説明

照明ユニット

【課題】蛍光放電管の端部における放熱を従来よりも抑制することができ、その結果、長期使用における蛍光放電管の輝度低下を抑制できる照明ユニットを得ることを目的としている。
【解決手段】本発明に係る照明ユニットは、導光板10と、導光板10の側面に配置され、端部に電極部6を有する蛍光放電管1と、蛍光放電管1の電極部6に接続された接点3を有するリード線2と、内部に空洞5を有し、当該空洞5内に蛍光放電管1の端部およびリード線2の接点3が内包されたホルダー4とを備える。空洞5の径は、蛍光放電管1の径よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイのバックライト等に用いられる面状の照明ユニットに関するもので、特に導光板の側面に蛍光放電管を配置する照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコンや携帯型テレビ、カーナビゲーション等の表示装置において、軽量、薄型、低消費電力という特徴を有する液晶表示装置が多く用いられている。この液晶表示装置の多くは、明るい表示を実現するために照明ユニットを内蔵しており、照明ユニットが表示素子の背面から照明光を照射する構成が主流となっている。
【0003】
蛍光放電管を用いた液晶表示装置用の照明ユニットは、発光面に導光板を配置し、その導光板の側面に蛍光放電管を配置するエッジライト方式と、発光面に複数本の蛍光放電管を配置する直下方式に大別される。この2つの方式のうち、ノート型パソコンや携帯型テレビ、カーナビゲーション等の液晶表示装置には、薄型、軽量で有利なエッジライト方式が採用されている。特許文献1では、エッジライト方式の発光輝度を改善させる発明がなされている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−6019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蛍光放電管の両端部に配置された電極間に高電圧を印加すると放電が発生する。管内部に封入された水銀は、放電によって水銀蒸気化されるとともに励起される。この励起で発生する紫外線が、蛍光管内壁に形成された蛍光膜を刺激して可視光を放出させる。しかし、蛍光放電管の端部を保護するホルダーが、それと接触した蛍光放電管の熱をホルダー外部に放熱するため、多くの水銀蒸気が蛍光放電管の端部で冷却されて凝集する。この状態で放電を行なうと、端部に凝集した水銀が、端部に配置された電極から放出されるスパッタ物質などに取り込まれる。その結果、放電時間とともに蛍光放電管全体における水銀蒸気の発生量が減少し、発光輝度が低下するという問題がある。
【0006】
この問題を解決するために、ホルダーとホルダーを支持する枠体間をホルダーに設けた突起により点接触で保持し、ホルダーと、そのホルダーを支持する枠体間に空間を配置する構造を特徴とする発明が特許文献1に記載されている。ここでは、ホルダーの材質には、シリコン樹脂、もしくは、より熱伝導率の低いポリカーボネイトが用いられている。
【0007】
このような構成により、蛍光放電管からホルダーを介して枠体へ伝達する熱を低減し、蛍光放電管の端部における放熱を防いでいる。しかし、この構造では、蛍光放電管からホルダーへ、ホルダー材質の熱伝導率に応じた熱伝導が確実に生じる。また、ホルダーと枠体との間の空間が密閉されていないため、熱せられた空気が外部の空間へ移動し、冷却されることになる。その結果、断熱が不十分となっていた。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、蛍光放電管の端部における放熱を従来よりも抑制することができ、その結果、長期使用に伴う蛍光放電管の輝度低下を抑制できる照明ユニットを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の照明ユニットは、導光板と、前記導光板の側面に配置され、端部に電極部を有する蛍光放電管と、前記蛍光放電管の前記電極部に接続された接点を有するリード線と、内部に空洞を有し、当該空洞内に前記蛍光放電管の前記端部および前記リード線の前記接点が内包されたホルダーとを備え、前記ホルダーの前記空洞の径は、前記蛍光放電管の径よりも大きい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、蛍光放電管の端部における放熱を従来よりも抑制することができる。これにより、蛍光放電管に封入している水銀蒸気の凝集を抑制することができるようになり、その結果、水銀の減少を抑制でき、蛍光放電管の長寿命化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る照明ユニットを図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る照明ユニットの分解図である。照明ユニットは、導光板10と、蛍光放電管1と、リード線2と、ホルダー4を備える。導光板10は、例えば、透明樹脂で構成されている。