照射装置、ロボット、および植物栽培プラント
【課題】農薬を使用することなしに、植物の害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させることができる装置を提供する。
【解決手段】装置が、植物に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部を備えている。
【解決手段】装置が、植物に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射装置、ロボット、および、植物栽培プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
育成される植物を、庫内において移動させる植物の栽培装置が知られている(特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の栽培装置は、収納した植物を上下に移動させ、植物を庫内の適応する最適の環境位置に配置することにより、植物の品質にバラツキのない栽培、養生、貯蔵、順化等が行える方法を提供するものである。このように、植物の育成環境などの環境条件について制御を施すことにより植物の品質にバラツキを抑え、また収穫量を高めることができる。しかしながら、近時、消費者における食品の安全性への関心が高まっており、上記栽培方法を使用する場合においても、農薬を使用することなしに、植物に生じる病気などの害を低減または予防させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−61623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、植物に生じる病気などの害を低減または予防させるために、農薬などが使用されていた。しかしながら、農薬は人体に対する影響がある可能性があるため、農薬を使用することなしに、植物に生じる病気などの害を低減または予防させることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、農薬を使用することなしに、植物の害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させることができる照射装置、ロボット、および植物栽培プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の照射装置は、植物に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部、を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のロボットは、上述の照射装置が取り付けられているロボットアームを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の植物栽培プラントは、上述の照射装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、植物における障害を低減または予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係わる植物栽培プラントの概要を示す図である。
【図2】ロボット(照射装置)の構成を示す図である。
【図3】育成床ごとにアーム部を設備する例を示す図である。
【図4】アーム部を天井側に移動可能に取り付ける例を示す図である。
【図5】アーム部を天井側に固定して取り付ける例を示す図である。
【図6】本実施形態における植物栽培システムの構成例を示す概略ブロック図である。
【図7】本実施形態におけるロボット(照射装置)の第1の構成例を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態におけるロボット(照射装置)の第2の構成例を示す概略ブロック図である。
【図9】取り除き部として刃物機構を用いる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0012】
[本発明のロボット(照射装置)が使用される植物栽培プラントの概要の説明]
図1は、本発明のロボット400が使用される植物栽培プラント4の概要を示す図である。図1(A)は、その断面図を示し、図1(B)は、その平面図を示す。
【0013】
植物栽培プラント4は、植物栽培システム1(図6を参照)を備え、植物の栽培を行う設備である。図1に示すように、植物栽培プラント4は、植物9が育成される植物栽培用の育成床6と、育成床6を外気空間7と隔てるために囲うプラント囲い8と、育成床6で育成される植物9に光を照射するランプ10とを備えている。植物栽培プラント雰囲気調整装置2はプラント囲い8の内側空間13の雰囲気を調整するものである。また、育成床6は、植物9の一苗毎に設けられている。そして、台座60は、育成床6が並べて配置される台座である。
【0014】
プラント囲い8は、育成床6の周辺を外気空間7と隔てて、栽培される植物に適した雰囲気に保つためのものである。ランプ10は、図示の例ではプラント囲い8の内部に設置されている。さらに、植物栽培プラント4はプラント囲い8の内部に、所定条件に調整された空気を供給するための空調機12を備える。通常、空調機12は内側空間13から吸入口16を通じて空気を取り込んで、調整し、排出口18から内側空間13に戻す。
【0015】
植物栽培プラント雰囲気調整装置2においては、ランプ10がランプ囲い20で囲われている。ランプ囲い20の壁の少なくとも一部は透明である。ランプ囲い20には、ランプ囲い20の内側と、内側空間13及び外気空間7とを選択的に導通する一の管路22が接続されている。また、ランプ囲い20には、ランプ囲い20の内側と、内側空間13及び外気空間7とを選択的に導通する他の管路24が接続されている。即ち、一の管路22は二股管26の根元で分岐し、二股管26の一方が内側空間13に通じ、他方が外気空間7に通じている。他の管路24は二股管28の根元で分岐し、二股管28の一方が内側空間13に通じ、他方が外気空間7に通じている。二股管26、28の根元には2方切り替え弁部30、32がそれぞれ設けられている。
【0016】
外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より高いときには、一の管路22、他の管路24とも、外気空間7に通ずるように2方切り替え弁部30、32で設定する。外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より低いときには、一の管路22、他の管路24とも、内側空間13に通ずるように2方切り替え弁部30、32で設定する。この選択的な設定により、外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より高いときには、空気が外気空間7から取り込まれ、空気が一の管路22、ランプ囲い20、他の管路24をこの順に経由して矢印Aの方向に進行して再び外気空間7に放出されるので、ランプ10がこの空気で冷却される。また、ランプ10の熱で暖められた空気が内側空間13に流入することがない。従って、ランプ10の熱による空調機12の冷房負荷の増大を防ぎ、空調負荷が軽減される。
【0017】
また、選択的な設定により、外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より低いときには、空気が内側空間13から取り込まれ、空気が一の管路22、ランプ囲い20、他の管路24をこの順に経由して矢印Bの方向に進行して再び内側空間13に放出されるので、ランプ10がこの空気で冷却されるとともにランプ10の熱で暖められた空気が内側空間13に還流する。従って、ランプ10の熱により空調機12の暖房負荷を軽減することができる。なお、一の管路22には、空気を矢印A或いは矢印Bの方向に送風するためのファンのような送風手段36が備えられている。
【0018】
また、育成床6の周囲には給水管70が設備され、給水ポンプ71を定期的に駆動することにより、この給水管70を介して植物9に水が補給される。例えば、図2(B)に示すように、育成床6に側面に配置された給水管70に設けたノズル部72から植物9に対して散水が行われる
【0019】
また、図1(B)に示すように、植物9が栽培されている育成床6の間の通路には、誘導路80に沿って走行するロボット400が配置されている。このロボット400を自動で走行させることにより、育成床6に植えられた植物9の状態(例えば、障害の発生状況)を検出し、必要な場合には植物9に対して照射光(例えば、レーザー光)の照射を行う。
【0020】
[ロボット400についての説明]
次に、植物栽培プラント4において、ロボット400が移動しながら、植物9の状態を検出するとともに、植物9に照射光を照射する場合を例示する。図2は、植物栽培プラント4における植物9の状態を検出し照射光(例えば、レーザー光)を照射するロボット400を示す図である。
【0021】
この図2(A)に示すロボット400は、移動手段とする車輪403Wを備え、駆動部(不図示)から供給される動力により移動するアーム型ロボットの例である。このロボット400において、移動型車両本体401の上面には、鉛直軸を中心として回転自在に支持されるブラケット402が設けられる。そのブラケット402には、多関節型のアーム部420が設けられ、ブラケット402は、アーム部420を前後方向に転動自在に支持している。また、図2に示すように、ロボット400は、連続して接続される複数のアーム部420(420−1、420−2、420−3、420−4)を備え、アーム部420の先端には、照射部430と、撮像部421とが設けられている。
【0022】
なお、このアーム部420には、このアーム部420を多関節型のアームロボットとして動作させるアクチュエータ機構(例えば、モータ機構や、油圧機構や、空圧機構等)が内蔵されているが、多関節型のアームロボットのアクチュエータ機構自体はよく知られたものであり、また本発明とは直接には関係しないため、その説明は省略する。
【0023】
このロボット400は、アーム部420、照射部430、撮像部421、の制御部(不図示)を機能させ、自走可能とする電源部(不図示)を備えている。ロボット400の制御部(不図示)は、車両本体401の移動制御、アーム部420を要求に応じて駆動して、照射部430及び撮像部421の位置及び方向を定める駆動制御、照射部430を機能させる照射制御、撮像部421を機能させる撮像制御、撮像した画像情報に基づいて植物9の障害箇所等の検出処理、処理結果などを通信する通信制御などを行う。ロボット400は、植物栽培プラント4(図1)において栽培される植物9(図1)の状態を移動しながら検出し、植物9の障害箇所に照射光を照射する。
【0024】
なお、照射部430は、後述する複数種類の照射光(例えば、異なる波長のレーザー光)を出力するための第1照射部431と、第2照射部432と、第3照射部433と、第4照射部434と、育成波長照射部435と、を備えている。また、照射部430は、この照射部430と植物9までの距離を測距するための測距部436を備えている。
【0025】
そして、図2(B)に示すように、ロボット400は、アーム部420の先端に設備された撮像部421により、撮像対象の植物9(例えば、葉L10)の状態(例えば、障害発生の有無)、および植物9に付着している害虫等を撮像する。また、ロボット400は、照射部430により、植物9(或いは植物9に付着した害虫)に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射する。また、ロボット400は、照射部430により、ノズル72から植物9に対して散水される水73に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射し、水73の殺菌を行う。
【0026】
なお、図2に示す例は、ロボット400を、車輪403Wにより床面を移動する自走型ロボットで構成した例を示したが、これに限定されず、ロボット400を種々の構成とすることができる。
【0027】
例えば、図3は、育成床6ごとにアーム部420を設備する例を示す図であり、図3(A)は、育成床6の側面にアーム支持台6Aを水平方向に取り付け、このアーム支持台6Aの上面に、3関節型のアーム部420を矢印A方向に回転自在に支持する例である。また、図3(B)は、図3(A)に示すアーム部420をより簡単な構成にした例であり、アーム支持台6Aの上面に、1関節型のアーム部420Aを矢印A方向に回転自在に支持する例である。
【0028】
また、図4は、アーム部420Bをプラント囲い8の天井側(ランプ囲い20側)に取り付けた例を示す図である。この図に示す例では、ランプ囲い20と並行にガイドレール90を配置し、このガイドレール90に沿って移動する移動台車91を設ける。そして、この移動台車91の下面側に、アーム部420Bを矢印Aに回転自在に支持する。この図4に示す構成例では、移動台車91を走行させることにより、通路に沿って左右並列に配置された育成床6の位置にアーム部420Bを順番に移動させる。そして、アーム部420Bの先端に設備された撮像部421により育成床6に植えられた植物9を撮像するとともに、照射部430により植物9に対して照射光の照射を行う。
【0029】
また、図5は、図4に示す移動台車91とガイドレールを用いる代わりに、固定的に設けられたアーム支持台を用いる例である。例えば、ランプ囲い20の側面に設備されたアーム支持台20Aに、アーム部420Cを矢印A方向に回転自在に支持する。この図5に示す例では、アーム支持台20Aを移動させることができないため、所定個数の育成床6(例えば、左右並列に配置された3個の育成床6)ごとに1つのアーム部420Cを設備することになる。
【0030】
以上、ロボット400と、そのアーム部420の種々の構成例を示したが、ロボット400の構成は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、植物栽培プラント4の実情(例えば、栽培する植物の種類や規模)に合わせて種々変更を加え得ることは勿論である。
【0031】
[植物栽培システムの概要についての説明]
次に、図6を参照し、植物、すなわち農作物の栽培を制御する植物栽培システムの概要について説明する。
図6は、植物栽培システムの構成例を示す概略ブロック図である。植物栽培システム1は、栽培する植物を収穫して出荷されるまでの工程において、育成環境などの環境条件について制御を施すことにより収穫時期を制御して、収穫予定時期の収穫量を高めることができる。収穫予定時期の収穫量を高めるには、発芽から収穫までの各工程で、植物の成長を管理する直接的な制御と、間接的な制御とがある。
【0032】
直接的な制御とは、間引き、剪定などにより植物自体を加工することなどが含まれる。また、間接的な制御とは、各種環境条件の設定を行うことなどが含まれる。植物栽培システムは、植物と、その植物を栽培する環境を制御対象として、その植物の育成状況、収穫時期などを最適化して、収穫予定時期の収穫量を増加するように制御する。
【0033】
図6に示す植物栽培システム1では、植物の栽培環境を制御対象として、モデル化することにより、それぞれの栽培工程の制御を容易化する。また、植物9の育成状況に応じて、そのモデルを最適化することにより、収穫予定時期の収穫量を確保する制御を容易にする。
【0034】
この図6に示される植物栽培システム1は、例えば、制御対象部100、育成状況判定部200、プラント制御部300、及び、ロボット(照射装置)400を備えている。制御対象部100は、管理対象である植物9と、植物9の育成環境を制御する環境駆動部120を備えている。植物9は、発芽後の葉、茎、花・実、及び根の状態によって育成状況を判定できる。その育成状況は、基準時(発芽時など)からの経過時間に関係付けて判定することができる。例えば、葉の状態による判定では、葉の枚数、1枚の葉の大きさ、生い茂った葉の投影面積、しおれ具合(角度、縦横比)などがあげられる。茎の状態による判定では、背丈、枝の張り具合、太さなどがあげられる。花・実の状態による判定では、数、密度、配置、実の成熟度などがあげられる。根の状態による判定では、長さ、広がり具合などがあげられる。
【0035】
環境駆動部120は、プラント制御部300から供給される環境制御量に応じて、植物が栽培される育成環境を制御する。ここで、育成環境とは、例えば、植物9に供給される光に関する条件、空気に関する条件、水に関する条件、又は、肥料に関する条件等に基づく環境である。光に関する条件としては、植物9に供給される光の光量、又は、波長等の条件があり、空気に関する条件としては、植物9の周囲の温度、湿度、風量、及び、二酸化炭素濃度等の条件がある。また、水に関する条件としては、植物9に供給される水の水量、又は、水温等の条件があり、肥料に関する条件としては、植物9に供給される水に含まれる養分濃度等の条件がある。
【0036】
