焦点検出装置
【課題】 位相差AF方式での焦点検出結果が複数距離の競合時に、遠近競合を分解して複数距離のそれぞれを焦点検出する。
【解決手段】 被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する第一の焦点検出手段(404)と、第一の焦点検出手段による焦点状態の信頼度を判定する信頼度判定手段(406)と、第一の焦点検出手段のセンサを構成する画素のうち焦点検出する画素範囲を選択する画素選択手段(408)と、画素選択手段によって選択された画素範囲の信号を用いて位相差から焦点状態を検出する第二の焦点検出手段(408)と、被写体枠でのコントラストを検出する第三の焦点検出手段(408)とを備え、画素選択手段は、信頼度が低いと判定された時には、第三の焦点検出手段の検出結果を用いて画素範囲の選択を行い、第二の焦点検出手段に焦点検出を行わせる。
【解決手段】 被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する第一の焦点検出手段(404)と、第一の焦点検出手段による焦点状態の信頼度を判定する信頼度判定手段(406)と、第一の焦点検出手段のセンサを構成する画素のうち焦点検出する画素範囲を選択する画素選択手段(408)と、画素選択手段によって選択された画素範囲の信号を用いて位相差から焦点状態を検出する第二の焦点検出手段(408)と、被写体枠でのコントラストを検出する第三の焦点検出手段(408)とを備え、画素選択手段は、信頼度が低いと判定された時には、第三の焦点検出手段の検出結果を用いて画素範囲の選択を行い、第二の焦点検出手段に焦点検出を行わせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動焦点調節制御を行うための焦点検出装置に関し、ビデオカメラ等の撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置に搭載されるAF(オートフォーカス)方式としては、コントラストAF方式が一般的である。コントラストAF方式では、撮像素子を用いて得られた映像信号のうち高周波成分を抽出して、焦点状態を示す信号としてのいわゆるAF評価値信号を生成し、該AF評価値信号が最大になるようにフォーカスレンズの位置を制御する。
【0003】
また、このようなコントラストAF方式と、いわゆる外測位相差検出(外測AF)方式とを組み合わせた、いわゆるハイブリッドAF方式を採用した撮像装置も提案されている(特許文献1参照)。外測AF方式は、撮像光学系を通らない光を利用して被写体までの距離をAFセンサにより直接検出し、その検出距離に基づいてフォーカスレンズの位置を制御するものである。外測AF方式と前述のコントラストAF方式を組み合わせたハイブリッドAF方式により、コントラストAF方式による高精度で高い分解能をもつ合焦性能と、外測AF方式による高速な合焦性能とを併せ持つことができる。
【0004】
外測AF方式では、一対のラインセンサから得られる被写体像の信号に基づいてその2像の相関演算を行い、位相ずれ量を算出して、三角測距の原理を用いて被写体までの距離を測定し、その検出距離に基づいてフォーカスレンズの位置を制御するものである。被写体距離が一意であれば、ラインセンサ上で検出される像の位相ずれ量も一意に決まってくる。しかし、例えば1mの被写体と10mの被写体が同時にセンサ画角にはいるような複数距離の競合(または遠近競合などともいう)の場合には、像の位相ずれ量を一意に定めることも難しくなっている。そこで特許文献2などでは、複数距離の競合と判断されるような場合には、像を分割して複数の小ブロックごとに再度相関演算する構成を用いて複数距離をそれぞれ算出するような提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−258147号公報
【特許文献2】特開平8−15603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、小ブロックの分け方がある程度一定のわけ方となっており、小ブロックで再度相関演算した結果も複数距離の競合状態が発生してしまい、精度良く焦点検出できないことが発生する。また、再び隣接個所の小ブロックを用いて再々度相関演算処理を行うなどの必要性が生じてしまい、組み込み機器で必要とされるリアルタイム性にかけたり、精度において不十分な面がみられたりしている。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、位相差AF方式での焦点検出結果が複数距離の競合時に、遠近競合を分解して複数距離のそれぞれを焦点検出することが可能な焦点検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の焦点検出装置は、撮像光学系を通った光により形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する撮像素子と、被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段において位相差を検出する範囲を設定する画素選択手段と、前記撮像素子からの信号に基づいて、設定された被写体枠でのコントラストを検出するコントラスト検出手段とを備え、前記画素選択手段は、前記位相差検出手段によって検出された焦点状態の信頼度が低いと判定されたときには、前記コントラスト検出手段の検出結果に基づいて範囲を設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位相差AF方式での焦点検出結果が複数距離の競合時に、遠近競合を分解して複数距離のそれぞれを焦点検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1である焦点検出装置が備えられたビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における外測AFセンサユニットの詳細を示す図である。
【図3】位相差AFにおける像信号を示す図である。
【図4】実施例1における焦点検出動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例1における再焦点検出動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例1における外測AFセンサ視野およびコントラストAF枠を示す図である。
【図7】実施例1を説明する図である。
【図8】実施例1におけるサブエリア選択を説明する図である。
【図9】実施例2におけるサブエリア選択を説明する図である。
【図10】実施例3におけるビデオカメラの構成を示す図である。
【図11】実施例3における各エリアを説明する図である。
【図12】実施例3における評価値変化を示す図である。
【図13】実施例3におけるフォーカス動作を示すフローチャートである。
【図14】実施例3を説明する図である。
【図15】実施例3を説明する図である。
【図16】実施例3を説明する図である。
【図17】実施例3を説明する図である。
【図18】実施例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1および2に記載される通りである。
【実施例1】
【0012】
図1には、本発明の実施例1である焦点検出装置が備えられたビデオカメラの構成を示す。同図において、点線内で示される100はレンズユニットであり、被写体側(光側)から順に配置された、固定レンズ101、変倍レンズ102、絞り103、固定レンズ104及びフォーカスレンズ105により構成される撮像光学系を収容している。
【0013】
108は変倍レンズ102、絞り103(絞り羽根)及びフォーカスレンズ105の位置を検出する位置エンコーダである。
【0014】
変倍レンズ102はズームモータ106により光軸方向に駆動され、フォーカスレンズ105はフォーカスモータ107により光軸方向に駆動される。これらズームモータ106及びフォーカスモータ107はそれぞれ、ズーム駆動回路120及びフォーカス駆動回路121からの駆動信号を受けて動作する。
【0015】
109はCMOSセンサ等により構成された撮像素子である。該撮像素子109は、撮像光学系に入射した光によって形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する。撮像信号処理回路119は、撮像素子109からの出力信号に対して、増幅処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス処理等の各種信号処理を施し、所定の映像フォーマットの映像信号に変換する。該映像信号は、モニタディスプレイ114に出力されたり、半導体メモリ、光ディスク、ハードディスク等の画像記録用メディア115に記録されたりする。
【0016】
