説明

焼印鏝の加熱機

【課題】菓子やパンなどの食品を初め、バッグや靴などの皮革製品、表札や菓子箱などの木質製品、その他の焦げ跡を残すことができる各種対象物の表面へ、焼印を施す焼印鏝に広く汎用できる加熱機を提供する。
【解決手段】前面だけが焼印鏝(T)の出し入れ口として開口する耐熱性の加熱炉(10)と、その周囲に巻き付けられた電磁誘導加熱コイル(13)とから成る電磁誘導加熱ユニット(U)を、高周波電源(2)が内蔵された機筐(F)の上面に設置すると共に、その高周波電源(2)から上記加熱コイル(13)へ高周波電流を供給して、上記加熱炉(10)へ挿入された導電性焼印鏝(T)の少なくとも鏝先にある印章(33)だけを、その電磁誘導により集中的に加熱する焼印鏝の加熱機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は菓子やパンなどの食品を初め、バッグや靴などの皮革製品、表札や菓子箱などの木質製品、その他の焦げ跡を残すことができる各種対象物の表面へ、焼印を施す焼印鏝の効果的な加熱機に関する。
【背景技術】
【0002】
製菓技術分野を代表例に挙げて言えば、ハンダ鏝と類似形態の手持ち作業する焼印鏝が使用されており、その鏝先にある加熱した印章を和菓子などの表面へ押圧して、その焦げ跡の文字や図形などから成る一定の標章を付与している。
【0003】
その鏝先にある印章の加熱源としては、ガスバーナーと電気ヒーター(セラミックヒーターやニクロムヒーター、カートリッジヒーターなど)との2種が公知である。この点、特許文献1にはガスバーナーが、特許文献2にはカートリッジーヒーターが各々開示されているけれども、これらは何れも自動機械的な焼印装置に係り、所謂ハンドツールとしての焼印鏝に係るものではない。
【0004】
念のために言えば、特許文献3には印字体の電磁誘導加熱装置が記載されているが、これもハンドツールとしての焼印鏝を対象としておらず、更に平行リンク運動する昇降機構を採用しているため、表面が平坦なメニュー札や表札などの木質板材でなければ、鮮明な焼印を確実に安定良く施すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−19496号公報
【特許文献2】特開2009−298002号公報
【特許文献3】特許第3605151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
耐火レンガの加熱炉内に簀子を枠組み立設して、その簀子上に載置セットした焼印鏝の印章を、下方からガスバーナーによって加熱する公知手段では、既往の各種焼印鏝に広く使用できる利点がある反面、その鏝先にある印章の加熱温度が一定せず、外気温や加熱時間などに左右されやすいため、焦げ跡の色調や濃度などの均一な焼印を得ることが困難であり、急速に加熱することもできない。
【0007】
そして、このことはたとえガス配管工事の不要になるカセットボンベ式のガスコンロを採用したとしても、全く同様に言えることであり、又ガスの直火や燃焼排気が発生するため、作業場における温度環境の悪化やガス・火災事故の危険性なども招来する。
【0008】
更に、鏝先の印章が約600℃〜約800℃の高温に晒らされるため、酸化が早く進み、使用寿命が短いばかりでなく、その印章に発生した酸化物や煤などの不純物が、焼印を施す時に対象物の表面へ付着し、特にその対象物が食品の場合、不衛生感やその他の悪影響を及ぼすおそれもある。
【0009】
他方、鏝先にある印章を棒状のセラミックヒーターやカートリッジヒーター、シーズヒーターなどの電気ヒーターによって加熱する公知手段では、上記ガスによる酸化を防止できる利点がある反面、その印章の加熱温度に上限があり、高温に加熱できない制約を受けるため、時間当りに処理し得る焼印個数を増すことができず、作業効率に劣る。
【0010】
それにもまして、焼印鏝を電気ヒーターに応じた専用の形態に製作する必要があり、製菓業者が既に所有している各種の焼印鏝を、そのまま加熱することができない。その既往の各種焼印鏝を電気ヒーターにより加熱しようとすれば、多大の経費を余儀なくされることになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこのような課題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では前面だけが焼印鏝の出し入れ口として開口する耐熱性の加熱炉と、その周囲に巻き付けられた電磁誘導加熱コイルとから成る電磁誘導加熱ユニットを、高周波電源が内蔵された機筐の上面に設置すると共に、
