説明

照明カバー

【課題】天井に多数の蛍光灯等の光源を配置し、その上を複数の照明カバーで覆って形成した面照明において、天井に目地調整材等があっても照明欠損領域を小さくすることができるように取り付け可能な照明カバーを提供する。
【解決手段】照明カバー4を開口11を形成したフレーム枠12とその開口を塞ぐ光拡散シート13で構成し、フレーム枠12には、断面が先細形状で且つ先端がフレーム枠の外側にせり出すように傾斜した嘴部12Bを設けてその先端に光拡散シート13を配置し、光拡散シートで形成される照明面を広くして、背後に目地調整材があってもそれを隠すことができる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井や壁面等に設けられる照明装置に用いられる照明カバーに関し、特に、広い面積に配置された多数の蛍光管等の光源からの光を拡散して広い平面から柔らかい照明光を生じさせる全面一体照明を形成するために並べて使用するのに好適な照明カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ギャラリー等において、天井面に取り付けた多数の蛍光管を、蛍光管が視認されない柔らかい面照明にすることが望まれており、特に近年天井面の広範囲に渡り、全面一体型照明として機能できる照明装置が求められている。この要求に対し、従来の対応の一つとして、光を通すための矩形状の大きい開口を形成した金属製のフレーム枠に、前記開口を塞ぐように光拡散シートを張った構造の照明カバーを用いた照明装置が提案されている(例えば、特開2001−307533号公報参照)。この照明カバーは、フレーム枠の開口に面する内面の、少なくとも光拡散シート近傍の領域を、光拡散シートに近づくにつれて拡がり、フレーム枠の外面に達するように傾斜させており、このため、光拡散シートがフレーム枠の外面で囲まれた面積にほぼ等しい面積に張られて照明面として作用し、きわめて広い照明面を提供できるという特性を備えている。そして、この照明カバーを多数、近接して並べることで天井の広範囲にわたる全面一体照明を形成できるという利点を有している。
【0003】
ところが、この照明カバーを用いた照明装置は、単純な平面状の天井面に対しては、照明カバーを近接させて配置することができ、良好の全面一体照明を形成できるが、吊り天井方式の天井では、天井部にTバー等の目地調整材が縦横に存在し、また壁面近傍には目地調整用の見切り材が存在しているため、照明カバーを取り付ける際、これらの目地調整材や見切り材を避けて照明カバーを配置しなければならず、このため、並べて配置した照明カバーの隙間が大きくなるとか、照明カバーと壁との隙間が大きくなり、幅の広い照明欠損領域が生じて見た目を悪くするという問題があった。
【特許文献1】特開2001−307533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、目地調整材や見切り材等があっても照明欠損領域を小さくすることができるように取り付け可能な照明カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、光源からの光を拡散させるために前記光源を覆うように配置される照明カバーを、光を通すための矩形状の開口を形成したフレーム枠と、該フレーム枠に、前記開口の、光源とは反対側の端部を塞いで光を拡散、照射する照明面を形成するように取り付けられた光拡散シートを備えた構成とし、更に、そのフレーム枠が、前記光拡散シートを配置した側に、断面が先端に向かって細くなる嘴状で且つ先端がフレーム枠の最も外側にせり出すように外側に傾斜して形成された嘴部を備えており、前記光拡散シートが、前記嘴部の先端から嘴部外面上に沿うように折り返され、周縁領域を前記フレーム枠の外面に固定することで前記フレーム枠に取り付けられているという構成としたものである。
【0006】
ここで、前記フレーム枠の前記開口に面する内面を、前記開口の光源側の一端から前記嘴部の先端にまで滑らかにつながる凸形状とすることが好ましい。