110は各種制御手段としてのCPUである。CPU110は、本ビデオカメラの各種動作や機能をソフトウェアを通して制御する。操作スイッチ群111には、電源スイッチや、録画動作や再生動作を開始及び停止させるスイッチ、該ビデオカメラの動作モードを選択するためのスイッチ、撮像光学系のズーム状態を変化させるズームスイッチ等が設けられている。これらのスイッチのうち、電源スイッチが操作されると、フラッシュメモリ113に格納されていたコンピュータプログラムの一部がRAM112にロードされ、CPU110はRAM112にロードされたプログラムに従って処理を行い、各部の動作を制御する。本ビデオカメラは先行技術例でも紹介したような一般的なコントラストAFを有している。撮像素子109から出力された映像信号を元に、撮像信号処理回路119において画面内の一部のみの撮像信号を抽出し、バンドパスフィルタによって、コントラストAF評価値を生成してその他所定の演算と併せて合焦度を生成する。この合焦度に基づいて、通常山登り制御といわれる合焦位置の探索が行われるフォーカス制御が行われる。
【0017】
130は外測AFセンサユニットであり、外測用結像レンズ131と、ラインセンサ132から構成されている。該ラインセンサ132は、複数の受光素子が一列に並べられて構成されており、その詳細については図2において説明する。このラインセンサ132には、被写体からの光が撮像光学系とは別に設けられた焦点距離fである外測用結像レンズ131を通って、すなわち撮像光学系を通らずにラインセンサ132に到達する。到達した被写体像は、ラインセンサ132において光電変換されて、図示しないA/D変換器によってデジタル化される。この像信号を用いて、CPU110において各種のデジタル処理を行い、被写体距離、相関量、信頼度などを算出する。これらの計算結果に基づいて、フォーカスモータ107を介してフォーカスレンズ105を駆動することで、外測AFを実現する。外測AFセンサユニット130およびCPU110が、本発明の、被写体の2像の位相差検出から焦点状態を検出する第一の焦点検出手段に相当する。
【0018】
次に、図2を用いて外測AFセンサユニット130の詳細について述べる。図2(a)において、201は焦点検出対象(撮影対象)の被写体であるとしており、202Aおよび202Bは焦点距離fの外測用結像レンズである。203Aおよび203Bは外測用結像レンズ202A、202Bを通した光が結像された2像の像信号を検出する検出部であり、被写体201の光をA像およびB像として取得される。この外測用結像レンズ202Aと202B、検出部203Aと203Bは、それぞれ基線長Bだけ互いに離れて設置されている。これら検出部203Aおよび203Bから得られる2つの像信号を用いて、三角測距原理に基づいて被写体距離Lを測定する。なお、外測用結像レンズ202は図1に示した結像レンズ131に、検出部203は図1に示したラインセンサ132にそれぞれ相当する。また、図2(b)に示すのは、検出部203Aをさらに詳細に示したものである。すなわち検出部203Aは、それぞれ画素ピッチがpとなる長方画素が隣接して40個並んだ画素配列となっており、ラインセンサと呼んでいる。なお203Bについても同等の構成となっている。さらに図示しないデジタル回路によって蓄積制御が行われており、一つの画素の光量が所定以上になると他の画素の蓄積も停止するようになっている。また、焦点検出時のCPU110からの設定によってどの画素を蓄積制御対象画素にするかを任意個数選択できるように構成されている。なお、以下の説明では検出部203AのA像、検出部203BのB像のそれぞれの対称画素について、「SA1」は、A像の画素ナンバー1を表し、「SA40」は、A像の画素ナンバー40を記す。また同様に「SB4」は、B像の画素ナンバー4を表すこととする。
【0019】
次に図3を用いて、被写体輝度を外測AFセンサユニット130にて得られた像の一例を示す。図3(a)が被写体輝度をあらわしており、図3(b)が得られた2像の像信号を示している。ここでは50cmほどの近距離被写体としており、このうち301の四角で示すポイントは、A像ではSA13の位置、B像ではSB23の位置に検出されている。同様に、被写体のうち302の円で示すポイントは、A像ではSA22の位置、B像ではSB32の位置に検出されていて、A像とB像では位相差を示す11画素相当シフトした状態となっている。このシフト量を元に三角測距の原理に基づいて被写体距離を計算する。このように近距離被写体では大きくシフトするものの、被写体が遠距離とくに無限距離にいる場合などは、このようなシフトは生じずに、A像およびB像がほぼ同一のように検出される。
【0020】
次に本焦点検出装置における焦点検出のフローを図4を用いて説明する。図4においてステップ401で焦点検出開始指示が発生すると、次のステップ402で外測AFセンサの蓄積が開始される。ある範囲において所定以上の蓄積が行われると、蓄積が終了し、次のステップ403では蓄積された各画素の電荷量をA/D変換することにより、それぞれ被写体輝度の像信号として読み出される。ここでは、SA1〜SA40,およびSB1〜SB40についてそれぞれの画素を取り出し、それぞれA像、B像としている。次のステップ404では読み出されたA像、B像の相関演算を行い、像が一致するシフト量を算出する。次のステップ405においては、算出したシフト量の確からしさ、つまり検出した焦点状態の信頼度を計算している。次のステップ406では、ステップ405で計算された信頼度に基づいて焦点検出結果が正しいかどうかを判定し、最終的な焦点検出結果として使用可能かどうかを判断する。ステップ406を実行するCPU110が、本発明の信頼度判定手段に相当する。ここで信頼度が高く、焦点検出結果として用いることができれば、ステップ407へ移行して焦点検出結果として決定し、焦点検出終了指示があるまで以上のシーケンスを繰り返す判断処理のステップ409へと移行していく。一方で、ステップ406において信頼度が低い場合には、ステップ408へ移行して、別途定義している再焦点検出演算処理を行うものとなる。
【0021】
再焦点検出演算について図5のフローチャートを用いて以下に説明を加える。ステップ501で再焦点検出演算に入ると、次のステップ502では外測AFセンサ視野の情報からコントラストAF枠の設定が行われる。外測AFセンサの視野とコントラストAF枠については、さらに詳細を図6に示す。図6(a)は600が撮像素子の撮像面の被写体枠、すなわち本ビデオカメラで記録する映像の画角とし、その画角に対して、外測AFセンサの視野は601で一例として記している。外測AFセンサの視野601は本ビデオカメラを組み立てる時に決まるもので、記録する映像の画角に対する大きさ(被写体枠)は、本撮像系の焦点距離に応じて広がったり小さくなったりして、変更されるものである。この外測AFセンサの視野601に対して、コントラストAF枠を表現したものが、図6(b)となっている。このステップ502でのコントラストAF枠の決定のとき、撮像光学系の主レンズの焦点距離情報から外測AFセンサ視野を計算により特定し、その外測AFセンサ視野と画角の共通部分に対して、重なるエリア内に3つに分割した枠をコントラストAF枠として設定する。これが602〜604で示したコントラストAF枠のA枠、B枠、C枠である。図5の次のステップ503ではこれらのコントラストAF枠からコントラストAF評価値(それぞれT1,T2,T3)を算出する。ステップ502および503を実行するCPU110が、本発明の第三の焦点検出手段に相当する。
【0022】
次のステップ504ではこのコントラストAF評価値によって、外測AFのためのサブエリア設定(画素範囲の選択)を行う。ここでいうサブエリアとは外測AFセンサのライン40画素分のうち、所定の数の画素単位で複数分エリアとして焦点検出する時の分割するエリアのことを指す。たとえば40画素のうち、12画素ずつをセットとし、3つの複数エリアを設定することである。状況に応じて16画素と20画素の2つのエリアに分割されることもある。後ほどこの分割方法について詳細説明を行う。ステップ504を実行するCPU110が、本発明の、コントラスト検出の結果の高低により少なくとも二つ以上の画素範囲を選択する画素選択手段に相当する。
【0023】
さて次のステップ505ではここで分割された各エリアの画素範囲の信号を用いてそれぞれのエリアで位相差の相関演算を行い、分割されたそれぞれのエリアでの焦点検出結果として計算する。ステップ505を実行するCPU110が、本発明の第二の焦点検出手段に相当する。次のステップ506では各サブエリアの焦点検出結果と、ステップ503で得られたコントラストAF評価値との対応状況を確認して焦点検出結果として再度算出して確定、終了する。
【0024】
