説明

無菌接続装置

【解決手段】 第1無菌ボックスとしてのアイソレータ2には第1接続ポートP1が設けられ、第2無菌ボックスとしての搬送容器3には第2接続ポートP2が設けられている。
連結手段としての伸縮部材21を、第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とを非接続とする伸長状態とし、滅菌媒体供給手段22が伸縮部材の内部に形成された密閉空間Sに滅菌媒体を供給して滅菌を行う。
その後、伸縮部材を収縮状態として第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とを相互に接続し、上記第1、第2開閉部材12、14を一体的に開放することで上記アイソレータ2と搬送容器3とを連通させるようになっている。
【効果】 無菌状態を維持しながら第1、第2無菌ボックスを連通させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無菌接続装置に関し、詳しくは第1開口部および該第1開口部を開閉する第1開閉部材を備えた第1無菌ボックスの内部空間と、第2開口部および該第2開口部を開閉する第2開閉部材を備えた第2無菌ボックスの内部空間とを、上記第1開口部および第2開口部を介して相互に連通させる無菌接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1開口部および該第1開口部を開閉する第1開閉部材を備えた第1無菌ボックスの内部空間と、第2開口部および該第2開口部を開閉する第2開閉部材を備えた第2無菌ボックスの内部空間とを、上記第1開口部および第2開口部を介して相互に連通させる無菌接続装置が知られている。
このような無菌接続装置として、第1無菌ボックスと第2無菌ボックスとを無菌状態を維持しながら連通させるRTP(Rapid Transfer Port)を用いたものが知られている(特許文献1)。
この特許文献1の無菌接続装置によれば、第1接続ポートと第2接続ポートとを接続すると同時に上記第1開閉部材と第2開閉部材とを接続してから、上記第1、第2開閉部材を一体的に開放することで、上記第1無菌ボックスと第2無菌ボックスとの内部空間を無菌状態を保ったまま連通させるようになっている。
しかしながらこの特許文献1の無菌接続装置においても、厳密には、上記各開閉部材同士が密着する面の縁部において、外部雰囲気に露出した部分を完全に覆うことができず、無菌空間に露出されてしまう非無菌の部分が存在している。そのため、上記非無菌の部分に光ファイバを介して紫外線を照射し、上記非無菌の部分を殺菌するようにした無菌接続装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3445813号公報
【特許文献2】特開平11−334765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2のような紫外線照射だけでは十分な無菌性を得ることができず、また紫外線を直接的に照射できない部分については全く効果が得られないことから、確実に無菌状態を維持したまま第1無菌ボックスの内部空間と第2無菌ボックスの内部空間とを連通させることができないという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は無菌状態を維持しながら第1、第2無菌ボックスを連通させることの可能な無菌接続装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明にかかる無菌接続装置は、第1開口部および該第1開口部を開閉する第1開閉部材を備えた第1無菌ボックスの内部空間と、第2開口部および該第2開口部を開閉する第2開閉部材を備えた第2無菌ボックスの内部空間とを、上記第1開口部および第2開口部を介して相互に連通させる無菌接続装置において、
上記第1無菌ボックスと第2無菌ボックスとを連結するとともに、上記第1開口部を閉鎖した第1開閉部材と上記第2開口部を閉鎖した第2開閉部材との間の空間を取り囲んで、外部雰囲気から隔離された密閉空間を形成する筒状の連結手段と、該連結手段に連結されて上記密閉空間に滅菌媒体を供給する滅菌媒体供給手段とを備え、
上記第1開閉部材および第2開閉部材が閉鎖された状態で上記連結手段により密閉空間を形成するとともに、上記滅菌媒体供給手段から上記滅菌空間に滅菌媒体を供給して、上記第1開閉部材および第2開閉部材を滅菌してから開放させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連結手段によって外部雰囲気から隔離された密閉空間を形成するとともに、該密閉空間に滅菌媒体を供給して、上記第1開閉部材および第2開閉部材を滅菌してから開放させるため、第1無菌ボックスの内部空間と第2無菌ボックスの内部空間とを無菌状態を維持しながら連通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施例にかかる無菌接続装置の該略断面図であって、伸縮部材を伸長状態とした図。
