説明

照明付きナンバープレート

本発明は、光ガイドを含む、車両用のナンバープレートに関しており、これは光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子を分配された、透明なポリマー材料Aのマトリックスを含むものである。ナンバープレートは更に、光ガイドの第一の側に面する、再帰反射面を有する再帰反射シートを含む。本発明は、最適化された照明付きナンバープレートと、そのようなナンバープレートを作成する方法とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の照明付きナンバープレートであって、光ガイド及び再帰反射シートを有して、後者がその再帰反射側で光ガイドに面するにナンバープレート関する。
【0002】
光ガイドは、透明なポリマー材料のマトリックス中に分配された、光ガイド内の光を散乱させるための粒子を含む。本発明はまた、そのようなナンバープレートを含むナンバープレート組立品、そのようなナンバープレートを保持するための装置、及びナンバープレートを作成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乗用車、バス、及びトラックなどの自動車両用、及びトレーラー用の普通のナンバープレートは通常、車両上に配置された灯りによって照らすことができる。ナンバープレートは通常、印を有しており、それにより、これが周囲の暗さ又は照明が不充分な駐車ガレージ内などの低照明条件下で見えるようになる。そのような印は通例、例えば、適切な国家機関により発行された、登録番号を表す。ナンバープレートを照らすための灯りは通常、車両のナンバープレートのわきに配置されて、その前面を灯りが覆い隠さないように、及びナンバープレートがその前方から見えるようになっている。
【0004】
そのような配置によって、自動車製造者の設計の可能性が制限される不利点が生じており、例えば、灯りから来る光がナンバープレートの前面に到達可能となる特定の関係に、ナンバープレート及び灯りが配置されなければならないからである。特に、車両設計は通例、ナンバープレートのわきに配置されているのにナンバープレートの前面に対して投影する灯りを保持するための、部品を包含しなければならない。したがって、自動車製造者は、より魅力のあるデザインを作り出すことを妨げられており、特に、灯り及びナンバープレートを包含する設計部分にフラットなデザインを提供することに制限されている。灯りを保持する部品はまた、一般に、設計における阻害要素と見られることが多い。その上、そのような従来の前側照明付きナンバープレートは、一般的に不均一に照らされることがあり、その結果、暗がりでの認識が困難である可能性があり、特に雨降りなどの悪い気象条件下でそうである。
【0005】
近年、車両のナンバープレートを代わりに照らす様々な解決策が、開示されており、又は提供されてきた。特に、最近の開発は、いわゆるバックライト付きナンバープレート及び内部照明式ナンバープレートの使用に関係する。バックライト付きナンバープレートは、典型的には、光透過性であり、照明用の光源が、ナンバープレートの後ろに配置される。内部照明式ナンバープレートは、典型的には、組み込まれた光源を有するものであり、例えば、光を放出する材料の層が、ナンバープレート中に配置される。
【0006】
内部照明式ナンバープレートの更なる例が、PCT国際公開特許WO 2004/101321号にて開示されている。このナンバープレートは、より均質な照明を得るために、再帰反射フィルムと、光ガイドの前側の印とを有する。
【0007】
これらの最近開発されたバックライト付きナンバープレートは、幾つかの利点を提供しているが、バックライト付きナンバープレートで光強度の損失を最小限にするのは一般に困難であるので、最適効率でナンバープレートを照明する解決策が依然必要とされる。
【0008】
内部照明式ナンバープレートに関係する更なる取り組みがある。そのようなナンバープレートは、例えばPCT国際公開特許 03/062014 A1号にて開示されているような、エレクトロルミネセンス層を包含してもよく、又は、米国特許第5,150,960号にて示唆されているような、光パイプを包含してもよい。
【0009】
しかしながら、やはり、ナンバープレートを前側から効果的及び均質に照らすことは、及び同時に、ナンバープレートの他の光学特性を所望の範囲に維持することは、一般に困難である。例えば、ナンバープレートは、ある種の再帰反射特性を提供することが望ましい。この点に関して、ナンバープレートが発行される少なくとも幾つかの国で、ある種の要求がある可能性がある。例えば、反射されなければならない光の強度に、制限がある可能性がある。入射光に関係してナンバープレートから反射されるべき光の角度について、更なる要求がある可能性がある。その上、再帰反射シートの再帰反射側に向けられた、又はこれから反射される光の吸収が、最小限であることが望ましい。光が均一にナンバープレートから再帰反射されることも、通常は望ましい。
【0010】
比較的低い電力消費を提供する、及びエネルギー損失を最小限にする、例えば照明を提供することに関係する要素の中での光強度の損失を最小限にする、解決策も必要とされる。それらの要素及びナンバープレートが、車両での使用中に丈夫であって耐久性があることも望ましい。内部照明式ナンバープレートの効果を、特に自動車設計に関して、最大限に利用可能にする解決策を見出すことも、望ましいであろう。この解決策が容易及び便利であって、ナンバープレート及び/又は車両のコストを増大しない、又は少なくとも実質的に増大しないことが、更に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様は、車両用のナンバープレートに関する。ナンバープレートは、透明なポリマー材料Aを含む光ガイドを含む。透明なポリマー材料A中には、透明なポリマー材料Aの中の光を散乱させるために、材料Bが、分配されている。ナンバープレートは、更に、光ガイドの第一の側に面する再帰反射面を有する、再帰反射シートを含む。好ましくは、透明なポリマー材料Aがマトリックスを形成し、材料Bが粒子を形成し、光ガイドの中の光を散乱させるために、粒子が、マトリックス中に分配される。
【0012】
用語「再帰反射面」により、光がその側に当たるときにそれから再帰反射される、再帰反射シートの側を意味する。
【0013】
