照明器具
【課題】照明器具の直下のみではなく、その周辺についても明部を生じさせる照明器具。
【解決手段】側面に第1配置面、第2配置面を有する柱体状の基盤と、複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備し、複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、第1配置面上に基盤の長手方向に列状に配置され、複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、第2配置面上に基盤の長手方向に列状に配置され、第1LEDの光軸方向と第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値より小さい照明器具。
【解決手段】側面に第1配置面、第2配置面を有する柱体状の基盤と、複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備し、複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、第1配置面上に基盤の長手方向に列状に配置され、複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、第2配置面上に基盤の長手方向に列状に配置され、第1LEDの光軸方向と第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値より小さい照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばとう道内を照明するための照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル内の照明として、防水構造を施した蛍光灯を天井に配置させて使用していた。蛍光灯には様々な種類がある。
【特許文献1】特開2007−328963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の蛍光灯の寿命は8000時間程度である。また通信ケーブルなどを布設しているトンネル(とう道)では、結露などで更に寿命時間が短くなり、頻繁に蛍光灯が切れる。とう道内での作業中に蛍光灯が切れると、安全性の面から作業に支障が生じる。また、蛍光灯の交換作業コストもかかる。
【0004】
そこで、蛍光灯の替わりに発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下、単に「LED」という。)を用いることが考えられる。LEDは寿命が約40000時間であり、交換の必要があまり無く、小型軽量なので、交換工事コストが低い。また、蛍光灯と比較すると、消費電力が少なく、高照度なので、それらの点でもメリットがある。
【0005】
図1にLEDを用いた場合の照明空間の簡略化した断面図を示す。一点鎖線で示した箇所が照明空間になる。図1の例では基盤2をとう道の天井に設置し、基盤2の一面にLED4を図1の奥方向に一列に配置させた例である。LEDの照明光は指向性が高く、つまり、照明光の広がり角θ(図1記載)が小さく、照射できる範囲が狭いという特性がある。従って、被照明面について、LED4の直下のみに照明光があたり(図1の太線部分)、周辺には照明光が当たらない。よって、暗部(周辺)で作業を行う場合には安全性に問題がある。また、以下の説明では、被照射面において、照明光が当たる領域を明部といい、照明光が当たらない領域を暗部という。
【0006】
そこで、図2に示すように、明部を広げるために、薄型ドーム形状であり透光性のあるアクリル板6を、LED4を囲むように設置することが考えられる。このアクリル板6の設置により、照明光の広がり角θを大きくすることができ(図2ではθ’と記載)、直下のみではなく、周辺にも照明光を照明することができる。しかし、LED4よりの照明光がアクリル板6を通過することで、照明光の照度が落ちるという問題や、アクリル板6の材料コストや加工コストがかかるという問題がある。
【0007】
本願の発明では、長寿命、低消費電力、高照度、暗部が少ない、製作コストおよび交換コストが安価、を同時に達成できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の照明器具は側面に第1配置面、第2配置面を有する柱体状の基盤と、複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備している。前記複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第1配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置される。前記複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第2配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置される。前記第1LEDの光軸方向と前記第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値より小さい。