照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置
【課題】導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】導光板1の光反射面1bに対向して配置される厚さDの反射部材3を備える。反射部材3における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び反射部材3における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、導光板1に入射した直後の入射光Linにおける、波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【数1】
を満たすように調整されている。
【解決手段】導光板1の光反射面1bに対向して配置される厚さDの反射部材3を備える。反射部材3における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び反射部材3における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、導光板1に入射した直後の入射光Linにおける、波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【数1】
を満たすように調整されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置に関するものであり、詳細には、照明装置における導光板の厚さ及び長さに応じて、出射光の黄変を低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量にできることから色々な分野に使用されている。液晶テレビを始めとする液晶表示装置においては、導光板の側端面に配置された光源からの光を面状に出射させるサイドエッジ型バックライトと、液晶パネルの直下に光源を配置した直下型バックライトとに分類される。サイドエッジ型バックライトは、特に薄型を必要とする液晶表示装置において主として用いられ、また、その光源として、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が広く使用されている。
【0003】
一般に、サイドエッジ型のバックライトにおいては、導光板には高い光利用効率が求められるため、透明性の高いアクリル樹脂が好適に用いられている。一方、携帯端末に使用されるような導光距離が短いサイドエッジ型のバックライトにおいては、アクリル樹脂と比較して低廉なポリカーボネート(PC)樹脂が用いられている。
【0004】
しかし、ポリカーボネート(PC)樹脂は、アクリル樹脂と比較して青色光の吸収率が大きい。このため、ポリカーボネート(PC)樹脂製の導光板では、側端面から入光した白色光が導光板内を伝搬する過程で青色光成分が大きく吸収され、導光板からの出射光が黄変する現象が顕著に現れる問題があることが知られている。
【0005】
さらに、高い透明性を有するアクリル樹脂の導光板であっても、導光板内を伝搬する距離が長くなると出射光の黄変が顕著に現れる。このため、大型液晶テレビを始めとする液晶表示装置に使用されるサイドエッジ型、特に、光源が導光板側端面の片側一辺のみに配置されるバックライトに関しては、黄変の影響が大きく、導光板の光取り出し面内で色度分布が生じてしまう。
【0006】
また、現在、面状照明装置の光源として広く用いられているLEDにおける白色光の発光は、青色発光素子からの青色光と、その青色光を吸収して補色である黄色光を発光する蛍光体等からの黄色光とを混色する方式が主流である。したがって、上述したような出射光の黄変は、このような白色LEDを光源として用いた場合、特に問題となる。
【0007】
この問題に対処するため、従来、導光板上に形成される発光領域の光反射材料を、導光板で吸収される光の色成分の補正材料を含む材料で構成した面状照明装置が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1に開示されたバックライト・ユニットでは、図14に示すように、エッジライト方式のバックライト・ユニット100において、導光板110の端面側に反射板101を配している。この反射板101は、有彩色の反射光を射出すると共に、反射板101における有彩色の色度を光源102から遠ざかるに従って変化させるようになっている。これにより、例えば、導光板110の上面(射出面)111の場所によって色度に違いが生じることのない光を射出することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−200740号公報(2007年8月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の特許文献1に開示された照明装置としてのバックライト・ユニット100では、導光板110の側端面側に有彩色の反射板101を配することは開示されているが、色度変化の影響を最低限におさえるための反射板101の形態つまり反射板101の最適化については言及されていない。このため、導光板の長さや厚さが変化することによって、色度の変化の程度が変わることは示唆されていない。
【0011】
一方、本願発明者らは、バックライト・ユニットの改善を図るべく、鋭意努力した結果、以下の新たな課題に直面した。
【0012】
すなわち、
(1)導光板の板厚が同一の場合には、導光板の長さが長くなるほど、色度変化が悪化する。
(2)導光板の長さが同一の場合には、導光板の厚さが薄くなるほど、色度変化が悪化する。
【0013】
この結果、このような色度変化の影響を最低限に抑えるには、色度変化の度合いに応じた反射板を配置する必要がある。すなわち、導光板の厚さが薄く、かつ長さが長い場合には、導光板の色度変化の度合いも悪化するため、反射板はそれに応じて青色光板の分光反射率が高いものを使用する必要がある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の照明装置は、上記課題を解決するために、光源と厚さTの導光板とを備え、上記光源からの光を上記導光板の光入射部から入射させ、上記導光板の内部を該導光板の側端面に向けて伝搬させる照明装置において、上記導光板の側端面に対向して配置される厚さDの反射部材を備え、上記反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び上記反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、上記導光板に入射した直後の入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【0016】
【数1】
【0017】
を満たすように調整されていることを特徴としている。尚、分光反射率とは、波長ごとの反射率をいう。
【0018】
上記の発明によれば、照明装置は、光源と厚さTの導光板とを備え、上記光源からの光を上記導光板の光入射部から入射させ、上記導光板の内部を該導光板の側端面に向けて伝搬させる。
【0019】
ところで、光源からの光を導光板の光入射部から入射させ、導光板の側端面に向けて伝搬する場合、導光板の厚さ及び長さに伴って出射光の色度が黄色に変化するという問題がある。
【0020】
そこで、本発明においては、導光板の側端面に対向して厚さDの反射部材を配置している。そして、反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)を、入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比Ninと、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比Ntとの間で式(A)の関係を有するように調整している。
【0021】
すなわち、この式(A)は、入射光Linにおける光強度比Ninと、導光板の端部から導光板の上面に出射される端部光における光強度比とが等しいとして導いた式である。尚、端部光は、伝搬光と反射部材からの反射光との和である。
【0022】
この結果、反射部材における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を、この式(A)により調整すれば、伝搬方向に対する色度の変化量が小さくなる。すなわち、単純かつ廉価な手段により、導光板の光出射面から取り出される出射光の色度均一性を改善することができる。
【0023】
したがって、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置を提供することができる。
【0024】
本発明の照明装置では、前記反射部材は、反射板とその表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材とから構成されていることが好ましい。
【0025】
これにより、反射部材は、反射板とその表面に設けられた分光スペクトル変換部材との複合部材からなっているので、反射部材における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を式(A)により調整する場合に、例えば青色フィルム等からなる分光スペクトル変換部材を取り換えることにより、容易に調整することが可能となる。
【0026】
すなわち、導光板の内部を伝搬する過程で変化する光の色成分の変化量に応じて、分光スペクトル変換部材の光学特性を調整するだけでよく、仕様を変更する部材を最小限にすることができる。この結果、導光板の材質や大きさ等、多岐に亘る仕様に応じて異なる色度変化量に柔軟に対応することが可能となる。
【0027】
本発明の照明装置では、前記光源は、青色発光素子と蛍光体とから構成されていることが好ましい。すなわち、光源は、青色発光素子と、該青色発光素子からの発光により擬似白色光を出射するための蛍光体とから構成されていることが好ましい。
【0028】
これにより、例えばLEDに代表される青色発光素子と、その青色発光素子からの青色光を吸収して例えば補色である黄色光を発光する蛍光体とで光源を構成することが可能である。この結果、視感度の高い波長である黄色光と青色発光素子からの青色光とを組み合わせて擬似白色光源とすることができ、少ないエネルギーにて視感度上は非常に発光効率の良い光源とすることができる。すなわち、消費電力に対して高効率の照明装置を得ることが可能となる。また、その光源からの光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置を提供することができる。
【0029】
本発明の照明装置では、前記導光板は、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなっていることが好ましい。
【0030】
すなわち、導光板がポリカーボネート(PC)樹脂のように青色光の吸収率が大きい材料では、導光板の内部を伝搬する過程で青色成分が大きく吸収され、導光板からの出射光が黄色に変色する。また、導光板が高い透明性を有するアクリル樹脂であっても、導光板の内部を伝搬する距離が長くなると出射光が黄変する現象が現れる。
【0031】
したがって、入射光が白色光源の場合、反射部材は補色である青色成分の分光反射率が高い分光スペクトル特性、つまり可視光領域の短波長側の分光反射率が高い分光スペクトル特性を有すればよい。
【0032】
これにより、反射部材にて青色に戻された反射光が導光板に再結合するため、光出射面から取り出される白色光の黄変が緩和され、色度均一性を改善することが可能となる。すなわち、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなる導光板において、色度均一性の改善効果が大きい。
