説明

照明装置及びその媒介層のトナーの色の選択方法

【課題】媒介層により、媒介層を通過した光の性質を変化させることが可能な照明装置及びその媒介層のトナーの色の選択方法を提供すること。
【解決手段】第1の主波長と第2の主波長を有し且つ該第1の主波長が該第2の主波長よりも小さい第1の光を発するための光源と、光源に対応して設けられ、トナーが混入され、60%以上の光透過率を有する少なくとも一つの媒介層と、を含む照明装置を提供する。第1の光が媒介層を通過した後、第1の主波長のピークの低下幅は第2の主波長のピークの低下幅よりも大きくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、媒介層(medium layer)を有する照明装置及びその媒介層のトナー(toner)の色の選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、消費者が選択可能な照明装置、例えば白熱電球、蛍光灯又は発光ダイオード等が、市場に多く出回っている。白熱電球や蛍光灯等の従来の照明装置に比して、発光ダイオードの色温度は変更可能で且つユーザの必要に応じて選択可能であるため、発光ダイオードの照明装置は、ユーザが選択可能な複数の色温度を有する。
【0003】
色均一性(color uniformity)が高い発光ダイオード照明装置を製造するために、照明装置の製造メーカは、特定のスペック(又は仕様)の発光ダイオードのみしか購入することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発光ダイオードが照明装置に取り付けられると、この照明装置の色温度が決められているため、色温度を変更することができない。また、従来の発光ダイオードを使用した照明装置の色偏差値(color deviation)は、絶対値が0.006よりも大きい場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで上記事情を鑑みて、本発明は、媒介層により、媒介層を通過した光の性質を変化させることが可能な照明装置及びその媒介層のトナーの色の選択方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明に係る照明装置は、光源及び少なくとも1つの媒介層を含む。媒介層はピーク値を調整するためのピーク値調整層である。光源は、第1の主波長と第2の主波長を有し且つ前記第1の主波長が前記第2の主波長よりも小さい第1の光を発するためのものである。媒介層は、光源に対応して設けられ、60%以上の光透過率を有し、トナーが混入されている。第1の光が媒介層を通過した後、第1の主波長のピークの低下幅は第2の主波長のピークの低下幅よりも大きくなる。
【0007】
また、本発明に係る照明装置は、光源及び少なくとも1つの媒介層を含む。媒介層は色偏差値を調整するための色偏差値調整層である。光源は、黒体軌跡(blackbody locus)との間の色偏差値duvの絶対値が0.006よりも大きい第1の光を発するためのものである。媒介層は、光源の出射経路に設けられ、少なくとも1つのトナーが混入され、60%以上の光透過率を有する。第1の光が媒介層を通過したことにより第2の光が出射され、第2の光と黒体軌跡との間の色偏差値の絶対値は第1の光の色偏差値の絶対値よりも小さい。
【0008】
また、本発明は、上述した照明装置の媒介層のトナーの色を選択するためのトナーの色の選択方法を提供する。まず、第1の光の色度領域におけるそれぞれの第1の境界色座標点と、第2の光の色度領域における該第1の境界色座標点に対応する第2の境界色座標点とを線で結ぶことにより、それぞれの境界色座標点を結んだ線(以下、接続線ともいう)を得る。次に、それらの境界色座標点を結んだ線及び飽和曲線によって取り囲まれたトナーの色度領域を形成する。そして、トナーの色度領域から媒介層のトナーの色を選択する。
【0009】
