説明

無線通信装置

【課題】送信電波の予想外の漏れや干渉を抑制することができる無線通信装置を提供すること。
【解決手段】アンテナ17を介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置において、無線通信の対象とする空間の画像を取得する画像取得部20と、画像取得部20によって取得された画像に基づいて、無線通信端末の利用者の位置を特定する利用者位置特定部21と、アンテナ17の放射エリアが利用者位置特定部21によって特定された位置を含むようにアンテナ17の指向性を変更するアンテナ制御部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置の電波は、アンテナの特性に応じて放射範囲が異なる。直進性の高い無線電波に対しては、指向性が高いアンテナを用いて、通信相手の装置が設置された方向にアンテナの放射方向を調整するものや、無指向性アンテナを用いて、通信相手の装置が無線電波の放射範囲に入るように、任意の場所に設置できるようにしたものが利用されている。
【0003】
例えば、ミリ波と呼ばれる直進性の高い電波に対しては、複数の無指向性アンテナとデジタル信号処理とによって電波の放射方向を制御するビームフォーミング技術によって電波の放射方向を制御する技術が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0004】
アンテナを介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置としては、回転機能を持つ指向性アンテナを搭載した情報無線通信端末で測定した電波の受信強度により、他の情報無線通信端末の位置を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、上記特許文献1には、回転機能を持つ指向性アンテナを搭載した1台の情報無線通信端末だけでは検出できない情報無線通信端末を検出する目的で、回転機能を持つ指向性アンテナを搭載した複数の情報無線通信端末で測定した電波の受信強度により、情報無線通信端末の位置を相互に検出する技術も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の技術は、通信相手の無線通信端末の位置を把握することができるものの、その後の無線通信において送受信される電波の予想外の漏れや干渉に対して考慮されていないという課題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、送信電波の予想外の漏れや干渉を抑制することができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の無線通信装置は、アンテナを介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置において、前記無線通信の対象とする空間の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された画像に基づいて、前記無線通信端末の利用者の位置を特定する利用者位置特定部と、前記アンテナの放射エリアが前記利用者位置特定部によって特定された位置を含むように前記アンテナの指向性を変更するアンテナ制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、送信電波の予想外の漏れや干渉を抑制することができる無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線通信装置を構成するテレビ会議装置をマスターとした無線ネットワークを示すブロック図である。
【図2】図1に示したテレビ会議装置による電波の放射イメージの一例を示す概念図である。
【図3】ダイポールアンテナと指向性アンテナとの電波の放射特性を示す概念図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置のブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置による電波の放射エリアを示す概念図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置のアンテナ制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の利用者位置特定処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置のブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る無線通信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る無線通信装置は、例えば、テレビ会議装置1によって構成され、このテレビ会議装置1をマスターとした無線ネットワーク2を無線通信端末3と共に構成する。なお、図4には、3つの無線通信装置3が図示されているが、その数を限定するものではない。
【0013】
従来、このような無線ネットワーク2を構成するときに用いられる無線通信装置は、指向性がほとんどないダイポール型のアンテナが設けられていることが多く、電波は広範囲に拡散して伝播する。
【0014】
電波の特性上、従来の無線LAN(Local Area Network)等で利用されてきた、2.4GHzや5GHzのチャンネル周波数の電波は、ある程度拡散していくことになる。例えば、図1に示した無線ネットワーク2で用いられてきた無線通信装置を構成するテレビ会議装置1が、会議室等のような限定された空間に配置されたときの電波の放射イメージ5は、図2に示すようになる。
【0015】
このように、マスターとなるテレビ会議装置1が無線通信端末3との間で無線ネットワーク2を構成したとき、テレビ会議装置1から放射される電波は、無線通信端末3の利用者が存在しない方向にも放射されることになる。
【0016】