【0012】
その高周波電源から上記加熱コイルへ高周波電流を供給して、上記加熱炉へ挿入された導電性焼印鏝の少なくとも鏝先にある印章だけを、その電磁誘導により集中的に加熱することを特徴とする。
【0013】
又、請求項2では電磁誘導加熱ユニットの加熱炉を結晶化ガラスなどの耐熱保護板から、前面だけが開口する直方体型に組み立てて、
【0014】
その左右両側面にマイカ板などの第1耐熱絶縁板を挟み付けると共に、その左右一対の第1耐熱絶縁板と上記直方体型加熱炉の上下両面を、前後一対の第2耐熱絶縁板によって包囲し、
【0015】
その第2耐熱絶縁板の前後相互間へ巻き付けた1本物の電磁誘導加熱コイルを、機筐の内部にある高周波電源と接続配線したことを特徴とする。
【0016】
請求項3では非磁性体である1本物の金属線材から蛇行形態に屈曲形成された鏝先受け簀子を、加熱炉内の床面へ抜き差し自在に差し込み敷設して、
【0017】
その簀子により焼印鏝の印章を上記床面からの浮上状態に支持したことを特徴とする。
【0018】
請求項4では電磁誘導加熱ユニットの全体をトンネル型のカバーによって包囲し、その包囲カバーの背後面に臨む排熱ファンを機筐の上面に設置して、
【0019】
上記加熱ユニットの電磁誘導加熱コイルから使用中に発生する熱を、その排熱ファンにより上記包囲カバーの背後方向へ排出させることを特徴とする。
【0020】
更に、請求項5では加熱炉における焼印鏝の出し入れ口に臨む鏝受け台をその加熱炉内の床面とほぼ同じ設置高さとして、機筐の上面に取り付け使用し、
【0021】
鏝先の印章が上記加熱炉内へ挿入された状態にある焼印鏝のハンドル軸又はグリップを、下方から安定良く受け持つように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の上記構成によれば、従来のガスバーナーや電気ヒーターを加熱源とする焼印鏝加熱機の冒頭に述べた課題が悉く解決され、その焼印鏝の鏝先をなす印章の大きさや形状が変っても、又その印章の加熱面積が小さくても、ここに集中する電磁誘導加熱により、確実に且つ高い一定温度まですばやく加熱できる効果があり、そのための作業場を作業し難い高温や空気の環境に悪化したり、危険性を与えたりするおそれもない。
【0023】
特に、請求項2の構成を採用するならば、電磁誘導加熱ユニットの全体を安定良く確固に組み立てることができ、しかもその加熱炉の内部へ出し入れ作業する各種焼印鏝との関係上、必要最小限度の大きさとして機筐の上面へ設置することができ、言わば卓上型としても便利良く使用し得る効果がある。
【0024】
又、請求項3の構成を採用するならば、焼印鏝の鏝先にある印章を加熱炉の床面から浮上状態に保つことにより、その印章の発熱が加熱炉へ伝導することを極力抑制すると共に、その鏝先の印章が加熱炉へ直かに当接して、これに傷付きを与えることも予防することができ、加熱炉の耐用性を向上し得る効果がある。
【0025】
請求項4の構成を採用するならば、電磁誘導加熱ユニットの加熱コイルから発生する熱を、その排熱ファンにより外部へ排出させて、上記加熱コイルの耐用性を向上できるばかりでなく、その加熱ユニットの全体を包囲するカバーにより、使用上の安全性も確保し得る効果がある。
【0026】
更に、請求項5の構成を採用するならば、焼印鏝をその印章の電磁誘導加熱中、安定な静置状態に受け持つことができ、その作業上の利便性がますます向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る焼印鏝加熱機の正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線断面図である。
【図7】図3の7−7線断面図である。
【図8】焼印鏝を抽出して示す側面図である。
【図9】図8の底面図である。
【図10】加熱炉を抽出して示す斜面図である。
【図11】加熱炉に対する鏝先受け簀子の敷設状態を示す斜面図である。
【図12】排熱ファンによる加熱コイルの排熱方向を示す側断面図である。
【図13】焼印鏝の電磁誘導加熱作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基いて本発明の実施形態を具体的に詳述すると、その焼印鏝加熱機の全体を示した図1〜7において、(F)は金属板(好ましくはアルミ板などの非磁性体)から直方体型に組み立てられた機筐であり、例えば縦が約180mm×横が約300mm×高さが約167mmの大きさとして、その四隅部にゴム脚座(1)を有するため、作業しやすい卓上に安定良く据え置き使用することもできる。