本発明は、典型的には、効率的なナンバープレート照明を提供するという利点をもたらす。例えば、ナンバープレートの該当する部分を十分に照明するのに、最小限の光強度が必要とされる可能性がある。別の利点は、典型的には、照明の等質性が最適化される可能性があることである。更に、ナンバープレートは、本発明と共に使用されてもよいような光ガイドの比較的高い透明性のために、様々な良好な光学特性を有する可能性がある。最適化された均質な照明の1つの態様が、光源(単数又は複数)から遠い方向にナンバープレートを横切る照明強度の低下を減少する可能性がある。本発明は更に、再帰反射シートの再帰反射効率を維持しやすくしてもよい。効率的な照明と再帰反射効率の維持が共に達成される可能性があることも、本発明の利点である。別の利点は、再帰反射シートと光ガイドとの間に配置されてもよい、印の保護の可能性によりもたらされてもよく、そのようにして偽造の容易性を低減する。本発明が、印の裏照明(照らされた背景上の照らされていない印)及び/又は印の前照明(照らされた背景上の照らされた印)を可能にしていることも、有利である。ナンバープレートが照明及び光散乱のための別個の層を必要としないので、更に別の利点がもたらされる可能性がある。本発明のナンバープレートはまた、一般に、比較的低コストで製造が容易である。便利なことに、本発明によるナンバープレートは、既存設備又はわずかに改造しただけの設備を使用する、既存ナンバープレート用の既存製造方法で、生産可能である。
【0014】
再帰反射シートの再帰反射側は、光を実質的にその光源方向へ戻すことを可能にする。更に、再帰反射側へ向けられた光は、実質的に入射角には独立に、実質的にその光源方向へ帰される。
【0015】
粒子が作られる材料Bは、典型的には、ポリマー材料、例えば透明なポリマー材料である。特定の実施形態では、粒子は、透明なポリマー材料Aに埋め込まれるときに、透明である。
【0016】
特定の実施形態では、材料Bが、ある屈折率を有し、及び透明なポリマー材料Aが、ある屈折率を有して、材料Bの屈折率が、透明なポリマー材料Aの屈折率と異なる。特に、粒子が、ある屈折率を有し、及びマトリックスが、ある屈折率を有して、粒子とマトリックスの屈折率が、相互に異なる。屈折率の間の差は、光ガイドの高分子マトリックス内で光の最適な散乱を得るように、及び光ガイド内で光の所望の均一分布を達成するように、当業者により都合よく選定可能である。
【0017】
一般に、材料Bは、透明なポリマー材料Aの屈折率と少なくとも0.01ユニット異なる屈折率を有する。より好ましくは、光散乱用の粒子は、マトリックスの屈折率と少なくとも0.01ユニット異なる屈折率を有する。材料B又は粒子と材料A又はマトリックスの屈折率の間の差はそれぞれ、典型的には0.01〜0.122、とりわけ0.01〜0.03である。
【0018】
特に、材料Bの屈折率は、好ましくは、透明なポリマー材料Aの屈折率よりも高く、更に特には、材料Bの屈折率は、透明なポリマー材料Aの屈折率よりも、好ましくは0.01ユニット高く、最も好ましくは、0.02ユニット高い。より好ましくは、粒子の屈折率は、好ましくは、マトリックスの屈折率よりも高く、より特に、粒子の屈折率は、マトリックスの屈折率よりも、好ましくは0.01ユニット高く、最も好ましくは0.02ユニット高い。
【0019】
材料Bは、好ましくは、透明なポリマー材料Aの0.01重量%〜20重量%の量で、透明なポリマー材料A中に分配される。より好ましくは、光散乱用の粒子は、マトリックスの0.01重量%〜20重量%の量で、マトリックス中に分配される。
【0020】
光散乱用の粒子は、好ましくは、1μm〜50μmの、より好ましくは2μm〜20μmの平均径を有する。粒径の標準偏差は、好ましくは、0.1kgのマトリックスの中に分配された粒子の平均径の30%未満である。
【0021】
本発明の実施形態では、透明なポリマー材料A及び/又はマトリックスは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びこれらの混合物の少なくとも1つを含む。更に、材料B及び/又は粒子は、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びこれらの混合物の少なくとも1つを含んでもよい。
【0022】
透明なポリマー材料Aとして及び/又はマトリックス用に使用されてもよいポリマー材料には、一般に、ポリカーボネート類などの熱可塑性ポリマー類、ポリメチルメタクリレートなどのポリメタクリレート類、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート類及びポリエチレンナフタレート類などのポリエステル類、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、及びアクリロニトリルやスチレンやブタジエンのターポリマー類が挙げられる。透明なポリマー材料A及び/又はマトリックスは更に、架橋材料を包含してもよい。
【0023】
ある実施形態では、光ガイドは、好ましくは特に、光ガイドの少なくとも透明なポリマー材料A及び/又はマトリックスは、冷間形成可能である。本発明に関連して「冷間形成可能」により、隆起域が、例えば印が、周辺温度(20℃〜35℃)にて光ガイド中に形成可能であること、及びナンバープレートが暴露される場合がある高温において、例えば自動車両が太陽に曝されるときの高温において、そのような隆起域が安定であることを意味する。
【0024】
そのような隆起域の形成は、例えば、エンボス加工又は深絞り加工のような機械的変形によって、実施されてもよい。このことは、通常は、ポリマー材料が十分な熱安定性を有することを要し、すなわち、ポリマー材料は、典型的には、60℃〜85℃の温度までで熱安定であるべきである。十分な熱安定性が無いと、ナンバープレートの印は、光ガイド中に形成されている場合、時がたてば、消えていく又はゆがむ可能性がある。このことは、光ガイドのエンボス加工により印が冷間形成されるとき、エンボス加工の間にポリマー材料中に作り出される応力のために、特にあてはまる。マトリックス用に使用されてもよい冷間形成可能な透明なポリマー材料には、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。
【0025】
特定の実施形態では、透明なポリマー材料Aは、第一のポリメチルメタクリレートを含み、及び材料Bは、好ましくは、第二のポリメチルメタクリレートを含む。更に、マトリックスは、第一のポリメチルメタクリレートを含んでもよく、及び粒子は、第二のポリメチルメタクリレートを含んでもよい。好ましくは、第一と第二のポリメチルメタクリレートは、異なる屈折率を有する。
【0026】
透明なポリマー材料A及び/又はマトリックスは、好ましくは、アクリル系のポリマーを、とりわけ、少なくとも50重量%のポリメチルメタクリレートを含む。材料B及び/又は粒子はそれぞれ、好ましくは、アクリル系のエステルを、とりわけ、材料B及び/又は粒子の80重量%までの濃度でメタクリル酸のエステルを含む。
【0027】
特定の実施形態では、光ガイドは、1mm〜20mmの厚さを有してもよい。光ガイドは、とりわけ、1mm〜3mmの厚さを、好ましくは2.25mmの平均厚さを有してもよい。
【0028】
