照明器具及びそれを用いた陳列棚装置
【課題】棚照明において、棚の奥の照度を上げる。
【解決手段】 蛍光ランプが取付けられる器具本体10と、この器具本体を支え、器具本体と垂直方向に取り付けられる支持部材20とを備え、器具本体は、支持部材の一部が前記器具本体の長さ方向にスライド移動可能に挿入される凹部を、側面に有する照明器具において、凹部の底面に複数の開口部14を有し、複数の開口部から蛍光ランプからの光を取り出す。器具本体10は、蛍光ランプを発光させるための安定器を収納する収納部12と、蛍光ランプを配置する配置部13とが隣接して配され、配置部の側面に凹部が設けられている。
【解決手段】 蛍光ランプが取付けられる器具本体10と、この器具本体を支え、器具本体と垂直方向に取り付けられる支持部材20とを備え、器具本体は、支持部材の一部が前記器具本体の長さ方向にスライド移動可能に挿入される凹部を、側面に有する照明器具において、凹部の底面に複数の開口部14を有し、複数の開口部から蛍光ランプからの光を取り出す。器具本体10は、蛍光ランプを発光させるための安定器を収納する収納部12と、蛍光ランプを配置する配置部13とが隣接して配され、配置部の側面に凹部が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明器具及びそれを用いた陳列棚装置に係わり、特に、複数段の棚のうちの一の棚の下面に配置され、該一の棚の下段の棚を照明する、陳列棚装置用の照明器具及びそれを用いた陳列棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陳列棚装置の棚照明に用いる照明器具としては、例えば、特許文献1にその構成が記載されている。
【0003】
図11は棚照明装置用の照明器具の構成を示す説明図、図12は照明器具を支柱に取り付けた状態を示す図である。
【0004】
図11において、101は蛍光ランプが取付けられた器具本体、102a,102bは器具本体101を支える腕受具で、器具本体101の側面に設けられた凹部(溝)について器具本体101の長手方向(長さ方向)にスライド可能となっている。腕受具102a,102bの間隔は図12の支柱106a,106bの間隔(ブラケット105a,105bの間隔ともなる)に合わせて設定される。
【0005】
また、103a,103bは棚ストッパーであり、図12の棚108の位置を設定するためのものである。104a,104bは断面が「コ」の字状の腕部材であり、その端部に腕受具102a,102bの先端部が挿入されて固定されるとともに、ブラケット105a,105bに掛けられ固定されるようになっている。ブラケット105a,105bは図12に示すように、それぞれ支柱106a,106bの所定の位置に取付けられる。107は器具本体101を電源と電気的接続するための配線であり、支柱と平行に設けられたコンセントに接続される。図12では棚は一段示されているが、実際は、棚は2段以上の複数段設けられており、棚の下面に設けられた照明器具は棚の下方向(下段の棚上や台上)を照明する。
【0006】
この構成の照明器具は棚下に安定器、蛍光ランプの順に配される構成となっているので、照明器具の棚下の長さが大きくなる。
【0007】
それに対して、安定器と蛍光ランプとを棚に対して平行に配置する構成が特許文献2に開示されている。この構成は、図11、図12に示した構成に比べて、照明器具の棚下の長さを短くできる利点がある。
【特許文献1】特開平10−50138号公報(公報の図7、図8)
【特許文献2】特開平7−240114号公報(公報の図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献2(公報の図7)に開示された、安定器と蛍光ランプとを棚に対して平行に配置する構成の照明器具においては、蛍光ランプが取り付けられた器具本体は蛍光ランプ下の棚上は照度が高いが、棚奥方向では照度が低下する課題がある。
【0009】
なお、棚上で照度差が生ずる課題は、安定器と蛍光ランプとを棚に対して平行に配置する構成の照明器具に限らず、蛍光ランプからの光が、カバーや器具本体の側面で遮られて、棚の奥方向に照射されにくい構成の照明器具に共通の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の照明器具は、複数段の棚のうちの一の棚の下面に配置され、該一の棚の下段の棚を照明する、陳列棚装置用の照明器具であって、
直線状の蛍光ランプを有し、前記蛍光ランプの長さ方向に対して平行な側面に一又は複数の開口部を有し、該一又は複数の開口部から前記蛍光ランプからの光を取り出してなる照明器具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、器具本体の側面の開口部から蛍光ランプからの光を取り出すことができるので、棚上の照度差を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態の、陳列棚装置に用いる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。図2は本実施形態の陳列棚装置を示す構成図、図3は比較例となる陳列棚装置を示す構成図である。