【0029】
(2)は上記機筐(F)内の底面へ電源支持枠(3)を介して取り付けられた高周波電源(加熱用インバータ)であり、後述の電磁誘導加熱コイルへ高周波電流を供給・制御する。その周波数は20KHz〜30KHz、出力は50W〜500Wである。(4)はその高周波電源(2)の放熱ファンであり、上記機筐(F)内の天井面へファン支持枠(5)を介して架設されている。(6)はその放熱ファン(4)の安全ガードであり、多数の放熱口(図示符号省略)を有することは言うまでもない。
【0030】
(7)(8)は上記機筐(F)の正面(前面)に並列設置された電源スイッチと加熱力の強弱調整ボリューム、(9)は同じく機筐(F)の背面(後面)から導出された一定長さの電源コードてあり、その先端部の差込みプラグ(図示省略)が作業場の電源コンセント(100V)へ接続使用されることになる。
【0031】
(U)は焼印鏝(T)の電磁誘導加熱ユニットであり、好ましくは結晶化ガラスなどの耐熱保護板から図10、11に抽出するような正面(前面)だけが開口する直方体型として、例えば縦が約80mm×横が約100mm×高さが約40mmの大きさに組み立てられた加熱炉(10)と、これを挟む左右一対の第1耐熱絶縁板(好ましくはマイカ板)(11)と、その両耐熱絶縁板(11)と上記加熱炉(10)の上下両面とを包囲する前後一対の第2耐熱絶縁板(同じくマイカ板)(12)とから枠組み一体化されていると共に、その両耐熱絶縁板(12)の前後相互間へ1本物の電磁誘導加熱コイル(13)が巻き付けられることにより、全体的なユニットをなしている。(10r)は上記加熱炉(10)の背後壁であり、これも結晶化ガラスなどの耐熱保護板から成る。
【0032】
上記加熱コイル(13)の切り離し両端部が機筐(F)内の高周波電源(2)と接続配線されており、その電源(2)から電磁誘導加熱ユニット(U)の加熱コイル(13)へ高周波電流が供給・制御されることは言うまでもない。
【0033】
尚、図示実施形態の上記加熱炉(10)は直方体型をなすが、その正面(前面)だけが焼印鏝(T)の出し入れ口として開口し、外周面へ上記加熱コイル(13)を包囲状態に巻き付けることができるならば、立方体型や円筒型、ドーム型、多角筒型などの加熱炉(10)を採用しても良い。
【0034】
そして、上記機筐(F)の上面には側面視のL字形に折り曲げられたアルミ板から成る前後一対の加熱ユニット支持ブラケット(14f)(14r)が、その言わば背中同士の向かい合う関係状態に取り付け固定されており、その両支持ブラケット(14f)(14r)の起立板片(15)に切り欠かれている左右一対づつの受け入れ凹溝(16)へ、上記加熱ユニット(U)をなす左右一対の第1耐熱絶縁板(マイカ板)(11)が上方から抜き差し自在に差し込まれている。(17)はその加熱ユニット支持ブラケット(14f)(14r)の水平板片(18)を機筐(F)の上面へ取り付ける固定ビスである。
【0035】
その場合、後側の加熱ユニット支持ブラケット(14r)だけはその起立板片(15)の左右両端部から上向き一体的に延長された向かい合う一対のコーナーアングル片(19)も具備しており、その両コーナーアングル片(19)によって加熱ユニット(U)における加熱炉(10)の背後壁(10r)を拘束し、その加熱ユニット(U)の全体を安定良く支持している。但し、加熱ユニット(U)の全体はその前後一対の加熱ユニット支持ブラケット(14f)(14r)から上方へ抜き出して、保守点検や清掃などを行うことも可能である。
【0036】
又、同じく機筐(F)の上面には角棒状をなす左右一対のカバー支持ベース(20)も取り付け固定されており、これに上記加熱ユニット(U)を包囲するトンネル型に折り曲げられたアルミ板のカバー(21)が、前後一対づつの水平な固定ビス(22)によって取り付けられている。(23)は上記機筐(F)に対するカバー支持ベース(20)の固定ビスを示している。
【0037】
(24)は上記機筐(F)における上面の後端部に取り付け固定されたファン支持ブラケットであって、側面視のL字形に折り曲げられたアルミ板から成り、その加熱ユニット包囲カバー(21)の背後面を仕切る関係状態の穴明き起立板片(25)に、上記加熱ユニット(U)の排熱ファン(26)が固定ビス(27)を介して架設されており、その電磁誘導加熱コイル(13)から使用中に発生する熱を、図12の矢印(A)で示す背後方向へ自づと排出させることができるようになっている。