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成による照明器具により、直下のみではなく、周辺にも照明光を照明することができ暗部も少なく出来る。また、LEDを用いているので当該照明器具は長寿命、低消費電力、高照度となる。また当該照明器具は長寿命であることから照明器具の交換の必要が無いので、結果として交換コストは安価になる。また、当該照明器具の構成が簡易なので製作コストも安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態を示す。なお、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行う過程には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
図3に実施例1の照明器具100の斜視図を示し、図4A、図4B、図4Cにそれぞれ照明器具100を取り付け台200に取付け、カバー部700(後述する)を装着させた場合のα方向、β方向、γ方向から見た平面図(以下、「三面図」という。)を示す。この発明の照明器具は、例えば、とう道内の作業する領域を照明するものであり、当該被照明面の上方(例えば、とう道の天井)に設置されるものである。作業する領域とは、天井と対向する面である地面やとう道の側壁面である。また、この実施例の照明器具100は、第1LED102を複数個と、第2LED104を複数個と、基盤106とを有する。また、この実施例では第1LED102、第2LED104としてそれぞれ、LEDチップを用いているが、通常のLEDを用いても良い。この実施例では基盤106は三角柱状であり、基盤106の側面のうち2面をそれぞれ、第1配置面106a、第2配置面106bとし、残りの一面を取り付け面106cとする。そして、複数の第1LED102はそれぞれの光軸方向が一致するように、第1配置面106a上に基盤106の長手方向に沿って配置され、複数の第2LED104はそれぞれの光軸方向が一致するように、第2配置面106b上に基盤106の長手方向に沿って配置される(図4A、図4B参照)。なお、図3は簡略化して記載しているので、図3記載の第1LEDの個数は、図4記載の第1LEDのそれより少ない。列状に並べられた複数の第1LED、第2LEDをそれぞれ、まとめて第1LED列1020、第2LED列1040という。なお、基盤の形状として、少なくとも側面に第1配置面、第2配置面、取り付け面を有している柱体状の形状であればよいが、三角柱状であれば、基盤の製作コストは安くしやすい。
【0012】
次に取り付け台200について説明する。この例では、取り付け台200は取り付け板202、第1固定部204、第2固定部212、電源部206、ケーブル収容部208、を有する。取り付け板202の両面のうち、一面を取り付け面202aとし、もう一方の面を反対面202bとする。そして、反対面202bの一端には第1固定部204が取り付けられ固定される。そして、取り付け板202の両端面のうち、第1固定部204が設置されている側と反対側の端面202cには、ケーブル収容部208が取り付け固定される。この例ではケーブル収容部208は直方体状であり、6面のうち1面には、第1固定部204と対向する位置に第2固定部212が取り付け固定される。反対面202bの中央より、ケーブル収容部208よりの位置には電源部206が取り付けられる。
【0013】
図5に簡略化した回路図を示す。プラグ210は、外部からの電力を電源部206に供給する。この例では、プラグ210は3層構造である。電源部206は、入力された電流を交流から直流に変換し、当該直流電流を第1LED列1020および第2LED列1040に供給する。この例では、第1LED列1020、第2LED列1040の順で直列に接続されている。
【0014】
ケーブル収容部208には、プラグ210から電源部206までのケーブル、および電源部206から第1LED列1020までのケーブルを保護しているケーブル保護管を収容している。ケーブル収容部208、電源部206は防水加工されている。また、第1固定部204および第2固定部212は、それぞれ切り欠き部204a、212aが設けられ、これら切り欠き部を貫通したねじ(図示せず)により、とう道の天井に固定される。
【0015】
図6に、照明器具100をとう道50の天井50Aに設置させた場合の照明空間の簡略化した図を示す。図6の例の場合の被照明面は、天井50Aと対向する地面50Cおよびとう道の側壁面50Bとなる。複数の第1LED102、複数の第2LED104は、それぞれ図6の奥方向に列状に並んでいるとする。図6に示すように、上述の照明器具100の構成であると、第1LED102の第1光軸102aと第2LED104の第2光軸104aとが被照明面に向かうに従って離れるように、第1LEDおよび第2LEDは配置されることになる。
【0016】
