネルの切替えを実行するという条件を定めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記条件記憶手段で記憶する切替条件データの1つは、前記無線通信媒体からの応答信号を受信したが、当該無線通信媒体とのデータ通信手順のなかでエラーが発生したとき前記無線チャネルの切替えを実行するという条件を定めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記パターン記憶手段により記憶されるチャネル切替パターンデータは、隣接する他の無線通信装置のパターン記憶手段に記憶されるデータで定められるものとはチャネル切換パターンが異なるものであることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1記載の無線通信装置。
【請求項1】
ICチップとアンテナとを備えた無線通信媒体との間で、複数の無線チャネルのなかから検出された空チャネルを使用して無線通信を行う無線通信装置において、
前記複数の無線チャネルをいかなる順番で切替えて空チャネルを検索するかを定めたチャネル切替パターンデータを記憶するパターン記憶手段と、
前記空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行する条件を定めた切替条件データを記憶する条件記憶手段と、
前記無線通信媒体との無線通信において、前記条件記憶手段に記憶された前記切替条件データの条件が成立すると、前記パターン記憶手段に記憶されたチャネル切替パターンデータに従い、前記複数の無線チャネルのなかから空チャネルを検索するための無線チャネルの切替えを実行するチャネル切替手段と、を具備し、
前記条件記憶手段により記憶される前記切換条件データは、隣接する他の無線通信装置の条件記憶手段に記憶されるデータで定められるものとは切換条件が異なるものであることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
隣接する他の無線装置の条件記憶手段に記憶される切換条件データとは切換条件の種類が異なる切換条件データを前記条件記憶手段に設定する切換条件設定手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記条件記憶手段で記憶する切替条件データの1つは、キャリアセンスエラーの発生時に前記無線チャネルの切替えを実行するという条件を定めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記条件記憶手段で記憶する切替条件データの1つは、前記無線通信媒体に対するコマンド実行後に前記無線チャネルの切替えを実行するという条件を定めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記条件記憶手段で記憶する切替条件データの1つは、前記無線通信媒体からの応答信号を受信したが、当該無線通信媒体とのデータ通信手順のなかでエラーが発生したとき前記無線チャネルの切替えを実行するという条件を定めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記パターン記憶手段により記憶されるチャネル切替パターンデータは、隣接する他の無線通信装置のパターン記憶手段に記憶されるデータで定められるものとはチャネル切換パターンが異なるものであることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1記載の無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−187412(P2010−187412A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115649(P2010−115649)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【分割の表示】特願2008−97412(P2008−97412)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【分割の表示】特願2008−97412(P2008−97412)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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