説明

無針アクセスポート弁

【課題】無針アクセスポート弁
【解決手段】本明細書において包括的に無針アクセスポート弁を説明し、特に詳細には、流体の流れに対応するように上部ピストン部に沿ってスリットを有するピストンを組み入れている無針アクセスポート弁を説明する。スリットは、ピストンと弁ハウジングとの相対的な幾何学形状によって閉じられ、この幾何学形状は、弁組立体の入口及び出口間の流体の流れを遮断するように働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において包括的に無針アクセスポート弁を説明し、特に詳細には、流体流路を形成するようにピストン部に沿ってスリットを備えるピストンを有する無針アクセスポート弁を説明する。
【背景技術】
【0002】
患者又は被験者のIVライン及び/又は内部(internals)にアクセスするために無針アクセスポート弁が医療産業において広く使用されている。一般的に、従来技術の弁は可動な内部プラグ又はピストンと組み合わせて弁ハウジングを用いて、弁を通る流体の流れを制御する。プラグ又はピストンをシリンジ又は医療器具によって移動して弁の入口を開き、弁の内部キャビティにアクセスすることができる。流体が弁を通って送出される場合、流体の流れは通常、出口の方向においてプラグ又はピストンの外側の周りに流れる。シリンジ又は医療器具が外されると、プラグ又はピストンは、ばね又はダイヤフラム等の付勢手段によって支援されずに又は付勢手段によって支援されてその元の位置に戻る。
【0003】
いくつかの従来技術の弁では、シリンジ又は医療器具がプラグ又はピストンを押すと、プラグ又はピストンはスパイク等の内部穿刺機構によって穿刺される。スパイクは通常、1つ又は複数の流体チャネルを組み入れており、流体の流れが穿孔ピストンを通り、次いでスパイク内の流体チャネルを通って流れるようにする。さらに他の従来技術の弁では、自己洗浄(self-flushing)又は確実な洗浄特徴を組み入れており、シリンジ又は医療器具が外されると弁の内部キャビティの内側に閉じ込められている残留流体を押して出口から流出させるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6871838号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の無針アクセスポート弁はその意図する用途のための実用的な選択肢であるが、代替的な無針アクセスポート弁の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、弁組立体であって、弁ハウジングの内部に配置されるピストンを備え、弁ハウジングは、内部キャビティと、底部開口と、入口開口及び内壁面を有する入口ノズルとを有し、ピストンは、フランジと、ネック部と、本体部と、ベースとを有し、ピストンは入口開口方向にあるフランジを通って底部開口の方へ当該フランジの下のネック部の少なくとも一部を通って延びる、第1のスリット面及び第2のスリット面を有するスリットをさらに有し、フランジは、入口ノズルの内壁面と接触して第1のスリット面及び第2のスリット面の少なくとも一部を強制的に互いに接触させる、弁組立体を提供することによって実施され得る。
【0007】
本発明はまた、弁組立体であって、弁ハウジングの内部に配置されるピストンを備え、弁ハウジングは、内部キャビティと、底部開口と、入口開口及び内壁面を有する入口ノズルとを有し、ピストンは、フランジと、ネック部と、本体部と、外壁面と、ベースとから成り、ピストンは入口開口の方向で底部開口の方に延びる、第1のスリット面及び第2のスリット面を有するスリットをさらに有し、スリット面はそれぞれ、他方のスリット面の一端と共にひと続きに形成する、フランジの遠位にある端を有する、弁組立体を提供することによって実施され得る。
【0008】
本発明のさらに他の態様では、弁組立体であって、弁ハウジングの内部に配置されるピストンを備え、ピストンは、フランジと、ネック部と、内部キャビティを画定する上部及び下部とを有する本体部と、外壁面と、ベースとを有し、弁ハウジングは、入口開口を有する入口ノズルと、内壁面を有する内部キャビティを画定する本体部と、底部開口とを有し、流体空間が、ピストンの外壁面と弁ハウジングの内壁面との間の空間によって画定されて、入口ノズルを通って底部開口に流出する流体が流れ、ピストンのネック部は、所定の幅と、当該幅の一部を通ってピストンの外壁面に形成されて流体が流れるようにするスリットとを有する、弁組立体が提供される。
【0009】
本発明は、弁組立体を使用及び形成する方法であって、アクセスポート弁内で使用するピストンを製造する方法を含み、ピストンを成形し、当該ピストンは、内部キャビティを画定する本体部と比較して直径が縮径したネック部を有し、ネック部にスリットをカットし、当該カットするステップは、ブレードを超音波発生器によって振動させることを含む、弁組立体を使用及び形成する方法をさらに含む。
【0010】
本発明は、弁組立体であって、弁ハウジングと、弁ハウジングの内部に配置されるピストンと、弁ハウジングに固定される装着部(a fitting)とを備え、ピストンが第1の位置から軸方向に圧縮された第2の位置に移動すると、流体流空間が、ピストンの外面と弁ハウジングの内面とによって画定され、スリットが、流体流空間と流体連通するピストンのネック部の一部にかけて形成され、抗菌組成物が弁ハウジング、ピストン及び装着部のうち少なくとも1つと共に組み入れられる、弁組立体をさらに含む。
【0011】
本発明のいくつかの態様は、スリットを開けるために、ピストンと同時成形されるアクチュエータを備えることをさらに含む。
【0012】
本発明のさらに他のいくつかの態様は、弁ハウジングの内部キャビティの内側に流体流路を形成するように内部窪み及び/又はリブを組み入れることを含む。
【0013】
本発明は、望ましくない微生物成長を抑制するために、ピストン、弁ハウジング及びナット装着部のうち少なくとも1つに抗菌剤を組み入れることを含む。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、カット工程(a cutting process)によってピストンにスリットをカットすることを含む。例示的な工程は、薄ブレードカット、レーザカット、ウォータージェットカット及びブレードと超音波発生器装置と組み合わせることを含む。
【0015】
本発明のこれら及び他の特徴並びに利点は、明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ピストンの上部を開閉して流体流路を形成するように構成された入口アクチュエータを有する、本発明のいくつかの態様に従って提供される弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図2】入口アクチュエータが開位置にある、図1の弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図3】本発明のいくつかの態様に従って提供されるアクチュエータの部分概略斜視図である。
【図4】ピストンを形成するコアピンに取り付けられたアクチュエータの部分概略断面側面図である。
【図5】開位置にあるアクチュエータ、種々の外郭及び隠れ線を破線として示す、図1のピストンの部分概略斜視図である。
【図6】第1の閉位置で弁ハウジングの内部に配置された図1のピストンの部分概略部分断面側面図、及び医療器具の先端の部分図である。
【図7】ピストンが弁ハウジング及び開位置にあるアクチュエータへ遠位に付勢されている、図6の弁の部分概略断面側面図である。
【図8】本発明のいくつかの態様に従って提供される弁ハウジングの部分概略部分側面部分断面図である。
【図9】本発明のいくつかの態様に従って提供される別の弁ハウジングの部分概略部分側面図である。
【図10】ピストンの上部を開閉して流体流路を形成するように構成された入口アクチュエータを有する、本発明のいくつかの態様に従って提供される代替的な弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図11】入口アクチュエータが開位置にある、図10の弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図12】本発明のいくつかの態様に従って提供される代替的なアクチュエータの部分概略斜視図である。