【0014】
図1に示す照明器具の器具本体81は、断面が「コ」の字状をなす箱形形状である。ただし、このような形状に限定されず、例えば断面は「U」字状であっても、全体形状は器具本体の長さ方向と垂直な一又両方の側面81bはなくてもよい。器具本体81内に蛍光ランプ91が配置されて照明器具が構成される。照明器具の一側面81aには複数の開口部82が設けられ、蛍光ランプ91からの光が取り出される。
【0015】
図2に示されるように、陳列棚装置94には台上に3つの棚93が設けられる。ただし、棚の数は2以上であればよく、3つに限定されない。照明器具を陳列棚装置94の棚93の下面に取り付け、下段の棚93の上や台上を照明する。ここでは図示されていないが、棚上や台上には商品や展示品が載せられている。
【0016】
図2に示すように、商品や展示品が陳列棚装置94の前から見やすく、直接照明が目に入らないように、照明器具は棚の中央から前に配置されていることが多い。図3に示すように、比較例として示した複数の開口部を有しない器具本体95では、照明器具の直下は明るいが陳列棚装置の背面側では図3に示すように、棚93上の照度が低い領域96が生じてしまう。一方、本実施形態では照明器具の一側面81aに複数の開口部82を設けているので、開口部82から光を取り出し、図3の領域96のような陳列棚装置の背面側に光が照射できる。器具本体の側面81aに設ける開口部82は特に複数でなくてもよく、1つであってもよいが、開口部が1つの場合、機械的強度が低下するため、複数設けることが望ましい。
【0017】
本実施形態において、棚の背面側から照明器具が視認できる構成とすれば、開口部82を通して蛍光ランプ91の発光状態や電極近傍の黒化状態が確認できるので、蛍光ランプ91の交換時期を容易に判断することができる。このような開口部82がない場合には、器具本体の下側から蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態を観察することになるが、下の段の棚に配置された照明器具ではより低い位置から見上げる必要があるので観察は容易ではない。
【0018】
なお、陳列棚装置によっては、照明器具を棚の奥に配置する場合もあり、この場合は、図1の側面81aと対向する側面に開口部82を設けて棚の前を照明することができる。
【0019】
以上説明した照明器具を取り付ける陳列棚装置の構成は特に限定されず、図11及び図12に示すようにブラケットに照明器具と棚が配置される場合もある。
【0020】
以下、本発明の照明器具の実施例について説明する。
【0021】
以下の実施例では、安定器を収納する収納部を設けているが、上述した実施形態のように収納室はなくてもよい。
【実施例1】
【0022】
図4は本発明の第1の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した分解図である。図5は開口部を含むように切断された器具本体の断面図である。図6はブラケットに照明器具を取り付けた状態を示す図である。図7は器具本体10を下から見た図である。ここでは、本実施例の照明器具を図12に示したような棚照明用に用いた場合について説明する。既に説明したように、図12では棚は1段のみ示されているが、実際は、棚は2段以上の複数段設けられており、棚下に設けられた照明器具は棚の下方向の下段の棚上や図2に示す台上を照明する。なお、図4〜図7は照明器具の構成を概略的に示したもので、器具本体や支持部材の長さ、幅、比率等は実際の製品形態を示すものではない。
【0023】
器具本体10は、フレーム部11と、フレーム部11によって形成される、直線状の蛍光ランプ30を発光させるための安定器を収納する収納部12と、収納部12に隣接する、蛍光ランプを配置する配置部13とを有する。
【0024】
器具本体10の収納部12には安定器を収納している。収納部12は器具本体10の長さと同じでもよいが、安定器を収納できればよいので、器具本体の長さよりも短くてもよい。
【0025】
器具本体10の配置部13には図7に示すように、蛍光ランプのソケット50が配され、蛍光ランプが取り付け可能となっている。電源からの配線は収納部12の安定器に接続され、さらに器具本体内で安定器とソケット50とが配線接続される。
【0026】
器具本体10は、器具本体10の長手方向(長さ方向)に対して垂直方向に取り付けられる支持部材20で支えられて、図6に示すブラケット40に取り付けられる。ブラケット40は図12のブラケット105a、105bと同様に支柱に取り付けられる。なお、図4及び図6では支持部材20、ブラケット40はそれぞれ一つ示されているが、図11の構成と同様に支持部材20、ブラケット40はそれぞれ2つ設けられ、2つの支持部材20で器具本体10を支持する。
【0027】