本発明と共に使用するための再帰反射シートは、非透明シートであっても、半透明シートであっても、又は透明シートであってもよい。本発明に関連して使用するための透明な再帰反射シートは、単一層のシートであってもよいが、通常は多層シートである。再帰反射シートは、微小球に基づく再帰反射シートであっても、いわゆるコーナーキューブに基づく再帰反射シートであってもよい。「ビーズ付着板化」と呼ばれることもある微小球を基にする薄板化は、当該技術分野において周知であり、及び多数の微小球が、例えばガラス又はセラミックの微小球が含まれ、これらは、典型的には、少なくとも部分的に結合剤の層に埋め込まれて、鏡面又は拡散性の反射材料に関係付けられる。反射材料は、微小球の機能的後ろに設けられるべきである。「機能的後ろ」により、微小球と共に光を再帰反射するような方法で、反射材料が微小球の後ろに設けられることを意味する。これは、典型的には、反射材料が微小球の上に直接設けられるか、又は間隔コーティングにより微小球からわずかに間隔を離されて、微小球の焦点に対して調節されることを意味する。微小球に基づく薄板化を説明する例が、米国特許第4,025,159号(マクグラス(McGrath))。同第4,983,436号(ベイリー(Bailey))、同第5,064,272号(ベイリー)、同第5,066,098号(クルト(Kult))、同第5,069,964号(トリバー(Tolliver))、及び同第5,262,225号(ウィルソン(Wilson))に開示されている。
【0029】
本発明の一実施形態における反射材料は、反射層、例えば金属層とすることができる。誘電体ミラーも、反射層として、又は金属層との組合せで、設けられてもよい。誘電体ミラーは、米国特許第3,700,305号明及び同第4,763,985号にて開示されている、既知の誘電体ミラーに類似であってもよい。
【0030】
微小球と共に誘電体ミラーを使用する際、微小球は、典型的には、屈折率nを有し、その上に屈折率nを有する透明材料の層が配置される。屈折率nを有する透明材料の反対面は、屈折率nを有する材料に接触する。n及びnは両方とも、nよりも高いか又は低くて、少なくとも0.1の、好ましくは少なくとも0.3の屈折率を有する。透明な材料は、典型的には、約380〜約1,000ナノメートルの波長範囲内の光の約1/4波長の奇数倍(すなわち、1、3、5、7...)に相当する光学的厚さを有する層である。したがって、n>n<n、又はn<n>nのいずれかであって、透明層の両側上の材料は、両方とも屈折率がnより高い、又は両方ともより低いのいずれであってもよい。nがn及びnの両方より高いとき、nは、好ましくは、1.7〜4.9の範囲内にあり、n及びnは、好ましくは、1.2〜1.7の範囲内にある。逆に、nがn及びnの両方より低いとき、nは、好ましくは、1.2〜1.7の範囲内にあり、n及びnは、好ましくは、1.7〜4.9の範囲内にある。誘電体ミラーは、好ましくは、少なくとも1つが層の形体であって、交互する順番の屈折率を有する、材料の連続配列を含む。好ましい実施形態では、連続配列は、2〜7層を、好ましくは3〜5層を有する。望ましくは、全てが光に透明な材料であって、透き通って又は本質的に色が無く、光の吸収を最小限にする。所望の屈折率範囲内の透明材料を提供するのに使用されてもよい多数の化合物の中にあるのは:CdS、CeO、CsI、GaAs、Ge、InAs、InP、InSb、ZrO、Bi、ZnSe、ZnS、WO、PbS、PbSe、PbTe、RbI、Si、Ta、Te、TiOなどの高屈折率材料;Al、AlF、CaF、CeF、LiF、MgF、NaCl、NaAlF、ThOF、過フルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン他のエラストマーのコポリマーなどの低屈折率材料である。その他の材料は、「薄膜現象(Thin Film Phenomena)」、K.L.チョプラ(K. L. Chopra)、750ページ、マクグロウヒルブック社(McGraw-Hill Book Company)、ニューヨーク(New York)、1969年に報告されている。好ましい続き層は、クライオライト(NaAlF)及び硫化亜鉛を含有する。
【0031】
誘電体ミラー又は類似の多層反射性コーティングはまた、例えばJP 06−347622、米国特許第6,172,810号、同第6,224,219号、同第6,243,201号、及び同第6,350,034号にて開示されているように、コーナーキューブの薄板化との組合せで使用することができる。
【0032】
コーナーキューブの薄板化は、プリズムミラー、マイクロプリズムミラー、3枚ミラー、又は内部全反射の薄板化と呼ばれることがあり、典型的には、多数のコーナーキューブ要素を包含して、入射光を再帰反射する。コーナーキューブ再帰反射器には、典型的には、概ね平面状の前面と裏面から突き出るコーナーキューブ要素の配列とを有する、シートを包含する。コーナーキューブ反射要素には、一般に、単一のコーナーですなわちキューブコーナーで交わる、3つの相互にほぼ垂直な横方向面を有する、三面構造が含まれる。使用に際して、そのようなコーナーキューブ再帰反射器は通常、その前面を意図される観察者の予期される場所に概ね向けて配置される。前面上に入射した光は、シートに入り、要素の3面のそれぞれによって通過してシートの本体を反射され、前面上に入射した光の光源に実質的に向く方向へ前面を出るようになっている。内部全反射の場合、空気境界面は、汚れ、水、及び接着剤が無しのままでなければならず、したがって、封止フィルムに封入される。あるいは、反射性コーティングが、コーナーキューブの横面上に塗布されてもよい。塗布可能で好適な反射性コーティングには、透明な反射性金属層又は上述の誘電体ミラーが挙げられる。コーナーキューブ要素が反射性コーティングを備えるときも、それらは意図される観察者の予期される場所に概ね向いて位置する構成で使用することができる。
【0033】
コーナーキューブ薄板化用のポリマーには、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリウレタン類、並びにエチレンのコポリマー類及びアイオノマー類が挙げられる。コーナーキューブの薄板化は、米国特許第5,691,846号(ベンソンジュニア(Benson, Jr.))に記載されているように、フィルム上に直接鋳造することによって調製されてもよい。放射線硬化されるコーナーキューブ用のポリマーには、多機能性アクリレート類のような架橋されたアクリレート類、又はエポキシ類、並びに単機能及び多機能性のモノマーとブレンドされたアクリル化ウレタン類が挙げられる。更に、コーナーキューブは、より可撓性があるキャストされたコーナーキューブ薄板化を得るために、可塑化ポリ塩化ビニルのフィルム上に鋳造されてもよい。これらのポリマーは、1つ以上の理由のために使用されることが多く、熱安定性、環境安定性、透明性、工具又は型からの優れた剥離性、及び反射性コーティングの受取り能力などが挙げられる。
【0034】
本発明のある実施形態では、コーナーキューブ薄膜化は、コーナーキューブ薄膜化のコーナーキューブ要素を有する側に結合された更なるポリマー層を有して、複数の閉じたセルを形成するようになっていてもよく、これにより、コーナーキューブ要素に空気境界面がもたらされる。コーナーキューブに基づく再帰反射性薄膜化を説明する例が、米国特許第4,588,258号(フープマン(Hoopman))、同第4,775,219号(アップルドーン(Appledorn)ら)、同第4,895,428号(ネルソン(Nelson))、同第5,138,488号(スクゼック(Szczech));同第5,387,458号(パベルカ(Pavelka));同第5,450,235号(スミス(Smith))、同第5,605,761号(バーンス(Burns))、同第5,614,286号(ベイコンジュニア(Bacon Jr.));及び同第5,691,846号(ベンソンジュニア(Benson, Jr.))にて開示されている。
