説明

照明器具

【課題】器具本体に取り付けられているバンドアの長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】バンドア30を構成する各羽根31の長さを可変としたので、バンドア30の長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。これに伴い、光源21から発せられた照射光を、バンドア30により所定の範囲に切る際に、自由度が増す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舞台やスタジオにおいて所定の範囲に光を照射するためのバンドアを有する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、舞台やスタジオにおいて所定の範囲に光を照射するために、バンドアを備えた照明器具が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図9に示すように、特許文献1に記載の照明器具100では、器具本体101に光源102が収容されており、器具本体101の前端には、4枚の羽根103を有するバンドア104が取り付けられている。各羽根103は、器具本体101の外側を囲う回転軸105に、取付金具106で回転可能、かつ、所望の角度で停止可能に取り付けられており、角度調整可能となっている。
従って、各羽根103の角度を任意に調整することにより、光源102から広がって照射される光の照射面を切って、光の演出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−187209号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような従来の照明器具100においては、羽根103の長さが商品によって略一定であり、長さが足りない場合がある。このような場合には、現場で、器具本体101に取り付けられている羽根103の先端に、アルミテープ等によって別の羽根を延長して取り付けることが行われている。
このため、現場における作業工数が増加して、作業効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、器具本体に取り付けられているバンドアの長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、器具本体に収容された光源と、前記光源からの光を所定の範囲に照射するためのバンドアと、を有し、前記バンドアの羽根の長さを可変としたものである。
【0007】
また、本発明の照明器具は、前記羽根が折り畳み式で長さが可変であるものである。
【0008】
また、本発明の照明器具は、前記羽根がスライド式で長さが可変であるものである。
【0009】
また、本発明の照明器具は、前記羽根に補助羽根を連結することにより長さが可変であるものである。
【0010】
さらに、本発明の照明器具は、前記羽根が蛇腹式で長さが可変であるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、バンドアを構成する羽根の長さを可変としたので、バンドアの長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。これに伴い、光源から発せられた照射光を、バンドアにより所定の範囲に切る際に、自由度が増すという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜視図
【図2】(A)は第1実施形態の照明器具において延長部を折りたたんだ状態の断面図であり、(B)は延長部を延長した状態の断面図
【図3】(A)は図2(A)中IIIA部の拡大図であり、(B)は図2(B)中IIIB部分の拡大図
【図4】(A)は第2実施形態の照明器具において延長部を折りたたんだ状態の断面図であり、(B)は延長部を延長した状態の断面図
【図5】(A)はバネ式のスライド支持部の断面図であり、(B)はネジ式のスライド支持部の断面図
【図6】(A)は第3実施形態の照明器具において延長部を連結する前の状態の正面図であり、(B)は延長部を連結した状態の正面図
【図7】(A)ははめこみ式の連結手段の断面図であり、(B)はネジ式の連結手段の断面図
【図8】(A)は第4実施形態の照明器具において羽根を延長する前の状態の断面図であり、(B)は延長した状態の断面図
【図9】従来のバンドアを有する照明器具の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、前方が開口(開口部22)した筒状の器具本体20を有しており、器具本体20の内部には、光源であるランプ21が収容されている。器具本体20は、全体コ字状の支持部材11によって、上下方向(図1中矢印A方向)へ回動可能に支持されている。また、支持部材11は、下部中央の回転軸12を中心として水平方向(図1中矢印B方向)に回転可能に支持される。使用時には、回転軸12がスタンド等の支持部材に回転可能に取り付けられる。
従って、器具本体20は、上下方向および水平方向で任意の方向へ向くことができ、ランプ21からの照射光を、所望の方向へ向けることができる。
【0014】
器具本体20の前端部には、ランプ21からの照射光を所定の範囲に切るためのバンドア30が設けられている。バンドア30は、4枚の羽根31を有する。各羽根31は、器具本体20の前端部外側に設けられている軸部材32に、上下方向に回転可能かつ所望の角度で固定可能に取り付けられている。
【0015】
各羽根31の少なくとも1枚は長さが可変となっており、各々長さを延長する延長部33を有する。延長部33は、羽根31と同一の部材で形成できるが、異なる材料を用いて形成することもできる。
図2に示すように、延長部33は、羽根31の先端に、回動軸331を介して回動可能に設けられており、バネ部材332(図3参照)により、常時開く方向(図2(A)中矢印A方向)に付勢されている。