支持部材20は「T」字をなし、「T」字状部の根本の「I」字状部分21は断面が「コ」字状をなし、ブラケット40に載置可能となっている。「T」字状部の先端(支持部材の一部)の「−」状の平板部分22は、器具本体10の断面が「C」字状の長尺の凹部(溝)16に挿入される。平板部分22の一方の端部は不図示のくびれ部を介して折り返されている。22aは折り返し部を示す。折り返し部22aを除く平板部分は凹部16内に挿入され、折り返し部22aは凹部外に配される。折り返し部22aを除く平板部分は、凹部16内でスライド移動可能で、ブラケット40の配置間隔に合わせて配置される。そして、ネジ24により、折り返し部22aを締め付けることで平板部分22が凹部16内で固定される。「C」字状の長尺の凹部16は配置部13の側面に設けられる。支持部材20はネジ23でブラケット40に固定される。
【0028】
器具本体10の「C」字状の長尺の凹部(溝)16の底面には複数の開口部14が設けられており、これらの開口部14から蛍光ランプからの光が取り出し可能となっている。凹部16の底面に設けられた開口部14から光を照射できるので、図12に示した棚の奥の照度を上げることができる。また、棚の奥側から照明器具が視認できる構成とすれば、開口部14を通して蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態が確認できるので、蛍光ランプの交換時期を容易に判断することができる。このような開口部14がない場合には、器具本体の下側から蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態を観察することになるが、下の段の棚に配置された照明器具ではより低い位置から見上げる必要があるので観察は容易ではない。
【0029】
凹部16の底面の開口部の数は、本実施例では3つ設けられているが、その数は任意に設けられる。また開口部の形状も特に限定されるものではなく、円形や楕円形の開口部を複数設けることもできる。
【0030】
なお、本実施例では、支持部材を器具本体とブラケットとに取り付ける構成となっているが、図11に示すように支持部材を腕受具(腕受部材)と腕部材とに分離してもよい。
【0031】
また、支持部材は図1に示した構成に限られず、図8に示すようにブラケット40に穴又は突起部を設け(ここではブラケットの穴を設けた場合を示す)、穴に入り込む爪又は突起部が入り込む穴(ここでは爪73を設けた場合を示す)を先端に有する支持部材70を用いてもよい。
【0032】
図8の構成例では、支持部材70は「L」字をなし、「L」字状部の一部の「I」字状部分71は断面が「コ」字状をなし、その端部は先が尖がるように伸びている。その先が尖った部分に爪73を有し、その爪73をブラケットの穴に挿入し、支持部材70をブラケット40に載置することで、支持部材70がブラケット40に取り付けられる。「L」字状部の他の「−」字状部分72は、図1と同様に、器具本体の断面が「C」字状の長尺の凹部(溝)に挿入される。「−」字状部分72の一方の端部は不図示のくびれ部を介して折り返されている。
【0033】
以上支持部材の例を挙げて説明したが、支持部材の構成は特に本実施例の構成に限定されない。
【実施例2】
【0034】
図9は本発明の第2の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。本実施例の構成の第1の実施例の構成との違いは、支持部材によりブラケットに取り付けるのではなく、器具本体の長さ方向に対して直角な方向の両側面にブラケットに掛け止めするための掛け止め部材となるフック部材63を設けて、このフック部材63の先端のフック64により器具本体60をブラケット40に取り付けている点である。フック部材はネジ65でブラケット40に固定される。フック部材63は器具本体の長さ方向に自由に引き出し可能、収納可能となっており、ブラケットの間隔に合わせて照明器具がブラケットが取り付け可能となっている。61はフレーム部を示す。
【0035】
したがって、器具本体60には第1の実施例で示したような支持部材20,70は取り付けられず、開口部62が蛍光ランプの長さ方向に対して平行な側面に設けられている。この開口部62から図2と同様に蛍光ランプからの光が取り出し可能となり、棚の奥の照度を上げることができる。また、棚の奥側から照明器具が視認できる構成とすれば、開口部62を通して蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態が確認できるので、蛍光ランプの交換時期を容易に判断することができる。そして、本実施例では、支持部材20,70は取り付ないので、支持部材で開口部からの光が遮光されることはない。
【実施例3】
【0036】
図10は本発明の第3の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。図10に示すように、第1の実施例の構成と第2の実施例の構成とを組み合わせて、図4に示す「C」字状の長尺の凹部(溝)16を照明器具の側面に設けて、フック部材63と支持部材20とのいずれかをブラケットに取り付け可能な構成としている。図10では、凹部16を図示するために側板66を切り欠いて示している。