【図2】図1に対し、伸縮部材を収縮状態とした図。
【図3】第2実施例にかかる無菌接続装置の該略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1、図2は本発明にかかる無菌接続装置1を示し、第1無菌ボックスとしてのアイソレータ2と、該アイソレータ2に物品を受け渡すための第2無菌ボックスとしての搬送容器3とを示し、図1、図2に示すようにアイソレータ2と搬送容器3とは接離可能となっている。
上記アイソレータ2はその内部が外部雰囲気より隔離され、過酸化水素蒸気などの滅菌ガスを発生させる図示しない滅菌装置によって内部が滅菌されるとともに、図示しないエアコンデショナから供給される無菌エアによって所定の陽圧に保たれている。またアイソレータ2の側面には作業者が装着して無菌操作を行うための図示しないグローブ等が設けられている。
また、上記搬送容器3も過酸化水素蒸気などの滅菌ガスにより、予め内部が滅菌されて密封されている。
そして、上記アイソレータ2に上記搬送容器3を接続することで、無菌状態を維持しながら物品の受渡しを可能とし、物品の外面を滅菌せずに物品の受渡しができるようになっている。
そして上記アイソレータ2と搬送容器3とを接続するため、上記アイソレータ2の側壁2aには第1接続ポートP1が設けられ、上記搬送容器3における有底円筒状の収納部3aの開口3bには第2接続ポートP2がそれぞれ設けられている。
【0009】
上記第1接続ポートP1は、側壁2aに形成した円形の開口2bを縁取るように設けた略環状の第1環状部材11と、該第1環状部材11に形成された第1開口部11aを開閉する第1開閉部材12とから構成されている。
上記第1環状部材11には、該第1環状部材11の内側開口であってアイソレータ2の内部空間と外部雰囲気とを連通させる上記第1開口部11aと、該第1開口部11aを囲繞するように外部側に向けて形成された第1平坦面11bと、さらに、該第1平坦面11bを囲繞するように形成されて上記第2接続ポートP2と接続するための第1接続部11cとが形成されている。
上記第1開閉部材12は第1環状部材11に設けられた図示しないヒンジによってアイソレータ2の内部に向けて揺動可能に軸支され、アイソレータ2の内部側面中央に設けられた取っ手12aと、上記第1環状部材11の第1開口部11aに嵌合する外周面12bと、外部側に向けて環状に形成された第3平坦面12cと、該第3平坦面12cのさらに内側に形成された第3接続部12dとが形成されている。
上記第1環状部材11の第1開口部11aと上記第1開閉部材12の外周面12bとはアイソレータ2の内部に向けて拡径するようにテーパ状に形成されており、第1開閉部材12により第1開口部11aを閉鎖すると、第1開口部11aに外周面12bが嵌合して、アイソレータ2の内部空間と外部雰囲気とを隔離するようになっている。
上記第1環状部材11の第1平坦面11bと上記第1開閉部材12の第3平坦面12cとは、第1開閉部材12により第1開口部11aを閉鎖した際に、段差のない同一平面となるように形成されている。
上記第1環状部材11の第1接続部11cは略円筒状を有しており、上記第1開閉部材12の第3接続部12dは第3平坦面12cより外部側に向けて突出するとともに、その外周面には断続的に環状の突起が形成されている。
【0010】
上記第2接続ポートP2は、収納部3aの円形の開口3bを縁取るように設けた略環状の第2環状部材13と、該第2環状部材13に形成された第2開口部13aを開閉する第2開閉部材14とから構成されている。
上記第2環状部材13には、該第2環状部材13の内側開口であって搬送容器3の内部空間と外部雰囲気とを連通させる上記第2開口部13aと、該第2開口部13aを囲繞するように外部側に向けて形成された第2平坦面13bと、さらに、該第2平坦面13bを囲繞するように形成されて上記第1接続ポートP1の第1接続部11cに接続可能な第2接続部13cとが形成されており、該第2接続部13cには外径の大きな装着部13dが形成されている。
上記第2開閉部材14は第2環状部材13に対して着脱可能に設けられており、上記第2開口部13aに嵌合する外周面14aと、外部側に向けて環状に形成された第4平坦面14bと、該第4平坦面14bの内側に形成されて上記第1開閉部材12の第3接続部12dに接続可能な第4接続部14cとが形成されている。