また、本発明は、上述した照明装置の媒介層のトナーの色を選択するためのトナーの色の選択方法を提供する。まず、マンセル・カラー・システム(Munsell Color System)を用意する。次に、マンセル・カラー・システムに基づいて、1YR〜10Yの色調からいずれか1つの色調を媒介層のトナーの色として選択する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明装置の媒介層によれば、媒介層を通過した光の性質を変化(例えば、波長の変化、黒体軌跡との間の色偏差値の変化又は色温度の変化)させ、色偏差値を低減させることができる。しかも、照明光線の光学効率はこの媒介層によって大幅に低下されることにはならない。また、媒介層が取り替え可能であるため、照明装置の利用性をさらに向上する。さらに、製造メーカが特定のスペック(又は仕様)の発光ダイオードを光源として購入する必要がなくなるため、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施例の照明装置の模式図を示す。
【図2】本発明に係る実施例の照明装置の第1の光及び第2の光のスペクトルフラックス(spectral flux)曲線図を示す。
【図3】本発明に係る実施例の照明装置の第1の光及び第2の光の色度図を示す。
【図4】本発明に係る実施例の照明装置の媒介層がトナー濃度の異なる場合において対応する色温度調整曲線模式図を示す。
【図5】本発明に係る実施例の照明装置の媒介層に異なるトナーが混入された場合において対応する第2の光のスペクトルフラックス曲線図を示す。
【図6】本発明に係る実施例の色度領域の模式図を示す。
【図7】マンセル・カラー・システムの模式図を示す。
【図8】本発明に係る実施例の照明装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[照明装置の実施例]
図1は本発明に係る照明装置の模式図を示す。照明装置1は、光源11、電源PW及び媒介層12を含む。必要に応じて、媒介層12は、ピーク値を調整するためのピーク値調整層であってもよく、色偏差値を調整するための色偏差値調整層であってもよく、ピーク値調整層と色偏差値調整層を同時に含む層であってもよい。媒介層12は、光源11に対応して設けられ、即ち光源11の出射経路に設けられる。媒介層12は、光源11を実質的に取り囲んでおり、光源11との間にその他の媒介層が介在されてもよい。また、電源PWは変圧器(トランスともいう)及び交流直流変換器(AC/DC Converter)からなってもよく、光源11は1つ又は複数の発光ダイオードからなってもよく、その他の発光源からなってもよい。本発明はこれらに限られるものではない。
【0013】
光源11はベース(図1に図示せず)に取り付けられてもよい。電源PWは、光源11内の発光ダイオードが第1の色温度を有する第1の光13を発するように、光源11に電力を供給するためのものである。第1の光13は、第1の主波長及び第2の主波長を有し、該第1の主波長が第2の主波長よりも小さい。媒介層12にはトナーが混入されており、第1の光13が媒介層12を通過した後、第1の主波長のピークの低下幅が第2の主波長のピークの低下幅よりも大きくなる。また、媒介層12がピーク値調整層である場合、ピーク値調整層は二つの波長帯域の主波長のピーク値(又はストレンクス)をできるだけ一致させるように調整する。二つの波長帯域の主波長のピーク値の差異が小さければ小さいほど好ましく、その差異がゼロであればより好ましい。
【0014】
言い換えれば、媒介層12は、実質的に光が透過可能な透明又は半透明な媒介層であり、60%以上の光透過率を有するのが好ましい。媒介層12は、第1の光13の一部の波長のスペクトルフラックスを減衰させることにより、第2の色温度を有する第2の光14が生成される。ここで、第1の色温度は第2の色温度よりも大きい。また、第1の光13と黒体軌跡との間の色偏差値duvの絶対値が0.006よりも大きいと、第1の光13が媒介層12を通過したことにより生成された第2の光14と黒体軌跡との間の色偏差値の絶対値は、第1の光13の色偏差値の絶対値よりも小さくなる。
【0015】
媒介層12は、ユーザの必要に応じて取り替えることが可能である。従って、照明装置1は、異なる応用に応じて色温度の異なる第2の光14を発することができる。また、製造メーカは、特定のスペック(又は仕様)の発光ダイオードの代わりに、いろんな種類の発光ダイオードを購入することができるため、照明装置1の製造コストを低減させることができる。
【0016】
図2は、本発明に係る照明装置の第1の光及び第2の光のスペクトルフラックス(spectral flux)曲線図を示す。図2において、光源から第1の色温度が8770Kである第1の光が発され、第1の光が媒介層を通過したことにより、第2の色温度を有する第2の光が出射される。曲線C21は、第1の光のスペクトルフラックス曲線であり、曲線C22〜C24のそれぞれは、媒介層の厚さが0.14mm、0.28mm及び0.42mmの場合における第2の光のスペクトルフラックス曲線である。
