説明

照明装置

【課題】 スパイラル状ガラス管で構成された発光管を有する照明装置において、ワット数変更にも効率的かつ安全に対応できる照明装置を提供すること。
【解決手段】 スパイラル状ガラス管の外周の端部に、一対の口金23を有する蛍光灯5と、器具本体3に設けられ蛍光灯5の口金23を電気的、及び機械的に接続するソケット11とを備え、ソケット11は、ワット数の異なる蛍光灯の異なる口金位置に応じて、器具本体3に対して設置位置を移動可能に設けられ、ワット数の異なる複数サイズの蛍光灯5を使用可能とする器具本体3、つまり、一台の照明器具本体でワット数の違う複数の蛍光ランプを使用することが可能となる照明器具を提供すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯を用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図4に示すように、一連の放電路が略同一面上で二重渦巻状のスパイラル状ガラス管で構成された発光管201を備える蛍光灯200が提案されている。
この蛍光灯200は両口金タイプであり、二重渦巻形状の両端部には一対の口金203がそれぞれ備えられている。このような構成の蛍光灯200は発光管201の管径程度の厚みであり、照明具としては薄い設計を提供することができ、略面発光でもあるので、デザイン上でも、スペース効率的にも、多くの場面に採用可能である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−12483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、蛍光灯はワット数が大きくなるほど、大きさも大きくなり、直管型や円形ではワット数に応じて長さや径の規格がある。図4で示した照明装置においても、ワット数によって一対の口金203の距離が変更されることとなる。従って、蛍光灯のワット数が異なれば器具本体も異なる筐体を必要とし、ワット数を変更したい場合などには、照明器具ごと交換するといった効率的でない問題があった。設定とは異なるワット数の蛍光灯を照明器具本体に無理に取り付けた場合、口金位置の違いにより、蛍光灯が破損するなど、異なるワット数での出力制御により、過剰電流が流れて、蛍光灯の著しい寿命低下などの問題がある。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、スパイラル状ガラス管で構成された発光管を有する照明装置において、ワット数変更にも効率的かつ安全に対応できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明装置は、スパイラル状ガラス管の外周の端部に、一対の口金を有する蛍光灯と、器具本体に設けられ蛍光灯の口金を電気的、及び機械的に接続するソケットとを備えた照明器具において、前記ソケットは、ワット数の異なる蛍光灯の異なる口金位置に応じて、器具本体に対して設置位置を移動可能に設けられている構成を有している。
【0007】
この構成により、器具本体に対してソケットの設置位置を移動可能としたので、一対の口金間の距離が異なる蛍光灯のサイズ変更に対して、ソケット位置移動で対応でき、ワット数の異なる複数サイズの蛍光灯を使用可能とする器具本体、つまり、一台の照明器具本体でワット数の違う複数の蛍光ランプを使用することが可能となる照明装置を提供することかできる。
【0008】
また、本発明の照明装置は、前記ソケットの移動設置後の位置に応じて蛍光灯のワット数に対応する出力を制御する点灯制御部を備える構成を有している。
【0009】
この構成により、蛍光灯のワット数によって蛍光灯の寸法が特定される規格である場合に、ソケット位置も同時に決まるので、このソケット位置に従うことで蛍光灯のワット数を特定し、点灯制御装置がソケットの移動設置後の位置に応じて蛍光灯のワット数に対応する出力制御が実施される。従って、蛍光灯に過剰に電流が流れることを防止することができる。
点灯制御装置としては、マルチインバーターを利用することで、ワット数の異なる蛍光灯での出力制御に対応することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、照明装置の本体に対してソケットの設置位置を移動可能としたので、一台の照明器具本体でワット数の違う複数の蛍光ランプを使用することが可能となる。また、点灯制御装置がソケットの移動設置後の位置に応じて蛍光灯のワット数に対応する出力を制御するので、ソケット位置に対応した蛍光灯のワット数を特定して、出力制御が実施され、蛍光灯に過剰に電流が流れることを防止するという効果を有する照明装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の照明装置について、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る実施形態の照明装置を示す分解斜視図、図2は図1の照明装置の蛍光灯5がない状態でのA−A線の断面図、図3は蛍光灯の蛍光灯支持ばね位置の部分断面図である。
なお、各図においては、説明の便宜上、照射面を上向きにした状態を示して、説明する。従って、吊下げて照明装置100を用いる場合には、上下の位置関係が反対となる。