上記第2環状部材13の第2開口部13aと上記第2開閉部材14の外周面14aとは搬送容器3の外部に向けて拡径するようにテーパ状に形成されており、第2開閉部材14により第2開口部13aを閉鎖すると、第2開口部13aに外周面14aが嵌合して、搬送容器3の内部空間と外部雰囲気とを隔離するようになっている。
上記第2環状部材13の第2平坦面13bと上記第2開閉部材14の第4平坦面14bとは、第2開閉部材14により第2開口部13aを閉鎖した際に、段差のない同一平面となるように形成されている。
また上記第2平坦面13bは、上記第1環状部材11に形成された第1平坦面11bと外径および内径がそれぞれ同径となるように形成され、また上記第4平坦面14bは、第1開閉部材12に形成された第3平坦面12cと外径および内径がそれぞれ同径となるように形成されている。
上記第2接続部13cの外径は上記第1環状部材11における第1接続部11cの内径と同径に形成され、外周面には上記第1接続部11cに形成された環状の突起が嵌合する溝が形成されている。
上記装着部13dの外径は上記第1環状部材11における第1接続部11cの外径と同径に形成されている。
上記第2開閉部材14の第4接続部14cは、第4平坦面14bよりも収納部3a側に向けて退没した凹部形状を有するとともに、この凹部の内周面に上記第3接続部12dに形成された環状の突起が嵌合する溝が形成されている。
【0011】
そして上記第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とは以下のように接続され、無菌状態を維持しながらアイソレータ2の内部空間と搬送容器3の内部空間とを連通させるようになっている。
まず、アイソレータ2の第1接続ポートP1は第1開閉部材12によって閉鎖され、搬送容器3の第2接続ポートP2は第2開閉部材14によって閉鎖されている。
作業者は、第1開閉部材12に第2開閉部材14を対向させた状態で、搬送容器3をアイソレータ2に接近させ、第2接続ポートP2の第2接続部13cを、第1接続ポートP1の第1接続部11cに係合部と切り欠きの位置を合わせて挿入し回転させる。
これにより、上記第1環状部材11の第1接続部11cと第2環状部材13の第2接続部13cとが結合されて、第1平坦面11bと第2平坦面13bとが密着する。
上記第1環状部材11と第2環状部材13とが結合すると同時に、上記第1開閉部材12の第3接続部12dと第2開閉部材14の第4接続部14cとが結合されて、第3平坦面12cと第2開閉部材14の第4平坦面14bとが密着する。
この状態でアイソレータ2の内部より、作業者が第1開閉部材12のロックを解除して第1開閉部材12と第2開閉部材14とを一体的にアイソレータ2の内部に向けて開くことにより、アイソレータ2の内部空間と搬送容器3の内部空間とが無菌状態を維持しながら連通するようになっている。
なお、このような構成を有する無菌接続装置1自体は上記特許文献1おいて公知であり、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0012】
上記構成を有する無菌接続装置1によれば、アイソレータ2と搬送容器3とを接続することで、それまで外部雰囲気に露出していた第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とにおいて、第1平坦面11bと第2平坦面13bが密着し、第3平坦面12cと第4平坦面14bとが密着することとなる。
この状態で第1開閉部材12と第2開閉部材14とを一体的に開放することにより、上記密着部分はアイソレータ2と搬送容器3とが連通した無菌状態の内部空間に露出しないため、理論上、無菌空間に非無菌の部分は露出しないこととなる。
しかしながら、上記各第1〜第4平坦面11b、13b、12c、14bは、寸法や平面度に公差を含んで製造されており、厳密には全完に密着させることが不可能である。
そのため、外部雰囲気に露出されながら完全に覆うことができない部分が存在し、このような非無菌の部分が、無菌空間に露出されることが懸念されていた。
【0013】
そこで本実施例の無菌接続装置1では、以下のようにして無菌状態を維持しながらアイソレータ2の内部空間と搬送容器3の内部空間とを連通させるようになっている。
図1に示すように、アイソレータ2と搬送容器3とを筒状の連結手段としての伸縮部材21によって連結し、該伸縮部材21には滅菌媒体としての過酸化水素蒸気を供給する滅菌媒体供給手段22と、排出管23とを接続している。
上記伸縮部材21は柔軟で伸縮可能な蛇腹形状を有しており、伸長状態では筒状となって、その一端側は第1接続ポートP1における第1環状部材11の第1接続部11cの外周面にゴムバンド24により気密を保った状態で装着されるようになっている。