勿論、放射された電波の先に利用者の無線通信端末3が存在すれば問題ないが、セキュリティの観点から見れば、会議に参加している利用者以外の無線通信端末による無線ネットワーク2に対するアクセスは、望ましくはない。
【0017】
無線通信装置に用いられるアンテナ素子は、形状や材質等により、様々な特性を持つ。例えば、図3に符号7で示すように、ダイポールアンテナは、一般的に、指向性が高くなく、比較的広範囲に電波を伝播させる。
【0018】
したがって、このタイプのアンテナは、無線通信装置を設置する際に、その設置方向等を微調整せずに使用することができるといった利点があり、現在の無線通信装置類では多用されている。
【0019】
また、60GHz帯等のミリ波は、強い指向性を持っているため、複数の無指向性アンテナ装置と、送出波形の位相処理等の信号処理とによって指向性を制御することができるため、ミリ波帯域を使用する無線通信には、無指向性アンテナを用いたシステムが検討されている。
【0020】
一方、図3に符号8で示すように、指向性アンテナは、電波が伝播するエリアが狭いため、無線局同士の中継や屋外のアクセスポイント同士の通信等に利用されることが多い。しかし、電波が伝播するエリアが限られているという特性を利用すれば、指向性アンテナは、不要な電波の放射エリアを少なくすることができるため、指向性アンテナによる電波の放射方向を可変にすることで、セキュリティに配慮した無線ネットワークを構成することが可能となる。
【0021】
なお、上述した説明において、本発明に係る無線通信装置をテレビ会議装置1によって構成した例について説明したが、本発明に係る無線通信装置は、プロジェクタ、ホスト無線通信端末、携帯端末、または、アクセスポイント等によって構成してもよい。
【0022】
上述したような本発明の実施の形態に係る無線通信装置について、以下に詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図4に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置10は、撮影装置11と、画像処理モジュール12と、システム制御装置13と、記憶装置14と、無線通信部15と、アンテナ制御部16と、アンテナ17と、キーボード装置やポインティングデバイス等によって構成される入力装置18とを備えている。
【0024】
撮影装置11は、複数のレンズ11a〜11cと、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のイメージセンサ11dによって構成されている。撮影装置11は、無線通信の対象とする会議室等の空間の画像を取得するようになっている。
【0025】
画像処理モジュール12は、例えば、撮影装置11によって撮影された画像に対する2値化処理やフィルタ処理等を行うDSP(Digital Signal Processing)、FGPA(Field-programmable Gate Array)またはLSI(Large Scale Integration)等によって構成されている。
【0026】
撮影装置11および画像処理モジュール12は、画像取得部20を構成する。なお、設置場所が無線通信装置10に対して相対的に既知であれば、撮影装置11に代えて、ビデオカメラ等の外部の撮影装置を用いてもよい。この場合には、撮影装置11および画像処理モジュール12に代えて、外部の撮影装置とのインタフェース回路を設け、このインタフェース回路が画像取得部20を構成する。
【0027】
システム制御装置13は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等によって構成されている。ROMおよび記憶装置14には、当該装置を無線通信装置10として機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0028】
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMおよび記憶装置14に記憶されたプログラムを実行することにより、当該装置は、無線通信装置10として機能する。本実施の形態において、システム制御装置13は、利用者位置特定部21を構成する。
【0029】
利用者位置特定部21は、画像取得部20から得られた画像の中から顔画像を識別し、識別した顔画像に基づいて利用者を認証し、正当なものとして認証された利用者の位置を特定するようになっている。
【0030】
例えば、利用者位置特定部21には、会議の参加者等の利用者の顔情報が事前に登録されており、利用者位置特定部21は、画像取得部20によって取得された画像の中から識別された顔画像と、事前に登録された顔画像とを照合することにより、各顔画像に対応する利用者が正当なものであるか否かを判断するようになっている。
【0031】
ここで、利用者位置特定部21は、正当なものであると判断した利用者の無線通信装置10に対する相対的な位置を、画像取得部20から得られるフォーカス調整情報等に基づいて特定し、特定した位置を表す位置情報と当該利用者を識別するIDとを対応付けて記憶装置14に格納するようになっている。
【0032】
なお、本実施の形態においては、システム制御装置13が、画像取得部20によって取得された画像の中から顔画像を識別し、識別した顔画像に基づいて利用者を認証するものとして説明したが、本発明においては、システム制御装置13は、顔画像に代えて、虹彩画像または耳画像等のように生体認証に用いることが可能な利用者の部位の画像を識別して認証するようにしてもよい。
【0033】
また、本発明において、システム制御装置13は、無線通信端末3やIDカード等のように、利用者の近くに置かれる物体に付されたマーカを表すマーカ画像を識別し、識別したマーカ画像に基づいて利用者を認証するようにしてもよい。ここで、マーカとしては、バーコード等の模様や文字列等がある。
【0034】
記憶装置14は、ハードディスク装置またはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体によって構成されている。各無線通信部15は、アンテナ17を介して無線通信端末3と無線ネットワーク2を構成し、各無線通信端末3と信号の送受信を行うようになっている。