環境駆動部120は、光制御部121、空調設備122、二酸化炭素処理部123及び水調整設備124を備えている。光制御部121は、発光部又は遮光部を含み、植物9に与える光の光量又は波長を制御する。一般的な植物9は、適当な光の強度及び照射時間に依存する光の量により光合成が行われ、成長が促進される。また、植物9の好日性を利用して、光の照射方向を制御して、植物9の成長する方向を制御する。また、光制御部121は、太陽などの自然光と異なり、特定の波長を制限して与えることにより、特定の成長を促進させる。例えば、発光波長を制限できる発光部としては、発光ダイオード、高圧ネオンランプなどがある。遮光部によって波長を制限する場合には、波長選択性のフィルターを用いる。
【0037】
空調設備122は、植物9が置かれている周囲温度、湿度、及び、風量を制御する。この空調設備122が十分な容量の空気を、適正な周囲温度、湿度、及び、風量に制御して与えることにより、植物9の成長にダメージを与えることなく成長を促進させることができる。二酸化炭素処理部123は、空調設備122によって管理されている空気中の二酸化炭素濃度を制御する。適正量の二酸化炭素濃度を維持することにより、光合成を促進させることができる。二酸化炭素処理部123は、単に二酸化炭素を発生させるのではなく、他の設備が発生した二酸化炭素を再利用してもよい。
【0038】
水調整設備124は、植物9に給水する水量、水温、及び、養分濃度のうちから、少なくとも1つを制御する。特に水耕栽培である場合、水温及び養分濃度は大事な管理項目である。このように、植物栽培システム1では、環境駆動部120を備えることにより、屋外環境の変化を遮蔽して、人工環境の元で栽培環境を構築する形態と、屋外環境の変化も利用しつつ、適切な環境を補助的に構築する管理支援型の栽培環境とする形態のいずれにも適用可能である。いずれの形態を採用するかは、栽培する植物の種別、栽培時期、成長過程、施設が置かれた環境などの条件により適宜選択される。例えば、発芽から所定の期間は、人工光を用いて連続照射することにより、成長が促進される植物があることが知られている。また、照射する波長を選択することにより、成長量を制御して目的の成長を促進させることを可能とする。
【0039】
育成状況判定部200は、ロボット400のアーム部420に搭載された撮像部421によって撮像された画像情報と、植物9の育成モデルとに基づいて、植物9の育成状況を判定する。育成状況判定部200は、育成状況検出部210、育成モデル部220、状況記憶部230(記憶部)、及び、育成状況判定部240を備えている。育成状況検出部210は、撮像された植物9の画像情報から、該植物9の育成状況を検出し、該画像情報と該育成状況を状況記憶部230に記憶させる。また、育成状況検出部210は、撮像された植物9の画像情報と、その画像を撮像した位置情報から、その画像情報に含まれる植物9の特徴点の位置又は植物9の位置を検出し、検出した位置情報と撮像した時間情報とを、状況記憶部230に記憶される画像情報に関連づけて記憶する。
【0040】
育成モデル部220は、複数の育成モデルを備える。育成モデル部220に設定される複数の育成モデルは、例えば、基準時(発芽時など)からの経過時間と植物9の育成状況とを関連づける、経過時間による育成状況モデル221(第1育成モデル)、花が成実した時の実の位置を推定した、花の位置に対する実の配置モデル222(第2育成モデル)、及び、大きさ、形又は色を基準とするパターンを用いて、検出する対象の特徴を抽出し、収穫時期を判定する収穫時期判定モデル223(第3育成モデル)を含む。
【0041】
状況記憶部230は、植物9の画像情報、育成状況、画像情報に含まれる植物9の特徴点の位置情報又は植物9の位置情報、及び、撮像した時間情報を関連づけて記憶する。育成状況判定部240は、記憶された画像情報と育成状況との少なくとも一方を用いて、植物9の育成モデルに基づいて育成状況を判定する。育成状況判定部240は、育成モデル部320に含まれる、経過時間による育成状況モデル221(第1育成モデル)、花の位置に対する実の配置モデル222(第2育成モデル)、及び、収穫時期判定モデル223(第3育成モデル)の少なくとも一つを基準として、植物9の育成状況を判定する。
【0042】
プラント制御部300は、ロボット400によって移動した位置から撮像された植物9の画像情報に基づいて、植物9の育成モデルを基準として育成状況を判定した結果に従って、植物9の育成環境を制御する。
このプラント制御部300は、育成モデル生成部310、環境制御部320、ロボット制御部330、生産計画設計部340、収穫計画設計部350、及び剪定計画設計部を備えている。
【0043】
育成モデル生成部310は、育成モデルを画像情報に基づいて生成し、育成モデル部220に保持される育成モデルを更新する。育成モデル生成部310は、画像情報から生成された育成状況によって第1育成モデルを決定する第1モデル生成部、画像情報から開花時の花の位置を検出し第2育成モデルを生成する第2モデル生成部、画像情報から収穫時期を判定する第3育成モデルを生成する第3モデル生成部を備えている。
【0044】
環境制御部320は、育成状況判定部200によりされた育成状況に応じて育成環境を制御する環境制御量を生成する。例えば、環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える光を制御する場合には、光制御部121によって、植物9に与える光の光量又は波長を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える二酸化炭素濃度を制御する場合には、二酸化炭素処理部123によって、植物9が置かれている二酸化炭素濃度を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える空気を制御する場合には、空調設備122によって、植物9に給水する周囲温度、湿度、及び、風量の少なくともいずれか1つを制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える水を制御する場合には、水調整設備124によって、植物9に給水する水量、水温、周囲温度、及び、養分濃度の少なくともいずれか1つを制御する。
【0045】
ロボット制御部330は、ロボット400の動作を制御するための制御部である。このロボット制御部330は、ロボットアーム420の動作を制御することにより、撮像部421の位置、撮像方向を変更し、目的に応じた画像情報を撮像させる。また、ロボット制御部330は、撮像部421により撮像された画像情報を基にロボットアーム420の動作を制御することにより、照射部430の位置、照射方向を変更し、植物9(例えば、植物9の障害発生箇所)に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射させる。
【0046】
生産計画設計部340は、撮像された画像情報に基づいて生産計画を設計する。収穫計画設計部350は、第3育成モデルに基づいて、収穫計画を設計する。配置計画設計部360は、第1育成モデルに基づいて、植物栽培プラント4において栽培される植物9の配置計画を設計する。また、配置計画設計部360は、第1育成モデルと撮像された画像情報に基づいて判定された育成状況に応じて、植物9の配置計画を変更する。剪定計画設計部370は、第1育成モデルに基づいて、植物9を剪定する剪定計画を設計する。また、剪定計画設計部370は、第2育成モデルに応じて、植物9の花(実)を剪定する剪定計画を設計する。
【0047】
(植物の育成状況の判定)
育成状況判定部200によって行われる植物9の育成状況の判定では、検出対象に応じて複数の判定項目を選択することができる。例えば、育成状況判定部200によって行われる植物9の育成状況の判定では、検出対象として、葉、茎、花・実、又は、根を選択することができ、選択された検出対象に応じて複数の判定項目を選択することができる。
【0048】
育成状況検出部210は、以下に示す判定項目に応じて、選択された検出対象の状態を検出する。育成状況判定部240は、検出された検出対象の状態について、記憶された画像情報と育成状況との少なくとも一方を用いて、植物9の育成モデルに基づいて育成状況を判定する。また、育成状況判定部240は、判定の基準とする育成モデルを、育成モデル部220に備えられている複数の育成モデルの中から判定項目に応じて選択する。
【0049】
育成状況判定部200における葉の状態による判定では、葉の枚数、1枚の葉の大きさ、生い茂った葉の投影面積、しおれ具合(角度、一枚の葉の縦横比)などが判定項目としてあげられる。葉の枚数は、予め定められた範囲内に存在する枚数、或いは、茎(特定された枝)に着いた葉の枚数を計数することにより検出される。1枚の葉の大きさは、特定された葉の大きさ、予め定められた範囲内に存在する葉の大きさの平均、或いは、茎(特定された枝)に着いた葉の大きさの平均を算出することにより検出される。また、葉の大きさは、長手方向(縦)の長さ、長手方向と直交する方向(横)の長さ、面積とすることができる。
【0050】
また、葉のしおれ具合によって、水分不足などのストレスを容易に検出することができる。しおれた状態では、葉先が下を向くことから、葉のしおれ具合は、水平面と葉の表面とがなす角度から検出される。或いは、葉のしおれ具合は、一枚の葉の縦横比から算出されてもよい。しおれたことにより葉の張りがなくなり、見かけ上の横幅が狭くなる。そのため、しおれ具合により、一枚の葉の縦横比が変化する。
【0051】
育成状況判定部200における茎の状態による判定では、茎の背丈、枝の張り具合、茎の太さなどが判定項目としてあげられる。茎の背丈は、茎(或いは先端の葉)の先の高さから検出される。例えば、茎の背丈は、撮像部421の高さを茎の高さと一致させることにより、撮像部421の高さから検出できる。枝の張り具合は、枝分かれしている分岐数、或いは、枝の長さから検出される。茎の太さは、基準の高さの茎の太さから検出される。育成状況判定部200における花・実の状態による判定では、数、密度、配置、実の成熟度などが判定項目としてあげられる。
【0052】
育成状況判定部200における根の状態による判定では、長さ、広がり具合などが判定項目としてあげられる。水耕栽培であれば、根の長さを検出できる場合がある。根の長さは、株の位置からの長さとして検出される。根の広がり具合は、株の位置から広がった根の面積により検出される。根の長さも広がり具合も、いずれも水中であることから直接的には検出されにくい。しかし、例えば、補助光を照射することにより生じる根の影により、根の長さや広がり具合を間接的に検出することができる。
【0053】
(周囲環境の制御)
環境制御部320は、判定された育成状況に応じて育成環境を制御する環境制御量を生成する。例えば、環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える光を制御する場合には、光制御部121によって、植物9に与える光の光量又は波長を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える二酸化炭素濃度を制御する場合には、二酸化炭素処理部123によって、植物9が置かれている二酸化炭素濃度を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える空気を制御する場合には、空調設備122によって、植物9に供給する空気の温度、湿度、及び、風量の少なくともいずれか1つを制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える水を制御する場合には、水調整設備124によって、植物9に給水する水量、水温、及び、養分濃度の少なくとも1つを制御する。例えば、育成状況を促進させるためには、環境制御部320は、光制御部121によって、植物9に与える光の照度を高め、照射時間を長くして、光量が増加するように制御する。また、空調設備122によって、植物9の周囲温度を高めることにより、育成状況を促進させることができる。このような条件の制御では、植物の種類、育成過程などによって異なり、それぞれに適する制御内容が定められる。
【0054】
[ロボット(照射装置)の構成と動作の説明]
次に、図7を参照し、ロボット400の構成と動作について説明する。図7は、本実施形態におけるロボット400の第1の構成例を示す概略ブロック図である。このロボット400には、照射装置410が搭載されており、また、このロボット400を誘導路80(図2を参照)に沿って走行させるためのロボット移動部460が設備されている。このロボット移動部460は、例えば、不図示のサーボモータ等を有しており、このサーボモータを回転駆動することによりギヤ461等の駆動機構を介して車輪403Wを回転させ、ロボット400を所定の位置(撮像および照射光の照射対象になる植物9が植えられた育成床6の位置)まで移動させる。
【0055】
また、照射装置410は、制御部411と、通信部412と、アーム部(ロボットアーム)420と、障害検出部440と、照射制御部450と、を有して構成される。制御部411は、ロボット400の各部を統括して制御し、このロボット400が必要とする機能を実現させるための主制御部である。通信部412は、ロボット400と、育成状況判定部200(およびプラント制御部300)との間で無線通信(或いは有線通信)により通信を行うための通信制御部である。
【0056】
アーム部420は、多関節型のロボットアームであり、このアーム部420には、撮像部421、撮像照射位置変更部(第2変更部)422、レーザー発振部423、照射部430が搭載されている。アーム部420において、撮像部421は、植物9と、植物9の周囲の状況と、植物9に付着した撮像対象(たとえば、害虫)とを撮像し、画像情報を生成する。この撮像部421は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを搭載した撮像装置、及び、撮像用の補助光の発光装置を備えている。この撮像部421は、アーム部420の先端部に搭載される。
【0057】
この撮像部421で撮像された画像情報は、障害検出部440(および照射制御部450)に向けて出力されるとともに、通信部412を介して、プラント制御部300および育成状況判定部200に送信される。
【0058】
また、障害検出部440は、撮像部421により撮像された植物9の画像情報から、該植物9の状況(障害箇所の有無や、生物の付着の情報や、周囲の状況等)を検出する。また、障害検出部440は、植物9に生物が付着している場合に、この生物の背後の空間を検出する処理も行う。この障害検出部440により検出される各種の情報は、後述する照射制御部450内の障害監視部451(障害の発生の有無の検出部)および害虫判定部454(害虫の有無の判定部)において利用されるものである。なお、障害監視部451または害虫判定部454において、障害検出部440の処理機能を実行するようにしてもよい。
【0059】
また、撮像照射位置変更部(第2変更部)422は、照射制御部450から送られる制御信号に基に、アーム部420の先端部(より正確には撮像部421と照射部430)の動き(位置および方向)を制御する。この撮像照射位置変更部(第2変更部)422によりアーム部420の先端部の位置が変更されることにより、撮像部421および照射部430と、植物9との相対位置が変化する。これにより、撮像部421は、目的に応じた画像情報を撮像するために、任意の位置、任意の方向から植物9を撮像することが可能となる。また、照射部430は、任意の位置、任意の方向から植物9に照射光(例えば、レーザー光)を照射することが可能となる。例えば、照射部430が植物9の下側から照射光を照射するなど、植物9の障害が生じている箇所に応じて照射光を照射する位置または方向を任意に変更することが可能になる。
【0060】
レーザー発振部423は、半導体レーザーと光増幅器とで構成されており、照射制御部450により発振周波数(波長)およびパワー強度が制御される。このレーザー発振部423は、後述するレーザー光(第1照射光、第3照射光、第4照射光、第2照射光、および育成波長光)を生成し、このレーザー光(照射光)をグラスファイバを介して照射部430に出力する。
【0061】
照射部430は、レーザー発振部423から出力されるレーザー光(照射光)を受光し、この受光したレーザー光を、植物9に対して障害を低減または予防させる照射光として照射する。なお、照射するレーザー光には、例えば、植物自体の殺菌用の照射光、植物の障害箇所を取り除く照射光、植物に供給する水の殺菌用の照射光、害虫駆除用の照射光、または、植物の成長を促進する照射光(育成波長光)がある。この照射部430は、レーザー光(照射光)の波長と照射距離とに応じて、後述する第1照射部431、第2照射部432、第2照射部433、第4照射部434、または育成波長照射部435のいずれかを選択し、レンズにより焦点距離を調整して、植物9に対してレーザー光を照射する。