ここで、第1光軸102aと第2光軸104aとがなす角度ωと弟1LEDの第1広がり角度θ1と第2LEDの第2広がり角度θ2との関係について説明する。角度ωは、図6のように断面的に見た場合の第1光軸102aの方向と第2光軸104aの方向とがなす角度を示す。また、第1LED、第2LEDからの照明光が形成する照明空間は略円錐形状となり、第1LED、第2LEDからの照明光が形成する照明空間についての円錐の母線をそれぞれ第1母線102c、第2母線104cとする。また、第1広がり角度θ1は、第1光軸102aと母線102cとがなす角度θ1/2を2倍した値である。同様に、第2広がり角度θ2は、第2光軸104aと母線104cとがなす角度θ2/2を2倍した値である。そして、ωは、第1広がり角度θ1と第2広がり角度θ2との和を2で除算した値より小さい、つまり、以下の式(1)を満たせばよい。
ω≦(θ1+θ2)/2 (1)
【0017】
ここで、式(1)の根拠について説明する。1つの第1LED102および1つの第2LED104が被照明面を照明することで生じる明部をそれぞれ、102b、104bとする。また、明部102bと明部104bとが重複する明部を重複明部300とする。重複明部300が生じるようにω、θ1、θ2を決めれば、照明器具100の直下部分に明部が生じ、かつ、周辺にも明部が生じる。そして結果として、作業者の作業において安全性が向上する。
【0018】
また、ω=(θ1+θ2)/2の場合、つまり、図6の記載において、第1母線、第2母線が2点鎖線で示している場合には、計算上は重複明部300は生じない。しかし、第1LEDと第2LEDの間隔(数cm)と照明器具100と地面50Cとの間隔(2m程度)の違いを考慮すれば、照明器具100の直下部分も十分な照度となる。従って、式(1)を満たせば良いことが分かる。
【0019】
また、上記説明では、複数の第1LED、複数の第2LEDをそれぞれ、第1配置面、第2配置面上に一列に配置させた例を説明した。複数の第1LED、複数の第2LEDを配列させる列の数は2以上でもよいが、一列に配列させることが最も効率よく明部を広くできる。
【0020】
また、蛍光灯でも複数の種類がある発光色をLEDの蛍光体の種類を選択することで用途に応じた照明光の選択ができる(例えば、演色性改善、昼色光、または電球色など)。また、上記照明器具100は両端に蛍光灯と互換性のあるダミーの口金を取り付けることで、別電源になるが、従来の(蛍光灯用の)取り付け器具に入れることも可能である。
【0021】
この照明器具の構成であれば、蛍光灯照明と比較して、電力は20パーセント削減でき、電力を給電するためのケーブルの断面積を約半分にできることが、実験的に判明している。そして上述したように、蛍光灯照明と比較して、照明器具としての寿命が頗る長くすることができ、取替え工事コスト等が安くなる。
【0022】
また蛍光灯照明と比較して照度も上げることもできる。また、LEDの特性上、長寿命、高照度となる。また、LEDの指向性を考慮して、LEDを2列に配列することで、照明器具の直下のみを明部とするのではなく、当該明部の周辺も明部にすることができる。従って、暗部を少なくでき、安全性も向上する。
【0023】
また、基盤が三角柱状である場合には、当該基盤の構造が単純であることから基盤の作成コストも頗る安くなる。そして、第1配置面、第2配置面に第1LED列、第2LED列を配置させることは作業も簡易であり、当該配置コストも安い。
【0024】
また、LEDを2列配列させた(つまり、複数の第1LED、複数の第1LEDをそれぞれ一列ずつ配置)場合に、照明領域を広げながら、LEDの数を少なくできる。従って、製作コストを抑えたいときに適している。
【0025】
つまり、この実施例の照明器具の構成であれば、長寿命、低消費電力、高照度、暗部が少ない、製作コストが安価、を同時に達成できる。
【0026】
[変形例]
図7に照明器具の変形例である照明器具500の照明空間を示す。図7に示すように、基盤を湾曲面を有する略半円柱状としてもよい。図7では、照明器具500の基盤、湾曲面をそれぞれ600、600aと示す。この場合には、湾曲面600a上に第1LED列1020、第2LED列1040を配置させてもよい。そして、照明器具500についても上記式(1)を満たすように構成すれば、実施例1で述べた照明器具100と同じ効果を得ることができる。
【実施例2】
【0027】
LEDは一般的に発熱性を有する。そして、この発熱によりとう道内で作業を行う作業者に危険が生じる場合があったり、この発熱により照明器具に不具合が生じる場合がある。そこで、この実施例2では、上記基盤106、600の素材として、高熱伝導性を有するもの(例えば、アルミニウム)を用いる。このように、LEDの発熱を基盤106、基盤600により放熱することで、作業者の安全性や照明器具の不具合を防ぐことが出来る。
【実施例3】
【0028】
この実施例3では、実施例1、実施例2で説明した照明器具に防水構造を施したものを説明する。図8、図9にそれぞれ、照明器具100、照明器具500をカバー部700で被覆したものを示す。カバー部700は透光性および防水性を有するものであり、例えば、透明なアクリル板である。この例ではカバー部700の形状は、薄型の中空六角柱体状であるが、この形状に限られない。なお、本実施例のカバー部700には、LEDからの光を広げる効果は求められていないため、図2に示したアクリル板6よりも薄く出来るので、照度が低下する問題は生じにくい。
