説明

照明装置

【課題】透光部の印刷段差を小さくして美観を向上させることが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】印刷層を有する透光性シート72を立ち壁部73が形成されるように絞り加工してなる表示板7と、この表示板7を照明する光源21とを備え、立ち壁部73を透光部74として設け、この透光部74に光源21の光を拡散透過させる半透過膜8を形成し、この半透過膜8及び透光部74を通じて光源21の光を観察者とは反対側となる第1の面75側から観察者側となる第2の面76側に透過させて立ち壁部73の周囲を照明してなる照明装置であって、半透過膜8を第1の面75側に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種車両に適用される計器装置のごとき照明装置に関し、特に印刷層を有する透光性シートを立ち壁部が形成されるように絞り加工してなる表示板と、この表示板を照明する光源とを備えた照明装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置として、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。
この照明装置は、印刷層を有する透光性シートを立ち壁部が形成されるように絞り加工してなる表示板と、この表示板を照明する光源とを備え、立ち壁部を透光部として設け、この透光部に光源の光をやわらげるための半透過膜を形成し、この半透過膜及び透光部を通じて光源の光を観察者とは反対側となる第1の面側から観察者側となる第2の面側に透過させて前記立ち壁部の周囲を照明することにより、装飾性の高い照明を行うものである。
【特許文献1】特開平07−113664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1記載の指針式計器は、半透過膜を透光部において観察者側となる第2の面側に設ける構成であるため、半透過膜の厚み分、印刷段差が大きくなって視認されることになるため、美観を損なってしまうという問題がある。更に透光部が第2の面側から半透過膜に覆われるため、透光部のクリア感が失われ、更に美観を損ねてしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、この点に鑑みてなされたもので、透光部の印刷段差を小さくして美観を向上させることが可能な照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するため、印刷層を有する透光性シートを立ち壁部が形成されるように絞り加工してなる表示板と、この表示板を照明する光源とを備え、前記立ち壁部を透光部として設け、この透光部に前記光源の光を拡散透過させる半透過膜を形成し、この半透過膜及び前記透光部を通じて前記光源の光を観察者とは反対側となる第1の面側から観察者側となる第2の面側に透過させて前記立ち壁部の周囲を照明してなる照明装置であって、前記半透過膜を前記第1の面側に形成したことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記透光部の前記第2の面側が前記透光性シートが露出した箇所として設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記半透過膜が着色されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記表示板が前記透光部からの光を前記観察者側に向けて反射する傾斜面を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、透光部の印刷段差を小さくして美観を向上させることが可能な照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3は、本発明の一実施形態を示すもので、図1は本発明による照明装置を適用した指針式計器の要部正面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図2の矢視領域Bを拡大して示す要部断面図である。
【0011】
図1、図2において、本実施形態による指針式計器は、背面カバー1と、回路基板2と、駆動本体3と、指針4と、フレーム体5と、導光体6と、表示板7とで構成されている。
【0012】
背面カバー1は、合成樹脂からなり、回路基板2の背面(観察者側とは反対側の面)を覆うものである。
【0013】
回路基板2は、指針4、表示板7を照明する複数の光源21の他、図示しない回路パターンや各種回路素子が設けられた硬質の回路基板からなる。
【0014】
駆動本体3は、例えばステッピングモータからなり、主要部が回路基板2の背面側に位置すると共に、指針軸31が回路基板2を貫通して観察者側に延びている。
【0015】
指針4は、計測量に応じて表示板7の観察者側を向く面(以下、第2の面という)上で回転するように指針軸31に連結されると共に、光源21からの光を受けて発光する。
【0016】
フレーム体5は、例えば乳白色の合成樹脂からなり、回路基板2の観察者側を向く面上に配置され、表示板7を観察者側とは反対側から支持すると共に、光源21を通じて指針4及び表示板7を照明する際の照明室を形成するものである。
