説明

照明器具

【課題】LEDチップから発せられる照射光のムラを防止できる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、器具本体20に取り付けられた発光部30および反射板40を有しており、発光部30は光源であるLEDチップ32を有する。LEDチップ32およびLEDチップ32を実装した実装基板31の前方に曲面を有する透明ケース34を設け、この透明ケース34内部に樹脂材35を充填してレンズ36を形成するが、レンズ36は実装基板31の後方まで設けられているので、照明光のムラを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップの前方にレンズを形成し、これを光源として用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、LEDチップおよびLEDチップを実装した実装基板の前方に、樹脂材を充填してレンズを形成し、これを光源として用いた照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図4に示すように、特許文献1に記載の照明器具100では、器具本体101の内部にベース基板102を収容しており、ベース基板102には複数の発光装置103が取り付けられている。発光装置103の前方には、発光装置103を覆うレンズ部106を有する透光性のあるカバー部材107が器具本体101の前面開口に取り付けられている。
【0003】
図5(A)ないし(C)に示すように、発光装置103は、実装基板104にLEDチップ105を実装してLEDチップ105とボンディングワイヤ108とを電気的に接続した後、封止樹脂109が注入されたドーム状の光学部材111をLEDチップ105等の上から被せて形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−76326号公報(第1図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、従来より、湿気や水に対する保護として、LEDチップ105の周囲に封止樹脂109を充填するのが一般的である。
しかしながら、封止樹脂109の充填によるレンズ効果と、光学部材111の曲面をLEDチップ105の前面のみに配置していることから、光のムラが発生して照射面に光のスジが生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、LEDチップから発せられる照射光のムラを防止できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、被取付部に取り付けられる器具本体と、LEDチップを有する発光部と、器具本体に取り付けられて発光部からの光を反射する山型状の反射板と、を有し、LEDチップおよびLEDチップを実装する実装基板の前方に曲面を有する透明ケースを設けて、透明ケース内部に樹脂材を充填してレンズを形成し、レンズが、実装基板の後方まで設けられたものである。
【0008】
また、本発明の照明器具は、反射板の先端に平坦部を設けて、平坦部に発光部を取り付けるとともに、平坦部よりもレンズが外側に突出したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、LEDチップおよびLEDチップを実装する実装基板の前方に曲面を有する透明ケースを設け、この透明ケース内部に樹脂材を充填してレンズを形成し、レンズを実装基板の後方まで設けたので、照明光のムラを防止できるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態の照明器具の分解斜視図
【図2】(A)は本発明に係る実施形態の照明器具の断面図であり、(B)は(A)中B部分の拡大図
【図3】補強部材とカバーとの取付部を示す分解斜視図
【図4】従来の照明器具の断面図
【図5】(A)ないし(C)は従来の照明器具における発光装置の製造工程を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、例えば、被取付部である天井11に取り付けられる器具本体20と、光源であるLEDチップ32(図2(A)参照)を有する発光部30と、器具本体20に取り付けられて電源部41を収容するとともに、発光部30からの光を反射する山型状の反射板40と、器具本体20に着脱可能に取り付けられ、発光部30および反射板40を覆う透光性のカバー50と、を有する。
【0012】
器具本体20は,天井11に取り付けられる平板状のベースプレート21と、ベースプレート21の長手方向両端に取り付けられる一対のエンドプレート22を有する。ベースプレート21は全体矩形状をしており、上方(図1において上方)へ突出する薄い円錐台形状の凸部211を複数個有する。これにより、器具本体20を天井11に取り付けた際に凸部211の上面が天井11に接触し、ベースプレート21が全面で接触するのを防止して、放熱効果を改善する。
【0013】
エンドプレート22は、上板221,縦板222,下板223から全体コ字状に形成されている。エンドプレート22の上板221は、ねじ25によりベースプレート21の下面に取り付けられる。縦板222には、カバー50を取り付けるためのねじ孔23が設けられている。また、下板223には、反射板40を取り付けるためのねじ孔24が設けられている。
【0014】
図2(A)にも示すように、反射板40は板金を折り曲げ加工して形成されており、上方が開口した下向きに山型な断面を有する。すなわち、上部に対向する縦壁42,42を有し、縦壁42,42の下端から下方へ向かって内側に傾斜した反射面となる傾斜面43,43を有し、さらに、傾斜面43,43の下端同士を連結する水平な平坦部44を有する。平坦部44の長手方向両端部にはねじ締結用の貫通孔441が設けられており、ねじ(図示省略)を貫通孔441に挿通し、器具本体20のエンドプレート22のねじ孔24に締結することにより、反射板40を器具本体20に取り付ける。
なお、反射板40に収容される電源部41は、LEDチップ32に点灯用の電力を供給するものである。
【0015】
図2に示すように、反射板40の平坦部44の下面には、発光部30が取り付けられる。発光部30は、反射板40の長手方向に長い実装基板31を有し、実装基板31には長手方向に沿って複数個のLEDチップ32が実装されている。実装基板31は、その上面に設けられた放熱材33を介してねじ37により反射板40の平坦部44に下方から取り付けられる。この際に、放熱材33の高さを変えることにより、LEDチップ32の高さ位置が調整可能となっている。
【0016】