【図13】ピストンのネック部にスリットを組み入れている、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別の弁ピストンの部分概略側面図である。
【図14】線14−14に沿った、図13のピストンの部分概略断面側面図である。
【図15】弁ハウジングの内部に配置された図13のピストンを備える、本発明のいくつかの態様に従って提供される弁組立体の部分概略部分断面側面図である。
【図16】ピストンが医療器具の先端によって第2の位置に移動している、図15の弁組立体の部分概略部分断面側面図である。
【図17】貫通孔を有する、ピストンのネック部にスリットが組み入れられている、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別の弁ピストンの部分概略側面図である。
【図18】線18−18に沿った、図17のピストンの部分概略断面側面図である。
【図19】入口ノズルの下部ネック部にクロスバーを組み入れている、本発明のいくつかの態様に従って提供される代替的な弁ハウジングの部分概略断面側面図である。
【図20】線20−20に沿った、図19の弁ハウジングの部分概略断面側面図である。
【図21】図19の弁ハウジングのキャビティの内部に配置された、図17のピストンの部分概略部分斜視拡大図である。
【図22】図19の弁ハウジングの内部に配置された図17のピストンを有し、医療器具の先端が当該ピストンの頂面と接触して配置されている、本発明のいくつかの態様に従って提供される代替的な弁組立体の部分概略部分断面部分側面図である。
【図22A】弁ハウジングの長手方向軸に沿って90度回転した図に沿った、図22の弁組立体の部分概略部分断面部分側面図である。
【図22B】弁組立体の入口及び出口間の流体の流れのための流路を開くようにピストンが医療器具の先端によって第2の使用位置に移動している、図22の弁組立体の部分概略部分断面部分側面図である。
【図23】本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別の代替的な弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図24】ピストンに位置する一対のキャビティと協働するように対応する延長部を有する弁ハウジングの内部に配置された図23のピストンを有する、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別の代替的な弁組立体の部分概略部分断面部分側面図である。
【図25】本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらになお別の代替的な弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図26】本発明のいくつかの態様に従って提供される弁ハウジングと嵌合するナット組立体の部分概略断面側面図である。
【図27】線27−27に沿った、図26のナット組立体の断面側面図である。
【図28】弁ハウジングの下端に結合した図26のナット装着部を有する弁ハウジングの内部に配置された図25のピストンを有する、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらになお別の代替的な弁組立体の部分概略部分断面部分側面図である。
【図29】ピストンが医療器具の先端によって第2の位置に移動している、図28の弁組立体の部分概略部分断面部分側面図である。
【図30】図32の線30−30に沿った、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別の弁ピストンの部分概略断面側面図である。
【図31】流体流路を提供するために逆Y字形構成を有するスリットを示す、図30のピストンの部分概略側面図である。
【図32】ピストンの長手方向軸に沿って90度回転した図に沿った、図31のピストンの部分概略側面図である。
【図33】図30乃至図32のピストンの部分概略部分斜視図である。
【図34】図6及び図9に示す弁ハウジングのいずれか1つを有し得る、不可視の弁ハウジングの内部に配置された図30のピストンの部分概略部分断面部分斜視図である。
【図35】医療器具の先端によって第2の位置に向かって移動している図34のピストンの部分概略部分断面部分斜視図である。
【図36】医療器具の先端によって第2の位置に移動している図34のピストンの部分概略部分断面部分斜視図である。
【図37】ピストンに割れ目又はスリットをカットするためカッティングブレードを備える超音波発生器の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面に関して以下に記載する詳細な説明は、本発明のいくつかの態様に従って提供される針無アクセスポート弁又は逆止弁(backcheck valves)(本明細書では「弁」と呼ぶ)の現時点で好適な実施形態の説明として意図しており、本発明を構成又は利用することができる唯一の形態を示すことを意図するものではない。本説明では、図示の実施形態に関連して本発明の弁を構成及び使用するためのいくつかの特徴及びステップを記載する。しかしながら、本発明の精神及び範囲内に含まれることも意図される種々の異なる実施形態によって、同一の又は等しい機能及び構造が達成できることを理解されたい。本明細書の他の箇所で示すように、同様の要素符号は同様又は類似の要素又は特徴を示すことを意図する。
【0018】
ここで図1を参照すると、全体的に10で示された、本発明のいくつかの態様に従って提供される弁ピストン又はピストンの部分概略断面側面図が示されている。以下にさらに説明するように、ピストン10は、弁ハウジングの入口及び出口間の流れを阻止するように当該ハウジングに対し拡張及びシールすることによって、また、入口及び出口間の流れを許可するように圧縮又は変形することによって、弁ハウジング内の流れを調節するように構成される。例示的な一実施形態では、ピストン10は、ベースフランジすなわち第1のフランジ16を含む第1の端14と、第2のフランジ20を含む第2の端18とを有する可撓性の弾性体12を有する。もっぱら説明のために、第1の端14はベース端とし、第2の端18は調節端とする。
【0019】
本発明のいくつかの態様に従って設けられるように、第1のフランジすなわちベースフランジ16は、ピストン体12の本体部17の直径よりも大きな外径を有する。フランジ16の上面22、下面24及び凹状下面26は、米国特許第6,871,838号(本明細書では以下「‘838号特許」とする)に記載のように弁ハウジングに位置するナット装着部とフランジ座との間で圧縮されるように構成される。この特許の内容は参照により本明細書に明示的に援用される。
【0020】
例示的な一実施形態では、ピストン体12の本体部17は、抜き勾配のようなわずかなテーパが許容可能な、ベースフランジ16と第1の肩部28との間に延びる実質的に直線の筒状壁構造から成る。下部ネック部30が、本体部17の直径よりも小さな直径を有して第1の肩部28の近位に延びている。縮径部(reducer section)32が、下部ネック部30(すなわち近位方向から遠位方向に見た場合により大きくなっている部分)から、上部フランジ20につながっている上部ネック部34へ近位に延びる。さらに下記に説明するように、ピストン10が弁ハウジング(図示せず)の内部に配置されると、第1の肩部28及び第2のフランジ20がハウジングの内部キャビティの内側の対応する表面と係合して、弁ハウジングの内面とピストンの外面とによって画定される流れ空間の周りにあるピストンの外面の周りの流れを制限する。
【0021】
ピストン体12は、下部キャビティ室38及び上部キャビティ室40を有する内部キャビティ36を画定する。例示的な一実施形態では、内部キャビティ36は周囲大気と流体連通する。したがって、ピストン体12を押下及び解放するとピストン体12の内部キャビティ36に空気が出入りする。
【0022】