一方、該伸縮部材21の他端側は第2接続ポートP2における第2環状部材13の装着部13dの外周面に、ゴムバンド24により気密を保った状態で装着されるようになっている。
そして伸縮部材21は、アイソレータ2と搬送容器3とが離隔され、第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とが未だ接続されていない筒状の伸長状態(図1)と、アイソレータ2と搬送容器3とを接近させて、第1接続ポートP1と第2接続ポートP2との接続を許容する収縮状態(図2)とに伸縮可能になっている。
上記滅菌媒体供給手段22は、上記伸縮部材21に接続された吸気管25と、過酸化水素蒸気を発生させる過酸化水素蒸気発生手段26と、HEPAフィルタ等の無菌化フィルタ27を介して吸気管25に送風するブロア28と、該ブロア28が送風する気体を加熱するヒータ29とを備えている。
上記排出管23には、過酸化水素を分解する触媒30と、排出管23の末端に設けられたHEPAフィルタ等の無菌化フィルタ31とが設けられている。
【0014】
以下、上記構成を有する無菌接続装置1の使用方法について説明する。
内部で無菌操作が行われているアイソレータ2に搬送容器3を接続するに際し、最初に伸長状態の伸縮部材21の一端をアイソレータ2の第1接続ポートP1の第1接続部11cに装着するとともに、伸縮部材21の他端を搬送容器3における第2接続ポートP2の第2接続部13cの装着部13dに装着し、ゴムバンド24により密封する。
このとき、図1に示すようにアイソレータ2と搬送容器3は連結されるが、第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とは接続されておらず、上記第1開口部11aを閉鎖した第1開閉部材12と上記第2開口部13aを閉鎖した第2開閉部材14との間の空間は、伸長状態となった筒状の伸縮部材21によって取り囲まれ、外部雰囲気から隔離された密閉空間Sが形成される。
換言すると、この状態では、第1、第2環状部材11、13における第1、第2平坦面11b、13dと、上記第1、第2開閉部材12、14における第3、第4平坦面12c、14bとが、上記密閉空間Sの内部に露出された状態となっている。
【0015】
続いて、上記滅菌媒体供給手段22を作動させて上記ブロア28およびヒータ29によって加熱空気を送風するとともに、この加熱空気に上記過酸化水素蒸気発生手段26からの過酸化水素蒸気を混合することで、上記密閉空間Sに過酸化水素水蒸気が供給されて充満し、該過酸化水素蒸気は排出管23から触媒30を介して無害化された状態で排出される。
これにより、上記密閉空間Sの全域が滅菌され、第1環状部材11、第1開閉部材12、第2環状部材13、第2開閉部材14の露出部分、ならびに、それらの上記第1〜第4平坦面11b、13b、12c、14bについても十分に滅菌される。
そして、密閉空間Sの全域が十分に滅菌できるだけの時間が経過すると、過酸化水素蒸気発生手段26からの過酸化水素の発生を停止させるとともに、無菌化フィルタ27を介して無菌エアを流通させ、密閉空間Sの過酸化水素成分を除去するエアレーションを所定時間実行する。
このようにして、密閉空間Sの滅菌が終了すると、図2に示すようにアイソレータ2と搬送容器3とを相互に接近させて、上記伸縮部材21を伸長状態から収縮状態とし、第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とを接続する。
そして、アイソレータ2の内部から第1開閉部材12を操作し、第1開閉部材12と第2開閉部材14を一体的にアイソレータ2の内部に開放することで、アイソレータ2の内部空間と搬送容器3の内部空間とを連通させる。
【0016】
このように、本実施例の無菌接続装置1によれば、連結手段としての上記伸縮部材21によってアイソレータ2と搬送容器3とを連結して密閉空間Sを形成し、該伸縮部材21を筒状の伸長状態に保持した状態で、密閉空間Sに滅菌媒体を供給して滅菌することで、密閉空間Sに位置する外部雰囲気に露出していた部分の全域が滅菌され、その後第1開閉部材12および第2開閉部材14を一体的に開放しても、非無菌の部分がアイソレータ2と搬送容器3とによって形成された無菌状態の空間に露出することはない。
したがって、無菌状態を維持しながらアイソレータ2の内部空間と搬送容器3の内部空間とを連通させることができ、これらの間で物品の移送を行うことができる。
また、上記密閉空間Sは伸縮部材21によって形成された狭い空間であるため、過酸化水素蒸気を速やかに充満させることができ、また、除去することができるので、滅菌を迅速に行うことで速やかにアイソレータ2の内部空間と搬送容器3の内部空間とを連通させることができる。
