説明

照明付き撮影装置

【課題】赤外線照明装置と撮影装置本体の向きの調整が簡単かつ正確にできる照明付き撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】LED群搭載基板12等を搭載し、撮影対象物19に赤外光20を照射する赤外線照明装置22と、赤外光20で照らされた撮影対象物19を撮影する撮影装置本体24とを備えたものであって、LED群搭載基板12等に、赤外線照明装置22の赤外光20照射方向とほぼ同一の方向にレーザ光28を発射するレーザ発光素子30を設ける。あるいは、LED群搭載基板12等に、赤外線照明装置22の赤外光の照射方向を撮影する撮像素子を設けると共に、撮影装置本体24が撮影した画像と撮像素子が撮影した画像とを並べて表示するモニタディスプレイとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、防犯カメラ、夜間観察カメラ、交通監視カメラ、駐車場監視カメラ等の撮影装置本体と赤外線照明装置とを組み合わせて使うのに好適な照明付き撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線カメラと組み合わせて使う赤外線照明装置で、複数の赤外線LED(Light Emitting Diode)を光源とするものは知られている。特に多数のLEDを例えば、マトリクス状に配置したパネル状の光源は全体として大きな光量となることから、様々な照明として利用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。撮影対象物の高輝度照明用として、多数の赤外線LEDを縦横に配列したLED群搭載基板が使用されている。
【特許文献1】特開平11―195307号公報
【特許文献2】特開平11―195317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
赤外線照明装置で撮影対象物に赤外光を照射してもその照射光は見えないが、これを赤外光感知カメラ等の撮影装置本体で撮影することはできる。しかし、照明装置が正確に撮影対象物を照らしていなければ、撮影は失敗する可能性大である。
赤外線照明装置から照射される赤外光は照射範囲が広がるため、撮影対象物に対して照射領域が少しずれていても撮影は可能であった。しかしながら、撮影対象物が高速で走行する車であったり、しかも車の一部を認識できる程度に精密に撮影する必要がある場合には照明光が正確に対象物に照射されていることが重要になる。照明が不足すると認識精度が下がるからである。
【0004】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、赤外線照明装置と撮影装置本体の向きの調整が簡単かつ正確にできる照明付き撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
LED群搭載基板、LED駆動回路、制御回路を搭載し、撮影対象物に赤外光を照射する赤外線照明装置と、赤外光で照らされた上記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、上記LED群搭載基板、もしくは上記赤外線照明装置を固定する雲台に配設され、上記赤外線照明装置の赤外光照射方向とほぼ同一の方向にレーザ光を発射するレーザ発光素子とを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0006】
LED群搭載基板、もしくはLED群搭載基板を固定する雲台に設けたレーザ発光素子から発射される可視光のレーザ光を見ながら撮影装置本体の向きを調整することによって、失敗のほとんどない撮影ができる。すなわち、赤外線照明装置を撮影対象物に向けるとレーザスポットが光る。これを撮影装置本体側から見て撮影装置本体あるいは赤外線照明装置の向きを調整する。この調整処理は、赤外線照明装置と撮影装置本体の向きを撮影本番前に調整しておく作業に利用する。従って、一度、撮影装置本体あるいは赤外線照明装置の向きを正確に調整した後は、本番時は調整処理不要である。
【0007】
〈構成2〉
LED群搭載基板、LED駆動回路、制御回路を搭載し、撮影対象物に赤外光を照射する赤外線照明装置と、赤外光で照らされた上記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、上記LED群搭載基板もしくは上記赤外線照明装置を固定する雲台に配設され、上記赤外線照明装置の赤外光の照射方向を撮影する撮像素子と、上記撮影装置本体が撮影した画像と上記撮像素子が撮影した画像とを並べて表示するモニタディスプレイとを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0008】
撮像素子として、例えばCCDモジュールを使用する。CCDモジュールは解像度の低い安価なものでよい。CCDモジュールで撮影した画像を、例えば、モニタディスプレイの上半分に表示し、撮影装置本体で撮影した画像をモニタディスプレイの下半分に表示する。両者を見比べて赤外線照明装置及び撮影装置本体を適宜動かして向きを調整する。本番の撮影前の調整なので、一度、赤外線照明装置及び撮影装置本体の向きを正確に調整した後は、本番時の調整不要である。
【0009】
〈構成3〉
構成2に記載の照明付き撮影装置において、上記撮影装置本体が撮影した画像と上記撮像素子が撮影した画像を、赤外線信号に変換して上記モニタディスプレイに無線で送信するようにしたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【0010】
赤外線照明装置及び撮影装置本体の向きの調整作業を簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1の照明付き撮影装置を示すブロック図、図2は同撮影装置に使用される赤外線照明装置を示す正面図、図3は同撮影装置の使用態様を示す説明図である。
図1において、実施例1の照明付き撮影装置は、撮影対象物に赤外光20を照射する赤外線照明装置22と、赤外光20で照らされた撮影対象物を撮影する撮影装置本体24と、レーザ光28を発射するレーザ発光素子30とを備えている。
【0013】