【0062】
第1照射部431は、植物に対して、障害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を照射光として照射する。例えば、植物自体を殺菌および殺カビ(260nm付近の紫外光(殺菌線))または、植物固有の免疫力を高める波長(紫外領域)の光を照射する。なお、植物によっては、殺菌線によって枯れてしまうことがあるため、この植物に殺菌線を当てないほうがよい場合には、植物以外の場所(土、肥料など)を殺菌するようにしてもよい。また、免疫力増強波長は、植物によって差があるため、植物の種類に応じて、植物固有の免疫力を高める波長(紫外領域)を設定するようにしてもよい。
【0063】
第2照射部432は、植物に害(障害や病気)をなす生物(例えば、害虫)を不活化させる第2照射光を照射光として照射する。なお、この第2照射部432により害虫をレーザー光で駆除する場合に、直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射する。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。背後の空間長は、画像処理で判断できる害虫が植物表面上にいる場合は、表面面内位置に照射装置を移動させる。
【0064】
また、第3照射部433は、植物9の障害箇所の取り除き部(障害が生じている植物の箇所を植物から取り除くための装置)として作用する装置であり、この第3照射部(取り除き部)は、植物の障害箇所に第3照射光(例えば、レーザー光)を照射して切り取ることにより、障害箇所を取り除く。
【0065】
なお、本実施形態では、取り除き部として第3照射光を用いているが、これに限定されない。例えば、ロボットアームの先端に刃物機構(例えば、回転刃やハサミ機構)を取り付け、この刃物機構により、植物の障害箇所を取り除くようにしてもよい。例えば、図9に示すように、アーム部420の先端部のアーム420−4に、取り除き部470としての刃物機構(回転刃471とその回転駆動機構)を搭載し、刃物機構の先端に設けた回転刃471をモータ(不図示)により回転させるとともに、この回転刃471の刃先を植物9の障害箇所(例えば、枯れた枝等)に押し当てて切断する。なお、取り除き部470においては、回転刃471に代えてハサミ機構(或るいはカミソリ刃)を用いるようにしてもよい。
【0066】
また、第4照射部434は、植物に供給される水を殺菌する第4照射光を照射光として照射する装置である(図2(B)を参照)。また、育成波長照射部435は、殺菌とは別に、植物を成長させる波長の照射光を照射する照射部である。例えば、育成波長照射部435では、400〜500(中心:470)nmおよび600〜700 (中心:660)nmの2波長域(植物を成長させる波長)の照射光を照射する。また、測距部436は、照射部430が照射光を照射する照射対象までの距離を測定する。この測距部436には、汎用のレーザー距離センサ等を用いることができる。
【0067】
また、照射制御部450は、アーム部420内の撮像部421、撮像照射位置変更部(第2変更部)422、レーザー発振部423、および照射部430を制御するための制御部である。この照射制御部450により、撮像部421における撮像動作が制御され、また、照射部430における照射光の照射動作が制御される。
【0068】
この照射制御部450内の障害監視部451は、障害検出部440により検出された植物9の障害検出情報に基づいて、植物9に障害が発生しているか否かを判定する。この障害監視部451により植物9に障害が生じていると判定された場合、第1制御部452は、照射部430を制御し、当該植物9に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射させる。このように、本実施形態の照射装置410では、照射光を常時照射するのではなく、特定のタイミング(障害監視部451により障害が発生していると判定された場合)に植物9に照射光を照射することができる。
【0069】
また、第2制御部452は、予め定められているタイミング(例えば、所定の時間ごとや、所定の日数ごとの周期)ごとに、植物9に対して照射光を照射させるように照射部430を制御する。この第2制御部452では、タイマ(図示せず)等によりタイミング(周期)を計測し、予め定められている周期ごとのタイミングで、植物9に対して照射光を照射させる。
【0070】
また、害虫判定部454は、撮像部421により撮像された画像(或いは障害検出部440の検出情報)に基づいて、植物9に害をなす生物が付着しているか否かを判定する。この害虫判定部454において、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、第3制御部455により照射部430を制御し、第2照射部432から植物9に害をなす生物に対して、第2照射光を照射させる。
たとえば、害虫判定部454が備える記憶部に、植物9に害をなす様々な種類の生物の画像がパターン画像として予め記憶されている。そして、害虫判定部454は、撮像部421により撮像された画像の画像領域に、記憶部から読み出したパターン画像に一致する画像領域があるか否かを判定し、一致する場合、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定する。なお、害虫判定部454は、撮像部421により撮像された画像において、記憶部から読み出したパターン画像に一致すると判定された画像領域に対応する位置に、植物9に害をなす様々な種類の生物が存在すると判定する。
【0071】
また、第4制御部456は、障害検出部440により検出された背後の空間の検出情報に基づいて、植物9に害をなす生物に対して、第2照射部432により第2照射光を照射させるか否かを制御する。これは、例えば、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射するためである。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。この場合、障害検出部440は、撮像部421により撮像された画像に基づいて、第2照射部432により第2照射光を照射する照射方向において、植物9に害をなす生物の背後の空間を検出してもよい。
【0072】
また、第1変更部457は、第2照射部432が第2照射光を照射する際に、その照射位置または方向を変更するための処理部である。第4制御部456は、障害検出部440により検出された背後の空間に植物9が存在する場合、障害検出部440により検出される背後の空間に植物9が存在しないように、かつ、植物9に害をなす生物に対して第2照射部432から第2照射光を照射することができるように、第1変更部457により、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更させる。
【0073】
なお、第2照射部432は、第2照射光をレンズにより集光させて照射する。これは、例えば、直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射する。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。
【0074】
また、測距部436により、照射部430が照射光を照射する照射対象までの距離を測定する。照射制御部450内の照射強度制御部458は、測距部436により測定された距離に基づいて、照射部430により照射される照射光の照射範囲径を算出し、当該算出した照射範囲径に基づいて、照射部430により照射される照射光のパワー密度を算出し、当該算出したパワー密度に基づいて、照射部430が照射する照射光の照射時間を変更する。この場合に、照射強度制御部458は、画像処理、もしくは測距により照射範囲径を判定し、レーザー光のパワー密度から照射時間を決定する。
【0075】
また、図8は、本実施形態におけるロボット400の第2の構成例を示す概略ブロック図である。図8に示すロボット400Aは、図7に示すロボット400と比較して、図7に示す照射装置410内の全ての処理部を、図8に示すロボットアーム420内に移設した点が異なり、その他の構成については、図7に示すロボット400と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
上記ロボット400及び400Aの構成により、撮像部421による植物9の撮像と、植物9への照射光の照射と、を自動で行うことができる。例えば、植物9の状態に応じて、植物自体の殺菌用の照射光、植物の障害箇所を取り除く照射光、植物に供給する水の殺菌用の照射光、または、害虫駆除用の照射光を照射することができる。これにより、農薬を使用することなしに、植物における障害を低減または予防することができる。
【0077】
なお、上記ロボット400及び400Aにおいて、照射部430には、それぞれが異なる波長の照射光を照射する第1照射部431〜第4照射部434、および育成波長照射部435を独立に設けているが、これに限定されず、第1照射部431〜第4照射部434、および育成波長照射部435を一体化することも可能である。例えば、レーザー発振部423から出力される照射光(レーザー光)の波長を用途に応じて切り替え、1つの照射部(例えば、第1照射部431)から異なる波長の照射光を照射するようにしてもよい。
【0078】
また、照射装置410内の障害検出部440や、照射制御部450(或いは照射制御部450内の各処理部)は、必ずしも照射装置410内に設ける必要はなく、例えば、プラント制御部300内や、育成状況判定部200内に設けるようにしてもよい。また、照射光についてもレーザー光に限定されず、例えば、紫外線ランプや、キセノンランプ等を光源とする照射光としてもよい。
【0079】
以上本発明の実施形態について説明したが、ここで本発明と上記実施形態との対応関係について補足して説明しておく。上記実施形態において、本発明におけるロボットは、ロボット400が対応し、本発明における照射装置は、ロボット400に搭載された照射装置410が対応し、本発明における照射部は、アーム部420内の照射部430が対応する。また、本発明における第1照射部は、照射部430内の第1照射部431が対応し、本発明における第2照射部は、第2照射部432が対応し、本発明における第3照射部は、第3照射部433が対応し、本発明における第4照射部は、第4照射部434が対応する。また、本発明における取り除き部は、第3照射部433が対応する。
【0080】
また、本発明における監視部は、照射制御部450内の障害監視部451が対応し、本発明における第1制御部は、照射制御部450内の第1制御部452が対応し、本発明における第2制御部は、第2制御部453が対応し、本発明における判定部は、照射制御部450内の害虫判定部454が対応し、本発明における第3制御部は、第3制御部455が対応し、本発明における第4制御部は、第4制御部456が対応する。また、本発明における第1変更部は、照射制御部450内の第1変更部457が対応し、本発明における照射強度制御部は、照射強度制御部458が対応する。また、本発明における測距部は、照射部430内の測距部436が対応する。
【0081】
(1)そして、上記実施形態において、照射装置410は、植物9に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部430を有して構成される。
このような構成の照射装置410では、照射部430により、例えば、植物自体の殺菌用の照射光、植物の障害箇所を取り除く照射光、植物に供給する水の殺菌用の照射光、または、害虫駆除用の照射光を照射する。
これにより、農薬を使用することなしに、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0082】
(2)また、上記実施形態において、照射部430は、植物9に対して、障害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を照射光として照射する第1照射部431を備えている。
このような構成の照射装置410では、第1照射部431により、植物9自体を殺菌および殺カビ(例えば、260nm付近の紫外光(殺菌線))または、植物固有の免疫力を高める波長(紫外領域)の照射光(例えば、レーザー光)を第1照射光として照射する。
これにより、害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を植物9に照射することができる。
【0083】
(3)また、上記実施形態において、照射部430は、植物9に害をなす生物を不活化させる第2照射光を照射光として照射する第2照射部432、を備えている。
このような構成の照射装置410では、第2照射部432から第2照射光(例えば、コリメートビーム)を害虫に対して照射する。なお、害虫を照射光(レーザー光)で駆除するために、直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させた照射光を害虫に照射する。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。背後の空間長は、画像処理で判定する。また、害虫が植物表面上にいる場合は、表面面内位置に照射部430を移動させ、射程範囲を限定して照射する。
これにより、植物9に付着して障害を与える害虫(昆虫および微生物コロニー等)のみを照射光(例えば、レーザー光)で排除することができる。
【0084】
(4)また、上記実施形態において、照射装置410は、害が生じている植物の箇所を植物9から取り除く取り除き部(第3照射部433)を備えて構成される。
このような構成の照射装置410では、取り除き部(例えば、第3照射部433)から照射光(例えば、基本的に赤外領域のレーザー光)を照射し、植物の障害箇所を切り取って、取り除く。
これにより、植物の障害箇所を取り除くことができ、植物の障害状態を低減し、また、障害の拡大を抑止することができる。
【0085】
(5)また、上記実施形態において、照射部430は、取り除き部として、障害が生じている植物9の箇所をこの植物9から取り除く第3照射光を照射光として照射する第3照射部433を備えて構成される。
このような構成の照射装置410では、第3照射部433から第3照射光レーザー光(基本的に赤外領域のレーザー光)を照射し、植物9の障害箇所を切り取って、取り除く。
これにより、植物9の障害箇所を取り除くことができ、植物9の障害状態を低減し、また、障害の拡大を抑止することができる。
【0086】
(6)また、上記実施形態において、取り除き部(図8に示す取り除き部470)は、害が生じている植物9の箇所をこの植物9から切り取って取り除く切り取り部(回転刃471)、を備えて構成される。
このような構成の照射装置410では、取り除き部470の先端の回転刃471を回転させ、この回転刃271の先端を、植物9の障害箇所(例えば、葉や枝等)に押し当て、この部分を切り取る。
これにより、植物9の障害箇所を取り除くことができ、植物9の障害状態を低減し、また、障害の拡大を抑止することができる。
【0087】
(7)また、上記実施形態において、照射装置410は、植物9の状態を監視する障害監視部451と、障害監視部451により監視された植物9の状態に基づいて、植物9に害が生じていると判定された場合に、照射部430に照射光を照射させる第1制御部452と、を備えている。
このような構成の照射装置410では、障害監視部451により植物9の障害の発生状態を監視し、植物9に障害が生じていると判定された場合に、第1制御部452は、照射部430に照射光を照射させる。すなわち、照射装置410は、植物9に対して照射光を常時照射するのではなく、特定のタイミング(障害を検出したタイミング)でのみ照射する。
これにより、照射光を常時照射しないことにより、照射光が植物に悪影響を与える可能性を低減しつつ、かつ、農薬を使用することなしに、植物における障害を低減または予防することができる。
【0088】
(8)また、上記実施形態において、照射装置410は、予め定められている周期ごとのタイミングで、植物9に対して、照射部430に照射光を照射させる第2制御部453、を備えて構成される。すなわち、照射装置410は、植物9に対して照射光を常時照射するのではなく、特定のタイミングでのみ照射する。
これにより、照射光を常時照射しないことにより、照射光が植物9に悪影響を与える可能性を低減しつつ、かつ、農薬を使用することなしに、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0089】
(9)また、上記実施形態において、照射装置410は、撮像部421により撮像された画像に基づいて、植物9に害をなす生物が撮像されているか否かを判定する害虫判定部454と、害虫判定部454により、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、第2照射部432により、植物9に害をなす生物に対して、第2照射光を照射させる第3制御部455と、を備える。