なお、上記伸縮部材21については、必ずしも蛇腹状である必要はない。例えばテレスコピック状として、伸縮時に外部雰囲気と密閉空間Sの内部とが隔離された状態を維持するような構成としてもよい。
【0017】
図3は第2実施例にかかる無菌接続装置101を示し、以下第1実施例にかかる無菌接続装置1と共通する構成については、第1実施例で用いた符号に100を加算して示すことで詳細な説明は省略する。
本実施例では、第1無菌ボックスとしての第1アイソレータ102と、第2無菌ボックスとしての第2アイソレータ103とを備え、第1アイソレータ102および第2アイソレータ103はそれぞれ図示しないキャスターによって移動可能となっている。これら第1アイソレータ102と第2アイソレータ103の基本的な構成は第1実施例のアイソレータ2と共通である。
上記第1アイソレータ102には第1接続部として第1接続ポートP101が設けられ、上記第2アイソレータ103には第2接続部として第2接続ポートP102が設けられ、これら第1接続ポートP101と第2接続ポートP102とを接続することで、第1アイソレータ102と第2アイソレータ103とを連結するようになっている。
【0018】
第1接続ポートP1は、側壁102aに形成した円形の開口102bを縁取るように囲繞し、外部に向けて突出させて設けた連結手段としての略円筒状の第1筒状部材111と、該第1筒状部材111の内側の第1開口部111aを開閉する第1開閉部材112とから構成されている。
第1筒状部材111は上記第1アイソレータ102の壁面102aを貫通するように設けられており、第1アイソレータ102の内部側の端部に上記第1開口部111aが形成されている。
第1筒状部材111における外部へ突出した先端部には環状のシール部材111bが設けられており、また、この先端部の外周面には所定間隔で複数の係合突起111cが形成されている。
第1開閉部材112は第1筒状部材111における第1アイソレータ102の内部側の端部に設けられたヒンジ111dを介して開閉自在に軸支されており、第1開閉部材112を閉鎖してロック112aにより密閉することで、第1アイソレータ102の内部は外部雰囲気から隔離されるようになっている。
さらに、上記第1筒状部材111には、第1実施例と同様な滅菌媒体供給手段122と、排出管123とが接続されている。
【0019】
第2接続ポートP102は、上記第1接続ポートP101と同様に構成され、側壁103aに形成した円形の開口102bを縁取るように囲繞し、外部に向けて突出させて設けた連結手段としての略円筒状の第2筒状部材113と、該第2筒状部材113の内側の第2開口部113aを開閉する第2開閉部材114とから構成されている。
上記第2筒状部材113は上記第2アイソレータ103の壁面103aを貫通するように設けられており、第2アイソレータ103の内部側の端部に上記第2開口部113aが形成されている。
第2筒状部材113の径は上記第1接続ポートP1における第1筒状部材111と同径となっており、該第2筒状部材113における外部へ突出した先端部には環状のシール部材113bが設けられている。
また、第2筒状部材113の先端部の外周面には上記第1筒状部材111に形成された係合突起111cと同じ所定間隔で係合突起113cが形成されており、この係合突起113cに隣接した位置には係合レバー121が揺動可能に設けられており、この係合レバー121には係合突起111c、113cを挟持するリング部が形成されている。
第2開閉部材114は第2筒状部材113における第2アイソレータ103の内部側の端部に設けられたヒンジ113dを介して開閉自在に軸支されており、第2開閉部材114を閉鎖してロック114aにより密閉することで、第2アイソレータ103の内部は外部雰囲気から隔離されるようになっている。
【0020】
以下、上記構成を有する無菌接続装置101の使用方法について説明する。最初に、第1アイソレータ102と第2アイソレータ103とを相互に接近させ、第1接続ポートP101の第1筒状部材111と第2接続ポートP102の第2筒状部材113とを、シール部材111b、113dを介して密着させる。
続いて、係合レバー121を操作して上記係合突起111c、113bを挟持させ、第1筒状部材111と第2筒状部材113とを接続させる。
その結果、第1アイソレータ102と第2アイソレータ103が連結されるとともに、上記第1開口部111aを閉鎖した第1開閉部材112と上記第2開口部113aを閉鎖した第2開閉部材114との間の空間が、これら接続された第1筒状部材111と第2筒状部材113とによって取り囲まれ、外部雰囲気から隔離された密閉空間Sが形成される。
続いて、上記滅菌媒体供給手段122を作動させて、過酸化水素水蒸気を密閉空間Sの内部に供給して、第1実施例の場合と同様に密閉空間Sの全域を滅菌する。