なお、回動軸331およびバネ部材332を一体化したバネ付きの蝶番を用いることもできる。
【0016】
図2(A)および図3(A)に示すように、折り畳み状態では、延長部33は羽根31の裏面側(ランプ21の照射光が当たらない側)に折りたたまれている。延長部33の先端にはフック333が設けられており、折り畳み状態では、フック333を羽根31の裏面側に設けられているフック受け311に引っ掛けて延長部33を固定する。
フック333は、軸334の回りに回転可能に設けるようにすれば、延長部33を伸ばした際に、フック333を延長部33の裏面側に回転させて隠すことができる。
【0017】
図2(B)および図3(B)に示すように、延長部33を伸ばした状態では、羽根部材332が開く方向へ延長部33を付勢しているので、固定用の部材は、特に設けなくても良い。
また、延長部33を折りたたむ際には、延長部33を回動軸331回り(図2(B)中矢印B方向)に回動させて、フック333をフック受け311に引っ掛けて固定する。
なお、すでに使用中のバンドア30の羽根31の先端に、後付けで前述したような羽根付きの蝶番を取り付けることにより、延長部33を取り付けることも可能である。これにより、既にある羽根31を活用することができる。
【0018】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、バンドア30を構成する各羽根31の長さを可変としたので、バンドア30の長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。
これに伴い、ランプ21から発せられた照射光を、バンドア30により所定の範囲に切る際に、自由度が増す。
【0019】
また、各羽根31を、折り畳み式で長さを可変としたので、バンドア30の長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。
【0020】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る照明装置10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図4(A)および(B)に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bのバンドア30Bでは、羽根31の少なくとも1枚をスライド式で長さを可変とした。
【0021】
すなわち、羽根31の先端部(図4において上端部)に、延長部34をスライド可能(図4(B)中矢印参照)、かつ、固定可能に支持するスライド支持部312を設け、延長部34を支持する。スライド支持部312は、断面コ字状の部材を羽根31の裏面に取り付けて、延長部34が内部空間をスライドするようにする。
また、延長部34には、先端部(図4において上端部)および基端部(図4において下端部)に、スライド支持部312から脱落しないように、ストッパ341、342を設けた。
【0022】
スライド支持部312の固定構造としては、バネ式によるものおよびネジ式によるものが例示できる。
図5(A)に示すように、バネ式のスライド支持部312Aでは、バネ313によって延長部34を羽根31の裏面に押し付け、延長部34と羽根31との間の摩擦力により、延長部34を支持する。
この場合、延長部34を必要な長さ引き出すことにより、羽根31の長さを好きな長さだけ延長できるとともに、手を離しても延長部34はその長さに支持されるので、非常に作業が容易である。
【0023】
また、図5(B)に示すように、ネジ式のスライド支持部312Bでは、ネジ314によって延長部34を羽根31の裏面に押し付け、延長部34と羽根31との間の摩擦力により、延長部34を固定する。
この場合、延長部34を引き出す際には、ネジ314を緩め、延長部34を固定する際には、ネジ314を締め付ける。
従って、延長部34を必要な長さ引き出すことにより、羽根31の長さを好きな長さだけ延長できるとともに、ネジ314を締め付けることにより、延長部34を確実に固定することができる。
なお、すでに使用中の羽根31の先端に、後付けで前述したようなスライド支持部312Aを取り付けることにより、延長部34を取り付けることも可能である。これにより、既にある羽根31を活用することができる。
【0024】
以上、説明した第2実施形態の照明器具10Bによれば、羽根31を、スライド式で長さを可変としたので、バンドア30Bの長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。
これに伴い、ランプ21から発せられた照射光を、バンドア30Bにより所定の範囲に切る際に、自由度が増す。
【0025】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る照明装置10および第2実施形態に係る照明器具10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図6(A)および(B)に示すように、本発明に係る第3実施形態の照明器具10Cのバンドア30Cでは、各羽根31に、連結手段40により延長部として補助羽根35を連結することで長さを可変とした。
【0026】
すなわち、羽根31の先端部(図6において上端部)に、補助羽根35を取り付けるために少なくとも2個の連結受け部41を突出して設ける。
一方、連結される補助羽根35側には、連結受け部41により連結される連結部42を設ける。補助羽根35を複数個延長方向に連結する場合には、途中部分に連結する連結補助羽根35Aと、最先端に連結する終端補助羽根35Bの2種類を用意する。
なお、以後の説明において、特に連結補助羽根35Aと終端補助羽根35Bとを区別する場合を除いて、「補助羽根35」で総称する。
【0027】