【0035】
本発明のある実施形態では、再帰反射シートは、変形可能なものであり、例えば、冷間(例えば20℃〜35℃)形成可能又は温間(例えば65℃〜300℃)形成可能である。用語「変形可能」により、変形区域及び/又はそのような変形区域に隣接する区域では再帰反射特性が悪くなっている、又は無くなっている可能性があることも考えられている。特定の実施形態では、再帰反射シート及び光ガイドは、変形可能である、例えば、冷間形成可能又は温間形成可能である。好ましい実施形態では、再帰反射シートと光ガイドは、冷間形成可能な積層体を形成している。そのような積層体は、光ガイド及び/若しくは再帰反射シートの上に又はその間に配置された、更なる層を含んでもよい。
【0036】
本発明のある実施形態では、少なくとも1つの光透過性の層が、再帰反射シートと光ガイドとの間に配置される。例えば、接着剤の層が、再帰反射シートを光ガイドに付着させるのに使用されてもよい。
【0037】
ナンバープレートは通常、該当する規制要求に従う形状及び寸法を有する。
【0038】
ナンバープレートは通常、該当する当局により発行された可能性があるものとしての識別コードを表す、印を含む。特定の実施形態では、印の少なくとも一部が、ナンバープレートの前面上に配置される。印の少なくとも一部は、ナンバープレートの前面上に直接配置されても、間接的に配置されてもよい。印の間接配置とは、例えば、追加の層(単数又は複数)が印とナンバープレートとの間に配置されてもよいことを意味する。
【0039】
ナンバープレートの前面は、観察者が印を認識するために通常見る側でもある。
【0040】
ナンバープレートの前面は、好ましくは、光ガイドの第二の側に相当しており、この側は、再帰反射シートに面する第一の側に反対側である。光ガイドがその第二の側上に更なる層(単数又は複数)を有する場合、ナンバープレートの前面は、好ましくは、最前層の外側表面に相当する。
【0041】
印は、識別コードを表してもよい。更に、印は、例えば、国若しくは州のロゴ、又はナンバープレートの発行日を示すコードを含んでもよい。印はまた、セキュリティコード及び/又はナンバープレート製造者の表示を含んでもよい。印の少なくとも幾つかは、例えば、OCR(光学的文字認識)フォント又はバーコードの形態でのような、機械読み取り可能な形態であってもよい。
【0042】
ナンバープレートの印は、ナンバープレートの生産に使用されているいずれかの技法により形成することができる。例えば、印は、特に識別コードを表すものは、例えば熱転写印刷又はインクジェット印刷によって、印刷されてもよい。印はまた、接着性フィルムから切り出されて、ナンバープレートの層の上に付着されてもよい。印は、ナンバープレートの前面上に印刷されても、又は別の方法で適用されても、例えば接着剤で付着されてもよく、又はナンバープレートに埋め込まれてもよい。
【0043】
ナンバープレートの前面は、印の少なくとも一部を画定する構造を含んでもよい。とりわけ、印の少なくとも一部は、ナンバープレートの前面に対して隆起する構造により画定されてもよい。隆起する印により、印がナンバープレートの前面から突き出ていることを意味する。そのような印は、典型的には、ナンバープレートの前面にほぼ平行な隆起表面を形成する。印は、ナンバープレートの前面に対して、通常は0.3mm〜20mm、好ましくは0.5mm〜15mmで隆起してもよい。隆起する印は、好ましくは、光ガイド及び再帰反射シートの変形によって、例えば、光ガイドを再帰反射シートと共にエンボス加工又は深絞り加工することによって作成される。この場合、光ガイドと再帰反射シートは、組立品又は積層体を形成していてもよい。印の隆起面は、好ましくは、印を不透明にするために、又は少なくとも透明性をナンバープレートの背景よりも低下させるために、着色される。隆起面は、典型的には、箔のホットスタンピング又はインクでのロールコーティングによって、着色されてもよい。
【0044】
一般的に、印は通常、ナンバープレートの背景域とは異なる色を有する。背景域は、例えば、再帰反射シートの再帰反射側により表されてもよく、これがナンバープレートの前面を通して見えてもよい。例えば、そのような背景域は、一般に明るい例えば白色であってもよく、印は、黒色、緑色、赤色、又はいずれか他の好適な色であってもよい。
【0045】
観察者が印を直接見られるように、印は、ナンバープレートの前側に配置されてもよい。そのような印はまた、容易に接近可能であってもよく、このことは、例えば公的検査などについての情報のような可変情報を印が含む場合、有利なことがある。
【0046】
本発明のある実施形態では、印の少なくとも一部は、再帰反射シートと光ガイドとの間に配置される。そのような印は、永久的情報であっても、例えば、絵、国若しくは州のロゴ、又はセキュリティコードであってもよい。この実施形態の印は、再帰反射シートと光ガイドとの間に配置されているので、変更又は磨耗に対して、例えば、洗車による風化及び磨耗に対して、又は偽造に対して、保護されてもよい。
【0047】
任意の実施形態では、印はまた、ナンバープレートの裏側に配置されてもよい、再帰反射シート及び光ガイドの後ろの意味である。この場合の印は、例えば、光ガイドに面する再帰反射側に反対の再帰反射シート上に配置されてもよい。このことは、例えば乳白色又は半透明の再帰反射シートが使用される場合、ナンバープレートの後ろ側に適用された印は、粉塵や引っ掻きなどから保護される可能性があるので、有利なことがある。
【0048】
印の(i)光ガイドの前側、(ii)光ガイドと再帰反射シートとの間、又は(iii)再帰反射シートの後ろ側の配置はまた、組み合わされてもよい。
【0049】
第二の態様において、本発明は、本発明によるナンバープレートを作成する方法に関しており、これは、
i.光ガイドを提供する工程であって、該光ガイドが、光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子を含む透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む、光ガイドを提供する工程と、
ii.再帰反射側を有する再帰反射シートを提供する工程と、
iii.再帰反射側を光ガイドに向けて、再帰反射シートを光ガイドに繋ぐ工程とを含む。
【0050】
方法は更に、印を光ガイドに及び/若しくは再帰反射シートに、又はナンバープレートの更なる層に、適用する工程を含んでもよい。光ガイドと再帰反射シートはまた、相互に固着されてもよい。光ガイドと再帰反射シートは、例えば、熱間若しくは冷間積層によって、又はこれらの組合せによって、固着されてもよい。
【0051】
別の実施形態では、再帰反射シートを光ガイドに繋ぐ工程は、例えば積層工程は、接着剤の使用を含んで、接着剤が、光ガイドと再帰反射シートとの間に配置されてもよい。
