無菌充填方法及び装置
【課題】無菌充填を行う流動食品の種類を切り替える際の準備時間を短縮する。
【解決手段】複数種類の流動食品a,bを各々供給する専用管路1,2を設け、全専用管路のいずれかを充填機3に接続する共用管路4を設け、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品aを対応する専用管路から共用管路を経て充填機に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品bに対応する専用管路2の無菌状態を維持し、先充填の流動食品の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品に対応する専用管路2から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略する。
【解決手段】複数種類の流動食品a,bを各々供給する専用管路1,2を設け、全専用管路のいずれかを充填機3に接続する共用管路4を設け、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品aを対応する専用管路から共用管路を経て充填機に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品bに対応する専用管路2の無菌状態を維持し、先充填の流動食品の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品に対応する専用管路2から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル等の容器に飲料等の流動食品を無菌充填する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等流動食品の無菌充填システムにおいて、ボトル等の容器に充填する流動食品の種類を、例えば今まで茶飲料であったものをミルクコーヒーに切り替える際は、このシステム内の流動食品充填経路を、まずCIP(Cleaning in Place)処理し、次にSIP(Sterilization in Place)処理している(例えば、特許文献1の第0003段落参照。)。
【0003】
CIPは、例えば、水道水に苛性ソーダ等のアルカリ性薬剤を添加して流動食品充填経路を循環させた後に、水道水に酸性薬剤を添加して流動食品充填経路を循環させることにより行われる。これにより、流動食品充填経路内に付着した残留物等の汚れが除去される(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0004】
SIPは、例えば、上記CIPで洗浄した流動食品充填経路内で蒸気や熱水等を循環させることによって行われる。これにより、流動食品充填経路内が殺菌され無菌状態とされる(例えば、特許文献1の第0003段落参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−22600号公報
【特許文献2】特開2007−331801号公報
【特許文献3】特開2000−153245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記流動食品充填経路内には、互いに管路で接続された滅菌機、タンク、フィルタ、充填機等諸種の機器が設けられ、滅菌機及び充填機のCIPで約3時間、タンク及びフィルタのCIPで約3時間、管路全体のSIPで約1.5時間の計7.5時間という長時間が費やされており、生産効率の悪化の原因となっている。特に、小ロット多品種の生産を行っている、流動食品の種類の切り替えが多い工場においては、生産効率が非常に悪い。
【0007】
上記特許文献1は、生産効率を高める手段としてCIPとSIPを同時に行うことを提案するが、これは除菌フィルタを通した洗浄用薬剤や無菌の温水を流すことでCIP及びSIPを行うものであるから、洗浄用薬剤や温水の無菌性維持に問題があるだけでなく、滅菌効果を得難いという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題点を解消することができる無菌充填方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0010】
なお、本発明を理解しやすくするため図面の符号を括弧付きで付すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、複数種類の流動食品(a,b)を各々供給する専用管路(1,2)を設け、全専用管路(1,2)のいずれかを充填機(3)に接続する共用管路(4)を設け、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品(a)を、その対応する専用管路(1)から共用管路(4)を経て充填機(3)に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)の無菌状態を維持し、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品(b)を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略する無菌充填方法を採用する。
【0012】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の無菌充填方法において、各専用管路(1,2)に滅菌機(7,8)を介在させ、この滅菌機(7,8)によって対応する流動食品(a,b)及びCIPに用いる流体(r、w等)を滅菌することも可能である。
【0013】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の無菌充填方法において、各専用管路(1,2)に滅菌機(7,8)を通る循環路(14,15)を接続し、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填中に、上記後充填の流動食品(b)に対応する循環路(15)及び滅菌機(8)についてCIP及びSIPを行うことも可能である。
【0014】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)を伸ばし、この復管路(16)に洗浄用薬剤(x)の供給源(17)を設け、上記滅菌機(7又は8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤(x)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)に流して無菌の洗浄用薬剤(x)によるCIPを行うことも可能である。
【0015】
請求項5に記載されるように、請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)を伸ばし、上記滅菌機(7又は8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路としてすすぎ水(r)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)に流して無菌のすすぎ水(r)によるCIPを行うことも可能である。
【0016】
請求項6に記載されるように、請求項1に記載の無菌充填方法において、流動食品(a,b)の種類の数よりも多い個数のフィルタ(21,22,23)を充填経路に並列状態で介在させ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ(21,22,23)内で変更することも可能である。
【0017】
なお、切り替える流動食品の品種数により、フィルタを3連以上並列配置してもよい。
【0018】
請求項7に記載されるように、請求項6に記載の無菌充填方法において、並列状態のフィルタ(21,22,23)の上流側にタンク(11)を設け、このタンク(11)に無菌エア(p)を供給することによって、未使用のフィルタから充填機(3)に至る充填経路に対しエアパージによるCIPを行うことも可能である。
【0019】
請求項8に記載されるように、請求項6に記載の無菌充填方法において、後充填の流動食品(b)の充填に当たり、先充填の流動食品(a)に用いられたフィルタを通してCIPを行い、未使用のフィルタは無菌エア(p)により陽圧化しておくことも可能である。
【0020】
また、請求項9に係る発明は、複数種類の流動食品(a,b)を各々供給する専用管路(1,2)が設けられ、全専用管路(1,2)のいずれかを充填機(3)に接続する共用管路(4)が設けられ、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路について洗浄するCIP手段及び滅菌するSIP手段が設けられ、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてCIP及びSIPが行われた後、先充填の流動食品(a)を、その対応する専用管路(1)から共用管路(4)を経て充填機(3)に送ることにより無菌充填が行われ、この無菌充填の間、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)の無菌状態が維持され、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品(b)が無菌充填されるに当たり、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてはCIPのみが行われ、SIPが省略されるようにした無菌充填装置を採用する。
【0021】
請求項10に記載されるように、請求項9に記載の無菌充填装置において、各専用管路に滅菌機が設けられ、この滅菌機によって対応する流動食品及びCIPに用いる流体が滅菌されるようにしてもよい。
【0022】
請求項11に記載されるように、請求項10に記載の無菌充填装置において、各専用管路(1,2)に滅菌機(7,8)を通る循環路(14,15)が接続され、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填中に、上記後充填の流動食品(b)に対応する循環路(15)及び滅菌機(8)についてCIP及びSIPが行われるようにしてもよい。
【0023】
請求項12に記載されるように、請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)が伸び、この復管路(16)に洗浄用薬剤(x)の供給源(17)が設けられ、上記滅菌機(7,8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤(x)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)を循環させて無菌の洗浄用薬剤(x)によるCIPが行われるようにしてもよい。
【0024】
請求項13に記載されるように、請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)が伸び、上記滅菌機(7,8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路としてすすぎ水(r)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)を循環させて無菌のすすぎ水(r)によるCIPが行われるようにしてもよい。
【0025】
請求項14に記載されるように、請求項9に記載の無菌充填装置において、流動食品(a,b)の種類の数よりも多い個数のフィルタ(21,22,23)が共用管路(4)に並列状態で設けられ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ(21,22,23)内で変更されるようにしてもよい。
【0026】
請求項15に記載されるように、請求項14に記載の無菌充填装置において、並列状態のフィルタ(21,22,23)の上流側にタンク(11)が設けられ、このタンク(11)に無菌エア(p)が供給されることによって、未使用のフィルタから充填機(3)に至る充填経路に対しエアパージによるCIPが行われるようにしてもよい。
【0027】