さて、この時の具体例を図7を用いてさらに説明を加える。図7(a)ではメインの撮像系の被写体枠600中に、近距離に被写体1、そしてやや遠距離に被写体2が存在している様子をあらわしている。この時の外測AFセンサ視野は、図6に示したような範囲であったとして、同様にコントラストAF枠は図7(a)中にも602〜604として設定されたものとする。図7(b)は被写体距離が記されており、被写体1が近距離側L2の距離にあり、被写体2が遠距離L4の距離にあることを示している。また、図7(c)は横軸に撮像光学系の被写体側の焦点がL1からL5までのそれぞれの位置に存在した場合のコントラストAF評価値が記されている。例えばL2の距離に撮像光学系焦点がある場合には、被写体1に焦点が合っている状態であり、A枠602におけるコントラストAF評価値T1は非常に高い。B枠603のコントラストAF評価値T2は腕の一部がかかり、やや高い評価値となる。また、一方でC枠604のコントラストAF評価値T3は、被写体2を捕らえている枠であり、距離が異なるためにその分ボケ量が増して評価値も低い値を示す。このようにコントラストAF評価値が低いグループと高いグループが存在すれば、その値を利用して、外測AFセンサに複数のサブエリアを設定する。図7(d)にはその切り分けポイントとして701のバー状の線で記しており、L2の距離の欄をみればA枠とB枠はひとつのサブエリアとして、C枠を2つ目のサブエリアとして切り分けるポイントとして利用する。このときに外測AFセンサの複数エリアの設定は図8に記すようにサブエリアが切り分けられる。図8の801は外測AFセンサのA像の視野であり、設定されたコントラストAF枠のA枠〜C枠のそれぞれの対応が示されている。A枠およびB枠は同じサブエリアとして捉えるので、A枠側の外測AFセンサ領域SA1の画素から、B枠の端の画素からA枠側に少し内側に入ったSA22の画素までをサブエリア1として、またC枠に対応したSA27からSA40の14画素をサブエリア2として設定することになる。図7においてL2の距離に撮像レンズ焦点がある場合について説明してきたが、他の距離に焦点があった状態であってもほぼ同様にコントラストAF評価値に基づいてサブエリアの設定が同等に設定可能となる。ただし、L3の距離にレンズ焦点がある場合などは、コントラストAF評価値がそれぞれ大きくなることはない場合がある。このような場合については、2つのサブエリアではなく、各エリアに対応したサブエリアがそれぞれ作ることも可能であるが、ここではA枠とC枠に対応したサブエリアを2つすなわち、図8の状態で例を示すとすればサブエリア1はSA1〜SA15まで、サブエリア2はSA26〜SA40までとして設定することで代替している。
【0025】
外測AFセンサの焦点検出結果としては、SA1〜SA40画素のすべてを用いた相関演算結果は、複数の距離の被写体が混在することになり、焦点検出結果としては信頼できないものであるか、または焦点検出精度が足りないものとなってしまう。一方でサブエリア1またはサブエリア2のそれぞれの画素のみを使用して相関演算を行うと、焦点検出結果としてもそれぞれの枠ではそれぞれの距離の被写体のみであり、信頼度や精度が高いものとなって焦点検出できるものとなる。このようにコントラストAF枠でボケていると判断される個所を外測AFセンサと対応させて特定すれば、コントラストAFでボケている個所の焦点検出が可能となり、AFのアプリケーションとしてさまざまに応用可能となる。
【実施例2】
【0026】
別の実施例2を説明する。ただし実施例1との差は外測AFセンサのサブエリアを生成する過程が異なるものであるので、サブエリアの生成方法として図9を用いて説明を行う。
【0027】
実施例1ではコントラストAF評価値にしたがってサブエリアを切り分けるとしたが、ここでは、顔検出枠を用いて切り分けるものとしている。顔検出機能は近年のカメラには標準的に搭載されており、その手法はさまざまだが、ここではCPUにおいて撮像信号から顔検出枠の検出を行うものとしている。これにより検出された顔検出枠は、撮像された人物の顔の大きさに応じて変化する。例えば図9においては被写体1がヒトであるために顔検出枠として901に示す枠で取得される。同図には外測AFセンサの視野601も示している。このときには、顔検出枠901を中心に1より大きい所定の倍率(例えば数倍)で大きさが決定されて外測AFセンサ用のサブエリア1として902の範囲(SA1〜SA20)が決定される。またその他のエリアとしてサブエリア2が903として決定されて、おのおののサブエリア1、2の信号によって相関演算が行われて焦点検出結果として返される。
【0028】
なお、顔検出枠により人物の顔を検出することに限定されるものではなく、被写体の所定の対象を検出するものであっても良い。この場合、CPU110が、本発明の対象検出手段に相当する。
【0029】
以上のように外測AFセンサの焦点検出結果に信頼性がない場合には、コントラストAF評価値や顔検出枠の結果に応じて、外測AFセンサの総画素のうち相関演算するのに必要な画素エリアをサブエリアとして決定して、再度相関演算を行う。これにより遠近被写体の切り分けが行えることで外測AFセンサの焦点検出結果に信頼性や精度が増して様々なAFのアプリケーションに応用可能となる。
【0030】
また、上述してきたラインセンサについては、撮像素子内の複数画素に設けられた一対のエリアセンサを用いても、つまりいわゆる撮像面位相差AF方式を用いても、概して同様なフローによって焦点検出を行うことが可能である。
【実施例3】
【0031】
別の実施例3を説明する。図10は本発明の実施例3である焦点検出装置が備えられたビデオカメラの構成を示す。実施例1の図1との違いは、撮像素子の内部構成が異なること、左右像抽出回路が追加されたこと、および外測センサが削除されたことである。
【0032】
実施例3の撮像素子140は、撮像素子内部に左右像が得られる用に光学系およびセンサ配置が行われている。例えばマイクロレンズ下に複数の光電変換領域を設けてA像用の信号、B像用の信号を取得可能とすることにより、それらの集合としてA像、B像として、位相差を演算可能とするものである。センサそれぞれが左右像抽出回路141によってそれぞれA像、B像データとして抜き出されて、RAM112の所定位置に配置される。この配置されたA像、B像データを元にCPU110によって相関演算を行い位相差による焦点状態を検出する構成となっている。また、本実施例でも実施例1と同様に撮像信号処理119において設定されている所定の枠において、コントラストAF評価値を生成しうる。以下に、CPU110において実行されるAF制御を示す。
【0033】
図11には本ビデオカメラ起動時の撮像画角に対する位相差枠およびコントラストAF評価値を生成するコントラスト評価枠(TVAF枠)を示しており、ある時点での被写体の位置関係と合わせて表記している。
【0034】
具体的には、1101は撮像画角全体を示しており、この中に1102のように該画角中央エリアに位相差枠1102が1エリア設定されている。また、1103〜1105のように位相差枠1102に重畳しつつ3分割するような形でコントラスト評価枠として設定されており、それぞれA枠、B枠、C枠と呼ぶことにする。
【0035】
被写体1はやや近距離(距離X3)被写体2はやや遠距離(距離X2)側の状態である。このような関係にあるときに、フォーカスレンズ位置を無限端から至近端へ駆動した場合のコントラスト評価値の変化の様子を図12に示す。
【0036】
図12上段には横軸にフォーカスレンズ位置であり、X0側が無限側、X4側が至近側である。そして、縦軸にコントラスト評価値を示したグラフとなっている。A枠、B枠、およびC枠のそれぞれに対応するコントラスト評価値のレンズ位置に対する変化は、1201、1202、および1203で示す。
【0037】
また図12の下段には、フォーカスレンズ位置が至近側へ向かって動く場合を前提にした変化量の符号を抽出したものを示す。例えば、レンズ位置がX0からX1へ動く場合には、A枠は変化がみられないことから検出不可を示す空白となっている。B枠、C枠はプラス側へ変化しコントラスト値が増大していることを表している。
【0038】
また、フォーカスレンズ位置がX1からX2へ動く場合には、A枠およびB枠ではコントラスト評価値は増大するので、プラスが表記されており、C枠では減少する事を示すマイナスが表記されている。
【0039】
このような被写体と枠の関係にあり、時刻t0におけるフォーカスレンズ位置の初期値はX0に位置していることを前提に、AF制御のフローチャートを図13として以下に動作を説明する。
【0040】
図13のステップ1301ではビデオカメラ起動直後のデフォルト値として図12に示したように位相差枠およびTVAF枠を設定する。ステップ1302ではこの位相差枠に対応させて相関演算し、像ずれ量からフォーカスレンズ目標位置を算出する。
【0041】
図11に示すような被写体関係の場合、遠近競合が発生している。ここでのフォーカスレンズ目標位置X2に対応する被写体距離は、被写体1および被写体2の距離の中間であるフォーカスレンズ位置X2に相当する位置とする。次のステップ1303においては算出されたフォーカスレンズ目標位置X2へ向かってフォーカスレンズの駆動を開始する。
【0042】
