説明

照明装置

【課題】光学的に不連続な部分を極力排除することができる、載置された被照明物を照らす装飾照明用の照明装置を提供すること。
【解決手段】平坦な設置面上に設置するための支持部9を有する深皿状の下筐体7と、被照明物A,Bが載置可能な平面部10及びこの平面部10と連続した曲面部11によって凹状に形成された天板8とで筐体4を構成し、前記天板8を半透明の合成樹脂で成形し、前記筐体4内に光源としての発光ダイオード14を設けることで、照明装置2を構成したので、把持部を設けなくても、使用者が前記照明装置2を把持しやすいばかりでなく、前記平面部10から曲面部11にかけての光学的な変化が連続的で且つ緩やかであるので、前記天板8を透過した光に斑が少なく、美観を良好にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものであり、特に、被照明物を載置して、載置された被照明物を照らす装飾照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明装置としては、コースターの透明な本体内に電源と発光源(本願発明における光源に該当する)と電気回路を設け、コースターに乗せられるコップ等に光を当てるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このようなコースターでは、発光源が発する光を反射板等で上方に反射させ、上方に置かれるコップ等に多くの光を当てるように構成されている。また、前記コースターの上面には、コップ等が置かれる部分に凹部が形成されている。
【特許文献1】実用新案登録第3064104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような装飾照明用の照明装置においては、透光性を有する部分に光学的に不連続となる部分が形成されているため、透光性を有する部分から発散する光に斑が生じるという問題があった。また、上部にコップ等の被照明物を一つだけ載せることができる小型のコースターであれば問題とならないが、被照明物を複数載せられる大型の照明装置の場合、前述したようなコースターをそのまま拡大した構造を採用すると、使用者が把持し難いため、移動させにくくなってしまうという問題がある。この問題を解決するために、照明装置を把持するための凹部や凸部を形成すると、光学的に不連続な或いは断続した部分が生ずるため、この場合も、透光性を有する部分から発散する光に斑が生じるという問題があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、光学的に不連続な部分を極力排除することができる、載置された被照明物を照らす装飾照明用の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の照明装置は、筐体と、この筐体内に配される光源とを有する照明装置において、前記筐体が、天板と下筐体とを有して構成され、前記下筐体が皿形状に形成され、この下筐体が平坦面上に載置するための支持部を有すると共に、前記天板が透光性材料で形成され、この天板の中央部を被照明物が載置可能な平面部とし、この平面部の外端から前記天板の外縁までを前記平面部と連続した曲面部とすることで、前記天板を凹状に形成したものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の照明装置は、請求項1において、前記天板に載置した際に前記天板の変形量が許容限度となる重量を有する被照明物を前記天板に載置した状態で、重心が前記支持部によって定義される範囲の内側となるように、前記天板の平面部の範囲を規定したものである。
【0007】
更に、本発明の請求項3に記載の照明装置は、請求項1乃至2において、前記下筐体を透光性材料で形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の照明装置は、以上のように構成することにより、使用者が親指を前記天板の曲面部に当て、他の指を皿状に形成された前記下筐体の外周部に当てて把持することで、前記照明装置を把持しやすくすることができる。また、前記光源が発した光が前記天板を通過する際、前記平面部から曲面部にかけての光学的な変化(反射や屈折等)が緩やかであるので、前記天板を通過した光に斑が少なく、美観を良好にすることができる。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の照明装置は、以上のように構成することにより、前記平面部に載置可能な被照明物を前記平面部に載置しても、重心が前記支持部によって定義される領域から外れないので、前記照明装置が倒れないようにすることができる。
【0010】
更に、本発明の請求項3に記載の照明装置は、以上のように構成することにより、前記天板に載置された被照明物だけでなく、前記照明装置が置かれた場所の周囲も照明することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図1乃至図3に基づいて説明する。1は照明システムである。この照明システム1は、防水型の照明装置2と、充電台3とで構成されている。
【0012】