請求項16に記載されるように、請求項14に記載の無菌充填装置において、後充填の流動食品(b)の充填に当たり、先充填の流動食品(a)に用いられたフィルタを通してCIPが行われ、未使用のフィルタは無菌エア(p)により陽圧化されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数種類の流動食品(a,b)を各々供給する専用管路(1,2)を設け、全専用管路(1,2)のいずれかを充填機(3)に接続する共用管路(4)を設け、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品(a)を対応する専用管路(1)から共用管路(4)を経て充填機(3)に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)の無菌状態を維持し、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品(b)を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略することから、無菌充填を行う流動食品の種類を切り替える際の準備時間を顕著に短縮することができる。たとえば、一回の流動食品の切り替えに要する時間を約3.5時間削減することができる。従って、多品種小ロットで流動食品を充填する場合であっても、生産効率を飛躍的に高めることができる。ことに、F値が高い流動食品から低い流動食品に切り替える場合には、無菌の洗浄用薬剤で洗浄するCIPで足り、SIPはまったく不要となる。また、従来流動食品の切り替えの際に行っているSIP工程で必要とした殺菌用蒸気が不要になり、例えば1回の切り替え当たり約300kgの蒸気量が削減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る無菌充填装置のブロック図であり、流動食品a、bの充填が休止した状態を示す。
【図2】流動食品aの充填経路についてSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図3】流動食品aの無菌充填を行っている状態を示すブロック図である。
【図4】流動食品aの無菌充填を行っている最中に、流動食品b用の滅菌機について熱水によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図5】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図6】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌の洗浄用薬剤でCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図7】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図8】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行い、エアパージ用の開閉弁に対して蒸気によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図9】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図10】フィルタを含む充填経路内に無菌エアを送り陽圧に保持している状態を示すブロック図である。
【図11】流動食品bの無菌充填を行っている状態を示すブロック図である。
【図12】流動食品bの無菌充填を行っている最中に、流動食品c用の滅菌機について熱水によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図13】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図14】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌の洗浄用薬剤でCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図15】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図16】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行い、エアパージ用の開閉弁に対して蒸気によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図17】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図18】フィルタを含む充填経路内に無菌エアを送り陽圧に保持している状態を示すブロック図である。
【図19】流動食品cの無菌充填を行っている状態を示すブロック図である。
【図20】本発明に係る無菌充填方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
最初に、無菌充填装置の構造について説明し、その後に無菌充填方法及び無菌充填装置の作用について説明する。
【0032】
図1に示すように、この無菌充填装置には、複数種類の流動食品を各々供給する専用管路1,2が設けられ、全専用管路1,2のいずれかを充填機3に接続する共用管路4が設けられる。
【0033】
各専用管路1,2の上流端には各々異なる種類の流動食品を蓄えるためのバランスタンクである貯留タンク5,6が設けられる。この実施の形態では、例えば、貯留タンク5に流動食品aとしてミルクコーヒーが蓄えられ、他の貯留タンク6に流動食品bとして茶飲料が蓄えられるものとする。
【0034】
なお、流動食品の充填の順序は、F値の高いものから低いものへと切り替えることとする。流動食品の殺菌は一定温度で行われるわけではなく、加熱、冷却に伴って温度が変化するためトータルの殺菌効率、致死率を表すものとして、各プロセスの致死率Lを積分したF値が用いられる。F値は通常の場合、基準温度250゜F(=121℃)における殺菌時間に相当する。
【0035】
この実施の形態では、F値が高いミルクコーヒーから充填し、その次に、それよりもF値が低い茶飲料を充填するものとする。また、茶飲料の次はそれよりもF値が低い流動食品cを充填するものとする。
【0036】
また、各専用管路1,2には、CIP手段又はSIP手段として機能する滅菌機7,8が設けられる。滅菌機7,8としては、例えばAUHT(ultra high temperature)式滅菌機が用いられる。図3、図5、図6、図11、図13及び図14に示すように、流体である上記流動食品a,b,cや、後述するCIPのための洗浄用薬剤x、水w,r等がこれらの滅菌機7,8に各々供給されると、この滅菌機7,8内を通過しつつ所定の温度で30秒間加熱された後、滅菌状態で流出する。この滅菌機7,8は公知であるから、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図1に示すように、全専用管路7,8はそれらの下流側において共用管路4に合流し、この合流箇所には全専用管路7,8のうちのいずれか一本を共用管路4に導通させるためのバルブ9,10が設けられる。バルブ9,10が切り替えられることで、複数種類の流動食品a,bのうち所望の流動食品が、貯留タンク5,6のうちのいずれか一方から該当する滅菌機7又は8へと流れ、滅菌処理された後に専用管路1又は2を通って共用管路4内に流入する。
【0038】
共用管路4の上流側には、内部を無菌状態に保持しうるサージタンク11が設けられる。
【0039】
また、共用管路4の下流側には、充填機3が設けられる。充填機3は、共用管路4の下流端が接続されるヘッドタンク12を有する。また、充填機3の充填部は無菌チャンバ13で覆われる。例えば、図3に示すように、貯留タンク5から出て専用管路1を流れてきた所望の流動食品aは、サージタンク11内に一旦貯留された後、ヘッドタンク12内に貯留され、充填機3のノズル(図示せず)からボトル等の容器(図示せず)に向かって吐出される。流動食品aが所定量充填された容器はその後無菌チャンバ13から送り出され、図示しないキャッパーによってキャッピングされ、容器詰め商品とされる。
【0040】
図1に示すように、各専用管路1,2には、各々の滅菌機7,8を通る循環路14,15が必要に応じて接続される。仮にミルクコーヒーを先充填の流動食品aとすると、このミルクコーヒーの無菌充填中は、茶飲料である後充填の流動食品bの無菌充填は休止中である。図4に示すように、この休止中の流動食品bに対応する専用管路2の循環路15内に水wを送り、滅菌機8で加熱しつつ循環させることで、この専用管路2及び滅菌機8についてSIPを行うことが可能である。
【0041】
上記貯留タンク5,6から共用管路4に至る箇所には、上記バルブ9,10のほか、流路を切り替えるための各種のバルブ26a,26b,26c,26d,26e,27a,27b,27c,27d,27eが配置される。
【0042】
また、上記バルブ9,10には蒸気sの供給管28が接続される。供給管28の上流にはSIP手段としての図示しない蒸気供給源が設けられる。供給管28には各種バルブ28a,28bが設けられる。
【0043】
図1に示すように、充填機3の充填部を覆う無菌チャンバ13から、上記並列させた専用管路1,2の上流側へと復管路16が伸び、この復管路16の途中に洗浄用薬剤xの供給源17が設けられる。また、復管路16が滅菌機7,8に至る手前に、必要に応じてクッションタンク18,19が設けられる。洗浄用薬剤xはアルカリ性液と酸性液の二種類が用意され、各々供給源として供給タンク17a,17bが復管路16の途中に設けられる。両供給タンク17a,17bは弁20a,20b,20c,20dによって切り替えられ、アルカリ性液と酸性液の一方のみが復管路16内に流入可能とされ、又は双方の薬剤xが遮断可能とされる。アルカリ性液としては、例えば苛性ソーダを用いることができ、酸性液としては、高温時、特に140℃以上における管路内のゴム製パッキン等に対し与える影響を考慮し、例えばリン酸を用いることができる。
【0044】
この復管路16には、復管路16を専用管路1,2に選択的に接続するためのバルブ29a,29bが設けられる。
【0045】
図6又は図14に示すように、上記滅菌機7又は8から充填機3に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤xを滅菌機7又は8で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路16を循環させることにより、無菌の洗浄用薬剤xによるCIPが充填経路について行われることになる。
【0046】
上記往管路及び復管路16は、図5、図7、図13又は図15に示すように、すすぎ水rの循環路としても使用可能である。すなわち、水道水等を往管路に供給して滅菌機7又は8で滅菌処理しつつ、往管路及び復管路16内で循環させることで、無菌の加熱水であるすすぎ水rによるCIPが充填経路について行われる。
【0047】
上記共用管路4の途中には、流動食品a,bの種類の数よりも多い個数のフィルタ21,22,23が、各流動食品a,b内に混入した異物を除去するため並列状態で設けられる。フィルタ21,22,23は流動食品の種類ごとに使い分けられ、全種類の流動食品a,bの充填が一通り終了した後に共用管路4から取り外され、分解され、洗浄、殺菌処理され、再び組み立てられて元の位置に装着される。そこで、充填する流動食品を異種のものに変更する際は、使用するフィルタも上記複数個のフィルタ21,22,23内で変更可能としている。また、フィルタ21,22,23は流動食品a,bの種類の数よりも一個又はそれ以上多く設けられる。これにより、全種類の流動食品a,bの充填が一通り終了し、流動食品の種類数と同数個のフィルタ21,22を使い切った後であっても、図19に示すように、余剰のフィルタ23を使用可能であるから、直ちに流動食品cの充填作業を開始することができる。
【0048】
各フィルタ21,22,23を貫通する管路には、各フィルタ21,22,23を挟むようにフィルタ21,22,23を切り替えるためのバルブ30a,30b,30c,30d,30e,30fが設けられる。
【0049】
図1に示すように、並列状態のフィルタ21,22,23の上流側には、上記サージタンク11が設けられる。このサージタンク11には図示しない無菌エア供給源が接続される。図8に示すように、加圧された無菌エアpがサージタンク11内に供給されることによって、未使用のフィルタ21,22,23から充填機3に至る充填経路に対しエアパージによるCIPが行われる。これにより、充填経路内に残留したすすぎ水r等が充填機3における充填部のノズルを経由して、無菌チャンバ13から外部に排出される。