【0033】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記記載の照明装置を備えていることを特徴としている。
【0034】
上記の発明によれば、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置を備えた液晶表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の照明装置は、以上のように、導光板の側端面に対向して配置される厚さDの反射部材を備え、上記反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び上記反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、上記導光板に入射した直後の入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【0036】
【数2】
【0037】
を満たすように調整されているものである。
【0038】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記記載の照明装置を備えているものである。
【0039】
それゆえ、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における照明装置の実施の一形態を示すものであって、照明装置における導光板への入射光と端部光との色度を合わせる方法を説明するための図である。
【図2】上記照明装置の構成を示す側面図である。
【図3】上記照明装置の端部の構成を示す要部断面図である。
【図4】上記照明装置の導光板における導光板長さと出射光における色度との関係を示すグラフである。
【図5】上記照明装置の導光板における導光板厚さと出射光における色度変化との関係を示すグラフである。
【図6】上記導光板における端部での伝搬光と反射部材による反射光との混合状態を示す導光板の断面図である。
【図7】上記反射部材における分光スペクトルと分光反射率との関係を示すグラフである。
【図8】上記分光スペクトル変換部材を有する反射部材が存在する場合と存在しない場合とにおける導光板長さと色度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明における照明装置の他の実施の形態を示すものであって、上記照明装置を備えた液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図10】上記液晶表示装置の照明装置における導光板直下型の光源からの光路を示す断面図である。
【図11】本発明における照明装置の実施例を示すものであって、導光板長さと伝搬光における光強度比Ntとの関係を示すグラフである。
【図12】上記実施例を示すものであって、反射部材の分光スペクトルと分光反射率との関係を示すグラフである。
【図13】上記実施例を示すものであって、導光板厚さと伝搬光における光強度比Ntとの関係を示すグラフである。
【図14】従来の照明装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0042】
本実施の形態の照明装置の構成について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は照明装置における導光板への入射光と端部光との色度を合わせる方法を説明するための図である。また、図2は本実施の形態の照明装置の構成を示す側面図である。
【0043】
本実施の形態の照明装置10は、図1及び図2に示すように、透明樹脂からなる板状の導光板1と、該導光板1の一側端面である光入射部としての光入射面1aに向かって外側に配置された光源2と、導光板1における光入射面1aとは反対側の端部である側端面としての光反射面1bの外側に配置された反射部材3とを備えている。したがって、本実施の形態の照明装置10は、サイドエッジ型の照明装置となっている。
【0044】
上記の導光板1では、光源2から光入射面1aを通じて導光板1に入射し、導光板1内を伝搬した光は導光板1の光出射面1cから取り出される。光出射面1cから取り出されずに光反射面1bに達した光は、光反射面1bから出射して反射部材3により分光スペクトルが変化した後、光反射面1bを通じて導光板1に再結合される。この再結合した光も光出射面1cから取り出される。すなわち、光源2から光入射面1aを通じて入射した光と光反射面1bから反射部材3にて反射されて再結合した光とが、光出射面1cから取り出され、被照明体を照射するものとなっている。
【0045】
上記導光板1は、例えばアクリル樹脂からなっている。ただし、導光板1はアクリル樹脂に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、スチレン樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、シリコン樹脂等の透明樹脂であればよい。また、導光板1は板状ではなく光入射面1aの断面が円形や多角形であっても構わない。また、導光板1は一部材ではなく、複数に分割されていても構わない。
【0046】
尚、導光板1の光出射面1cの対向面、つまり導光板背面1dから外側に抜けた光を再度導光板背面1dに戻して再入射させる図示しない反射シートが、導光板背面1dの外側に設けられていてもよい。
【0047】
また、導光板1の内部を伝搬する光を光出射面1cから取り出すため光路変換構造が、光出射面1c若しくは導光板背面1dのいずれか一方、又は光出射面1c及び導光板背面1dの両方に設けられていてもよい。さらに、導光板1の内部を伝搬する光を光出射面1cから取り出すために、導光板1の内部に光拡散部材が含まれていてもよい。
【0048】
本実施の形態における照明装置10では、光源2は、青色発光LEDチップと、その青色光を吸収して補色である黄色光を発光する蛍光体とで構成されている擬似白色LEDパッケージである。この光源2は、本実施の形態では、導光板1の光入射面1aに対向して、図2の紙面に対して垂直方向に複数個配置されている。ただし、光源2は、擬似白色LEDに限定されるものではなく、赤色発光LED、緑色発光LED及び青色発光LEDをそれぞれ複数個有する構造であってもよい。
【0049】
また、光源2は、レーザー光、CCFL(冷陰極蛍光管)、HCFL(熱陰極蛍光管)等であってもよい。
【0050】
さらに、反射部材3は、後述する図3に示すように、反射板3bとこの反射板3bの表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材3aとからなっている。尚、反射部材3の詳細については、後述する。
【0051】
上記の構成を有する照明装置10における導光板1の反射部材3での反射経路について、図3に基づいて説明する。図3は、導光板1における光出射面1c近傍の構成を示す要部拡大断面図である。
【0052】
図3に示すように、前記光源2からの光は、光入射面1aを通じて導光板1に入射し、導光板1内を伝搬する。そして、光出射面1cから取り出されずに光反射面1bに達した伝搬光Ltは、光反射面1bから外側に出射し、分光スペクトル変換部材3aと反射板3bとで構成される反射部材3にて反射されて導光板1に反射光Lrとして再結合する。このとき、伝搬光Ltは、アクリル樹脂等からなる導光板1の内部での伝搬距離が長くなると、材料や光路変換構造の吸収等の影響により黄変する。
【0053】
ここで、導光板1の伝搬光Ltにおける黄変化について、図4及び図5に基づいて説明する。図4は導光板1の長さと色度との関係を示すグラフであり、図5は導光板1の長さと色度変化との関係を示すグラフである。
【0054】
すなわち、本願発明者らは、導光板1の伝搬光Ltにおける黄変化について、導光板1の長さと色度との関係、及び導光板1の厚さと色度変化との関係について調査した。その結果、図4及び図5に示すように、以下のことが判明した。
(1)導光板1の板厚が同一の場合には、導光板の長さが長くなるほど、色度変化が悪化する。
(2)導光板1の長さが同一の場合には、導光板の厚さが薄くなるほど、色度変化が悪化する。
【0055】
このような色度変化を最低限に抑えるには、例えば、色度変化の度合いに応じた反射部材を配置することが考えられる。具体的には、厚さが薄く、長さが長い導光板1は色度変化の度合いも悪化するため、反射部材はそれに応じて青色光板の分光反射率が高いものを使用する必要がある。尚、分光反射率とは波長ごとの反射率をいう。
【0056】
そこで、この現象を防止するために、本実施の形態では、前記図3に示すように、反射部材3として、反射板3bの前に分光スペクトル変換部材3aを設け、この分光スペクトル変換部材3aにて黄変化した伝搬光Ltの分光スペクトル成分を青色に戻すようにしている。すなわち、図6に示すように、導光板1において、光源2の反対側の端面である光出射面1cに達した伝搬光Ltは、分光スペクトル変換部材3aが設けられた反射部材3によって、青色に変化して反射し、導光板1に反射光Lrとして再結合する。これにより、黄色シフトした導光後の伝搬光Ltと、反射部材3にて青色シフトした反射光Lrとが混合されることによって、色度変化を改善し、照明装置10の色度均一性を改善することができる。
【0057】
具体的には、各波長において、図7に示す分光反射率を有する分光スペクトル変換部材3aを設ける。これにより、図8に示すように、分光スペクトル変換部材3a有りの場合(図8ではブルーイング反射部材有りの場合)には、分光スペクトル変換部材3a無しの場合(図8ではブルーイング反射部材無しの場合)に比べて、照明装置10の色度均一性を改善することができるようになっている。
【0058】
本実施の形態では、分光スペクトル変換部材3aは、青色の波長、つまり波長450nm近傍以外の光の吸収率が高い青色フィルムからなっている。また、反射板3bは拡散反射シートからなっている。上記青色フィルムと拡散反射シートとは、接着された状態で反射部材3を構成している。
【0059】
上記反射部材3の分光反射率は、例えば、図1における反射部材3の分光スペクトルと分光反射率との関係を示すグラフにて示される。このグラフにおいては、緑色や赤色における波長550nm〜760nmの長波長域が略吸収されており、波長450nm近傍の短波長域に分光反射率のピークを有することが判る。青色である波長450nm近傍の短波長域に分光反射率のピークを有し、緑色や赤色の波長550nm〜760nmの分光反射率がそれよりも低い分布を示す。
【0060】
ここで、分光反射率については、波長450nm近傍の分光反射率のピーク値が100%に近く、他の波長域は、黄変を補正するために必要な分だけ分光反射率を上記ピーク値から低下させたものであることが好ましい。これにより、色度の補正機能を有しつつ、導光板1の光出射面1cを通じて再結合する反射光Lrの強度を最大とすることができる。すなわち、光利用効率の高い照明装置10を提供することが可能となる。
【0061】
尚、反射部材3における分光スペクトル変換部材3aと反射板3bとは接着されているものに限られるものではなく、空間を設けて設置されていてもよい。また、反射部材3は、導光板1の光反射面1bに接着されていてもよい。さらに、反射部材3における反射板3bは、拡散反射部材に限定されるものではなく、正反射部材であってもよい。また、反射部材3は、反射板3bに青色顔料や染料などの青色材料が塗布されているものや、青色光の分光反射率を高めた誘電体多層膜反射体であってもよい。
【0062】
ところで、前述したように、導光板1の伝搬光Ltにおける黄変化は、導光板1の長さ及び厚さによって異なる。したがって、分光スペクトル変換部材3aにおける各波長における分光反射率も、導光板1の長さ及び厚さに応じて適切なものを選択しなければならない。