【0052】
本発明の更なる実施形態では、方法は更に、ナンバープレートを変形させて、印を画定する構造を作り出す工程を含む。そのような変形は、好ましくは、エンボス加工を含む。そのようなエンボス加工は、好ましくは、周辺温度(20℃〜35℃)にて、印の表示を有するテンプレートをナンバープレートの上に押すことによって、実行される。そのようなテンプレートは、例えば、鋼、黄銅、又はガラス繊維強化エポキシなどの、金属又は熱硬化性ポリマー材料で作成されてもよい。
【0053】
方法は更に、ナンバープレートを加熱する工程を含んでもよい。例えば、ナンバープレートが加熱されて、少なくとも光ガイドが柔軟にされてもよい。それにより、光ガイドが少なくとも部分的に加熱されてもよく、そのように柔軟にされた区域(単数又は複数)は、印を表示するテンプレートが積層体上に押し付けられている間に、変形しても、例えばエンボス加工されてもよい。それ故に、この方法により、本発明によるナンバープレートは、現況技術のエンボス加工された金属ナンバープレートを作成するのに通常使用されている設備を使用することによって、作成可能になる。
【0054】
本発明の別の実施形態では、方法は更に、印を着色する工程を含んでもよい。このことは、印刷によって、例えば、インクジェット、凹版印刷、スクリーン印刷、又はフレキソ印刷によってなされてもよい。印はまた、熱転写印刷又はホットスタンピングによって、例えば、着色ワックスのリボンの層をその上に転写することによって、着色されてもよい。
【0055】
印が隆起構造により画定されている場合、着色は、コーティングによって、例えば、ナンバープレートの隆起区域上をインクでローリングすることによって、なされてもよい。
【0056】
そのような印刷又はコーティングは、既存製造設備で作り出されてもよい。
【0057】
本発明の第三の態様は、本発明によるナンバープレートを含むナンバープレート組立品を対象とする。ナンバープレート組立品は更に、光源を含む。光源は、好ましくは、光ガイドの側面の1つ以上又は全てに配置される。そのようにして、光源が光ガイドを照らしてもよい。
【0058】
ナンバープレート組立品は、ユーザーがナンバープレートを光源と共に組立及び分解できるように構成されていてもよい。光源は、1つ又は一連の発光ダイオード(LED)を含んでもよい。光源はまた、LED(単数又は複数)に加えて、少なくとも1つの白熱電球、放電灯、及びこれらの組合せを含んでもよい。
【0059】
本発明の第四の態様は、ナンバープレートを保持するための装置に関する。その装置は、
− 透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む光ガイドであって、マトリックス内の光を散乱させるための材料Bの粒子がマトリックス中に分配された、光ガイドと、
− ナンバープレート構成要素を保持するための受容器とを含み、ナンバープレート構成要素が、
− 再帰反射側を有する再帰反射層、及び
− 再帰反射側の前側の印を含み、
組立品が、ナンバープレート構成要素を保持して、その再帰反射面を光ガイドに向けるように構成されているものである。用語「再帰反射側の前側の印」は、光ガイドと再帰反射層との間の印の位置に関係する。再帰反射層は、再帰反射シートについて上で指定されたように作成されてもよい。特に、ナンバープレート構成要素と共に使用するための再帰反射層は、コーナーキューブに基づいてもよい。そのような層は、好ましくは、微小球に基づくものであり、このことは、多数の微小球が、例えば、ガラス又はセラミックの微小球を包含し、少なくとも部分的に結合剤の層に埋め込まれて、鏡面又は拡散性反射材料に関係付けられていることを意味する。反射材料は、好ましくは、微小球の機能的に後ろに設けられる。反射材料は、本発明の一実施形態では、反射層とし、例えば金属層にすることができる。
【0060】
ナンバープレート構成要素はまた、基材層を含んでもよく、これは好ましくは、再帰反射層及び印の後ろに配置される。換言すれば、再帰反射層は、好ましくは、基材層の上に配置されて、再帰反射側を基材層から遠くへ向ける。ある実施形態では、例えば、基材層が金属層、特にアルミニウム層である場合、基材層はまた、反射層として働いてもよい。好ましくは、印が、再帰反射層の再帰反射側の上に直接又は間接的に配置される。印は、隆起構造により形成されてもよい。そのような印は、例えば、基材層を再帰反射層と共に冷間(例えば20℃〜35℃)エンボス加工することにより、作成されてもよい。印はまた、例えば、本明細書で説明された方法のいずれかの使用によって、着色されてもよい。ナンバープレート構成要素は、例えば、今日の車両上で普通に使用されているような、従来型ナンバープレートに相当してもよい。
【0061】
ナンバープレートを保持するための装置の特定の実施形態は、ナンバープレート構成要素が中に収容されてもよい受容器を少なくとも部分的に画定する、ハウジングを含む。ハウジングは、好ましくは、ナンバープレート構成要素を囲むように構成されている。ハウジングは、ホルダーフレーム及びカバーを含んでもよい。例えば、ホルダーフレーム及びカバーは、相互に分離可能に取り付け可能であって、ナンバープレート構成要素用の閉鎖ケースを形成するようになっていてもよい。
【0062】
好ましくはハウジングの前側である、ハウジングの1つの側面は、光ガイドを含んでもよい。好ましくは、光ガイドがカバー内に収容される、例えば、光ガイドが、カバーの窓を満たしてもよい。任意の実施形態では、カバーは、光を散乱させるための材料Bの粒子がその中に分配された、透明なポリマー材料Aのマトリックスで完全に作成されてもよい。換言すれば、光ガイドは、好ましくは、ハウジングの中に保持されてもよいナンバープレート構成要素の少なくとも印の外観をハウジングを通して提供するように、ハウジング内で寸法決めされて配置されている。
【0063】
光ガイドは、受容器に隣接して配置されてもよい。ナンバープレート構成要素がハウジングの中に保持されるとき、光ガイドが、好ましくは、ナンバープレート構成要素に接触して、例えば、ナンバープレート構成要素を適所にクランプする。代替実施形態では、ハウジングは、ハウジング内に保持されたナンバープレート構成要素から光ガイドが離間するように、設計されている。そのような間隔は、例えば、0.5mm〜4mmの範囲であってもよい。この場合、ナンバープレート構成要素は、別のやり方でハウジングに固定されてもよく、例えば、ハウジングのいずれかの部分に接着されても、又はホルダーフレーム若しくはカバーに配置されたフックにより固定されてもよい。
【0064】
特定の実施形態では、ナンバープレート構成要素は、印を光ガイドに向けて、ハウジングの受容器の中に配置される。好ましくは、印の少なくとも一部が、光ガイドに接触する。
【0065】