【0050】
また、図1に示すように、各フィルタ21,22,23の並列した管路には、各フィルタ21,22,23内に陽圧の無菌エアを供給したり、各フィルタ21,22,23を大気中に開放したりするための補助管路24が弁25a,25b,25c,25d,25e,25fと共に設けられる。例えば、図3に示すように、流動食品を通さない未使用のフィルタ22,23に対しては、補助管路24から常時陽圧の無菌エアが供給されることにより、フィルタ22,23が無菌の陽圧化状態に維持される。
【0051】
なお、上記循環路14,15、共用管路4、復管路16等には、図示しないが流動食品、水、洗浄用薬剤等を圧送するためのポンプが設けられる。
【0052】
次に、上記無菌充填装置の作用と共に無菌充填方法について、図2乃至図20に基づいて説明する。
【0053】
(1)流動食品a:充填準備
無菌充填は、概ね図20のフローチャートに示す手順で行われる。すなわち、最初に先充填の流動食品aの充填経路(専用管路1から共用管路4を経て充填機3に至る経路)及び後充填の流動食品bの充填経路(専用管路2から共用管路4を経て充填機3に至る経路)についてCIP処理及びSIP処理が行われる(ステップS1)。
【0054】
なお、CIP処理及びSIP処理が終了した後に充填作業を行い、CIP処理を行って次の充填作業を待つ場合のように、すでにCIP処理が行われている場合は、充填経路内は無菌状態に保たれているので、SIP処理のみで足りる。
【0055】
具体的には、図2に示すように、全専用管路1,2及び共用管路4のSIP処理が行われる。
【0056】
このSIP処理は、蒸気sによって行われる。図2に示すように、蒸気sの供給管28から蒸気sが全専用管路1,2及び共用管路4へと供給される。蒸気sは各専用管路1,2を通過して大気中に放出され、同時に共用管路4をも通過して充填機3のヘッドタンク12から無菌チャンバ13内に流入した後、充填部のノズルを通り、大気中に放出される。
【0057】
これにより、全専用管路1,2及び共用管路4内は、蒸気の熱により、滅菌処理される。その後、所定のバルブが閉じられ、全専用管路1,2から共用管路4を経て充填機3に至る充填経路が外界から遮断され、無菌状態が維持される。
【0058】
また、これから充填しようとする流動食品aに対応する専用管路1の上流側の滅菌機7が、水道水等の水wを加熱しつつ循環させる。これにより、滅菌機7が無菌状態でSIP処理される。加熱温度は140℃以上である。
【0059】
これにより、充填経路である全専用管路1,2及び共用管路4のSIP処理が完了する。
【0060】
(2)流動食品a:充填開始(流動食品b:充填休止)
この工程は図20のステップS2に対応する。
【0061】
具体的には、図3に示すように、先充填の流動食品aが貯留された貯留タンク5から、流動食品aが滅菌機7を通って、滅菌処理されつつ、専用管路1へと送られる。そして、サージタンク11内に一旦貯留された後、フィルタ21によって濾過され、充填機3のヘッドタンク12へと送られる。ヘッドタンク12内に溜められた流動食品aは、充填機3のノズルからボトル等の容器内に充填される。流動食品aが充填された容器は図示しないキャッパーによって密封され、無菌チャンバ13から排出される。
【0062】
なお、未使用のフィルタ22,23は、補助管路24から常時陽圧の無菌エアpが供給されることにより、無菌の陽圧化状態に維持される。
【0063】
(3)流動食品a:充填中・流動食品b:無菌CIP準備
図4に示すように、流動食品aの充填中に、滅菌機8で水道水等の水wを加熱しつつ循環させる。これにより、滅菌機8がSIP処理され無菌状態にされる。
【0064】
なお、「無菌CIP」とは、滅菌機により無菌にした薬液及びすすぎ水を用いて行うCIPの意である。
【0065】
その後、図20に示すように、先充填の流動食品aの充填が終了する(ステップS3)。
【0066】
上記のように、先充填の流動食品aの充填中に滅菌機8が立ち上げられるので、先充填の流動食品aの充填が終了すると、後充填の流動食品bの充填に速やかに移行することができる。
【0067】
なお、この工程中、蒸気sの供給管28から閉状態にある各種バルブの裏側に蒸気sが供給されることにより、蒸気バリアが形成される。
【0068】
(4)流動食品a:充填休止・流動食品b:無菌CIP(すすぎ)
図5に示すように、所定のバルブの開閉によって、流動食品bに対応した滅菌機8から専用管路2、共用管路4を経て充填機3に至る往管路と、復管路16とが導通状態とされる。また、先充填の流動食品aの濾過に使用されたフィルタ21のみが導通状態とされる。
【0069】
そして、無菌のすすぎ水rが往管路及び復管路16に供給され、この無菌のすすぎ水rが通過することによって、流動食品bに対応した充填経路について無菌CIP処理であるすすぎが行われる。これは、図20に示すステップS4に対応する。
【0070】
無菌のすすぎ水rは、例えば水道水が往管路内に供給され、滅菌機8で加熱滅菌処理されることにより作られる。
【0071】
このすすぎの最中、無菌エアpが未使用のフィルタ22,23に供給され、これらのフィルタ22,23内が陽圧に保持される。
【0072】
(5)流動食品b:無菌CIP(洗浄用薬剤による洗浄)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0073】
具体的には、図6に示すように、洗浄用薬剤xの供給源である供給タンク17aから洗浄用薬剤xとしてアルカリ性液が上記往管路及び復管路16内に供給され、上記往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0074】
その後、供給タンク17aが酸性液の供給タンク17bに切り替えられ、洗浄用薬剤xとして酸性液が上記と同様にして往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0075】
これにより、流動食品bに対応した充填経路について無菌CIP処理である酸性液及びアルカリ性液による薬剤洗浄が行われる。酸性液及びアルカリ性液は滅菌機8を通過しながら滅菌処理されるので、無菌状態で往管路及び復管路16内を巡る。従って、無菌のCIP処理が行われることになる。
【0076】
なお、この洗浄の最中、無菌エアpが未使用のフィルタ22,23に供給され、これらのフィルタ22,23内が陽圧に保持される。
【0077】
(6)流動食品aの充填休止・流動食品bに対応した充填経路の無菌CIP(すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0078】
図5に示したと同様に、すすぎ水rによる無菌CIPが行われ、往管路及び復管路16内から酸性液又はアルカリ液が除去される。
【0079】
(7)流動食品b:無菌CIP(最終すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0080】
図7に示すように、図5に示した経路と同じ径路内に、無菌のすすぎ水rが供給され、流動食品bに対応した充填経路について無菌CIPが行われる。
【0081】
この場合、すすぎ水rは流動食品bの濾過に使用されるフィルタ22を通るように流路を切り替えられる。
【0082】
なお、必要に応じて、蒸気sが流動食品bの通過に関与しないバルブ25b,25d,25fへと供給される。
【0083】
(8)流動食品b:無菌CIP(エアパージ1)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0084】
図8に示すように、サージタンク11に無菌エアpが圧送される。この無菌エアpがサージタンク11から充填機3の無菌チャンバ13に至る充填経路内に流れる。さらに、ヘッドタンク12に無菌エアpが圧送され、この無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中へと流出する。これにより、充填機3内に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0085】
なお、図4に示したと同様に、必要に応じて滅菌機8には無菌の水wが循環路15を通じて流され、滅菌機8の無菌性が維持される。
【0086】
また、フィルタ21,22,23を大気中に開放する際の非無菌経路を滅菌処理するために、蒸気sが補助管路24からバルブ25a,25b,25c, 25d,25e,25fを通って大気中に流される。
【0087】
(9)流動食品b:無菌CIP(エアパージ2)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0088】
図9に示すように、図8に示した前回の無菌CIP処理に引き続いてサージタンク11に無菌エアpが圧送される。同様にヘッドタンク12にも無菌エアpが圧送される。これらの無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中に流出する。これにより、上記充填経路、フィルタ21,22,23に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0089】
(10)流動食品b:無菌保持
図10に示すように、必要に応じて滅菌機8には無菌水wが循環路15を通じて流され、滅菌機8の無菌性が維持される。
【0090】
また、無菌エアpが補助管路24から、流動食品の種類数を超えた未使用のフィルタ23へと供給され、これによりこのフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0091】
(11)流動食品b:充填開始
この工程は、図20中ステップS5に対応する。
【0092】
具体的には、図11に示すように、後充填の流動食品bが貯留された貯留タンク6から、流動食品bが滅菌機8を通って、滅菌処理されつつ、専用管路2へと送られる。そして、サージタンク11内に一旦貯留された後、フィルタ22によって濾過され、充填機3のヘッドタンク12へと送られる。ヘッドタンク12内に溜められた流動食品bは、充填機3のノズルからボトル等の容器内に充填される。流動食品bが充填された容器は図示しないキャッパーによって密封され、無菌チャンバ13から排出される。
【0093】
なお、未使用のフィルタ23は、補助管路24から常時陽圧の無菌エアpが供給されることにより、無菌の陽圧化状態に維持される。
【0094】
(12)流動食品b:充填中・流動食品c:無菌CIP準備
図12に示すように、後充填の流動食品bの充填中に、滅菌機8で水道水等の水wを加熱しつつ循環させる。これにより、滅菌機7が無菌状態でSIP処理される。
【0095】
その後、所定量の容器詰め流動食品が製造されたところで、後充填の流動食品bの充填が終了し、図20中ステップ6が完了する。
【0096】
上記のように、後充填の流動食品bの充填中に滅菌機7が立ち上げられるので、後充填の流動食品bの充填が終了すると、上記流動食品bに代わる流動食品cの充填に速やかに移行することができる。
【0097】
(13)流動食品b:充填休止・流動食品c:無菌CIP(すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0098】
図13に示すように、所定のバルブの開閉によって、流動食品cに対応した滅菌機7から専用管路1、共用管路4を経て充填機3に至る往管路と、復管路16とが導通状態とされる。また、後充填の流動食品bの濾過に使用されたフィルタ22のみが導通状態とされる。
【0099】
そして、無菌のすすぎ水rが往管路及び復管路16内に供給され、この無菌のすすぎ水rが往管路及び復管路16内を通ることによって、流動食品aに対応した充填経路について無菌CIP処理であるすすぎが行われる。
【0100】
無菌のすすぎ水rは、例えば水道水が往管路内に供給され、滅菌機7で加熱滅菌処理されることにより作られる。
【0101】
このすすぎの最中、無菌エアpが未使用のフィルタ23に供給され、このフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0102】
(14)流動食品c:無菌CIP(洗浄用薬剤による洗浄)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0103】
具体的には、図14に示すように、洗浄用薬剤xの供給源である供給タンク17aから洗浄用薬剤xであるアルカリ性液が上記往管路及び復管路16内に供給され、上記往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0104】