【0063】
そこで、本願発明者らは、導光板1の長さ及び厚さ、及び反射部材3の分光反射率をパラメーターに含んだときの、導光板1における入射光Linと導光板1における出射光としての端部光Lendとの色を合わせるための条件を求めるべく検討した。
【0064】
結論的には、入射光Linの青色光(450nm)と緑色光(550nm)との光強度比Ninと、端部光Lendの青色光(450nm)と緑色光(550nm)との光強度比Nendとを一致させるような特性の分光反射率を有する反射部材3を置く。このようにして、
Nin=Nend
となれば、導光板1の光入射面1aから光反射面1bまでの色変化は無い又は略無いことが明らかである。
【0065】
具体的には、以下のようにして検討した。
【0066】
最初に、光源2から導光板1への入射光Linについて考える。
【0067】
光源2から導光板1への入射光Linは、図1に示すように、一定の分光スペクトルを有している。そこで、波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)とに着目する。波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)とに着目する理由は、以下の通りである。
【0068】
すなわち、本実施の形態では、光源2として、青色光を、蛍光体を用いて白色に変換して外部に放出するタイプの白色LEDを使用している。したがって、基になる青色光の波長が450nmのところに存在し、この光を蛍光体で白色化して外部に放出するとはいえども、図1の入射光スペクトルに示すように、白色化した後の光成分においても依然として波長450nmのところに鋭いピークを持つ。
【0069】
また、導光板1の原料である例えばアクリル樹脂の光吸収率は波長450nmと波長550nmとの間で短波長の吸収率が極端に増加する。したがって、導光板1を透過する際の色度変化は、この波長450nmのピークの強度が他の波長に比べてどの程度減衰するかが重要となる。波長550nm以上の波長では吸収率の波長依存性は殆どないため、代表値として波長550nmの値を比較対照として使用している。尚、波長450nmの波長が近い方が分光測定による強度比較が簡単にできるため、波長550nmよりも波長が長いスペクトルは、評価に用いない。
【0070】
ここで、入射光Linにおける波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)との光強度比Ninは、
Nin=Iin(450)/Iin(550) 式(1)
にて表される。
【0071】
また、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度をIt(450)とし、伝搬光Ltにおける波長550nmの緑色光の光強度をIt(550)とすると、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntは、
Nt=It(450)/It(550) 式(2)
にて表される。
【0072】
次に、導光板1における光源2側とは異なる他方の端部側からの端部光Lendについて考える。
【0073】
すなわち、図1に示すように、導光板1における端部光Lendについても、同様に、波長450nmの青色光の光強度Iend(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iend(550)とに着目する。
【0074】
ここで、端部光Lendは、伝搬光Ltと反射光Lrとの和になる。したがって、反射光Lrにおける波長450nmの青色光の光強度をIr(450)とし、反射光Lrにおける波長550nmの緑色光の光強度をIr(550)とすると、端部光Lendにおける波長450nmの青色光の光強度Iend(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iend(550)との光強度比Nendは、
Nend={It(450)+Ir(450)}/{It(550)+Ir(550)} 式(3)
にて表される。
【0075】
ここで、パラメーターとして、導光板1の厚さをTとし、反射部材3の厚さをDとすると共に、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)とし、反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)とする。
【0076】
この場合、反射光Lrにおける波長450nmの青色光の光強度をIr(450)、及び反射光Lrにおける波長550nmの緑色光の光強度をIr(550)は、以下のように表される。
【0077】
Ir(450)=It(450)×R(450)×D/T 式(4)
Ir(550)=It(550)×R(550)×D/T 式(5)
この結果、式(4)及び式(5)を、式(3)に代入すると、
【0078】
【数3】
【0079】
となる。
【0080】
ここで、入射光Linにおける光強度比Ninと、端部光Lendにおける光強度比Nendとが等しい場合には、導光板1の色変化は少なくなる。したがって、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)、及び反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)の条件は、
【0081】
【数4】
【0082】
となる。
【0083】
この式(7)において、入射光Linにおける光強度比Ninは、光源2の分光スペクトルを測定することにより、算出することができる。また、伝搬光Lt における光強度比Ntについては、導光板1の端部側における光出射面1cから出射された伝搬光Lt の分光スペクトルを測定することにより、算出することができる。したがって、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)と、反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)との比率を求めることができる。
【0084】
ここで、理論的には、入射光Linにおける光強度比Ninは端部光Lend における光強度比Nend と等しいことが好ましいが、現実的には、光強度比Ninは光強度比Nend と略等しければよい。実験により求めた結果、光強度比Ninは光強度比Nend −0.14以上かつNend +0.14以下であればよく、すなわち、
【0085】
【数5】
【0086】
を満たせばよいことが判った。
【0087】
尚、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)と緑色光(550nm)の分光反射率R(550)との比率を変更するためには、分光スペクトル変換部材3aである青色フィルムの各色成分を変更することにより、該比率を変更することが可能である。また、青色光の分光反射率を高めた誘電体多層膜反射体の種類を変更することも可能である。
【0088】
このように、導光板1の色度変化の度合いは、従来では、実際に照明装置10を組み立てて判断していた。しかし、上記の式(A)を用いれば、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntの値を測定すれば、自ずと反射部材3の最適設計値が得られる。ここで、伝搬光Ltにおける光強度比Ntの値は光源2及び導光板1のみで測定できる値であるので、照明装置10を組み立てる必要がない。すなわち、試作品を作らずに反射部材3の最適化や評価ができるため、コストや手間が省ける。
【0089】
以上のように、本実施の形態の照明装置10では、光源2と厚さTの導光板1とを備え、光源2からの光を導光板1の光入射面1aから入射させ、導光板1の内部を該導光板1の光反射面1bに向けて伝搬させる。
【0090】
ところで、光源2からの光を導光板1の光入射面1aから入射させ、導光板1の光反射面1bに向けて伝搬する場合、導光板1の厚さT及び長さに伴って出射光の色度が黄色に変化するという問題がある。
【0091】
そこで、本実施の形態においては、導光板1の光反射面1bに対向して厚さDの反射部材3を配置している。そして、反射部材3における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び反射部材3における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)を、入射光Linにおける、波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比Ninと、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比Ntとの間で式(A)の関係を有するように調整している。
【0092】
【数6】
【0093】
すなわち、この式(A)は、入射光Linにおける光強度比Ninと、導光板1の端部から導光板1の上面に出射される端部光Lendにおける光強度比Nendとが略等しいとして導いた式である。尚、Lendは、伝搬光Ltと反射部材3からの反射光Lrとの和である。
【0094】
この結果、反射部材3における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を、この式(A)により調整すれば、伝搬方向に対する色度の変化量が小さくなる。すなわち、単純かつ廉価な手段により、導光板1の光出射面から取り出される出射光の色度均一性を改善することができる。
【0095】
したがって、導光板1の厚さT及び長さに伴う端部光Lendの色度変化の度合いを低減し得る照明装置10を提供することができる。
【0096】
また、本実施の形態の照明装置10では、反射部材3は、反射板3bとその表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材3aとから構成されている。
【0097】
これにより、反射部材3における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を式(A)により調整する場合に、例えば青色フィルム等からなる分光スペクトル変換部材3aを取り換えることにより、容易に調整することが可能となる。
【0098】
すなわち、導光板1の内部を伝搬する過程で変化する光の色成分の変化量に応じて、分光スペクトル変換部材3aの光学特性を調整するだけでよく、仕様を変更する部材を最小限にすることができる。この結果、導光板1の材質や大きさ等、多岐に亘る仕様に応じて異なる色度変化量に柔軟に対応することが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態の照明装置10では、光源2は、青色発光素子と蛍光体とから構成されている。これにより、例えばLEDに代表される青色発光素子と、その青色発光素子からの青色光を吸収して例えば補色である黄色光を発光する蛍光体とで光源を構成することが可能である。この結果、視感度の高い波長である黄色光と青色発光素子からの青色光とを組み合わせて擬似白色光源とすることができ、少ないエネルギーにて視感度上は非常に発光効率の良い光源とすることができる。すなわち、消費電力に対して高効率の照明装置10を得ることが可能となる。また、その光源2からの光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置10を提供することができる。
【0100】
また、本実施の形態の照明装置10では、導光板1は、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなっていることが好ましい。
【0101】
