説明

焼酎廃液を利用した肥料及びその製造方法

【課題】 脱水・加熱の工程を省き、焼酎廃液から直接的に製造される肥料を提供することである。
【解決手段】 焼酎廃液を利用した肥料において、焼酎廃液、水分吸収材、及び固化材を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼酎廃液を利用した肥料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酒類の製造工程では、酒かすを含んだ廃液が排出される。この廃液は栄養分を含むため家畜類の飼料や農作物の肥料として再利用される。
【0003】
特に焼酎の製造工程で排出される焼酎廃液が飼料や肥料として再利用される。この飼料や肥料は、焼酎廃液を脱水機で脱水し、脱水後のケーキを乾燥して製造される。この脱水及び乾燥工程で生じる廃液は、栄養分を含むため、加熱による蒸散処理など、廃液処理される。
【0004】
特許文献1には、焼酎廃液濃縮物又は焼酎廃液脱水ケーキと、フスマ、大麦ヌカ、ビートパルプ、大麦などの副原料とを、加熱状態で混練した後、押出し成形により家畜用飼料が製造されると開示されている。
【特許文献1】特開平10−286067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、焼酎廃液を脱水する工程では、脱水された水分がさらに廃液になり、この廃液を処理する工程が必要になる。また、焼酎廃液を加熱する工程では、熱量が大きくなり、コスト高になりやすい。
【0006】
特許文献1では、焼酎廃液濃縮物又は焼酎廃液脱水ケーキを得るためには、焼酎廃液が脱水及び加熱処理される。また、焼酎廃液濃縮物又は焼酎廃液脱水ケーキと副原料とを混合する際に、十分に水分を蒸発させるために、加熱工程がある。
【0007】
そこで、本発明の目的としては、脱水・加熱の工程を省き、焼酎廃液から直接的に製造される肥料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る焼酎廃液を利用した肥料は、焼酎廃液、水分吸収材、及び固化材を含有することを特徴とする。
【0010】
また、上記肥料において、水分吸収材が植物原料であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る焼酎廃液を利用した肥料製造方法は、焼酎廃液と水分吸収材とを混合し、さらにこの混合物に固化材を添加し混合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、脱水・加熱の工程を省き、焼酎廃液から直接的に製造される肥料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。本実施の形態における例示は本発明を限定するものではない。
【0014】
本発明に係る肥料は、焼酎廃液、水分吸収材、及び固化材を含有することを特徴とする。本発明によれば、焼酎廃液を固液分離、加熱などによらず直接水分吸収、固化することができる。つまり、焼酎廃液の水分が水分吸収材に吸収され、さらに固化材で固化され、焼酎廃液が水分を含んだ状態で固化される。このように、焼酎廃液は、含水した状態で、そのまま肥料に利用される。そのため、焼酎廃液の水分を脱水及び蒸散させる工程を省いて、肥料を得ることができる。
【0015】
ここで、肥料としては、植物、例えば農作物に栄養を与えるためのものがある。
【0016】
焼酎廃液は、焼酎の製造工程で排出される廃液であり、絞りかすを含むものが栄養分をより多く含むため肥料用に好ましい。例えば、焼酎廃液は、焼酎の蒸留工程において発生する蒸留残留物である。焼酎としては、芋焼酎、麦焼酎、米焼酎、黒糖焼酎、そば焼酎などが好ましく、特に芋焼酎、麦焼酎が好ましい。
【0017】
水分吸収材は、水分を吸収する性質を有するものであり、焼酎廃液と混合すると焼酎廃液中の水分を吸収するものである。水分吸収材としては、ペーパースラッジ(Paper Sludge、以下PSと称する)、枯草、麦殻、おがくずなどの植物原料、又はこれら植物原料の組み合わせが好ましく、特にPSが好ましい。PSは製紙工場で発生する紙原料であり、アシなどの植物が主成分である。このように、水分吸収材に植物原料を用いることで、肥料として栄養分を植物に与えることができ、また、焼酎廃液の水分を効率よく吸収することができる。
【0018】
水分吸収材の含有割合は、焼酎廃液1mに対して、水分吸収材を100〜200Kg配合することが好ましい。
【0019】
固化材は、焼酎廃液と水分吸収材の混合物に添加すると焼酎廃液中の水分と作用してこの混合物を固化するものである。固化材としては、生石灰、PS灰、硫酸鉄、又はこれらの組み合わせが好ましく、特に生石灰を利用するものが好ましい。
【0020】
固化材の含有割合は、焼酎廃液1mに対して、固化材を100〜150Kg配合することが好ましい。例えば、固化材としては、生石灰100%からなるものが好ましい。また、生石灰50%と、石炭灰又はPS灰30%と、硫酸鉄20%とからなる複合成分のものを固化材として使用することも好ましい。
【0021】
このような肥料の形状は固形状であり、肥料を使用する際には堆肥化することが望ましい。堆肥化は、温度と水分を調整し、肥料に適度に水分を含ませ柔らかくする。そして、このように堆肥化した肥料を植物に与える。
【0022】
本発明に係る肥料の製造方法は、焼酎廃液と水分吸収材とを混合し、さらにこの混合物に固化材を添加し混合することを特徴とする。
【0023】
焼酎廃液と水分吸収材の混合、及び、焼酎廃液と水分吸収材の混合物と固化材との混合は、いずれも一般的な混合方法によって行うことができるが、例えば二軸式パドルミキサーが好ましい。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0025】
(実施例1)
焼酎廃液(95%水分)1mに対してPS200Kgを添加し混合した。この混合は、二軸パドルミキサーを用いて、室温で行った。次に、このようにして得られた混合物に、生石灰50Kgを添加し混合した。この混合は、二軸パドルミキサーを用いて、室温で行った。このようにして、肥料(含水率60〜70%)を製造することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼酎廃液、水分吸収材、及び固化材を含有することを特徴とする焼酎廃液を利用した肥料。
【請求項2】
前記水分吸収材が植物原料であることを特徴とする請求項1に記載された焼酎廃液を利用した肥料。
【請求項3】
焼酎廃液と水分吸収材とを混合し、さらにこの混合物に固化材を添加し混合することを特徴とする焼酎廃液を利用した肥料の製造方法。