例示的な一実施形態では、ピストン10は、シリコーンがより好適である可撓性の弾性材料から作製される。代替的に、ピストンは、コポリアミド(COPA)系(copolyamide (COPA) family)の熱可塑性エラストマー(TPE)のような熱可塑性エラストマータイプから作製されてもよい。例示的な一実施形態では、COPAは商品名PEBAX(登録商標)を有するコポリアミド熱可塑性エラストマーである。しかしながら、他のTPE、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、コポリエステル(COPE)及び熱可塑性加硫エラストマー合金(TPV)を使用してもよい。任意選択的に、TPEは化学的に又は照射によって架橋されてその特性を変えてもよい。さらに代替的に、ピストンは、‘838号特許に開示されているように自己潤滑シリコーン材料(a self-lube silicone material)から作製されてもよい。ピストン10は好ましくは、圧縮されると収縮し(flex)、加えられている負荷又は力が取り除かれるとばねによらずに実質的に元の形状に戻るという点で自己弾性である。しかしながら、先に参照によって援用した‘838号特許と同様に、加えられている力が取り除かれるとピストンが元に戻り易くなるようにばねを組み入れてもよい。外部付勢部材を用いて第2の位置から圧縮の少ない(less compressed)第1の位置にピストンを戻し易くする場合、ピストン体は柔軟な材料(pliable material)から作製されることができ、弾性材料である必要はない。圧縮の少ない状態が本体部に対して測定され、この状態の本体部は、第1の位置にある場合は第2の位置と比較して少ない軸方向圧縮下にある。
【0023】
例示的な一実施形態では、バイオフィルム形成量を減らす等、弁の内側の細菌汚染に対し抑制又は対抗するのに抗菌組成物が提供される。医療装置での抗菌組成物の使用は当該技術分野においてよく知られており、例えばLaurin他の米国特許第4,603,152号、Gilchristの同第5,049,139号及びFoldenの同第5,782,808号に記載されている。抗菌組成物の使用はまた、共にLeinsing他の公開公報第2002/0133124A1号及び公開公報第2003/0199835A1に開示されている。これらの特許及び公開公報の内容は、あたかも完全に記載されるように参照によって本明細書に明示的に援用される。本発明の特定の一態様では、リン酸ジルコニウム銀が、ピストン10を成形するために成形材料に配合される、すなわち、TPE、シリコーン又は自己潤滑シリコーン材料に添加される。銀化合物は、好適には約6重量%乃至約8重量%の範囲の、約4重量%乃至約10重量%のブレンドされた経皮物質(the blended injectant)と様々であるものとすることができる。代替的に又は付加的に、抗菌組成物は、さらに以下に説明する弁ハウジング及び/又はナット装着部を成形する材料中にブレンドされる。本発明の成分(components)と共に使用可能な他の抗菌剤としては、銀、金、白金、銅及び亜鉛が挙げられる。本発明において使用する抗菌金属化合物としては、好ましくは銀及び金の酸化物及び塩、例えば、酢酸銀、安息香酸塩銀、炭酸銀、クエン酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、塩化金及び酸化金が挙げられる。クロロ白金酸のような白金化合物又はその塩(例えば塩化白金酸ナトリウム及び塩化白金酸カルシウム(sodium and calcium chloroplatinate)を用いてもよい。また、銅及び亜鉛の化合物、例えば、銀について上記に示したもののような銅及び亜鉛の酸化物及び塩を用いてもよい。単一の生理的抗菌金属化合物(Single physiological, antimicrobial metal compounds)又は生理的抗菌金属化合物の組み合わせを用いてもよい。さらに代替的に、Foldenの‘808号特許に開示されているような様々な弁部材(valve components)の壁面にわたって薄い抗菌剤を施してもよい。
【0024】
例示的な一実施形態では、ピストンは以下の物理特性を有する:約1.1乃至約1.2の範囲が許容可能である約1.15の比重;約40乃至約60デュロメータの許容範囲の50デュロメータ Shore A;最小約800psiがより好適である少なくとも最小600psiの引張強度;最小約350%がより好適である最小約275%の伸び定格、及び125ppiがより好適である最小約100ppi(1インチ当たりのポンド)の引裂き強度。これらの値は、特定のいくつかのピストン実施形態の例示的な特性として挙げられているにすぎず、特定のいくつかの用途および材料選択の場合に値は変わるであろう。
【0025】
例示的な一実施形態では、第2のフランジ20と上部ネック部34の少なくとも一部とを介して形成される流路を開閉するために入口アクチュエータ42がピストン体12の上部ネック部34に組み入れられる。入口アクチュエータ42は、ガラス充填ナイロン(glass-filled nylon)のような剛性又は半剛性熱可塑性樹脂から作製されてもよく、オーバーモールド工程を用いてピストン体12に成形される。入口アクチュエータ42は実質的にV字形の構成を有し、内面46及び外面48(図2)を有する。2つの対向する入口プレート44が入口アクチュエータ42の内面46に形成される。割れ目(seam)50が2つの入口プレート間に形成される。例示的な一実施形態では、2つの入口プレート44はピストン体12と同じ材料から作製され、入口アクチュエータ42にオーバーモールドされてピストン体と一体形となる。柔軟な入口プレート44は、ピストン10が、2つのプレートが図1に示すように互いに接触している圧縮の少ない状態にある場合、割れ目50の少なくとも一部に沿って流体密閉シールを形成し、これは、弁ハウジングの内部に位置する場合に第1の位置のピストンに対応する。好ましくは、割れ目50は、ピストンの長手方向軸に沿って整合する。しかしながら、割れ目は本発明の精神及び範囲から逸脱せずにピストンの長手方向軸を横断して延びることができる。
【0026】
図2は、入口アクチュエータ42が開構成にある状態で示された、図1のピストン10の部分概略断面側面図である。例示的な一実施形態では、入口アクチュエータ42は本質的に、図2に示す開位置に付勢されており、割れ目50は、アクチュエータ42の外面48に力が全く加えられていない場合は分離しており、隙間(gap)を形成する。例示的な一実施形態では、入口アクチュエータの外面48の突起52と上部ネック部34の内面の対応する溝52とが、入口アクチュエータとピストン体との間の結合又は係合を高めるように組み入れられる。しかしながら、複数の溝及び複数の突起、入口アクチュエータとピストン体との間の逆の溝及び突起の構成、又は入口アクチュエータとピストン体との双方の突起及び溝の組み合わせを、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに組み入れてもよい。
【0027】
図3は、本発明のいくつかの態様に従って提供される入口アクチュエータ42の部分概略斜視図である。例示的な一実施形態では、入口アクチュエータ42は弧状ベース(arc base)56と2つの延長部材58とから成り、通常のV字形よりも丸みのある尖端を弧状ベース56に有するV字形構造を形成している。実質的にV字形の構造により2つの延長部48が分岐しており、そのため、2つの内面46が通常は互いに触れ合わないか又は接触しない、すなわち互いに離れるように付勢されている。
【0028】
図4は、コアピン60に取り付けられている入口アクチュエータ42の部分概略断面側面図である。コアピン60は、ピストン体12の内部キャビティの外郭を形成しており、モールド及び入口アクチュエータ42と協働してピストン10を形成するように構成されている。コアピン60は受け口(receptacle)62を有し、この受け口62は入口アクチュエータ42を受け、2つの延長部58の両端64が図3に示す通常の拡張状態にある場合よりも互いに接近している幾分圧縮された状態に入口アクチュエータ42を保持する。
【0029】
図5は、隠れ線を表す破線で示された図2のピストン10の部分概略斜視図である。内向きに作用する力が入口アクチュエータ42の2つの延長部58に全く加えられていない場合(すなわち、延長部58が拘束されていない場合)、これら延長部は開いて割れ目50を広げ、隙間66を形成する。したがって、流体が、延長部58の両端64に入れられると割れ目50の側面隙間(side gap)66間で流入出する。
【0030】