すなわち、導光板1がポリカーボネート(PC)樹脂のように青色光の吸収率が大きい材料では、導光板1の内部を伝搬する過程で青色成分が大きく吸収され、導光板1からの端部光Lendが黄色に変色する。また、導光板1が高い透明性を有するアクリル樹脂であっても、導光板1の内部を伝搬する距離が長くなると伝搬光Lt が黄変する現象が現れる。
【0102】
したがって、入射光Linが白色光源の場合、反射部材3は補色である青色成分の分光反射率が高い分光スペクトル特性、つまり可視光領域の短波長側の分光反射率が高い分光スペクトル特性を有すればよい。
【0103】
これにより、反射部材3にて青色に戻された反射光Lrが導光板1に再結合するため、光出射面1cから取り出される白色光の黄変が緩和され、色度均一性を改善することが可能となる。すなわち、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなる導光板1において、色度均一性の改善効果が大きい。
【0104】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図9及び図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
本実施の形態では、前記実施の形態1の照明装置10を液晶表示装置のバックライトに適用した構成について説明する。尚、本実施の形態では、導光板直下型の光源を採用した照明装置となっている点が前記実施の形態1の光源と異なっている。ただし、本発明においては、実施の形態1のサイドエッジ型の照明装置10を液晶表示装置のバックライトとして採用することも勿論可能である。
【0106】
(液晶表示装置の全体構成)
本実施の形態の液晶表示装置20は、図9に示すように、バックライトである照明装置10、拡散板22A、プリズムシート23、拡散シート22B、液晶パネル24及びベゼル25がこの順に重ねられて配置されている。液晶表示装置20においては、照明装置10から出射された光が、拡散板22A、プリズムシート23、及び拡散シート22Bを通過して液晶パネル24に入射する。そして、液晶パネル24において光透過率を部分的に変化させることにより、所望の画像が表示されることになる。尚、液晶パネル24は、矩形の平板状であり、拡散板22A、プリズムシート23、及び拡散シート22Bも液晶パネル24と略同じ形状を有している。また、ここでは、液晶パネル24の長辺に平行な方向をX方向とし、液晶パネル24の短辺に平行な方向をY方向とし、X方向及びY方向の両方に垂直な方向をZ方向とする。X方向は、長手方向ともいう。また、Z方向は、液晶パネル24の法線方向ともいえる。
【0107】
(バックライトの構成)
また、バックライトである照明装置10は、図9に示すように、下から順に、つまり液晶パネル24に対して遠い方から順に、光源ユニット30、一筋の開口11aを有するシャーシ11、シャーシ11と同様に一筋の開口12aを有する反射シート12、及び光学部材としての導光板1にて構成されている。
【0108】
上記光源ユニット30は、凹部31aを有する光源ホルダー31を備えている。凹部31aはX方向に伸びた長尺状つまり帯状の溝である。光源ホルダー31は、液晶パネル24の長辺方向に沿って、短辺方向における側端部の下側に配置されている。
【0109】
反射シート12は、導光板1から漏れ出た光を反射し、導光板1に戻すために設けられている。反射シート12は、光源ユニット30内の後述する光学部材である光結合部材40が導光板1に当接する部分で2つの区切られており、区切られた2つの反射シート間に一筋の開口12aが形成されている。すなわち、導光板1における、光源ユニット30側の下面には、光結合部材40と当接する領域、及び反射シート12が設けられた領域が存在する。そして、光は、導光板1における、光結合部材40と当接する領域を介して導光板1へ入射することとなる。
【0110】
導光板1は、入射してくる光を液晶パネル24側へ導くためのものであり、平板状である。
【0111】
次に、光源ユニット30の構成について、図10に基づいて説明する。図10は、光源ユニット30における光源としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップ33a及び光結合部材40の構成を示す断面図である。
【0112】
上記光源ユニット30は、図10に示すように、光源としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップ33aを搭載した光源基板としてのLED基板34aと、長尺状かつアーチ状の光結合部材40とを備えている。光結合部材40は、導光板1の下側に配されている。上記LEDチップ33aは、青色LEDを、蛍光体を含む封止樹脂にて封止したものからなっている。
【0113】
上記構成の照明装置10では、図10に示すように、LED基板34a上のLEDチップ33aから発した光は、光結合部材40における二股形状の一方の入光面から入光し、光結合部材40内部を曲面42aにて全反射しながら伝搬し、導光板1との固定部分である頂部平坦面41にて導光板1の光入射部と光結合する。つまり導光板1に入射する。導光板1に入射した光は、導光板1内部を全反射しながら伝搬しつつ、その光の一部は、導光板1の裏面に形成された図示しない光散乱体により全反射条件が破られ、導光板1表面から上方に出射する。尚、上記光散乱体は、導光板1裏面に印刷等で形成された微小パターンである。このように光源ユニット30は、LEDチップ33aからの光を導光板1の凡そ全面から出射することができるので、面発光装置として利用することができる。この結果、本実施の形態の照明装置10は、導光板直下型の光源2としてのLEDチップ33aを採用した照明装置10となっている。
【0114】
そして、本実施の形態の照明装置10においても、導光板1の側端面の外側に実施の形態1と同様の図示しない反射部材が設けられている。特に、反射部材は、光源ホルダー31が配置されている側端部とは、短辺方向における反対側の側端部の側端面に対向して配置されている。これによって、導光板1の色度変化の度合いを低減し得るようになっている。
【0115】
このように、本実施の形態の液晶表示装置20は、照明装置10を備えている。したがって、導光板1の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置10を備えた液晶表示装置20を提供することができる。
【実施例】
【0116】
本発明の実施例について、図11〜図13に基づいて、以下に示す。
【0117】
〔実施例1〕
本実施例では、反射部材3のパラメーターが与えられている場合について、適合性評価を行った。
【0118】
まず、反射部材3のパラメーターとして、以下が与えられているとする。
【0119】
導光板1の厚さT=3mm
反射部材3の厚さD=2mm
また、本実施例において、導光板1の長さと、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntとの関係は、図11に示すようになった。この結果、この図11から、光強度比Ntは、
Nt=4.45
とした。
【0120】
一方、別途測定した入射光Linにおける波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)との光強度比Ninは、
Nin=4.84
であった。
【0121】
そこで、反射部材3として、青色光(450nm)の分光反射率R(450)と、緑色光(550nm)の分光反射率R(550)とを選択して分光スペクトルを測定したところ、図12に示すように、分光スペクトルと分光反射率との関係を得た。
【0122】
すなわち、図12から判るように、
R(450)=0.206
R(550)=0.024
であった。この値を、前記式(6)に代入すると、
【0123】
【数7】
【0124】
を得た。すなわち、目標のNin=4.84に対して、本実施例では、Nend =4.98となり、
Nin=Nend−0.14
となっている。しかし、性能的には充分使用に対応できる値であった。
【0125】
〔実施例2〕
本実施例では、反射部材3のパラメーターの最適化について検討を行った。
【0126】
まず、導光距離1350mmの導光板1と、導光距離780mmの導光板1との2種類について、導光板1の厚さTと、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntとの関係を求め、図13に示すグラフを得た。
【0127】
ここで、今、導光距離1350mm、及び厚さT=2mmの導光板1について、伝搬光Ltにおける光強度比Ntは、図13に示すグラフから、
Nt=3.95
が読み取れる。一方、このときに別途測定した入射光Linにおける波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)との光強度比Ninは、
Nin=4.50
であった。
【0128】
そこで、これらの値から、
【0129】
【数8】
【0130】
となるように、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)と、緑色光(550nm)の分光反射率R(550)とを調整する。
【0131】
この場合、例えば、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)を0.5に設定する。その結果、上記の式から、反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)=0.779となるように調整すればよい。
【0132】
尚、本実施の形態及び実施例において、図1に示す入射光スペクトルは商品名「V650紫外可視分光光度計(JASCO社製)」の紫外可視分光光度計を使用して測定した結果を用いている。また、図1、図7、及び図12に示す反射スペクトルは、商品名「CS1000分光放射輝度計(コニカミノルタ社製)」の分光放射輝度計を使用して測定した結果を用いている。さらに、図4、図5及び図8に示す色度の値は、入射光スペクトルより算出した結果を用いている。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置に関するものであり、詳細には、照明装置における導光板の厚さ及び長さに応じて、出射光の黄変を低減し得る照明装置、及びその照明装置をバックライトとして備えた液晶表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 導光板
1a 光入射面(光入射部)
1b 光反射面(側端面)
1c 光出射面
1d 導光板背面
2 光源
3 反射部材
3a 分光スペクトル変換部材
3b 反射板
10 照明装置
D 反射部材の厚さ
Lend 端部光(出射光)
Lin 入射光
Lr 反射光
Lt 伝搬光
Nend 端部光における光強度比
Nin 入射光における光強度比
Nt 伝搬光における光強度比
T 導光板の厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置に関するものであり、詳細には、照明装置における導光板の厚さ及び長さに応じて、出射光の黄変を低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量にできることから色々な分野に使用されている。液晶テレビを始めとする液晶表示装置においては、導光板の側端面に配置された光源からの光を面状に出射させるサイドエッジ型バックライトと、液晶パネルの直下に光源を配置した直下型バックライトとに分類される。サイドエッジ型バックライトは、特に薄型を必要とする液晶表示装置において主として用いられ、また、その光源として、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が広く使用されている。