【0007】
また、前記フレーム枠の開口に面する内面のうち、前記嘴部に形成されている領域を、前記フレーム枠の開口を塞ぐ前記光拡散シートで形成された照明面に対して30〜45度で傾斜させた構成とすることが好ましい。
【0008】
更に、前記フレーム枠の前記嘴部外面を、前記フレーム枠の開口を塞ぐ前記光拡散シートで形成された照明面に対して50〜70度で傾斜させた構成とすることが好ましい。
【0009】
更に、前記フレーム枠の嘴部外面とその上に沿って配置された光拡散シートとの間に両者を貼り合わせる両面テープを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の照明カバーは、フレーム枠に外側に傾斜した嘴部を形成しその先端に光拡散シートを張って、光を拡散、照射する面すなわち照明面としたので、照明面がきわめて広くなり、嘴部でその奥を覆い隠すことができる。このため、照明カバーを並べて配置する際に、嘴部先端を近接させて配置しても、その背後には大きいスペースを残すことができ、そのスペース内に目地調整材や見切り材等を位置させることで、天井に目地調整材や見切り材等があっても照明面がきわめて近接した状態となるように照明カバーを配置でき、照明欠損領域のきわめて小さい、見栄えの良い全面一体照明を形成できる。更に、外側に傾斜した嘴部で光拡散シートを支持しているので、光拡散シートの張りに対する強度を大きくでき、フレーム枠の肉厚を薄くして軽量化を図ることができる。照明カバーを軽量化できるので、現場での取り付け作業が容易であり、また照明カバーを支持させるための機構の強度も小さくてよく、専用の支持機構を設ける場合に限らず、蛍光灯等の光源を備えた照明器具の枠体に取り付ける構造とすることもできる。
【0011】
ここで、前記フレーム枠の前記開口に面する内面を、前記開口の光源側の一端から前記嘴部の先端にまで滑らかにつながる凸形状とすると、光の進行を邪魔する角部が無いので光拡散シートの周縁領域まで光を届かせやすくなると共に光拡散シートに角部の影が映るということがなく、しかも、反射光の方向が急激に変化する領域がないため、光拡散シート上に暗いライン状の影を生じさせることも抑制でき、明るさのむらの少ない、見栄えの良い照明面を得ることができる。
【0012】
また、前記フレーム枠の開口に面する内面のうち、前記嘴部に形成されている領域を、前記フレーム枠の開口を塞ぐ前記光拡散シートで形成された照明面に対して30〜45度で傾斜させた構成とすると、光源からの光が嘴部先端近傍にまで良く届き、光拡散シートで形成される照明面の明るさをきわめて均等にできる。
【0013】
更に、前記フレーム枠の前記嘴部外面を、前記フレーム枠の開口を塞ぐ前記光拡散シートで形成された照明面に対して50〜70度で傾斜させた構成とすると、その上に沿わせた光拡散シートに膨らみがあっても下から見えにくく、照明面の輪郭をシャープにして見栄えを良くすることができる。
【0014】
更に、前記フレーム枠の嘴部外面とその上に沿って配置された光拡散シートとの間に両者を貼り合わせる両面テープを設けると、フレーム枠が熱膨張や熱収縮をしても、光拡散シートにたるみやしわが生じにくく、長期間に渡って良好な見栄えを保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に示す本発明の好適な実施の形態を説明する。図1は、天井の面照明に適用した本発明の実施の形態に係る照明カバーを示すもので、(a)はその照明カバーの概略斜視図、(b)は一つの照明カバーを取り外す途中の状態で示す概略斜視図、図2(a)は図1(a)に示す照明カバー及びその近傍を示す概略断面図、(b)は一つの照明カバーを取り外す途中の状態で示す概略断面図、図3は二つの照明カバーの隣接した領域を示す概略断面図、図4は照明カバーの一部領域を拡大して示す概略断面図、図5(a)は図3のA−A矢視概略断面図、図5(b)は図5(a)と同じ領域を照明カバーの取り外し途中の状態で示す概略断面図である。図1〜図5において、全体を参照符号1で示す照明装置は、蛍光灯等の光源3を備えた照明器具2と、その光源3からの光を拡散させるためにその光源3を覆うように照明器具2に取り付けられた照明カバー4等を備えており、複数の照明器具2を近接配置し、天井に水平に配置されている支持材5に取り付けることで広い面で照明を行う構成となっている。なお、図2、図3は、建物躯体に固定された吊りボルト7に、天井面に平行となるように支持された目地調整材8をはさんで配置された照明器具2、2及びそれに取り付けた照明カバー4、4を示している。