図6は、シリンジ又はチュービングアダプタ等の医療器具の先端69と共に示す、弁ハウジング68の内部に配置されている、閉位置すなわち第1の位置にある図1のピストン10の一部の部分概略側面図である。弁ハウジング68は、入口開口72を画定する入口ノズル70を備える。例示的な一実施形態では、該入口はルアー入口(Luer inlet)を含み、この入口は雄ねじ74を有しているが、ねじ山の全くない、すなわちルアースリップ(Luer slip)であってもよい。入口ノズル70の内面76は、図2に示す位置から図1に示す閉位置へ第2のフランジ20を圧縮するように当該第2のフランジの直径よりも十分に小さいサイズの円周を画定する。例示的な一実施形態では、入口ノズルの内径IDは、第2のフランジ20の通常の閉径よりも約0.5mil乃至約8mil小さく、約0.1mil乃至約3milの範囲がより好適である。入口ノズルの内径と第2のフランジ20の通常の閉径とのこの相対的な寸法(relative dimensions)により、入口72にてシールが形成され、弁組立体78の入口72と出口(図示せず)との間の流体連通を遮断するようになっている。図6は、ピストン10の下部ネック部30と上部ネック部34との間に位置する縮径部32が 入口ノズル70の内部キャビティの肩部80から離間している様子を示しているが、例示的な一実施形態では、これら2つは互いに接触して第2のシール点を提供する。
【0031】
図7は、医療器具の先端69が入口ノズル70の内腔に挿入されている状態で第2の位置すなわち開位置にある、図6の弁組立体78の部分概略部分断面側面図である。先端69は、入口アクチュエータ42とピストン体12の双方に下向きの圧力をかけ、これら2つを弁ハウジング68の内部キャビティに遠位に押す。先に参照により本明細書に援用した‘838号特許に記載されているように、ピストン10がその第2の位置に移動すると、ピストン体12は、先端69の圧力下でつぶれ、ランダムな折りひだになる。例示的な一実施形態では、ピストン体がつぶれることにより、ピストンがその第2の位置に移動する際に少量の流体が弁の内部キャビティに入ることで示される、ネガティブな(negative)ボーラス効果又はネガティブな洗浄をもたらすのに十分な量のピストンが占めている空間が変化する。
【0032】
入口アクチュエータ42は、弁ハウジング68の拡大下部ネック部82に移動し、この拡大下部ネック部82は、上部入口ノズル部70の内周76よりも長い内周84を画定している。このより大きな下部ネック部82により、入口アクチュエータ42が拡張することができる十分な空間が提供され、この拡張により割れ目50が分離して、医療器具からの又は医療器具への流体の流れのための流路すなわち隙間66を形成する。流体が医療器具によって送出されると、流体の流れは、先端69から、割れ目50に形成されている隙間66を通り、割れ目の2つの側面に流出することになる。次いで、流体は、弁ハウジング68の内壁面とピストン10の外面との間の空間内を移動し、弁出口(図示せず)から出る。入口ノズル70から先端69を外すと、ピストン10は、ピストン10を形成するのに用いている材料の弾性特性により拡張し、これにより、図6に示す位置に戻る。例示的な一実施形態では、ピストン10がその第1の位置に拡張すると、ポジティブな(positive)ボーラス効果がもたらされ、これは、少量の流体が弁の内部キャビティから出口に押し出されることを特徴とする。
【0033】
図8は、ピストンなしで示す、本発明のいくつかの態様に従って提供される例示的な弁ハウジング68の部分概略部分切欠き側面図である。図7に加えて図8を参照すると、内部キャビティ86は、弁ハウジング68の主本体部90によって画定されるさらに別の拡大内周88を有する。このより大きな下部内周88は、実質的に円形の又は湾曲した下部肩部92を含む。例示的な一実施形態では、この湾曲した肩部92は、ピストン体12の第1の肩部28と嵌合接触するように設けられて、別のシール点を提供する。
【0034】
例示的な一実施形態では、主本体部90の内周88は滑らかな面を有する。内周88は、主本体部の大半にわたって延びる実質的に一定の直径を有する主内径89を画定し、この主内径89は、例示的には、下部肩部92のちょうど末端から主本体部90とスカート94の接続面(interface)付近に実質的に一定に延びる。例示的な一実施形態では、主内径89は、弁を通るサンプルを採取するために弁ハウジング68の入口開口72を通って、又は該入口開口に向かって弁ハウジングの出口から送出された流体の流れが弁出口100から流出するのに十分な流体流空間を有するように、ピストン10の本体部17(図1)の直径よりも十分に大きなサイズである。
【0035】
外部では、弁ハウジング68は複数のリブ93を組み入れており、例示的な一実施形態では、等間隔の4つのリブを有する。下向きに延びるスカート94が主本体部90から延び(depends from)、ナット装着部98を受ける下部開口96にて終端している。‘838号特許に記載されているように、ナット装着部98は、入口開口72を通って送出される流体を排出する出口ポート100と、チュービングアダプタ、カテーテル等とすることができる第2の医療器具(図示せず)に螺合するねじ付きカラー102とを有する。ナット装着部98は、スカート94の端縁とナット装着部98のフランジ104を溶接又は接着することによって、スカート94に超音波溶接されるか又は代替的に接着され得る。
【0036】
図9は、本発明のいくつかの態様に従って提供される代替的な弁ハウジング106の部分概略断面側面図である。例示的な一実施形態では、弁ハウジング106は、入口開口72を画定する入口ノズル108と、主本体部112と、スカート114とから成り、スカート114は主本体部112から延びており、下部ハウジング開口118を画定する端縁116を有する。
【0037】
内部では、弁ハウジング106は、上部入口部すなわち上部ネック部120と、テーパ部すなわち下部ネック部122と、内側の主本体部124と、内側のスカート部126とから成る。例示的な一実施形態では、内側の本体部124は、内側の本体部124の内壁面を超えて突出する複数の隆起リブ128と、該内側の本体部の内壁面の下側で凹状となっている複数の窪み130とから成る。隆起リブ128及び窪み130は、弁の入口から出口に流れる流体流用の流路又はチャネルを、弁ハウジングの内壁面とピストンの外面とによって画定される空間の間に提供する。
【0038】
例示的な一実施形態では、複数の下部窪み132はスカート部114の内壁面134に組み入れられる。下部窪み132は好ましくは、上部窪み130と位置合わせされ、それにより、上部窪みを通る流体の流れが出口へ流れる途中で下部窪みに流れるようになっている。例示的な一実施形態では、8つの隆起リブ128、8つの上部窪み130及び8つの下部窪み132が組み入れられる。これらのリブ及び窪みは好ましくは、互いに等間隔である。また、ナット装着部を位置決めするポジショナ117がスカート部に形成されていることも示されている。例示的な一実施形態では、3つの離間したポジショナが組み入れられる。
【0039】
図10は、本発明のいくつかの態様に従って提供される代替的なピストン136の部分概略断面側面図である。ピストン136は、図6乃至図9に示されているような弁ハウジングと協働して、弁ハウジングの入口及び出口間の流体の流れ、又は逆方向の流れに対して流体の流れを調整するように構成される。例示的な一実施形態では、ピストン136は内部キャビティ142を画定するピストン体138と入口アクチュエータ140とから成る。ピストン体138は、いくつかの点を除けば、図1、図2、及び図5を参照して開示したピストン体と同様である。本実施形態では、上部ネック部34と、下部ネック部30と、本体部17の一部とは、本明細書では上部ピストンコア144と総称するピストン壁と同じ材料から中実に(solidly)形成される。キャビティ142を包囲する本体部17は、本明細書では柔軟な弾性ピストンベース146と呼ぶ。本実施形態における入口アクチュエータ140は、図1の実施形態の入口アクチュエータ42と同様に、上部ネック部34から露出するように構成されている突起148を有する。
【0040】
ピストン136が弁ハウジングの内部に設けられて動作の際に圧縮される場合、柔軟な弾性ピストンベース146は、医療器具の先端を受け入れるように座屈してランダムに曲がるように構成される。例示的な一実施形態では、柔軟な弾性ピストンベース146は、医療器具が外されるとばね又は他の独立した付勢部材によって支援されずに反動するように構成される。十分な弾性、壁厚及び硬度を有するエラストマー又はTPEを選択することによって、柔軟なピストンベース146は、別個のばねを必要とせずにピストンを反動させる十分なばね特性を呈し得る。しかしながら、当該技術分野の当業者には容易に明らかであるように、‘838号特許に記載されているように、コイルばねを内部キャビティ142の内側に配置してピストンを元に戻し易くしてもよい。