その後、供給タンク17aが酸性液の供給タンク17bに切り替えられ、洗浄用薬剤xである酸性液が上記と同様にして往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0105】
これにより、流動食品cに対応した充填経路について無菌CIP処理である酸性液及びアルカリ性液による洗浄が行われる。酸性液及びアルカリ性液は滅菌機7を通過しながら滅菌処理されるので、無菌状態で往管路及び復管路16内を巡る。従って、無菌のCIP処理が行われることになる。
【0106】
なお、この洗浄の最中、無菌エアpが未使用のフィルタ23に供給され、このフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0107】
(15)流動食品c:無菌CIP(すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0108】
図13に示したと同様に、すすぎ水rによる無菌CIPが行われ、往管路及び復管路16内から酸性液又はアルカリ液が除去される。
【0109】
(16)流動食品c:無菌CIP(最終すすぎ)
図15に示すように、図13に示した経路と同じ径路内に、無菌のすすぎ水rが供給され、流動食品cに対応した充填経路について無菌CIPが行われる。
【0110】
この場合、すすぎ水rは流動食品cの濾過に使用されるフィルタ23を通るように流路を切り替えられる。
【0111】
これは、図20に示すステップS7に対応する。
【0112】
なお、この工程で、必要に応じて、蒸気sがバルブ25d,25fへと供給される。
【0113】
(17)流動食品c:無菌CIP(エアパージ1)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0114】
図16に示すように、サージタンク11に無菌エアpが圧送される。この無菌エアpがサージタンク11から充填機3の無菌チャンバ13に至る充填経路内に流れる。さらに、ヘッドタンク12に無菌エアpが圧送され、この無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中に流出する。これにより、充填機3内に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0115】
なお、図12に示したと同様に、必要に応じて滅菌機7には無菌水wが循環路14を通じて流され、滅菌機7の無菌性が維持される。
【0116】
また、フィルタ22,23を大気中に開放する際の非無菌経路を滅菌処理するために、蒸気sが補助管路24からバルブ25c, 25d,25e,25fを通って大気中に流される。
【0117】
(18)流動食品c:無菌CIP(エアパージ2)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0118】
図17に示すように、図16に示した前回の無菌CIP処理に引き続いてサージタンク11に無菌エアpが圧送される。同様にヘッドタンク12にも無菌エアpが圧送される。これらの無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中に流出する。これにより、上記充填経路、フィルタ22,23に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0119】
(19)流動食品c:無菌保持
図18に示すように、必要に応じて滅菌機7には無菌水wが循環路14を通じて流され、滅菌機7の無菌性が維持される。
【0120】
また、無菌エアpが補助管路24から、流動食品の種類数を超えた未使用のフィルタ23へと供給され、これによりこのフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0121】
(20)流動食品c:充填開始
この工程は、図20中ステップS8に対応する。
【0122】
具体的には、図19に示すように、先に充填された流動食品aと同種類又は異種類の流動食品cが貯留された貯留タンク5から、流動食品cが滅菌機7を通って、専用管路1へと送られる。そして、サージタンク11内に一旦貯留された後、フィルタ23によって濾過され、充填機3のヘッドタンク12へと送られる。ヘッドタンク12内に溜められた流動食品cは、充填機3のノズルからボトル等の容器内に充填される。流動食品cが充填された容器は図示しないキャッパーによって密封され、無菌チャンバから排出される。
【0123】
その後、所定量の容器詰め流動食品が製造されたところで、後充填の流動食品cの充填が終了し、図20中ステップ9が完了する。
【0124】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、流動食品は上記三種類a,b,cのものに限らず、フィルタを増設することによって、四種類以上の流動食品を充填することも可能である。
【符号の説明】
【0125】
a,b,c…複数種類の流動食品
x…洗浄用薬剤
p…無菌エア
r…すすぎ水
s…蒸気
w…水
1,2…専用管路
3…充填機
4…共用管路
7,8…滅菌機
11…サージタンク
12…ヘッドタンク
13…無菌チャンバ
14,15…循環路
16…復管路
17…供給源
21,22,23…フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル等の容器に飲料等の流動食品を無菌充填する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等流動食品の無菌充填システムにおいて、ボトル等の容器に充填する流動食品の種類を、例えば今まで茶飲料であったものをミルクコーヒーに切り替える際は、このシステム内の流動食品充填経路を、まずCIP(Cleaning in Place)処理し、次にSIP(Sterilization in Place)処理している(例えば、特許文献1の第0003段落参照。)。
【0003】
CIPは、例えば、水道水に苛性ソーダ等のアルカリ性薬剤を添加して流動食品充填経路を循環させた後に、水道水に酸性薬剤を添加して流動食品充填経路を循環させることにより行われる。これにより、流動食品充填経路内に付着した残留物等の汚れが除去される(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0004】
SIPは、例えば、上記CIPで洗浄した流動食品充填経路内で蒸気や熱水等を循環させることによって行われる。これにより、流動食品充填経路内が殺菌され無菌状態とされる(例えば、特許文献1の第0003段落参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−22600号公報
【特許文献2】特開2007−331801号公報
【特許文献3】特開2000−153245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記流動食品充填経路内には、互いに管路で接続された滅菌機、タンク、フィルタ、充填機等諸種の機器が設けられ、滅菌機及び充填機のCIPで約3時間、タンク及びフィルタのCIPで約3時間、管路全体のSIPで約1.5時間の計7.5時間という長時間が費やされており、生産効率の悪化の原因となっている。特に、小ロット多品種の生産を行っている、流動食品の種類の切り替えが多い工場においては、生産効率が非常に悪い。
【0007】
上記特許文献1は、生産効率を高める手段としてCIPとSIPを同時に行うことを提案するが、これは除菌フィルタを通した洗浄用薬剤や無菌の温水を流すことでCIP及びSIPを行うものであるから、洗浄用薬剤や温水の無菌性維持に問題があるだけでなく、滅菌効果を得難いという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題点を解消することができる無菌充填方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0010】
なお、本発明を理解しやすくするため図面の符号を括弧付きで付すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、複数種類の流動食品(a,b)を各々供給する専用管路(1,2)を設け、全専用管路(1,2)のいずれかを充填機(3)に接続する共用管路(4)を設け、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品(a)を、その対応する専用管路(1)から共用管路(4)を経て充填機(3)に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)の無菌状態を維持し、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品(b)を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略する無菌充填方法を採用する。
【0012】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の無菌充填方法において、各専用管路(1,2)に滅菌機(7,8)を介在させ、この滅菌機(7,8)によって対応する流動食品(a,b)及びCIPに用いる流体(r、w等)を滅菌することも可能である。
【0013】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の無菌充填方法において、各専用管路(1,2)に滅菌機(7,8)を通る循環路(14,15)を接続し、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填中に、上記後充填の流動食品(b)に対応する循環路(15)及び滅菌機(8)についてCIP及びSIPを行うことも可能である。
【0014】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)を伸ばし、この復管路(16)に洗浄用薬剤(x)の供給源(17)を設け、上記滅菌機(7又は8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤(x)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)に流して無菌の洗浄用薬剤(x)によるCIPを行うことも可能である。
【0015】
請求項5に記載されるように、請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)を伸ばし、上記滅菌機(7又は8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路としてすすぎ水(r)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)に流して無菌のすすぎ水(r)によるCIPを行うことも可能である。
【0016】
請求項6に記載されるように、請求項1に記載の無菌充填方法において、流動食品(a,b)の種類の数よりも多い個数のフィルタ(21,22,23)を充填経路に並列状態で介在させ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ(21,22,23)内で変更することも可能である。
【0017】
なお、切り替える流動食品の品種数により、フィルタを3連以上並列配置してもよい。
【0018】
請求項7に記載されるように、請求項6に記載の無菌充填方法において、並列状態のフィルタ(21,22,23)の上流側にタンク(11)を設け、このタンク(11)に無菌エア(p)を供給することによって、未使用のフィルタから充填機(3)に至る充填経路に対しエアパージによるCIPを行うことも可能である。
【0019】
請求項8に記載されるように、請求項6に記載の無菌充填方法において、後充填の流動食品(b)の充填に当たり、先充填の流動食品(a)に用いられたフィルタを通してCIPを行い、未使用のフィルタは無菌エア(p)により陽圧化しておくことも可能である。
【0020】