このような構成の照射装置410では、害虫判定部454により、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、第2照射部432により、植物9に害をなす生物に対して、第2照射光(例えば、コリメートビーム)を照射させる。
これにより、テントウムシなど植物にとって有益な虫は駆除せず、害虫のみを駆除することができる。
【0090】
(10)また、上記実施形態において、照射装置410は、撮像部421により撮像された画像に基づいて、第2照射部432により第2照射光を照射する照射方向において、植物9に害をなす生物の背後の空間を検出する障害検出部440と、障害検出部440により検出された背後の空間に基づいて、植物9に害をなす生物に対して、第2照射部432により第2照射光(例えば、コリメートビーム)を照射させるか否かを制御する第4制御部456と、を備える。
このような構成の照射装置410は、障害検出部440により害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射する。これにより、レーザー光照射により植物9にダメージを与えることを抑止できる。
【0091】
(11)また、上記実施形態において、照射装置410は、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更する第1変更部457、を備えており、第4制御部456は、障害検出部440により検出された背後の空間に植物9が存在する場合、障害検出部440により検出される背後の空間に植物9が存在しないように、かつ、植物9に害をなす生物に対して第2照射部432が第2照射光を照射することができるように、第1変更部457により、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更させる。
このような構成の照射装置410では、第4制御部456が、障害検出部440により検出される背後の空間に植物9が存在しないように、かつ、植物9に害をなす生物に対して第2照射部432が第2照射光を照射することができるように、第1変更部457により、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更させる。
これにより、照射光(例えば、レーザー光)を害虫に照射するともに、照射光の照射により植物9にダメージを与えることを抑止できる。
【0092】
(12)また、上記実施形態において、第2照射部432は、第2照射光を、集光させて照射する。
このような構成の照射装置410では、第2照射光として直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させた照射光(例えば、レーザー光)を害虫に照射する。これにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。
【0093】
(13)また、上記実施形態において、照射装置410は、照射部が照射光を照射する位置または方向を変更する照射位置方向変更部(第2変更部)422を備える。
このような構成の照射装置410では、照射位置方向変更部(第2変更部)422により、照射部430から照射されるレーザー光の照射位置および方向を任意に変更する。
これにより、害虫の所在位置や、植物の障害箇所等に合わせて、照射部430から照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。
【0094】
(14)また、上記実施形態において、照射位置方向変更部(第2変更部)422は、植物9の害が生じている箇所に照射光が照射されるように、照射部430が照射光を照射する位置または方向を変更する。
このような構成の照射装置410では、照射部430が照射光を照射する位置または方向を変更し、植物の障害箇所等に合わせて、照射部430からレーザー光を照射する。例えば、植物9の下側からも照射光を照射する。これは、単に一方向から植物に対して照射光を照射した場合には、葉の裏など、植物において、照射光が照射されない箇所が生じる可能性がある。この問題に対して、任意の方向から、植物に対して照射光を照射することができる。
これにより、植物において、照射光が照射されない箇所が生じる可能性を減じることができる。このため、農薬を使用することなしに、植物における障害を低減または予防することができる。
【0095】
(15)また、上記実施形態において、照射装置410は、照射部430が照射光を照射する照射対象までの距離を測定する測距部436と、測距部436により測定された距離に基づいて、照射部430により照射される照射光の照射範囲径を算出し、当該算出した照射範囲径に基づいて、照射部430により照射される照射光のパワー密度を算出し、当該算出したパワー密度に基づいて、照射部430が照射する照射光の照射時間を変更する照射強度制御部458と、を備える。
このような構成の照射装置410では、測距部436(或いは障害検出部440における画像処理)による測距により照射範囲径を判定し、照射部430により照射される照射光のパワー密度から照射時間を決定する。
これにより、害虫や、植物9の障害箇所に応じて、照射部430が照射する照射光の照射時間を変更することができる。このため、照射光(例えば、レーザー光)の照射により植物9の正常な部分にダメージを与えることを抑止できる。
【0096】
(16)また、上記実施形態において、照射部430は、植物9に供給される水を殺菌する第4照射光を照射光として照射する第4照射部434、を備えている。
このような構成の照射装置410では、図2(B)に示すように、第4照射部434から第3照射光(例えば、植物に供給する水を殺菌する260nm付近の紫外光)を、ノズル72から散水される水73に照射する。
これにより、植物9に与える水73を殺菌することにより、水により植物に障害が発生することを低減しまたは予防することができる。
【0097】
(17)また、上記実施形態において、ロボット400は、上記照射装置(より正確には照射部430)が取り付けられているロボットアーム420(図7を参照)を備える。
このような構成のロボットアームでは、ロボットアーム420の先端部に照射装置(照射部430)が取り付けられている。このため、ロボットアーム420の先端部の動き(位置および方向)を制御することにより、照射部430は、任意の位置、任意の方向から植物9に照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。
【0098】
(18)また、上記実施形態において、植物栽培プラント4は、上記照射装置410が設備されたロボット400を備える。
このような構成の植物栽培プラント4では、上記照射装置410が設備されたロボット400を備えるので、このロボット400を制御することにより、植物9に対して自動で照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。このため、植物栽培プラント4において、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0099】
(19)また、上記実施形態において、植物栽培プラント4は、上記照射装置410を備える。このような構成の植物栽培プラント4では、上記照射装置410(例えば、ロボット400に搭載された照射装置)を備えるので、この照射装置410により、植物9に対して自動で照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。このため、植物栽培プラント4において、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0100】
(20)また、上記実施形態において、植物栽培プラント4は、植物を成長させる波長の照射光を照射する育成波長照射部435を備える。
このような構成の植物栽培プラント4では、殺菌とは別に、育成用の照射光(例えば、400〜500(中心:470)nmよび600〜700 (中心:660)nmの2波長域)を照射する育成波長照射部435を備える。
これにより、植物栽培プラント4では、植物9の成長を促進させる波長の照射光を照射することができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の照射装置、ロボット、および植物栽培プラントは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0102】
例えば、照射装置410は、たとえば人が手に持って使用する装置であってもよいし、ロボットアームの先端に備えられている装置であってもよい。また、この照射装置410は、閉鎖型の植物栽培プラントで用いられてもよいし、開放型の農場(自然農場)で用いられてもよい。
【0103】
また、上記実施形態においては、撮像部421および照射部430は、アーム部420の先端部に配置するものとしたが、アーム部420の先端に近いアームや、同アームに設けられた雲台に設けられていても良い。また、アーム部420の先端としたが、アーム部420に内蔵されていても良い。
【0104】
また、上記実施形態においては、植物栽培プラント4に1台のロボット400のみが配置される例を示したが、複数台のロボット400を配置するようにしてもよい。
【0105】
また、上記の説明においては、撮像部421はCCD又はCMOSセンサなどを搭載した撮像装置を備えているものとして説明したが、撮像部421は、複数の撮像装置を備えていてもよい。この場合、照射装置410または照射装置410が備える障害検出部440などの各構成は、この複数の撮像装置により撮像された画像を解析することにより、3次元的な対象(植物や生物など)の位置を検出してもよい。
また、撮像部421は撮像装置のみならず、3次元的な対象(植物や生物など)の位置を検出する任意のセンサを備えていてもよい。この場合、照射装置410または照射装置410が備える障害検出部440などの各構成は、この任意のセンサによる検出結果に基づいて、3次元的な対象(植物や生物など)の位置を検出してもよい。
【0106】
また、上述の植物栽培システム1、ロボット400は、コンピュータシステムを有している。そして、各機能部の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0107】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 植物栽培システム、4 植物栽培プラント、400 ロボット、410 照射装置、420 アーム部(ロボットアーム)、421 撮像部、422 撮像照射位置変更部(第2変更部)、430 照射部、431 第1照射部、432 第2照射部、433 第3照射部(取り除き部)、434 第4照射部、435 育成波長照射部、436 測距部、440 障害検出部(検出部)、450 照射制御部、451 障害監視部(監視部)、452 第1制御部、453 第2制御部、454 害虫判定部(判定部)、455 第3制御部、456 第4制御部、457 第1変更部、458 照射強度制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射装置、ロボット、および、植物栽培プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
育成される植物を、庫内において移動させる植物の栽培装置が知られている(特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の栽培装置は、収納した植物を上下に移動させ、植物を庫内の適応する最適の環境位置に配置することにより、植物の品質にバラツキのない栽培、養生、貯蔵、順化等が行える方法を提供するものである。このように、植物の育成環境などの環境条件について制御を施すことにより植物の品質にバラツキを抑え、また収穫量を高めることができる。しかしながら、近時、消費者における食品の安全性への関心が高まっており、上記栽培方法を使用する場合においても、農薬を使用することなしに、植物に生じる病気などの害を低減または予防させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−61623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、植物に生じる病気などの害を低減または予防させるために、農薬などが使用されていた。しかしながら、農薬は人体に対する影響がある可能性があるため、農薬を使用することなしに、植物に生じる病気などの害を低減または予防させることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、農薬を使用することなしに、植物の害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させることができる照射装置、ロボット、および植物栽培プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の照射装置は、植物に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部、を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のロボットは、上述の照射装置が取り付けられているロボットアームを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の植物栽培プラントは、上述の照射装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、植物における障害を低減または予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係わる植物栽培プラントの概要を示す図である。
【図2】ロボット(照射装置)の構成を示す図である。
【図3】育成床ごとにアーム部を設備する例を示す図である。
【図4】アーム部を天井側に移動可能に取り付ける例を示す図である。
【図5】アーム部を天井側に固定して取り付ける例を示す図である。
【図6】本実施形態における植物栽培システムの構成例を示す概略ブロック図である。
【図7】本実施形態におけるロボット(照射装置)の第1の構成例を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態におけるロボット(照射装置)の第2の構成例を示す概略ブロック図である。
【図9】取り除き部として刃物機構を用いる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0012】
[本発明のロボット(照射装置)が使用される植物栽培プラントの概要の説明]
図1は、本発明のロボット400が使用される植物栽培プラント4の概要を示す図である。図1(A)は、その断面図を示し、図1(B)は、その平面図を示す。
【0013】
植物栽培プラント4は、植物栽培システム1(図6を参照)を備え、植物の栽培を行う設備である。図1に示すように、植物栽培プラント4は、植物9が育成される植物栽培用の育成床6と、育成床6を外気空間7と隔てるために囲うプラント囲い8と、育成床6で育成される植物9に光を照射するランプ10とを備えている。植物栽培プラント雰囲気調整装置2はプラント囲い8の内側空間13の雰囲気を調整するものである。また、育成床6は、植物9の一苗毎に設けられている。そして、台座60は、育成床6が並べて配置される台座である。
【0014】
プラント囲い8は、育成床6の周辺を外気空間7と隔てて、栽培される植物に適した雰囲気に保つためのものである。ランプ10は、図示の例ではプラント囲い8の内部に設置されている。さらに、植物栽培プラント4はプラント囲い8の内部に、所定条件に調整された空気を供給するための空調機12を備える。通常、空調機12は内側空間13から吸入口16を通じて空気を取り込んで、調整し、排出口18から内側空間13に戻す。
【0015】
植物栽培プラント雰囲気調整装置2においては、ランプ10がランプ囲い20で囲われている。ランプ囲い20の壁の少なくとも一部は透明である。ランプ囲い20には、ランプ囲い20の内側と、内側空間13及び外気空間7とを選択的に導通する一の管路22が接続されている。また、ランプ囲い20には、ランプ囲い20の内側と、内側空間13及び外気空間7とを選択的に導通する他の管路24が接続されている。即ち、一の管路22は二股管26の根元で分岐し、二股管26の一方が内側空間13に通じ、他方が外気空間7に通じている。他の管路24は二股管28の根元で分岐し、二股管28の一方が内側空間13に通じ、他方が外気空間7に通じている。二股管26、28の根元には2方切り替え弁部30、32がそれぞれ設けられている。