次のステップ1304では設定されたTVAF枠のA枠、B枠、C枠のそれぞれに対応して、コントラスト評価値を取得している。ステップ1305における制御により、フォーカスレンズ駆動が終わるまで各枠に対応するコントラスト評価値を取得し続けることとなる。さてステップ1305においてフォーカスレンズ駆動が終了すると、各TVAF枠に対応するコントラスト評価値の変化した状態に基づき、位相差枠を分割するかを判定する(ステップ1306)。この判定は、遠近競合の可能性を評価するものである。
【0043】
図11の例では、遠近競合が発生するため、図12に示す表のように変化の符号からA枠,B枠、C枠の分離をA、BとCの二つの領域に分けられることになる。よって次のステップ1307では図14に示すように位相差枠を再設定する。
【0044】
CPU110は、図11に示した1102の位相差枠を2つの位相差枠1401と1402へと2分割化し、それぞれ位相差サブエリア1、位相差サブエリア2とする。このように位相差枠を分けるとともに、さらにこれらの位相差枠へ重畳する形でそれぞれにTVAF枠を設定する。
【0045】
このときの様子を図15に示す。図15は、1401の位相差サブエリア1枠に対して、A1枠、B1枠、C1枠とTVAF枠を3枠設定し、1402の位相差サブエリア2枠に対してA2枠、B2枠として2枠を設定したものである。サブエリアと対応して再設定するTVAF枠の数は、位相差AF枠のサイズによって異ならせてよい。最低2エリアあればよい。これらのように枠の設定が行われると、それぞれ設定された枠ごとに相関演算による位相差の算出、またTVAFに利用するコントラスト評価値の取得を行う(ステップ1308)。
【0046】
次のステップ1309では、二つの位相差の算出値から、いずれの枠に対応する位相差を使って、レンズ駆動を制御するかを選択する。
【0047】
なお、複数の相関演算結果からレンズ駆動を制御するパラメータを選択するアルゴリズムもさまざま考えられるが、ここでは至近優先かつ中央優先としている。この選択したパラメータを用いて、CPU110は、ステップ1303に戻り、レンズ駆動の制御を行う。
【0048】
このときの一例を時間軸で説明するものとして図16に表す。本実施例の図11のような被写体関係の場合において、フォーカスレンズ初期値をX0として、フォーカスレンズ位置と、位相差枠の状態、位相差による測距値、およびTVAF枠の状態とTVAF評価値の変化を時間とともに記している。
【0049】
時刻t0ではフォーカスレンズは初期位置X0にあり、位相差枠も初期の基本設定された基本枠であることを示す。相関演算の結果は、フォーカスレンズ位置に換算するとX2相当の値を示す。
【0050】
また、コントラスト評価枠は、A,B,Cの3枠であり、それぞれ評価値の変化量としては演算できていない状態を示している。時刻t1になると、t0で取得した信号に基づいて算出された位相差の結果に基づいてレンズ駆動が始まる。そして、レンズ位置はその手前であるX1の位置にあり、位相差枠による相関演算結果には変化がなくX2相当の結果を示している。
【0051】
また、レンズが駆動されたことで、コンラスト評価値の変化量の評価値が算出されて、A枠とB枠は‘+’(コントラスト増加)、C枠も‘+’(コントラスト増加)したことを示している。時刻t2においてフォーカスレンズ位置がX2に到達したときにも、コンラスト評価値の変化量の評価値が算出されて、A枠とB枠は‘+’(コントラスト増加)、C枠は‘−’(コントラスト低下)に転じていることを示している。位相差の基本枠による相関演算結果は変わらずX2相当を検出しており、フォーカスレンズ駆動は行われない。
【0052】
しかし、ここまでのX0〜X2へフォーカスレンズ駆動中のTVAF枠のA,B,C枠のコントラスト変化結果から、A,B枠は同じ変化を示しているものの、C枠は一旦増加してから減少傾向へと推移したことがわかる。これは、異なる被写体である可能性が高いことを示している。
【0053】
このような検出結果から、ステップ1306で説明したとおり、位相差枠を1つの基本枠から二つのサブエリアへと分割する。また、それぞれのサブエリアに対してコントラスト評価枠も先に説明したとおりにそれぞれ設定される。具体的には、サブエリア1に対して、A1枠、B1枠、C1枠、サブエリア2に対して、A2枠、B2枠が設定される。
【0054】
このように設定された状態において、時刻t3ではサブエリア1、およびサブエリア2へと二つの位相差が設定されている。それぞれの枠の相関演算の結果として、サブエリア1ではX3相当である相関演算を得られ、サブエリア2ではX1相当の相関演算結果を得ている。この2つの相関演算結果から近距離、画角中央優先で計算されたアルゴリズムに基づいて、X3を抽出して、フォーカスレンズ位置をX3へ位置させるための動作となる。
【0055】
よって所定時間後(図示していない)に、フォーカスレンズがX3に対応する位置へ移動して被写体1へ合焦する。
【0056】
次に、図17および図18を用いて上述した位相差枠の分割後の動作について説明する。図17では被写体1(またはカメラ)が横方向に移動して、位相差枠の全面にかかった場合の被写体と各検出枠との関係を示す図である。
【0057】
このような状態におけるフォーカスレンズ位置およびコントラスト評価値、位相差測距値の遷移の様子を図18の表にしている。時刻t5ではフォーカスレンズ位置はX3にあり合焦状態が続いていたが、この時の位相差サブエリア1および位相差サブエリア2の測距結果がともにX3であると検出している。この位相差枠サブエリアの測距値が同じである場合には、次のステップでは二つのサブエリアを合体してこの場合には最初の基本枠に戻っている。よって次の時刻t6では、位相差枠も基本枠に戻り、その測距結果はX3、またコントラスト評価枠も位相差基本枠用の設定に戻り、A枠、B枠、C枠と最初の枠設定となったことを示している。
【0058】
以上のような動作を繰り返し、位相差の測距結果を用いつつ、コントラスト評価値の変化から枠設定を行い、遠近競合した被写体でも合焦方向へ導くことが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
109 撮像素子
110 CPU
130 外測AFセンサユニット
202A、202B 外測用結像レンズ
203A、203B 検出部
602、603,604 コントラストAF枠
901 顔検出枠
902、903 サブエリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動焦点調節制御を行うための焦点検出装置に関し、ビデオカメラ等の撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置に搭載されるAF(オートフォーカス)方式としては、コントラストAF方式が一般的である。コントラストAF方式では、撮像素子を用いて得られた映像信号のうち高周波成分を抽出して、焦点状態を示す信号としてのいわゆるAF評価値信号を生成し、該AF評価値信号が最大になるようにフォーカスレンズの位置を制御する。
【0003】
また、このようなコントラストAF方式と、いわゆる外測位相差検出(外測AF)方式とを組み合わせた、いわゆるハイブリッドAF方式を採用した撮像装置も提案されている(特許文献1参照)。外測AF方式は、撮像光学系を通らない光を利用して被写体までの距離をAFセンサにより直接検出し、その検出距離に基づいてフォーカスレンズの位置を制御するものである。外測AF方式と前述のコントラストAF方式を組み合わせたハイブリッドAF方式により、コントラストAF方式による高精度で高い分解能をもつ合焦性能と、外測AF方式による高速な合焦性能とを併せ持つことができる。
【0004】
外測AF方式では、一対のラインセンサから得られる被写体像の信号に基づいてその2像の相関演算を行い、位相ずれ量を算出して、三角測距の原理を用いて被写体までの距離を測定し、その検出距離に基づいてフォーカスレンズの位置を制御するものである。被写体距離が一意であれば、ラインセンサ上で検出される像の位相ずれ量も一意に決まってくる。しかし、例えば1mの被写体と10mの被写体が同時にセンサ画角にはいるような複数距離の競合(または遠近競合などともいう)の場合には、像の位相ずれ量を一意に定めることも難しくなっている。そこで特許文献2などでは、複数距離の競合と判断されるような場合には、像を分割して複数の小ブロックごとに再度相関演算する構成を用いて複数距離をそれぞれ算出するような提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−258147号公報