【0016】
照明器具2は、支持材5に取り付けるための矩形状の取付部2aと、その取付部2aの4側縁から垂直に下方に延びる4面の枠部2bを備えており、その4面の枠部2bの下端で囲まれた領域に照明カバー4の上端領域を挿入させて照明カバー4を取り付ける構成となっている。隣接した照明器具2、2は、目地調整材8をはさんで配置する際に、目地調整材8に干渉することがないよう、適当な距離Lを開けて配置されている。
【0017】
照明カバー4は、光を通すための大きい開口11を形成したフレーム枠12と、そのフレーム枠12の開口11の、光源3とは反対側の端部(以下、先端という)に開口11を塞いで、光を拡散、照射する照明面を形成するように取り付けられた光拡散シート13を備えている。フレーム枠12は全体の平面形状が正方形、長方形等の四角形状をなしている。そのフレーム枠12の外形寸法(各辺の長さ)は、特に制限するものではないが、或る程度大きいことが経済的に有利であり、例えば、1辺の長さ(長方形にあっては長辺の長さ)を1〜3m程度とすることが好ましい。フレーム枠12の各辺は同一の断面形状に作られている。フレーム枠12の各辺は、図3、図4から良く分かるように、軽量化のために中空構造を採っており、光源側にベース部12Aを備え、光拡散シート13を配置した側に、断面が先端に向かって細くなる嘴状で且つ先端がフレーム枠の最も外側にせり出すように外側に傾斜して形成された嘴部12Bを備えている。
【0018】
フレーム枠12の開口11に面する内面は、開口11の光源側の一端から嘴部12Bの先端にまで滑らかにつながる凸形状で、且つ先端に向かって拡がる形状に作られており、この実施の形態では、光拡散シート13で形成される照明面にほぼ直角な垂直面12aと、それに連なる凸形状の円弧面12bと、それに連なり嘴部12Bの先端にまで延びる傾斜面12cを備えている。嘴部12Bの外面は嘴部12Bの先端からベース部12Aに向かって内側に傾斜した傾斜面12dとなっており、その奥のベース部12Aの外面側には光拡散シート13をクランプするためのクランプ溝12eが形成され、そのクランプ溝12e内に光拡散シート13を引き込み、その上から押縁15をねじ16でフレーム枠12に固定することで光拡散シート13を固定できる構成としている。この構成により、光拡散シート13をフレーム枠12の嘴部12B先端で囲まれた開口を塞ぐように張り、嘴部12Bの先端から外側の傾斜面12dに沿うように折り返し、周縁部分をクランプ溝12eに導き、その上から押縁15をねじ16によりフレーム枠12に固定することで、光拡散シート13を取り付けることができ、その際、フレーム枠12の嘴部12B先端で囲まれた開口を塞いだ部分の光拡散シート13に適当な張力を与えておくことで、この部分の光拡散シート13は平面を保ち、きわめて外観のよい平坦な照明面を形成できる。しかも、先端が細くなっている嘴部12Bの先端に光拡散シート13を張っているので、張られた光拡散シート13のほぼ全域を照明面とすることができ、従って、照明カバー4の下端のほぼ全面を照明面とすることができる。
【0019】
光拡散シート13のフレーム枠12に対する固定は、押縁15をねじ16によりフレーム枠12に締め付けることのみで行っても良いが、本実施の形態では、更に、嘴部12B外面の傾斜面12dとその上に沿って配置された光拡散シート13との間に両者を貼り合わせる両面テープ18を設けている。この両面テープ18を設けると、これがクッションの役割を果たすためか、フレーム枠12が熱膨張や熱収縮を繰り返しても、伸びにくい光拡散シート13にたるみやしわが生じにくく、長期間に渡って外観の良い照明面を保持できる。