また、請求項9に係る発明は、複数種類の流動食品(a,b)を各々供給する専用管路(1,2)が設けられ、全専用管路(1,2)のいずれかを充填機(3)に接続する共用管路(4)が設けられ、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路について洗浄するCIP手段及び滅菌するSIP手段が設けられ、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてCIP及びSIPが行われた後、先充填の流動食品(a)を、その対応する専用管路(1)から共用管路(4)を経て充填機(3)に送ることにより無菌充填が行われ、この無菌充填の間、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)の無菌状態が維持され、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品(b)が無菌充填されるに当たり、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてはCIPのみが行われ、SIPが省略されるようにした無菌充填装置を採用する。
【0021】
請求項10に記載されるように、請求項9に記載の無菌充填装置において、各専用管路に滅菌機が設けられ、この滅菌機によって対応する流動食品及びCIPに用いる流体が滅菌されるようにしてもよい。
【0022】
請求項11に記載されるように、請求項10に記載の無菌充填装置において、各専用管路(1,2)に滅菌機(7,8)を通る循環路(14,15)が接続され、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填中に、上記後充填の流動食品(b)に対応する循環路(15)及び滅菌機(8)についてCIP及びSIPが行われるようにしてもよい。
【0023】
請求項12に記載されるように、請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)が伸び、この復管路(16)に洗浄用薬剤(x)の供給源(17)が設けられ、上記滅菌機(7,8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤(x)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)を循環させて無菌の洗浄用薬剤(x)によるCIPが行われるようにしてもよい。
【0024】
請求項13に記載されるように、請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機(3)の充填部を覆う無菌チャンバ(13)から、並列させた専用管路(1,2)へと復管路(16)が伸び、上記滅菌機(7,8)から充填機(3)に至る充填径路を往管路としてすすぎ水(r)を滅菌機(7又は8)で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路(16)を循環させて無菌のすすぎ水(r)によるCIPが行われるようにしてもよい。
【0025】
請求項14に記載されるように、請求項9に記載の無菌充填装置において、流動食品(a,b)の種類の数よりも多い個数のフィルタ(21,22,23)が共用管路(4)に並列状態で設けられ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ(21,22,23)内で変更されるようにしてもよい。
【0026】
請求項15に記載されるように、請求項14に記載の無菌充填装置において、並列状態のフィルタ(21,22,23)の上流側にタンク(11)が設けられ、このタンク(11)に無菌エア(p)が供給されることによって、未使用のフィルタから充填機(3)に至る充填経路に対しエアパージによるCIPが行われるようにしてもよい。
【0027】
請求項16に記載されるように、請求項14に記載の無菌充填装置において、後充填の流動食品(b)の充填に当たり、先充填の流動食品(a)に用いられたフィルタを通してCIPが行われ、未使用のフィルタは無菌エア(p)により陽圧化されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数種類の流動食品(a,b)を各々供給する専用管路(1,2)を設け、全専用管路(1,2)のいずれかを充填機(3)に接続する共用管路(4)を設け、全専用管路(1,2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品(a)を対応する専用管路(1)から共用管路(4)を経て充填機(3)に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)の無菌状態を維持し、上記先充填の流動食品(a)の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品(b)を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品(b)に対応する専用管路(2)から共用管路(4)を経て充填機(3)に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略することから、無菌充填を行う流動食品の種類を切り替える際の準備時間を顕著に短縮することができる。たとえば、一回の流動食品の切り替えに要する時間を約3.5時間削減することができる。従って、多品種小ロットで流動食品を充填する場合であっても、生産効率を飛躍的に高めることができる。ことに、F値が高い流動食品から低い流動食品に切り替える場合には、無菌の洗浄用薬剤で洗浄するCIPで足り、SIPはまったく不要となる。また、従来流動食品の切り替えの際に行っているSIP工程で必要とした殺菌用蒸気が不要になり、例えば1回の切り替え当たり約300kgの蒸気量が削減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る無菌充填装置のブロック図であり、流動食品a、bの充填が休止した状態を示す。
【図2】流動食品aの充填経路についてSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図3】流動食品aの無菌充填を行っている状態を示すブロック図である。
【図4】流動食品aの無菌充填を行っている最中に、流動食品b用の滅菌機について熱水によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図5】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図6】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌の洗浄用薬剤でCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図7】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図8】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行い、エアパージ用の開閉弁に対して蒸気によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図9】流動食品aの充填が休止中に、流動食品bの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図10】フィルタを含む充填経路内に無菌エアを送り陽圧に保持している状態を示すブロック図である。
【図11】流動食品bの無菌充填を行っている状態を示すブロック図である。
【図12】流動食品bの無菌充填を行っている最中に、流動食品c用の滅菌機について熱水によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図13】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図14】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌の洗浄用薬剤でCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図15】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌水ですすぐことによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図16】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行い、エアパージ用の開閉弁に対して蒸気によるSIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図17】流動食品bの充填が休止中に、流動食品cの充填経路について無菌エアをパージすることによるCIPを行っている状態を示すブロック図である。
【図18】フィルタを含む充填経路内に無菌エアを送り陽圧に保持している状態を示すブロック図である。
【図19】流動食品cの無菌充填を行っている状態を示すブロック図である。
【図20】本発明に係る無菌充填方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
最初に、無菌充填装置の構造について説明し、その後に無菌充填方法及び無菌充填装置の作用について説明する。
【0032】
図1に示すように、この無菌充填装置には、複数種類の流動食品を各々供給する専用管路1,2が設けられ、全専用管路1,2のいずれかを充填機3に接続する共用管路4が設けられる。
【0033】
各専用管路1,2の上流端には各々異なる種類の流動食品を蓄えるためのバランスタンクである貯留タンク5,6が設けられる。この実施の形態では、例えば、貯留タンク5に流動食品aとしてミルクコーヒーが蓄えられ、他の貯留タンク6に流動食品bとして茶飲料が蓄えられるものとする。
【0034】
なお、流動食品の充填の順序は、F値の高いものから低いものへと切り替えることとする。流動食品の殺菌は一定温度で行われるわけではなく、加熱、冷却に伴って温度が変化するためトータルの殺菌効率、致死率を表すものとして、各プロセスの致死率Lを積分したF値が用いられる。F値は通常の場合、基準温度250゜F(=121℃)における殺菌時間に相当する。
【0035】
この実施の形態では、F値が高いミルクコーヒーから充填し、その次に、それよりもF値が低い茶飲料を充填するものとする。また、茶飲料の次はそれよりもF値が低い流動食品cを充填するものとする。
【0036】
また、各専用管路1,2には、CIP手段又はSIP手段として機能する滅菌機7,8が設けられる。滅菌機7,8としては、例えばAUHT(ultra high temperature)式滅菌機が用いられる。図3、図5、図6、図11、図13及び図14に示すように、流体である上記流動食品a,b,cや、後述するCIPのための洗浄用薬剤x、水w,r等がこれらの滅菌機7,8に各々供給されると、この滅菌機7,8内を通過しつつ所定の温度で30秒間加熱された後、滅菌状態で流出する。この滅菌機7,8は公知であるから、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図1に示すように、全専用管路7,8はそれらの下流側において共用管路4に合流し、この合流箇所には全専用管路7,8のうちのいずれか一本を共用管路4に導通させるためのバルブ9,10が設けられる。バルブ9,10が切り替えられることで、複数種類の流動食品a,bのうち所望の流動食品が、貯留タンク5,6のうちのいずれか一方から該当する滅菌機7又は8へと流れ、滅菌処理された後に専用管路1又は2を通って共用管路4内に流入する。
【0038】
共用管路4の上流側には、内部を無菌状態に保持しうるサージタンク11が設けられる。
【0039】
また、共用管路4の下流側には、充填機3が設けられる。充填機3は、共用管路4の下流端が接続されるヘッドタンク12を有する。また、充填機3の充填部は無菌チャンバ13で覆われる。例えば、図3に示すように、貯留タンク5から出て専用管路1を流れてきた所望の流動食品aは、サージタンク11内に一旦貯留された後、ヘッドタンク12内に貯留され、充填機3のノズル(図示せず)からボトル等の容器(図示せず)に向かって吐出される。流動食品aが所定量充填された容器はその後無菌チャンバ13から送り出され、図示しないキャッパーによってキャッピングされ、容器詰め商品とされる。
【0040】