【特許文献2】特開平8−15603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、小ブロックの分け方がある程度一定のわけ方となっており、小ブロックで再度相関演算した結果も複数距離の競合状態が発生してしまい、精度良く焦点検出できないことが発生する。また、再び隣接個所の小ブロックを用いて再々度相関演算処理を行うなどの必要性が生じてしまい、組み込み機器で必要とされるリアルタイム性にかけたり、精度において不十分な面がみられたりしている。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、位相差AF方式での焦点検出結果が複数距離の競合時に、遠近競合を分解して複数距離のそれぞれを焦点検出することが可能な焦点検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の焦点検出装置は、撮像光学系を通った光により形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する撮像素子と、被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段において位相差を検出する範囲を設定する画素選択手段と、前記撮像素子からの信号に基づいて、設定された被写体枠でのコントラストを検出するコントラスト検出手段とを備え、前記画素選択手段は、前記位相差検出手段によって検出された焦点状態の信頼度が低いと判定されたときには、前記コントラスト検出手段の検出結果に基づいて範囲を設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位相差AF方式での焦点検出結果が複数距離の競合時に、遠近競合を分解して複数距離のそれぞれを焦点検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1である焦点検出装置が備えられたビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における外測AFセンサユニットの詳細を示す図である。
【図3】位相差AFにおける像信号を示す図である。
【図4】実施例1における焦点検出動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例1における再焦点検出動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例1における外測AFセンサ視野およびコントラストAF枠を示す図である。
【図7】実施例1を説明する図である。
【図8】実施例1におけるサブエリア選択を説明する図である。
【図9】実施例2におけるサブエリア選択を説明する図である。
【図10】実施例3におけるビデオカメラの構成を示す図である。
【図11】実施例3における各エリアを説明する図である。
【図12】実施例3における評価値変化を示す図である。
【図13】実施例3におけるフォーカス動作を示すフローチャートである。
【図14】実施例3を説明する図である。
【図15】実施例3を説明する図である。
【図16】実施例3を説明する図である。
【図17】実施例3を説明する図である。
【図18】実施例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1および2に記載される通りである。
【実施例1】
【0012】
図1には、本発明の実施例1である焦点検出装置が備えられたビデオカメラの構成を示す。同図において、点線内で示される100はレンズユニットであり、被写体側(光側)から順に配置された、固定レンズ101、変倍レンズ102、絞り103、固定レンズ104及びフォーカスレンズ105により構成される撮像光学系を収容している。
【0013】
108は変倍レンズ102、絞り103(絞り羽根)及びフォーカスレンズ105の位置を検出する位置エンコーダである。
【0014】
変倍レンズ102はズームモータ106により光軸方向に駆動され、フォーカスレンズ105はフォーカスモータ107により光軸方向に駆動される。これらズームモータ106及びフォーカスモータ107はそれぞれ、ズーム駆動回路120及びフォーカス駆動回路121からの駆動信号を受けて動作する。
【0015】
109はCMOSセンサ等により構成された撮像素子である。該撮像素子109は、撮像光学系に入射した光によって形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する。撮像信号処理回路119は、撮像素子109からの出力信号に対して、増幅処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス処理等の各種信号処理を施し、所定の映像フォーマットの映像信号に変換する。該映像信号は、モニタディスプレイ114に出力されたり、半導体メモリ、光ディスク、ハードディスク等の画像記録用メディア115に記録されたりする。
【0016】
110は各種制御手段としてのCPUである。CPU110は、本ビデオカメラの各種動作や機能をソフトウェアを通して制御する。操作スイッチ群111には、電源スイッチや、録画動作や再生動作を開始及び停止させるスイッチ、該ビデオカメラの動作モードを選択するためのスイッチ、撮像光学系のズーム状態を変化させるズームスイッチ等が設けられている。これらのスイッチのうち、電源スイッチが操作されると、フラッシュメモリ113に格納されていたコンピュータプログラムの一部がRAM112にロードされ、CPU110はRAM112にロードされたプログラムに従って処理を行い、各部の動作を制御する。本ビデオカメラは先行技術例でも紹介したような一般的なコントラストAFを有している。撮像素子109から出力された映像信号を元に、撮像信号処理回路119において画面内の一部のみの撮像信号を抽出し、バンドパスフィルタによって、コントラストAF評価値を生成してその他所定の演算と併せて合焦度を生成する。この合焦度に基づいて、通常山登り制御といわれる合焦位置の探索が行われるフォーカス制御が行われる。
【0017】
130は外測AFセンサユニットであり、外測用結像レンズ131と、ラインセンサ132から構成されている。該ラインセンサ132は、複数の受光素子が一列に並べられて構成されており、その詳細については図2において説明する。このラインセンサ132には、被写体からの光が撮像光学系とは別に設けられた焦点距離fである外測用結像レンズ131を通って、すなわち撮像光学系を通らずにラインセンサ132に到達する。到達した被写体像は、ラインセンサ132において光電変換されて、図示しないA/D変換器によってデジタル化される。この像信号を用いて、CPU110において各種のデジタル処理を行い、被写体距離、相関量、信頼度などを算出する。これらの計算結果に基づいて、フォーカスモータ107を介してフォーカスレンズ105を駆動することで、外測AFを実現する。外測AFセンサユニット130およびCPU110が、本発明の、被写体の2像の位相差検出から焦点状態を検出する第一の焦点検出手段に相当する。
【0018】
次に、図2を用いて外測AFセンサユニット130の詳細について述べる。図2(a)において、201は焦点検出対象(撮影対象)の被写体であるとしており、202Aおよび202Bは焦点距離fの外測用結像レンズである。203Aおよび203Bは外測用結像レンズ202A、202Bを通した光が結像された2像の像信号を検出する検出部であり、被写体201の光をA像およびB像として取得される。この外測用結像レンズ202Aと202B、検出部203Aと203Bは、それぞれ基線長Bだけ互いに離れて設置されている。これら検出部203Aおよび203Bから得られる2つの像信号を用いて、三角測距原理に基づいて被写体距離Lを測定する。なお、外測用結像レンズ202は図1に示した結像レンズ131に、検出部203は図1に示したラインセンサ132にそれぞれ相当する。また、図2(b)に示すのは、検出部203Aをさらに詳細に示したものである。すなわち検出部203Aは、それぞれ画素ピッチがpとなる長方画素が隣接して40個並んだ画素配列となっており、ラインセンサと呼んでいる。なお203Bについても同等の構成となっている。さらに図示しないデジタル回路によって蓄積制御が行われており、一つの画素の光量が所定以上になると他の画素の蓄積も停止するようになっている。また、焦点検出時のCPU110からの設定によってどの画素を蓄積制御対象画素にするかを任意個数選択できるように構成されている。なお、以下の説明では検出部203AのA像、検出部203BのB像のそれぞれの対称画素について、「SA1」は、A像の画素ナンバー1を表し、「SA40」は、A像の画素ナンバー40を記す。また同様に「SB4」は、B像の画素ナンバー4を表すこととする。
【0019】
次に図3を用いて、被写体輝度を外測AFセンサユニット130にて得られた像の一例を示す。図3(a)が被写体輝度をあらわしており、図3(b)が得られた2像の像信号を示している。ここでは50cmほどの近距離被写体としており、このうち301の四角で示すポイントは、A像ではSA13の位置、B像ではSB23の位置に検出されている。同様に、被写体のうち302の円で示すポイントは、A像ではSA22の位置、B像ではSB32の位置に検出されていて、A像とB像では位相差を示す11画素相当シフトした状態となっている。このシフト量を元に三角測距の原理に基づいて被写体距離を計算する。このように近距離被写体では大きくシフトするものの、被写体が遠距離とくに無限距離にいる場合などは、このようなシフトは生じずに、A像およびB像がほぼ同一のように検出される。
