説明

無菌製品用の箱

本発明は、ベルト(10)を形成するパネルと、当該パネルを延ばしてベルトに垂直な底部および上部の壁を形成するフラップとからなる無菌製品用の箱に関する。ベルトとフラップは、複数の支柱(E)によって互いに離間した状態を保ち、長手方向に互いに平行な気泡を形成する少なくとも2枚のカバーシート(P1、P2)からなる発泡プラスチック材料板から切り取って形成される。本発明は、殺菌ガスを通過させるようにカバーシートの少なくとも一方に穴(C)が開けられ、板の少なくとも1枚のカバーシートにわたるカット部分(13)がベルトのフラップのヒンジ線に沿って設けられ、フラップ(31、32、41、42、51、52、61、62)を直角に折り曲げたときに気泡と外部とを連通させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半硬質プラスチック材料からなる板を折り曲げて容積が生じるように組み立てることで形成された、無菌製品を収容するための箱に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用や手術用の器具または品物などの無菌製品を包装して出荷するために、例えば注射器の入った箱または袋のように、発泡プラスチック材料からなる箱を使用し、中に製品を入れたまま殺菌用エンクロージャ内でまとめて処理する。この方法は、出来上がった状態のままでまだ無菌状態ではない関係する製品を箱に詰めるステップと、密閉したエンクロージャでそのセット全体に対してEtO(酸化エチレン)などの適切なガスで殺菌処理を施すステップからなる。最長75時間までの所与の暴露時間後に、そのガスをエンクロージャから抜き空気と置換してから、製品をエンクロージャから取り出す。そして処理された製品は、目的地に届くまでさらなる処理を一切せずに箱に入ったまま出荷される。
【0003】
殺菌処理のために使用するガスはあらゆる細菌を殺すためにもともと非常に毒性があるため、ガスの痕跡がパッケージ内に閉じ込められたままにならないようにすべきである。実施する処理手順は、箱の取り扱い担当の作業者や業者に対して、処理用エンクロージャから離れる時を含めて、総合的な安全を与えるべく提供される。
【0004】
発泡プラスチック材料板は、包装用の箱の製造に一般的に使用されている。こういった材料は、軽量で丈夫である。ダンボール紙と比較すると、耐久性があり雑菌混入に対してより抵抗性があるという付加的な利点もある。
【0005】
本明細書中で使用する「発泡プラスチック材料板」とは、互いに平行な壁によって互いから離間した状態を保つ少なくとも2枚の平行な平面シートからなる板を意味する。シートと壁によって、当該技術分野で気泡と呼ばれる長手方向の通路が間に形成される。こういった板は、用途に応じて選択したポリオレフィンなどのプラスチック材料を直線ダイを通して押出すことで得られる。押出ヘッドのすぐ下流で、プラスチック状態の材料はサイジングプレートを通過し、板の形状に固定される。
【0006】
こういったタイプの板は現在広く使用されており、上に開示したような幾つかの用途ではダンボール紙に代わる場合もある。標準的な箱は、アメリカンボックスである。これは、4枚のパネルからなり、その両側部に箱の底部と上部または蓋を形成するために直角に折り曲げられたフラップが延設されている、ベルトからなる。
【0007】
箱を殺菌処理に使用する場合、発泡板を構成するカバーシートに多数の穴を開けてエンクロージャにおける処理段階でガスを循環させ、ガス除去ステップにおける処理の終了時にガスが蓄積し残留ポケットを形成しないようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、ガス殺菌用エンクロージャでの処理後そのまま出荷できるようにフラップを直角に折り曲げ箱を閉じた場合における、箱を通してのガス循環を向上させるという目標を定めた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る無菌製品用の箱は、ベルトを形成する複数の隣接パネルと、当該パネルを延ばしてベルトに垂直な底部および上部の壁を形成する複数のフラップとからなる。ベルトとフラップは、複数の支柱によって互いから離間した状態を保ち、互いに平行な長手方向の気泡を形成する少なくとも2枚のカバーシートからなる発泡プラスチック材料板から切り出される。この箱は、殺菌ガスを通過させるようにカバーシートの少なくとも一方に穴が開けられ、この穴はガスは通過させるが埃の通過は防ぎ、幅の広いカット部分が前記板の少なくとも他方のカバーシートにわたって設けられ、前記気泡と外部とを連通させることを特徴とする。
【0010】
こういった解決策によって、ガス循環、特に処理後のガス除去に関して大きな安全性がもたらされる。実際気泡が、こういったカット部分を通じて外部へと直接開いた煙突を形成する。このカット部分は、少なくとも1つの気泡の幅にオーバーラップする程度に十分に幅が広い。箱の内側の板シートに穴を開け、外側シートにはカット部分を設けるのが好ましい。
【0011】
好適な特徴によると、カット部分はベルト上のフラップ−ヒンジ線に沿って設けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の1実施形態について、添付図面を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0013】