【0041】
図11は、入口アクチュエータ140が弁ハウジングの外側にある通常の状態で示す、図10のピストン136の断面側面図である。明示のように、先に説明したように、2つの延長部58は互いに離間しており、そのため、流体の流れのために割れ目50の隙間が広がっている。
【0042】
図12は、図10及び図11の入口アクチュエータの部分概略斜視図である。2つの延長部58はそれぞれ、延長レッグ150を有する。例示的な一実施形態では、ピストン体138は、まず、モールドキャビティ内に入口アクチュエータを設けること、内部にコアピンを設けること、2つの延長部間に薄シートを設けること、次いで、エラストマー又はTPEを用いてモールドを射出成形することによって、入口アクチュエータ140にわたって成形される。射出工程後、オーバーモールディング工程においてピストンを取り出すと割れ目50が形成されている。
【0043】
図13は、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別のピストン実施形態152の部分概略側面図である。例示的な一実施形態では、ピストン152は、下部フランジ16と、本体部154と、上部フランジ158を含むネック部156とから成る。スリット160は、2つのピストンネック延長部157を画定するようにネック部156の中央に概ね沿って組み入れられる。スリット160は、ピストンの上部頂面162と本体部154の上縁の肩部164との間を延びる。スリット160は、弁ハウジングの内部にある場合にピストン152の位置に応じて隙間を形成するように開閉することができる平面を有する割れ目を画定する。好ましくは、スリット160は、ピストンの長手方向軸に沿って整合する。しかしながら、スリット160は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずにピストンの長手方向軸の横断方向に延びることができる。
【0044】
図14は、線14−14に沿った、図13のピストンの断面側面図である。例示的な一実施形態では、ネック部156は、カット工程による成形ステップの後に形成されるスリット160が貫設された中実な構造として成形される。例示的なカット工程は、薄ブレード、レーザカット又はウォータージェットカットによってネック部をカットすることを含む。図37を参照すると、本発明の一実施態様では、厚みが約0.015インチ乃至約0.03インチの範囲であり、鋭いエッジを有し、好適にはチタン等のエキゾチック金属(exotic metal)から構成される薄ブレード290を用いてスリット160をカットする。ブレードは、カプラー又はシャフト292に取り付けられ、カプラー又はシャフト292は従来技術の超音波発生器294に接続され、好ましくは約20kHz乃至約40kHzの範囲で動作する。例示的な発生器としては、Branson 2000aed modelが挙げられる。次いで、ピストン152は、ネック部がブレード290にすぐ隣接した状態でベース又はドラム等の固定部296に配置される。ピストンがピストン中心線に対して縦にすなわち垂直に保持されている場合、又はピストンが水平に保持されている場合、ピストンへ向けて同軸方向にブレードを同時移動させる間、超音波発生器294が通電される。スリット160が形成されると、ブレードは通電解除され、ピストンから後退する。代替的には、振動ブレードが固定状態に保持され、ベース又はドラム296に取付けられているピストンが振動ブレードに移動してスリットを形成する。
【0045】
中実な上部本体部166は、止めピン168がその遠位に本体部154の内部キャビティ142へ延びている状態でネック部156の遠位に延びる。止めピン168は、上から医療器具によって且つ下からナット装着部によって座屈する場合にピストン壁が内部キャビティ142へ内向きにつぶれる量を物理的に阻止及び制限することによって医療器具の過度の挿入を制限するように構成される。
【0046】
図15は、弁組立体170を形成する弁ハウジング68の内部に配置されているピストン152の部分断面側面図である。ピストン152は、上部フランジ158が入口ノズル70の内壁面に対して圧縮されている第1の位置すなわち閉位置で示されており、この位置は弁170をシールすると共に入口開口72及び出口(図示せず)の間の流体連通を閉鎖するように機能する。また、ピストン肩部164が弁ハウジング68の下部肩部92に当接して別のシール点を提供する。
【0047】
図16は、医療器具の先端69によって第2の位置すなわち使用位置に押されている、図15の弁組立体170の部分概略部分断面側面図である。先端69は、ピストン152の上部頂面162を入口ノズル70の拡大下部82の内部84に押す。拡大下部82のより大きな内部空間により、2つのピストンネック延長部157が強制的に離れ、このことは、医療器具及び止めピン168によって生じる座屈効果(buckling effect)として説明することができ、結果として、隙間66が割れ目50に形成される。この地点で、医療器具によって送出される流体は先端69から割れ目50を通り、次いで、ピストン152の外面及び弁ハウジング68の内面の周りに流れることになる。これとは反対に、サンプルを採取する場合、流れは弁ハウジングの内面及びピストンの外面によって画定される空間に流れ、次いで割れ目50を通って先端69内に流入する。
【0048】
ピストン152は、入口ノズル70から先端69が外れると、自動的に第2の位置(図16)から第1の位置(図15)に移動する。ピストン本体部154はその固有の弾性特性により自動的に元に戻る。代替的に、先に説明したように、コイルばねを用いて元に戻り易くしてもよい。
【0049】
図17は、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別のピストン172の部分概略断面側面図である。例示的な一実施形態では、代替的なピストン172は、いくつかの点を除けば、図13及び図14に開示されるピストン152と同様である。例えば、ピストン172はスリット160を組み入れており、このスリット160は割れ目を画定し、ネック部156を2つのピストンネック延長部157に分離し、また止めピン168を画定する。本実施形態では、多形断面を有する貫通孔174が該貫通孔の少なくとも一部に沿って形成される。好適な実施形態では、貫通孔174は、2つの頂点176が縦スリット160と同じ方向に長手方向に位置合わせするように配向された六角形である。貫通孔174は、該貫通孔の半分が一方のピストンネック延長部157に形成され、もう半分が他方のピストンネック延長部にあるように形成される。
【0050】
次に図18を参照すると、線18−18に沿った図17のピストン172の断面側面図である。例示的な一実施形態では、貫通孔174はテーパ上面178を成形することによって形成され、成形されたテーパ下面180が側面182によってテーパ上面178と互いに離間している。テーパ上面178は弁ハウジングの内部に位置するクロスリブに当接するように構成され、これは、以下にさらに説明するように、テーパ面に一対の成分力を与えてピストンネック延長部157を外向きに押すように働く。テーパ下面領域180は、以下にさらに説明するように、クロスリブの下面と同様の外郭を有し、ピストンが第1の位置にある場合に下面に定着する(hug)ように構成される。
【0051】
例示的な一実施形態では、上部テーパ面178は下部テーパ面180の長さよりも比較的短い長さを有する。この相対的な寸法により、露出した貫通孔領域185が各端に形成される。図21を参照して示すように、2つの露出端185は、弁ハウジングの内部に配置されたクロスバーの各端を受けるように構成される。しかしながら、当該技術分野の当業者には容易に理解されるように、これら2つの露出端185(図21)は、クロスバーについて当てられている形状、サイズ、及び外郭に応じて形状、サイズ、及び外郭が異なっていてもよく、これは、設計者の選択に応じて変わり得る。
【0052】