【0020】
次に本焦点検出装置における焦点検出のフローを図4を用いて説明する。図4においてステップ401で焦点検出開始指示が発生すると、次のステップ402で外測AFセンサの蓄積が開始される。ある範囲において所定以上の蓄積が行われると、蓄積が終了し、次のステップ403では蓄積された各画素の電荷量をA/D変換することにより、それぞれ被写体輝度の像信号として読み出される。ここでは、SA1〜SA40,およびSB1〜SB40についてそれぞれの画素を取り出し、それぞれA像、B像としている。次のステップ404では読み出されたA像、B像の相関演算を行い、像が一致するシフト量を算出する。次のステップ405においては、算出したシフト量の確からしさ、つまり検出した焦点状態の信頼度を計算している。次のステップ406では、ステップ405で計算された信頼度に基づいて焦点検出結果が正しいかどうかを判定し、最終的な焦点検出結果として使用可能かどうかを判断する。ステップ406を実行するCPU110が、本発明の信頼度判定手段に相当する。ここで信頼度が高く、焦点検出結果として用いることができれば、ステップ407へ移行して焦点検出結果として決定し、焦点検出終了指示があるまで以上のシーケンスを繰り返す判断処理のステップ409へと移行していく。一方で、ステップ406において信頼度が低い場合には、ステップ408へ移行して、別途定義している再焦点検出演算処理を行うものとなる。
【0021】
再焦点検出演算について図5のフローチャートを用いて以下に説明を加える。ステップ501で再焦点検出演算に入ると、次のステップ502では外測AFセンサ視野の情報からコントラストAF枠の設定が行われる。外測AFセンサの視野とコントラストAF枠については、さらに詳細を図6に示す。図6(a)は600が撮像素子の撮像面の被写体枠、すなわち本ビデオカメラで記録する映像の画角とし、その画角に対して、外測AFセンサの視野は601で一例として記している。外測AFセンサの視野601は本ビデオカメラを組み立てる時に決まるもので、記録する映像の画角に対する大きさ(被写体枠)は、本撮像系の焦点距離に応じて広がったり小さくなったりして、変更されるものである。この外測AFセンサの視野601に対して、コントラストAF枠を表現したものが、図6(b)となっている。このステップ502でのコントラストAF枠の決定のとき、撮像光学系の主レンズの焦点距離情報から外測AFセンサ視野を計算により特定し、その外測AFセンサ視野と画角の共通部分に対して、重なるエリア内に3つに分割した枠をコントラストAF枠として設定する。これが602〜604で示したコントラストAF枠のA枠、B枠、C枠である。図5の次のステップ503ではこれらのコントラストAF枠からコントラストAF評価値(それぞれT1,T2,T3)を算出する。ステップ502および503を実行するCPU110が、本発明の第三の焦点検出手段に相当する。
【0022】
次のステップ504ではこのコントラストAF評価値によって、外測AFのためのサブエリア設定(画素範囲の選択)を行う。ここでいうサブエリアとは外測AFセンサのライン40画素分のうち、所定の数の画素単位で複数分エリアとして焦点検出する時の分割するエリアのことを指す。たとえば40画素のうち、12画素ずつをセットとし、3つの複数エリアを設定することである。状況に応じて16画素と20画素の2つのエリアに分割されることもある。後ほどこの分割方法について詳細説明を行う。ステップ504を実行するCPU110が、本発明の、コントラスト検出の結果の高低により少なくとも二つ以上の画素範囲を選択する画素選択手段に相当する。
【0023】
さて次のステップ505ではここで分割された各エリアの画素範囲の信号を用いてそれぞれのエリアで位相差の相関演算を行い、分割されたそれぞれのエリアでの焦点検出結果として計算する。ステップ505を実行するCPU110が、本発明の第二の焦点検出手段に相当する。次のステップ506では各サブエリアの焦点検出結果と、ステップ503で得られたコントラストAF評価値との対応状況を確認して焦点検出結果として再度算出して確定、終了する。
【0024】
さて、この時の具体例を図7を用いてさらに説明を加える。図7(a)ではメインの撮像系の被写体枠600中に、近距離に被写体1、そしてやや遠距離に被写体2が存在している様子をあらわしている。この時の外測AFセンサ視野は、図6に示したような範囲であったとして、同様にコントラストAF枠は図7(a)中にも602〜604として設定されたものとする。図7(b)は被写体距離が記されており、被写体1が近距離側L2の距離にあり、被写体2が遠距離L4の距離にあることを示している。また、図7(c)は横軸に撮像光学系の被写体側の焦点がL1からL5までのそれぞれの位置に存在した場合のコントラストAF評価値が記されている。例えばL2の距離に撮像光学系焦点がある場合には、被写体1に焦点が合っている状態であり、A枠602におけるコントラストAF評価値T1は非常に高い。B枠603のコントラストAF評価値T2は腕の一部がかかり、やや高い評価値となる。また、一方でC枠604のコントラストAF評価値T3は、被写体2を捕らえている枠であり、距離が異なるためにその分ボケ量が増して評価値も低い値を示す。このようにコントラストAF評価値が低いグループと高いグループが存在すれば、その値を利用して、外測AFセンサに複数のサブエリアを設定する。図7(d)にはその切り分けポイントとして701のバー状の線で記しており、L2の距離の欄をみればA枠とB枠はひとつのサブエリアとして、C枠を2つ目のサブエリアとして切り分けるポイントとして利用する。このときに外測AFセンサの複数エリアの設定は図8に記すようにサブエリアが切り分けられる。図8の801は外測AFセンサのA像の視野であり、設定されたコントラストAF枠のA枠〜C枠のそれぞれの対応が示されている。A枠およびB枠は同じサブエリアとして捉えるので、A枠側の外測AFセンサ領域SA1の画素から、B枠の端の画素からA枠側に少し内側に入ったSA22の画素までをサブエリア1として、またC枠に対応したSA27からSA40の14画素をサブエリア2として設定することになる。図7においてL2の距離に撮像レンズ焦点がある場合について説明してきたが、他の距離に焦点があった状態であってもほぼ同様にコントラストAF評価値に基づいてサブエリアの設定が同等に設定可能となる。ただし、L3の距離にレンズ焦点がある場合などは、コントラストAF評価値がそれぞれ大きくなることはない場合がある。このような場合については、2つのサブエリアではなく、各エリアに対応したサブエリアがそれぞれ作ることも可能であるが、ここではA枠とC枠に対応したサブエリアを2つすなわち、図8の状態で例を示すとすればサブエリア1はSA1〜SA15まで、サブエリア2はSA26〜SA40までとして設定することで代替している。
【0025】
外測AFセンサの焦点検出結果としては、SA1〜SA40画素のすべてを用いた相関演算結果は、複数の距離の被写体が混在することになり、焦点検出結果としては信頼できないものであるか、または焦点検出精度が足りないものとなってしまう。一方でサブエリア1またはサブエリア2のそれぞれの画素のみを使用して相関演算を行うと、焦点検出結果としてもそれぞれの枠ではそれぞれの距離の被写体のみであり、信頼度や精度が高いものとなって焦点検出できるものとなる。このようにコントラストAF枠でボケていると判断される個所を外測AFセンサと対応させて特定すれば、コントラストAFでボケている個所の焦点検出が可能となり、AFのアプリケーションとしてさまざまに応用可能となる。
【実施例2】
【0026】
別の実施例2を説明する。ただし実施例1との差は外測AFセンサのサブエリアを生成する過程が異なるものであるので、サブエリアの生成方法として図9を用いて説明を行う。
【0027】
実施例1ではコントラストAF評価値にしたがってサブエリアを切り分けるとしたが、ここでは、顔検出枠を用いて切り分けるものとしている。顔検出機能は近年のカメラには標準的に搭載されており、その手法はさまざまだが、ここではCPUにおいて撮像信号から顔検出枠の検出を行うものとしている。これにより検出された顔検出枠は、撮像された人物の顔の大きさに応じて変化する。例えば図9においては被写体1がヒトであるために顔検出枠として901に示す枠で取得される。同図には外測AFセンサの視野601も示している。このときには、顔検出枠901を中心に1より大きい所定の倍率(例えば数倍)で大きさが決定されて外測AFセンサ用のサブエリア1として902の範囲(SA1〜SA20)が決定される。またその他のエリアとしてサブエリア2が903として決定されて、おのおののサブエリア1、2の信号によって相関演算が行われて焦点検出結果として返される。
【0028】
なお、顔検出枠により人物の顔を検出することに限定されるものではなく、被写体の所定の対象を検出するものであっても良い。この場合、CPU110が、本発明の対象検出手段に相当する。
【0029】