図1に示すように、各専用管路1,2には、各々の滅菌機7,8を通る循環路14,15が必要に応じて接続される。仮にミルクコーヒーを先充填の流動食品aとすると、このミルクコーヒーの無菌充填中は、茶飲料である後充填の流動食品bの無菌充填は休止中である。図4に示すように、この休止中の流動食品bに対応する専用管路2の循環路15内に水wを送り、滅菌機8で加熱しつつ循環させることで、この専用管路2及び滅菌機8についてSIPを行うことが可能である。
【0041】
上記貯留タンク5,6から共用管路4に至る箇所には、上記バルブ9,10のほか、流路を切り替えるための各種のバルブ26a,26b,26c,26d,26e,27a,27b,27c,27d,27eが配置される。
【0042】
また、上記バルブ9,10には蒸気sの供給管28が接続される。供給管28の上流にはSIP手段としての図示しない蒸気供給源が設けられる。供給管28には各種バルブ28a,28bが設けられる。
【0043】
図1に示すように、充填機3の充填部を覆う無菌チャンバ13から、上記並列させた専用管路1,2の上流側へと復管路16が伸び、この復管路16の途中に洗浄用薬剤xの供給源17が設けられる。また、復管路16が滅菌機7,8に至る手前に、必要に応じてクッションタンク18,19が設けられる。洗浄用薬剤xはアルカリ性液と酸性液の二種類が用意され、各々供給源として供給タンク17a,17bが復管路16の途中に設けられる。両供給タンク17a,17bは弁20a,20b,20c,20dによって切り替えられ、アルカリ性液と酸性液の一方のみが復管路16内に流入可能とされ、又は双方の薬剤xが遮断可能とされる。アルカリ性液としては、例えば苛性ソーダを用いることができ、酸性液としては、高温時、特に140℃以上における管路内のゴム製パッキン等に対し与える影響を考慮し、例えばリン酸を用いることができる。
【0044】
この復管路16には、復管路16を専用管路1,2に選択的に接続するためのバルブ29a,29bが設けられる。
【0045】
図6又は図14に示すように、上記滅菌機7又は8から充填機3に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤xを滅菌機7又は8で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路16を循環させることにより、無菌の洗浄用薬剤xによるCIPが充填経路について行われることになる。
【0046】
上記往管路及び復管路16は、図5、図7、図13又は図15に示すように、すすぎ水rの循環路としても使用可能である。すなわち、水道水等を往管路に供給して滅菌機7又は8で滅菌処理しつつ、往管路及び復管路16内で循環させることで、無菌の加熱水であるすすぎ水rによるCIPが充填経路について行われる。
【0047】
上記共用管路4の途中には、流動食品a,bの種類の数よりも多い個数のフィルタ21,22,23が、各流動食品a,b内に混入した異物を除去するため並列状態で設けられる。フィルタ21,22,23は流動食品の種類ごとに使い分けられ、全種類の流動食品a,bの充填が一通り終了した後に共用管路4から取り外され、分解され、洗浄、殺菌処理され、再び組み立てられて元の位置に装着される。そこで、充填する流動食品を異種のものに変更する際は、使用するフィルタも上記複数個のフィルタ21,22,23内で変更可能としている。また、フィルタ21,22,23は流動食品a,bの種類の数よりも一個又はそれ以上多く設けられる。これにより、全種類の流動食品a,bの充填が一通り終了し、流動食品の種類数と同数個のフィルタ21,22を使い切った後であっても、図19に示すように、余剰のフィルタ23を使用可能であるから、直ちに流動食品cの充填作業を開始することができる。
【0048】
各フィルタ21,22,23を貫通する管路には、各フィルタ21,22,23を挟むようにフィルタ21,22,23を切り替えるためのバルブ30a,30b,30c,30d,30e,30fが設けられる。
【0049】
図1に示すように、並列状態のフィルタ21,22,23の上流側には、上記サージタンク11が設けられる。このサージタンク11には図示しない無菌エア供給源が接続される。図8に示すように、加圧された無菌エアpがサージタンク11内に供給されることによって、未使用のフィルタ21,22,23から充填機3に至る充填経路に対しエアパージによるCIPが行われる。これにより、充填経路内に残留したすすぎ水r等が充填機3における充填部のノズルを経由して、無菌チャンバ13から外部に排出される。
【0050】
また、図1に示すように、各フィルタ21,22,23の並列した管路には、各フィルタ21,22,23内に陽圧の無菌エアを供給したり、各フィルタ21,22,23を大気中に開放したりするための補助管路24が弁25a,25b,25c,25d,25e,25fと共に設けられる。例えば、図3に示すように、流動食品を通さない未使用のフィルタ22,23に対しては、補助管路24から常時陽圧の無菌エアが供給されることにより、フィルタ22,23が無菌の陽圧化状態に維持される。
【0051】
なお、上記循環路14,15、共用管路4、復管路16等には、図示しないが流動食品、水、洗浄用薬剤等を圧送するためのポンプが設けられる。
【0052】
次に、上記無菌充填装置の作用と共に無菌充填方法について、図2乃至図20に基づいて説明する。
【0053】
(1)流動食品a:充填準備
無菌充填は、概ね図20のフローチャートに示す手順で行われる。すなわち、最初に先充填の流動食品aの充填経路(専用管路1から共用管路4を経て充填機3に至る経路)及び後充填の流動食品bの充填経路(専用管路2から共用管路4を経て充填機3に至る経路)についてCIP処理及びSIP処理が行われる(ステップS1)。
【0054】
なお、CIP処理及びSIP処理が終了した後に充填作業を行い、CIP処理を行って次の充填作業を待つ場合のように、すでにCIP処理が行われている場合は、充填経路内は無菌状態に保たれているので、SIP処理のみで足りる。
【0055】
具体的には、図2に示すように、全専用管路1,2及び共用管路4のSIP処理が行われる。
【0056】
このSIP処理は、蒸気sによって行われる。図2に示すように、蒸気sの供給管28から蒸気sが全専用管路1,2及び共用管路4へと供給される。蒸気sは各専用管路1,2を通過して大気中に放出され、同時に共用管路4をも通過して充填機3のヘッドタンク12から無菌チャンバ13内に流入した後、充填部のノズルを通り、大気中に放出される。
【0057】
これにより、全専用管路1,2及び共用管路4内は、蒸気の熱により、滅菌処理される。その後、所定のバルブが閉じられ、全専用管路1,2から共用管路4を経て充填機3に至る充填経路が外界から遮断され、無菌状態が維持される。
【0058】
また、これから充填しようとする流動食品aに対応する専用管路1の上流側の滅菌機7が、水道水等の水wを加熱しつつ循環させる。これにより、滅菌機7が無菌状態でSIP処理される。加熱温度は140℃以上である。
【0059】
これにより、充填経路である全専用管路1,2及び共用管路4のSIP処理が完了する。
【0060】
(2)流動食品a:充填開始(流動食品b:充填休止)
この工程は図20のステップS2に対応する。
【0061】
具体的には、図3に示すように、先充填の流動食品aが貯留された貯留タンク5から、流動食品aが滅菌機7を通って、滅菌処理されつつ、専用管路1へと送られる。そして、サージタンク11内に一旦貯留された後、フィルタ21によって濾過され、充填機3のヘッドタンク12へと送られる。ヘッドタンク12内に溜められた流動食品aは、充填機3のノズルからボトル等の容器内に充填される。流動食品aが充填された容器は図示しないキャッパーによって密封され、無菌チャンバ13から排出される。
【0062】
なお、未使用のフィルタ22,23は、補助管路24から常時陽圧の無菌エアpが供給されることにより、無菌の陽圧化状態に維持される。
【0063】
(3)流動食品a:充填中・流動食品b:無菌CIP準備
図4に示すように、流動食品aの充填中に、滅菌機8で水道水等の水wを加熱しつつ循環させる。これにより、滅菌機8がSIP処理され無菌状態にされる。
【0064】
なお、「無菌CIP」とは、滅菌機により無菌にした薬液及びすすぎ水を用いて行うCIPの意である。
【0065】
その後、図20に示すように、先充填の流動食品aの充填が終了する(ステップS3)。
【0066】
上記のように、先充填の流動食品aの充填中に滅菌機8が立ち上げられるので、先充填の流動食品aの充填が終了すると、後充填の流動食品bの充填に速やかに移行することができる。
【0067】
なお、この工程中、蒸気sの供給管28から閉状態にある各種バルブの裏側に蒸気sが供給されることにより、蒸気バリアが形成される。
【0068】
(4)流動食品a:充填休止・流動食品b:無菌CIP(すすぎ)
図5に示すように、所定のバルブの開閉によって、流動食品bに対応した滅菌機8から専用管路2、共用管路4を経て充填機3に至る往管路と、復管路16とが導通状態とされる。また、先充填の流動食品aの濾過に使用されたフィルタ21のみが導通状態とされる。
【0069】
そして、無菌のすすぎ水rが往管路及び復管路16に供給され、この無菌のすすぎ水rが通過することによって、流動食品bに対応した充填経路について無菌CIP処理であるすすぎが行われる。これは、図20に示すステップS4に対応する。
【0070】
無菌のすすぎ水rは、例えば水道水が往管路内に供給され、滅菌機8で加熱滅菌処理されることにより作られる。
【0071】
このすすぎの最中、無菌エアpが未使用のフィルタ22,23に供給され、これらのフィルタ22,23内が陽圧に保持される。
【0072】
(5)流動食品b:無菌CIP(洗浄用薬剤による洗浄)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0073】
具体的には、図6に示すように、洗浄用薬剤xの供給源である供給タンク17aから洗浄用薬剤xとしてアルカリ性液が上記往管路及び復管路16内に供給され、上記往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0074】
その後、供給タンク17aが酸性液の供給タンク17bに切り替えられ、洗浄用薬剤xとして酸性液が上記と同様にして往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0075】
これにより、流動食品bに対応した充填経路について無菌CIP処理である酸性液及びアルカリ性液による薬剤洗浄が行われる。酸性液及びアルカリ性液は滅菌機8を通過しながら滅菌処理されるので、無菌状態で往管路及び復管路16内を巡る。従って、無菌のCIP処理が行われることになる。
【0076】
なお、この洗浄の最中、無菌エアpが未使用のフィルタ22,23に供給され、これらのフィルタ22,23内が陽圧に保持される。
【0077】
(6)流動食品aの充填休止・流動食品bに対応した充填経路の無菌CIP(すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0078】
図5に示したと同様に、すすぎ水rによる無菌CIPが行われ、往管路及び復管路16内から酸性液又はアルカリ液が除去される。
【0079】
(7)流動食品b:無菌CIP(最終すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0080】
図7に示すように、図5に示した経路と同じ径路内に、無菌のすすぎ水rが供給され、流動食品bに対応した充填経路について無菌CIPが行われる。
【0081】
この場合、すすぎ水rは流動食品bの濾過に使用されるフィルタ22を通るように流路を切り替えられる。
【0082】
なお、必要に応じて、蒸気sが流動食品bの通過に関与しないバルブ25b,25d,25fへと供給される。
【0083】
(8)流動食品b:無菌CIP(エアパージ1)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0084】
図8に示すように、サージタンク11に無菌エアpが圧送される。この無菌エアpがサージタンク11から充填機3の無菌チャンバ13に至る充填経路内に流れる。さらに、ヘッドタンク12に無菌エアpが圧送され、この無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中へと流出する。これにより、充填機3内に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0085】