【0017】
図2から分かるように、媒介層により、第1の主波長W1(435nm〜473nm)のスペクトルフラックスのピークが大幅に低減(低下幅は33.2%と高い)されるが、第2の主波長W2(546nm〜582nm)のスペクトルフラックスのピークが僅かに低減(低下幅は僅か5.6%である)される。言い換えれば、第1の色温度が8770Kである第1の光が媒介層を通過した後、第1の光において500nmよりも低い波長帯域(wave band)(青色波長帯域ともいう。この青色波長帯域は第1の主波長W1を含む)のスペクトルフラックスの減衰幅は、500nmよりも高いその他の波長帯域(この他の波長帯域は第2の主波長W2を含む)のスペクトルフラックスの減衰幅よりも大きくなり、このため、第2の光の第2の色温度は、第1の光の第1の色温度よりも小さくなる。
【0018】
青色波長帯域における第1の主波長W1のピークのみが大幅に低下されるが、その他の波長帯域における第2の主波長W2のピークの低下幅はそれほど高くない。これは、青色波長帯域における肉眼の分光比視感度曲線(spectral luminous efficiency curve)におけるウェイト(weight、重み付けともいう)が高くないため、光学効率(optical efficiency)の計算に占める割合が小さいからである。従って、媒介層を有しない照明装置と比較すると、本発明に係る媒介層を有する照明装置の光学効率の低下幅は極めて低いことが分かる。
【0019】
ここで注意すべき点は、図2の曲線C22〜C24に示すように、媒介層の厚さが厚くなればなるほど、第1の光における青色波長帯域のスペクトルフラックスの減衰幅(即ち第1の主波長W1のピークの低下幅が大きくなる)が大きくなり、それに伴い、第2の光の第2の色温度が低くなる点である。また、媒介層の厚さを調整することにより第2の色温度を調整してもよいが、媒介層のトナーの色及び濃度を調整することにより第2の色温度を調整してもよい。本発明に係る実施例において、媒介層は、透明のプラスチック材料又はガラス材料に、粉状トナー(powder toner)又は液体トナー(liquid toner)であるトナーが混入されたものであってもよい。トナーは、黄色トナーを含むが、その他の実施例において、赤色トナーをさらに含んでもよい。
【0020】
次に、図3は、本発明に係る照明装置の第1の光及び第2の光の色度図(chromaticity diagram)を示す。この色度図は、国際照明委員会の1931年(CIE 1931)の規定によるものであり、曲線C31は、黒体軌跡を示す。一般的には、色度図において黒体軌跡C31から離れる色度の色が青に近い。
【0021】
光の色度が黒体軌跡C31から離れる程度は、色偏差値duvで示されることができる。色偏差値duvは、光の色度と黒体軌跡C31との間の最短距離である。一般的には、通常の照明に用いられる光の色偏差値duvの絶対値は0.006よりも小さくなければならない。
【0022】
図3において、色座標点P31は、光源からの第1の光の色度を示し、その色温度が10040Kであり、色座標点P32〜P34のそれぞれは、媒介層の厚さが0.061mm、0.122mm及び0.183mmである場合における第2の光の色度を示す。
【0023】
図3に示すように、媒介層の厚さが0.183mmである場合において、色座標点P34は、ほぼ黒体軌跡C31上に位置する。光が本発明に係る照明装置を通過した後、その色温度を低下させるのみならず、光の色偏差値duvを調整することもできる。このように生成された第2の光の色度は、黒体軌跡C31に近くなる。これにより、本発明に係る実施例の媒介層を使用した後、黒体軌跡から離れる光を発する光源は、本発明に係る照明装置にも適用することができる。
【0024】
図4は、本発明に係る照明装置の媒介層が黄色トナー濃度の異なる場合において対応する色温度調整曲線の模式図を示す。CIE 1931に規定された色度図を前提に、曲線C41はCIE 1931色度図の飽和曲線であり、曲線C42は黒体軌跡であり、曲線C43及び曲線C44は媒介層がトナー濃度の異なる場合において対応する色温度調整曲線である。
【0025】