図1から分かるように、従来通り板1を切り出してベルト10の4枚の隣接するパネル3、4、5、6を画定する。パネル6は、側部セクション6´を含む。パネルはそれぞれ、フラップ31と32、41と42、51と52、61と62のそれぞれによって両側に延出している。ヒンジ線11、12によって、ベルトとフラップとの境界線が定められる。ヒンジは、この線に沿って板を押しつぶすことで形成される。それ自体が折り曲げられる1枚の板の代わりに、2つの溶接部に沿って組み立てた2つの部分からベルトを形成することもできる。
【0014】
図2は、図1の方向2に沿った板1の拡大断面図である。2枚のカバー壁P1、P2が支柱Eによって互いから離間した状態を保たれており、支柱Eは、互いから離間し、かつ互いに平行な状態となっている。支柱とカバーシートによって、互いに平行な通路、すなわち気泡Aが定められる。気泡の方向は、ヒンジ線11、12に直交する。直角ではない別の角度を形成することもできるが、ヒンジ線に平行ではない。
【0015】
先行技術の解決策では、板にガスを循環させるために、調整された穴Cが板に設けられる。こういった穴の直径は、板をガスまたは蒸気透過性にするのに十分な程度である。ただし、汚れも通過してしまわないように、広すぎることはない。
【0016】
こういった穴を設けるのは簡単なことではない。なぜならば、毒ガスの蓄積という危険性を正確に回避するように、全ての気泡を確実に透過性にしなければならないためである。産業プロセスではこういった制約にはコストがかかるため、これまで回避しようとしてきた。
【0017】
本発明によると、折り目11、12に沿って気泡方向を横断するようにカット部分を設けて各気泡と外部とを連通させることで、この問題を解決している。こういったカット部分13は、カバーシートの少なくとも一方、そういった場合は外側のカバーシートまたは両側のカバーシートにナイフで形成される。板に沿った各カット部分の長さやカット部分の数は、実験によって決められる。こういったカット部分は、片側または両側のカバーシートに刃物で形成された単純な溝でもよい。切り口が互いに離間するように形成することもできる。間隔は、数ミリメートルである。
【0018】
図3には、図1の板を折り曲げて容積が生じるように組み立てることで形成された箱が示されている。フラップを折り曲げると、切り口13が明確になり気泡が外気へと開いた煙突を形成する。好ましくは全ての気泡が箱の外側と連通するようにカット部分が設けられていることが観察できる。上部と底部のフラップでカット部分と折り目が交互になっていると都合がよい。
【0019】
必要ならば、上部と底部のフラップでカット部分を実施できる。そうすることで、気泡が両側で外気へと開放した状態になる。
【0020】
図示していないが別の実施形態によると、箱のパネルの外側シートで薄い層状のものを切り取る。こういった薄層は幅が狭く、幾つかの気泡を通して延びている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】発泡プラスチック材料板を示す。
【図2】板の構造を示す図1の方向2−2に沿った断面図である。
【図3】図1の板を組み立てることで形成された箱を示し、フラップが折り曲げられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト(10)を形成する複数のパネルと、当該パネルを延ばして前記ベルトに垂直な底部および上部の壁を形成する複数のフラップとからなる無菌製品用の箱であって、前記ベルトとフラップは、複数の支柱(E)によって互いに離間し、互いに平行な長手方向の気泡を形成する少なくとも2枚のカバーシート(P1、P2)からなる発泡プラスチック材料板を切って形成される、無菌製品用の箱において、
前記カバーシートの少なくとも一方には殺菌ガスを通過させるように穴(C)が開けられ、当該穴はガスは通過させるが埃の通過は防ぎ、
前記板の少なくとも他方のカバーシートには、前記気泡と外部とを連通させるように幅の広いカット部分(13)が設けられていることを特徴とする、箱。
【請求項2】
前記穴(C)が、前記箱の内側に位置する、前記板のシート(P1)に形成され、前記カット部分(13)が前記外側シート(P2)に形成される、請求項1に記載の箱。
【請求項3】
前記カット部分が前記ベルト上のフラップ(31、32、41、42、51、52、61、62)のヒンジ線に沿って形成される、請求項1または2に記載の箱。
【請求項4】
底部フラップの前記ヒンジ線に沿った前記カット部分(13)が、上部壁のフラップのヒンジ線に沿ったカット部分(13)と交互になっている、請求項3に記載の箱。
【請求項5】
前記気泡(A)の部分が、その両端においてカット部分(13)で開放している、請求項3または4に記載の箱。
【請求項6】
前記カバーシートの一方のみに穴が開けられる、請求項1乃至5のいずれかに記載の箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−532857(P2008−532857A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500235(P2008−500235)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000537
【国際公開番号】WO2006/095097
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507294362)
【Fターム(参考)】