滅菌終了後、第1アイソレータ102の内部から第1開閉部材112を開放し、第2アイソレータ103の内部から第2開閉部材114を開放することで、接続された第1筒状部材111と第2筒状部材113を介して無菌状態を維持しながら第1アイソレータ102の内部空間と第2アイソレータ103の内部空間とを連通させることができる。
【0021】
このように、本実施例の無菌接続装置101によれば、連結手段としての第1筒状部材111と第2筒状部材113とを密着させ、これを係合レバー121によって接続することで、外部雰囲気から隔離した密閉空間Sを形成することができ、該密閉空間Sに滅菌媒体を供給して滅菌することで、外部雰囲気に露出していた第1筒状部材111、第2筒状部材113の内周面および第1開閉部材112、第2開閉部材114における露出部分を滅菌することができる。
そして、その状態で第1開閉部材112、第2開閉部材114を開放することで、無菌状態を維持しながら第1アイソレータ102の内部空間と第2アイソレータ103の内部空間とを連通させることができる。
また、滅菌される密閉空間Sは第1筒状部材111、第2筒状部材113によって形成された狭い空間であるため、過酸化水素蒸気を速やかに充満させ、かつ除去することができ、滅菌を迅速に行うことできることから、速やかに第1アイソレータ102の内部空間と第2アイソレータ103の内部空間とを連通させることができる。
【0022】
上記係合レバー121については、第1筒状部材111と第2筒状部材113が密着した状態を保持できればよく、上記構成以外の構成を採用することも可能である。
さらに、上記第1接続ポートP101または第2接続ポートP102の少なくともいずれか一方に筒状部材が備えられていれば良く、例えば、第2接続ポートP102の第2筒状部材113の筒状部材を省いて、シール部材113dと係合突起113bだけを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1、101 無菌接続装置 2 アイソレータ
3 搬送容器 11 第1環状部材
12、112 第1開閉部材 13 第2環状部材
14、114 第2開閉部材 21 伸縮部材
22、122 滅菌媒体供給手段 102 第1アイソレータ
103 第2アイソレータ 111 第1筒状部材
112 第2筒状部材 121 係合レバー
P1、P101 第1接続ポート P2、P102 第2接続ポート
S 密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部および該第1開口部を開閉する第1開閉部材を備えた第1無菌ボックスの内部空間と、第2開口部および該第2開口部を開閉する第2開閉部材を備えた第2無菌ボックスの内部空間とを、上記第1開口部および第2開口部を介して相互に連通させる無菌接続装置において、
上記第1無菌ボックスと第2無菌ボックスとを連結するとともに、上記第1開口部を閉鎖した第1開閉部材と上記第2開口部を閉鎖した第2開閉部材との間の空間を取り囲んで、外部雰囲気から隔離された密閉空間を形成する筒状の連結手段と、該連結手段に連結されて上記密閉空間に滅菌媒体を供給する滅菌媒体供給手段とを備え、
上記第1開閉部材および第2開閉部材が閉鎖された状態で上記連結手段により密閉空間を形成するとともに、上記滅菌媒体供給手段から上記滅菌空間に滅菌媒体を供給して、上記第1開閉部材および第2開閉部材を滅菌してから開放させることを特徴とする無菌接続装置。
【請求項2】
上記第1開口部を囲繞する第1接続部と、上記第2開口部を囲繞するとともに上記第1接続部と接続可能な第2接続部とを備え、
上記連結手段は、上記第1接続部および第2接続部に装着されて上記第1無菌ボックスと第2無菌ボックスとを連結するとともに、筒状の伸長状態と上記第1接続部と第2接続部との接続を許容する収縮状態とに伸縮可能な伸縮部材からなり、
伸長状態の伸縮部材により形成した上記密閉空間に、上記滅菌媒体供給手段から滅菌媒体を供給してから、上記第1接続部と第2接続部とを接続させることを特徴とする請求項1に記載の無菌接続装置。
【請求項3】
上記第1開口部を囲繞する第1接続部と、上記第2開口部を囲繞するとともに上記第1接続部と接続可能な第2接続部とを備え、
上記連結手段は、これら第1接続部および第2接続部の少なくとも一方に備えられて、上記第1無菌ボックスと第2無菌ボックスとを連結する筒状部材からなり、
上記第1接続部と第2接続部とを接続させて、上記筒状部材により形成した密閉空間に、上記滅菌媒体供給手段から滅菌媒体を供給することを特徴とする請求項1に記載の無菌接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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