前記照明装置2は、筐体4と発光ユニット5とを有して構成されている。そして、前記筐体4は、中央に取付孔部6が形成された深皿状の下筐体7と、この下筐体7の上部に取り付けられた天板8とを有して構成されている。そして、前記下筐体7の取付孔部6には、前記発光ユニット5が取り付けられている。なお、前記下筐体7は、半透明、即ち透光性を有する合成樹脂によって成形されている。そして、前記下筐体7の下縁は、前記照明装置2を平坦面上に設置する際の支持部9となる。また、前記天板8は、中央部に形成された平面部10と、この平面部10の外端から前記天板8の外縁にかけて前記平面部10と連続して形成された曲面部11とを有して構成されている。なお、ここで言う「連続」とは、切れずに繋がっているという意味ではなく、前記平面部10(平面)と前記曲面部11(曲面)とが数学的に連続であるという意味であり、端的に言えば、前記平面部10と前記曲面部11とが滑らかに繋がっているという意味である。そして、図2に示すような使用状態において、前記平面部10は、前記天板8の外縁よりも僅かに低くなるように形成されていると共に、前記平面部10から前記天板8の外縁にかけて、前記曲面部11によって、外側ほど高くなるように形成されている。また、前述したように、前記天板8の平面部10の面と曲面部11の面が連続して形成されているので、光学的な特性、即ち光の屈折や反射が、前記平面部10と曲面部11の境界で突然変化することがなく、前記平面部10から曲面部11にかけて徐々に変化するように構成されている。また、前記天板8は、載置可能な最大重量(即ち、前記天板8の平面部10に載置した際に、この平面部10の変形量が許容限度となる重量)を有する被照明物A,B(図2では酒器等)を前記平面部10に載置した状態で、前記照明装置2と被照明物A,Bとの合成重心が、前記支持部9で囲まれる範囲の内側となるように、前記平面部10と曲面部11の境界が規定されている。更に、前記下筐体7の上縁部と前記天板8の外縁部は熔着されていると共に、この熔着部分は水密になっている。
【0013】
前記発光ユニット5は、前記下筐体7の取付孔部6に水密に取り付けられている。そして、前記発光ユニット5は、第二筐体12と、この第二筐体12の内部に設けられた二次電池13と、前記第二筐体12の上方に設けられた光源としての高出力型の発光ダイオード14と、前記第二筐体12の下面に設けられたスイッチ操作部15及び受電端子16,17とを有して構成されている。そして、前記第二筐体12の上面には、前記発光ダイオード14に対向して凹状の反射部18が形成されている。なお、この反射部18は、白色の合成樹脂によって前記第二筐体12と一体に形成されている。また、前記スイッチ操作部15と第二筐体12との隙間は水密となっている。また、前記発光ダイオード16は、アルミニウム合金等で構成される放熱体19の下面に、この放熱体19に対して電気的に絶縁された状態で且つ伝熱的に取り付けられている。そして、前記第二筐体12の下面には、環状の凹部20が形成されており、この凹部20に前記受電端子17が設けられている。なお、前記受電端子17と第二筐体12との隙間は、図示しないパッキン等によって水密となっている。また、前記第二筐体12の下面中央には取付孔部21が形成されており、この取付孔部21に前記受電端子16が設けられている。なお、前記受電端子16と取付孔部21との隙間は、パッキン22によって水密となっている。更に、前記受電端子17が設けられた凹部20と前記受電端子16は、同心状に形成されている。
【0014】
前記充電台3の上面には、前記凹部20に対応して環状の給電端子23が設けられている。なお、この給電端子23で囲まれた領域の中央には、前記受電端子16に対応して図示しない給電端子が形成されている。
【0015】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、使用者は、前記充電台3に前記照明装置2を設置することで、この照明装置2の発光ユニット5に収容された前記二次電池13を予め充電しておく。この際、前記充電台3の上面に設けられた環状の前記給電端子23が前記照明装置2の発光ユニット5の底面に形成された環状の凹部20に入り込むことで、前記充電台3に対して前記照明装置2が位置決めされる。そして、このように前記照明装置2が前記充電台3に対して位置決めされることで、前記充電台3に設けられた図示しない給電端子は、前記照明装置2の発光ユニット5の底面に設けられた前記受電端子16に対して確実に当接する。また、前記給電端子23は、前記凹部20内に設けられた前記受電端子17に対して確実に当接する。この状態で前記照明装置2に電力が供給されることで、図示しない充電回路によって前記二次電池13が充電される。
【0016】
そして、このように前記二次電池13が充電された照明装置2を使用する場合、まず使用者は、前記照明装置2を前記充電台3から持ち上げて取り外す。この際、前記照明装置2の天板8の曲面部10に親指を当てると共に、深皿状に形成された前記下筐体7に他の指を当てるようにすれば、把持部が形成されていない本実施形態の構造であっても把持しやすい。そして、使用者は、前記スイッチ操作部15を操作して前記発光ダイオード14を点灯させた後、把持した前記照明装置2を平坦な任意の場所に設置する。この際、前記支持部9が平坦な設置面に当接する。また、前述したように、前記照明装置2が防水型であることから、前記照明装置2は水等で濡れる虞のある場所に設置することができる。そして、このようにして任意の平坦な設置面に設置された前記照明装置2は、前記発光ダイオード14が発した光によって周囲を照らす。即ち、前記発光ダイオード14が発した光は、前記反射部18や下筐体7や天板8等で反射した後、半透明な合成樹脂によって成形された前記下筐体7及び天板8を透過して前記照明装置2外に放射され、この放射された光によって前記照明装置2の周囲が照らされる。なお、前記下筐体7及び天板8が半透明な合成樹脂によって成形されていることによって、光が前記下筐体7及び天板8を透過する際に散乱し、これによって、前記照明装置2から放射される光は、いわゆる柔らかい光となる。また、前述したように、前記下筐体7が半透明な合成樹脂によって成形されていることで、前記照明装置2から放射された光によって設置面上を照らすことができる。更に、前記天板8が前記平面部10と曲面部11とで構成されているものの、これら平面部10の面と曲面部11の面とが連続して形成されているので、光学的な特性、即ち光の屈折や反射が、前記平面部10と曲面部11の境界で唐突に変化することがなく、前記平面部10から曲面部11にかけて緩やかに変化し、これによって、前記天板8を通過した光にできる斑を少なくすることができ、美観を良好にすることができる。
