説明

照明器具

【課題】簡易な構造によりセードの落下を防止するとともに、連結部材等がセードに映って外観を損なうのを防止できる照明器具を提供する。
【解決手段】取付面11から垂下され下端部に螺子部31を有する軸部30がセード40の孔部41を貫通し、軸部30の先端部にキボシ50を螺合させることにより、セード40を取り付ける。このとき、軸部30において孔部41から取付面11に向かって中空の鞘管32を外嵌し、鞘管32の下端部に取り付けられる落下防止具34が孔部41の下側からセード40を保持し、落下防止具34の下側からキボシ50を軸部30に取り付けることによりセード40を取り付ける。鞘管32は、軸部30に対して摺動可能に設けられており、軸部30の下端部に螺合された鞘管止め36により軸部30からの脱落を防止されている。このため、キボシ50を外した状態では、鞘管32および落下防止具34が下方へ移動するので、セード40も下方へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光源の前方にセードを有し、建物の天井等に取り付けるのに適した照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の天井に取り付ける照明器具において、光源の交換時等にセードが落下するのを防止するものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図7に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、天井面101に取り付けられる灯体102と、灯体102に支持される光源103と、光源103を覆うように灯体102に取り付けられるセード104を有しており、セード104は連結部材105によって灯体102に連結されている。
これにより、セード104が落下するのを防止する。
【0004】
そして、セード104を灯体102に取り付けた後に、灯体102に設けられた巻取装置(図示省略)が連結部材105を巻き取る。
これにより、連結部材105の余剰部分がセード104面に載置されて映るのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−4479号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の照明器具100においては、連結部材105を巻き取るための巻き取り装置を別途設ける必要があり、構造が複雑になるとともにコストアップを招くという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、簡易な構造によりセードの落下を防止するとともに、連結部材等がセードに映って外観を損なうのを防止できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、取付面から垂下され下端部に螺子部を有する軸部と、前記軸部が貫通する孔部を有するセードと、前記孔部を貫通する前記軸部の先端部に螺合して前記セードを下方から支持するキボシと、を有し、前記孔部から前記取付面に向かって前記軸部に外嵌される中空の鞘管と、前記鞘管の下端部に取り付けられ、前記セードを前記孔部の下側から保持する落下防止具と、前記軸部の下端部に螺合するとともに前記鞘管の内部を移動可能で、且つ、前記鞘管が前記軸部から脱落するのを防止する鞘管止めと、を有するものである。
【0009】
また、本発明の照明器具は、前記鞘管が、伸縮部材であるものである。
【0010】
さらに、本発明の照明器具は、前記鞘管が、スプリングであるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、鞘管の下端部に取り付けられる落下防止具が孔部の下側からセードを保持し、落下防止具の下側からキボシを軸部に取り付けることによりセードを取り付ける。鞘管が、軸部に対して摺動可能に設けられており、軸部の下端部に螺合された鞘管止めにより軸部からの脱落を防止されている。このため、キボシを外した状態では、鞘管止めにより停止するまで鞘管および落下防止具が下方へ移動可能なので、簡易な構造により、セードを下方へ移動し、落下を防止して保持できるとともに、中心の軸部および鞘管がセードに映らないので、外観を損ねない効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態の照明器具においてセードを取り付けた状態の全体断面図
【図2】本発明に係る実施形態の照明器具においてセードを外して下方へずらした状態の全体断面図
【図3】本発明に係る実施形態の照明器具におけるセードの取付構造の分解図
【図4】セードを取り付けた状態の要部断面図
【図5】セードを外した状態の要部断面図
【図6】伸縮部材の別の例を示す断面図
【図7】従来の照明器具におけるセードの落下防止構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1および図2に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、取付面である天井面11に取り付けられる器具本体20と、器具本体20から鉛直下方に延びる軸部30と、器具本体20の照射方向前方に着脱可能に設けられるセード40を有し、軸部30の先端(下端)にセード40の下側からキボシ50を取り付けることによりセード40を器具本体20に取り付ける。
【0014】
器具本体20は、例えば金属板からなる円形の板状部材であり、中央に軸部30が位置する。また、器具本体20の外縁に沿って下方へ縁壁22が設けられており、セード40を取り付けた際に、セード40の外周縁が当接する。
【0015】
図3に示すように、軸部30としては、例えば、少なくとも下部に螺子部31が形成されているボルトを天井面11にボルトを埋め込んで構成することができる。あるいは、器具本体20の下面21にボルトを取り付けて構成することもできる。
図4および図5にも示すように、軸部30の下端から所定の高さ位置には、後述するスプリング32の上限位置を規制するストッパナット35が取り付けられている。また、軸部30の下端には、キボシ50との協働により、セード40を固定するとともに、スプリング32が軸部30から脱落するのを防止する鞘管止めである受けナット36が取り付けられている。
【0016】
セード40は、透光性を有する樹脂(例えば、アクリル板)やガラスにより、例えば回転曲面体や球の下端部の一部として構成されており、頂部(最下点)には孔部41が開口している。軸部30は孔部41を貫通して螺子部31がセード40の下方に突出可能となっており、螺子部31にキボシ50を取り付けることにより、セード40は器具本体20に取り付けられる。
【0017】
図3および図4に示すように、軸部30には、孔部41から天井面11に向かって中空の鞘管としての伸縮部材であるスプリング32が外嵌される。スプリング32の外径はセード40の孔部41の内径よりも小さく、スプリング32の内径は軸部30の外径よりも大きい。すなわち、スプリング32は、孔部41を貫通して軸部30に沿って上下移動可能である。