赤外線照明装置22は、ケース11内に、LED群搭載基板12、LED駆動回路14、制御回路15、電源18をそれぞれ搭載してなるものである。制御回路15は、LED駆動回路14によるLEDの発光強度が安定するように制御するために設けられている。電源18は、LED駆動回路14、制御回路15、レーザ発光素子30をそれぞれ動作させるための電源である。赤外線照明装置22と撮影装置本体24とは、互いに近傍に配置され、ケーブル等を介して同期接続されている。
【0014】
図2に示されるように、赤外線照明装置22のLED群搭載基板12は、例えば、縦が約15cm、横が約10cmの四辺形をなすボードに、赤外線LED13を、20列、20行で計400個を配列して構成されている。符号16はLED群搭載基板12の取付け用貫通孔を示し、同基板の四隅に設けられている。また、符号17は、LED群搭載基板12の電路、すなわちLED駆動回路14や電源18に連結される電気端子を示している。
【0015】
レーザ発光素子30は、図2に示されるように、LED群搭載基板12の隅部等の任意の位置に配設されている。但しLED発光光軸とポインターの光軸が平行となるよう固定されている。レーザ発光素子30は、赤外線照明装置22を固定する雲台26に配設されてもよい。状況に応じて適宜位置決めされる。雲台26は三脚27を有する周知の構成をなすものである。
【0016】
図3に示されるように、赤外線照明装置22を撮影対象物19に向けて赤外光20を発射すると共に、レーザ発光素子30からも可視光のレーザ光28を発射する。このとき、レーザ発光素子30から発射されるレーザ光28は、赤外線照明装置22の赤外光20照射方向とほぼ同一の方向、好ましくは赤外光20の照射領域のほぼ中心に向けられている。
【0017】
レーザ発光素子30から発射される可視光のレーザ光28を見ながら照明装置あるいは撮影装置本体24の向きを調整する。すなわち、赤外線照明装置22を撮影対象物19に向けるとレーザスポットが光る。これを撮影装置本体24側から見て撮影装置本体24の向きを調整する。従って、照明による失敗のない撮影ができる。
【実施例2】
【0018】
図4は、実施例2の照明付き撮影装置を示す説明図であり、実施例1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
図4において、実施例2の照明付き撮影装置は、撮影対象物に赤外光20を照射する赤外線照明装置22と、赤外光20で照らされた撮影対象物を撮影する撮影装置本体24と、赤外線照明装置22のLED群搭載基板12に配設される撮像素子34と、撮像素子34が撮影した画像37と撮影装置本体24が撮影した画像38とを並べて表示するモニタディスプレイ36とを備えている。撮像素子34はLED群搭載基板12を固定する雲台26に配設されてもよい。いずれにしても、撮像素子34は赤外線照明装置22の赤外光の照射方向を撮影するようにされている。
【0019】
撮像素子34としては、CCDモジュールが使用される。このCCDモジュールは解像度の低い安価なものでよい。
CCDモジュールで撮影した画像37は、例えば、モニタディスプレイ36の上半分に表示される。撮影装置本体24で撮影した画像38はモニタディスプレイ36の下半分に表示される。両者を見比べながら赤外線照明装置22及び撮影装置本体24を適宜動かして向きを調整する。
【0020】
撮影装置本体が撮影した画像38と撮像素子が撮影した画像37とは、赤外線信号に変換されてモニタディスプレイ36に無線で送信するようにしてもよい。このようにした場合には、赤外線照明装置22及び撮影装置本体24の方向調整の作業が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の照明付き撮影装置を示すブロック図である。
【図2】同撮影装置に使用される赤外線照明装置を示す正面図である。
【図3】同撮影装置の使用態様を示す説明図である。
【図4】実施例2の照明付き撮影装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
11 ケース
12 LED群搭載基板
13 赤外線LED
14 LED駆動回路
15 制御回路
16 取付け用貫通孔
17 電子端子
18 電源
19 撮影対象物
20 赤外光
22 赤外線照明装置
24 撮影装置本体
26 雲台
27 三脚
28 レーザ光
30 レーザ発光素子
34 撮像素子
36 モニタディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED群搭載基板、LED駆動回路、制御回路を搭載し、撮影対象物に赤外光を照射する赤外線照明装置と、
赤外光で照らされた前記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、
前記LED群搭載基板、もしくは前記赤外線照明装置を固定する雲台に配設され、前記赤外線照明装置の赤外光照射方向とほぼ同一の方向にレーザ光を発射するレーザ発光素子とを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項2】
LED群搭載基板、LED駆動回路、制御回路を搭載し、撮影対象物に赤外光を照射する赤外線照明装置と、
赤外光で照らされた前記撮影対象物を撮影する撮影装置本体と、
前記LED群搭載基板もしくは前記赤外線照明装置を固定する雲台に配設され、前記赤外線照明装置の赤外光の照射方向を撮影する撮像素子と、
前記撮影装置本体が撮影した画像と前記撮像素子が撮影した画像とを並べて表示するモニタディスプレイとを備えたことを特徴とする照明付き撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明付き撮影装置において、
前記撮影装置本体が撮影した画像と前記撮像素子が撮影した画像を、赤外線信号に変換して前記モニタディスプレイに無線で送信するようにしたことを特徴とする照明付き撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−98848(P2006−98848A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286048(P2004−286048)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【出願人】(593074824)株式会社エルテル (12)
【Fターム(参考)】