【0029】
従来の蛍光灯照明は頻繁に交換しなければならず、防水のために用いていたカバー部700も着脱可能な状態で蛍光灯に取り付けられていた。従って、隙間が生じてしまい、当該隙間から液体などが侵入するので防水性の面では、完全なものではなかった。ところが、LEDの寿命時間は40000時間であり、従来の蛍光灯照明と比べて、寿命時間が長く、取替え作業を殆どしなくても良い。従って、カバー部700を着脱可能な状態で取り付けるのではなく、取り付け台200と一体的に取り付けることが出来、照明器具100を完全に被覆できる。従って、雨水などの液体がカバー部700内に侵入することはなく、従来の蛍光灯照明よりもより防水性の高い防水処理を施すことができるようになる。
【0030】
また、カバー部700の外表面700aをフロスト処理(表面に微細な凹凸を設けることで曇りガラス状にする処理)を施すことで、LEDよりの照明光をより均一なものにすることが出来る。
【0031】
[具体的使用態様]
次に、上述した照明器具をとう道内で使用した場合を説明する。以下の説明では、照明器具100を用いた場合を説明する。とう道の進行方向と、基盤106の長手方向(複数の第1のLEDおよび複数の第2のLEDの配列方向)と、が垂直(第1の使用態様)または平行(第2の使用態様)になるように、照明器具100を配置させる。
【0032】
第1の使用態様を図10に示す。図10の例では、とう道の進行方向と複数の第1および第2のLEDの配列方向(基盤106の長手方向)とが垂直になるように、照明器具100を設置する。そして、作業者の全ての作業領域が明部になるように、複数の照明器具100は一定の間隔ごとに配置される。この使用態様は、とう道の幅が基盤の長手方向の長さより長い場合などに有効である。
【0033】
次に、図11に第2の使用態様を示す。図11の例では、とう道の進行方向と第1のLED、第2のLEDの配列方向(基盤106の長手方向)とが平行になるように照明器具100を配置させる。この使用態様は、とう道の幅が基盤の長手方向の長さより短い場合に有効である。このように、とう道の幅、明部を生じさせたい箇所を考慮して、照明器具の向きを変更して設置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】LEDを一列に配列させた場合の照明空間を示した図。
【図2】LEDを一列に配列させアクリル板を装着した場合の照明空間を示した図。
【図3】本実施例の照明器具の斜視図。
【図4】本実施例の照明器具などの三面図。
【図5】本実施例の簡略化した回路図。
【図6】本実施例の照明器具の照明空間を示した図。
【図7】変形例の照明器具の照明空間を示した図。
【図8】本実施例の照明器具にカバー部を装着させた場合を示した図。
【図9】変形例の照明器具にカバー部を装着させた場合を示した図。
【図10】とう道内での照明器具の第1の使用態様を示した図。
【図11】とう道内での照明器具の第2の使用態様を示した図。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばとう道内を照明するための照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル内の照明として、防水構造を施した蛍光灯を天井に配置させて使用していた。蛍光灯には様々な種類がある。
【特許文献1】特開2007−328963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の蛍光灯の寿命は8000時間程度である。また通信ケーブルなどを布設しているトンネル(とう道)では、結露などで更に寿命時間が短くなり、頻繁に蛍光灯が切れる。とう道内での作業中に蛍光灯が切れると、安全性の面から作業に支障が生じる。また、蛍光灯の交換作業コストもかかる。
【0004】
そこで、蛍光灯の替わりに発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下、単に「LED」という。)を用いることが考えられる。LEDは寿命が約40000時間であり、交換の必要があまり無く、小型軽量なので、交換工事コストが低い。また、蛍光灯と比較すると、消費電力が少なく、高照度なので、それらの点でもメリットがある。
【0005】
図1にLEDを用いた場合の照明空間の簡略化した断面図を示す。一点鎖線で示した箇所が照明空間になる。図1の例では基盤2をとう道の天井に設置し、基盤2の一面にLED4を図1の奥方向に一列に配置させた例である。LEDの照明光は指向性が高く、つまり、照明光の広がり角θ(図1記載)が小さく、照射できる範囲が狭いという特性がある。従って、被照明面について、LED4の直下のみに照明光があたり(図1の太線部分)、周辺には照明光が当たらない。よって、暗部(周辺)で作業を行う場合には安全性に問題がある。また、以下の説明では、被照射面において、照明光が当たる領域を明部といい、照明光が当たらない領域を暗部という。
【0006】