【0038】
(28)はその排熱ファン(26)の固定ビス(27)を兼用して、上記起立板片(25)へ背後方向から取り付けられた安全ガードであり、多数の排熱口(29)を有する。(30)は上記ファン支持ブラケット(24)の水平板片(31)を機筐(F)の上面に取り付ける固定ビスである。
【0039】
他方、(32)は上記加熱ユニット(U)の直前位置(加熱炉(10)の入口部)に臨む鏝受け台であって、好ましくは非磁性体のステンレス鋼板から上記加熱炉(10)内の床面とほぼ同じ設置高さに曲成されており、これによって先端部の印章(凸版)(33)が加熱炉(10)の内部へ挿入された状態にある焼印鏝(T)を、安定良く受け持ち静置し得るようになっている。(34)はその焼印鏝(T)のハンドル軸、(35)は同じくグリップ、(36)は鏝受け台(32)の座板(37)を上記機筐(F)の上面に取り付ける固定ビスである。
【0040】
この点、図8、9は焼印鏝(T)の一例を示しており、その焼印鏝(T)のグリップ(35)が木質材や合成樹脂材などから成るに比して、ハンドル軸(34)とその先端部に溶接された印章(33)が磁性体の金属(鉄やフェライト系ステンレス鋼、鉄とアルミとのクラッド材、その他の導電性を有する金属)から成ることは言うまでもない。
【0041】
更に、(M)は非磁性体である1本物の金属線材(好ましくはアルミ棒)から、上記加熱炉(10)の奥行(深さ)とほぼ同じ折曲げ単位長さでの蛇行形態に屈曲された鏝先受け簀子であり、その加熱炉(10)の入口部から抜き差し自在に差し込んで、その内部の床面へ敷設されることにより、焼印鏝(T)の先端部にある印章(33)をそのフラットな床面から浮上した状態に支持して、上記加熱炉(10)へ印章(33)の発熱が直接伝導したり、その耐熱保護板(結晶化ガラス)に印章(33)が直かに当接して、傷付きを与えたりすることなどを予防するようになっている。
【0042】
しかも、その場合図11から明白なように、鏝先受け簀子(M)の蛇行形態をなす直線部(38)と曲線部(39)のうち、その直線部(38)は前後方向に沿って平行に延在する状態にあり、加熱炉(10)の入口部から出し入れ作業する焼印鏝(T)の印章(33)と、その鏝先受け簀子(M)とが引っ掛かる如く干渉しないようになっている。
【0043】
又、上記鏝先受け簀子(M)の曲線部(39)は加熱炉(10)の背後壁(10r)に沿って曲げ起されることにより、その加熱炉(10)内への挿入敷設時におけるストッパー(39a)として機能するようになっている。(38a)は同じく鏝先受け簀子(M)の切り離し両端部となる左右一対の曲げ起し把手であり、ここを作業者が両手で摘まみ持つことにより、上記加熱炉(10)に対する鏝先受け簀子(M)の抜き差し操作を便利良く行えるようになっている。
【0044】
本発明の加熱機は上記の構成を備えているため、その使用により焼印鏝(T)を加熱するに当っては、その鏝先の印章(33)を図5に示す如く、上記電磁誘導加熱ユニット(U)の加熱炉(10)内へ前方から挿入して、その加熱炉(10)内の鏝先受け簀子(M)と加熱炉(10)外の鏝受け台(32)へ、安定良く静置させた状態に保つ。
【0045】
これと相前後して、電源スイッチ(7)のオン操作と、加熱力調整ボリューム(8)の回動操作とを行い、上記機筐(F)に内蔵されている高周波電源(加熱用インバータ)(2)から電磁誘導加熱ユニット(U)の加熱コイル(13)へ高周波電流を供給する。
【0046】
そうすれば、上記加熱炉(10)の外周面に沿って電磁誘導加熱コイル(13)が包囲状態に巻き付けられているため、所謂誘導電気炉の原理に準じて、その加熱コイル(13)に流れる電流により生じた磁束(Z)が図13に示す如く、加熱炉(10)の内部を前後方向に沿って貫通し、その内部に存在する焼印鏝(T)の就中印章(33)へ渦電流が流れて、その磁性体金属との電気抵抗により発生したジュール熱が、印章(33)を加熱することになる。
【0047】
その加熱力は被加熱物である焼印鏝(T)の就中印章(33)に集中し、その加熱面積が小さくても、これだけを局部的に発熱させるため、目標とする一定の加熱温度(例えば約200℃〜約350℃)をすばやく得られ、作業場における温度や空気の環境悪化や火災事故の危険性、印章(33)の早期な酸化などを生ずるおそれはなく、しかも印章(33)が異なる各種焼印鏝(T)に広く汎用できる利便性もある。
【0048】