【0037】
以上本発明に係わる各実施例について説明したが、本発明に係わる照明器具が図4〜図10を用いて説明した照明器具に限定されるものではない。本発明の技術的思想は、器具本体の側面に開口部を設けることで、より蛍光ランプからの光を効率的に取り出すものなので、第1及び2の実施例における支持部材の形状や支持方式は他の形状や支持方式を採用してもよい。
【0038】
また以上説明した実施例ではブラケットに照明器具と棚が配置されているが、棚に直接ネジやビスを用いて照明器具を取り付けることもできる。さらに、収納室12、配置部13、凹部(溝)16の形状は特に本実施例の形状に限定されるものではない。
【0039】
また、各実施形態は、安定器を収納する収納部と、収納部12に隣接する、蛍光ランプを配置する配置部とを有する照明器具について説明したが、安定器は必ずしも照明器具内に設ける必要はなく、図11に示すブラケットや支柱に取り付けることもできる。そして、本発明はかかる構成にも適用可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は複数段の棚照明に用いる照明器具に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の、陳列棚装置に用いる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。
【図2】本実施形態の陳列棚装置を示す構成図である。
【図3】比較例となる陳列棚装置を示す構成図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した分解図である。
【図5】開口部を含むように切断された器具本体の断面図である。
【図6】ブラケットに照明器具を取り付けた状態を示す図である。
【図7】器具本体10を下から見た図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係わる支持部材の他の構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。
【図11】従来の棚照明用の照明器具の構成を示す説明図である。
【図12】照明器具を支柱に取り付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 器具本体
11 フレーム部
12 収納部
13 配置部
14 開口部
16 凹部
20 支持部材
30 蛍光ランプ
40 ブラケット
60 器具本体
70 支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は照明器具及びそれを用いた陳列棚装置に係わり、特に、複数段の棚のうちの一の棚の下面に配置され、該一の棚の下段の棚を照明する、陳列棚装置用の照明器具及びそれを用いた陳列棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陳列棚装置の棚照明に用いる照明器具としては、例えば、特許文献1にその構成が記載されている。
【0003】
図11は棚照明装置用の照明器具の構成を示す説明図、図12は照明器具を支柱に取り付けた状態を示す図である。
【0004】
図11において、101は蛍光ランプが取付けられた器具本体、102a,102bは器具本体101を支える腕受具で、器具本体101の側面に設けられた凹部(溝)について器具本体101の長手方向(長さ方向)にスライド可能となっている。腕受具102a,102bの間隔は図12の支柱106a,106bの間隔(ブラケット105a,105bの間隔ともなる)に合わせて設定される。
【0005】
また、103a,103bは棚ストッパーであり、図12の棚108の位置を設定するためのものである。104a,104bは断面が「コ」の字状の腕部材であり、その端部に腕受具102a,102bの先端部が挿入されて固定されるとともに、ブラケット105a,105bに掛けられ固定されるようになっている。ブラケット105a,105bは図12に示すように、それぞれ支柱106a,106bの所定の位置に取付けられる。107は器具本体101を電源と電気的接続するための配線であり、支柱と平行に設けられたコンセントに接続される。図12では棚は一段示されているが、実際は、棚は2段以上の複数段設けられており、棚の下面に設けられた照明器具は棚の下方向(下段の棚上や台上)を照明する。
【0006】
この構成の照明器具は棚下に安定器、蛍光ランプの順に配される構成となっているので、照明器具の棚下の長さが大きくなる。
【0007】
それに対して、安定器と蛍光ランプとを棚に対して平行に配置する構成が特許文献2に開示されている。この構成は、図11、図12に示した構成に比べて、照明器具の棚下の長さを短くできる利点がある。