実装基板31および実装基板31に実装されたLEDチップ32の前方(図2(A)において下方)には、透明ケース34が設けられている。透明ケース34は、一定厚さの透明樹脂からなる略半円管形状の断面を有し、反射板40の平坦部44の長手方向に沿って長い部材である。透明ケース34の内部には、LEDチップ32および実装基板31を含むように、樹脂材35が充填されてレンズ36を形成している。レンズ36は、実装基板31の後方位置(図2(A)において上側)まで設けられている。また、レンズ36は、反射板40の平坦部44の幅方向外側位置まで設けられている。
【0017】
図1および図2に示すように、カバー50は、透光性を有する樹脂により、対向する一対の側板52,52と、側板52,52の下端部を連結する底板53とから、上方が開口した矩形箱状に形成されている。なお、長手方向両端に設けられている端板54には、ねじ用の貫通孔55が設けられている。
従って、カバー50は、器具本体20に外嵌して、ねじ51を貫通孔55に挿通し、器具本体20のエンドプレート22のねじ孔23に締結することにより器具本体20に固定される(図1参照)。
【0018】
図2(B)に示すように、カバー50の側板52の上端部は、内側へ直角に曲がった上端面である平面部56と、平面部56の内側端から下方へ直角に曲がった内壁57とを有し、逆U字形状の係止部59を形成する。平面部56の上側には、パッキン58が取り付けられており、天井11に取り付けられている器具本体20にカバー50を取り付けた際に、天井11に当接する。
【0019】
カバー50の内側上部には、補強部材である補強板60が取り付けられる。補強板60は,例えばステンレスの薄板で形成されており、上端部は逆U字形状に折り返されてカバー50の上端の係止部59に挿嵌される保持部61を有する。保持部61の下方には、カバー50の側板52の内面に当接する遮光部62を有し、遮光部62の下端部は下方に向かって内側へ傾斜した折曲面部63を有する。
従って、保持部61をカバー50の係止部59の側板52と内壁57との間に嵌合することにより、補強板60はカバー50の内側に取り付けられる。
【0020】
遮光部62は、カバー50の側板52の内面上端部に接触して反射板40の側面を遮光する。折曲面部63は、反射板40の傾斜面43を外側へ一直線に延長した角度で傾斜しており、遮光部62に連続して遮光部62と反射板40の傾斜面43との間に設けられる。折曲面部63の下面は、反射板40の傾斜面43と同様に、発光部30からの光を反射させる。
なお、遮光部62の高さは、折曲面部63の上端位置から決定される。
【0021】
図3に示すように、補強板60の保持部61の上端部には、上方へ突出する突起64が設けられている。一方、保持部61が挿嵌されるカバー50の平面部56には、突起64が嵌合する嵌合孔561が設けられている。
カバー50が樹脂製であり、補強板60が金属製であるため、熱膨張、吸水による伸びを考慮して,両端部には隙間が設けられている。このため、補強板60をカバー50の内側に取り付ける際に、保持部61をカバー50の係止部59に嵌合させるとともに、突起64を嵌合孔561に挿嵌して位置決めする。
【0022】
以上、説明した本発明に係る実施形態の照明器具10によれば、LEDチップ32を有する発光部30および山型の反射板40を覆う透光性のカバー50が、器具本体20に取り付けられるが、カバー50の内部には補強板60が取り付けられる。この補強板60は、カバー50を保持する保持部61を有するので、カバー50の強度を確保できる。
また、補強板60には、カバー50の内面上端部に接触するとともに遮光する遮光部62と、遮光部62に連続して遮光部62と反射板40との間に位置する折曲面部63とが設けられており、反射板40の側面が見えないように覆われるので、意匠性を改善することができる。
【0023】
また、補強板60の遮光部62と反射板40との間に設けられた折曲面部63が、反射板の役目を果たすので、あたかも反射板が全幅にわたって設けられているような状態となり、反射効率を改善できる。
【0024】
また、補強板60の上端部に上方へ突出する突起64を設け、カバー50の上端部を逆U字形状に形成して係止部59を設けるとともに、係止部59の上端面に突起64が嵌合する嵌合孔561を設けたので、補強板60の突起64をカバー50の嵌合孔561に嵌合することにより、カバー50の長手方向のずれを防止できる。
【0025】
また、照明器具10は、器具本体20に取り付けられた発光部30および反射板40を有しており、発光部30は光源であるLEDチップ32を有する。そして、LEDチップ32およびこのLEDチップ32を実装する実装基板31の前方に曲面を有する透明ケース34を設け、この透明ケース34の内部に樹脂材35を充填してレンズ36を形成するが、レンズ36は実装基板31の後方まで設けられているので、照明光のムラを防止できる。
【0026】
さらに、山型の反射板40の先端に平坦部44を設け、この平坦部44に発光部30を取り付けるとともに、平坦部44よりもレンズ36が外側に突出するようにしたので、透明ケース34によって後方へ導かれる光を山型反射板40の傾斜面43に照射する。これにより、横方向に照射される光のみならず、上方向に照射される光を反射することにより、反射効率を改善できる。
【0027】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 照明器具
11 天井(被取付部)
20 器具本体
30 発光部
31 実装基板
32 LEDチップ
34 透明ケース
35 樹脂材
36 レンズ
40 反射板
44 平坦部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられる器具本体と、
LEDチップを有する発光部と、
前記器具本体に取り付けられて前記発光部からの光を反射する山型状の反射板と、を有し、
前記LEDチップおよび前記LEDチップを実装する実装基板の前方に曲面を有する透明ケースを設けて、前記透明ケース内部に樹脂材を充填してレンズを形成し、
前記レンズが、前記実装基板の後方まで設けられている照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記反射板の先端に平坦部を設けて、前記平坦部に前記発光部を取り付けるとともに、
前記平坦部よりも前記レンズが外側に突出している照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−59460(P2012−59460A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200105(P2010−200105)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】