以上のように外測AFセンサの焦点検出結果に信頼性がない場合には、コントラストAF評価値や顔検出枠の結果に応じて、外測AFセンサの総画素のうち相関演算するのに必要な画素エリアをサブエリアとして決定して、再度相関演算を行う。これにより遠近被写体の切り分けが行えることで外測AFセンサの焦点検出結果に信頼性や精度が増して様々なAFのアプリケーションに応用可能となる。
【0030】
また、上述してきたラインセンサについては、撮像素子内の複数画素に設けられた一対のエリアセンサを用いても、つまりいわゆる撮像面位相差AF方式を用いても、概して同様なフローによって焦点検出を行うことが可能である。
【実施例3】
【0031】
別の実施例3を説明する。図10は本発明の実施例3である焦点検出装置が備えられたビデオカメラの構成を示す。実施例1の図1との違いは、撮像素子の内部構成が異なること、左右像抽出回路が追加されたこと、および外測センサが削除されたことである。
【0032】
実施例3の撮像素子140は、撮像素子内部に左右像が得られる用に光学系およびセンサ配置が行われている。例えばマイクロレンズ下に複数の光電変換領域を設けてA像用の信号、B像用の信号を取得可能とすることにより、それらの集合としてA像、B像として、位相差を演算可能とするものである。センサそれぞれが左右像抽出回路141によってそれぞれA像、B像データとして抜き出されて、RAM112の所定位置に配置される。この配置されたA像、B像データを元にCPU110によって相関演算を行い位相差による焦点状態を検出する構成となっている。また、本実施例でも実施例1と同様に撮像信号処理119において設定されている所定の枠において、コントラストAF評価値を生成しうる。以下に、CPU110において実行されるAF制御を示す。
【0033】
図11には本ビデオカメラ起動時の撮像画角に対する位相差枠およびコントラストAF評価値を生成するコントラスト評価枠(TVAF枠)を示しており、ある時点での被写体の位置関係と合わせて表記している。
【0034】
具体的には、1101は撮像画角全体を示しており、この中に1102のように該画角中央エリアに位相差枠1102が1エリア設定されている。また、1103〜1105のように位相差枠1102に重畳しつつ3分割するような形でコントラスト評価枠として設定されており、それぞれA枠、B枠、C枠と呼ぶことにする。
【0035】
被写体1はやや近距離(距離X3)被写体2はやや遠距離(距離X2)側の状態である。このような関係にあるときに、フォーカスレンズ位置を無限端から至近端へ駆動した場合のコントラスト評価値の変化の様子を図12に示す。
【0036】
図12上段には横軸にフォーカスレンズ位置であり、X0側が無限側、X4側が至近側である。そして、縦軸にコントラスト評価値を示したグラフとなっている。A枠、B枠、およびC枠のそれぞれに対応するコントラスト評価値のレンズ位置に対する変化は、1201、1202、および1203で示す。
【0037】
また図12の下段には、フォーカスレンズ位置が至近側へ向かって動く場合を前提にした変化量の符号を抽出したものを示す。例えば、レンズ位置がX0からX1へ動く場合には、A枠は変化がみられないことから検出不可を示す空白となっている。B枠、C枠はプラス側へ変化しコントラスト値が増大していることを表している。
【0038】
また、フォーカスレンズ位置がX1からX2へ動く場合には、A枠およびB枠ではコントラスト評価値は増大するので、プラスが表記されており、C枠では減少する事を示すマイナスが表記されている。
【0039】
このような被写体と枠の関係にあり、時刻t0におけるフォーカスレンズ位置の初期値はX0に位置していることを前提に、AF制御のフローチャートを図13として以下に動作を説明する。
【0040】
図13のステップ1301ではビデオカメラ起動直後のデフォルト値として図12に示したように位相差枠およびTVAF枠を設定する。ステップ1302ではこの位相差枠に対応させて相関演算し、像ずれ量からフォーカスレンズ目標位置を算出する。
【0041】
図11に示すような被写体関係の場合、遠近競合が発生している。ここでのフォーカスレンズ目標位置X2に対応する被写体距離は、被写体1および被写体2の距離の中間であるフォーカスレンズ位置X2に相当する位置とする。次のステップ1303においては算出されたフォーカスレンズ目標位置X2へ向かってフォーカスレンズの駆動を開始する。
【0042】
次のステップ1304では設定されたTVAF枠のA枠、B枠、C枠のそれぞれに対応して、コントラスト評価値を取得している。ステップ1305における制御により、フォーカスレンズ駆動が終わるまで各枠に対応するコントラスト評価値を取得し続けることとなる。さてステップ1305においてフォーカスレンズ駆動が終了すると、各TVAF枠に対応するコントラスト評価値の変化した状態に基づき、位相差枠を分割するかを判定する(ステップ1306)。この判定は、遠近競合の可能性を評価するものである。
【0043】
図11の例では、遠近競合が発生するため、図12に示す表のように変化の符号からA枠,B枠、C枠の分離をA、BとCの二つの領域に分けられることになる。よって次のステップ1307では図14に示すように位相差枠を再設定する。
【0044】
CPU110は、図11に示した1102の位相差枠を2つの位相差枠1401と1402へと2分割化し、それぞれ位相差サブエリア1、位相差サブエリア2とする。このように位相差枠を分けるとともに、さらにこれらの位相差枠へ重畳する形でそれぞれにTVAF枠を設定する。
【0045】
このときの様子を図15に示す。図15は、1401の位相差サブエリア1枠に対して、A1枠、B1枠、C1枠とTVAF枠を3枠設定し、1402の位相差サブエリア2枠に対してA2枠、B2枠として2枠を設定したものである。サブエリアと対応して再設定するTVAF枠の数は、位相差AF枠のサイズによって異ならせてよい。最低2エリアあればよい。これらのように枠の設定が行われると、それぞれ設定された枠ごとに相関演算による位相差の算出、またTVAFに利用するコントラスト評価値の取得を行う(ステップ1308)。
【0046】
次のステップ1309では、二つの位相差の算出値から、いずれの枠に対応する位相差を使って、レンズ駆動を制御するかを選択する。
【0047】
なお、複数の相関演算結果からレンズ駆動を制御するパラメータを選択するアルゴリズムもさまざま考えられるが、ここでは至近優先かつ中央優先としている。この選択したパラメータを用いて、CPU110は、ステップ1303に戻り、レンズ駆動の制御を行う。
【0048】
このときの一例を時間軸で説明するものとして図16に表す。本実施例の図11のような被写体関係の場合において、フォーカスレンズ初期値をX0として、フォーカスレンズ位置と、位相差枠の状態、位相差による測距値、およびTVAF枠の状態とTVAF評価値の変化を時間とともに記している。
【0049】
時刻t0ではフォーカスレンズは初期位置X0にあり、位相差枠も初期の基本設定された基本枠であることを示す。相関演算の結果は、フォーカスレンズ位置に換算するとX2相当の値を示す。
【0050】
また、コントラスト評価枠は、A,B,Cの3枠であり、それぞれ評価値の変化量としては演算できていない状態を示している。時刻t1になると、t0で取得した信号に基づいて算出された位相差の結果に基づいてレンズ駆動が始まる。そして、レンズ位置はその手前であるX1の位置にあり、位相差枠による相関演算結果には変化がなくX2相当の結果を示している。
【0051】
また、レンズが駆動されたことで、コンラスト評価値の変化量の評価値が算出されて、A枠とB枠は‘+’(コントラスト増加)、C枠も‘+’(コントラスト増加)したことを示している。時刻t2においてフォーカスレンズ位置がX2に到達したときにも、コンラスト評価値の変化量の評価値が算出されて、A枠とB枠は‘+’(コントラスト増加)、C枠は‘−’(コントラスト低下)に転じていることを示している。位相差の基本枠による相関演算結果は変わらずX2相当を検出しており、フォーカスレンズ駆動は行われない。
【0052】
しかし、ここまでのX0〜X2へフォーカスレンズ駆動中のTVAF枠のA,B,C枠のコントラスト変化結果から、A,B枠は同じ変化を示しているものの、C枠は一旦増加してから減少傾向へと推移したことがわかる。これは、異なる被写体である可能性が高いことを示している。
【0053】
このような検出結果から、ステップ1306で説明したとおり、位相差枠を1つの基本枠から二つのサブエリアへと分割する。また、それぞれのサブエリアに対してコントラスト評価枠も先に説明したとおりにそれぞれ設定される。具体的には、サブエリア1に対して、A1枠、B1枠、C1枠、サブエリア2に対して、A2枠、B2枠が設定される。
【0054】
このように設定された状態において、時刻t3ではサブエリア1、およびサブエリア2へと二つの位相差が設定されている。それぞれの枠の相関演算の結果として、サブエリア1ではX3相当である相関演算を得られ、サブエリア2ではX1相当の相関演算結果を得ている。この2つの相関演算結果から近距離、画角中央優先で計算されたアルゴリズムに基づいて、X3を抽出して、フォーカスレンズ位置をX3へ位置させるための動作となる。