【0003】
一般に、サイドエッジ型のバックライトにおいては、導光板には高い光利用効率が求められるため、透明性の高いアクリル樹脂が好適に用いられている。一方、携帯端末に使用されるような導光距離が短いサイドエッジ型のバックライトにおいては、アクリル樹脂と比較して低廉なポリカーボネート(PC)樹脂が用いられている。
【0004】
しかし、ポリカーボネート(PC)樹脂は、アクリル樹脂と比較して青色光の吸収率が大きい。このため、ポリカーボネート(PC)樹脂製の導光板では、側端面から入光した白色光が導光板内を伝搬する過程で青色光成分が大きく吸収され、導光板からの出射光が黄変する現象が顕著に現れる問題があることが知られている。
【0005】
さらに、高い透明性を有するアクリル樹脂の導光板であっても、導光板内を伝搬する距離が長くなると出射光の黄変が顕著に現れる。このため、大型液晶テレビを始めとする液晶表示装置に使用されるサイドエッジ型、特に、光源が導光板側端面の片側一辺のみに配置されるバックライトに関しては、黄変の影響が大きく、導光板の光取り出し面内で色度分布が生じてしまう。
【0006】
また、現在、面状照明装置の光源として広く用いられているLEDにおける白色光の発光は、青色発光素子からの青色光と、その青色光を吸収して補色である黄色光を発光する蛍光体等からの黄色光とを混色する方式が主流である。したがって、上述したような出射光の黄変は、このような白色LEDを光源として用いた場合、特に問題となる。
【0007】
この問題に対処するため、従来、導光板上に形成される発光領域の光反射材料を、導光板で吸収される光の色成分の補正材料を含む材料で構成した面状照明装置が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1に開示されたバックライト・ユニットでは、図14に示すように、エッジライト方式のバックライト・ユニット100において、導光板110の端面側に反射板101を配している。この反射板101は、有彩色の反射光を射出すると共に、反射板101における有彩色の色度を光源102から遠ざかるに従って変化させるようになっている。これにより、例えば、導光板110の上面(射出面)111の場所によって色度に違いが生じることのない光を射出することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−200740号公報(2007年8月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の特許文献1に開示された照明装置としてのバックライト・ユニット100では、導光板110の側端面側に有彩色の反射板101を配することは開示されているが、色度変化の影響を最低限におさえるための反射板101の形態つまり反射板101の最適化については言及されていない。このため、導光板の長さや厚さが変化することによって、色度の変化の程度が変わることは示唆されていない。
【0011】
一方、本願発明者らは、バックライト・ユニットの改善を図るべく、鋭意努力した結果、以下の新たな課題に直面した。
【0012】
すなわち、
(1)導光板の板厚が同一の場合には、導光板の長さが長くなるほど、色度変化が悪化する。
(2)導光板の長さが同一の場合には、導光板の厚さが薄くなるほど、色度変化が悪化する。
【0013】
この結果、このような色度変化の影響を最低限に抑えるには、色度変化の度合いに応じた反射板を配置する必要がある。すなわち、導光板の厚さが薄く、かつ長さが長い場合には、導光板の色度変化の度合いも悪化するため、反射板はそれに応じて青色光板の分光反射率が高いものを使用する必要がある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の照明装置は、上記課題を解決するために、光源と厚さTの導光板とを備え、上記光源からの光を上記導光板の光入射部から入射させ、上記導光板の内部を該導光板の側端面に向けて伝搬させる照明装置において、上記導光板の側端面に対向して配置される厚さDの反射部材を備え、上記反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び上記反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、上記導光板に入射した直後の入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【0016】
【数1】
【0017】
を満たすように調整されていることを特徴としている。尚、分光反射率とは、波長ごとの反射率をいう。
【0018】
上記の発明によれば、照明装置は、光源と厚さTの導光板とを備え、上記光源からの光を上記導光板の光入射部から入射させ、上記導光板の内部を該導光板の側端面に向けて伝搬させる。
【0019】
ところで、光源からの光を導光板の光入射部から入射させ、導光板の側端面に向けて伝搬する場合、導光板の厚さ及び長さに伴って出射光の色度が黄色に変化するという問題がある。
【0020】
そこで、本発明においては、導光板の側端面に対向して厚さDの反射部材を配置している。そして、反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)を、入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比Ninと、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比Ntとの間で式(A)の関係を有するように調整している。
【0021】
すなわち、この式(A)は、入射光Linにおける光強度比Ninと、導光板の端部から導光板の上面に出射される端部光における光強度比とが等しいとして導いた式である。尚、端部光は、伝搬光と反射部材からの反射光との和である。
【0022】
この結果、反射部材における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を、この式(A)により調整すれば、伝搬方向に対する色度の変化量が小さくなる。すなわち、単純かつ廉価な手段により、導光板の光出射面から取り出される出射光の色度均一性を改善することができる。
【0023】
したがって、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置を提供することができる。
【0024】
本発明の照明装置では、前記反射部材は、反射板とその表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材とから構成されていることが好ましい。
【0025】
これにより、反射部材は、反射板とその表面に設けられた分光スペクトル変換部材との複合部材からなっているので、反射部材における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を式(A)により調整する場合に、例えば青色フィルム等からなる分光スペクトル変換部材を取り換えることにより、容易に調整することが可能となる。
【0026】
すなわち、導光板の内部を伝搬する過程で変化する光の色成分の変化量に応じて、分光スペクトル変換部材の光学特性を調整するだけでよく、仕様を変更する部材を最小限にすることができる。この結果、導光板の材質や大きさ等、多岐に亘る仕様に応じて異なる色度変化量に柔軟に対応することが可能となる。
【0027】
本発明の照明装置では、前記光源は、青色発光素子と蛍光体とから構成されていることが好ましい。すなわち、光源は、青色発光素子と、該青色発光素子からの発光により擬似白色光を出射するための蛍光体とから構成されていることが好ましい。
【0028】
これにより、例えばLEDに代表される青色発光素子と、その青色発光素子からの青色光を吸収して例えば補色である黄色光を発光する蛍光体とで光源を構成することが可能である。この結果、視感度の高い波長である黄色光と青色発光素子からの青色光とを組み合わせて擬似白色光源とすることができ、少ないエネルギーにて視感度上は非常に発光効率の良い光源とすることができる。すなわち、消費電力に対して高効率の照明装置を得ることが可能となる。また、その光源からの光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置を提供することができる。
【0029】
本発明の照明装置では、前記導光板は、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなっていることが好ましい。
【0030】
すなわち、導光板がポリカーボネート(PC)樹脂のように青色光の吸収率が大きい材料では、導光板の内部を伝搬する過程で青色成分が大きく吸収され、導光板からの出射光が黄色に変色する。また、導光板が高い透明性を有するアクリル樹脂であっても、導光板の内部を伝搬する距離が長くなると出射光が黄変する現象が現れる。
【0031】
したがって、入射光が白色光源の場合、反射部材は補色である青色成分の分光反射率が高い分光スペクトル特性、つまり可視光領域の短波長側の分光反射率が高い分光スペクトル特性を有すればよい。
【0032】
これにより、反射部材にて青色に戻された反射光が導光板に再結合するため、光出射面から取り出される白色光の黄変が緩和され、色度均一性を改善することが可能となる。すなわち、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなる導光板において、色度均一性の改善効果が大きい。
【0033】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記記載の照明装置を備えていることを特徴としている。
【0034】
上記の発明によれば、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置を備えた液晶表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の照明装置は、以上のように、導光板の側端面に対向して配置される厚さDの反射部材を備え、上記反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び上記反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、上記導光板に入射した直後の入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【0036】
【数2】
【0037】
を満たすように調整されているものである。
【0038】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、前記記載の照明装置を備えているものである。
【0039】
それゆえ、導光板の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における照明装置の実施の一形態を示すものであって、照明装置における導光板への入射光と端部光との色度を合わせる方法を説明するための図である。
【図2】上記照明装置の構成を示す側面図である。
【図3】上記照明装置の端部の構成を示す要部断面図である。
【図4】上記照明装置の導光板における導光板長さと出射光における色度との関係を示すグラフである。
【図5】上記照明装置の導光板における導光板厚さと出射光における色度変化との関係を示すグラフである。
【図6】上記導光板における端部での伝搬光と反射部材による反射光との混合状態を示す導光板の断面図である。
【図7】上記反射部材における分光スペクトルと分光反射率との関係を示すグラフである。