そこで、図2に示すように、明部を広げるために、薄型ドーム形状であり透光性のあるアクリル板6を、LED4を囲むように設置することが考えられる。このアクリル板6の設置により、照明光の広がり角θを大きくすることができ(図2ではθ’と記載)、直下のみではなく、周辺にも照明光を照明することができる。しかし、LED4よりの照明光がアクリル板6を通過することで、照明光の照度が落ちるという問題や、アクリル板6の材料コストや加工コストがかかるという問題がある。
【0007】
本願の発明では、長寿命、低消費電力、高照度、暗部が少ない、製作コストおよび交換コストが安価、を同時に達成できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の照明器具は側面に第1配置面、第2配置面を有する柱体状の基盤と、複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備している。前記複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第1配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置される。前記複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第2配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置される。前記第1LEDの光軸方向と前記第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値より小さい。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成による照明器具により、直下のみではなく、周辺にも照明光を照明することができ暗部も少なく出来る。また、LEDを用いているので当該照明器具は長寿命、低消費電力、高照度となる。また当該照明器具は長寿命であることから照明器具の交換の必要が無いので、結果として交換コストは安価になる。また、当該照明器具の構成が簡易なので製作コストも安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態を示す。なお、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行う過程には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
図3に実施例1の照明器具100の斜視図を示し、図4A、図4B、図4Cにそれぞれ照明器具100を取り付け台200に取付け、カバー部700(後述する)を装着させた場合のα方向、β方向、γ方向から見た平面図(以下、「三面図」という。)を示す。この発明の照明器具は、例えば、とう道内の作業する領域を照明するものであり、当該被照明面の上方(例えば、とう道の天井)に設置されるものである。作業する領域とは、天井と対向する面である地面やとう道の側壁面である。また、この実施例の照明器具100は、第1LED102を複数個と、第2LED104を複数個と、基盤106とを有する。また、この実施例では第1LED102、第2LED104としてそれぞれ、LEDチップを用いているが、通常のLEDを用いても良い。この実施例では基盤106は三角柱状であり、基盤106の側面のうち2面をそれぞれ、第1配置面106a、第2配置面106bとし、残りの一面を取り付け面106cとする。そして、複数の第1LED102はそれぞれの光軸方向が一致するように、第1配置面106a上に基盤106の長手方向に沿って配置され、複数の第2LED104はそれぞれの光軸方向が一致するように、第2配置面106b上に基盤106の長手方向に沿って配置される(図4A、図4B参照)。なお、図3は簡略化して記載しているので、図3記載の第1LEDの個数は、図4記載の第1LEDのそれより少ない。列状に並べられた複数の第1LED、第2LEDをそれぞれ、まとめて第1LED列1020、第2LED列1040という。なお、基盤の形状として、少なくとも側面に第1配置面、第2配置面、取り付け面を有している柱体状の形状であればよいが、三角柱状であれば、基盤の製作コストは安くしやすい。
【0012】
次に取り付け台200について説明する。この例では、取り付け台200は取り付け板202、第1固定部204、第2固定部212、電源部206、ケーブル収容部208、を有する。取り付け板202の両面のうち、一面を取り付け面202aとし、もう一方の面を反対面202bとする。そして、反対面202bの一端には第1固定部204が取り付けられ固定される。そして、取り付け板202の両端面のうち、第1固定部204が設置されている側と反対側の端面202cには、ケーブル収容部208が取り付け固定される。この例ではケーブル収容部208は直方体状であり、6面のうち1面には、第1固定部204と対向する位置に第2固定部212が取り付け固定される。反対面202bの中央より、ケーブル収容部208よりの位置には電源部206が取り付けられる。
【0013】
図5に簡略化した回路図を示す。プラグ210は、外部からの電力を電源部206に供給する。この例では、プラグ210は3層構造である。電源部206は、入力された電流を交流から直流に変換し、当該直流電流を第1LED列1020および第2LED列1040に供給する。この例では、第1LED列1020、第2LED列1040の順で直列に接続されている。