【0017】
そして、このように平坦な設置面上に点灯状態で設置された前記照明装置2の天板8の平面部10に、被照明物A,Bを設置すると、これらの被照明物A,Bは、前記天板8を透過した柔らかい光によって照らされる。なお、前記天板8は、周辺部が曲面部11となっていることで、この曲面部11に被照明物A,Bが設置しにくく、実質的に、中央周辺に形成された平面部10にのみ被照明物A,Bが設置できる。そして、前記平面部10と曲面部11の境界が、載置可能な最大重量を有する被照明物A,Bを前記平面部10に載置した状態で、前記照明装置2と被照明物A,Bとの合成重心が、前記支持部9で囲まれる範囲の内側となるように規定されているので、前記平面部10に被照明物A,Bを設置する限りにおいて、前記照明装置2が転倒しないようにすることができる。また、前記天板8が前記平面部10と曲面部11とで凹状に形成されていることから、前記天板8上に水等の液体がこぼれたとしても、前記天板8で受け止めることができる。これによって、こぼれた液体が設置面を汚す虞を減少させることができる。
【0018】
なお、前記照明装置2は、防水型であること、前記二次電池13等の重量物が中央下部の前記発光ユニット5に集中しており、低重心であること、前記下筐体7が深皿状に形成されていることなどから、浴槽等、水上に浮かべて安定して使用することができる。このため、水上に浮かべられた前記照明装置2の天板8の平面部10に前記被照明物A,Bを設置することもできる。そして、この際、平坦な設置面に前記照明装置2を設置する場合と同様に、前記被照明物A,Bだけでなく、水中も前記下筐体7を透過した光によって照らすことができる。
【0019】
以上のように本発明は、平坦な設置面上に設置するための支持部9を有する深皿状の下筐体7と、被照明物A,Bが載置可能な平面部10及びこの平面部10と連続した曲面部11によって凹状に形成された天板8とで筐体4を構成し、前記天板8を半透明の合成樹脂で成形し、前記筐体4内に光源としての発光ダイオード14を設けることで、照明装置2を構成したので、把持部を設けなくても、使用者が前記照明装置2を把持しやすいばかりでなく、前記平面部10から曲面部11にかけての光学的な変化が連続的で且つ緩やかであるので、前記天板8を透過した光に斑が少なく、美観を良好にすることができるものである。また、本発明は、前記被照明物A,Bが載置可能な前記天板8の平面部10の範囲を、前記天板8に載置した際に前記天板8の変形量が許容限度となる重量を有する被照明物A,Bを前記天板8に載置した状態で、重心が前記支持部9によって定義される範囲の内側となるように、規定したことで、前記平面部10に載置可能な被照明物A,Bを前記平面部10に載置しても、重心が前記支持部9によって定義される領域から外れないので、前記照明装置2が倒れないようにすることができるものである。更に、本発明は、前記天板8だけでなく、前記下筐体7も半透明の合成樹脂で形成したことで、前記天板8に載置された被照明物A,Bだけでなく、前記照明装置2が設置された場所の周囲も照明することができるものである。
【0020】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、天板及び下筐体を半透明の合成樹脂で成型したが、透明な合成樹脂で成形してもよい。また、透明な合成樹脂で成形した天板及び下筐体の表面を粗くしてもよい。また、上記実施形態では、透光性を有する材質として合成樹脂を用いたが、ガラス等を用いてもよい。また、上記実施形態では、光源として高出力型の発光ダイオードを用いたが、これ以外の光源を用いてもよい。更に、上記実施形態では、電源として二次電池を用いたが、乾電池等の一次電池を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す照明装置と充電台とから成る照明システムの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す照明装置の使用状態における断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す照明装置の底面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 照明装置
4 筐体
7 下筐体
8 天板
9 支持部
10 平面部
11 曲面部
14 発光ダイオード(光源)
A,B 被照明物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、この筐体内に配される光源とを有する照明装置において、前記筐体が、天板と下筐体とを有して構成され、前記下筐体が皿形状に形成され、この下筐体が平坦面上に載置するための支持部を有すると共に、前記天板が透光性材料で形成され、この天板の中央部を被照明物が載置可能な平面部とし、この平面部の外端から前記天板の外縁までを前記平面部と連続した曲面部とすることで、前記天板を凹状に形成したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記天板に載置した際に前記天板の変形量が許容限度となる重量を有する被照明物を前記天板に載置した状態で、重心が前記支持部によって定義される範囲の内側となるように、前記天板の平面部の範囲を規定したことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記下筐体を透光性材料で形成したことを特徴とする請求項1乃至2記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−27872(P2008−27872A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202490(P2006−202490)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】