【0012】
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明装置100は、略円形薄箱状をなす本体3と蛍光灯5と透明カバー7から構成されている。これらが組み上げられることで照明装置100となる。
蛍光灯5は、一連の放電路であり略同一面上で二重渦巻形状のスパイラル状発光管21と、スパイラル状発光管21の両端部に配置された一対の口金23と、両方の口金23もしくはその近傍の発光管21部分を繋ぐように保持固定して発光管21の破損を抑制するブリッジ25とからなる。
【0013】
ブリッジ25は発光管21必須の構成ではないが、これにより、口金11の配置を安定させるとともに、蛍光灯5の強度を向上させることができる。また、ブリッジ25上で、口金11と近接する発光管21との間、あるいは近接する発光管21同士の間には、充填剤を設けるのが望ましい。これにより、発光管21の強度を増すとともに、発熱するランプ口金11の放熱を図ることができる。
【0014】
本体3の内部には、蛍光灯5を保持し、白色塗装されて反射板を兼ねえた平板形状のベース15が備えられている。このベース15には、蛍光灯5の一対の口金23と電気的に接続する一対のソケット11と、ブリッジ25を支持して蛍光灯5をベース15に固定する一対の蛍光灯支持ばね13が備えられる。このベース15の裏側には、図2で示しているように、蛍光灯5に電力を供給する点灯装置27とランプ線(図示省略)とを配線する空間が備えられている。
また、透明カバー7は、例えばポリカーボネイト樹脂製で、透光性を有しており、その縁部には引っ掛け爪9が備えられ、この引っ掛け爪9がベース15に備えられている係合穴18に係合されて、透明カバー7が本体3に着脱可能に固定される。
【0015】
このベース15の各ソケット11支持位置には、位置調整用のソケット支持長穴17がワットによって異なる支持位置を繋ぐ長穴として配設されてソケット11を固定し、更に各蛍光灯支持ばね13支持位置には、位置調整用の支持ばね支持長穴19が同じくワットによって異なる支持位置を繋いぐ長穴として配設されて蛍光灯支持ばね13を固定している。
【0016】
次に、図2を参照して、ワット数変更に伴う位置調整と出力制御について説明する。
照明装置200は本体3に蛍光灯5が取り付けられていない状態の断面図であり、ベース15上のソケット11の位置は、例えば20Wの蛍光灯の口金23が取り付けられる位置X(実線及び一点鎖線により図示)となっている。そして、例えば15Wの蛍光灯の場合は、その口金23が取り付けられる位置Yを点線にて示している。移設のための構成は後に細述するが、蛍光灯支持ばね13の位置もソケット11の位置に準ずることとなる。なお、投光側である透明カバー7は図2では上方となっている。
ソケット11に対してベース15の裏側には、本体3に内蔵される状態で点灯装置(点灯制御部)27が備えられている。
【0017】
ソケット11のベース15側基部に固定されたスライド部29が備えられており、このスライド部29はベース15に配設されているソケット支持長穴17内をスライド可能に取り付けられる。従って、前述のように、ソケット11は、例えば20Wの蛍光灯が取り付けられる位置Xと15Wの蛍光灯が取り付けられる位置Yとの間を移設固定可能に保持されることとなる。
工場内で、蛍光灯5のワット数の設定を完了する場合には、ソケット11と蛍光灯支持ばね13とを位置Xまたは位置Yに固定し、設定のワット数を目立つ位置に表示しつつ、そのワット数の蛍光灯5を取り付けて出荷することとなる。
【0018】
従って、器具本体3に対してソケット11の設置位置を移動可能としたので、一対の口金23間の距離が異なる蛍光灯のサイズ変更に対して、ソケット11の位置移動で対応でき、ワット数の異なる複数サイズの蛍光灯5を使用可能とする器具本体3、つまり、同一構成の本体3を使用して、複数ワット数の蛍光灯に対応させることが可能となる。
なお、本体3の形状としては、図1,2では蛍光灯の形状に対応して円筒形状としているが、これに限定されるものではなく、楕円型、多角形型など、蛍光灯の形状に対応していなくてもよい。
【0019】
更に、蛍光灯5のワット数によって蛍光灯5の寸法が特定される規格である場合に、ソケット11位置も同時に決まるので、このソケット11位置に従うことで蛍光灯5のワット数を特定することができ、点灯装置(点灯制御部)27において、ソケット11の移動設置後の位置に応じて蛍光灯のワット数に対応する出力制御を実施することができる。従って、蛍光灯に過剰に電流が流れることを防止することができる。
【0020】
そして、点灯制御装置としては、マルチインバーターを利用することで、一台のインバーターによりワット数の異なる蛍光灯での出力制御に対応することができる。つまり、蛍光灯5に対してベース15の裏側に備えられた点灯装置(点灯制御部)27は複数ワット数に対応できるマルチインバーターを使用することができる。この場合、ソケット11の位置X,Yによりワット数を特定し、点灯装置27であるマルチインバーターの出力制御を特定したワット数に従って制御するためのソケット位置設定手段を備えている。このソケット位置設定手段は、マルチインバーターに備えられ、組み立て工程において、設定したワット数を人の手により設定することができる。