更なる実施形態では、装置は更に、光ガイドを照らすための光源を含んでもよい。光源は、好ましくは、ハウジングの中に、受容器に隣接して配置される。光源は、好ましくは、特に、光ガイドの照明を可能にするために、光ガイドの側面に隣接して配置される。光源は、LEDでも、従来の白熱電球でも、放電灯でもよい。任意に、光源は、ハウジングの窓であって、窓を通る外部光源によって光ガイドの照明を可能にしてもよい。そのような外部光源は、例えば、今日の車両内で普通に使用されているような、従来型光源であってもよい。
【0066】
ナンバープレートを保持するための装置は、概ね防水性であってもよい。例えば、組立てのとき、封止を使用して、組立品上のカバーでホルダーフレームを封止してもよい。
【0067】
本装置は、好ましくは、車両を本発明のナンバープレートで改装するように構成されている。
【0068】
本発明のある実施形態は、本発明によるナンバープレートを改装する方法を対象としており、それは、
i.光ガイドを提供する工程であって、光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子がその中に分配された、透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む、光ガイドを提供する工程と、
ii.光ガイドの第一の側に面する再帰反射面を有する再帰反射シートを提供する工程とを含んで、
再帰反射シートが基材層の上に配置されているものである。
【0069】
ナンバープレートを改装する方法は更に、ハウジングを車両に組み込む工程を、特に、ホルダーフレームを車両に取り付けて、カバーをホルダーフレームに取り付ける工程を、含んでもよい。更に、ナンバープレートを改装する方法は、ハウジングの光源を車両の電気回路に電気接続する工程を含んでもよい。
【0070】
本発明の第5の態様は、ナンバープレートがそれから得られてもよい、ナンバープレート半加工品に関するものであり、ナンバープレート半加工品は、
− 光ガイドであって、光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子がその中に分配された、透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む、光ガイドと、
− 光ガイドの第一の側に面する再帰反射面を有する再帰反射シートとを含んで、
ナンバープレート半加工品の一部を少なくとも取り去ることによって、ナンバープレート半加工品が、本発明によるナンバープレートを得ることを可能にするものである。ナンバープレート半加工品は、好ましくは、連続シートであって、連続プロセスにより、例えば、押出し及び/又は積層によって提供されてもよい。ナンバープレートが、例えば、より大きなナンバープレート半加工品のより小さな区域をパンチングする、又は切り出すことによって、得られてもよい。印は、ナンバープレート半加工品に付加されても、又はナンバープレートに付加されても、いずれでもよい。
【0071】
ナンバープレート半加工品を作成する方法は、
i.透明なポリマー材料Aを提供する工程であって、その中には、少なくとも透明なポリマー材料A内の光を散乱させるための材料Bが分配されており、透明なポリマー材料A及び材料Bが光ガイドを形成している、透明なポリマー材料Aを提供する工程と、
ii.再帰反射シートを提供する工程と、
iii.光ガイド及び再帰反射シートを組み合わせて、ナンバープレート半加工品を形成する工程とを含んでもよい。
【0072】
ナンバープレート半加工品を作成する方法は更に、ナンバープレート半加工品の一部を分離して、ナンバープレートを形成する工程を含んでもよい。
【0073】
本発明の第6の態様は、本発明のナンバープレートを含む車両に関する。
【0074】
本発明によるナンバープレートを変形するための装置を提供することが、本発明の第7の態様である。ナンバープレートを変形するための装置は、ナンバープレートを少なくとも部分的に加熱するためのヒータを含んで、ナンバープレートを変形させるように構成されている。変形装置は、好ましくは、ナンバープレートを変形させるためのスタンプを含んで、印の少なくとも一部を画定する構造を作り出すようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態による、印を有するナンバープレートの概略的な分解図である。
【図2】本発明の実施形態による、光源と組合せの光ガイドの概略図である。
【図3】本発明の実施形態による、再帰反射シートと光ガイドとの間に配置された印を有する、ナンバープレートの概略的な断面図である。
【図4】本発明の実施形態による、ナンバープレートの前面に配置された印を有する、ナンバープレートの概略的な断面図である。
【図5】本発明の実施形態による、再帰反射シート及び光ガイドの後ろに配置された印を有する、ナンバープレートの概略的な断面図である。
【図6】本発明の実施形態による、隆起した印を有する、ナンバープレートの概略的な断面図である。
【図7】本発明の実施形態による、ナンバープレート構成要素及び光ガイドにより形成された、ナンバープレートの概略的な断面図である。
【図8】本発明の実施形態による、ナンバープレートを保持するための装置の概略的な断面図である。
【図9】本発明の実施形態による、ナンバープレートを保持するための別の装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1には、車両用のナンバープレート1が、分解図で概略的に示されている。ナンバープレート1は、光ガイド2及び再帰反射シート3を含む。再帰反射シートは、光ガイド2の後ろ側9に面する再帰反射面11を有する。好適な再帰反射シートとしては、上で参照されたものが挙げられる。
【0077】
図示される例では、印4が、再帰反射シートと光ガイド2との間に配置されており、印5が、光ガイド2の前側10に配置されている。しかしながら、他の実施形態では、印は、再帰反射シートと光ガイドとの間又は光ガイドの前側のいずれに配置されてもよい。「光ガイドの前側10」は、光ガイドの再帰反射シートに反対の側である。「前側10における」印の配置は、光ガイド上の直接又は間接の配置を包含する。印が光ガイド上に間接的に配置される場合、少なくとも1つの中間層が、印5と光ガイド2との間に配置されてもよい。例えば、光ガイドの表面を引っ掻きのような機械的衝撃から保護するための保護被膜が、印と光ガイドとの間に配置されてもよい。代わりに又は加えて、他の中間層が、使用されてもよい。そのような中間層は、例えば、光フィルター特性又は表面反射のような、ある種の光学特性を提供してもよい。更に、中間層は、例えば、容易な洗浄性を(例えば「ハス効果」をもたらす表面構造によって)提供してもよい。
【0078】
図示例では、印4(「123」)が、一連のナンバープレートにわたって同一の、例えば一国の全てのナンバープレートが備える、国に関係する情報である、標準コードであってもよい。印5が、それぞれの個々のナンバープレートに独自の可変情報であってもよい。
【0079】
図2は、光ガイド2をより詳細に、及びとりわけ光ガイド2のある区分を、概略的に示す。光ガイド2は、その中に材料Bの透明な粒子7が分配された透明なポリマー材料Aを含む、マトリックス8を有する。材料Bは、好ましくは、別の透明なポリマー材料である。前述のように、図2は、光ガイドの内部構造の例を概略的に説明するだけのものである。粒子の形状、寸法、量、及び分布は、図に示されるものと異なってもよい。