【0035】
例えば、無線通信部15は、システム制御装置13から各無線通信端末3に送信するための信号をアンテナ17を介して送信するためのアップコンバータ、フィルタおよび増幅器等を有する送信回路と、各無線通信端末3から送信された信号をシステム制御装置13に出力するためのダウンコンバータ、フィルタおよび増幅器等を有する受信回路とによって構成されている。
【0036】
アンテナ17は、複数の指向性アンテナ素子17a〜17cによって構成されている。なお、図4には、3つの指向性アンテナ素子17a〜17cが図示されているが、その数を限定するものではない。
【0037】
アンテナ制御部16は、指向性アンテナ素子17a〜17cから少なくとも1つの指向性アンテナ素子を選択し、選択した指向性アンテナ素子を介した無線通信端末3との電波の送受信を無線通信部15に行わせるようになっている。
【0038】
具体的には、アンテナ制御部16は、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ17の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子17a〜17cから少なくとも1つの指向性アンテナ素子を選択するようになっている。
【0039】
また、アンテナ制御部16は、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ17の放射エリアが最小限に含むように、指向性アンテナ素子17a〜17cから選択した指向性アンテナ素子から放射される電波の送信パワーを変更するようになっている。
【0040】
例えば、図5に示す例においては、アンテナ制御部16は、指向性アンテナ素子17aの放射エリア19aと、指向性アンテナ素子17bの放射エリア19bと、指向性アンテナ素子17cの放射エリア19cとの中で、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ17の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子17aを選択し、指向性アンテナ素子17aから放射される電波の送信パワーを最小限に変更するようになっている。
【0041】
このように構成された無線通信装置10のアンテナ制御動作について、図6および図7を用いて説明する。なお、以下に示す無線通信装置10のアンテナ制御動作は、入力装置18に無線ネットワークの構成の指示が入力されたとき、無線ネットワークを構成する無線通信端末3との通信が切断されたとき、または、一定時間間隔(例えば、数分間隔)にスタートする。
【0042】
まず、画像取得部20によって無線通信の対象とする空間の画像が取得され(ステップS1:画像取得ステップ)、取得された画像に基づいて、無線通信端末3の利用者の位置が利用者位置特定部21によって特定される利用者位置特定処理が実行される(ステップS2:利用者位置特定ステップ)。
【0043】
無線通信端末3の利用者の位置を表す位置情報は、利用者位置特定部21によって記憶装置14に記憶される。このときに、記憶装置14に位置情報が既に記憶されていた場合には、記憶装置14に記憶されていた位置情報と、利用者位置特定部21によって記憶装置14に記憶される位置情報とが利用者位置特定部21によって比較され、利用者の移動があったか否かが判断される(ステップS3)。
【0044】
ここで、利用者の移動がなかったと判断された場合には、利用者位置特定部21による記憶装置14に対する位置情報の記憶がキャンセルされ、アンテナ制御動作は終了する。なお、入力装置18からの指示の入力に応じて、アンテナ制御動作がスタートした場合には、アンテナ制御動作はステップS3を実行せずに、利用者の移動があったものとして以降の処理を実行するようにしてもよい。
【0045】
一方、ステップS3において、利用者の移動があったと判断された場合には、ステップS2で特定された位置をアンテナ17の放射エリアが含むようにアンテナ17の指向性がアンテナ制御部16によって変更されると共に(ステップS4:アンテナ制御ステップ)、アンテナ17から放射される電波の送信パワーがアンテナ制御部16によって変更される(ステップS5)。
【0046】
なお、本実施の形態においては、ステップS3において、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ17の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子17a〜17cから少なくとも1つの指向性アンテナ素子がアンテナ制御部16によって選択される。
【0047】
このような、無線通信装置10のアンテナ制御動作においてステップS2で実行される利用者位置特定処理を詳細について図7を用いて説明する。
【0048】
まず、画像取得部20によって取得された画像の中から顔画像が利用者位置特定部21によって検出されると(ステップS11)、検出された顔画像と事前に登録された顔画像とが利用者位置特定部21によって照合され、顔画像に対応する利用者が正当なものであるか否かが判断される顔認証処理が実行される(ステップS12)。
【0049】
ここで、当該顔画像に対応する利用者が正当なものであると判断された場合には(ステップS13)、正当なものであると判断した利用者の無線通信装置10に対する相対的な位置が画像取得部20から得られるフォーカス調整情報等に基づいて利用者位置特定部21によって特定される(ステップS14)。このように特定された位置を表す位置情報は、前述したように記憶装置14に記憶するために、RAM等の一時メモリに格納される。
【0050】
ここで、利用者位置特定処理の終了条件を満たしたか否かが利用者位置特定部21によって判断され(ステップS15)、利用者位置特定処理の終了条件を満たしたと判断された場合には、利用者位置特定処理は終了する。一方、利用者位置特定処理の終了条件を満たしていないと判断された場合には、利用者位置特定処理はステップS11を再び実行する。