【特許文献1】特開平10−50138号公報(公報の図7、図8)
【特許文献2】特開平7−240114号公報(公報の図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献2(公報の図7)に開示された、安定器と蛍光ランプとを棚に対して平行に配置する構成の照明器具においては、蛍光ランプが取り付けられた器具本体は蛍光ランプ下の棚上は照度が高いが、棚奥方向では照度が低下する課題がある。
【0009】
なお、棚上で照度差が生ずる課題は、安定器と蛍光ランプとを棚に対して平行に配置する構成の照明器具に限らず、蛍光ランプからの光が、カバーや器具本体の側面で遮られて、棚の奥方向に照射されにくい構成の照明器具に共通の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の照明器具は、複数段の棚のうちの一の棚の下面に配置され、該一の棚の下段の棚を照明する、陳列棚装置用の照明器具であって、
直線状の蛍光ランプを有し、前記蛍光ランプの長さ方向に対して平行な側面に一又は複数の開口部を有し、該一又は複数の開口部から前記蛍光ランプからの光を取り出してなる照明器具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、器具本体の側面の開口部から蛍光ランプからの光を取り出すことができるので、棚上の照度差を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態の、陳列棚装置に用いる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。図2は本実施形態の陳列棚装置を示す構成図、図3は比較例となる陳列棚装置を示す構成図である。
【0014】
図1に示す照明器具の器具本体81は、断面が「コ」の字状をなす箱形形状である。ただし、このような形状に限定されず、例えば断面は「U」字状であっても、全体形状は器具本体の長さ方向と垂直な一又両方の側面81bはなくてもよい。器具本体81内に蛍光ランプ91が配置されて照明器具が構成される。照明器具の一側面81aには複数の開口部82が設けられ、蛍光ランプ91からの光が取り出される。
【0015】
図2に示されるように、陳列棚装置94には台上に3つの棚93が設けられる。ただし、棚の数は2以上であればよく、3つに限定されない。照明器具を陳列棚装置94の棚93の下面に取り付け、下段の棚93の上や台上を照明する。ここでは図示されていないが、棚上や台上には商品や展示品が載せられている。
【0016】
図2に示すように、商品や展示品が陳列棚装置94の前から見やすく、直接照明が目に入らないように、照明器具は棚の中央から前に配置されていることが多い。図3に示すように、比較例として示した複数の開口部を有しない器具本体95では、照明器具の直下は明るいが陳列棚装置の背面側では図3に示すように、棚93上の照度が低い領域96が生じてしまう。一方、本実施形態では照明器具の一側面81aに複数の開口部82を設けているので、開口部82から光を取り出し、図3の領域96のような陳列棚装置の背面側に光が照射できる。器具本体の側面81aに設ける開口部82は特に複数でなくてもよく、1つであってもよいが、開口部が1つの場合、機械的強度が低下するため、複数設けることが望ましい。
【0017】
本実施形態において、棚の背面側から照明器具が視認できる構成とすれば、開口部82を通して蛍光ランプ91の発光状態や電極近傍の黒化状態が確認できるので、蛍光ランプ91の交換時期を容易に判断することができる。このような開口部82がない場合には、器具本体の下側から蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態を観察することになるが、下の段の棚に配置された照明器具ではより低い位置から見上げる必要があるので観察は容易ではない。
【0018】
なお、陳列棚装置によっては、照明器具を棚の奥に配置する場合もあり、この場合は、図1の側面81aと対向する側面に開口部82を設けて棚の前を照明することができる。
【0019】
以上説明した照明器具を取り付ける陳列棚装置の構成は特に限定されず、図11及び図12に示すようにブラケットに照明器具と棚が配置される場合もある。
【0020】
以下、本発明の照明器具の実施例について説明する。
【0021】
以下の実施例では、安定器を収納する収納部を設けているが、上述した実施形態のように収納室はなくてもよい。
【実施例1】
【0022】
図4は本発明の第1の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した分解図である。図5は開口部を含むように切断された器具本体の断面図である。図6はブラケットに照明器具を取り付けた状態を示す図である。図7は器具本体10を下から見た図である。ここでは、本実施例の照明器具を図12に示したような棚照明用に用いた場合について説明する。既に説明したように、図12では棚は1段のみ示されているが、実際は、棚は2段以上の複数段設けられており、棚下に設けられた照明器具は棚の下方向の下段の棚上や図2に示す台上を照明する。なお、図4〜図7は照明器具の構成を概略的に示したもので、器具本体や支持部材の長さ、幅、比率等は実際の製品形態を示すものではない。