【0080】
図2は更に、光ガイド2の側壁に配置された光源12を示す。図示例では、光源12はLEDであるが、例えば、1つ又は一連のLED、白熱電球、放電灯、及びこれらの組合せのような、いずれかの好適な光源が使用されてもよい。破線により示されるようにLEDが光ガイドを照らすとき、光ガイドに進入した光は、粒子とマトリックスの界面において散乱される。粒子と組合せのマトリックスにより達成される光ガイドの光学特性のために、光ガイドに進入した光は、光ガイド内で実質的に均質に散乱される。この理由のために、光ガイドは、側壁から照らされるとき、少なくとも前側及び後ろ側の主側面9及び10から、概ね均質の拡散光を放出する。透明な粒子を使用しているので、光ガイドはまた、光ガイドと再帰反射シートとの間に配置されてもよい再帰反射シート、及び、印の、ほぼ損なわれていない外観を提供する。したがって、本発明は、効果的なナンバープレートの照明を提供し、及び同時に再帰反射シートの再帰反射効率を維持しやすくするという点で、有利である。
【0081】
図3〜5は、光ガイド2、再帰反射シート3、及び光源12を有する、ナンバープレート1の実施形態の分解断面図を示す。それらの実施形態は、光ガイド2及び再帰反射シート3に相対的に異なる配置の印4、5、6を有する、ナンバープレート1を示す。図3は、光ガイド2と再帰反射シート3との間に配置された印4を示し、図4は、光ガイド2の前側の印5を示し、並びに図5は、再帰反射シート3及び光ガイド2の後ろ側の印6を示す。図3〜5に示されるような配置はまた、図1にて既に示されたような組合せであってもよく、これは、図3と4の実施形態の組合せに実質的に相当する。図4と5、3と5、並びに3、4及び5の組合せも、本明細書に包含される。
【0082】
図6は、光ガイド20、再帰反射シート30、及び印50を有する、ナンバープレートの実施形態を示す。そのナンバープレートは、隆起部分51を有し、これが好ましくは印50を担持する。あるいは又は加えて、印50は、ナンバープレートの窪み部分上に配置されてもよい。隆起部分は、エンボス加工により作成されても、例えば冷間及び/又は熱間形成により設けられてもよい。好ましい実施形態では、光ガイド20と再帰反射シート30は、共に積層されている。積層体は、更なる層を、例えば、積層体の他の層を共に保持する接着層を含んでもよい。
【0083】
任意に、積層体は、接着剤を使用せず熱積層によって共に積層可能な、少なくとも2つの層を含む。そのような層は、好ましくは、ポリカーボネート、非晶質のポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのターポリマー、ポリ塩化ビニル、又はこれらの組合せから作成される。この任意の実施形態の好ましい変異型では、前述の材料の1つが、とりわけポリカーボネートが、光ガイドのマトリックスを実質的に形成する。その場合、光ガイドの透明な粒子は、好ましくは、マトリックス材料のものとは異なる屈折率を有する高分子材料で作成される。
【0084】
図6に示される実施形態の隆起部分は、好ましくは、印50が隆起部分上のインクの層により形成されるように、インクを塗られる。いずれかの実施形態の印はまた、少なくとも1つの被膜層の使用によって、例えば着色又は黒色の被膜層の使用によって、作り上げられてもよい。1つ以上の被膜層及びインクはまた、組み合わされて、印を形成してもよい。印は、光ガイドに面する側で明るい表面を、例えば白色、銀色、又はメタリックの表面を有して、ある種の反射を提供するようになっていてもよい。このことが、ナンバープレートの照明強度の損失を最小限にしやすくなる可能性がある。好ましくは、そのような明るい表面が、光ガイドの前側に配置された印との組合せで使用される。明るい側の反対側は、より暗くても、例えば黒色でもよい。
【0085】
図7は、光ガイド2、再帰反射層32、及び印52を有する、ナンバープレートの別の実施形態を示す。再帰反射層32は、基材層13と例えば積層によって組み合わされて、ナンバープレート構成要素14を形成する。基材層13は、好ましくは、金属層、例えばアルミニウム層、又はプラスチック層である。金属層はまた、鋼で作成されてもよい。印52が、好ましくは、ナンバープレート構成要素14の隆起部分上に配置される。別の方法としては、又は追加的に、印52は、ナンバープレート構成要素14の窪み部分上に配置されてもよく、又はナンバープレート構成要素は、概ね平らなパネルであって、その上に適用された、例えば印刷された印を有してもよい。ナンバープレート構成要素14は、取り外し可能に光ガイド2と組み合わされてもよい。
【0086】
図8及び9は、本発明によるナンバープレートを保持するための装置の実施形態を示す。ナンバープレートを保持するための装置は、ホルダーフレーム60及びカバー61により形成される、ハウジングを含む。しかしながら、一実施形態では、ハウジングは任意である(図示せず)。ナンバープレートを保持するための装置は更に、光源12を含み、これはLEDとして示されているが、上で説明されたような他の光源も可能である。ハウジングは、本発明のいずれかの実施形態によるナンバープレートを取り外し可能に保持するように構成されていてもよい。ハウジングは更に、車両に取り付けられるように構成されていてもよい。
【0087】
図8は、光源12を有して、本発明のナンバープレートの取り外し可能な組合せを提供する実施形態を示す。図8に示されるナンバープレートは、図6に示される実施形態に概ね相当する。
【0088】
図9は、とりわけ、本発明によるナンバープレートを保持するための装置を示す。その装置は、図7にも示されたようなナンバープレート構成要素14を含む。光ガイド2’とナンバープレート構成要素14が、本発明によるナンバープレートを形成する。光ガイド2’は、ナンバープレート構成要素14から取り外し可能である。図示される実施形態では、光ガイドは、ヒンジ連結によって、ホルダーフレーム60に保持されている。しかしながら、プラグ、クランプ、スナップ留め、又はねじ連結のような、他の連結も可能である。その連結により、好ましくは、光ガイドがナンバープレート構成要素14から分離可能になって、ナンバープレート構成要素14をハウジングから取り出し可能、又はハウジングに挿入可能にしている。また、好ましくは、その連結により、光ガイドが、ナンバープレートから分離されている間も、例えばヒンジの場合によくあるように、ハウジングに取り付けられたままで保持される。
【0089】
この実施形態のナンバープレート組立品により、ナンバープレート構成要素14が、ハウジング及び光ガイド2’とは独立に製造可能になる。光ガイド2’を有するハウジングは、例えば、車両に取り付けられる又は車両の一部である標準部品であってもよく、ナンバープレート構成要素14が、それに取り外し可能に組合せ可能であってもよい。ハウジングが装置の任意構成要素である場合、光ガイド2’及び光源12は、車両に取り付けられた部品であってもよく、及びナンバープレート構成要素14が、光ガイド2’及び光源12に取り外し可能に組合せ可能であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のナンバープレートであって、