【0051】
ここで、利用者位置特定処理の終了条件としては、事前に登録された顔画像に対応する全ての利用者が正当なものであると判断された場合、または、画像取得部20によって取得された画像の全範囲にわたって顔画像の検出処理が実行された場合等がある。
【0052】
以上に説明したように、本実施の形態に係る無線通信装置10は、利用者の位置を含むようにアンテナ17の放射エリアを調整するため、送信電波の予想外の漏れや干渉を抑制することができる。これにより、本実施の形態に係る無線通信装置10は、セキュアな無線通信を行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る無線通信装置10は、アンテナ17の放射エリアが利用者の位置を最小限に含むように、アンテナ17から放射される電波の送信パワーを調整するため、省電力で安定した無線接続サービスを提供することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る無線通信装置10は、限られた空間における、1対1、または、1対多と言った無線通信環境を構築するときに、無線通信端末の利用者の位置や無線通信端末の配置を電波を使ってスキャンし把握したり、利用者の端末装置の変更や移動によって通信方向が変わるたびに、利用者の位置を再スキャンしたりする必要がなく、画像による認識技術を用いることで、迅速に利用者の配置を捉えて無線ネットワークを構築することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る無線通信装置10は、無線ネットワークを構築するときに、画像認識技術を応用することで、接続先の無線通信端末3や利用者の認識が行われるため、ネットワークサービスを利用しようとする利用者を明確にすることができる。
【0056】
なお、本実施の形態において、無線通信装置10は、1つの画像取得部20を備えるものとして説明したが、本発明においては、複数の画像取得部20を備えるようにしてもよい。このように構成することにより、利用者位置特定部21によって特定される利用者の位置の精度を向上させることができる。
【0057】
(第2の実施形態)
図8に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置30は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置10に対して、アンテナ17に代えて、1つの指向性アンテナ素子によって構成されるアンテナ37が設けられ、アンテナ制御部16に代えてアンテナ制御部36が設けられている。
【0058】
また、無線通信装置30は、アンテナ37の指向性アンテナ素子を回転駆動するモータ39が更に設けられている。アンテナ制御部36は、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ37の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子の回転位置を変更するようにモータ39を制御するようになっている。
【0059】
また、アンテナ制御部36は、アンテナ制御部16と同様に、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ37の放射エリアが最小限に含むように、指向性アンテナ素子から放射される電波の送信パワーを変更するようになっている。
【0060】
このように構成された無線通信装置30のアンテナ制御動作について、無線通信装置10のアンテナ制御動作を示す図6を用いて説明する。無線通信装置10のアンテナ制御動作は、ステップS4において、ステップS2で特定された位置をアンテナ17の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子17a〜17cから少なくとも1つの指向性アンテナ素子がアンテナ制御部16によって選択される。
【0061】
これに対し、無線通信装置30のアンテナ制御動作は、ステップS4において、ステップS2で特定された位置をアンテナ37の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子の回転位置を変更するようにモータ39がアンテナ制御部36によって制御される。
【0062】
以上に説明したように、本実施の形態に係る無線通信装置30は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置10と同様な効果を得ることができる。
【0063】
(第3の実施形態)
図9に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信装置40は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置10に対して、アンテナ17に代えて、3つの無指向性アンテナ素子、本実施の形態においては、ダイポールアンテナ47a〜47cによって構成されるアンテナ47が設けられ、アンテナ制御部16に代えてアンテナ制御部46が設けられている。なお、図9には、3つのダイポールアンテナ47a〜47cが図示されているが、その数を限定するものではない。
【0064】
また、アンテナ制御部46は、記憶装置14に記憶された位置情報が表す位置をアンテナ47の放射エリアが最小限に含むように、ダイポールアンテナ47a〜47cによって放射される各電波の位相と送信パワーとを変更するようになっている。すなわち、アンテナ制御部46は、前述したビームフォーミング技術を用いて、アンテナ47の放射エリアを制御するようになっている。
【0065】
このように構成された無線通信装置40のアンテナ制御動作について、無線通信装置10のアンテナ制御動作を示す図6を用いて説明する。無線通信装置10のアンテナ制御動作は、ステップS4において、ステップS2で特定された位置をアンテナ17の放射エリアが含むように、指向性アンテナ素子17a〜17cから少なくとも1つの指向性アンテナ素子がアンテナ制御部16によって選択され、ステップS5において、アンテナ17から放射される電波の送信パワーがアンテナ制御部16によって変更される。