連結補助羽根35Aには、基端側(図6中下端側)に連結部42を設けるとともに、先端側に連結受け部41を設ける。また、終端補助羽根35Bには、基端側に連結部42のみを設ける。
図7(A)に示す連結手段40Aでは、連結部42Aの先端部に、略半球状の係止凸部421を設ける。また、連結受け部41Aには、連結部42Aを受け入れる隙間411と、係止凸部421を係止する係止凹部412を設ける。
従って、補助羽根35を羽根31に連結する際には、羽根31の連結受け部41Aの隙間411に、補助羽根35の連結部42Aを押し込んで、連結部42Aの係止凸部421を連結受け部41Aの係止凹部412に嵌入させて係止する。
また、取り外す際には、補助羽根35を羽根31から引き抜く。
【0028】
なお、連結補助羽根35Aにさらに連結補助羽根35Aを連結する場合および取り外す場合や、連結補助羽根35Aに終端補助羽根35Bを取り付ける場合および取り外す場合も同様である。
これにより、羽根31の先端に、容易に補助羽根35を着脱して、バンドア30Cの長さを変えることができる。また、連結補助羽根35Aの枚数を変えることにより、バンドア30Cの長さを調整できる。
なお、すでに使用中の羽根31の先端に、後付けで連結受け部41Aを取り付けることにより、補助羽根35を取り付けるようにすることも可能である。これにより、既にある羽根31を活用することができる。
【0029】
また、図7(B)に示す連結手段40Bでは、連結部42Bの先端部に貫通孔422を設け、連結受け部41Bの先端に貫通孔413を設ける。また、連結受け部41Bには、連結部42Bを受け入れる隙間411を設ける。
従って、補助羽根35を羽根31に連結する際には、羽根31の連結受け部41Bの隙間411に、補助羽根35の連結部42Bを押し込んで、固定ネジ43を貫通孔413および貫通孔422に挿入して締め付ける。
また、補助羽根35を取り外す際には、固定ネジ43を取り除いて、補助羽根35を羽根31から引き抜く。
【0030】
なお、連結補助羽根35Aにさらに連結補助羽根35Aを連結する場合および取り外す場合や、連結補助羽根35Aに終端補助羽根35Bを取り付ける場合および取り外す場合も同様である。
これにより、羽根31の先端に、容易に補助羽根35を着脱して、バンドア30Cの長さを変えることができる。また、連結補助羽根35Aの枚数を変えることにより、バンドア30Cの長さを調整することができる。
なお、すでに使用中の羽根31の先端に、後付けで連結受け部41Bを取り付けることにより、補助羽根35を取り付けるようにすることも可能である。これにより、既にある羽根31を活用することができる。
【0031】
以上、説明した第3実施形態の照明器具10Cによれば、各羽根31に補助羽根35を連結することで長さを可変としたので、バンドア30Cの長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。
これに伴い、ランプ21から発せられた照射光を、バンドア30Cにより所定の範囲に切る際に、自由度が増す。
【0032】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る照明装置10ないし第3実施形態に係る照明器具10Cと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図8(A)および(B)に示すように、本発明に係る第4実施形態の照明器具10Dのバンドア30Dでは、各羽根31の一部に蛇腹部44を設けて、蛇腹部44を伸縮させることによりバンドア30D長さを可変とした。
蛇腹部44は、羽根31の先端部に設けることができるが、基端部および中央部に設けることも可能である。
【0033】
従って、バンドア30Dを伸ばす場合には、蛇腹部44を引き延ばして平らにする。
また、バンドア30Dを折りたたむ場合には、蛇腹部44を押し縮める。
【0034】
以上、説明した第4実施形態の照明器具10Dによれば、羽根31の少なくとも1枚を蛇腹状に形成して長さを可変としたので、バンドア30Dの長さを容易に変えることができ、現場における作業工数の低減を図ることができる。
これに伴い、ランプ21から発せられた照射光を、バンドア30Dにより所定の範囲に切る際に、自由度が増す。
【0035】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、上述した長さが可変な羽根31をバンドア30のすべての羽根31に適用することができるが、一部の羽根31にのみ適用することもできる。
また、各実施形態で示した長さ調整の構造を適用した羽根31を、混ぜて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10、10B、10C、10D 照明器具
20 器具本体
21 ランプ(光源)
30、30B、30C、30D バンドア
31 羽根
35 補助羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体に収容された光源と、
前記光源からの光を所定の範囲に照射するためのバンドアと、を有し、
前記バンドアの羽根の長さを可変とした照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記羽根が折り畳み式で長さが可変である照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具において、
前記羽根がスライド式で長さが可変である照明器具。
【請求項4】
請求項1に記載の照明器具において、
前記羽根に補助羽根を連結することにより長さが可変である照明器具。
【請求項5】
請求項1に記載の照明器具において、
前記羽根が蛇腹式で長さが可変である照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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