i.光ガイドであって、前記光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子がその中に分配された、透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む、光ガイドと、
ii.前記光ガイドの第一の側面に面する再帰反射面を有する再帰反射シートと、を含む、ナンバープレート。
【請求項2】
光を散乱させるための前記粒子が、1μm〜50μmの平均直径を有し、かつ前記粒子及び前記マトリックスが屈折率を有し、前記粒子と前記マトリックスの前記屈折率が互いに異なる、請求項1に記載のナンバープレート。
【請求項3】
光を散乱させるための前記粒子が、前記マトリックスの0.01重量%〜20重量%の量で、前記マトリックス中に分配されている、請求項1又は2に記載のナンバープレート。
【請求項4】
前記マトリックスが、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びこれらの混合物の少なくとも1つを含み、かつ前記粒子が、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びこれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項5】
前記マトリックスが、第一のポリメチルメタクリレートを含み、かつ前記粒子が、第二のポリメチルメタクリレートを含み、前記第一と第二のポリメチルメタクリレートが、異なる屈折率を有する、請求項4に記載のナンバープレート。
【請求項6】
前記光ガイドが、1mm〜20mmの厚さを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項7】
前記再帰反射シートが、透明な微小球の層及び反射層を含み、前記透明な微小球の層が、前記光ガイドと前記反射層との間に配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項8】
少なくとも1つの光透過性の層が、前記再帰反射シートと前記光ガイドとの間に配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項9】
識別コードを表す印を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項10】
前記印の少なくとも一部が、前記ナンバープレートの前面上に配置されており、前記前面は、直接的又は間接的に、前記光ガイドの第二の側面上の表面である、請求項9に記載のナンバープレート。
【請求項11】
前記前面が、前記印の少なくとも一部を画定する構造を含み、かつ前記印が、前記ナンバープレートの背景域と異なる色を有する、請求項10に記載のナンバープレート。
【請求項12】
前記印の少なくとも一部が、前記再帰反射シートと前記光ガイドとの間に配置されている、請求項9〜11のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項13】
前記印の少なくとも一部が、前記前面に関して隆起する構造により画定される、請求項9〜12のいずれか一項に記載のナンバープレート。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項にて規定されるナンバープレートを作成する方法であって、
i.光ガイドを提供する工程であって、該光ガイドが、光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子を含む透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む、光ガイドを提供する工程と、
ii.再帰反射側を有する再帰反射シートを提供する工程と、
iii.前記再帰反射側を前記光ガイドに向けて、前記再帰反射シートを前記光ガイドに繋ぐ工程と、を含む、方法。
【請求項15】
前記光ガイド及び前記再帰反射シートの一方に、印を貼り付ける工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光ガイドと前記再帰反射シートが、ホット又はコールドラミネーションによって、相互に固着される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記ラミネーションが接着剤の使用を含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ナンバープレートを変形して、印を画定する構造を作り出す工程を更に含む、請求項14〜17の方法。
【請求項19】
前記ナンバープレートを加熱する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記印を着色する工程を更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか一項にて規定されるナンバープレート、及び前記光ガイドを照明するための、前記光ガイドの1つ以上の側面に配置された光源を含む、ナンバープレート組立品。
【請求項22】
ユーザーが、前記光源と共に選択的に組立て及び分解するように構成された、請求項21に記載のナンバープレート組立品。
【請求項23】
前記光源が、1つ又は一連の発光ダイオード(LED)を含む、請求項21又は22に記載のナンバープレート組立品。
【請求項24】
ナンバープレートを保持するための装置であって、
光ガイドであって、前記光ガイド内の光を散乱させるための材料Bの粒子がその中に分配された、透明なポリマー材料Aのマトリックスを含む、光ガイドと、
ナンバープレート構成要素を保持するための受容器と、を含み、前記ナンバープレート構成要素が、
再帰反射側を有する再帰反射層、及び
前記再帰反射側の前側の印を含み、
組立品が、前記ナンバープレート構成要素を保持して、その再帰反射面を前記光ガイドに向けるように構成されている、装置。
【請求項25】
前記光ガイドを照明するための光源を更に含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
請求項1〜13にて規定されるナンバープレートを含む車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−523396(P2010−523396A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502168(P2010−502168)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055329
【国際公開番号】WO2008/121475
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】