図19は、本発明のいくつかの態様に従って提供される弁ハウジング184の部分概略断面側面図である。弁ハウジング184は、いくつかの点を除けば、図8及び図9の弁ハウジングを参照して説明した弁ハウジングと同様である。相違点として、クロスバー186が入口ノズル70の拡大下部82の内部キャビティ内に組み入れられる。例示的な一実施形態では、クロスバー186は、実質的に円形の上面中間部188と1つの頂点を有するV字形底面部190とから成る。クロスバーは好ましくは、弁ハウジング184と一体成形される。
【0053】
例示的な一実施形態では、主本体部90の内周88は平坦なすなわち滑らかな内壁面を有する。しかしながら、隆起リブ若しくは流れ窪み又はそれらの双方を本発明の精神及び範囲を逸脱せずに組み入れてもよい。例示的な一実施形態では、複数の下部窪み132は、弁ハウジングのスカート部94に形成される。
【0054】
図20は、線20−20に沿った、図19の弁ハウジング184の断面側面図である。クロスバー186は、先に説明したように円形の上部中間部188と、ピストン172の貫通孔174に位置する傾斜端192に対応する2つの傾斜端190とを有する。当該技術分野の当業者には容易に理解されるように、弁ハウジング及びピストンの傾斜端190、192をそれぞれ、クロスバーの全長に延びる円形の中間部188を作製する等、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに変更するか又はなくすこともできる。さらに代替的には、単一の異なる上部頂点、種々の異なる曲面又は複数の頂点を有するクロスバーを組み入れてもよい。
【0055】
図21は、図20の弁ハウジング184の内部に部分的に配置された図18のピストン172の部分概略部分斜視切欠き図である。ピストン172は、ネック部156を弁ハウジング184の端開口96に挿入すると共にスリット160をクロスバー186と位置合わせすることによって、弁ハウジング184の内部キャビティ86に挿入されるように構成される。次いで、ピストンは、クロスバーが貫通孔174の内部に着座するまで近位に押される。着座すると、クロスバーの2つの傾斜端190が2つの露出した貫通穴領域185の内側に載る(cradled)。例示的な一実施形態では、ロッド(図示せず)を用いて、ハウジングの内部のピストン172を押す。ロッドは、ピストンの開端194(図17)から挿入されて止めピン168に押し付けられてもよい。
【0056】
図22は、ピストン172と、弁ハウジング184と、ナット装着部98とを備える弁組立体196の部分切欠き側面図である。ピストン172は、上部フランジ158が入口ノズル70の内面76に対して圧縮されて2つのピストンネック部157を一緒に締め付けて入口開口72と出口ポート100との間の流体の流れを遮断させる第1の位置すなわち閉位置に示されている。第2のシールは、弁ハウジングの内部キャビティ86内の下部肩部92に当接するピストン172の肩部164によって提供される。
【0057】
図22Aは、直交方向の平面から見た図22の弁組立体196の部分切欠き側面図である。
【0058】
図22Bは、第2の位置すなわち使用位置にある図22及び図22Aの弁組立体196の部分切欠き側面図である。医療器具の先端69が、ピストン172を圧縮するように入口ノズル70のボアに突出している。先に説明したように、先端によって与えられる力により、ピストンの本体部154(図17)が座屈してランダムな折りひだに曲がる。それと同時に、スリット160がクロスバー186を通じて推し進められ、これにより、スリット160が分離して隙間66が広がる。医療器具によって送出される流れFは先端69から流れ、割れ目50に形成されている隙間66を通ってから、割れ目の2つの側面から出てピストン172の外面の上を通って出口100に向かって流れる。医療器具を介しての流体送出の後、先端69は入口ノズル70から外され、それにより、同時にピストンの頂面に作用している力が取り除かれる。これにより、図22及び図22Aに示す圧縮の少ない状態にピストン172が戻ることができる。
【0059】
先に説明したように、ピストン172は自己弾性とすることができ、ばね又は独立した付勢部材によって支援されずに第2の位置から第1の位置に移動する。しかしながら、ばね又は独立した付勢部材をピストン172の内部キャビティ142の内側に設けて第2の位置から第1の位置へ向けてピストンを戻し易くしてもよい。
【0060】
図23は、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別のピストン198の部分概略断面側面図である。ピストン198の本実施形態は、図17、図18、図20及び図22に示すピストン172と多くの類似点を共有している。しかしながら、図17、図18、図20及び図22に示すピストン172は貫通孔174を組み入れているが、ピストン198の本実施形態は、2つのキャビティ200を画定するように貫通孔に分割壁202を組み入れている。2つのキャビティ200の2つの上端204もまた、単純な丸みのある角部で終端するように変更されている。例示的な一実施形態では、分割壁202は、近位位置から遠位位置にかけて壁スパンとして外向きに延びる2つのテーパ壁面206を含む。各キャビティ200は、図18を参照して開示した貫通孔174と同様のテーパ上面178及びテーパ下面180を含む。
【0061】
図24は、本発明のいくつかの態様に従って提供される弁組立体208の部分切欠き側面図であり、この弁組立体208は、弁ハウジング210の内部に取り付けられる図23に示すピストン198を備える。例示的な一実施形態では、弁ハウジング210は、いくつかの点を除けば、図19及び図20を参照して上述した弁ハウジングと同様である。本実施形態では、該ハウジングの内部キャビティは、入口ノズル70と主本体部90との間の接合部に、ひと続きのクロスバー186ではなく2つのリブ延長部212を有する。2つのリブ延長部212は2つのキャビティ200(図23)に突出するサイズであり、これら2つのキャビティは2つのリブ延長部に対応するサイズである。
【0062】
使用の際、医療器具の先端69が、入口ノズル70によって画定されている内腔に挿入され、次いで、この先端はピストン198に力を加える。ピストン198にかかる下向きの力が2つのリブ延長部212に抗して2つのキャビティ200を押し、次いで2つのリブ延長部212が、2つのキャビティのテーパ上面178に作用してネック部156をスリット160に沿って分割してスリットの隙間を広げる。この隙間が、入口開口72及び出口100間の流体の流れのための流体流路を提供する。
【0063】
射出後、且つ先端69が入口ノズルから外された後、ピストン70は第2の位置から第1の位置に移動することによって圧縮の少ない状態に戻る。先のように、ばね又は独立した弾性部材を任意選択的にピストン198と併用して、先端69が外された後で元に戻り易くしてもよい。
【0064】
図25は、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別の代替的なピストン214の部分概略断面側面図である。例示的な一実施形態では、ピストン214は、先に説明した他のピストンの場合のように、ネック部156を2つのピストンネック延長部157に分離するスリット160を有する。ピストン214はまた、本体部154及び下部フランジ16を有する。本体部154は、上壁面216及びスパイクボア218を有する内部キャビティ142を画定する。スパイクボア218は、該上壁面から上部本体部166と下部ネック部30の一部とを通って近位に延びる。
【0065】
好適な実施形態では、スパイクボア218は頂点220で終端し、この頂点の先はスリット160が広がるとスリット160と連通する。例示的な一実施形態では、ボア218は単径の筒状ボアから成る。しかしながら、好ましくは、下記にさらに説明するように、1つ又は複数の縮径ネック部222をボア218内に組み入れて作動ピンの周りのシール用リングとして働くようにする。
【0066】
図26は、本発明のいくつかの態様に従って提供されるナット装着部224の部分概略断面側面図である。例示的な一実施形態では、ナット装着部224は、中央突起226を除けば、‘838号特許に開示されているナット装着部と同様であり、丸みのある先端230を有する細長い作動ピン228を有する。ナット装着部224の他の特徴としては、円形チャネル232と、隆起床部234と、段付きフランジ(raised-face flange)に類似した、任意の突起238を有するシール座236とが挙げられる。さらに遠位には、ナット装着部224は2つの離間した液体通路240と、1つ又は複数の位置部材242及びフランジ244を含むスカート部246と、内腔250を含む吐出ノズル248とを有する。