なお、図4に示したと同様に、必要に応じて滅菌機8には無菌の水wが循環路15を通じて流され、滅菌機8の無菌性が維持される。
【0086】
また、フィルタ21,22,23を大気中に開放する際の非無菌経路を滅菌処理するために、蒸気sが補助管路24からバルブ25a,25b,25c, 25d,25e,25fを通って大気中に流される。
【0087】
(9)流動食品b:無菌CIP(エアパージ2)
この工程は、図20に示すステップS4に対応する。
【0088】
図9に示すように、図8に示した前回の無菌CIP処理に引き続いてサージタンク11に無菌エアpが圧送される。同様にヘッドタンク12にも無菌エアpが圧送される。これらの無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中に流出する。これにより、上記充填経路、フィルタ21,22,23に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0089】
(10)流動食品b:無菌保持
図10に示すように、必要に応じて滅菌機8には無菌水wが循環路15を通じて流され、滅菌機8の無菌性が維持される。
【0090】
また、無菌エアpが補助管路24から、流動食品の種類数を超えた未使用のフィルタ23へと供給され、これによりこのフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0091】
(11)流動食品b:充填開始
この工程は、図20中ステップS5に対応する。
【0092】
具体的には、図11に示すように、後充填の流動食品bが貯留された貯留タンク6から、流動食品bが滅菌機8を通って、滅菌処理されつつ、専用管路2へと送られる。そして、サージタンク11内に一旦貯留された後、フィルタ22によって濾過され、充填機3のヘッドタンク12へと送られる。ヘッドタンク12内に溜められた流動食品bは、充填機3のノズルからボトル等の容器内に充填される。流動食品bが充填された容器は図示しないキャッパーによって密封され、無菌チャンバ13から排出される。
【0093】
なお、未使用のフィルタ23は、補助管路24から常時陽圧の無菌エアpが供給されることにより、無菌の陽圧化状態に維持される。
【0094】
(12)流動食品b:充填中・流動食品c:無菌CIP準備
図12に示すように、後充填の流動食品bの充填中に、滅菌機8で水道水等の水wを加熱しつつ循環させる。これにより、滅菌機7が無菌状態でSIP処理される。
【0095】
その後、所定量の容器詰め流動食品が製造されたところで、後充填の流動食品bの充填が終了し、図20中ステップ6が完了する。
【0096】
上記のように、後充填の流動食品bの充填中に滅菌機7が立ち上げられるので、後充填の流動食品bの充填が終了すると、上記流動食品bに代わる流動食品cの充填に速やかに移行することができる。
【0097】
(13)流動食品b:充填休止・流動食品c:無菌CIP(すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0098】
図13に示すように、所定のバルブの開閉によって、流動食品cに対応した滅菌機7から専用管路1、共用管路4を経て充填機3に至る往管路と、復管路16とが導通状態とされる。また、後充填の流動食品bの濾過に使用されたフィルタ22のみが導通状態とされる。
【0099】
そして、無菌のすすぎ水rが往管路及び復管路16内に供給され、この無菌のすすぎ水rが往管路及び復管路16内を通ることによって、流動食品aに対応した充填経路について無菌CIP処理であるすすぎが行われる。
【0100】
無菌のすすぎ水rは、例えば水道水が往管路内に供給され、滅菌機7で加熱滅菌処理されることにより作られる。
【0101】
このすすぎの最中、無菌エアpが未使用のフィルタ23に供給され、このフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0102】
(14)流動食品c:無菌CIP(洗浄用薬剤による洗浄)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0103】
具体的には、図14に示すように、洗浄用薬剤xの供給源である供給タンク17aから洗浄用薬剤xであるアルカリ性液が上記往管路及び復管路16内に供給され、上記往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0104】
その後、供給タンク17aが酸性液の供給タンク17bに切り替えられ、洗浄用薬剤xである酸性液が上記と同様にして往管路及び復管路16内を巡りつつ配管内を洗浄する。
【0105】
これにより、流動食品cに対応した充填経路について無菌CIP処理である酸性液及びアルカリ性液による洗浄が行われる。酸性液及びアルカリ性液は滅菌機7を通過しながら滅菌処理されるので、無菌状態で往管路及び復管路16内を巡る。従って、無菌のCIP処理が行われることになる。
【0106】
なお、この洗浄の最中、無菌エアpが未使用のフィルタ23に供給され、このフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0107】
(15)流動食品c:無菌CIP(すすぎ)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0108】
図13に示したと同様に、すすぎ水rによる無菌CIPが行われ、往管路及び復管路16内から酸性液又はアルカリ液が除去される。
【0109】
(16)流動食品c:無菌CIP(最終すすぎ)
図15に示すように、図13に示した経路と同じ径路内に、無菌のすすぎ水rが供給され、流動食品cに対応した充填経路について無菌CIPが行われる。
【0110】
この場合、すすぎ水rは流動食品cの濾過に使用されるフィルタ23を通るように流路を切り替えられる。
【0111】
これは、図20に示すステップS7に対応する。
【0112】
なお、この工程で、必要に応じて、蒸気sがバルブ25d,25fへと供給される。
【0113】
(17)流動食品c:無菌CIP(エアパージ1)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0114】
図16に示すように、サージタンク11に無菌エアpが圧送される。この無菌エアpがサージタンク11から充填機3の無菌チャンバ13に至る充填経路内に流れる。さらに、ヘッドタンク12に無菌エアpが圧送され、この無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中に流出する。これにより、充填機3内に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0115】
なお、図12に示したと同様に、必要に応じて滅菌機7には無菌水wが循環路14を通じて流され、滅菌機7の無菌性が維持される。
【0116】
また、フィルタ22,23を大気中に開放する際の非無菌経路を滅菌処理するために、蒸気sが補助管路24からバルブ25c, 25d,25e,25fを通って大気中に流される。
【0117】
(18)流動食品c:無菌CIP(エアパージ2)
この工程は、図20に示すステップS7に対応する。
【0118】
図17に示すように、図16に示した前回の無菌CIP処理に引き続いてサージタンク11に無菌エアpが圧送される。同様にヘッドタンク12にも無菌エアpが圧送される。これらの無菌エアpが経路内の無菌性を維持しつつ大気中に流出する。これにより、上記充填経路、フィルタ22,23に残留したすすぎ水rが外部に排出される。
【0119】
(19)流動食品c:無菌保持
図18に示すように、必要に応じて滅菌機7には無菌水wが循環路14を通じて流され、滅菌機7の無菌性が維持される。
【0120】
また、無菌エアpが補助管路24から、流動食品の種類数を超えた未使用のフィルタ23へと供給され、これによりこのフィルタ23内が陽圧に保持される。
【0121】
(20)流動食品c:充填開始
この工程は、図20中ステップS8に対応する。
【0122】
具体的には、図19に示すように、先に充填された流動食品aと同種類又は異種類の流動食品cが貯留された貯留タンク5から、流動食品cが滅菌機7を通って、専用管路1へと送られる。そして、サージタンク11内に一旦貯留された後、フィルタ23によって濾過され、充填機3のヘッドタンク12へと送られる。ヘッドタンク12内に溜められた流動食品cは、充填機3のノズルからボトル等の容器内に充填される。流動食品cが充填された容器は図示しないキャッパーによって密封され、無菌チャンバから排出される。
【0123】
その後、所定量の容器詰め流動食品が製造されたところで、後充填の流動食品cの充填が終了し、図20中ステップ9が完了する。
【0124】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、流動食品は上記三種類a,b,cのものに限らず、フィルタを増設することによって、四種類以上の流動食品を充填することも可能である。
【符号の説明】
【0125】
a,b,c…複数種類の流動食品
x…洗浄用薬剤
p…無菌エア
r…すすぎ水
s…蒸気
w…水
1,2…専用管路
3…充填機
4…共用管路
7,8…滅菌機
11…サージタンク
12…ヘッドタンク
13…無菌チャンバ
14,15…循環路
16…復管路
17…供給源
21,22,23…フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の流動食品を各々供給する専用管路を設け、全専用管路のいずれかを充填機に接続する共用管路を設け、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品を対応する専用管路から共用管路を経て充填機に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品に対応する専用管路の無菌状態を維持し、上記先充填の流動食品の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品に対応する専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項2】
請求項1に記載の無菌充填方法において、各専用管路に滅菌機を介在させ、この滅菌機によって対応する流動食品及びCIPに用いる流体を滅菌することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項3】
請求項2に記載の無菌充填方法において、各専用管路に滅菌機を通る循環路を接続し、上記先充填の流動食品の無菌充填中に、上記後充填の流動食品に対応する循環路及び滅菌機についてCIP及びSIPを行うことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項4】
請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路を伸ばし、この復管路に洗浄用薬剤の供給源を設け、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌の洗浄用薬剤によるCIPを行うことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項5】
請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路を伸ばし、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路としてすすぎ水を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌のすすぎ水によるCIPを行うことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項6】
請求項1に記載の無菌充填方法において、流動食品の種類の数よりも多い個数のフィルタを充填経路に並列状態で介在させ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ内で変更することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項7】
請求項6に記載の無菌充填方法において、並列状態のフィルタの上流側及び下流側にタンクを設け、これらのタンクに無菌エアを供給することによって、未使用のフィルタから充填機に至る充填経路に対し経路内の無菌性を保持しながらエアパージにより残留水を排出するようにしたことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項8】