【0016】
外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より高いときには、一の管路22、他の管路24とも、外気空間7に通ずるように2方切り替え弁部30、32で設定する。外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より低いときには、一の管路22、他の管路24とも、内側空間13に通ずるように2方切り替え弁部30、32で設定する。この選択的な設定により、外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より高いときには、空気が外気空間7から取り込まれ、空気が一の管路22、ランプ囲い20、他の管路24をこの順に経由して矢印Aの方向に進行して再び外気空間7に放出されるので、ランプ10がこの空気で冷却される。また、ランプ10の熱で暖められた空気が内側空間13に流入することがない。従って、ランプ10の熱による空調機12の冷房負荷の増大を防ぎ、空調負荷が軽減される。
【0017】
また、選択的な設定により、外気空間7の温度が内側空間13の設定温度より低いときには、空気が内側空間13から取り込まれ、空気が一の管路22、ランプ囲い20、他の管路24をこの順に経由して矢印Bの方向に進行して再び内側空間13に放出されるので、ランプ10がこの空気で冷却されるとともにランプ10の熱で暖められた空気が内側空間13に還流する。従って、ランプ10の熱により空調機12の暖房負荷を軽減することができる。なお、一の管路22には、空気を矢印A或いは矢印Bの方向に送風するためのファンのような送風手段36が備えられている。
【0018】
また、育成床6の周囲には給水管70が設備され、給水ポンプ71を定期的に駆動することにより、この給水管70を介して植物9に水が補給される。例えば、図2(B)に示すように、育成床6に側面に配置された給水管70に設けたノズル部72から植物9に対して散水が行われる
【0019】
また、図1(B)に示すように、植物9が栽培されている育成床6の間の通路には、誘導路80に沿って走行するロボット400が配置されている。このロボット400を自動で走行させることにより、育成床6に植えられた植物9の状態(例えば、障害の発生状況)を検出し、必要な場合には植物9に対して照射光(例えば、レーザー光)の照射を行う。
【0020】
[ロボット400についての説明]
次に、植物栽培プラント4において、ロボット400が移動しながら、植物9の状態を検出するとともに、植物9に照射光を照射する場合を例示する。図2は、植物栽培プラント4における植物9の状態を検出し照射光(例えば、レーザー光)を照射するロボット400を示す図である。
【0021】
この図2(A)に示すロボット400は、移動手段とする車輪403Wを備え、駆動部(不図示)から供給される動力により移動するアーム型ロボットの例である。このロボット400において、移動型車両本体401の上面には、鉛直軸を中心として回転自在に支持されるブラケット402が設けられる。そのブラケット402には、多関節型のアーム部420が設けられ、ブラケット402は、アーム部420を前後方向に転動自在に支持している。また、図2に示すように、ロボット400は、連続して接続される複数のアーム部420(420−1、420−2、420−3、420−4)を備え、アーム部420の先端には、照射部430と、撮像部421とが設けられている。
【0022】
なお、このアーム部420には、このアーム部420を多関節型のアームロボットとして動作させるアクチュエータ機構(例えば、モータ機構や、油圧機構や、空圧機構等)が内蔵されているが、多関節型のアームロボットのアクチュエータ機構自体はよく知られたものであり、また本発明とは直接には関係しないため、その説明は省略する。
【0023】
このロボット400は、アーム部420、照射部430、撮像部421、の制御部(不図示)を機能させ、自走可能とする電源部(不図示)を備えている。ロボット400の制御部(不図示)は、車両本体401の移動制御、アーム部420を要求に応じて駆動して、照射部430及び撮像部421の位置及び方向を定める駆動制御、照射部430を機能させる照射制御、撮像部421を機能させる撮像制御、撮像した画像情報に基づいて植物9の障害箇所等の検出処理、処理結果などを通信する通信制御などを行う。ロボット400は、植物栽培プラント4(図1)において栽培される植物9(図1)の状態を移動しながら検出し、植物9の障害箇所に照射光を照射する。
【0024】
なお、照射部430は、後述する複数種類の照射光(例えば、異なる波長のレーザー光)を出力するための第1照射部431と、第2照射部432と、第3照射部433と、第4照射部434と、育成波長照射部435と、を備えている。また、照射部430は、この照射部430と植物9までの距離を測距するための測距部436を備えている。
【0025】
そして、図2(B)に示すように、ロボット400は、アーム部420の先端に設備された撮像部421により、撮像対象の植物9(例えば、葉L10)の状態(例えば、障害発生の有無)、および植物9に付着している害虫等を撮像する。また、ロボット400は、照射部430により、植物9(或いは植物9に付着した害虫)に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射する。また、ロボット400は、照射部430により、ノズル72から植物9に対して散水される水73に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射し、水73の殺菌を行う。
【0026】
なお、図2に示す例は、ロボット400を、車輪403Wにより床面を移動する自走型ロボットで構成した例を示したが、これに限定されず、ロボット400を種々の構成とすることができる。
【0027】
例えば、図3は、育成床6ごとにアーム部420を設備する例を示す図であり、図3(A)は、育成床6の側面にアーム支持台6Aを水平方向に取り付け、このアーム支持台6Aの上面に、3関節型のアーム部420を矢印A方向に回転自在に支持する例である。また、図3(B)は、図3(A)に示すアーム部420をより簡単な構成にした例であり、アーム支持台6Aの上面に、1関節型のアーム部420Aを矢印A方向に回転自在に支持する例である。
【0028】
また、図4は、アーム部420Bをプラント囲い8の天井側(ランプ囲い20側)に取り付けた例を示す図である。この図に示す例では、ランプ囲い20と並行にガイドレール90を配置し、このガイドレール90に沿って移動する移動台車91を設ける。そして、この移動台車91の下面側に、アーム部420Bを矢印Aに回転自在に支持する。この図4に示す構成例では、移動台車91を走行させることにより、通路に沿って左右並列に配置された育成床6の位置にアーム部420Bを順番に移動させる。そして、アーム部420Bの先端に設備された撮像部421により育成床6に植えられた植物9を撮像するとともに、照射部430により植物9に対して照射光の照射を行う。
【0029】
また、図5は、図4に示す移動台車91とガイドレールを用いる代わりに、固定的に設けられたアーム支持台を用いる例である。例えば、ランプ囲い20の側面に設備されたアーム支持台20Aに、アーム部420Cを矢印A方向に回転自在に支持する。この図5に示す例では、アーム支持台20Aを移動させることができないため、所定個数の育成床6(例えば、左右並列に配置された3個の育成床6)ごとに1つのアーム部420Cを設備することになる。
【0030】
以上、ロボット400と、そのアーム部420の種々の構成例を示したが、ロボット400の構成は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、植物栽培プラント4の実情(例えば、栽培する植物の種類や規模)に合わせて種々変更を加え得ることは勿論である。
【0031】
[植物栽培システムの概要についての説明]
次に、図6を参照し、植物、すなわち農作物の栽培を制御する植物栽培システムの概要について説明する。
図6は、植物栽培システムの構成例を示す概略ブロック図である。植物栽培システム1は、栽培する植物を収穫して出荷されるまでの工程において、育成環境などの環境条件について制御を施すことにより収穫時期を制御して、収穫予定時期の収穫量を高めることができる。収穫予定時期の収穫量を高めるには、発芽から収穫までの各工程で、植物の成長を管理する直接的な制御と、間接的な制御とがある。
【0032】
直接的な制御とは、間引き、剪定などにより植物自体を加工することなどが含まれる。また、間接的な制御とは、各種環境条件の設定を行うことなどが含まれる。植物栽培システムは、植物と、その植物を栽培する環境を制御対象として、その植物の育成状況、収穫時期などを最適化して、収穫予定時期の収穫量を増加するように制御する。
【0033】
図6に示す植物栽培システム1では、植物の栽培環境を制御対象として、モデル化することにより、それぞれの栽培工程の制御を容易化する。また、植物9の育成状況に応じて、そのモデルを最適化することにより、収穫予定時期の収穫量を確保する制御を容易にする。
【0034】
この図6に示される植物栽培システム1は、例えば、制御対象部100、育成状況判定部200、プラント制御部300、及び、ロボット(照射装置)400を備えている。制御対象部100は、管理対象である植物9と、植物9の育成環境を制御する環境駆動部120を備えている。植物9は、発芽後の葉、茎、花・実、及び根の状態によって育成状況を判定できる。その育成状況は、基準時(発芽時など)からの経過時間に関係付けて判定することができる。例えば、葉の状態による判定では、葉の枚数、1枚の葉の大きさ、生い茂った葉の投影面積、しおれ具合(角度、縦横比)などがあげられる。茎の状態による判定では、背丈、枝の張り具合、太さなどがあげられる。花・実の状態による判定では、数、密度、配置、実の成熟度などがあげられる。根の状態による判定では、長さ、広がり具合などがあげられる。
【0035】
環境駆動部120は、プラント制御部300から供給される環境制御量に応じて、植物が栽培される育成環境を制御する。ここで、育成環境とは、例えば、植物9に供給される光に関する条件、空気に関する条件、水に関する条件、又は、肥料に関する条件等に基づく環境である。光に関する条件としては、植物9に供給される光の光量、又は、波長等の条件があり、空気に関する条件としては、植物9の周囲の温度、湿度、風量、及び、二酸化炭素濃度等の条件がある。また、水に関する条件としては、植物9に供給される水の水量、又は、水温等の条件があり、肥料に関する条件としては、植物9に供給される水に含まれる養分濃度等の条件がある。
【0036】
環境駆動部120は、光制御部121、空調設備122、二酸化炭素処理部123及び水調整設備124を備えている。光制御部121は、発光部又は遮光部を含み、植物9に与える光の光量又は波長を制御する。一般的な植物9は、適当な光の強度及び照射時間に依存する光の量により光合成が行われ、成長が促進される。また、植物9の好日性を利用して、光の照射方向を制御して、植物9の成長する方向を制御する。また、光制御部121は、太陽などの自然光と異なり、特定の波長を制限して与えることにより、特定の成長を促進させる。例えば、発光波長を制限できる発光部としては、発光ダイオード、高圧ネオンランプなどがある。遮光部によって波長を制限する場合には、波長選択性のフィルターを用いる。
【0037】
空調設備122は、植物9が置かれている周囲温度、湿度、及び、風量を制御する。この空調設備122が十分な容量の空気を、適正な周囲温度、湿度、及び、風量に制御して与えることにより、植物9の成長にダメージを与えることなく成長を促進させることができる。二酸化炭素処理部123は、空調設備122によって管理されている空気中の二酸化炭素濃度を制御する。適正量の二酸化炭素濃度を維持することにより、光合成を促進させることができる。二酸化炭素処理部123は、単に二酸化炭素を発生させるのではなく、他の設備が発生した二酸化炭素を再利用してもよい。
【0038】
水調整設備124は、植物9に給水する水量、水温、及び、養分濃度のうちから、少なくとも1つを制御する。特に水耕栽培である場合、水温及び養分濃度は大事な管理項目である。このように、植物栽培システム1では、環境駆動部120を備えることにより、屋外環境の変化を遮蔽して、人工環境の元で栽培環境を構築する形態と、屋外環境の変化も利用しつつ、適切な環境を補助的に構築する管理支援型の栽培環境とする形態のいずれにも適用可能である。いずれの形態を採用するかは、栽培する植物の種別、栽培時期、成長過程、施設が置かれた環境などの条件により適宜選択される。例えば、発芽から所定の期間は、人工光を用いて連続照射することにより、成長が促進される植物があることが知られている。また、照射する波長を選択することにより、成長量を制御して目的の成長を促進させることを可能とする。
【0039】
育成状況判定部200は、ロボット400のアーム部420に搭載された撮像部421によって撮像された画像情報と、植物9の育成モデルとに基づいて、植物9の育成状況を判定する。育成状況判定部200は、育成状況検出部210、育成モデル部220、状況記憶部230(記憶部)、及び、育成状況判定部240を備えている。育成状況検出部210は、撮像された植物9の画像情報から、該植物9の育成状況を検出し、該画像情報と該育成状況を状況記憶部230に記憶させる。また、育成状況検出部210は、撮像された植物9の画像情報と、その画像を撮像した位置情報から、その画像情報に含まれる植物9の特徴点の位置又は植物9の位置を検出し、検出した位置情報と撮像した時間情報とを、状況記憶部230に記憶される画像情報に関連づけて記憶する。
【0040】
育成モデル部220は、複数の育成モデルを備える。育成モデル部220に設定される複数の育成モデルは、例えば、基準時(発芽時など)からの経過時間と植物9の育成状況とを関連づける、経過時間による育成状況モデル221(第1育成モデル)、花が成実した時の実の位置を推定した、花の位置に対する実の配置モデル222(第2育成モデル)、及び、大きさ、形又は色を基準とするパターンを用いて、検出する対象の特徴を抽出し、収穫時期を判定する収穫時期判定モデル223(第3育成モデル)を含む。
【0041】
状況記憶部230は、植物9の画像情報、育成状況、画像情報に含まれる植物9の特徴点の位置情報又は植物9の位置情報、及び、撮像した時間情報を関連づけて記憶する。育成状況判定部240は、記憶された画像情報と育成状況との少なくとも一方を用いて、植物9の育成モデルに基づいて育成状況を判定する。育成状況判定部240は、育成モデル部320に含まれる、経過時間による育成状況モデル221(第1育成モデル)、花の位置に対する実の配置モデル222(第2育成モデル)、及び、収穫時期判定モデル223(第3育成モデル)の少なくとも一つを基準として、植物9の育成状況を判定する。
【0042】
プラント制御部300は、ロボット400によって移動した位置から撮像された植物9の画像情報に基づいて、植物9の育成モデルを基準として育成状況を判定した結果に従って、植物9の育成環境を制御する。
このプラント制御部300は、育成モデル生成部310、環境制御部320、ロボット制御部330、生産計画設計部340、収穫計画設計部350、及び剪定計画設計部を備えている。
【0043】
育成モデル生成部310は、育成モデルを画像情報に基づいて生成し、育成モデル部220に保持される育成モデルを更新する。育成モデル生成部310は、画像情報から生成された育成状況によって第1育成モデルを決定する第1モデル生成部、画像情報から開花時の花の位置を検出し第2育成モデルを生成する第2モデル生成部、画像情報から収穫時期を判定する第3育成モデルを生成する第3モデル生成部を備えている。
【0044】
環境制御部320は、育成状況判定部200によりされた育成状況に応じて育成環境を制御する環境制御量を生成する。例えば、環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える光を制御する場合には、光制御部121によって、植物9に与える光の光量又は波長を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える二酸化炭素濃度を制御する場合には、二酸化炭素処理部123によって、植物9が置かれている二酸化炭素濃度を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える空気を制御する場合には、空調設備122によって、植物9に給水する周囲温度、湿度、及び、風量の少なくともいずれか1つを制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える水を制御する場合には、水調整設備124によって、植物9に給水する水量、水温、周囲温度、及び、養分濃度の少なくともいずれか1つを制御する。
【0045】