【0014】
ケーブル収容部208には、プラグ210から電源部206までのケーブル、および電源部206から第1LED列1020までのケーブルを保護しているケーブル保護管を収容している。ケーブル収容部208、電源部206は防水加工されている。また、第1固定部204および第2固定部212は、それぞれ切り欠き部204a、212aが設けられ、これら切り欠き部を貫通したねじ(図示せず)により、とう道の天井に固定される。
【0015】
図6に、照明器具100をとう道50の天井50Aに設置させた場合の照明空間の簡略化した図を示す。図6の例の場合の被照明面は、天井50Aと対向する地面50Cおよびとう道の側壁面50Bとなる。複数の第1LED102、複数の第2LED104は、それぞれ図6の奥方向に列状に並んでいるとする。図6に示すように、上述の照明器具100の構成であると、第1LED102の第1光軸102aと第2LED104の第2光軸104aとが被照明面に向かうに従って離れるように、第1LEDおよび第2LEDは配置されることになる。
【0016】
ここで、第1光軸102aと第2光軸104aとがなす角度ωと弟1LEDの第1広がり角度θ1と第2LEDの第2広がり角度θ2との関係について説明する。角度ωは、図6のように断面的に見た場合の第1光軸102aの方向と第2光軸104aの方向とがなす角度を示す。また、第1LED、第2LEDからの照明光が形成する照明空間は略円錐形状となり、第1LED、第2LEDからの照明光が形成する照明空間についての円錐の母線をそれぞれ第1母線102c、第2母線104cとする。また、第1広がり角度θ1は、第1光軸102aと母線102cとがなす角度θ1/2を2倍した値である。同様に、第2広がり角度θ2は、第2光軸104aと母線104cとがなす角度θ2/2を2倍した値である。そして、ωは、第1広がり角度θ1と第2広がり角度θ2との和を2で除算した値より小さい、つまり、以下の式(1)を満たせばよい。
ω≦(θ1+θ2)/2 (1)
【0017】
ここで、式(1)の根拠について説明する。1つの第1LED102および1つの第2LED104が被照明面を照明することで生じる明部をそれぞれ、102b、104bとする。また、明部102bと明部104bとが重複する明部を重複明部300とする。重複明部300が生じるようにω、θ1、θ2を決めれば、照明器具100の直下部分に明部が生じ、かつ、周辺にも明部が生じる。そして結果として、作業者の作業において安全性が向上する。
【0018】
また、ω=(θ1+θ2)/2の場合、つまり、図6の記載において、第1母線、第2母線が2点鎖線で示している場合には、計算上は重複明部300は生じない。しかし、第1LEDと第2LEDの間隔(数cm)と照明器具100と地面50Cとの間隔(2m程度)の違いを考慮すれば、照明器具100の直下部分も十分な照度となる。従って、式(1)を満たせば良いことが分かる。
【0019】
また、上記説明では、複数の第1LED、複数の第2LEDをそれぞれ、第1配置面、第2配置面上に一列に配置させた例を説明した。複数の第1LED、複数の第2LEDを配列させる列の数は2以上でもよいが、一列に配列させることが最も効率よく明部を広くできる。
【0020】
また、蛍光灯でも複数の種類がある発光色をLEDの蛍光体の種類を選択することで用途に応じた照明光の選択ができる(例えば、演色性改善、昼色光、または電球色など)。また、上記照明器具100は両端に蛍光灯と互換性のあるダミーの口金を取り付けることで、別電源になるが、従来の(蛍光灯用の)取り付け器具に入れることも可能である。
【0021】
この照明器具の構成であれば、蛍光灯照明と比較して、電力は20パーセント削減でき、電力を給電するためのケーブルの断面積を約半分にできることが、実験的に判明している。そして上述したように、蛍光灯照明と比較して、照明器具としての寿命が頗る長くすることができ、取替え工事コスト等が安くなる。
【0022】
また蛍光灯照明と比較して照度も上げることもできる。また、LEDの特性上、長寿命、高照度となる。また、LEDの指向性を考慮して、LEDを2列に配列することで、照明器具の直下のみを明部とするのではなく、当該明部の周辺も明部にすることができる。従って、暗部を少なくでき、安全性も向上する。
【0023】
また、基盤が三角柱状である場合には、当該基盤の構造が単純であることから基盤の作成コストも頗る安くなる。そして、第1配置面、第2配置面に第1LED列、第2LED列を配置させることは作業も簡易であり、当該配置コストも安い。
【0024】
また、LEDを2列配列させた(つまり、複数の第1LED、複数の第1LEDをそれぞれ一列ずつ配置)場合に、照明領域を広げながら、LEDの数を少なくできる。従って、製作コストを抑えたいときに適している。
【0025】
つまり、この実施例の照明器具の構成であれば、長寿命、低消費電力、高照度、暗部が少ない、製作コストが安価、を同時に達成できる。
【0026】
[変形例]