図4に示すように、照明の使用場所及び品質要求に応じて、媒介層の黄色トナー濃度を調整して色温度調整曲線の勾配(例えば曲線C44を曲線C43に調整する)を変更することができるとともに、色温度調整曲線と黒体軌跡C42との交差位置を調整して第2の色温度に対応する色度と黒体軌跡C42との最短距離を変更することができる。また、媒介層のトナーの色の選択方法については、下記の実施例において後述されるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0026】
また、第1の光が上述した媒介層を通過した場合、波長の一部のスペクトルフラックスが減衰されるため、生成される第2の光の平均演色評価数(general color rendering index)Raも少し低下される。平均演色評価数Raは、照明品質の評価に用いられることができるため、照明品質を高めるために、黄色トナーを媒介層に添加するほか、少量の赤色トナーを媒介層にさらに添加することにより、スペクトルにおける長波長部分の主波長(図1の第2の主波長W2をご参照)を右へシフト(即ちレッドシフト(red shift、赤方偏移ともいう))させることで第2の光の平均演色評価数Ra及び照明品質を高めることができる。
【0027】
図5は、本発明に係る照明装置の媒介層に異なるトナーが混入された場合において対応する第2の光のスペクトルフラックス曲線図を示す。曲線C51は第1の光のスペクトルフラックス曲線であり、曲線C52〜C54のそれぞれは、媒介層に混入されたトナーが赤色トナー、黄色トナー又はそれらの組み合わせの場合における第2の光のスペクトルフラックス曲線である。
【0028】
図5に示すように、媒介層に混入されたトナーが赤色トナーである場合は、第2の光の第1の主波長W1のピークの低下幅が限られ、第2の主波長W2のピークが長波長へシフトされる(曲線C52を参照)。媒介層に混入されたトナーが黄色トナーである場合は、第2の光の第1の主波長W1のピークの低下幅が大きく(曲線C53を参照)、第1の主波長W1のピークの低下幅が該第2の主波長W2のピークの低下幅よりも大きくなる。媒介層に黄色トナー及び赤色トナーが同時に混入された場合は、第2の光の第1の主波長W1のピークが大幅に低下され(曲線C54を参照)、第1の主波長W1のピークの低下幅が該第2の主波長W2のピークの低下幅よりも大きくなるのみならず、第2の主波長W2のピークが長波長へシフト(約560nmから580nmにシフト)されるため、第2の光の平均演色評価数Raを約65から約70に高めることができる。
【0029】
実際に実施する場合、上述した赤色トナー及び黄色トナーが混入された媒介層としては、黄色混合材料に赤色トナーが混入され、射出又は押し出しの方式により色片(色プレート)又はランプケースとして製造されてもよい。また、上述した赤色トナー及び黄色トナーが混入された媒介層としては、赤色トナー及び黄色トナーが同時に混入された媒介層と等価となるように、赤色トナー及び黄色トナーがそれぞれ2層の異なるプラスチック材料に混入されてもよい。
【0030】
ここで、媒介層において、赤色トナーの重量パーセント濃度は0wt%〜1wt%であり、好ましくは0wt%〜0.02wt%である。また、黄色トナーの重量パーセント濃度は、0wt%よりも大きく且つ5wt%よりも小さく、好ましくは0.05wt%〜0.1wt%である。
【0031】
[媒介層のトナーの色の選択方法の実施例]
図6は、本発明に係る色度領域の模式図を示す。CIE 1931に規定された色度座標図を前提に、曲線C61は黒体軌跡であり、曲線C62はCIE 1931色度座標図の飽和曲線であり、曲線C63及び曲線C64は、第1の光に対応する色度領域における第1の境界色座標点と、第2の光に対応する色度領域におおける第1の境界色座標点に対応する第2の境界色座標点との接続線である。
【0032】
光源からの第1の光の色度領域が領域R61であるとすると、領域R62は、媒介層から生成される第2の光の色度領域である。そして、第1の光に対応する色度領域R61の第1の境界色座標点と、光に対応する色度領域R62における第1の境界色座標点に対応する第2の境界色座標点とを線で結ぶことにより、境界色座標点接続曲線C63及びC64を形成する。次に、上述した複数の境界色座標点接続曲線C63及びC64と飽和曲線C62とによって取り囲まれてなるトナーの色度領域R63を形成する。最後に、トナーの色度領域R63からいずれか1つの色度を媒介層のトナーの色として選択する。
【0033】