【0021】
ここで、少なくとも片方のソケット11又は蛍光灯支持ばね13に位置検出手段を備え、マルチインバーターに接続し、ソケット11又は蛍光灯支持ばね13の移設を検出してマルチインバーターが自動的に制御用のワット数を特定することもできる。この位置検出手段としては、ソケット11又は蛍光灯支持ばね13、例えば、スライド部29から点灯装置27へ伸びる連結棒28といった構成や、電気的な接続である位置検出センサを利用することも可能である。
【0022】
次に、図3を参照して、蛍光灯支持ばね13の移設の構成を説明する。
図3は発光管21が照明装置100内で蛍光灯支持ばね13に支持されている状態の部分断面を示している。そして、蛍光灯支持ばね13のばね基部13bには固定ビス33が配置されている。固定ビス33は発光管21側から順番にばね基部13b、次に、ベース15に備えられている支持ばね支持長穴19を通されている。更に、固定ビス33は、支持プレート31を通して固定ナット35により固定される。従って、ばね基部13bは支持プレート31と共にベース15を挟み、固定ビス33と固定ナット35との締め付けにより、蛍光灯支持ばね13がベース15に固定されることとなる。
発光管21はブリッジ25に保持されており、蛍光灯支持ばね13のばね支持部13aは、このブリッジ25と押圧当接し、蛍光灯5を本体3内に保持している。蛍光灯5は位置Xで固定されている。
【0023】
ここで、蛍光灯支持ばね13をソケット11の位置Yに移設する場合、まず、発光管21を外した状態で、固定ビス33と固定ナット35とを外れない程度に緩める。そして、支持プレート31を移動し、ソケット11の位置Yに対応する位置に固定ビス33を保持し、固定ビス33と固定ナット35とで締め付ける。この時、図3には示していないが、スライド部29から点灯装置27へ伸びる連結棒28が位置検出手段となり、点灯装置27内の切り換えを実施し、出力制御を対応するワット数に切り換える。なお、支持プレート31にタップをきることで、固定ナット35を不要としても良い。
【0024】
なお、ソケット11のスライド部29に蛍光灯支持ばね13を固定又はこれらを一体とし、支持プレート31に固定する構成とすることもできる。この場合、支持長穴は1つのみ備えればよいこととなる。
この構成により、支持長穴の製作工程を少なくし、ソケット11と蛍光灯支持ばね13との取り付け工程を簡素化でき、更に、ソケット11と蛍光灯支持ばね13との位置ズレなどの発生も抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかる照明装置は、器具本体に対してソケットの設置位置を移動可能としたので、一対の口金間の距離が異なる蛍光灯のサイズ変更に対して、ソケットの位置移動で対応でき、ワット数の異なる複数サイズの蛍光灯を使用可能とする同一構成の本体3を使用して、複数ワット数の蛍光灯に対応させることが可能となる照明装置として有用である。しかも、ソケットの移動設置後の位置に応じて蛍光灯のワット数に対応する出力制御を実施することができる。従って、蛍光灯に過剰に電流が流れることを防止することができる。更に、点灯制御装置として、一台のマルチインバーターによりワット数の異なる蛍光灯での出力制御に対応することができる照明装置として有用となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る実施形態の照明装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の照明装置の蛍光灯5がない状態でのA−A線の断面図である。
【図3】蛍光灯の蛍光灯支持ばね位置の部分断面図である。
【図4】(A)は従来の照明装置を示す平面図、(B)は従来の照明装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0027】
100 照明器具
3 本体
5 蛍光灯
7 透明カバー
11 ソケット
13 蛍光灯支持ばね
15 ベース
17 ソケット支持長穴
19 支持ばね支持長穴
21 発光管
23 口金
25 ブリッジ
27 点灯装置
28 連結棒
29 スライド部
31 支持プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラル状ガラス管の外周の端部に、一対の口金を有する蛍光灯と、器具本体に設けられ蛍光灯の口金を電気的、及び機械的に接続するソケットとを備えた照明器具において、
前記ソケットは、ワット数の異なる蛍光灯の異なる口金位置に応じて、器具本体に対して設置位置を移動可能に設けられていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記ソケットの移動設置後の位置に応じて蛍光灯のワット数に対応する出力を制御する点灯制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−158174(P2009−158174A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332653(P2007−332653)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】