【0023】
器具本体10は、フレーム部11と、フレーム部11によって形成される、直線状の蛍光ランプ30を発光させるための安定器を収納する収納部12と、収納部12に隣接する、蛍光ランプを配置する配置部13とを有する。
【0024】
器具本体10の収納部12には安定器を収納している。収納部12は器具本体10の長さと同じでもよいが、安定器を収納できればよいので、器具本体の長さよりも短くてもよい。
【0025】
器具本体10の配置部13には図7に示すように、蛍光ランプのソケット50が配され、蛍光ランプが取り付け可能となっている。電源からの配線は収納部12の安定器に接続され、さらに器具本体内で安定器とソケット50とが配線接続される。
【0026】
器具本体10は、器具本体10の長手方向(長さ方向)に対して垂直方向に取り付けられる支持部材20で支えられて、図6に示すブラケット40に取り付けられる。ブラケット40は図12のブラケット105a、105bと同様に支柱に取り付けられる。なお、図4及び図6では支持部材20、ブラケット40はそれぞれ一つ示されているが、図11の構成と同様に支持部材20、ブラケット40はそれぞれ2つ設けられ、2つの支持部材20で器具本体10を支持する。
【0027】
支持部材20は「T」字をなし、「T」字状部の根本の「I」字状部分21は断面が「コ」字状をなし、ブラケット40に載置可能となっている。「T」字状部の先端(支持部材の一部)の「−」状の平板部分22は、器具本体10の断面が「C」字状の長尺の凹部(溝)16に挿入される。平板部分22の一方の端部は不図示のくびれ部を介して折り返されている。22aは折り返し部を示す。折り返し部22aを除く平板部分は凹部16内に挿入され、折り返し部22aは凹部外に配される。折り返し部22aを除く平板部分は、凹部16内でスライド移動可能で、ブラケット40の配置間隔に合わせて配置される。そして、ネジ24により、折り返し部22aを締め付けることで平板部分22が凹部16内で固定される。「C」字状の長尺の凹部16は配置部13の側面に設けられる。支持部材20はネジ23でブラケット40に固定される。
【0028】
器具本体10の「C」字状の長尺の凹部(溝)16の底面には複数の開口部14が設けられており、これらの開口部14から蛍光ランプからの光が取り出し可能となっている。凹部16の底面に設けられた開口部14から光を照射できるので、図12に示した棚の奥の照度を上げることができる。また、棚の奥側から照明器具が視認できる構成とすれば、開口部14を通して蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態が確認できるので、蛍光ランプの交換時期を容易に判断することができる。このような開口部14がない場合には、器具本体の下側から蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態を観察することになるが、下の段の棚に配置された照明器具ではより低い位置から見上げる必要があるので観察は容易ではない。
【0029】
凹部16の底面の開口部の数は、本実施例では3つ設けられているが、その数は任意に設けられる。また開口部の形状も特に限定されるものではなく、円形や楕円形の開口部を複数設けることもできる。
【0030】
なお、本実施例では、支持部材を器具本体とブラケットとに取り付ける構成となっているが、図11に示すように支持部材を腕受具(腕受部材)と腕部材とに分離してもよい。
【0031】
また、支持部材は図1に示した構成に限られず、図8に示すようにブラケット40に穴又は突起部を設け(ここではブラケットの穴を設けた場合を示す)、穴に入り込む爪又は突起部が入り込む穴(ここでは爪73を設けた場合を示す)を先端に有する支持部材70を用いてもよい。
【0032】
図8の構成例では、支持部材70は「L」字をなし、「L」字状部の一部の「I」字状部分71は断面が「コ」字状をなし、その端部は先が尖がるように伸びている。その先が尖った部分に爪73を有し、その爪73をブラケットの穴に挿入し、支持部材70をブラケット40に載置することで、支持部材70がブラケット40に取り付けられる。「L」字状部の他の「−」字状部分72は、図1と同様に、器具本体の断面が「C」字状の長尺の凹部(溝)に挿入される。「−」字状部分72の一方の端部は不図示のくびれ部を介して折り返されている。
【0033】
以上支持部材の例を挙げて説明したが、支持部材の構成は特に本実施例の構成に限定されない。
【実施例2】
【0034】