【0020】
図4において、フレーム枠12のベース部12Aは、フレーム枠12に必要な強度を確保できるように適度に広い幅Wに形成されており、上面には、フレーム枠を構成する枠材同志の連結や他の部材に対する連結に用いる断面略C字状の部分があり、その部分に上向きに狭い幅で開口した溝20が形成されている。矩形状のフレーム枠12は、4本の真っ直ぐな枠材を矩形状に配置し、隣接して直交する枠材同志を連結することにより形成される。隣接して直交する枠材同志の連結には任意の手段を採り得るが、この実施の形態では、平面形状がL字状のコーナープレート21と溝20内に挿入された受け金具22と両者を連結するねじ23等が用いられている。
【0021】
図3、図4において、矩形状のフレーム枠12のサイズは、ベース部12Aを照明器具2の4面の枠部2bで囲まれた領域に挿入可能なように定められており、後述する着脱機構25によって、嘴部12Bが図示のように枠部2bの下方に延び出した状態となる所定位置に取り付けられるようになっている。照明カバー4を枠部2bに対する所定位置に取り付けた状態では、フレーム枠12の嘴部12Bが枠部2bの先端よりも下方に延び出し且つフレーム枠12の外側に傾斜していることから、嘴部12Bが枠部2bの下方を覆い隠すこととなる。かくして、広い間隔Lをあけて配置された照明器具2、2に取り付けられた照明カバー4、4の下端(嘴部12Bの先端)の間隔dは、枠部2b、2bの間隔Lよりもかなり小さくなり、枠部2b、2bの間に目地調整材8等を配置するのに必要な広いスペースを確保しながら嘴部12B、12Bの先端間に生じる照明欠損領域の幅dをきわめて小さくできる。ここで、フレーム枠12の嘴部12B先端がベース部12Aの最外面よりも外側にせり出す距離eは、許容される照明欠損領域の幅dとその奥に確保すべき間隔Lを考慮して定めればよく、具体的には、距離eは10〜60mm程度に選定することが好ましく、更には15〜30mm程度に選定することが一層好ましい。なお、照明欠損領域の幅dは0〜30mmに選定することが好ましく、更には10〜20mmに、更には15〜17に選定することが一層好ましい。
【0022】
前記したようにフレーム枠12の嘴部12Bを、先端が外側にせり出すように傾斜させているので、嘴部12Bの内側に形成されている傾斜面12cの、光拡散シート13で形成される照明面に対する傾斜角度αは小さくなる。この角度αはあまり小さくなると、光拡散シート13で形成される照明面の周縁領域(嘴部12Bの先端近傍)への光量が少なくなり、中心部に比べて暗くなる。このような明るさの不均一を抑制するには傾斜角度αを或る程度以上に選定することが好ましく、具体的には、30度以上にすることが好ましい。一方、傾斜角度αを大きくしようとすると、フレーム枠12の高さを高くしなければならず照明カバーが大きくなる。これを避けるには傾斜角度αを或る程度以下に抑えることが好ましく、具体的には、45度以下に、更には40度以下に、更には35度以下にすることが好ましい。従って、傾斜角度αは、30〜45度の範囲内に、更には30〜40度の範囲内に、更には30〜35度の範囲内に選定することが好ましい。
【0023】
フレーム枠12の内面は前記したように、垂直面12a、円弧面12b及び傾斜面12cで形成され、開口11の光源側の一端から嘴部12Bの先端にまで滑らかにつながる凸形状としている。このように、垂直面12aと傾斜面12cとの間に円弧面12bを介在させたことにより、垂直面12aと傾斜面12cとを延長して直接交差させて角部を形成した場合よりも内面位置を引っ込めることができ、従って、光拡散シート13で形成される照明面の周縁部分まで光を届かせやすくなり、更に、角部が無いので光拡散シート13に角部の影が映るということがなく、しかも、内面全体が滑らかにつながる凸形状であって角部がないため、反射光の方向が急激に変化する領域がなく、角部がある場合にその角部の前後で反射光の方向が急激に切り替わって光拡散シート13上に暗いライン状の影を生じさせるということを抑制できる。