ロボット制御部330は、ロボット400の動作を制御するための制御部である。このロボット制御部330は、ロボットアーム420の動作を制御することにより、撮像部421の位置、撮像方向を変更し、目的に応じた画像情報を撮像させる。また、ロボット制御部330は、撮像部421により撮像された画像情報を基にロボットアーム420の動作を制御することにより、照射部430の位置、照射方向を変更し、植物9(例えば、植物9の障害発生箇所)に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射させる。
【0046】
生産計画設計部340は、撮像された画像情報に基づいて生産計画を設計する。収穫計画設計部350は、第3育成モデルに基づいて、収穫計画を設計する。配置計画設計部360は、第1育成モデルに基づいて、植物栽培プラント4において栽培される植物9の配置計画を設計する。また、配置計画設計部360は、第1育成モデルと撮像された画像情報に基づいて判定された育成状況に応じて、植物9の配置計画を変更する。剪定計画設計部370は、第1育成モデルに基づいて、植物9を剪定する剪定計画を設計する。また、剪定計画設計部370は、第2育成モデルに応じて、植物9の花(実)を剪定する剪定計画を設計する。
【0047】
(植物の育成状況の判定)
育成状況判定部200によって行われる植物9の育成状況の判定では、検出対象に応じて複数の判定項目を選択することができる。例えば、育成状況判定部200によって行われる植物9の育成状況の判定では、検出対象として、葉、茎、花・実、又は、根を選択することができ、選択された検出対象に応じて複数の判定項目を選択することができる。
【0048】
育成状況検出部210は、以下に示す判定項目に応じて、選択された検出対象の状態を検出する。育成状況判定部240は、検出された検出対象の状態について、記憶された画像情報と育成状況との少なくとも一方を用いて、植物9の育成モデルに基づいて育成状況を判定する。また、育成状況判定部240は、判定の基準とする育成モデルを、育成モデル部220に備えられている複数の育成モデルの中から判定項目に応じて選択する。
【0049】
育成状況判定部200における葉の状態による判定では、葉の枚数、1枚の葉の大きさ、生い茂った葉の投影面積、しおれ具合(角度、一枚の葉の縦横比)などが判定項目としてあげられる。葉の枚数は、予め定められた範囲内に存在する枚数、或いは、茎(特定された枝)に着いた葉の枚数を計数することにより検出される。1枚の葉の大きさは、特定された葉の大きさ、予め定められた範囲内に存在する葉の大きさの平均、或いは、茎(特定された枝)に着いた葉の大きさの平均を算出することにより検出される。また、葉の大きさは、長手方向(縦)の長さ、長手方向と直交する方向(横)の長さ、面積とすることができる。
【0050】
また、葉のしおれ具合によって、水分不足などのストレスを容易に検出することができる。しおれた状態では、葉先が下を向くことから、葉のしおれ具合は、水平面と葉の表面とがなす角度から検出される。或いは、葉のしおれ具合は、一枚の葉の縦横比から算出されてもよい。しおれたことにより葉の張りがなくなり、見かけ上の横幅が狭くなる。そのため、しおれ具合により、一枚の葉の縦横比が変化する。
【0051】
育成状況判定部200における茎の状態による判定では、茎の背丈、枝の張り具合、茎の太さなどが判定項目としてあげられる。茎の背丈は、茎(或いは先端の葉)の先の高さから検出される。例えば、茎の背丈は、撮像部421の高さを茎の高さと一致させることにより、撮像部421の高さから検出できる。枝の張り具合は、枝分かれしている分岐数、或いは、枝の長さから検出される。茎の太さは、基準の高さの茎の太さから検出される。育成状況判定部200における花・実の状態による判定では、数、密度、配置、実の成熟度などが判定項目としてあげられる。
【0052】
育成状況判定部200における根の状態による判定では、長さ、広がり具合などが判定項目としてあげられる。水耕栽培であれば、根の長さを検出できる場合がある。根の長さは、株の位置からの長さとして検出される。根の広がり具合は、株の位置から広がった根の面積により検出される。根の長さも広がり具合も、いずれも水中であることから直接的には検出されにくい。しかし、例えば、補助光を照射することにより生じる根の影により、根の長さや広がり具合を間接的に検出することができる。
【0053】
(周囲環境の制御)
環境制御部320は、判定された育成状況に応じて育成環境を制御する環境制御量を生成する。例えば、環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える光を制御する場合には、光制御部121によって、植物9に与える光の光量又は波長を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える二酸化炭素濃度を制御する場合には、二酸化炭素処理部123によって、植物9が置かれている二酸化炭素濃度を制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える空気を制御する場合には、空調設備122によって、植物9に供給する空気の温度、湿度、及び、風量の少なくともいずれか1つを制御する。環境制御部320は、判定された育成状況に応じて植物9に与える水を制御する場合には、水調整設備124によって、植物9に給水する水量、水温、及び、養分濃度の少なくとも1つを制御する。例えば、育成状況を促進させるためには、環境制御部320は、光制御部121によって、植物9に与える光の照度を高め、照射時間を長くして、光量が増加するように制御する。また、空調設備122によって、植物9の周囲温度を高めることにより、育成状況を促進させることができる。このような条件の制御では、植物の種類、育成過程などによって異なり、それぞれに適する制御内容が定められる。
【0054】
[ロボット(照射装置)の構成と動作の説明]
次に、図7を参照し、ロボット400の構成と動作について説明する。図7は、本実施形態におけるロボット400の第1の構成例を示す概略ブロック図である。このロボット400には、照射装置410が搭載されており、また、このロボット400を誘導路80(図2を参照)に沿って走行させるためのロボット移動部460が設備されている。このロボット移動部460は、例えば、不図示のサーボモータ等を有しており、このサーボモータを回転駆動することによりギヤ461等の駆動機構を介して車輪403Wを回転させ、ロボット400を所定の位置(撮像および照射光の照射対象になる植物9が植えられた育成床6の位置)まで移動させる。
【0055】
また、照射装置410は、制御部411と、通信部412と、アーム部(ロボットアーム)420と、障害検出部440と、照射制御部450と、を有して構成される。制御部411は、ロボット400の各部を統括して制御し、このロボット400が必要とする機能を実現させるための主制御部である。通信部412は、ロボット400と、育成状況判定部200(およびプラント制御部300)との間で無線通信(或いは有線通信)により通信を行うための通信制御部である。
【0056】
アーム部420は、多関節型のロボットアームであり、このアーム部420には、撮像部421、撮像照射位置変更部(第2変更部)422、レーザー発振部423、照射部430が搭載されている。アーム部420において、撮像部421は、植物9と、植物9の周囲の状況と、植物9に付着した撮像対象(たとえば、害虫)とを撮像し、画像情報を生成する。この撮像部421は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを搭載した撮像装置、及び、撮像用の補助光の発光装置を備えている。この撮像部421は、アーム部420の先端部に搭載される。
【0057】
この撮像部421で撮像された画像情報は、障害検出部440(および照射制御部450)に向けて出力されるとともに、通信部412を介して、プラント制御部300および育成状況判定部200に送信される。
【0058】
また、障害検出部440は、撮像部421により撮像された植物9の画像情報から、該植物9の状況(障害箇所の有無や、生物の付着の情報や、周囲の状況等)を検出する。また、障害検出部440は、植物9に生物が付着している場合に、この生物の背後の空間を検出する処理も行う。この障害検出部440により検出される各種の情報は、後述する照射制御部450内の障害監視部451(障害の発生の有無の検出部)および害虫判定部454(害虫の有無の判定部)において利用されるものである。なお、障害監視部451または害虫判定部454において、障害検出部440の処理機能を実行するようにしてもよい。
【0059】
また、撮像照射位置変更部(第2変更部)422は、照射制御部450から送られる制御信号に基に、アーム部420の先端部(より正確には撮像部421と照射部430)の動き(位置および方向)を制御する。この撮像照射位置変更部(第2変更部)422によりアーム部420の先端部の位置が変更されることにより、撮像部421および照射部430と、植物9との相対位置が変化する。これにより、撮像部421は、目的に応じた画像情報を撮像するために、任意の位置、任意の方向から植物9を撮像することが可能となる。また、照射部430は、任意の位置、任意の方向から植物9に照射光(例えば、レーザー光)を照射することが可能となる。例えば、照射部430が植物9の下側から照射光を照射するなど、植物9の障害が生じている箇所に応じて照射光を照射する位置または方向を任意に変更することが可能になる。
【0060】
レーザー発振部423は、半導体レーザーと光増幅器とで構成されており、照射制御部450により発振周波数(波長)およびパワー強度が制御される。このレーザー発振部423は、後述するレーザー光(第1照射光、第3照射光、第4照射光、第2照射光、および育成波長光)を生成し、このレーザー光(照射光)をグラスファイバを介して照射部430に出力する。
【0061】
照射部430は、レーザー発振部423から出力されるレーザー光(照射光)を受光し、この受光したレーザー光を、植物9に対して障害を低減または予防させる照射光として照射する。なお、照射するレーザー光には、例えば、植物自体の殺菌用の照射光、植物の障害箇所を取り除く照射光、植物に供給する水の殺菌用の照射光、害虫駆除用の照射光、または、植物の成長を促進する照射光(育成波長光)がある。この照射部430は、レーザー光(照射光)の波長と照射距離とに応じて、後述する第1照射部431、第2照射部432、第2照射部433、第4照射部434、または育成波長照射部435のいずれかを選択し、レンズにより焦点距離を調整して、植物9に対してレーザー光を照射する。
【0062】
第1照射部431は、植物に対して、障害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を照射光として照射する。例えば、植物自体を殺菌および殺カビ(260nm付近の紫外光(殺菌線))または、植物固有の免疫力を高める波長(紫外領域)の光を照射する。なお、植物によっては、殺菌線によって枯れてしまうことがあるため、この植物に殺菌線を当てないほうがよい場合には、植物以外の場所(土、肥料など)を殺菌するようにしてもよい。また、免疫力増強波長は、植物によって差があるため、植物の種類に応じて、植物固有の免疫力を高める波長(紫外領域)を設定するようにしてもよい。
【0063】
第2照射部432は、植物に害(障害や病気)をなす生物(例えば、害虫)を不活化させる第2照射光を照射光として照射する。なお、この第2照射部432により害虫をレーザー光で駆除する場合に、直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射する。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。背後の空間長は、画像処理で判断できる害虫が植物表面上にいる場合は、表面面内位置に照射装置を移動させる。
【0064】
また、第3照射部433は、植物9の障害箇所の取り除き部(障害が生じている植物の箇所を植物から取り除くための装置)として作用する装置であり、この第3照射部(取り除き部)は、植物の障害箇所に第3照射光(例えば、レーザー光)を照射して切り取ることにより、障害箇所を取り除く。
【0065】
なお、本実施形態では、取り除き部として第3照射光を用いているが、これに限定されない。例えば、ロボットアームの先端に刃物機構(例えば、回転刃やハサミ機構)を取り付け、この刃物機構により、植物の障害箇所を取り除くようにしてもよい。例えば、図9に示すように、アーム部420の先端部のアーム420−4に、取り除き部470としての刃物機構(回転刃471とその回転駆動機構)を搭載し、刃物機構の先端に設けた回転刃471をモータ(不図示)により回転させるとともに、この回転刃471の刃先を植物9の障害箇所(例えば、枯れた枝等)に押し当てて切断する。なお、取り除き部470においては、回転刃471に代えてハサミ機構(或るいはカミソリ刃)を用いるようにしてもよい。
【0066】
また、第4照射部434は、植物に供給される水を殺菌する第4照射光を照射光として照射する装置である(図2(B)を参照)。また、育成波長照射部435は、殺菌とは別に、植物を成長させる波長の照射光を照射する照射部である。例えば、育成波長照射部435では、400〜500(中心:470)nmおよび600〜700 (中心:660)nmの2波長域(植物を成長させる波長)の照射光を照射する。また、測距部436は、照射部430が照射光を照射する照射対象までの距離を測定する。この測距部436には、汎用のレーザー距離センサ等を用いることができる。
【0067】
また、照射制御部450は、アーム部420内の撮像部421、撮像照射位置変更部(第2変更部)422、レーザー発振部423、および照射部430を制御するための制御部である。この照射制御部450により、撮像部421における撮像動作が制御され、また、照射部430における照射光の照射動作が制御される。
【0068】
この照射制御部450内の障害監視部451は、障害検出部440により検出された植物9の障害検出情報に基づいて、植物9に障害が発生しているか否かを判定する。この障害監視部451により植物9に障害が生じていると判定された場合、第1制御部452は、照射部430を制御し、当該植物9に対して照射光(例えば、レーザー光)を照射させる。このように、本実施形態の照射装置410では、照射光を常時照射するのではなく、特定のタイミング(障害監視部451により障害が発生していると判定された場合)に植物9に照射光を照射することができる。
【0069】
また、第2制御部452は、予め定められているタイミング(例えば、所定の時間ごとや、所定の日数ごとの周期)ごとに、植物9に対して照射光を照射させるように照射部430を制御する。この第2制御部452では、タイマ(図示せず)等によりタイミング(周期)を計測し、予め定められている周期ごとのタイミングで、植物9に対して照射光を照射させる。
【0070】
また、害虫判定部454は、撮像部421により撮像された画像(或いは障害検出部440の検出情報)に基づいて、植物9に害をなす生物が付着しているか否かを判定する。この害虫判定部454において、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、第3制御部455により照射部430を制御し、第2照射部432から植物9に害をなす生物に対して、第2照射光を照射させる。
たとえば、害虫判定部454が備える記憶部に、植物9に害をなす様々な種類の生物の画像がパターン画像として予め記憶されている。そして、害虫判定部454は、撮像部421により撮像された画像の画像領域に、記憶部から読み出したパターン画像に一致する画像領域があるか否かを判定し、一致する場合、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定する。なお、害虫判定部454は、撮像部421により撮像された画像において、記憶部から読み出したパターン画像に一致すると判定された画像領域に対応する位置に、植物9に害をなす様々な種類の生物が存在すると判定する。
【0071】
また、第4制御部456は、障害検出部440により検出された背後の空間の検出情報に基づいて、植物9に害をなす生物に対して、第2照射部432により第2照射光を照射させるか否かを制御する。これは、例えば、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射するためである。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。この場合、障害検出部440は、撮像部421により撮像された画像に基づいて、第2照射部432により第2照射光を照射する照射方向において、植物9に害をなす生物の背後の空間を検出してもよい。
【0072】