【0066】
これに対し、無線通信装置40のアンテナ制御動作は、ステップS4およびステップS5において、ステップS2で特定された位置をアンテナ37の放射エリアが最小限に含むように、アンテナ47のダイポールアンテナ47a〜47cによって放射される各電波の位相と送信パワーがアンテナ制御部46によって変更される。
【0067】
以上に説明したように、本実施の形態に係る無線通信装置40は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置10と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 テレビ会議装置
2 無線ネットワーク
3 無線通信端末
10、30、40 無線通信装置
11 撮影装置
11a〜11c レンズ
11d イメージセンサ
12 画像処理モジュール
13 システム制御装置
14 記憶装置
15 無線通信部
16、36、46 アンテナ制御部
17、37、47 アンテナ
17a〜17c 指向性アンテナ素子
18 入力装置
20 画像取得部
21 利用者位置特定部
39 モータ
47a〜47c ダイポールアンテナ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2003−078945号公報
【非特許文献】
【0070】
【非特許文献1】IEEE802.11n
【非特許文献2】IEEE802.11ad

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置において、
前記無線通信の対象とする空間の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された画像に基づいて、前記無線通信端末の利用者の位置を特定する利用者位置特定部と、
前記アンテナの放射エリアが前記利用者位置特定部によって特定された位置を含むように前記アンテナの指向性を変更するアンテナ制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記アンテナは、複数の指向性アンテナ素子によって構成され、
前記アンテナ制御部は、前記複数の指向性アンテナ素子から電波を放射する指向性アンテナ素子を選択することにより、前記アンテナの指向性を変更することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記アンテナは、1つの指向性アンテナ素子によって構成され、
前記アンテナ制御部は、前記複数の指向性アンテナ素子の向きを変更することにより、前記アンテナの指向性を変更することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記アンテナ制御部は、前記アンテナの放射エリアが前記利用者位置特定部によって特定された位置を最小限に含むように、前記アンテナから放射される電波の送信パワーを変更することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記アンテナは、少なくとも3つの無指向性アンテナ素子によって構成され、
前記アンテナ制御部は、前記各無指向性アンテナ素子から放射される電波の位相と送信パワーとを変更することにより、前記アンテナの指向性を変更することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記利用者位置特定部は、前記画像の中から生体認証に用いることが可能な人体の部位の画像を識別し、識別した画像に基づいて前記利用者を認証し、正当なものとして認証された利用者の位置を特定することを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記利用者位置特定部は、前記画像の中からマーカ画像を識別し、識別した画像に基づいて前記利用者の位置を特定することを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の無線通信装置。
【請求項8】
アンテナを介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置を用いた無線通信方法において、
前記無線通信の対象とする空間の画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得された画像に基づいて、前記無線通信端末の利用者の位置を特定する利用者位置特定ステップと、
前記アンテナの放射エリアが前記利用者位置特定ステップで特定された位置を含むように前記アンテナの指向性を変更するアンテナ制御ステップと、を有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項9】
アンテナを介して少なくとも1つの無線通信端末と無線通信を行う無線通信装置を構成するコンピュータに実行させる無線通信プログラムにおいて、
前記無線通信の対象とする空間の画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得された画像に基づいて、前記無線通信端末の利用者の位置を特定する利用者位置特定ステップと、
前記アンテナの放射エリアが前記利用者位置特定ステップで特定された位置を含むように前記アンテナの指向性を変更するアンテナ制御ステップと、を有することを特徴とする無線通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−51570(P2013−51570A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188853(P2011−188853)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】