かくして、光拡散シート13で形成される照明面の端部まで光を届かせることができ且つ暗いライン状の影の発生を抑制することができ、見栄えの良い照明面を得ることができる。ここで、円弧面12bの半径Rとしては、上記した作用を良好に発揮させる上からは大きくすることが好ましいが、フレーム枠12の構造上の制約もあるため、具体的には20〜50mmの範囲内に、更には、25〜45mmの範囲内に、更には30〜40mmの範囲内に選定することが好ましい。フレーム枠12の表面、特に内面には白色塗装を施しておくことが好ましい。これにより、フレーム枠12が光拡散シート13をすけて見えるということが一層なくなり、照明カバー4の照明面を一層均一として外観を良くすることができる。
【0024】
前記したように、光拡散シート13の取り付けに当たっては、光拡散シート13を嘴部12Bの先端から外面の傾斜面12dに沿うように折り返しているので、両面テープ18を用いない場合などにおいて折り返した後の領域に光拡散シート13の剛性による膨らみが生じても、その膨らみは嘴部12Bで隠されることとなり、下から見えることはない。このため、照明カバーを下から見た時に、照明カバー4の周縁がシャープに見え、きわめて見栄えが良い。ここで、傾斜面12dの照明面に対する傾斜角度βは、光拡散シート13の膨らみを下から見えにくくする上からは小さいことが好ましいが、構造上の制約もあることから、具体的には50〜70度の範囲内に、更には、50〜60度の範囲内に、更には50〜53度の範囲内に選定することが好ましい。
【0025】
更に、上記した構造のフレーム枠12では、光拡散シート13を支持している嘴部12Bが外側に傾斜した構造を採っているので、光拡散シート13の引張りに対する強度が大きくなっている。更に、嘴部12Bを支える背後の領域を円弧状としているので、この点からも光拡散シート13の引張りに対する強度が大きくなっている。このため、フレーム枠12の肉厚を薄くして軽量化を図ることができる。フレーム枠12が軽量となるため、照明カバー4の取り付けや取り外し作業が容易となり、また照明カバーを取り付けるための機構の強度も低くすることができ、機構の簡略化を図ることができる。
【0026】
フレーム枠12の材質は、必要な強度を持っている限り、金属、プラスチック等任意であるが、金属製(例えば、アルミ)の押抜型材を用いることが好ましい。例えば、フレーム枠12の各辺を押抜型材で作製し、端面を45度に切断して突き合わせ、金属製のL型のコーナープレート21を用いて連結して枠状に組み立てることでフレーム枠12を形成できる。この構成とすることで、フレーム枠12をねじれ等のない正確な寸法に製造、組立することができ、各辺が2mというような大型のフレーム枠12をも容易に製造できる。しかも、強度、剛性が大きいため、長期間に渡って安定して使用できる。
【0027】
フレーム枠12に取り付ける光拡散シート13は、適度な透光性と隠蔽性を発揮しうる光拡散性のもので且つフレーム枠12に張って使用することができるよう適度な柔軟性、耐屈曲性を持ったものであれば任意であるが、なかでも、透光性の無機質繊維クロスに耐熱透光性樹脂シートを貼着してなる積層シートが、耐熱性、不燃性、防汚性にも優れているので好ましい。この種の積層シートにおいて、無機質繊維クロスとしては、ガラス繊維クロスが好ましく、耐熱透光性樹脂シートとしては、フッ素樹脂、シリコン樹脂等が考えられるが、フッ素樹脂が好ましく、中でも軟質フッ素樹脂が最も好ましい。軟質フッ素樹脂としては、例えば、少なくとも一種の含フッ素単量体を含む単量体と分子内に二重結合とペルオキシ結合を共に有する単量体とを共重合させて製造した、分子内にペルオキシ基を含有し、かつガラス転移温度が室温以下である含フッ素共重合体からなる幹ポリマーに、フッ化ビニリデンをクラフト重合させて得た軟質フッ素樹脂を挙げることができる。このような軟質フッ素樹脂は、「セフラルソフト」(商標)としてセントラル硝子株式会社から市販されている(「プラスチックス」1988年3月号参照)。