請求項6に記載の無菌充填方法において、後充填の流動食品の充填に当たり、先充填の流動食品に用いられたフィルタを通してCIPを行い、未使用のフィルタは無菌エアにより陽圧化しておくことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項9】
複数種類の流動食品を各々供給する専用管路が設けられ、全専用管路のいずれかを充填機に接続する共用管路が設けられ、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路について洗浄するCIP手段及び滅菌するSIP手段が設けられ、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてCIP及びSIPが行われた後、先充填の流動食品を対応する専用管路から共用管路を経て充填機に送ることにより無菌充填が行われ、この無菌充填の間、後充填の流動食品に対応する専用管路の無菌状態が維持され、上記先充填の流動食品の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品が無菌充填されるに当たり、後充填の流動食品に対応する専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてはCIPのみが行われ、SIPが省略されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項10】
請求項9に記載の無菌充填装置において、各専用管路に滅菌機が設けられ、この滅菌機によって対応する流動食品及びCIPに用いる流体が滅菌されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項11】
請求項10に記載の無菌充填装置において、各専用管路に滅菌機を通る循環路が接続され、上記先充填の流動食品の無菌充填中に、上記後充填の流動食品に対応する専用管路の循環路及び滅菌機についてCIP及びSIPが行われるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項12】
請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路が伸び、この復管路に洗浄用薬剤の供給源が設けられ、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌の洗浄用薬剤によるCIPが行われるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項13】
請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路が伸び、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路としてすすぎ水を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌のすすぎ水によるCIPが行われるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項14】
請求項9に記載の無菌充填装置において、流動食品の種類の数よりも多い個数のフィルタが共用管路に並列状態で設けられ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ内で変更されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項15】
請求項14に記載の無菌充填装置において、並列状態のフィルタの上流側及び下流側にタンクが設けられ、これらのタンクに無菌エアが供給されることによって、未使用のフィルタから充填機に至る充填経路に対し経路内の無菌性を保持しながらエアパージにより残留水を排出するようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項16】
請求項14に記載の無菌充填装置において、後充填の流動食品の充填に当たり、先充填の流動食品に用いられたフィルタを通してCIPが行われ、未使用のフィルタは無菌エアにより陽圧化されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項1】
複数種類の流動食品を各々供給する専用管路を設け、全専用管路のいずれかを充填機に接続する共用管路を設け、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてCIP及びSIPのうち少なくともSIPを行った後、先充填の流動食品を対応する専用管路から共用管路を経て充填機に送ることにより無菌充填を行い、この無菌充填の間、後充填の流動食品に対応する専用管路の無菌状態を維持し、上記先充填の流動食品の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品を無菌充填するに当たり、後充填の流動食品に対応する専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてはCIPのみを行い、SIPを省略することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項2】
請求項1に記載の無菌充填方法において、各専用管路に滅菌機を介在させ、この滅菌機によって対応する流動食品及びCIPに用いる流体を滅菌することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項3】
請求項2に記載の無菌充填方法において、各専用管路に滅菌機を通る循環路を接続し、上記先充填の流動食品の無菌充填中に、上記後充填の流動食品に対応する循環路及び滅菌機についてCIP及びSIPを行うことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項4】
請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路を伸ばし、この復管路に洗浄用薬剤の供給源を設け、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌の洗浄用薬剤によるCIPを行うことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項5】
請求項2に記載の無菌充填方法において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路を伸ばし、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路としてすすぎ水を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌のすすぎ水によるCIPを行うことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項6】
請求項1に記載の無菌充填方法において、流動食品の種類の数よりも多い個数のフィルタを充填経路に並列状態で介在させ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ内で変更することを特徴とする無菌充填方法。
【請求項7】
請求項6に記載の無菌充填方法において、並列状態のフィルタの上流側及び下流側にタンクを設け、これらのタンクに無菌エアを供給することによって、未使用のフィルタから充填機に至る充填経路に対し経路内の無菌性を保持しながらエアパージにより残留水を排出するようにしたことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項8】
請求項6に記載の無菌充填方法において、後充填の流動食品の充填に当たり、先充填の流動食品に用いられたフィルタを通してCIPを行い、未使用のフィルタは無菌エアにより陽圧化しておくことを特徴とする無菌充填方法。
【請求項9】
複数種類の流動食品を各々供給する専用管路が設けられ、全専用管路のいずれかを充填機に接続する共用管路が設けられ、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路について洗浄するCIP手段及び滅菌するSIP手段が設けられ、全専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてCIP及びSIPが行われた後、先充填の流動食品を対応する専用管路から共用管路を経て充填機に送ることにより無菌充填が行われ、この無菌充填の間、後充填の流動食品に対応する専用管路の無菌状態が維持され、上記先充填の流動食品の無菌充填が終了した後に後充填の流動食品が無菌充填されるに当たり、後充填の流動食品に対応する専用管路から共用管路を経て充填機に至る充填経路についてはCIPのみが行われ、SIPが省略されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項10】
請求項9に記載の無菌充填装置において、各専用管路に滅菌機が設けられ、この滅菌機によって対応する流動食品及びCIPに用いる流体が滅菌されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項11】
請求項10に記載の無菌充填装置において、各専用管路に滅菌機を通る循環路が接続され、上記先充填の流動食品の無菌充填中に、上記後充填の流動食品に対応する専用管路の循環路及び滅菌機についてCIP及びSIPが行われるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項12】
請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路が伸び、この復管路に洗浄用薬剤の供給源が設けられ、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路として洗浄用薬剤を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌の洗浄用薬剤によるCIPが行われるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項13】
請求項10に記載の無菌充填装置において、充填機の充填部を覆う無菌チャンバから、並列させた専用管路へと復管路が伸び、上記滅菌機から充填機に至る充填径路を往管路としてすすぎ水を滅菌機で滅菌しつつ、この往管路及び上記復管路に流して無菌のすすぎ水によるCIPが行われるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項14】
請求項9に記載の無菌充填装置において、流動食品の種類の数よりも多い個数のフィルタが共用管路に並列状態で設けられ、充填する流動食品を異種のものに変更する都度使用するフィルタも上記複数個のフィルタ内で変更されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項15】
請求項14に記載の無菌充填装置において、並列状態のフィルタの上流側及び下流側にタンクが設けられ、これらのタンクに無菌エアが供給されることによって、未使用のフィルタから充填機に至る充填経路に対し経路内の無菌性を保持しながらエアパージにより残留水を排出するようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項16】
請求項14に記載の無菌充填装置において、後充填の流動食品の充填に当たり、先充填の流動食品に用いられたフィルタを通してCIPが行われ、未使用のフィルタは無菌エアにより陽圧化されるようにしたことを特徴とする無菌充填装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−255938(P2011−255938A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132921(P2010−132921)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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