また、第1変更部457は、第2照射部432が第2照射光を照射する際に、その照射位置または方向を変更するための処理部である。第4制御部456は、障害検出部440により検出された背後の空間に植物9が存在する場合、障害検出部440により検出される背後の空間に植物9が存在しないように、かつ、植物9に害をなす生物に対して第2照射部432から第2照射光を照射することができるように、第1変更部457により、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更させる。
【0073】
なお、第2照射部432は、第2照射光をレンズにより集光させて照射する。これは、例えば、直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射する。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。
【0074】
また、測距部436により、照射部430が照射光を照射する照射対象までの距離を測定する。照射制御部450内の照射強度制御部458は、測距部436により測定された距離に基づいて、照射部430により照射される照射光の照射範囲径を算出し、当該算出した照射範囲径に基づいて、照射部430により照射される照射光のパワー密度を算出し、当該算出したパワー密度に基づいて、照射部430が照射する照射光の照射時間を変更する。この場合に、照射強度制御部458は、画像処理、もしくは測距により照射範囲径を判定し、レーザー光のパワー密度から照射時間を決定する。
【0075】
また、図8は、本実施形態におけるロボット400の第2の構成例を示す概略ブロック図である。図8に示すロボット400Aは、図7に示すロボット400と比較して、図7に示す照射装置410内の全ての処理部を、図8に示すロボットアーム420内に移設した点が異なり、その他の構成については、図7に示すロボット400と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
上記ロボット400及び400Aの構成により、撮像部421による植物9の撮像と、植物9への照射光の照射と、を自動で行うことができる。例えば、植物9の状態に応じて、植物自体の殺菌用の照射光、植物の障害箇所を取り除く照射光、植物に供給する水の殺菌用の照射光、または、害虫駆除用の照射光を照射することができる。これにより、農薬を使用することなしに、植物における障害を低減または予防することができる。
【0077】
なお、上記ロボット400及び400Aにおいて、照射部430には、それぞれが異なる波長の照射光を照射する第1照射部431〜第4照射部434、および育成波長照射部435を独立に設けているが、これに限定されず、第1照射部431〜第4照射部434、および育成波長照射部435を一体化することも可能である。例えば、レーザー発振部423から出力される照射光(レーザー光)の波長を用途に応じて切り替え、1つの照射部(例えば、第1照射部431)から異なる波長の照射光を照射するようにしてもよい。
【0078】
また、照射装置410内の障害検出部440や、照射制御部450(或いは照射制御部450内の各処理部)は、必ずしも照射装置410内に設ける必要はなく、例えば、プラント制御部300内や、育成状況判定部200内に設けるようにしてもよい。また、照射光についてもレーザー光に限定されず、例えば、紫外線ランプや、キセノンランプ等を光源とする照射光としてもよい。
【0079】
以上本発明の実施形態について説明したが、ここで本発明と上記実施形態との対応関係について補足して説明しておく。上記実施形態において、本発明におけるロボットは、ロボット400が対応し、本発明における照射装置は、ロボット400に搭載された照射装置410が対応し、本発明における照射部は、アーム部420内の照射部430が対応する。また、本発明における第1照射部は、照射部430内の第1照射部431が対応し、本発明における第2照射部は、第2照射部432が対応し、本発明における第3照射部は、第3照射部433が対応し、本発明における第4照射部は、第4照射部434が対応する。また、本発明における取り除き部は、第3照射部433が対応する。
【0080】
また、本発明における監視部は、照射制御部450内の障害監視部451が対応し、本発明における第1制御部は、照射制御部450内の第1制御部452が対応し、本発明における第2制御部は、第2制御部453が対応し、本発明における判定部は、照射制御部450内の害虫判定部454が対応し、本発明における第3制御部は、第3制御部455が対応し、本発明における第4制御部は、第4制御部456が対応する。また、本発明における第1変更部は、照射制御部450内の第1変更部457が対応し、本発明における照射強度制御部は、照射強度制御部458が対応する。また、本発明における測距部は、照射部430内の測距部436が対応する。
【0081】
(1)そして、上記実施形態において、照射装置410は、植物9に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部430を有して構成される。
このような構成の照射装置410では、照射部430により、例えば、植物自体の殺菌用の照射光、植物の障害箇所を取り除く照射光、植物に供給する水の殺菌用の照射光、または、害虫駆除用の照射光を照射する。
これにより、農薬を使用することなしに、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0082】
(2)また、上記実施形態において、照射部430は、植物9に対して、障害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を照射光として照射する第1照射部431を備えている。
このような構成の照射装置410では、第1照射部431により、植物9自体を殺菌および殺カビ(例えば、260nm付近の紫外光(殺菌線))または、植物固有の免疫力を高める波長(紫外領域)の照射光(例えば、レーザー光)を第1照射光として照射する。
これにより、害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を植物9に照射することができる。
【0083】
(3)また、上記実施形態において、照射部430は、植物9に害をなす生物を不活化させる第2照射光を照射光として照射する第2照射部432、を備えている。
このような構成の照射装置410では、第2照射部432から第2照射光(例えば、コリメートビーム)を害虫に対して照射する。なお、害虫を照射光(レーザー光)で駆除するために、直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させた照射光を害虫に照射する。それにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。背後の空間長は、画像処理で判定する。また、害虫が植物表面上にいる場合は、表面面内位置に照射部430を移動させ、射程範囲を限定して照射する。
これにより、植物9に付着して障害を与える害虫(昆虫および微生物コロニー等)のみを照射光(例えば、レーザー光)で排除することができる。
【0084】
(4)また、上記実施形態において、照射装置410は、害が生じている植物の箇所を植物9から取り除く取り除き部(第3照射部433)を備えて構成される。
このような構成の照射装置410では、取り除き部(例えば、第3照射部433)から照射光(例えば、基本的に赤外領域のレーザー光)を照射し、植物の障害箇所を切り取って、取り除く。
これにより、植物の障害箇所を取り除くことができ、植物の障害状態を低減し、また、障害の拡大を抑止することができる。
【0085】
(5)また、上記実施形態において、照射部430は、取り除き部として、障害が生じている植物9の箇所をこの植物9から取り除く第3照射光を照射光として照射する第3照射部433を備えて構成される。
このような構成の照射装置410では、第3照射部433から第3照射光レーザー光(基本的に赤外領域のレーザー光)を照射し、植物9の障害箇所を切り取って、取り除く。
これにより、植物9の障害箇所を取り除くことができ、植物9の障害状態を低減し、また、障害の拡大を抑止することができる。
【0086】
(6)また、上記実施形態において、取り除き部(図8に示す取り除き部470)は、害が生じている植物9の箇所をこの植物9から切り取って取り除く切り取り部(回転刃471)、を備えて構成される。
このような構成の照射装置410では、取り除き部470の先端の回転刃471を回転させ、この回転刃271の先端を、植物9の障害箇所(例えば、葉や枝等)に押し当て、この部分を切り取る。
これにより、植物9の障害箇所を取り除くことができ、植物9の障害状態を低減し、また、障害の拡大を抑止することができる。
【0087】
(7)また、上記実施形態において、照射装置410は、植物9の状態を監視する障害監視部451と、障害監視部451により監視された植物9の状態に基づいて、植物9に害が生じていると判定された場合に、照射部430に照射光を照射させる第1制御部452と、を備えている。
このような構成の照射装置410では、障害監視部451により植物9の障害の発生状態を監視し、植物9に障害が生じていると判定された場合に、第1制御部452は、照射部430に照射光を照射させる。すなわち、照射装置410は、植物9に対して照射光を常時照射するのではなく、特定のタイミング(障害を検出したタイミング)でのみ照射する。
これにより、照射光を常時照射しないことにより、照射光が植物に悪影響を与える可能性を低減しつつ、かつ、農薬を使用することなしに、植物における障害を低減または予防することができる。
【0088】
(8)また、上記実施形態において、照射装置410は、予め定められている周期ごとのタイミングで、植物9に対して、照射部430に照射光を照射させる第2制御部453、を備えて構成される。すなわち、照射装置410は、植物9に対して照射光を常時照射するのではなく、特定のタイミングでのみ照射する。
これにより、照射光を常時照射しないことにより、照射光が植物9に悪影響を与える可能性を低減しつつ、かつ、農薬を使用することなしに、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0089】
(9)また、上記実施形態において、照射装置410は、撮像部421により撮像された画像に基づいて、植物9に害をなす生物が撮像されているか否かを判定する害虫判定部454と、害虫判定部454により、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、第2照射部432により、植物9に害をなす生物に対して、第2照射光を照射させる第3制御部455と、を備える。
このような構成の照射装置410では、害虫判定部454により、植物9に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、第2照射部432により、植物9に害をなす生物に対して、第2照射光(例えば、コリメートビーム)を照射させる。
これにより、テントウムシなど植物にとって有益な虫は駆除せず、害虫のみを駆除することができる。
【0090】
(10)また、上記実施形態において、照射装置410は、撮像部421により撮像された画像に基づいて、第2照射部432により第2照射光を照射する照射方向において、植物9に害をなす生物の背後の空間を検出する障害検出部440と、障害検出部440により検出された背後の空間に基づいて、植物9に害をなす生物に対して、第2照射部432により第2照射光(例えば、コリメートビーム)を照射させるか否かを制御する第4制御部456と、を備える。
このような構成の照射装置410は、障害検出部440により害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させたレーザー光を害虫に照射する。これにより、レーザー光照射により植物9にダメージを与えることを抑止できる。
【0091】
(11)また、上記実施形態において、照射装置410は、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更する第1変更部457、を備えており、第4制御部456は、障害検出部440により検出された背後の空間に植物9が存在する場合、障害検出部440により検出される背後の空間に植物9が存在しないように、かつ、植物9に害をなす生物に対して第2照射部432が第2照射光を照射することができるように、第1変更部457により、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更させる。
このような構成の照射装置410では、第4制御部456が、障害検出部440により検出される背後の空間に植物9が存在しないように、かつ、植物9に害をなす生物に対して第2照射部432が第2照射光を照射することができるように、第1変更部457により、第2照射部432が第2照射光を照射する位置または方向を変更させる。
これにより、照射光(例えば、レーザー光)を害虫に照射するともに、照射光の照射により植物9にダメージを与えることを抑止できる。
【0092】
(12)また、上記実施形態において、第2照射部432は、第2照射光を、集光させて照射する。
このような構成の照射装置410では、第2照射光として直線状のコリメートビームを使うと、バックの植物や施設を焼いてしまう可能性がある。そのため、害虫の後ろにある程度の距離(光線のパワー密度が十分小さくなる距離)の空間がある場合にのみ、レンズで集光させた照射光(例えば、レーザー光)を害虫に照射する。これにより、害虫以外へのダメージを極力なくすことができる。
【0093】
(13)また、上記実施形態において、照射装置410は、照射部が照射光を照射する位置または方向を変更する照射位置方向変更部(第2変更部)422を備える。
このような構成の照射装置410では、照射位置方向変更部(第2変更部)422により、照射部430から照射されるレーザー光の照射位置および方向を任意に変更する。
これにより、害虫の所在位置や、植物の障害箇所等に合わせて、照射部430から照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。
【0094】
(14)また、上記実施形態において、照射位置方向変更部(第2変更部)422は、植物9の害が生じている箇所に照射光が照射されるように、照射部430が照射光を照射する位置または方向を変更する。
このような構成の照射装置410では、照射部430が照射光を照射する位置または方向を変更し、植物の障害箇所等に合わせて、照射部430からレーザー光を照射する。例えば、植物9の下側からも照射光を照射する。これは、単に一方向から植物に対して照射光を照射した場合には、葉の裏など、植物において、照射光が照射されない箇所が生じる可能性がある。この問題に対して、任意の方向から、植物に対して照射光を照射することができる。
これにより、植物において、照射光が照射されない箇所が生じる可能性を減じることができる。このため、農薬を使用することなしに、植物における障害を低減または予防することができる。
【0095】
(15)また、上記実施形態において、照射装置410は、照射部430が照射光を照射する照射対象までの距離を測定する測距部436と、測距部436により測定された距離に基づいて、照射部430により照射される照射光の照射範囲径を算出し、当該算出した照射範囲径に基づいて、照射部430により照射される照射光のパワー密度を算出し、当該算出したパワー密度に基づいて、照射部430が照射する照射光の照射時間を変更する照射強度制御部458と、を備える。
このような構成の照射装置410では、測距部436(或いは障害検出部440における画像処理)による測距により照射範囲径を判定し、照射部430により照射される照射光のパワー密度から照射時間を決定する。
これにより、害虫や、植物9の障害箇所に応じて、照射部430が照射する照射光の照射時間を変更することができる。このため、照射光(例えば、レーザー光)の照射により植物9の正常な部分にダメージを与えることを抑止できる。
【0096】
(16)また、上記実施形態において、照射部430は、植物9に供給される水を殺菌する第4照射光を照射光として照射する第4照射部434、を備えている。
このような構成の照射装置410では、図2(B)に示すように、第4照射部434から第3照射光(例えば、植物に供給する水を殺菌する260nm付近の紫外光)を、ノズル72から散水される水73に照射する。
これにより、植物9に与える水73を殺菌することにより、水により植物に障害が発生することを低減しまたは予防することができる。
【0097】
(17)また、上記実施形態において、ロボット400は、上記照射装置(より正確には照射部430)が取り付けられているロボットアーム420(図7を参照)を備える。