図9は本発明の第2の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。本実施例の構成の第1の実施例の構成との違いは、支持部材によりブラケットに取り付けるのではなく、器具本体の長さ方向に対して直角な方向の両側面にブラケットに掛け止めするための掛け止め部材となるフック部材63を設けて、このフック部材63の先端のフック64により器具本体60をブラケット40に取り付けている点である。フック部材はネジ65でブラケット40に固定される。フック部材63は器具本体の長さ方向に自由に引き出し可能、収納可能となっており、ブラケットの間隔に合わせて照明器具がブラケットが取り付け可能となっている。61はフレーム部を示す。
【0035】
したがって、器具本体60には第1の実施例で示したような支持部材20,70は取り付けられず、開口部62が蛍光ランプの長さ方向に対して平行な側面に設けられている。この開口部62から図2と同様に蛍光ランプからの光が取り出し可能となり、棚の奥の照度を上げることができる。また、棚の奥側から照明器具が視認できる構成とすれば、開口部62を通して蛍光ランプの発光状態や電極近傍の黒化状態が確認できるので、蛍光ランプの交換時期を容易に判断することができる。そして、本実施例では、支持部材20,70は取り付ないので、支持部材で開口部からの光が遮光されることはない。
【実施例3】
【0036】
図10は本発明の第3の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。図10に示すように、第1の実施例の構成と第2の実施例の構成とを組み合わせて、図4に示す「C」字状の長尺の凹部(溝)16を照明器具の側面に設けて、フック部材63と支持部材20とのいずれかをブラケットに取り付け可能な構成としている。図10では、凹部16を図示するために側板66を切り欠いて示している。
【0037】
以上本発明に係わる各実施例について説明したが、本発明に係わる照明器具が図4〜図10を用いて説明した照明器具に限定されるものではない。本発明の技術的思想は、器具本体の側面に開口部を設けることで、より蛍光ランプからの光を効率的に取り出すものなので、第1及び2の実施例における支持部材の形状や支持方式は他の形状や支持方式を採用してもよい。
【0038】
また以上説明した実施例ではブラケットに照明器具と棚が配置されているが、棚に直接ネジやビスを用いて照明器具を取り付けることもできる。さらに、収納室12、配置部13、凹部(溝)16の形状は特に本実施例の形状に限定されるものではない。
【0039】
また、各実施形態は、安定器を収納する収納部と、収納部12に隣接する、蛍光ランプを配置する配置部とを有する照明器具について説明したが、安定器は必ずしも照明器具内に設ける必要はなく、図11に示すブラケットや支柱に取り付けることもできる。そして、本発明はかかる構成にも適用可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は複数段の棚照明に用いる照明器具に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の、陳列棚装置に用いる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。
【図2】本実施形態の陳列棚装置を示す構成図である。
【図3】比較例となる陳列棚装置を示す構成図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した分解図である。
【図5】開口部を含むように切断された器具本体の断面図である。
【図6】ブラケットに照明器具を取り付けた状態を示す図である。
【図7】器具本体10を下から見た図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係わる支持部材の他の構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例に係わる照明器具の構成を概略的に示した斜視図である。
【図11】従来の棚照明用の照明器具の構成を示す説明図である。
【図12】照明器具を支柱に取り付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10 器具本体
11 フレーム部
12 収納部
13 配置部
14 開口部
16 凹部
20 支持部材
30 蛍光ランプ
40 ブラケット
60 器具本体
70 支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の棚のうちの一の棚の下面に配置され、該一の棚の下方向を照明する、陳列棚装置用の照明器具であって、
直線状の蛍光ランプを有し、前記蛍光ランプの長さ方向に対して平行な側面に一又は複数の開口部を有し、該一又は複数の開口部から前記蛍光ランプからの光を取り出してなる照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、前記蛍光ランプが取付けられる器具本体と、該器具本体の長さ方向に対して直角な方向の両側面にブラケットに掛け止めするための掛け止め部材とを有することを特徴とする照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具において、前記蛍光ランプが取付けられる器具本体と、この器具本体を支え、前記器具本体の長さ方向に対して垂直方向に取り付けられる支持部材とを備え、