蛍光放電管1は、導光板10の側面に配置され、両端部に電極部を有している。リード線2は、高圧側リード線2bと低圧側リード線2cとを含む。リード線2b,2cの一端は、蛍光放電管1の両端部の電極部と接続されており、リード線2b,2cの他端は電力を供給するコネクタ11と接続されている。ホルダー4は、蛍光放電管1およびリード線2を内包して保護するとともに、蛍光放電管1を導光板10の側面における所定の配置位置で支持している。蛍光放電管1に対して導光板10と対称の位置には、蛍光放電管1から発せられる光を導光板10に集光するリフレクタ7が取り付けられている。これらは下枠体8に収納され、その上に上枠体9を被せて照明ユニットが形成されている。なお、照明ユニットには、図示しないが導光板10にて伝搬した光を液晶表示面に均等に照射する複数枚の光学シートが組み込まれる。
【0012】
図2は、ホルダー4の内部を断面図で示したものである。蛍光放電管1は、端部に電極部6を有している。図のように電極部6は、蛍光放電管1内の電極6bと、電極6bから蛍光放電管1外に引き出された封止線6aとを備えている。リード線2は、電極部6を構成する封止線6aと、はんだ3によって接続された接点を有しており、リード線2のうち、はんだ接続された接点を除いた部分は、被覆2aにより覆われて絶縁されている。
【0013】
ホルダー4は、内部に空洞5を有しており、この空洞5内に、蛍光放電管1の端部およびリード線2の接点が内包されている。そして、この空洞5の径は、蛍光放電管1の径よりも大きく形成されている。なお、図示しないが、ホルダー4は蛍光放電管1を所定の配置位置で支持するために、図1の上枠体9および/あるいは下枠体8と接触・係止されている。
【0014】
また、ホルダー4は、蛍光放電管1の空洞5への受入口4aと、リード線2の空洞5への受入口4bとを備えている。受入口4aの径は、蛍光放電管1の径と同サイズ、同形状に形成されており、受入口4bの径は、リード線2の径と同サイズ、同形状に形成されている。そして、蛍光放電管1を受入口4aにて支持し、リード線2を受入口4bにて支持することにより、蛍光放電管1の端部は、空洞5内においてホルダー4と接しないように全周が遊嵌状に配置されている。こうして、蛍光放電管1の端部の全周にわたって、空洞5を形成するホルダー4の内壁との間に空気層が形成される。また、受入口4a,4bを各々支持対象物と同サイズ、同形状にすることにより、空洞5はホルダー4内に密閉される。
【0015】
受入口4aが蛍光放電管1を支持する位置については、電極6bよりも蛍光放電管1の中央側の位置において蛍光放電管1を支持する。こうして、電極6bおよび封止線6aのいずれもが、空洞5内に内包されるようにする。
【0016】
以上の構成による照明ユニットによれば、空洞5の径を蛍光放電管1の径よりも大きくしているため、蛍光放電管1とホルダー4との接触面積を小さくすることができる。これにより、ホルダー4を介した蛍光放電管1から上枠体9および下枠体8への熱伝達を低減できるため、蛍光放電管1の端部における放熱を低減することができる。さらに、蛍光放電管1の端部の全周にホルダー4よりも断熱性に優れる空気層を設けることにより、蛍光放電管1の端部において断熱性を向上させることができる。
【0017】
また、空洞5内の空気層を密閉することにより、熱せられた空気が空気層外部へ移動することを防ぐことができる。これにより、蛍光放電管1の端部の熱が、空気によって放熱されることを防ぐことができ、その結果、断熱効果をより高いものとすることができる。
【0018】
また、電極6bおよび封止線6aのいずれもが、空洞5内に内包されることにより、これらから発せられる熱を空洞内に閉じ込めることができるため、その熱によって、蛍光放電管1の端部を保熱することができるようになる。
【0019】
以上により、蛍光放電管1の端部での水銀蒸気の凝集が発生し難くなる。なお、本実施の形態ではホルダーの材質は明記していないが、熱伝導率の低い材質を用いることが望ましい。
【0020】
<実施の形態2>
実施の形態1のようなホルダー4を、例えば、シリコンゴムのような弾性体を適用すれば、容易に作成することができる。しかし、例えば、ポリカーボネイトのような高い断熱性を有するが、硬い硬度を有する材質を適用する場合には、蛍光放電管1を受入口4aに貫通させるときに蛍光放電管1に損傷を与え、蛍光放電管1を劣化させることになる。そこで、本実施の形態では、ホルダー4に硬い材質を適用しても、蛍光放電管1に損傷を与ることなく、照明ユニットを容易に組み立て可能にすることを目的とする。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る照明ユニットのホルダーの分解図である。なお、下記で説明しない限り、構成は実施の形態1に係る照明ユニットと同様であり、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