【0018】
スプリング32の上端には、軸部30が貫通可能で且つ前述したストッパナット35が貫通できない開口を有する円環状の天板33が取り付けられている。天板33には、例えば、外径寸法および開口寸法を満たすワッシャーを用いることができる。スプリング32の上端位置は、天板33の上面がストッパナット35に当接するより、所定の高さ位置に規制される。
【0019】
スプリング32の下端には、軸部30および受けナット36が貫通可能な開口を有し、外形がセード40の孔部41よりも大きな、落下防止具としてのセード受け金具34が取り付けられている。セード受け金具34には、例えば、外径寸法および開口寸法を満たすワッシャーを用いることができる。
【0020】
すなわち、スプリング32は、上端位置にある場合には、図4に示すように、セード受け金具34を介して、孔部41の下方からセード40を支持する。
また、図5に示すように、スプリング32が下端位置にある場合には、天板33が受けナット36に係止されて、吊り下げられた状態となり、セード受け金具34に支持されるセード40も下方へ移動する。
【0021】
図4および図5に示すように、キボシ50の上端部には、セード40を固定するための固定ナット51およびワッシャー52が埋め込まれて取り付けられている。ワッシャー52の上面521は、キボシ50の上面53と同一面上にある。また、固定ナット51は、キボシ50と一体で回転する。
従って、キボシ50を回転させることにより、固定ナット51を容易に締め付けたり、緩めたりできる。
【0022】
次に、セード40の取付け作業について説明する。
図3に示すように、軸部30の所定位置にストッパナット35を取り付けておく。スプリング32の天板33側を、下側からセード40の孔部41に通して、スプリング32のセード受け金具34によってセード40を下面側から支持する。
【0023】
この状態で、スプリング32を持ち上げて軸部30に外嵌し、軸部30の下端部が露出するまでセード40を押し上げて、受けナット36を螺合する。
そして、キボシ50の上面521でセード受け金具34を押し上げながら、キボシ50の固定ナット51を軸部30の下端部に螺合し、受けナット36によって回転が止まるまでキボシ50を回す。これにより、セード40は取り付けられる(図4参照)。
【0024】
次に、セード40を外す作業について説明する。
図5に示すように、キボシ50を回転させて固定ナット51を取り外す。これにより、セード40およびセード受け金具34が下降し、スプリング32がセード40の孔部41から下方へ露出する。
【0025】
スプリング32は、天板33がストッパナット35に当接すると、下降を停止して、軸部30から吊り下げられる。セード40は、スプリング32のセード受け金具34によって下方から支持されているので、スプリング32の下降が停止し、スプリング32がセード40等の重量による下方への伸びが停止した位置(図2中二点鎖線で表示の位置)に保持される。
【0026】
以上、説明した本発明に係る実施形態の照明器具によれば、天井面11から垂下され下端部に螺子部31を有する軸部30がセード40の孔部41を貫通し、軸部30の先端部にキボシ50を螺合させることにより、セード40を取り付ける。このとき、軸部30においてセード40の孔部41から天井面11に向かって中空のスプリング32を外嵌し、スプリング32の下端部に取り付けられるセード受け金具34が孔部41の下側からセード40を保持し、セード受け金具34の下側からキボシ50を軸部30に取り付けることによりセード40を取り付ける。スプリング32は、軸部30に対して摺動可能に設けられており、軸部30の下端部に螺合された受けナット36により軸部30からの脱落を防止されている。
このため、キボシ50を外した状態では、受けナット36により停止するまでスプリング32およびセード受け金具34が下方へ移動可能なので、簡易な構造により、落下を防止してセード40を下方へ移動させることができるとともに、中心の軸部30およびスプリング32がセード40に映らないので、外観を損ねない。
【0027】
また、軸部30に外嵌するスプリング32が伸縮部材なので、セード40の所望の下降距離を確保できるとともに、セード40を取り付ける際にスプリング32が軸部30に沿って収縮するので、容易にセード40を軸部30に取り付けることができる。
【0028】
また、鞘管としてスプリング32を用いるので、スプリング32の伸びによりセード40の所望の下降距離を確保できるとともに、セード40を取り付ける際にスプリング32の弾性力によりセード40を引き上げるので、容易にセード40を軸部30に取り付けることができる。
【0029】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、伸縮部材である鞘管としてスプリング32を用いた場合を例示したが、図6に示すような伸縮部材37を用いることができる。なお、前述した実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図6に示すように、伸縮部材37は、径が異なる筒状部材371,372,373…を複数個(ここでは、例えば3個)有しており、脱落することなく伸縮可能となっている。なお、上端には天板33が設けられており、下端にはセード受け金具34が取り付けられている。
【符号の説明】
【0030】
10 照明器具
11 天井面(取付面)
30 軸部
31 螺子部
32、37 スプリング(鞘管、伸縮部材)
34 セード受け金具(落下防止具)
36 受けナット(鞘管止め)
40 セード
41 孔部
50 キボシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面から垂下され下端部に螺子部を有する軸部と、
前記軸部が貫通する孔部を有するセードと、
前記孔部を貫通する前記軸部の先端部に螺合して前記セードを下方から支持するキボシと、を有し、
前記孔部から前記取付面に向かって前記軸部に外嵌される中空の鞘管と、
前記鞘管の下端部に取り付けられ、前記セードを前記孔部の下側から保持する落下防止具と、
前記軸部の下端部に螺合するとともに前記鞘管の内部を移動可能で、且つ、前記鞘管が前記軸部から脱落するのを防止する鞘管止めと、を有する照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記鞘管が、伸縮部材である照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明器具において、
前記鞘管が、スプリングである照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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