【0028】
更に、光拡散シート13として、ガラス繊維クロスに軟質フッ素樹脂を積層したものを用いる場合、その軟質フッ素樹脂内に中空ガラスビーズを含有させておくことが好ましい。特に、軟質フッ素樹脂に、樹脂100重量部当たり0.5〜5重量部の中空ガラスビーズ、好ましくは屈曲率1.5〜2.1、特に1.52〜1.53の、平均粒度8〜12μm程度の中空ガラスビーズを含有させた場合に、遮蔽性と透光性のバランスの良い積層シートが得られる。すなわち、中空ガラスビーズの割合が0.5重量部より少ないと、光拡散性が低くなり、遮蔽性が低下する。一方、中空ガラスビーズの割合が5重量部より多いと、透光性が悪くなると共に、フィルムの成形が困難になる。このように、ガラス繊維基布に中空ガラスビーズを含む軟質フッ素樹脂を積層した積層シートは、柔軟性、耐屈曲性、防汚性、耐熱性、光拡散性、不燃性に優れ、且つ透光率40%以上、濁度90%以上が得られ、これを光拡散シート13として用いると、光源を良好に隠して均一に柔らかく光る照明面を形成できると共に、耐熱性、不燃性に優れ、長期間安定して使用できるという利点が得られる。
【0029】
次に、照明カバー4を照明器具2の枠部2bに取り付けるための着脱機構25を説明する。着脱機構25は照明カバー4のフレーム枠12を枠部2bに着脱可能な形態で取り付けることができるものであれば任意であるが、この実施の形態ではばねを用いたものが使用されている。すなわち、この実施の形態の着脱機構25は、図3、図5に示すように、フレーム枠12に取り付けられたばね保持部材27と、そのばね保持部材27に取り付けられたコイルばね28であって、両端から延び出した直線部28a、28aを備えたコイルばね28と、枠部2bに取り付けられ、コイルばね28の直線部28a、28aを狭くした状態で挿入可能な溝29aを備えた係止部材29を備えており、図5(b)に示すように、コイルバネ28の直線部28a、28aを狭くした状態で係止部材29の溝29a内に挿入し、フレーム枠12を更に持ち上げてゆくことで、図5(a)に示すように、コイルばね28の直線部28a、28aがばね力によってV字状に開き、その直線部28a、28aが係止部材29に引っかかることで照明カバー4を枠部2bに保持させることができる。また、照明カバー4の取り外しの際には、照明カバー4を引き下げることで、図5(b)に示すように、コイルバネ28の直線部28a、28aを狭くしながら係止部材29の溝29aの下方に引き出し、その後、直線部28a、28aを指で狭めることで溝29aから引き抜くことができ、照明カバー4を取り外すことができる。この着脱機構25は、照明カバー4の向かい合った2辺にそれぞれ複数個が取り付けられている。
【0030】
上記構成の照明装置1では、図1(a)、図2(a)に示すように、多数の照明カバー4が近接して配置されており、光源3からの光を照明カバー4の光拡散シート13が拡散させることで照明カバー4の全面が柔らかく発光したような状態となり、広い面照明を形成している。ここで、天井部分の構造上、照明器具2の間隔Lを或る程度大きくしなければならない場合であっても、各照明カバー4の下面に形成される照明面の間隔は小さくなっており、このため照明欠損領域が小さく、きわめて見栄えのよい面照明を提供できる。
【0031】
なお、光源3を構成する蛍光灯等の交換等のために照明カバー4を取り外すには、図1(b)、図2(b)に示すように単に照明カバー4を引き下げ、図5(b)に示すコイルばね28の直線部28a、28aを狭くして係止部材29の溝29aから引き抜くことで、照明カバー4を容易に取り外すことができる。
【0032】