【0067】
図27は、線27−27に沿った、図26のナット装着部224の断面側面図である。‘838号特許に説明されるように、ピストン214が医療器具の先端によって圧縮されたときにピストン214の内部キャビティ142の内側に捕捉される空気を通気する一対の通気口252が組み入れられる。例示的な一実施形態では、2つの通気口252が互いに180度離間しており、同様に互いに180度離間している2つの液体通路240間にそれぞれ配置される。
【0068】
図28は、本発明のいくつかの態様に従って提供される弁組立体254の部分概略部分切欠き側面図であり、この弁組立体254は、図26及び図27のナット装着部224が弁ハウジング68の下部開口96に固定された状態で弁ハウジング184内に配置されている、図25に示すピストン214を備える。図示されているピストンの第1の位置では、上部フランジ158が入口ノズルの内面に対してシールされ、ピストン肩部164が該ハウジングの下部肩部92に対してシールされて、入口72及び出口100間の流体連通を遮断する。2つのピストンネック延長部157が締め付け合わされて、そうでなければスリット160に形成されることになる隙間を閉じる。
【0069】
細長い作動ピン228は、丸みのある先端230がスリット160の最遠位点に近接して位置した状態でピストンのスパイクボア218内に配置される。ボア218は好ましくは、ピン228の周りに何もない(neutral)すなわち実効締め代(net interference)がないか、又は約0.5乃至約3milの総クリアランスを有する幾分緩い嵌合を有するサイズである。
【0070】
図29は、ピストンが圧縮の多い状態にある第2の位置すなわち使用位置にある図28の弁組立体254の部分概略部分切欠き側面図である。ピストンは、医療器具の先端69を弁ハウジング184の入口ノズル70に挿入すると共にピストンを本体部154(図25)にてつぶすことによって使用位置に移動し、これにより、同時にボア218を細長い作動ピン228の下方に遠位に移動させ、このピンをスリット160内に移動させて隙間を広げる。好ましくは、ピストンの上部頂面162は弁ハウジング184の拡大下部82に十分遠位に移動し、ここでは、2つのピストンネック部157が分離するのに十分な周方向の空間が提供される。先に説明したように、この地点にて医療器具から弁254を通って送出される流体は、先端69の下へ隙間66を通って隙間の両側面から出てピストンの外面と弁ハウジング184の内壁面との間の空間に入る。
【0071】
医療器具が入口開口72から外されると図示の第2の位置から第1の位置にピストン214を戻し易くするために、ピストン214はそれ自体が元に戻るのに十分弾性である、且つ/又は、先に説明したように弾性部材を用いてピストンを第1の位置に付勢する。本実施形態では、スリット160における、作動ピン228と2つのピストンネック延長部157の壁面との間の摩擦は、最小限に保持されねばならない。例示的な一実施形態では、弁に送出される残留流体は、摩擦を最小限にとどめるように潤滑剤として働く。しかしながら、2つのピストンネック延長部157は撓むため、複数の空隙又は不均一な壁面256が作動ピン228に隣接して形成されて、作動ピンと2つのピストンネック延長部157の壁面との間の摩擦を減らすようにする。
【0072】
図30は、本発明のいくつかの態様に従って提供されるさらに別のピストン258の断面側面図である。例示的な一実施形態では、ピストン258は、上部フランジ158と、上部ネック部34及び下部ネック部30から成るネック部156と、柔軟な弾性ピストンベース146と共に内部キャビティ142を画定するピストン体136と、ベースフランジ16とから成る。ピストン258は、図8、図9及び図16に示すように、弁ハウジングと併用されて無針射出ポート弁として動作するように構成される。図30は、線30−30に沿った、図32のピストンの断面側面図である。
【0073】
次に、図30に加えて図32を参照すると、本発明のいくつかの態様に従ったピストン258が、弁ハウジングと組み合わせて使用される場合にネック部156を通る流路を与えるように逆Y字形構成を有するスリット260を組み入れている。例示的な一実施形態では、スリット260は上部スリット部262及び下部スリット部264から成り、一実施形態では下部スリット264は2つの下部から成る。好適な実施形態では、スリット260は下部ネック部30の上方又はその近位に形成される。さらに下記に説明するように、スリット260が広がるように操作される場合、ピストンの上部ネック部34を通る流体の流れのために隙間がもたらされる。
【0074】
次に、図32に加えて図31を参照すると、例示的な一実施形態では、上部スリット部262及び2つの下部スリット部264は、ネック部156の直径の約15パーセント乃至約80パーセント、より好適には約50パーセントの深さに至るカット工程によって射出成形後に形成される。カット工程は、適切な場合はY字形ブレードであることを除けば、図13乃至図16のピストンを参照して上述した加工と類似の加工である。例示的な一実施形態では、上部スリット部262はピストンの長手方向軸に沿って縦に整合し、2つの下部スリット部264はピストンの長手方向軸から傾斜している。例示的な一実施形態では、各下部スリット部264の角度266は、ピストンの長手方向軸から測定すると約45度である。上部スリット部262はネック部156の一部を2つのピストンネック部268に分割し、長手方向軸に対して或る角度に形成される2つの下部スリット部264がネック部156の下部をアクチュエータ270に分割する。
【0075】
図33は、図30乃至図32のピストン258の一部の部分概略斜視図である。
【0076】
図34は、図30乃至図33のピストン258の部分概略斜視図である。図34は、弁組立体272を形成する不可視の弁ハウジングの内部のピストン258の図である。実際には、不可視の弁ハウジングは上述した弁ハウジングのうちのいずれか1つとすることができる。先に説明したように、ピストン258は、弁ハウジングの入口及び出口間の流体の流れを遮断する第1の位置すなわち準備段階位置に示されている。医療器具の先端69の部分断面斜視図が、弁272を開く直前の、ピストンの頂面162に位置した状態で示されている。上部フランジ158は、入口ノズルの内壁面に対して圧縮されて、2つのピストンネック部268を締め付け合わせ、これにより、スリット260を圧縮することで流体密閉シールを形成する。
【0077】
図35は、先端69が不可視の弁ハウジングの入口ノズルに部分的に挿入されている、図34の弁の部分概略斜視図である。図35は、先端69が弁ハウジング内の或る地点まで入口ノズルに挿入されている図であり、ここでは、ピストンのスリット260及び2つのピストンネック部268が、不可視の弁ハウジングの拡大下部82の周りに概ね移動している(例えば図16を参照)。この地点にて、2つのピストンネック部268はピストンのアクチュエータ部270に抗して押し進められ、2つの下部スリット部264の角度アラインメントにより、上部スリット部262を広げるように分岐する。この分離により、上部スリット部262の隙間66が形成され、サンプルが弁272によって採取されると、先端69から弁を通って又は先端に向かう流体の流れのための流路を形成する。それと同時に、柔軟な弾性ベース146が座屈し始め、先端69の負荷下で曲がる。
【0078】
図36は、第2の位置にある、図35の弁組立体272の部分概略斜視図であり、医療器具の先端69が不可視の弁ハウジングの入口ノズルに十分に挿入され、2つの相対的な幾何学形状によってそれ以上の前進を阻止されている図を示す。この地点にて、上部スリット部262の隙間66は、2つの上部ネック部268がアクチュエータ部270によって離間するようにさらに割り込まれていることによりさらに広くなっている。柔軟な弾性ベース146はさらに圧縮され、ランダムな折りひだがさらに強調されている。この時点で、医療器具からの流体の流れは、先端69によって画定されている内腔274を通り、隙間66を通り、且つピストンの外面と弁ハウジングの内面とによって画定される流れ空間を通って流れることができる。この流れは弁ハウジングの出口ノズルから流出するまで続く。
【0079】