【図8】上記分光スペクトル変換部材を有する反射部材が存在する場合と存在しない場合とにおける導光板長さと色度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明における照明装置の他の実施の形態を示すものであって、上記照明装置を備えた液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図10】上記液晶表示装置の照明装置における導光板直下型の光源からの光路を示す断面図である。
【図11】本発明における照明装置の実施例を示すものであって、導光板長さと伝搬光における光強度比Ntとの関係を示すグラフである。
【図12】上記実施例を示すものであって、反射部材の分光スペクトルと分光反射率との関係を示すグラフである。
【図13】上記実施例を示すものであって、導光板厚さと伝搬光における光強度比Ntとの関係を示すグラフである。
【図14】従来の照明装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0042】
本実施の形態の照明装置の構成について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は照明装置における導光板への入射光と端部光との色度を合わせる方法を説明するための図である。また、図2は本実施の形態の照明装置の構成を示す側面図である。
【0043】
本実施の形態の照明装置10は、図1及び図2に示すように、透明樹脂からなる板状の導光板1と、該導光板1の一側端面である光入射部としての光入射面1aに向かって外側に配置された光源2と、導光板1における光入射面1aとは反対側の端部である側端面としての光反射面1bの外側に配置された反射部材3とを備えている。したがって、本実施の形態の照明装置10は、サイドエッジ型の照明装置となっている。
【0044】
上記の導光板1では、光源2から光入射面1aを通じて導光板1に入射し、導光板1内を伝搬した光は導光板1の光出射面1cから取り出される。光出射面1cから取り出されずに光反射面1bに達した光は、光反射面1bから出射して反射部材3により分光スペクトルが変化した後、光反射面1bを通じて導光板1に再結合される。この再結合した光も光出射面1cから取り出される。すなわち、光源2から光入射面1aを通じて入射した光と光反射面1bから反射部材3にて反射されて再結合した光とが、光出射面1cから取り出され、被照明体を照射するものとなっている。
【0045】
上記導光板1は、例えばアクリル樹脂からなっている。ただし、導光板1はアクリル樹脂に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、スチレン樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、シリコン樹脂等の透明樹脂であればよい。また、導光板1は板状ではなく光入射面1aの断面が円形や多角形であっても構わない。また、導光板1は一部材ではなく、複数に分割されていても構わない。
【0046】
尚、導光板1の光出射面1cの対向面、つまり導光板背面1dから外側に抜けた光を再度導光板背面1dに戻して再入射させる図示しない反射シートが、導光板背面1dの外側に設けられていてもよい。
【0047】
また、導光板1の内部を伝搬する光を光出射面1cから取り出すため光路変換構造が、光出射面1c若しくは導光板背面1dのいずれか一方、又は光出射面1c及び導光板背面1dの両方に設けられていてもよい。さらに、導光板1の内部を伝搬する光を光出射面1cから取り出すために、導光板1の内部に光拡散部材が含まれていてもよい。
【0048】
本実施の形態における照明装置10では、光源2は、青色発光LEDチップと、その青色光を吸収して補色である黄色光を発光する蛍光体とで構成されている擬似白色LEDパッケージである。この光源2は、本実施の形態では、導光板1の光入射面1aに対向して、図2の紙面に対して垂直方向に複数個配置されている。ただし、光源2は、擬似白色LEDに限定されるものではなく、赤色発光LED、緑色発光LED及び青色発光LEDをそれぞれ複数個有する構造であってもよい。
【0049】
また、光源2は、レーザー光、CCFL(冷陰極蛍光管)、HCFL(熱陰極蛍光管)等であってもよい。
【0050】
さらに、反射部材3は、後述する図3に示すように、反射板3bとこの反射板3bの表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材3aとからなっている。尚、反射部材3の詳細については、後述する。
【0051】
上記の構成を有する照明装置10における導光板1の反射部材3での反射経路について、図3に基づいて説明する。図3は、導光板1における光出射面1c近傍の構成を示す要部拡大断面図である。
【0052】
図3に示すように、前記光源2からの光は、光入射面1aを通じて導光板1に入射し、導光板1内を伝搬する。そして、光出射面1cから取り出されずに光反射面1bに達した伝搬光Ltは、光反射面1bから外側に出射し、分光スペクトル変換部材3aと反射板3bとで構成される反射部材3にて反射されて導光板1に反射光Lrとして再結合する。このとき、伝搬光Ltは、アクリル樹脂等からなる導光板1の内部での伝搬距離が長くなると、材料や光路変換構造の吸収等の影響により黄変する。
【0053】
ここで、導光板1の伝搬光Ltにおける黄変化について、図4及び図5に基づいて説明する。図4は導光板1の長さと色度との関係を示すグラフであり、図5は導光板1の長さと色度変化との関係を示すグラフである。
【0054】
すなわち、本願発明者らは、導光板1の伝搬光Ltにおける黄変化について、導光板1の長さと色度との関係、及び導光板1の厚さと色度変化との関係について調査した。その結果、図4及び図5に示すように、以下のことが判明した。
(1)導光板1の板厚が同一の場合には、導光板の長さが長くなるほど、色度変化が悪化する。
(2)導光板1の長さが同一の場合には、導光板の厚さが薄くなるほど、色度変化が悪化する。
【0055】
このような色度変化を最低限に抑えるには、例えば、色度変化の度合いに応じた反射部材を配置することが考えられる。具体的には、厚さが薄く、長さが長い導光板1は色度変化の度合いも悪化するため、反射部材はそれに応じて青色光板の分光反射率が高いものを使用する必要がある。尚、分光反射率とは波長ごとの反射率をいう。
【0056】
そこで、この現象を防止するために、本実施の形態では、前記図3に示すように、反射部材3として、反射板3bの前に分光スペクトル変換部材3aを設け、この分光スペクトル変換部材3aにて黄変化した伝搬光Ltの分光スペクトル成分を青色に戻すようにしている。すなわち、図6に示すように、導光板1において、光源2の反対側の端面である光出射面1cに達した伝搬光Ltは、分光スペクトル変換部材3aが設けられた反射部材3によって、青色に変化して反射し、導光板1に反射光Lrとして再結合する。これにより、黄色シフトした導光後の伝搬光Ltと、反射部材3にて青色シフトした反射光Lrとが混合されることによって、色度変化を改善し、照明装置10の色度均一性を改善することができる。
【0057】
具体的には、各波長において、図7に示す分光反射率を有する分光スペクトル変換部材3aを設ける。これにより、図8に示すように、分光スペクトル変換部材3a有りの場合(図8ではブルーイング反射部材有りの場合)には、分光スペクトル変換部材3a無しの場合(図8ではブルーイング反射部材無しの場合)に比べて、照明装置10の色度均一性を改善することができるようになっている。
【0058】
本実施の形態では、分光スペクトル変換部材3aは、青色の波長、つまり波長450nm近傍以外の光の吸収率が高い青色フィルムからなっている。また、反射板3bは拡散反射シートからなっている。上記青色フィルムと拡散反射シートとは、接着された状態で反射部材3を構成している。
【0059】
上記反射部材3の分光反射率は、例えば、図1における反射部材3の分光スペクトルと分光反射率との関係を示すグラフにて示される。このグラフにおいては、緑色や赤色における波長550nm〜760nmの長波長域が略吸収されており、波長450nm近傍の短波長域に分光反射率のピークを有することが判る。青色である波長450nm近傍の短波長域に分光反射率のピークを有し、緑色や赤色の波長550nm〜760nmの分光反射率がそれよりも低い分布を示す。
【0060】
ここで、分光反射率については、波長450nm近傍の分光反射率のピーク値が100%に近く、他の波長域は、黄変を補正するために必要な分だけ分光反射率を上記ピーク値から低下させたものであることが好ましい。これにより、色度の補正機能を有しつつ、導光板1の光出射面1cを通じて再結合する反射光Lrの強度を最大とすることができる。すなわち、光利用効率の高い照明装置10を提供することが可能となる。
【0061】
尚、反射部材3における分光スペクトル変換部材3aと反射板3bとは接着されているものに限られるものではなく、空間を設けて設置されていてもよい。また、反射部材3は、導光板1の光反射面1bに接着されていてもよい。さらに、反射部材3における反射板3bは、拡散反射部材に限定されるものではなく、正反射部材であってもよい。また、反射部材3は、反射板3bに青色顔料や染料などの青色材料が塗布されているものや、青色光の分光反射率を高めた誘電体多層膜反射体であってもよい。
【0062】
ところで、前述したように、導光板1の伝搬光Ltにおける黄変化は、導光板1の長さ及び厚さによって異なる。したがって、分光スペクトル変換部材3aにおける各波長における分光反射率も、導光板1の長さ及び厚さに応じて適切なものを選択しなければならない。
【0063】
そこで、本願発明者らは、導光板1の長さ及び厚さ、及び反射部材3の分光反射率をパラメーターに含んだときの、導光板1における入射光Linと導光板1における出射光としての端部光Lendとの色を合わせるための条件を求めるべく検討した。
【0064】
結論的には、入射光Linの青色光(450nm)と緑色光(550nm)との光強度比Ninと、端部光Lendの青色光(450nm)と緑色光(550nm)との光強度比Nendとを一致させるような特性の分光反射率を有する反射部材3を置く。このようにして、
Nin=Nend
となれば、導光板1の光入射面1aから光反射面1bまでの色変化は無い又は略無いことが明らかである。
【0065】
具体的には、以下のようにして検討した。
【0066】
最初に、光源2から導光板1への入射光Linについて考える。
【0067】
光源2から導光板1への入射光Linは、図1に示すように、一定の分光スペクトルを有している。そこで、波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)とに着目する。波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)とに着目する理由は、以下の通りである。
【0068】
すなわち、本実施の形態では、光源2として、青色光を、蛍光体を用いて白色に変換して外部に放出するタイプの白色LEDを使用している。したがって、基になる青色光の波長が450nmのところに存在し、この光を蛍光体で白色化して外部に放出するとはいえども、図1の入射光スペクトルに示すように、白色化した後の光成分においても依然として波長450nmのところに鋭いピークを持つ。
【0069】
また、導光板1の原料である例えばアクリル樹脂の光吸収率は波長450nmと波長550nmとの間で短波長の吸収率が極端に増加する。したがって、導光板1を透過する際の色度変化は、この波長450nmのピークの強度が他の波長に比べてどの程度減衰するかが重要となる。波長550nm以上の波長では吸収率の波長依存性は殆どないため、代表値として波長550nmの値を比較対照として使用している。尚、波長450nmの波長が近い方が分光測定による強度比較が簡単にできるため、波長550nmよりも波長が長いスペクトルは、評価に用いない。