ホルダー4は、空洞5を形成する複数の側壁体に分割可能である。2つの側壁体に分割可能である場合には、例えば、図3のようなホルダー上半部41とホルダー下半部42に分割できる。ホルダー上半部41には、上半部突起41cと上半部穴41dが形成されている。ホルダー下半部42には、ホルダー上半部41とホルダー下半部42を組み合わせたときに、上半部突起41cと対応する位置に下半部穴42dが、上半部穴41dと対応する位置に下半部突起42cが形成されている。このようにすることにより、組み合わせるときに、ホルダー上半部41とホルダー下半部42との位置決めが容易となる。
【0023】
以上のような構成によれば、高い断熱効果を得るために、ホルダーの材質としてポリカーボネイト等の固い材質を用いたとしても、実施の形態1の照明ユニットを蛍光放電管1に損傷を与えることなく容易に組み立てることができる。さらに、ホルダー4が一体型の場合には、蛍光放電管1の両端にホルダーを取り付けた後に、コネクタ11を取り付ける必要があったが、ホルダー4を分割式にすることで、コネクタ11を取り付けた後に、ホルダー4を取り付けることが可能となる。したがって、組み立て順序を柔軟に変更することができ、生産性を向上させることができる。
【0024】
<実施の形態3>
実施の形態2では、ホルダー4の材質をポリカーボネイト等の硬い材質を想定していたが、このような材質を用いて実施の形態1の照明ユニットを形成すると、衝撃による蛍光放電管1の破損が懸念される。それを防ぐために、本実施の形態では、照明ユニットを図4のように構成する。
【0025】
受入口4aを形成する上半部受入口41aおよび下半部受入口42aと接触する蛍光放電管1の表面に、弾性体であるOリング12を配置する。一方、受入口4aの内径にOリング12のズレを防止する溝を形成する。そして、ホルダー上半部41とホルダー下半部42を組み合わせたときに、受入口4aにおいて蛍光放電管1とホルダー4との間にOリング12を配置する。
【0026】
以上のような構成によれば、ホルダー4の材質として、ポリカーボネイト等のような硬い材質を適用したとしても、衝撃を受けた場合には、Oリング12等の弾性体が衝撃を吸収するので、高い耐衝撃性を有する照明ユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態1に係る照明ユニットの分解図である。
【図2】実施の形態1に係る照明ユニットのホルダーの断面図である。
【図3】実施の形態2に係る照明ユニットのホルダーの分解図である。
【図4】実施の形態3に係る照明ユニットのホルダーの分解図である。
【符号の説明】
【0028】
1 蛍光放電管、2 リード線、2a 被膜、3 はんだ、4 ホルダー、4a,4b 受入口、5 空洞、6 電極部、6a 封止線、6b 電極、7 リフレクタ、8 下枠体、9 上枠体、10 導光板、11 コネクタ、12 Oリング、41 ホルダー上半部、41a 上半部受入口、41c 上半部突起、41d 上半部穴、42 ホルダー下半部、42a 下半部受入口、42c 下半部突起、42d 下半部穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、
前記導光板の側面に配置され、端部に電極部を有する蛍光放電管と、
前記蛍光放電管の前記電極部に接続された接点を有するリード線と、
内部に空洞を有し、当該空洞内に前記蛍光放電管の前記端部および前記リード線の前記接点が内包されたホルダーとを備え、
前記ホルダーの前記空洞の径は、前記蛍光放電管の径よりも大きい、
照明ユニット。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記蛍光放電管を前記導光板の前記側面における所定の配置位置で支持する、
請求項1に記載の照明ユニット。
【請求項3】
前記蛍光放電管の前記端部は、前記空洞内において全周が遊嵌状に配置され、それによって前記蛍光放電管の前記端部の全周にわたって、前記空洞を形成する前記ホルダーの内壁との間に空気層が形成される、
請求項1または請求項2に記載の照明ユニット。
【請求項4】
前記空洞は、前記ホルダー内に密閉されている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項5】
前記ホルダーは、前記蛍光放電管の前記空洞への受入口を備え、
前記受入口において、前記蛍光放電管と前記ホルダーとの間に配置された弾性体をさらに備える、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項6】
前記電極部は、
前記蛍光放電管内の電極と、
当該電極から前記蛍光放電管外に引き出された封止線とを備え、
前記電極および前記封止線のいずれもが前記空洞内に内包される、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項7】
前記ホルダーは、前記空洞を形成する複数の側壁体に分割可能である、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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