以上の実施の形態では、照明カバー4を照明器具2の枠部2bに取り付ける構成としているが、照明カバー4は照明器具2に取り付ける場合に限らず、専用の支持機構を設けて天井の支持材5に支持させる構成としてもよい。また上記の実施の形態では、多数の照明カバー4を縦横に配置して広い面照明を構成する場合を説明したが、本発明の照明カバーはこの場合に限らず、単に複数の照明カバー4を1列に配置するとか、場合によっては1個の照明カバーのみを用いる場合にも適用可能である。1列或いは1個の照明カバーを用いる場合にも、その照明カバーの照明面を、周囲の壁面等に対してきわめて近接させて配置することができ、外観の良い照明面を形成できる。
【0033】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を天井の面照明に適用した実施例による照明装置を示す概略斜視図であり、(a)はその照明装置の概略斜視図、(b)は一つの照明カバーを取り外す途中の状態を示す概略斜視図
【図2】(a)は図1(a)に示す照明カバー及びその近傍を示す概略断面図、(b)は一つの照明カバーを取り外す途中の状態で示す概略斜視図
【図3】二つの照明カバーの隣接した領域を示す概略断面図
【図4】照明カバーの一部領域を拡大して示す概略断面図
【図5】(a)は図3のA−A矢視概略断面図、(b)は(a)と同じ領域を、照明カバーの取り外し途中の状態で示す概略断面図
【符号の説明】
【0035】
1 照明装置
2 照明器具
2a 取付部
2b 枠部
3 光源
4 照明カバー
5 天井材
7 吊りボルト
8 目地調整材
11 開口
12 フレーム枠
12A ベース部
12B 嘴部
12a 垂直面
12b 円弧面
12c 傾斜面
12d 傾斜面
12e クランプ溝
13 光拡散シート
15 押縁
16 ねじ
18 両面テープ
20 溝
21 コーナープレート
22 受け金具
23 ねじ
25 着脱機構
27 ばね保持部材
28 コイルばね
28a 直線部
29 係止部材
29a 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を拡散させるために前記光源を覆うように配置される照明カバーであって、光を通すための矩形状の開口を形成したフレーム枠と、該フレーム枠に、前記開口の、光源とは反対側の端部を塞いで光を拡散、照射する照明面を形成するように取り付けられた光拡散シートを備え、前記フレーム枠は、前記光拡散シートを配置した側に、断面が先端に向かって細くなる嘴状で且つ先端がフレーム枠の最も外側にせり出すように外側に傾斜して形成された嘴部を備えており、前記光拡散シートは、前記嘴部の先端から嘴部外面上に沿うように折り返され、周縁領域を前記フレーム枠の外面に固定することで前記フレーム枠に取り付けられていることを特徴とする照明カバー。
【請求項2】
前記フレーム枠の前記開口に面する内面を、前記開口の光源側の一端から前記嘴部の先端にまで滑らかにつながる凸形状としたことを特徴とする請求項1記載の照明カバー。
【請求項3】
前記フレーム枠の開口に面する内面のうち、前記嘴部に形成されている領域を、前記フレーム枠の開口を塞ぐ前記光拡散シートで形成された照明面に対して30〜45度で傾斜させていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明カバー。
【請求項4】
前記フレーム枠の前記嘴部外面を、前記フレーム枠の開口を塞ぐ前記光拡散シートで形成された照明面に対して50〜70度で傾斜させていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の照明カバー。
【請求項5】
前記フレーム枠の嘴部外面とその上に沿って配置された光拡散シートとの間に両者を貼り合わせる両面テープを設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の照明カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−99465(P2009−99465A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271576(P2007−271576)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)