【0070】
ここで、入射光Linにおける波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)との光強度比Ninは、
Nin=Iin(450)/Iin(550) 式(1)
にて表される。
【0071】
また、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度をIt(450)とし、伝搬光Ltにおける波長550nmの緑色光の光強度をIt(550)とすると、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntは、
Nt=It(450)/It(550) 式(2)
にて表される。
【0072】
次に、導光板1における光源2側とは異なる他方の端部側からの端部光Lendについて考える。
【0073】
すなわち、図1に示すように、導光板1における端部光Lendについても、同様に、波長450nmの青色光の光強度Iend(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iend(550)とに着目する。
【0074】
ここで、端部光Lendは、伝搬光Ltと反射光Lrとの和になる。したがって、反射光Lrにおける波長450nmの青色光の光強度をIr(450)とし、反射光Lrにおける波長550nmの緑色光の光強度をIr(550)とすると、端部光Lendにおける波長450nmの青色光の光強度Iend(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iend(550)との光強度比Nendは、
Nend={It(450)+Ir(450)}/{It(550)+Ir(550)} 式(3)
にて表される。
【0075】
ここで、パラメーターとして、導光板1の厚さをTとし、反射部材3の厚さをDとすると共に、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)とし、反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)とする。
【0076】
この場合、反射光Lrにおける波長450nmの青色光の光強度をIr(450)、及び反射光Lrにおける波長550nmの緑色光の光強度をIr(550)は、以下のように表される。
【0077】
Ir(450)=It(450)×R(450)×D/T 式(4)
Ir(550)=It(550)×R(550)×D/T 式(5)
この結果、式(4)及び式(5)を、式(3)に代入すると、
【0078】
【数3】
【0079】
となる。
【0080】
ここで、入射光Linにおける光強度比Ninと、端部光Lendにおける光強度比Nendとが等しい場合には、導光板1の色変化は少なくなる。したがって、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)、及び反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)の条件は、
【0081】
【数4】
【0082】
となる。
【0083】
この式(7)において、入射光Linにおける光強度比Ninは、光源2の分光スペクトルを測定することにより、算出することができる。また、伝搬光Lt における光強度比Ntについては、導光板1の端部側における光出射面1cから出射された伝搬光Lt の分光スペクトルを測定することにより、算出することができる。したがって、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)と、反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)との比率を求めることができる。
【0084】
ここで、理論的には、入射光Linにおける光強度比Ninは端部光Lend における光強度比Nend と等しいことが好ましいが、現実的には、光強度比Ninは光強度比Nend と略等しければよい。実験により求めた結果、光強度比Ninは光強度比Nend −0.14以上かつNend +0.14以下であればよく、すなわち、
【0085】
【数5】
【0086】
を満たせばよいことが判った。
【0087】
尚、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)と緑色光(550nm)の分光反射率R(550)との比率を変更するためには、分光スペクトル変換部材3aである青色フィルムの各色成分を変更することにより、該比率を変更することが可能である。また、青色光の分光反射率を高めた誘電体多層膜反射体の種類を変更することも可能である。
【0088】
このように、導光板1の色度変化の度合いは、従来では、実際に照明装置10を組み立てて判断していた。しかし、上記の式(A)を用いれば、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntの値を測定すれば、自ずと反射部材3の最適設計値が得られる。ここで、伝搬光Ltにおける光強度比Ntの値は光源2及び導光板1のみで測定できる値であるので、照明装置10を組み立てる必要がない。すなわち、試作品を作らずに反射部材3の最適化や評価ができるため、コストや手間が省ける。
【0089】
以上のように、本実施の形態の照明装置10では、光源2と厚さTの導光板1とを備え、光源2からの光を導光板1の光入射面1aから入射させ、導光板1の内部を該導光板1の光反射面1bに向けて伝搬させる。
【0090】
ところで、光源2からの光を導光板1の光入射面1aから入射させ、導光板1の光反射面1bに向けて伝搬する場合、導光板1の厚さT及び長さに伴って出射光の色度が黄色に変化するという問題がある。
【0091】
そこで、本実施の形態においては、導光板1の光反射面1bに対向して厚さDの反射部材3を配置している。そして、反射部材3における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び反射部材3における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)を、入射光Linにおける、波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比Ninと、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比Ntとの間で式(A)の関係を有するように調整している。
【0092】
【数6】
【0093】
すなわち、この式(A)は、入射光Linにおける光強度比Ninと、導光板1の端部から導光板1の上面に出射される端部光Lendにおける光強度比Nendとが略等しいとして導いた式である。尚、Lendは、伝搬光Ltと反射部材3からの反射光Lrとの和である。
【0094】
この結果、反射部材3における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を、この式(A)により調整すれば、伝搬方向に対する色度の変化量が小さくなる。すなわち、単純かつ廉価な手段により、導光板1の光出射面から取り出される出射光の色度均一性を改善することができる。
【0095】
したがって、導光板1の厚さT及び長さに伴う端部光Lendの色度変化の度合いを低減し得る照明装置10を提供することができる。
【0096】
また、本実施の形態の照明装置10では、反射部材3は、反射板3bとその表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材3aとから構成されている。
【0097】
これにより、反射部材3における青色光の分光反射率R(450)、及び緑色光の分光反射率R(550)を式(A)により調整する場合に、例えば青色フィルム等からなる分光スペクトル変換部材3aを取り換えることにより、容易に調整することが可能となる。
【0098】
すなわち、導光板1の内部を伝搬する過程で変化する光の色成分の変化量に応じて、分光スペクトル変換部材3aの光学特性を調整するだけでよく、仕様を変更する部材を最小限にすることができる。この結果、導光板1の材質や大きさ等、多岐に亘る仕様に応じて異なる色度変化量に柔軟に対応することが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態の照明装置10では、光源2は、青色発光素子と蛍光体とから構成されている。これにより、例えばLEDに代表される青色発光素子と、その青色発光素子からの青色光を吸収して例えば補色である黄色光を発光する蛍光体とで光源を構成することが可能である。この結果、視感度の高い波長である黄色光と青色発光素子からの青色光とを組み合わせて擬似白色光源とすることができ、少ないエネルギーにて視感度上は非常に発光効率の良い光源とすることができる。すなわち、消費電力に対して高効率の照明装置10を得ることが可能となる。また、その光源2からの光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置10を提供することができる。
【0100】
また、本実施の形態の照明装置10では、導光板1は、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなっていることが好ましい。
【0101】
すなわち、導光板1がポリカーボネート(PC)樹脂のように青色光の吸収率が大きい材料では、導光板1の内部を伝搬する過程で青色成分が大きく吸収され、導光板1からの端部光Lendが黄色に変色する。また、導光板1が高い透明性を有するアクリル樹脂であっても、導光板1の内部を伝搬する距離が長くなると伝搬光Lt が黄変する現象が現れる。
【0102】
したがって、入射光Linが白色光源の場合、反射部材3は補色である青色成分の分光反射率が高い分光スペクトル特性、つまり可視光領域の短波長側の分光反射率が高い分光スペクトル特性を有すればよい。
【0103】
これにより、反射部材3にて青色に戻された反射光Lrが導光板1に再結合するため、光出射面1cから取り出される白色光の黄変が緩和され、色度均一性を改善することが可能となる。すなわち、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなる導光板1において、色度均一性の改善効果が大きい。
【0104】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図9及び図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
本実施の形態では、前記実施の形態1の照明装置10を液晶表示装置のバックライトに適用した構成について説明する。尚、本実施の形態では、導光板直下型の光源を採用した照明装置となっている点が前記実施の形態1の光源と異なっている。ただし、本発明においては、実施の形態1のサイドエッジ型の照明装置10を液晶表示装置のバックライトとして採用することも勿論可能である。
【0106】
(液晶表示装置の全体構成)
本実施の形態の液晶表示装置20は、図9に示すように、バックライトである照明装置10、拡散板22A、プリズムシート23、拡散シート22B、液晶パネル24及びベゼル25がこの順に重ねられて配置されている。液晶表示装置20においては、照明装置10から出射された光が、拡散板22A、プリズムシート23、及び拡散シート22Bを通過して液晶パネル24に入射する。そして、液晶パネル24において光透過率を部分的に変化させることにより、所望の画像が表示されることになる。尚、液晶パネル24は、矩形の平板状であり、拡散板22A、プリズムシート23、及び拡散シート22Bも液晶パネル24と略同じ形状を有している。また、ここでは、液晶パネル24の長辺に平行な方向をX方向とし、液晶パネル24の短辺に平行な方向をY方向とし、X方向及びY方向の両方に垂直な方向をZ方向とする。X方向は、長手方向ともいう。また、Z方向は、液晶パネル24の法線方向ともいえる。