図7に照明器具の変形例である照明器具500の照明空間を示す。図7に示すように、基盤を湾曲面を有する略半円柱状としてもよい。図7では、照明器具500の基盤、湾曲面をそれぞれ600、600aと示す。この場合には、湾曲面600a上に第1LED列1020、第2LED列1040を配置させてもよい。そして、照明器具500についても上記式(1)を満たすように構成すれば、実施例1で述べた照明器具100と同じ効果を得ることができる。
【実施例2】
【0027】
LEDは一般的に発熱性を有する。そして、この発熱によりとう道内で作業を行う作業者に危険が生じる場合があったり、この発熱により照明器具に不具合が生じる場合がある。そこで、この実施例2では、上記基盤106、600の素材として、高熱伝導性を有するもの(例えば、アルミニウム)を用いる。このように、LEDの発熱を基盤106、基盤600により放熱することで、作業者の安全性や照明器具の不具合を防ぐことが出来る。
【実施例3】
【0028】
この実施例3では、実施例1、実施例2で説明した照明器具に防水構造を施したものを説明する。図8、図9にそれぞれ、照明器具100、照明器具500をカバー部700で被覆したものを示す。カバー部700は透光性および防水性を有するものであり、例えば、透明なアクリル板である。この例ではカバー部700の形状は、薄型の中空六角柱体状であるが、この形状に限られない。なお、本実施例のカバー部700には、LEDからの光を広げる効果は求められていないため、図2に示したアクリル板6よりも薄く出来るので、照度が低下する問題は生じにくい。
【0029】
従来の蛍光灯照明は頻繁に交換しなければならず、防水のために用いていたカバー部700も着脱可能な状態で蛍光灯に取り付けられていた。従って、隙間が生じてしまい、当該隙間から液体などが侵入するので防水性の面では、完全なものではなかった。ところが、LEDの寿命時間は40000時間であり、従来の蛍光灯照明と比べて、寿命時間が長く、取替え作業を殆どしなくても良い。従って、カバー部700を着脱可能な状態で取り付けるのではなく、取り付け台200と一体的に取り付けることが出来、照明器具100を完全に被覆できる。従って、雨水などの液体がカバー部700内に侵入することはなく、従来の蛍光灯照明よりもより防水性の高い防水処理を施すことができるようになる。
【0030】
また、カバー部700の外表面700aをフロスト処理(表面に微細な凹凸を設けることで曇りガラス状にする処理)を施すことで、LEDよりの照明光をより均一なものにすることが出来る。
【0031】
[具体的使用態様]
次に、上述した照明器具をとう道内で使用した場合を説明する。以下の説明では、照明器具100を用いた場合を説明する。とう道の進行方向と、基盤106の長手方向(複数の第1のLEDおよび複数の第2のLEDの配列方向)と、が垂直(第1の使用態様)または平行(第2の使用態様)になるように、照明器具100を配置させる。
【0032】
第1の使用態様を図10に示す。図10の例では、とう道の進行方向と複数の第1および第2のLEDの配列方向(基盤106の長手方向)とが垂直になるように、照明器具100を設置する。そして、作業者の全ての作業領域が明部になるように、複数の照明器具100は一定の間隔ごとに配置される。この使用態様は、とう道の幅が基盤の長手方向の長さより長い場合などに有効である。
【0033】
次に、図11に第2の使用態様を示す。図11の例では、とう道の進行方向と第1のLED、第2のLEDの配列方向(基盤106の長手方向)とが平行になるように照明器具100を配置させる。この使用態様は、とう道の幅が基盤の長手方向の長さより短い場合に有効である。このように、とう道の幅、明部を生じさせたい箇所を考慮して、照明器具の向きを変更して設置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】LEDを一列に配列させた場合の照明空間を示した図。
【図2】LEDを一列に配列させアクリル板を装着した場合の照明空間を示した図。
【図3】本実施例の照明器具の斜視図。
【図4】本実施例の照明器具などの三面図。
【図5】本実施例の簡略化した回路図。
【図6】本実施例の照明器具の照明空間を示した図。
【図7】変形例の照明器具の照明空間を示した図。
【図8】本実施例の照明器具にカバー部を装着させた場合を示した図。
【図9】変形例の照明器具にカバー部を装着させた場合を示した図。
【図10】とう道内での照明器具の第1の使用態様を示した図。
【図11】とう道内での照明器具の第2の使用態様を示した図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に第1配置面、第2配置面を有する柱体状の基盤と、
複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備し、
前記複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第1配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第2配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記第1LEDの光軸方向と前記第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値以下である照明器具。