不可視の弁ハウジングの入口ノズルから先端69を外すと、柔軟な弾性ピストンベース146が反動して圧縮の少ない位置に戻り、ネック部156を入口ノズルの開口に向けて近位に押すように働く。ネック部156が近位に移動するにつれ、2つのピストンネック部268は、弁ハウジングの開口付近の入口ノズルの制限されているすなわちより小さな内周によって押し付け合わされ、隙間66を閉止すると共に不可視の弁ハウジングの入口及び出口間の流体連通を遮断するように働く。
【0080】
無針アクセス弁組立体の限定的な実施形態及びそれらの構成部材を本明細書に具体的に説明及び図示してきたが、当業者には多くの修正及び変更が明らかであろう。例えば、各種弁には、ルアースレッドではなくルアースリップを組み入れてもよく、医療器具は、ルアーロックを有していてもよく、選択される材料は不透明であっても半透明であってもよく、種々の異なる色を用いてもよく、寸法も様々とすることができる等である。さらに、弁の一実施形態について具体的に説明した特徴は、それらの機能に適合性があれば別の弁実施形態の場合に含めるように用いることができることが理解され且つ意図される。例えば、グリップを高めるため等、美的アピール及び機能を高めるために、或る弁に組み入れられている特定のいくつかの曲面及び外郭を別の弁に組み入れることができる。したがって、本発明の原理に従って構成された弁組立体及びそれらの構成部材は、本明細書に具体的に示された以外に具現することができることに理解されたい。本発明はまた、添付の特許請求の範囲に定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁組立体であって、
弁ハウジングの内部に配置されるピストンを備え、
前記弁ハウジングは、内部キャビティと、底部開口と、入口開口及び内壁面を有する入口ノズルとを有し、
前記ピストンは、フランジと、ネック部と、本体部と、ベースとを有し、
前記ピストンは、前記入口開口の方向にある前記フランジを通って前記底部開口の方に、且つ該フランジの下の前記ネック部の少なくとも一部を通って延びる、第1のスリット面及び第2のスリット面を有するスリットをさらに有し、
前記フランジは、前記入口ノズルの前記内壁面と接触して前記第1のスリット面及び前記第2のスリット面の少なくとも一部を強制的に互いに接触させる、弁組立体。
【請求項2】
前記スリットはY字形構成を有する、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項3】
前記スリットはカット工程によって形成される、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項4】
前記弁ハウジングの前記底部開口に取り付けられるルアーナットをさらに有する、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項5】
前記本体部は、内部キャビティを画定する中実な上部及び下部を有する、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項6】
前記ピストンが第1の位置から第2の位置に移動すると前記下部は座屈する、請求項5に記載の弁組立体。
【請求項7】
前記ピストン及び前記弁ハウジングは双方とも抗菌組成物を含む、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項8】
前記弁ハウジングの前記入口ノズルに設けられる複数のねじ山をさらに有する、請求項1に記載の弁組立体。
【請求項9】
弁組立体であって、
弁ハウジングの内部に配置されるピストンを備え、
前記弁ハウジングは、内部キャビティと、底部開口と、入口開口及び内壁面を有する入口ノズルとを有し、
前記ピストンは、フランジと、ネック部と、本体部と、外壁面と、ベースとを有し、
前記ピストンは、前記入口開口の方向で前記底部開口の方に延びる、第1のスリット面及び第2のスリット面を有するスリットをさらに有し、
前記スリット面はそれぞれ、他方のスリット面の一端と共にひと続きに形成する、前記フランジの遠位にある端を有する、弁組立体。
【請求項10】
ひと続きに形成される前記2つの端は前記フランジの下に形成される、請求項9に記載の弁組立体。
【請求項11】
前記スリットはY字形構成を有する、請求項9に記載の弁組立体。
【請求項12】
前記弁ハウジングに取り付けられる装着部をさらに有する、請求項9に記載の弁組立体。
【請求項13】
前記スリットは、超音波発生器を用いてカット工程によって形成される、請求項9に記載の弁組立体。
【請求項14】
前記ピストンは、該ピストンの前記外壁面に液体シリコーンを滲出する自己潤滑シリコーン材料から作製される、請求項9に記載の弁組立体。
【請求項15】
前記ピストンは抗菌組成物によって含浸される、請求項14に記載の弁組立体。
【請求項16】
弁組立体であって、
弁ハウジングの内部に配置されるピストンを備え、
前記ピストンは、フランジと、ネック部と、内部キャビティを画定する上部及び下部を有する本体部と、外壁面と、ベースとを有し、
前記弁ハウジングは、入口開口を有する入口ノズルと、内壁面を有する内部キャビティを画定する本体部と、底部開口とを有し、
流体空間が、前記ピストンの前記外壁面と前記弁ハウジングの前記内壁面との間の空間によって画定されて、前記入口ノズルを通って前記底部開口に流出する流体が流れ、
前記ピストンの前記ネック部は、所定の幅と、該幅の一部を通って前記ピストンの前記外壁面に形成されて流体が流れるようにするスリットとを有する、弁組立体。
【請求項17】
前記スリットはY字形構成を有する、請求項16に記載の弁組立体。
【請求項18】
前記スリットは、前記フランジから該フランジの下の前記ネック部の一部にかけて前記幅全体に形成される、請求項16に記載の弁組立体。
【請求項19】
前記ピストンは自己潤滑シリコーンから作製される、請求項16に記載の弁組立体。
【請求項20】
アクセスポート弁内で使用するピストンを製造する方法であって、
ピストンを成形し、
前記ピストンは、内部キャビティを画定する本体部と比較して直径が縮径したネック部を有しており、
前記ネック部にスリットをカットし、
前記カットするステップは、ブレードを超音波発生器によって振動させることを含む、方法。
【請求項21】
前記ブレードは前記カットするステップの際に前記ピストンの方へ移動する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ピストンは前記カットするステップの際に前記ブレードの方へ移動する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記スリットはY字形構成を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ピストンは抗菌組成物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
弁組立体であって、
弁ハウジングと、
前記弁ハウジングの内部に配置されるピストンと、
前記弁ハウジングに固定される装着部と、
入口及び出口間に流体の流れを提供する、前記ピストンに形成される手段とを備える、弁組立体。
【請求項26】
微生物成長を処置する手段をさらに備える、請求項25に記載の弁組立体。
【請求項27】
前記微生物成長を処置する手段は、前記弁ハウジング、前記ピストン及び前記装着部のうち少なくとも1つに含浸される抗菌組成物である、請求項26に記載の弁組立体。
【請求項28】
前記抗菌組成物は、前記弁ハウジング、前記ピストン及び前記装着部に含浸される、請求項27に記載の弁組立体。
【請求項29】
前記抗菌組成物は銀及び銀化合物の少なくとも1つを含む、請求項27に記載の弁組立体。
【請求項30】
前記銀化合物はリン酸ジルコニウム銀を含む、請求項29に記載の弁組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−75939(P2012−75939A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2748(P2012−2748)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2008−554239(P2008−554239)の分割
【原出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(500216204)ビー.ブラウン メディカル,インコーポレイティド (20)
【Fターム(参考)】