この実施例において、色度領域R61の第1の境界色座標点は、それぞれ(xo1,yo1)、(xo2,yo2)、(xo3,yo3)、(xo4,yo4)であり、色度領域R62の第2の境界色座標点は、それぞれ(xt1,yt1)、(xt2,yt2) 、(xt3,yt3)、(xt4,yt4)である。従って、第1の光の色度領域R61の第1の境界色座標点と、第2の光の色度領域R62の第2の境界色座標点との接続線(即ち境界色座標点接続線)は、下記式のように表すことができる。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで、iは1〜4の整数である。また、飽和曲線C62において上述した境界色座標点接続曲線C63及びC64と接続された線段は、 Y=-X+0.99 の式で示すことができる。より詳しくは、飽和曲線C62において境界色座標点接続曲線C63との交差箇所から飽和曲線C62において上述した境界色座標点接続曲線C64との交差箇所までの線段は、 Y=-X+0.99 で示すことができる。
【0036】
図7は、マンセル・カラー・システムの模式図を示す。マンセル・カラー・システムにおいて、垂直軸は輝度(lightness)を、半径軸は飽和度(saturation)を、角度軸は色調(hue)をそれぞれ示す。黄色トナーは、マンセル・カラー・システムに基づいて1YR〜10Yのいずれか1つから選択された色調を有するが、その輝度及び飽和度については特に限られない。選択された黄色トナーの輝度及び飽和度が低いと、この黄色トナーの用量(重量パーセント濃度)が高くなる。逆に、選択された輝度及び飽和度が高いと、用量(重量パーセント濃度)が少なくなる。この実施例において、採用される黄色トナーの色は、7.5Y8/10又は5Y8/13であり、採用される重量パーセント濃度は、0.05wt%〜0.1wt%であるのが好ましい。この実施例において、赤色トナーは、マンセル・カラー・システムに基づいて4R〜6Rのいずれか1つから選択された色調を有するが、その輝度及び飽和度については特に限られない。採用された重量パーセント濃度は、0wt%〜1wt%であり、好ましくは0wt%〜0.02wt%である。
【0037】
[照明装置のその他の実施例]
照明装置における媒介層は、実際に実施する場合、単層材料にトナーを混入して製造されてもよく、多層材料にトナーを混入して製造されてもよく、又は二重射出(二つの材料を射出する)の方式で製造されてもよい。
【0038】
以下、単層材料にトナーを混入して媒介層を製造する方法について説明する。ランプカバーには、デットポイントを回避するために拡散材料を添加するのが一般的であるため、トナーに拡散材料、ガラス又はプラスチックを混合させ、金型を変更しないままで射出又は押し出しの方式によりランプカバーとして成形することができる。このように、ランプカバーは、上述した媒介層の効果を有することとなる。また、トナーを二次素子(例えば二次レンジ、拡散シート(又は拡散板)又は導光シート(又は導光板)等)に混合させ、またはトナーを光源の出射表面に添加することにより上述した媒介層を実現することができる。このほか、トナーの混合方法は、材料メーカが材料源を均一となるように予め混合してもよいし、射出メーカ又は押し出しメーカは、前工程においてトナーを添加し混合してもよい。
【0039】
以下、多層材料にトナーを混合して媒介層を製造する方法について説明する。ランプカバーには、デットポイントを回避するために拡散材料を添加するのが一般的であるため、ランプカバーの表面の色を維持しようとする場合、トナーが混入された、プラスチック又はガラスからなる薄板を、光源とランプカバーとの間に介在させることにより、第1の光が薄板を透過することで、その光の性質が変更(例えばピーク変化、波長シフト、黒体軌跡との間の色偏差値の変化又は色温度の変化)され、ランプカバーによって拡散され、均一の第2の光となる。また、低濃度のトナーを材料に添加し、2層以上の薄板を積層する方法を採用してもよい。この場合、薄板の数は、ユーザの必要に応じて調整することができる。更に、薄板の厚さが変更された場合、色温度の低下幅もそれに対応して変更される。以下、二重射出(二つの材料を射出する)の方式により媒介層を製造する方法について説明する。ランプカバーには、デットポイントを回避するために拡散材料を添加するのが一般的であるため、ランプカバーの表面の色を維持しようとする場合、二次素子の外部が拡散材料が混合されたプラスチックであり、二次素子の内部がトナーが混入されたプラスチックであるとなるように二重射出の方式により媒介層を製造してもよい。