【請求項2】
側面に湾曲面を有する柱体状の基盤と、
複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備し、
前記複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記湾曲面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記湾曲面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記複数の第1LEDの光軸方向と前記複数の第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値以下である照明器具。
【請求項3】
請求項1記載の照明器具であって、
前記基盤は、三角柱状であることを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項1〜3何れかに記載の照明器具であって、
前記複数の第1LEDおよび前記第2LEDはそれぞれ、一列ずつ配置されていることを特徴とする照明器具。
【請求項5】
請求項1〜4何れかに記載の照明器具であって、
前記基盤は、高熱伝導性を有することを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項1〜5何れかに記載の照明器具であって、
透光性および防水性を有するカバー部により被覆されていることを特徴とする照明器具。
【請求項7】
請求項6記載の照明器具であって、
前記カバー部の表面は、フロスト加工がされていることを特徴とする照明器具。
【請求項1】
側面に第1配置面、第2配置面を有する柱体状の基盤と、
複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備し、
前記複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第1配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記第2配置面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記第1LEDの光軸方向と前記第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値以下である照明器具。
【請求項2】
側面に湾曲面を有する柱体状の基盤と、
複数の第1LEDおよび複数の第2LEDを具備し、
前記複数の第1LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記湾曲面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記複数の第2LEDは、互いに光軸方向が一致するように、前記湾曲面上に前記基盤の長手方向に列状に配置され、
前記複数の第1LEDの光軸方向と前記複数の第2LEDの光軸方向とがなす角度は、第1LEDの第1広がり角度と第2LEDの第2広がり角度との和を2で除算した値以下である照明器具。
【請求項3】
請求項1記載の照明器具であって、
前記基盤は、三角柱状であることを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項1〜3何れかに記載の照明器具であって、
前記複数の第1LEDおよび前記第2LEDはそれぞれ、一列ずつ配置されていることを特徴とする照明器具。
【請求項5】
請求項1〜4何れかに記載の照明器具であって、
前記基盤は、高熱伝導性を有することを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項1〜5何れかに記載の照明器具であって、
透光性および防水性を有するカバー部により被覆されていることを特徴とする照明器具。
【請求項7】
請求項6記載の照明器具であって、
前記カバー部の表面は、フロスト加工がされていることを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−40247(P2010−40247A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199381(P2008−199381)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000100942)アイレック技建株式会社 (45)
【出願人】(000231925)日本コムシス株式会社 (12)
【出願人】(596035178)浜井電子工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000100942)アイレック技建株式会社 (45)
【出願人】(000231925)日本コムシス株式会社 (12)
【出願人】(596035178)浜井電子工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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