このような構成のロボットアームでは、ロボットアーム420の先端部に照射装置(照射部430)が取り付けられている。このため、ロボットアーム420の先端部の動き(位置および方向)を制御することにより、照射部430は、任意の位置、任意の方向から植物9に照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。
【0098】
(18)また、上記実施形態において、植物栽培プラント4は、上記照射装置410が設備されたロボット400を備える。
このような構成の植物栽培プラント4では、上記照射装置410が設備されたロボット400を備えるので、このロボット400を制御することにより、植物9に対して自動で照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。このため、植物栽培プラント4において、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0099】
(19)また、上記実施形態において、植物栽培プラント4は、上記照射装置410を備える。このような構成の植物栽培プラント4では、上記照射装置410(例えば、ロボット400に搭載された照射装置)を備えるので、この照射装置410により、植物9に対して自動で照射光(例えば、レーザー光)を照射することができる。このため、植物栽培プラント4において、植物9における障害を低減または予防することができる。
【0100】
(20)また、上記実施形態において、植物栽培プラント4は、植物を成長させる波長の照射光を照射する育成波長照射部435を備える。
このような構成の植物栽培プラント4では、殺菌とは別に、育成用の照射光(例えば、400〜500(中心:470)nmよび600〜700 (中心:660)nmの2波長域)を照射する育成波長照射部435を備える。
これにより、植物栽培プラント4では、植物9の成長を促進させる波長の照射光を照射することができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の照射装置、ロボット、および植物栽培プラントは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0102】
例えば、照射装置410は、たとえば人が手に持って使用する装置であってもよいし、ロボットアームの先端に備えられている装置であってもよい。また、この照射装置410は、閉鎖型の植物栽培プラントで用いられてもよいし、開放型の農場(自然農場)で用いられてもよい。
【0103】
また、上記実施形態においては、撮像部421および照射部430は、アーム部420の先端部に配置するものとしたが、アーム部420の先端に近いアームや、同アームに設けられた雲台に設けられていても良い。また、アーム部420の先端としたが、アーム部420に内蔵されていても良い。
【0104】
また、上記実施形態においては、植物栽培プラント4に1台のロボット400のみが配置される例を示したが、複数台のロボット400を配置するようにしてもよい。
【0105】
また、上記の説明においては、撮像部421はCCD又はCMOSセンサなどを搭載した撮像装置を備えているものとして説明したが、撮像部421は、複数の撮像装置を備えていてもよい。この場合、照射装置410または照射装置410が備える障害検出部440などの各構成は、この複数の撮像装置により撮像された画像を解析することにより、3次元的な対象(植物や生物など)の位置を検出してもよい。
また、撮像部421は撮像装置のみならず、3次元的な対象(植物や生物など)の位置を検出する任意のセンサを備えていてもよい。この場合、照射装置410または照射装置410が備える障害検出部440などの各構成は、この任意のセンサによる検出結果に基づいて、3次元的な対象(植物や生物など)の位置を検出してもよい。
【0106】
また、上述の植物栽培システム1、ロボット400は、コンピュータシステムを有している。そして、各機能部の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0107】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 植物栽培システム、4 植物栽培プラント、400 ロボット、410 照射装置、420 アーム部(ロボットアーム)、421 撮像部、422 撮像照射位置変更部(第2変更部)、430 照射部、431 第1照射部、432 第2照射部、433 第3照射部(取り除き部)、434 第4照射部、435 育成波長照射部、436 測距部、440 障害検出部(検出部)、450 照射制御部、451 障害監視部(監視部)、452 第1制御部、453 第2制御部、454 害虫判定部(判定部)、455 第3制御部、456 第4制御部、457 第1変更部、458 照射強度制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部、
を備えていることを特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記照射部は、
前記植物に対して、前記障害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を前記照射光として照射する第1照射部、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記照射部は、
前記植物に害をなす生物を不活化させる第2照射光を前記照射光として照射する第2照射部、
を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記障害が生じている植物の箇所を前記植物から取り除く取り除き部、
を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項5】
前記照射部は、前記取り除き部として、
前記障害が生じている植物の箇所を前記植物から取り除く第3照射光を前記照射光として照射する第3照射部、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の照射装置。
【請求項6】
前記取り除き部は、
前記障害が生じている植物の箇所を前記植物から切り取って取り除く切り取り部、
を備えていることを特徴とする請求項5に記載の照射装置。
【請求項7】
植物の状態を監視する監視部と、
前記監視部により監視された前記植物の状態に基づいて、植物に障害が生じていると判定された場合に、前記照射部に前記照射光を照射させる第1制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項8】
予め定められている周期ごとのタイミングで、植物に対して、前記照射部に前記照射光を照射させる第2制御部、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項9】
撮像部により撮像された画像に基づいて、前記植物に害をなす生物が撮像されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記植物に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、前記第2照射部により、前記植物に害をなす生物に対して、前記第2照射光を照射させる第3制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項10】
撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第2照射部により前記第2照射光を照射する照射方向において、前記植物に害をなす前記生物の背後の空間を検出する検出部と、
前記検出部により検出された背後の空間に基づいて、前記植物に害をなす生物に対して、前記第2照射部により前記第2照射光を照射させるか否かを制御する第4制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項9に記載の照射装置。
【請求項11】
前記第2照射光が記第2照射光を照射する位置または方向を変更する第1変更部、
を備えており、
前記第4制御部は、
前記検出部により検出された背後の空間に植物が存在する場合、
前記検出部により検出される背後の空間に前記植物が存在しないように、かつ、前記植物に害をなす生物に対して前記第2照射部が前記第2照射光を照射することができるように、前記第1変更部により、前記第2照射部が前記第2照射光を照射する位置または方向を変更させる、
ことを特徴とする請求項10に記載の照射装置。
【請求項12】
前記第2照射部は、前記第2照射光を集光させて照射する
ことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項13】
前記照射部が前記照射光を照射する位置または方向を変更する第2変更部、
備えていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項14】
前記第2変更部は、
前記植物の害が生じている箇所に前記照射光が照射されるように、前記照射部が前記照射光を照射する位置または方向を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載の照射装置。
【請求項15】
前記照射部が前記照射光を照射する照射対象までの距離を測定する測距部と、
前記測距部により測定された距離に基づいて、前記照射部により照射される照射光の照射範囲径を算出し、当該算出した照射範囲径に基づいて、前記照射部により照射される照射光のパワー密度を算出し、当該算出したパワー密度に基づいて、前記照射部が照射する照射光の照射時間を変更する照射強度制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項16】
前記照射部は、
前記植物に供給される水を殺菌する第4照射光を前記照射光として照射する第4照射部、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の照射装置が取り付けられているロボットアーム
を備えていることを特徴とするロボット。
【請求項18】
請求項17に記載のロボット
を備えていることを特徴とする植物栽培プラント。
【請求項19】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の照射装置
を備えていることを特徴とする植物栽培プラント。
【請求項20】
植物を成長させる波長の照射光を照射する育成波長照射部、
を備えていることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の植物栽培プラント。
【請求項1】
植物に対する障害を低減または予防させる照射光を照射する照射部、
を備えていることを特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記照射部は、
前記植物に対して、前記障害が生じている箇所の障害状態を低減または予防させる第1照射光を前記照射光として照射する第1照射部、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記照射部は、
前記植物に害をなす生物を不活化させる第2照射光を前記照射光として照射する第2照射部、
を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記障害が生じている植物の箇所を前記植物から取り除く取り除き部、
を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項5】
前記照射部は、前記取り除き部として、
前記障害が生じている植物の箇所を前記植物から取り除く第3照射光を前記照射光として照射する第3照射部、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の照射装置。
【請求項6】
前記取り除き部は、
前記障害が生じている植物の箇所を前記植物から切り取って取り除く切り取り部、
を備えていることを特徴とする請求項5に記載の照射装置。
【請求項7】
植物の状態を監視する監視部と、
前記監視部により監視された前記植物の状態に基づいて、植物に障害が生じていると判定された場合に、前記照射部に前記照射光を照射させる第1制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項8】
予め定められている周期ごとのタイミングで、植物に対して、前記照射部に前記照射光を照射させる第2制御部、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項9】
撮像部により撮像された画像に基づいて、前記植物に害をなす生物が撮像されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記植物に害をなす生物が撮像されていると判定された場合、前記第2照射部により、前記植物に害をなす生物に対して、前記第2照射光を照射させる第3制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項10】
撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第2照射部により前記第2照射光を照射する照射方向において、前記植物に害をなす前記生物の背後の空間を検出する検出部と、
前記検出部により検出された背後の空間に基づいて、前記植物に害をなす生物に対して、前記第2照射部により前記第2照射光を照射させるか否かを制御する第4制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項9に記載の照射装置。
【請求項11】
前記第2照射光が記第2照射光を照射する位置または方向を変更する第1変更部、
を備えており、
前記第4制御部は、
前記検出部により検出された背後の空間に植物が存在する場合、
前記検出部により検出される背後の空間に前記植物が存在しないように、かつ、前記植物に害をなす生物に対して前記第2照射部が前記第2照射光を照射することができるように、前記第1変更部により、前記第2照射部が前記第2照射光を照射する位置または方向を変更させる、
ことを特徴とする請求項10に記載の照射装置。
【請求項12】
前記第2照射部は、前記第2照射光を集光させて照射する
ことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項13】
前記照射部が前記照射光を照射する位置または方向を変更する第2変更部、
備えていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項14】
前記第2変更部は、
前記植物の害が生じている箇所に前記照射光が照射されるように、前記照射部が前記照射光を照射する位置または方向を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載の照射装置。
【請求項15】
前記照射部が前記照射光を照射する照射対象までの距離を測定する測距部と、
前記測距部により測定された距離に基づいて、前記照射部により照射される照射光の照射範囲径を算出し、当該算出した照射範囲径に基づいて、前記照射部により照射される照射光のパワー密度を算出し、当該算出したパワー密度に基づいて、前記照射部が照射する照射光の照射時間を変更する照射強度制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項16】
前記照射部は、
前記植物に供給される水を殺菌する第4照射光を前記照射光として照射する第4照射部、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の照射装置が取り付けられているロボットアーム
を備えていることを特徴とするロボット。
【請求項18】
請求項17に記載のロボット
を備えていることを特徴とする植物栽培プラント。
【請求項19】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の照射装置
を備えていることを特徴とする植物栽培プラント。
【請求項20】
植物を成長させる波長の照射光を照射する育成波長照射部、
を備えていることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の植物栽培プラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−51939(P2013−51939A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193773(P2011−193773)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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