図8は、本発明に係る照明装置の断面図を示す。照明装置8は、光源81と、トナーが混入された薄板83及びランプカバー84とを含む。光源81は、複数の発光ダイオード82を有し、この複数の発光ダイオード82は、色温度の異なる第1の白色光を出射する。色温度の異なる第1の白色光は、トナーが混入された薄板を通して、より色温度の均一なる第2の白色光を出射することができる。トナーが混入された薄板83及びランプカバー84は、二重射出の方式により製造される。光源81である発光ダイオード82からの光が薄板83及びランプカバー84を通過することにより、均一に拡散され且つ光の性質が変化された光に転換されて出射される。
【0040】
[実施例の効果]
下記の表1には、本発明に係る媒介層に0.05wt%及び0.1wt%である黄色トナーが採用された場合において対応する色温度低下効果が示されている。
【0041】
【表1】

【0042】
上記表1によれば、媒介層においては、色温度の異なる光に対する色温度の低下幅が異なっており、色温度が高ければ高いほど、色温度の低下幅が大きくなることが分かる。また、黄色トナー濃度が大きければ大きいほど、色温度の低下幅も大きくなることが分かる。また、実験から分かるように、媒介層の厚さが大きければ大きいほど、色温度の低下幅も大きくなる。
【0043】
この実施例において、0.05wt%である黄色トナーを媒介層に添加すると、実験によれば、第1の色温度が7000K〜14000Kである第1の光がこの媒介層を通過することによりに出射された第2の光の第2の色温度は、6000K〜8100Kであることが分かる。0.1wt%である黄色トナーを媒介層に添加すると、実験によれば、第1の色温度が7000K〜14000Kである第1の光がこの媒介層を通過することにより出射された第2の光の第2の色温度は、5000K〜6800Kであることが分かる。第2の光の第2の色温度について、好ましくは5000K〜8000Kであり、より好ましくは5500K〜6800Kであり、更に好ましくは6000K〜6800Kである。上述した2つの媒介層を同時に使用すると、実験によれば、第1の色温度が7000K〜14000Kである第1の光がこの2つの媒介層を通過することにより出射された第2の光の第2の色温度は、6000K〜6800Kであることが分かる。
【0044】
また、第1の色温度の差異は第2の色温度の差異よりも小さい。例えば、その色温度の差異は、4000K〜6000Kから500K〜2000Kまでに低減することができれば好ましい。言い換えれば、第2の色温度の差異と第1の色温度の差異の比は小さければ小さいほど好ましく、例えば、0.3よりも小さいなら好ましい。言い換えれば、第2の色温度の標準偏差は1000Kよりも小さいなら好ましい。上述のように、色温度の低下幅を高めるためには、ユーザは、2つ以上の媒介層を使用してもよい。要するに、本発明に係る実施例の照明装置の媒介層により、媒介層を通過した光の性質を変化させることができる。例えば、媒介層を通過した光の色温度は、媒介層を通過しない光の色温度よりも低く、媒介層を通過した光の短波長部分の主波長の減衰幅は、長波長部分の主波長の減衰幅よりも大きく、媒介層を通過した光の長波長部分の主波長のレッドシフト、又は媒介層を通過した光と黒体軌跡との間の色偏差値の絶対値は、媒介層を通過しない光と黒体軌跡との間の色偏差値の絶対値よりも小さくなる。また、この媒介層によって、上述した照明光の平均演色評価数、照明品質及び光学効率が大幅に低下されることはない。
【0045】
これにより、メーカは、特定のスペック(又は仕様)の発光ダイオードを光源として購入する必要がなくなり、製造コストを低減させることができる。また、媒介層が取り替え可能であるため、照明装置の利用性を向上させることができる。
【0046】
上述したものは、本発明の実施例に過ぎず、本発明の特許の請求範囲を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の実施例に係る照明装置及びその媒介層のトナーの色の選択方法は、照明分野、特に発光ダイオードの照明分野に適用可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0048】
1 照明装置
11 光源
12 媒介層
13 第1の光
14 第2の光
PW 電源
C21〜C24、C31、C41〜C44、C51〜C54、C61〜C64 曲線(黒体軌跡)