その印章(33)の大きさ(加熱面積)や形状などが変化しても、短時間での効率良く加熱でき、その加熱温度の調整・制御も容易に行え、操作性に優れる。
【0049】
その場合、焼印鏝(T)の印章(33)はその鏝先受け簀子(M)によって、加熱炉(10)内の床面から浮上した状態に保たれているため、例えば食品の焦げた破片やその他の加熱障害物が付着せず、作業環境のクリーンのみならず、食品衛生上も有益である。しかも、その鏝先受け簀子(M)は加熱炉(10)の内部から前方へ抜き出して、その清掃や交換などを行うこともできる。
【0050】
更に、上記加熱コイル(13)の排熱ファン(26)や高周波電源(2)の放熱ファン(4)も具備しているため、その電磁誘導加熱ユニット(U)の加熱コイル(13)並びに高周波電源(2)の耐用性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
(1)・ゴム脚座
(2)・高周波電源(加熱用インバータ)
(3)・電源支持枠
(4)・放熱ファン
(5)・ファン支持枠
(6)・安全ガード
(7)・電源スイッチ
(8)・加熱力調整ボリューム
(9)・電源コード
(10)・加熱炉(10)
(10r)・背後壁
(11)・第1耐熱絶縁板
(12)・第2耐熱絶縁板
(13)・電磁誘導加熱コイル
(14f)(14r)・加熱ユニット支持ブラケット
(15)(25)・起立板片
(16)・凹溝
(17)(22)(23)(27)(30)(36)・固定ビス
(18)(31)・水平板片
(19)・コーナーアングル片
(20)・カバー支持ベース
(21)・加熱ユニット包囲カバー
(24)・ファン支持ブラケット
(26)・排熱ファン
(28)・安全ガード
(29)・排熱口
(32)・鏝受け台
(33)・印章
(34)・ハンドル軸
(35)・グリップ
(37)・座板
(38)・直線部
(38a)・把手
(39)・曲線部
(39a)・ストッパー
(F)・機筐
(M)・鏝先受け簀子
(T)・焼印鏝
(U)・電磁誘導加熱ユニット
(Z)・磁束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面だけが焼印鏝の出し入れ口として開口する耐熱性の加熱炉と、その周囲に巻き付けられた電磁誘導加熱コイルとから成る電磁誘導加熱ユニットを、高周波電源が内蔵された機筐の上面に設置すると共に、
その高周波電源から上記加熱コイルへ高周波電流を供給して、上記加熱炉へ挿入された導電性焼印鏝の少なくとも鏝先にある印章だけを、その電磁誘導により集中的に加熱することを特徴とする焼印鏝の加熱機。
【請求項2】
電磁誘導加熱ユニットの加熱炉を結晶化ガラスなどの耐熱保護板から、前面だけが開口する直方体型に組み立てて、
その左右両側面にマイカ板などの第1耐熱絶縁板を挟み付けると共に、その左右一対の第1耐熱絶縁板と上記直方体型加熱炉の上下両面を、前後一対の第2耐熱絶縁板によって包囲し、
その第2耐熱絶縁板の前後相互間へ巻き付けた1本物の電磁誘導加熱コイルを、機筐の内部にある高周波電源と接続配線したことを特徴とする請求項1記載の焼印鏝の加熱機。
【請求項3】
非磁性体である1本物の金属線材から蛇行形態に屈曲形成された鏝先受け簀子を、加熱炉内の床面へ抜き差し自在に差し込み敷設して、
その簀子により焼印鏝の印章を上記床面からの浮上状態に支持したことを特徴とする請求項1又は2記載の焼印鏝の加熱機。
【請求項4】
電磁誘導加熱ユニットの全体をトンネル型のカバーによって包囲し、その包囲カバーの背後面に臨む排熱ファンを機筐の上面に設置して、
上記加熱ユニットの電磁誘導加熱コイルから使用中に発生する熱を、その排熱ファンにより上記包囲カバーの背後方向へ排出させることを特徴とする請求項1又は2記載の焼印鏝の加熱機。
【請求項5】
加熱炉における焼印鏝の出し入れ口に臨む鏝受け台をその加熱炉内の床面とほぼ同じ設置高さとして、機筐の上面に取り付け使用し、
鏝先の印章が上記加熱炉内へ挿入された状態にある焼印鏝のハンドル軸又はグリップを、下方から安定良く受け持つように定めたことを特徴とする請求項1又は2記載の焼印鏝の加熱機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−91292(P2013−91292A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235839(P2011−235839)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000247247)有限会社ナカイ (22)