【0055】
よって所定時間後(図示していない)に、フォーカスレンズがX3に対応する位置へ移動して被写体1へ合焦する。
【0056】
次に、図17および図18を用いて上述した位相差枠の分割後の動作について説明する。図17では被写体1(またはカメラ)が横方向に移動して、位相差枠の全面にかかった場合の被写体と各検出枠との関係を示す図である。
【0057】
このような状態におけるフォーカスレンズ位置およびコントラスト評価値、位相差測距値の遷移の様子を図18の表にしている。時刻t5ではフォーカスレンズ位置はX3にあり合焦状態が続いていたが、この時の位相差サブエリア1および位相差サブエリア2の測距結果がともにX3であると検出している。この位相差枠サブエリアの測距値が同じである場合には、次のステップでは二つのサブエリアを合体してこの場合には最初の基本枠に戻っている。よって次の時刻t6では、位相差枠も基本枠に戻り、その測距結果はX3、またコントラスト評価枠も位相差基本枠用の設定に戻り、A枠、B枠、C枠と最初の枠設定となったことを示している。
【0058】
以上のような動作を繰り返し、位相差の測距結果を用いつつ、コントラスト評価値の変化から枠設定を行い、遠近競合した被写体でも合焦方向へ導くことが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
109 撮像素子
110 CPU
130 外測AFセンサユニット
202A、202B 外測用結像レンズ
203A、203B 検出部
602、603,604 コントラストAF枠
901 顔検出枠
902、903 サブエリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系を通った光により形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する撮像素子と、
被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する位相差検出手段と、 前記位相差検出手段において位相差を検出する範囲を設定する画素選択手段と、
前記撮像素子からの信号に基づいて、設定された被写体枠でのコントラストを検出するコントラスト検出手段とを備え、
前記画素選択手段は、前記位相差検出手段によって検出された焦点状態の信頼度が低いと判定されたときには、前記コントラスト検出手段の検出結果に基づいて範囲を設定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記設定された被写体枠は、前記撮像光学系の焦点距離に応じて大きさが変更されることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記画素選択手段は、前記コントラスト検出手段のコントラスト検出結果の高低により少なくとも二つ以上の範囲を設定することを特徴とした請求項1または2のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
撮像光学系を通った光により形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する撮像素子と、
被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する位相差検出手段と、
前記位相差検出手段において位相差を検出する範囲を設定する画素選択手段と、
前記撮像素子からの信号に基づいて被写体の所定の対象を検出する対象検出手段とを備え、
前記画素選択手段は、前記位相差検出手段によって検出された焦点状態の信頼度が低いと判定されたときには、前記対象検出手段の検出結果に基づいて範囲を設定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
前記対象検出手段は、前記被写体の所定の対象として顔を検出することを特徴とする請求項4に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記対象検出手段は、前記撮像光学系の焦点距離に応じて前記被写体の所定の対象の大きさを変更することを特徴とした請求項4または5のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
前記画素選択手段は、選択する画素範囲の大きさを、前記被写体の所定の対象の、1より大きい所定の倍率の大きさとすることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項8】
前記位相差検出手段のセンサは、撮像光学系とは別の光学系からの光を受けるラインセンサであることを特徴とする請求項1または7のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項9】
前記位相差検出手段のセンサは、前記撮像素子内の複数画素に設けられたセンサであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項1】
撮像光学系を通った光により形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する撮像素子と、
被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する位相差検出手段と、 前記位相差検出手段において位相差を検出する範囲を設定する画素選択手段と、
前記撮像素子からの信号に基づいて、設定された被写体枠でのコントラストを検出するコントラスト検出手段とを備え、
前記画素選択手段は、前記位相差検出手段によって検出された焦点状態の信頼度が低いと判定されたときには、前記コントラスト検出手段の検出結果に基づいて範囲を設定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記設定された被写体枠は、前記撮像光学系の焦点距離に応じて大きさが変更されることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記画素選択手段は、前記コントラスト検出手段のコントラスト検出結果の高低により少なくとも二つ以上の範囲を設定することを特徴とした請求項1または2のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
撮像光学系を通った光により形成された、撮像範囲内の物体の像を光電変換する撮像素子と、
被写体の2像の位相差から焦点状態を検出する位相差検出手段と、
前記位相差検出手段において位相差を検出する範囲を設定する画素選択手段と、
前記撮像素子からの信号に基づいて被写体の所定の対象を検出する対象検出手段とを備え、
前記画素選択手段は、前記位相差検出手段によって検出された焦点状態の信頼度が低いと判定されたときには、前記対象検出手段の検出結果に基づいて範囲を設定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
前記対象検出手段は、前記被写体の所定の対象として顔を検出することを特徴とする請求項4に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記対象検出手段は、前記撮像光学系の焦点距離に応じて前記被写体の所定の対象の大きさを変更することを特徴とした請求項4または5のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
前記画素選択手段は、選択する画素範囲の大きさを、前記被写体の所定の対象の、1より大きい所定の倍率の大きさとすることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項8】
前記位相差検出手段のセンサは、撮像光学系とは別の光学系からの光を受けるラインセンサであることを特徴とする請求項1または7のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【請求項9】
前記位相差検出手段のセンサは、前記撮像素子内の複数画素に設けられたセンサであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の焦点検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−29803(P2013−29803A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90367(P2012−90367)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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