【0017】
導光板6は、フレーム体5と表示板7の観察者とは反対側を向く面(以下、第1の面という)との間に挟まれて支持されており、その一部は、表示板7から部分的に観察者側に突出して指針4に対応した目盛61を構成すると共に、更に他の一部は、表示板7の後述する透光部に対向する照射部62として形成されている。
【0018】
表示板7は、図3に示すように、指針4に対応した図示しない指標部を光透過性の印刷層で、この指標部の背景となる地部71を遮光性の印刷層でそれぞれ形成してなる透光性シート(透明な合成樹脂シート)72を、立ち壁部73が形成されるように絞り加工してなるもので、この場合、立ち壁部73となる箇所は、図3に示すように、導光体6の照射部62からの照射光を透過可能な透光部74として設けられている。
【0019】
透光部74は、地部71が除かれることによって、光源21の光を観察者とは反対側となる第1の面側75から観察者側となる第2の面76側に透過させる箇所からなり、その透過光(照射光)によって立ち壁部73の周囲に、立ち壁部73と対向するように形成した傾斜面77の表面を照明できるようになっている。
【0020】
またこの透光部74には、その第1の面75側に半透過膜8が形成され、この結果、透光部74の第2の面側7bは透光性シート75の一部が露出した箇所として設けられている。
【0021】
半透過膜8は、光拡散透過機能を有する透光性印刷層からなり、透過光を拡散透過し、立ち壁部73の外周に位置する傾斜面77をムラを抑えた状態でまんべんなく照明し、これにより装飾性を高めている。
【0022】
また半透過膜8は、この場合、適宜色に着色されており、透光部74を通じて不要な箇所が透けて見えてしまうことを防止している。
【0023】
以上のように、本実施形態では、印刷層を有する透光性シート72を立ち壁部73が形成されるように絞り加工してなる表示板7と、この表示板7を照明する光源21とを備え、立ち壁部73を透光部74として設け、この透光部74に光源21の光を拡散透過させる半透過膜8を形成し、この半透過膜8及び透光部74を通じて光源21の光を観察者とは反対側となる第1の面75側から観察者側となる第2の面76側に透過させて立ち壁部73の周囲を照明してなる照明装置であって、半透過膜8を第1の面75側に形成したことにより、第2の面76側に半透過膜8による印刷段差が形成されないため、印刷段差を小さくでき、これにより美観を向上させることができる。
【0024】
また本実施形態では、透光部74の第2の面76側が透光性シート72が露出した箇所として設けられていることにより、クリア感を演出でき、更に美観を向上させることができる。
【0025】
また本実施形態では、半透過膜8が着色されていることにより、不要エリアが透けて見えることを防止することができる。
【0026】
また本実施形態は、表示板7が透光部74からの光を観察者側に向けて反射する傾斜面77を備えることにより、透光部74からの光を効率よく反射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による指針式計器の要部正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2の矢視領域Bを拡大して示す要部断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 背面カバー
2 回路基板
3 駆動本体
4 指針
5 フレーム体
6 導光体
7 表示板
8 半透過膜
21 光源
31 指針軸
61 目盛
62 照射部
71 地部
72 透光性シート
73 立ち壁部
74 透光部
75 第1の面
76 第2の面
77 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷層を有する透光性シートを立ち壁部が形成されるように絞り加工してなる表示板と、この表示板を照明する光源とを備え、前記立ち壁部を透光部として設け、この透光部に前記光源の光を拡散透過させる半透過膜を形成し、この半透過膜及び前記透光部を通じて前記光源の光を観察者とは反対側となる第1の面側から観察者側となる第2の面側に透過させて前記立ち壁部の周囲を照明してなる照明装置であって、
前記半透過膜を前記第1の面側に形成したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記透光部の前記第2の面側が、前記透光性シートが露出した箇所として設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記半透過膜が着色されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
前記表示板が前記透光部からの光を前記観察者側に向けて反射する傾斜面を備えることを特徴とする請求項1記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−298504(P2008−298504A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143004(P2007−143004)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】