前記器具本体は、前記支持部材の一部が前記器具本体の長さ方向にスライド移動可能に挿入される凹部を、側面に有し、
該凹部の底面に前記一又は複数の開口部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項3に記載の照明器具において、前記器具本体の長さ方向に対して直角な方向の両側面にブラケットに掛け止めするための掛け止め部材を有することを特徴とする照明器具。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の照明器具において、前記器具本体は、前記蛍光ランプを発光させるための安定器を収納する収納部と、前記蛍光ランプを配置する配置部とを隣接して有し、前記配置部の側面に前記凹部が設けられていることを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項1に記載の照明器具において、直線状の蛍光ランプが取付けられる器具本体と、この器具本体を器具本体の側面側から支持する支持部材とを備え、
前記器具本体は、前記蛍光ランプを発光させるための安定器を収納する収納部と、前記蛍光ランプを配置する配置部とを隣接して有し、前記配置部は前記支持部材の配置側に配されてなり、
前記配置部の側面に前記一又は複数の開口部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の照明器具を用いた陳列棚装置。
【請求項1】
複数段の棚のうちの一の棚の下面に配置され、該一の棚の下方向を照明する、陳列棚装置用の照明器具であって、
直線状の蛍光ランプを有し、前記蛍光ランプの長さ方向に対して平行な側面に一又は複数の開口部を有し、該一又は複数の開口部から前記蛍光ランプからの光を取り出してなる照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、前記蛍光ランプが取付けられる器具本体と、該器具本体の長さ方向に対して直角な方向の両側面にブラケットに掛け止めするための掛け止め部材とを有することを特徴とする照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具において、前記蛍光ランプが取付けられる器具本体と、この器具本体を支え、前記器具本体の長さ方向に対して垂直方向に取り付けられる支持部材とを備え、
前記器具本体は、前記支持部材の一部が前記器具本体の長さ方向にスライド移動可能に挿入される凹部を、側面に有し、
該凹部の底面に前記一又は複数の開口部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項3に記載の照明器具において、前記器具本体の長さ方向に対して直角な方向の両側面にブラケットに掛け止めするための掛け止め部材を有することを特徴とする照明器具。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の照明器具において、前記器具本体は、前記蛍光ランプを発光させるための安定器を収納する収納部と、前記蛍光ランプを配置する配置部とを隣接して有し、前記配置部の側面に前記凹部が設けられていることを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項1に記載の照明器具において、直線状の蛍光ランプが取付けられる器具本体と、この器具本体を器具本体の側面側から支持する支持部材とを備え、
前記器具本体は、前記蛍光ランプを発光させるための安定器を収納する収納部と、前記蛍光ランプを配置する配置部とを隣接して有し、前記配置部は前記支持部材の配置側に配されてなり、
前記配置部の側面に前記一又は複数の開口部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の照明器具を用いた陳列棚装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−311061(P2008−311061A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157545(P2007−157545)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000111166)ニッポ電機株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000111166)ニッポ電機株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
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