【0107】
(バックライトの構成)
また、バックライトである照明装置10は、図9に示すように、下から順に、つまり液晶パネル24に対して遠い方から順に、光源ユニット30、一筋の開口11aを有するシャーシ11、シャーシ11と同様に一筋の開口12aを有する反射シート12、及び光学部材としての導光板1にて構成されている。
【0108】
上記光源ユニット30は、凹部31aを有する光源ホルダー31を備えている。凹部31aはX方向に伸びた長尺状つまり帯状の溝である。光源ホルダー31は、液晶パネル24の長辺方向に沿って、短辺方向における側端部の下側に配置されている。
【0109】
反射シート12は、導光板1から漏れ出た光を反射し、導光板1に戻すために設けられている。反射シート12は、光源ユニット30内の後述する光学部材である光結合部材40が導光板1に当接する部分で2つの区切られており、区切られた2つの反射シート間に一筋の開口12aが形成されている。すなわち、導光板1における、光源ユニット30側の下面には、光結合部材40と当接する領域、及び反射シート12が設けられた領域が存在する。そして、光は、導光板1における、光結合部材40と当接する領域を介して導光板1へ入射することとなる。
【0110】
導光板1は、入射してくる光を液晶パネル24側へ導くためのものであり、平板状である。
【0111】
次に、光源ユニット30の構成について、図10に基づいて説明する。図10は、光源ユニット30における光源としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップ33a及び光結合部材40の構成を示す断面図である。
【0112】
上記光源ユニット30は、図10に示すように、光源としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップ33aを搭載した光源基板としてのLED基板34aと、長尺状かつアーチ状の光結合部材40とを備えている。光結合部材40は、導光板1の下側に配されている。上記LEDチップ33aは、青色LEDを、蛍光体を含む封止樹脂にて封止したものからなっている。
【0113】
上記構成の照明装置10では、図10に示すように、LED基板34a上のLEDチップ33aから発した光は、光結合部材40における二股形状の一方の入光面から入光し、光結合部材40内部を曲面42aにて全反射しながら伝搬し、導光板1との固定部分である頂部平坦面41にて導光板1の光入射部と光結合する。つまり導光板1に入射する。導光板1に入射した光は、導光板1内部を全反射しながら伝搬しつつ、その光の一部は、導光板1の裏面に形成された図示しない光散乱体により全反射条件が破られ、導光板1表面から上方に出射する。尚、上記光散乱体は、導光板1裏面に印刷等で形成された微小パターンである。このように光源ユニット30は、LEDチップ33aからの光を導光板1の凡そ全面から出射することができるので、面発光装置として利用することができる。この結果、本実施の形態の照明装置10は、導光板直下型の光源2としてのLEDチップ33aを採用した照明装置10となっている。
【0114】
そして、本実施の形態の照明装置10においても、導光板1の側端面の外側に実施の形態1と同様の図示しない反射部材が設けられている。特に、反射部材は、光源ホルダー31が配置されている側端部とは、短辺方向における反対側の側端部の側端面に対向して配置されている。これによって、導光板1の色度変化の度合いを低減し得るようになっている。
【0115】
このように、本実施の形態の液晶表示装置20は、照明装置10を備えている。したがって、導光板1の厚さ及び長さに伴う出射光の色度変化の度合いを低減し得る照明装置10を備えた液晶表示装置20を提供することができる。
【実施例】
【0116】
本発明の実施例について、図11〜図13に基づいて、以下に示す。
【0117】
〔実施例1〕
本実施例では、反射部材3のパラメーターが与えられている場合について、適合性評価を行った。
【0118】
まず、反射部材3のパラメーターとして、以下が与えられているとする。
【0119】
導光板1の厚さT=3mm
反射部材3の厚さD=2mm
また、本実施例において、導光板1の長さと、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntとの関係は、図11に示すようになった。この結果、この図11から、光強度比Ntは、
Nt=4.45
とした。
【0120】
一方、別途測定した入射光Linにおける波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)との光強度比Ninは、
Nin=4.84
であった。
【0121】
そこで、反射部材3として、青色光(450nm)の分光反射率R(450)と、緑色光(550nm)の分光反射率R(550)とを選択して分光スペクトルを測定したところ、図12に示すように、分光スペクトルと分光反射率との関係を得た。
【0122】
すなわち、図12から判るように、
R(450)=0.206
R(550)=0.024
であった。この値を、前記式(6)に代入すると、
【0123】
【数7】
【0124】
を得た。すなわち、目標のNin=4.84に対して、本実施例では、Nend =4.98となり、
Nin=Nend−0.14
となっている。しかし、性能的には充分使用に対応できる値であった。
【0125】
〔実施例2〕
本実施例では、反射部材3のパラメーターの最適化について検討を行った。
【0126】
まず、導光距離1350mmの導光板1と、導光距離780mmの導光板1との2種類について、導光板1の厚さTと、伝搬光Ltにおける波長450nmの青色光の光強度It(450)と波長550nmの緑色光の光強度It(550)との光強度比Ntとの関係を求め、図13に示すグラフを得た。
【0127】
ここで、今、導光距離1350mm、及び厚さT=2mmの導光板1について、伝搬光Ltにおける光強度比Ntは、図13に示すグラフから、
Nt=3.95
が読み取れる。一方、このときに別途測定した入射光Linにおける波長450nmの青色光の光強度Iin(450)と波長550nmの緑色光の光強度Iin(550)との光強度比Ninは、
Nin=4.50
であった。
【0128】
そこで、これらの値から、
【0129】
【数8】
【0130】
となるように、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)と、緑色光(550nm)の分光反射率R(550)とを調整する。
【0131】
この場合、例えば、反射部材3における青色光(450nm)の分光反射率R(450)を0.5に設定する。その結果、上記の式から、反射部材3における緑色光(550nm)の分光反射率R(550)=0.779となるように調整すればよい。
【0132】
尚、本実施の形態及び実施例において、図1に示す入射光スペクトルは商品名「V650紫外可視分光光度計(JASCO社製)」の紫外可視分光光度計を使用して測定した結果を用いている。また、図1、図7、及び図12に示す反射スペクトルは、商品名「CS1000分光放射輝度計(コニカミノルタ社製)」の分光放射輝度計を使用して測定した結果を用いている。さらに、図4、図5及び図8に示す色度の値は、入射光スペクトルより算出した結果を用いている。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、照明装置、及びそれを備えた液晶表示装置に関するものであり、詳細には、照明装置における導光板の厚さ及び長さに応じて、出射光の黄変を低減し得る照明装置、及びその照明装置をバックライトとして備えた液晶表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 導光板
1a 光入射面(光入射部)
1b 光反射面(側端面)
1c 光出射面
1d 導光板背面
2 光源
3 反射部材
3a 分光スペクトル変換部材
3b 反射板
10 照明装置
D 反射部材の厚さ
Lend 端部光(出射光)
Lin 入射光
Lr 反射光
Lt 伝搬光
Nend 端部光における光強度比
Nin 入射光における光強度比
Nt 伝搬光における光強度比
T 導光板の厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と厚さTの導光板とを備え、上記光源からの光を上記導光板の光入射部から入射させ、上記導光板の内部を該導光板の側端面に向けて伝搬させる照明装置において、
上記導光板の側端面に対向して配置される厚さDの反射部材を備え、
上記反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び上記反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、
上記導光板に入射した直後の入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【数1】
を満たすように調整されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記反射部材は、反射板とその表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源は、青色発光素子と蛍光体とから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記導光板は、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなっていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
光源と厚さTの導光板とを備え、上記光源からの光を上記導光板の光入射部から入射させ、上記導光板の内部を該導光板の側端面に向けて伝搬させる照明装置において、
上記導光板の側端面に対向して配置される厚さDの反射部材を備え、
上記反射部材における波長450nmの青色光の分光反射率R(450)、及び上記反射部材における波長550nmの緑色光の分光反射率R(550)は、
上記導光板に入射した直後の入射光における、上記波長450nmの青色光と上記波長550nmの緑色光との光強度比をNinとし、伝搬光における上記波長450nmの青色光と波長550nmの緑色光との光強度比をNtとした場合、
【数1】
を満たすように調整されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記反射部材は、反射板とその表面に設けられた光の色度を補正するための分光スペクトル変換部材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源は、青色発光素子と蛍光体とから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記導光板は、ポリカーボネート(PC)樹脂又はアクリル樹脂からなっていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−114876(P2013−114876A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259620(P2011−259620)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]