W1 第1の主波長
W2 第2の主波長
P31〜P34 色座標点
R61〜R63 色度領域
8 照明装置
81 光源
82 発光ダイオード
83 薄板(プラスチック薄板)
84 ランプカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主波長と第2の主波長を有し且つ前記第1の主波長が前記第2の主波長よりも小さい第1の光を発するための光源と、
前記光源に対応して設けられ、トナーが混入され、60%以上の光透過率を有する媒介層であって、前記第1の光が前記媒介層を通過した後、前記第1の主波長のピークの低下幅が前記第2の主波長のピークの低下幅よりも大きくなるように構成された少なくとも1つの媒介層と
を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1の光が前記媒介層を通過することにより第2の光が出射され、前記第1の光の色温度は第2の光の色温度よりも高く、又は前記第1の光の色偏差値の絶対値は前記第2の光の色偏差値の絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記トナーは黄色トナーを含み、前記黄色トナーの重量パーセント濃度は、0wt%よりも大きく且つ5wt%よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記トナーは、黄色トナーと赤色トナーをさらに含み、前記第1の光が前記媒介層を通過したことにより、前記第2の主波長のレッドシフト及び/又は前記赤色トナーの重量パーセント濃度は1wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の光が前記媒介層を通過することにより第2の光が出射され、
前記トナーの色はトナーの色度領域から選択され、
前記第1の光は(xoi,yoi)である境界色座標点を有し、
前記第2の光は(xti,yti)である境界色座標点を有し、
前記iは1〜4の整数であり、
前記トナーの色度領域は下記の方程式、即ち
【数2】

によって決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項6】
黒体軌跡との間の色偏差値の絶対値が0.006よりも大きい第1の光を発するための光源と、
前記光源の出射経路に設けられ、少なくとも1つのトナーが混入され、60%以上の光透過率を有する媒介層であって、前記第1の光が前記媒介層を通過することにより第2の光が出射され、前記第2の光と前記黒体軌跡との間の色偏差値の絶対値が前記第1の光の色偏差値の絶対値よりも小さくなるように構成された少なくとも1つの媒介層と
を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1又は6に記載の照明装置の前記媒介層の前記トナーの色を選択するためのトナーの色の選択方法であって、
前記第1の光の色度領域におけるそれぞれの第1の境界色座標点と、前記第2の光の色度領域における前記第1の境界色座標点に対応する第2の境界色座標点とを線で結ぶことにより、それぞれの境界色座標点を結んだ線を得る工程と、
前記それらの境界色座標点を結んだ線と飽和曲線とによって取り囲まれたトナーの色度領域を形成する工程と、
前記トナーの色度領域から前記媒介層の前記トナーの色を選択する工程と
を含むことを特徴とするトナーの色の選択方法。
【請求項8】
請求項1又は6に記載の照明装置の前記媒介層の前記トナーの色を選択するためのトナーの色の選択方法であって、
マンセル・カラー・システム(Munsell Color System)を用意する工程と、
前記マンセル・カラー・システムに基づいて、1YR〜10Yの色調からいずれか1つの色調を前記媒介層の前記トナーの色として選択する工程と
を含むことを特徴とするトナーの色の選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−160432(P2012−160432A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281101(P2011−281101)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(508107788)旭麗電子(廣州)有限公司 (21)
【出願人】(503419697)光寶科技股フン有限公司 (42)
【Fターム(参考)】